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「インフルエンサー」という存在は、ビジネスにプラスか?

2020-10-18 19:32:44 | マーケティング

一昨年あたりから問題になっている「インフルエンサー」について、面白い記事がHuffpostにあった。
Huffpost:「PRするからタダにして」にうんざり。ロンドンのケーキ屋、インフルエンサーを拒む4つの理由

Huffpostに掲載されている、とても可愛らしケーキを作っているのが、この「インフルエンサーを拒むケーキ店」のようだ。
確かに、これほど可愛らしいケーキであれば「インフルエンサー」等頼まなくても、評判になるだろう。
何より手が込んでいるので、下手に一見客ばかりが増えてしまえば、お店に出すケーキが作れなくなってしまうだろう。
そう考えると、このケーキ店が拒む理由も十分わかる。

ここ数年でビジネスで使われるようになった、「インフルエンサー」という言葉。
背景にあるのはTwitterやInstagramなどのSNSのフォロワー数が多い人達に、自社の製品やサービスを宣伝してもらう為に商品やサービスを無償で使ってもらう、という宣伝の方法が一般的になった、ということが大きいのだろう。
確かに、TwitterやInstagramなどは、有名タレントや俳優さんでなくても、数多くのフォロワーを獲得している一般ユーザーがいる。
そのような一般ユーザーだからこそ、使い心地や食味レポートなどが一般生活者の気持ちに届きやすいだろう、ということで積極的に活用をしてる企業が増えていた。

なんとなく、目新しい感のある「インフルエンサー」という手法の宣伝方法だが、マーケティングを勉強している人たちにとっては目新しい手法でも何でもない、ということに気づくはずだ。
いわゆる「口コミマーケティング=Buzz Marketing」と呼ばれる手法の、SNS版だからだ。
むしろ「口コミマーケティング」のほうが、仕掛けとしては難しく管理という点でも気を遣う必要がある。
それは「やらせ」であってはいけない、という点だ。
あくまでも「口コミ」という方法で、多くの人たちに知ってもらう為に、製品やサービスをその時々の生活者の嗜好や変化をとらえながら、向上させていく必要があるからだ。
尚且つ、一過性のブームで終わってしまっては「口コミ」にはならないからだ。

今回のケーキ店が懸念したことも「一見客が殺到し、固定客の足が遠のく」ということがあったからだろう。
まして、自分から「私はSNSのフォロワーが多いので、インフルエンサーとなりますよ」というだけで、実際のビジネスのことなど考えてはいない。
「インフルエンサーになります」と言ってきた人たちは、製品やサービスに愛着があるわけではなく、その製品やサービスをタダで欲しいだけであり、顧客になりたいという人達ではない。

逆に考えると、「インフルエンサーを使いたい」企業は、そのインフルエンサーが自社のファンであるのか?というところから考える必要がある、ということになる。
何故なら、SNSのフォロワーが多いからと言って、そのインフルエンサーが企業のイメージアップにつながるわけでもなく、広告・宣伝だけの付き合いで終わってしまえば、一過性の注目で終わってしまうからだ。
違う言い方をするなら、顧客との信頼関係ができているからこそ、このような広告・宣伝は上手くいくということなのだ。

有名なタレントさんなどを起用し、「○○さんをインフルエンサーとして起用」等という広告を出す企業は、「Buzz Marketing」の基本から学び直す必要があると思う。
何故なら、有名なタレントさんを起用して広告を出す、という方法はBuzz Marketingでも何でもないからだ。



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