◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「なぜ私をたずねに来ているのか」って?

2010-07-21 20:29:30 | 気になる言葉、具体例
                                 そんな所で・・・
 前回、あれこれ例を挙げ、正しい言い方を書いたのはその中の一部でしたから、今回はその解答・解説編といったところです。
 「とくダネ!」の大村アナの日本語は本当にひどい! あれでもアナウンサー? 「挙式を挙げた」は「式を挙げた」、「あと数時間後に」は「数時間後に」、「水牛が発熱を出して」は「水牛が熱を出して」、「○○社員はお話しされました」は「社員の○○さんはお話しなさいました」、「明るみになって」は「明るみに出て」、「農作物(のうさくもつ)」は「のうさくぶつ」、「交配(こうばい)」は「こうはい」です。
 「新警視庁捜査一課9係」のセリフ「なぜ○○が私をたずねに来ているのか」は、まず状況を説明しないといけませんね。といっても、別に複雑なことではありませんよ。○○が、ある人物(私)のところに、事件に関する話を聞きに来ている、ということです。
 「たずねる」の漢字は「尋ねる」と「訪ねる」ですが、さて、どちらでしょうか。「なぜ○○が私をたずねて来ているのか」なら「訪ねて」、「なぜ○○が私にたずねに来ているのか」なら「尋ねに」、「話を聞くために私を訪ねて来ている」もしくは「私に話を尋ねに来ている」ですが、「なぜ○○が私をたずねに来ているのか」ではどちらか分かりません。
 「尋ね人」という言葉があるように、「△△(人物)を尋ねる」という言い方はありますが、それは△△がどこにいるか分からないからです。例えば「母を尋ねて三千里」とかね。この例では「私」の居場所が全く分からないわけではありませんから、やはり「私を尋ねる」ではなく「私に尋ねる」でしょう。かりに、居場所が分からなくて捜している最中だとしても「私を尋ねて」です。「母を尋ねに三千里」は変でしょ?!
 「訪問する」という意味の「訪ねる」「訪れる」は、ある場所やある人の元を「訪ねる」「訪れる」であり、「に」ではないのですが、「を」と「に」の使い分けができていない人は大勢います。「そんな彼らに待ち受ける試練とは」だの、「自宅を放火した疑い」だの、ちゃんとしたニュース番組のナレーションでもこの有り様ですからね。正しくは「そんな彼らを待ち受ける試練とは」「自宅に放火した疑い」です。(^.^)/~~~
コメント
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