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「ブラック企業大賞」から見えてくる現実

2017-11-28 21:57:31 | アラカルト

今年も「ブラック企業大賞」の、ノミネートの時期がきた。
ブラック企業大賞公式サイト
昨年は、電通が話題となったが今年は、NHKやゼリア新薬工業、パナソニックやヤマト運輸の他建設会社、市民病院などがノミネートされた。

恒常的な残業が労働基準を大幅に上回る状況が続いていたにもかかわらず、何の対策も立てず、社員の自殺、精神疾病を引き起こした、というのが主なノミネート理由として挙げられている。
このノミネート理由を知ると、日本の一人当たりのGDPが低いことを、実感せざる得ない。
ノミネートされた企業の多くは、大企業と呼ばれる企業で、それよりも過酷な状況にあるのが、中小企業だと言われているからだ。

今回のノミネート企業を見ていると、これまでの大賞受賞企業とやや違ってきているのでは?という、気がする部分もある。
過去「ブラック企業大賞」に選ばれた企業の多くは、「人を使い捨てる」ような企業イメージが強かったように感じる。
違う言い方をするなら、体育会系の根性論で「死ぬ気で(あるいは「死ぬまで」)働け!」という、考えを押し付けるような企業が目立っていたような気がする。
それに対して今回のヤマト運輸のように、仕事量と人手のバランスが大きく崩れたため、働く人たちに大きな負担を強いることになった、という社会変化や生活者のライフスタイルの変化に対応できないなど、社会問題となっている「人手不足」による「ブラック企業化」が問題として取り上げられているのが、今回の大きな特徴のような気がしている。
他にも、実質的なリストラ策の為の「辞めてもらう人事」など、「人の使い捨て」の発想が変わり始めているようにも思えるのだ。
と同時に、オリンピックの建築現場で起きたことなどは、企業側の「人材育成」の放棄だったように思う。
企業にとって「人材」は、本来であれば「資産」として、考えなくてはならいないはずだ。
それを「費用(コスト)」として考えることで、ブラック企業化してしまう。

ただ、ヤマト運輸のように「安い値段で高品質なサービス」というのは、確かにサービスを受ける生活者側にとっては魅力的だが、その魅力的なサービスを提供するために犠牲になって働く人がいる、ということを社会に認識させることになったのは、プラスだったような気がしている。
何故なら、日本人なら当たり前のように受けている様々なサービスには「時間と労力がかかっていて、それに対する費用が発生することは、当然である」という、当たり前のことを改めて知る機会となったからだ。

「仕事に対するコスト=人件費」という考えから、「人材資源」と「仕事に対するコスト」を別に考えるようにならなければ、日本の企業のブラック化は無くならないような気がする。



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