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虚栄心というプライドか

2012-01-18 19:33:07 | 徒然
今週初め「SPPEDI」という、放射能測定情報についてのニュースがあった。
「東京電力・福島第一原子力発電所事故」で飛散した放射能の状況把握と予測をした情報である「SPEEDI」の情報が、何故か官邸よりも先に米軍に流れていた、という内容のニュースだった。
この報道自体は、年明けぐらいに朝日新聞が連載していた「プロメテウスの罠」という記事で、既に報じられていて「逆に何故に今頃?」という気がしたが、どうやら朝日だけではなく新聞各社もある程度把握していたのではないだろうか?

そして今日、この「SPEEDI」について「避難指示の判断材料として使わない」という方針が安全委から発表されたようだ。
讀賣新聞WEBサイト避難判断にSPEEDI使わず…安全委が改定案

この記事を読むと「SPEEDI」のデータは不確実な内容であるため、避難指示の判断材料にはならない、というコトのように読み取れる。
113億円という金額を投資して作ったシステムなのに、「不確実な内容」というコトだけで使われないというのは、何とももったいない気がする。
「それだけの投資をしているのだから、もっと精度を上げる努力をすべきなのでは?」と、考えるのは素人考えというモノだろうか?
というよりも、避難指示というのは緊急性が高いモノなので、「不確実性が高くても、とりあえず避難させるほうが先」だと思うのだが、安全委の方の考えは違うようだ。

一昨年大ヒットした「もしドラ」の原作となった、ドラッカーの「マネジメント」を引用するまでも無く、企業だけではなく様々な組織には「目的」がある。
言い換えれば、その企業や組織が存在する意義のようなモノだ。
その視点で考えると、安全委の目的の一つは「正確なデータ収集」だということが分かる。
しかし緊急性を要する場合、放射能の拡散(=被害)を最小限にするための指示というコトも含まれるのではないだろうか?
とすれば、正確性を欠いてもその時使えるデータを総動員して、分析をし事故を最小限にするための努力が必要だろう。
「緊急性が高い」というコトは、一刻一秒を争う状況というコトだ。
刻々と変わる状況の中で正確なデータなど無い、と考えるほうが当然だろう。

残念ながら、この記事を読む限りでは安全委の方々の頭の中には、「緊急時の対応」というコトが無いように思われる。
「緊急時の対応を考えない組織」というのは、組織として成り立つのだろうか?
むしろ「緊急時の柔軟な対応力を持つ組織」でなくては、「安全」を確保できないのではないだろうか?
と同時に、安全委の人たちは「自分たち組織の目的」を理解しているのだろうか?と、疑問に感じてしまうのだ。

記事を読む限りでは、様々なトコロから批判されたことに対する、稚拙な改定案のような気がしてならない。
そのような改定案の発想の素となっているのは、批判に対する虚栄心という名のプライドのような気がするのだ。


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