日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

言葉が変わるとイメージも-「ソーシャル・アントレプランナー」って?

2006-06-06 19:01:59 | ライフスタイル
まだまだ世間的には、「秋田小1男児殺害事件」と「村上ファンド」がニュースの主流だ。
実は、しばらく前から気になっている「言葉」がある。
雑誌GQが特集している、「ソーシャル・アントレプランナー」だ。
日本語に訳すと、「社会事業起業家」とでもなるだろうか?
言い換えれば、「NPO起業家」ということになるだろう。
気になるのは「NPO」といわず、「ソーシャル・アントレプランナー」という、まどろっこしく(?)イマイチ分からない言葉なのに、どこか「カッコ良さ」を感じさせる言葉を使っていることだ。

GQと言う雑誌そのものは、20代~30代の男性向けファッション誌だから、使う言葉も分かりやすさよりも「カッコ良さ」を優先するのだろう。
そしてNPOという、「やや堅苦しく、ストイック」だとか「社会貢献=お金儲けをしてはいけない」という、「儲け否定型」というイメージがある。
それが「アントレプランナー」という言葉に代わった途端、「社会貢献をしながら(ソコソコ)儲ける」というイメージに変化する。

以前もエントリしているのだが、「NPOだから儲けなくても良い」ということではないと思う。
むしろ「社会貢献を継続するための儲けは、必要」と言うことを言ってきた。
それが「ソーシャル・アントレプランナー」という、言葉なのかも知れない。
GQに登場するような人ばかりではなく、身近なところでは授産施設なども「ソーシャル・アントレプランナー」とも言えるのではないだろうか?
問題なことは、多くの授産施設は経営そのものが大変厳しく、そこで働く身障者の収入が一般企業に比べ、遥かに低いと言うこと。
そのようなところに、ビジネスアドバイスをすることも「ソーシャル・アントレプランナー」だと言えそうだ。

昨日、インサイダー取引の容疑で逮捕された村上氏が、ファンドと言うビジネスを通じて社会貢献となるビジネスも展開していたら、もっと違う社会評価をされていたのではないだろうか?
村上氏は、「お金を儲けることが、そんなに悪いことなのか!」と、逮捕前の記者会見で言っていた。
「お金儲け」が悪いのではない、ただ「お金の亡者」になり、総ての価値判断を「お金」にしてしまうことが、問題なのだ。
そのために、「敵対的買収」や「株主価値を上げるため」という建前の「強引な株取引」が、多くの人が村上氏を嫌った理由なのだ。
そのことに、村上氏も気がついて欲しい。

今日の出来事

2006-06-05 23:21:13 | アラカルト
今日のニュースは、「秋田県、小学1年男児殺害事件」と「村上ファンドの村上氏、インサイダー取引で逮捕」の二つと言うくらい。
こういうときに限って、国会などでは大切な法案が、スンナリ通過していたりする。
(本当のところは報道されていないので、わからないけど)本当に・・・政治家の皆さんって老獪。

さて、村上ファンドについてはこれからもエントリする機会があると思うので、今日は触れず。
ただ、村上ファンドの出資者の1人は、オリックスの宮内さんだったようだ。
宮内さんが、立ち上げの400億を出資していたようで。
他にも出資している「外資」のうち、幾つかはアメリカなどの大学だったようだ。
「大学が、ファンドに出資」と言うと、驚く人も多いだろう。
実は会社員時代、役員と懇意にしているアメリカの某有名私立大学の研究室の所長さんからの依頼で、学生を企業研修生として受け入れていた。
その学生さんから、「アメリカの有名私立大学の多くは、ファンドなどに出資して資産運用をしている。もちろんそのお金は、奨学金(多くは、海外の優秀な学生向け奨学金)などに使われる」という話を聞いたことがあった。
外資と言っても、総てが「ハゲタカ・ファンド」と言うわけではない、ということだろう。
「大学が金儲け」と言ってしまえばそれまでだが、奨学金と言う使い道を考えると暗に「金儲け」と決め付けることができないような気がする。
と言うのも、少子化が進み大学運営そのものが、授業料だけでは賄えないからだ。
「産学協同」ということも含め、大学そのものが収益をあげることが、良質の教育環境を平等に社会に与える機会となるという側面もあると考えるのだ。

そんな中、気になる小さな記事があった。
時事通信の記事なのだが、「日本の食の安全」と「伝統食」という二つの危機が迫っている、と言う気がした。
日本の食品自給率は、40%以下ということはだいぶ前から言われている。
鰻にしても、国産ものと中国からの輸入ものとでは、値段は格段に違う。
家計の事情によっては、お手軽価格の輸入物で我慢ということだってある。
それが悪いわけではない。実際私も、同様の選択をすることが多い。
ただ、日本の農・林・水産業という「くらしに一番近いビジネス」が、シッカリしないと国としての発展も危ういような気がするのだ。




