中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

相談窓口

2012年07月23日 | 情報
いつでも心の悩みについて気軽に相談できる窓口があるといいですよね。

まず、社内に設置する方法があります。
社内で、事情に精通しているベテラン社員や、人格的に周囲から評価されている社員を
2年程度に期間を限定して、社内相談カウンセラーに任命します。
成功させるためには、秘密が厳守されることが徹底されていて、実績がある程度積みあがることが必要です。
複数の事業所がある企業であれば、顔と声が一致しないように、異なる事業所のカウンセラーに相談できる
体制も必要です。
社内へ制度を告知し、秘密は厳守されることを、トップ自ら確約し、利用を呼び掛けます。

因みに、過日、内部告発制度がある企業(大手精密機器メーカー「オリンパス」)で、
情報が上司等に筒抜けになっていたため、通報者が差別待遇されたとして裁判になりました。
このような状況では、社内での相談制度は成立しませんね。
なお、当裁判は、会社側が最高裁に上告しましたが、
最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は6月29日までに、会社側の上告を退ける決定をしました。
男性の逆転勝訴とした二審判決が確定しました。6月28日付。(共同通信)

社内相談機関の最大のメリットとしては、社内の問題は社内で解決するということが、
社員の一体感を醸成するうえでとても大切だということです。
そして良き企業文化が伝承されることが期待できます。
デメリットとしては、カウンセラーの心理的負担が大きいこと、秘密が漏れやすいこと、などがあります。

次に、NPO法人等が運営している、外部の相談機関を利用することです。
「日本いのちの電話」をはじめ、今やたくさんの相談窓口が全国に展開されています。
残念なのは、意外と情報が周知徹底されていない点です。
ですから、人事労務部門は、このような相談窓口があることを、社内報や社内メール等を利用して
従業員に広報することが必要となります。

電話代の負担のみで利用できますし、中にはフリーダイヤルもあります。
デメリットとしては、一人あたりの利用時間が長いこと等があって、電話がかかりにくい相談窓口も
あることです。それから相談員は、企業の内部事情を全く知りませんから、
一から順序立てて話さなければならないことです。

・日本いのちの電話 東京03-3264-4343 その他全国に
・東京都自殺相談ダイヤル 0570-087478
・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064556
・メンタルヘルス相談窓口 0120-226-272 等々

最後に、会社がEAPと契約していれば、EAP指定の心理カウンセラー等に相談することができます。
相談窓口は専門家ですから、適切なアドバイスが受けられますし、秘密が厳守されます。
ただし、中小企業にとっては、費用負担が大きいというデメリットがあります。

それぞれにメリット、デメリットがありますので、社内事情を勘案のうえ、決めてください。
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