中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

主治医の診断書

2012年07月25日 | 情報
1月4日に同タイトルでアップしました。
前回は、復職可とする診断書の取り扱い方でした。
今回は、休養を必要とする診断書の取り扱いです。

従業員から休養を必要とする診断書が提出されたら、必ず休ませなければならないのか。

骨折や感冒等では、従業員から休暇の申請があれば、ほぼ自動的に認められています。
しかし、精神疾患の場合、企業の人事労務担当の中には、どう取り扱っていいのか迷っている方も散見されます。
その理由は、診断書には、個人情報の保護という観点から、主治医は必ずしも正確な病名を記述しないからです。

まず、精神疾患等で、従業員から診断書が提出されたら、上司は直接、あるいは上司から診断書受け取った人事労務担当は、
産業医に診断書を示し、意見を求めてください。
多分、産業医は、精神科領域は専門外ですので、主治医に診断書の詳細を問い合わせることになります。
主治医は、守秘義務がありますので、患者の了解を取り付けたかどうかを確認するはずです。
場合によっては、書面での確認を求めてくることもあります。
主治医は、患者が了承していることを確認できれば、産業医に所見の詳細を開示します。

なお、主治医に問合せできるのは、産業医だけです。産業医以外の、産業保健スタッフや人事労務担当が
問合せしても、主治医は、守秘義務がありますから、回答を保留又は拒否するでしょう。
ですから、産業医は必要なのです。

産業医が、当該従業員の休養が診断書通りに必要であると認めたら、上司と人事労務部門は、理由を確認の上、
はじめて当該従業員の休養、休職を認めることになります。

また、産業医が主治医の所見に疑問を抱いた場合、主治医の了解を取り付けた上、
産業医、人事労務担当は、当該従業員に理由を説明し、別の精神科医に受診するよう指示します。
所謂、セカンドオピニオンを求めることになります。
最近多い、「新型うつ」と云われるような精神疾患の場合には、考慮されることをお勧めします。
なお、このような一連の対応要領を、就業規則に規定してあれば、何ら問題はありませんが、
多分、就業規則には規定がないでしょう。しかし、「安全配慮義務」の観点から、受診命令を出すことは可能です。
ただし、産業医の勧告があって初めて可能になりますので、ご留意ください。
しつこいですが、産業医は必要ですね。

産業医がセカンドオピニオンに従い、当該従業員の休養と治療が必要との意見が出されれば、
初めて、当該従業員に治療のための休職を許可する(命ずる)ことになります。

では、それからはどうしたらよいのでしょうか?
詳細は、拙著「中小企業のうつ病対策」に。
または、s-hashi@ya2.so-net.ne.jpへお尋ねください。
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