事件とメディア

2006-06-05 09:58:32 | アラカルト
昨夜、秋田県で起きた「小学1年男児殺害事件」の容疑者が捕まった。
殺害ではなく、今は死体遺棄の容疑者と言うことなのだが、当然殺害との関連はあるだろうと、想像がつく。

この事件に、一種異様な雰囲気を感じることは無かっただろうか?
容疑者である女性は、この事件の1ヶ月前に自分の子供を水死で失っている。
そして今回、自分の子供と仲の良かった近所の子供が殺害されたと言うことで、やたらとテレビや雑誌といった、メディアの取材などに応じていたようなのだ。
それは約10年程前に起きた、「和歌山毒カレー事件」の容疑者夫婦の姿を思い出させる。
事件直後から、警察が身辺調査をし、メディアが連日取材をする。
ある種のワイドショー的主人公を、容疑者がしていた。
この時は、殆どのメディアが容疑者夫婦を「怪しい」と言っていたが・・・。

今回は総てのメディア媒体が、怪しいとは見ていなかったようだ。
それは、先週発売された週刊誌の見出しからもわかる。
週刊ポストは、他に犯人がいるかのような記事だが、同日発売の週刊現代は、この女性や周辺の状況などから容疑者の可能性があると、感じられるモノだ。

容疑者逮捕で、週刊ポストの記者や担当デスクは、相当社内外からイロイロ言われるだろう。
ただ、一つの情報だけに翻弄され、その真実を見失う危険性も感じる。
「松本サリン事件」のようなメディアのあり方は、二度とあってはいけないことだからだ。

それにしても・・・「今の子供は、大人の都合の社会の中で生き、大人の都合で犠牲となっている」ような気がする虚しい事件だ。



どこかおかしな日本の金融

2006-06-03 23:36:49 | アラカルト
昨日のエントリにコメントをくださった兵庫県の・・・さん、ありがとうございました。
そして、ご指摘の通り村上氏のキャリアは、「元通産官僚」ですね。
どうも・・・村上氏の「お金のイメージ」が強すぎて、大蔵省と勘違いしてしまったようです(恥)。
トラックバックをいただいた、「思考の迷路」さんありがとうございました。
実は、村上氏と私も同世代。いわゆる「偏差値教育」だとか「詰め込み教育」で育った世代です。
村上氏の学歴・職務経歴などは「勝ち組み」の典型でしょうね。
でも、学歴や職歴では図れない「心の負け組み」なのかも知れません。
「お金の呪縛」に気がつかない、心や創造性が育まれずに大人になった「心寂しい勝ち組み」というべきか・・・。

今年に入ってから、金融をビジネスにする企業の事件が立て続けに起きている。
余りにも多いので、すっかり記憶の彼方?となっている自分がいるのだが、今日の毎日新聞のWEBサイトの記事村上ファンド:村上氏捜査で株式市場に疑心暗鬼を読んで、少し驚いている。
金融に関する事件が、こんなに多い今の日本経済のあり方は、本当に健全なのだろうか?と。

記事中にある「中央青山監査法人」は、昨年のカネボウに対する粉飾決済が発端となり、今年になって業務停止となった。
企業の健全な経営を見るべき監査法人が、粉飾と言う株主だけではなく社会を欺く行為を指導していたということにある種の「儲け主義」というモノを感じてしまう。
ライブドア事件も、粉飾決済だった。
他にも、三井住友銀行や損保ジャパンなど社会的信頼の高いはずのメガバンクや大手保険会社が、業務停止命令を受けている。
アイフルのような「消費者金融」を、関連子会社にしているのも実はメガバンクだったりする。
アイフルが業務停止の理由となった、脅迫まがいの取立てなどは言語道断だが、他にも返済額以上に払いすぎたお金の返金を求める訴訟も、全国的に起きているようだ。

こうやって見て見ると、一体いつの間に日本の金融に関わる企業の「倫理」がなくなってしまったのだろうと、考えてしまう。
ここ数年、企業では「コンポライアンス」ということを、重視し様々な場面で言っている。
今、「コンポライアンス」という「企業倫理」が正常に理解され実行されているのは、日々努力を重ねている町工場だけなのかも知れない。
少なくとも、金融に関わる企業ではなさそうだ。



村上氏の夢

2006-06-02 22:28:21 | ビジネス
村上ファンドの村上氏が、インサイダー取引の疑いで任意の事情聴取を受けているらしい。
会社を税金の安いシンガポールに移すなど、話題になっていたが・・・元大蔵省(訂正:元通産官僚)出身のファンド会社代表が、このようなこと(インサイダー取引)を疑われるとは・・・。

