熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

散りたくも 散れずにむせぶ ぼたん花

2006年04月29日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   久しぶりに爽やかな良い天気になったので、上野東照宮のぼたん苑に出かけた。 
   冬ぼたんの頃と違って賑わっている。

   上野公園の桜は、八重の僅かに残っている桜花を除いて完全に青葉に変わって大通りは緑陰に早変わり、季節の移り変わりは早い。

   ぼたん苑のぼたんも、もう、盛りを過ぎていて、ゴールデンウイークには、遅過ぎて綺麗なぼたんを十分に楽しめそうにないかも知れない。
   冬と違って、春のぼたんは実に優雅で、それに、花弁が華麗で大きいので、その分、萎み始めると老醜を曝すことになって哀れである。
   八重桜もぼたん同様にそのきらいがあるが、盛りを過ぎても、自分で、ソメイヨシノのように潔く散れないので、いつまでも哀れな姿を晒すことになるが、やはり、椿のように早すぎるのも困るけれど、花は美しければ美しいほど、程ほどに舞台から静かに消えて行くのが好ましい。

   ぼたんは、中国北西部の原産なのだが、日本に入ってから1千年以上になると言う。
   日本で花と言えば、最初は椿、次は梅、そして、桜になったようだが、しかし、ぼたんは別な意味で、最高の花であることには間違いない。
   とにかく、この上野の東照宮のぼたん苑も、初夏のぼたんは、本当に絢爛豪華で艶やかである。

   私の記憶では、イギリスのロイヤル・キューガーデンでは、芍薬の花は、育種農場で栽培されていて写真を撮っていたので覚えているが、ぼたんを見た記憶がない。
   西洋は薔薇で、ぼたんは東洋の花と言うことであろうか。

   明治座に行ったが、壁に飾ってある日本画家の大家の絵は、ぼたんが3点もあったが、お祝いや目出度い場所には、ぼたんが似合うのであろう。ぼたんは、中国の障壁画や掛け軸、建物の彫刻など美術装飾にも、沢山使われているが、歌舞伎の舞台でもバックにぼたんが描かれていると華やかになり、極彩色の世界に更に華を添える。 

   薄くて柔らかい大きな美しい花弁が、何の障害もなく複雑に広がって素晴しい造型を見せてくれているのを見ると、自然の営みの不思議をしみじみと思う。それに、おしべやめしべの色や形がまた複雑で美しく、花の中の花を形作っていて魅力的である。 
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