日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

謝罪広告のあり方

2010-02-01 20:56:02 | ビジネス
米国トヨタで起こったリコール問題は、先週には欧州へと飛び火した。
今の状況は、日本国内以外の殆どの地域でリコール実施、というコトになりそうな勢いだ。
そこで、トヨタは昨日付けで全面広告を米国で打った。
それが、この広告だ(紹介記事は時事通信)。

掲載写真で目を引くのは「To put your first」というコトバだ。
「あなたのことが、一番だから」と訳すと良いのだろうか?
ただ、これでは「謝罪」という感じではない。
今回のリコールは、昨年夏のブレーキの不具合からズッと問題を引きずっている感が、生活者側にはあるのではないだろうか?
そこを見落としているように感じるのだ。

それだけではない。
「あなたのことが一番だから、しばらく生産を停止する」というコトと、今回のリコールが結びつくようなメッセージが含まれていないコトがとても気になる。
何となくだが、トヨタの驕りのようなモノを感じさせる「謝罪広告」のような印象を受けてしまうのは、私だけだろうか?

これまで拙ブログで「謝罪広告」などについて、何度かエントリしてきた。
有名なジョンソン&ジョンソンの「タイレノール」などは、製品回収を含め今でもお手本となるモノだ。
最近で言うなら、今でもテレビCMで流れる現パナソニック(旧松下電工)の「石油ファンヒーター」の製品回収だろう。
「最後の1台まで回収するのが、製造メーカーの責任」という姿勢が、伝わってくる。
この製品回収が始まった時、当時の松下は販売地域以外と考えられる地域にまで、戸別チラシを撒いた。
その費用は、当時の松下の経営を圧迫させるのではないか、と言われたほどだったと記憶しているが、結果「製造メーカーとして、そこまで責任を持つのか」という、好印象を与える結果となり、多くの生活者が松下(現パナソニック)に対して、大きな信頼を寄せるコトとなった。

それに比べると、「一時生産を中止するのは、あなたのことが一番(大切)だから」という今回のトヨタの全面広告は「それで・・・何?」という印象を与えかねない。
何もトヨタを選ばなくても、ホンダや日産だけではなく、燃費の良いヨーロッパ車という選択肢も、生活者は持っている。
その市場の中で、マイナスイメージとなってしまった「トヨタブランド」を、再び選んでもらうという姿勢が、この広告からは見ることができない。
そのことに、この広告を打った北米トヨタと広告代理店は理解しているのだろうか?




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