Yahoo!のトピックスにも紹介されていた、「破綻したレナウン」が保有しているブランドの譲渡先が決まった、というニュースを見て、心のどこかでホッとしている。
WWDJapan:レナウン、主力事業を小泉グループに譲渡 「ダーバン」「アクアスキュータム」など
ご存じの方も多いと思うのだが、レナウンが中国企業に買収されてからあまり良い話を聞かなかったような気がする。
もちろん主力ブランドである「ダーバン」や「アクアスキュータム」等は、固定顧客がいるため極端な売り上げの落ち込みは少なかっただろうし、積極的なコマーシャルを打つ必要もなかったのかもしれない。
といっても「ダーバン」に関しては、破綻のニュースが報じられる前に人気俳優さんを起用したCMなどを展開していたので、破綻のニュースは逆に驚きだったのではないだろうか?(CMについては、youtubeにあるダーバン50周年を記念したCM)
レナウンの主要ブランドの譲渡を受ける小泉グループといわれても、すぐにどのような企業なのか思い浮かぶ方は少ないと思う。
今は大阪に本社を置く、滋賀が創業の地となる老舗企業のようだ。
いうなれば「近江商人」の企業ということになるのかもしれない。
小泉グループのブランドサイトをチェックしてみると、以前破綻したゴルフウェアなどでおなじみだった「コスギ」等も破綻後ブランド譲渡を受けているようだ。
いうなれば、アパレル業界の「事業再生企業」ということになるのかもしれない。
とはいっても、勝算のないブランド譲渡を受けることはないだろう。
「ダーバン」や「アクアスキュータム」等のブランド力は、小泉グループにとっても魅力的だっただろうし、「コロナ禍」で次々とアパレル業界が厳しい状況に追い込まれている中での、ブランド譲渡ということを考えればそこには「近江商人」としてもしたたかなビジネスビジョンがあるのでは?と、勝手に想像をしてしまうのだ。
ただ、それだけではなく日本の企業にブランドが譲渡されたことで、「ダーバン」や「アクアスキュータム」、「シンプルライフ」のファンだけではなく、日本のアパレル業界にとってもある種の安堵感をもたらしているような気がしている。
というのも、「新型コロナウイルス」の感染拡大によって、日本の生活者は「国産(=日本生産)」思考へと変わりつつあるからだ。
中国などでの海外生産が当たり前になっていた時に起きた「アベノマスク」の品質問題は、日本の生活者を一気に「国産思考」へと変えた。
「安価」という価値は、商品を購入するときの選択要素としては、優先されなくなりつつある、といっても良いかもしれない。
アパレルに関していうなら、中国からベトナムなどへと生産拠点を移す企業も増えてきており、その意味では「中国製」が「チャイナリスク」と認識されるようになってきているのかもしれない。
そのようなビジネス環境の変化、生活者の「価格思考」の変化が、今回のレナウン主要ブランドの譲渡になったのでは?と、考えることも必要かもしれない。