6月30日に起きた、新幹線での焼身自殺事件。
数多くの人が新幹線という、閉ざされた空間で何も焼身自殺などする必要は無いのに、と思う。
反面、この容疑者の過去の経歴などを見ると、決して他人事では済まされないのでは?という気がしてきた。
この容疑者が、犯行に及んだ理由というのが「年金が少なく、生活が苦しい」だった、と言われている。
毎日新聞:新幹線放火自殺の男、生活苦訴え周囲に「年金少ない」
経歴を見ると、若いころから様々な職を転々としていたようだ。
この「職を転々とする」ということを考えると、今の非正規雇用者の多くも似たような状況にあるのでは?という気がしたのだ。
不安定な就業状態と賃金だけではなく、年金などの面でも、正規雇用に比べずいぶん厳しい状況にあるのが、非正規雇用者だ。
正規雇用であっても、昨年の消費税率が上がったため「生活が苦しい」と、感じている世帯は多いようだ。
時事通信:生活「苦しい」、過去最高62、4% =返金所得は1.5%減 厚労省調査
アベノミクスで、株価が上がり景気が良くなったような感じを受けるのだが、実際は多くの生活者の実感は、アベノミクス効果のメリットを受けていない。
確かに株価の上昇と、賃金アップは連動するものではない。
マルクスの「資本論」に述べられている通り、「賃金」は生産の時点で決まるもの(=製品(または商品)価格に反映される)からだ。
製品(または商品)価格が安くすれば、それだけ賃金を下げる必要がある。
そのために有効な手立てとして、非正規雇用者の活用がある、と言っても過言ではないかもしれない。
その非正規雇用が、増えることで国の「社会保障」そのものの原資が減るのも当然だろう。
なぜなら、賃金に似合った社会保障費しか払えないからだ。
国民年金のように、固定化された金額であれば「払えない人」が、当然のように出てくるのは仕方のない部分かもしれない(もちろん、ご自身の意思で「支払いたくない」という方もいらっしゃるだろうが)。
「人口ピラミッド」が「ピラミッド型」であった頃は、支える人の数が多いので、なんとなくその問題が見えなかったと思う。しかし、今のような「釣鐘型」→「逆三角形」に近い形になってくると、社会保障システムそのものの維持が難しくなってくる。
今の20代、30代の非正規雇用者の未来の姿は、新幹線で焼身自殺をした容疑者よりも、もっと過酷な状況かもしれないのだ。
容疑者の行為は、決して許されることではない。
ただ、容疑者を批判するだけではなく、彼が起こした原因となることを考える必要があると思うのだ。
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にも関わらず年金全般に減額の方向へ進みそうで、生活が苦しくなるのは避けられそうにもありません。
一方で新国立競技場には2500億円余(たぶん完成時には3500億円以上)の費用をかける政治家や役員の神経は全く理解できません。
将来を背負う若者、こども達にどれだけ負担をかけることになるのか。