今日の朝日新聞の朝刊に、とても目を引く全面広告が掲載されていた。
キャッチコピーが「失うものは美しいもの」、サブコピーとして「水は足りていますーダムは ほんとうに必要か皆で考えましょうー」という、一種の「意見広告」だ。
サブコピーの内容から、環境保護団体の意見広告のように思われたのだが、広告主は意外にもアウトドアウェアなどを製造・販売している「パタゴニア」だった。
意外と言っては、失礼かもしれない。
もともと「環境問題」に対して、意識の高い企業なので、その意味では「当然」なのかもしれないのだが、日本のダム建設に対して興味があるとは思ってもいなかった。
ご存じの方も多いと思うのだが、「パタゴニア」が一躍有名になったのは「ポーラテック」という、ペットボトルのボトルから再生繊維を作り出し、製品化したことだった。
「ポーラテック」という素材そのものが、ペットボトルの再生品ということからもわかるように、もともと企業として「環境」に対して興味・関心の高い企業で、HPを見ても「環境的及び社会的責任」という、表現をしている。
多くの企業が「社会的責任」の一つとして、「環境問題」をとらえているのに対して、「環境問題」を中心に社会的責任を考えている、という企業姿勢をよくあらわしている。
その「パタゴニア」が長崎県に建設予定されている「石木ダム」の建設の是非を問うような広告を、全国紙に掲載したのだ。
建設が予定されている「石木ダム」も、計画から随分時間が経過し、当初の「取水量」を必要としなくなったのだろう。
そのようなダムは、全国各地にまだまだあるのではないだろうか?
そのような時間の経過とともに、必要性に疑問符を打たれるようになってきたダムと周囲の環境破壊を天秤にかけた場合、どちらにメリットがあるのか?ということを、問うことを目的としているようだ。
今までの「ダム建設反対運動」の中心は、地元住民ばかりでその地域以外の人たちから注目されることなど、ほとんどなかった。
それが今回「パタゴニア」という海外の人気アウトドアウェア企業が、支援をすると発表し全国紙に「意見広告」を掲載する、ということは異例なこと。
この「パタゴニア」の支援で広告が掲載されたことで一番慌てているのは、案外ダム建設を管轄している国土交通省かもしれない。
もし、国土交通省が慌てていないとすれば、この「意見広告」の意味と社会的影響力を理解していない、ということになるだろう。
なぜなら、「パタゴニア」の目的は世論を巻き起こすことだからだ。
最新の画像[もっと見る]
- 1か月前に広告されていた「父の日」 3ヶ月前
- 500万円の線引き理由が、わからない ー自民党党紀委員会ー 6ヶ月前
- 「紅麹」問題に隠れる、「健康的数値」について考える 6ヶ月前
- その建物は、街の風景にあっているのか?‐街リノベーション‐ 8ヶ月前
- 岸田首相や国会議員の給与アップよりも、優先すべき給与の見直しがあると思う 11ヶ月前
- 岸田首相や国会議員の給与アップよりも、優先すべき給与の見直しがあると思う 11ヶ月前
- 「バラマキ型補助金」を繰り返す、その原資はどこにある? 12ヶ月前
- 「敬老の日」に 1年前
- 「敬老の日」に 1年前
- そごう・西武労働組合のスト決行 1年前