昨年のニッポン放送株にまつわる、ライブドアとの関係を取りざたされているようなのだ。
同じ「六本木ヒルズ」に住む「ヒルズ族」ということで「お友達付き合い」の中で情報交換でもあったのだろうか?
サラリーマンが、居酒屋でグダグダとチューハイを飲みながら、学生時代の友達と仕事の話をし、素面に戻った時に株の売り買いをし、インサイダー取引になってしまった、というくらいの認識なのかも知れない。
あくまでも想像の範囲なので、なんともいえないのだが。

村上さんは常々、「株主としての夢」のようなことを言っていた。
それは「株主利益の拡大」だったように思う。
日本での「株取引」は企業中心で、個人株主は圧倒的に株主総会などでの発言権が、弱かった。
その中で、村上さんは「もっと個人投資家を育てることが、企業を活性化させる」というようなことを言いたかったのかも知れない。
ただ、実態は「ファンド」という名のとおり、「安く買って、高く売る」という利ざで儲ける「他人のふんどしで相撲を取る」ような、言葉が悪いが「楽して金儲け」的な部分となってしまった。

村上さんの関わった企業が、「個人投資家によって、企業が活性化した」のか、わからない。
それだけではなく「株主利益」そのものが、どんな利益なのか?という説明が村上さんの口から語られることが無かった。
強いてあげるとすれば、「企業は株価を上げる」=「株主利益」という考えがわかったことと、「ディトレーダー」と呼ばれる個人ファンド=超短期株主が、持て囃されるようになったことだろう。

村上さんの夢とは、一体なんだったのだろう?
ファンドという仕事ではなく、もっと他の仕事だったのではないだろうか?

破綻するFIFAビジネス

2006-06-01 21:22:09 | ビジネス
カミナリ弟さん、「人材と言う名の企業資産」に丁寧なコメントをいただき、ありがとうございました。
「人材」や「ブランド」等は、企業のバランスシートに計上されるものではないし、村上ファンドから目をつけられるような材料とはならない。
これまで、「資産」として考えられていなかったとも言える。
でも、企業を構成するのは土地や有価証券などではない。
企業を動かしている「人」や、人が創りあげてきた「ブランド」だと言うことを、今考える必要があると言うことではないだろうか?

いよいよ今月から、W杯が始まる。
正しくは「FIFA World CupTMドイツ大会」だ。
なぜ「正しくは」などという注釈を入れたのか?といえば、サッカーのW杯の正式名称はFIFAが管理をし、商業目的で使用をする場合「商標」として使用料をFIFAに支払わなくてはならないからだ。
それほど、サッカーの世界ではFIFAは圧倒的な力を持っている。
しかし、FIFA自身がこれほどまでW杯をビジネスとして管理するようになったのは、日本が初出場を逃したアメリカ大会からだと言われている。

当時、FIFAのマーケティングを担当していたのは、電通とアディダスが共同出資して作ったISLと言う企業だった。
FIFAの世界戦略として始めて、南米や欧州以外の国での開催となったアメリカ大会は、オリンピック同様「スポーツビジネス」として成功を収めなければならなかった。ということもあったと思う。
ただ、それがビジネスとして成功してしまったため?FIFAはW杯をビジネスとして活用するようになったように思う。
それがフランス大会では、チケット販売をコントロールすることができず「空売り」という状況を作ってしまったのではないだろうか?
もちろんその背景には、日本国内でのW杯に対する過熱的状況があったとは、いえるかも知れないのだが・・・(フランス大会前に電通は、ISL社との資本関係を解消)。

日韓大会では、「完売」だったはずのチケットが実質的に余っていた。
FIFAが、契約をしていた英国の小さな旅行代理店が、売りさばけなかったチケットが試合当日になって判明したと言うことだった。
問題となったのは、実績がない欧州の旅行代理店が極東で行われるW杯のチケットを旅行とパッケージで販売すると言う、無理があったのだ。

そして今回のドイツ大会では、既に破綻した企業がある。
マスコットを製造販売していた、ドイツの企業だ。
おそらく相当のギャランティをFIFAに支払っていただろうし、ドイツのぬいぐるみと言えば「テディーベア」のシュタイフ社があることなどを考えると、キャラクター的問題が無ければ、商品としては良いものだっただろう。
そして、昨日は日本戦のチケット1200人分が確保できないとして、申込者へ返金と言う騒動がおきた。
今日になって、国土交通省が調査に乗り出すと言うことにまで発展している。

ちなみに、4年前の日韓大会のマスコットキャラクターを覚えている方はいるだろうか?
日本とも韓国とも関係のなさそうな、分けの分からない「宇宙人3人組」だったのだが・・・。
日本では、ぬいぐるみなどの商品化をした企業は、無かったように記憶している。
さすが「マーケット(市場)重視・日本」ということか。