昨日、衝撃的なニュースとして報じられた「トヨタ自動車、女性役員麻薬成分は含まれる鎮痛剤輸入による逮捕」は、ある衝撃だったのではないだろうか?
中日新聞:麻薬をネックレスと申告 逮捕の女性トヨタ役員
今日になり、彼女が国際小包として、どのように持ち込んだのか判明し始めたが、今回の事件で、注目されるようになった「医療麻薬」について、余りよくないイメージを持たれるようになってしまったのでは?と、懸念をしている。
先日大腸がんのために亡くなられた俳優・今井雅之さんは「がんのために、舞台を降板する」ことになった時の記者会見で「モルヒネを投与して、殺してくれ」と言ったというお話を聞いた。
ご存じのとおり「モルヒネ」は、麻薬として知られている。
ただ今井さんが話されたように「モルヒネを投与すれば、亡くなる」というわけではない。
むしろ現在は、「がんの疼痛緩和」を目的として、使われている。
これが「医療麻薬」と呼ばれるモノで、終末期のがんは、体のあちらこちらにがんが転移している場合、相当の痛みを感じる状態になる。それは「七転八倒」の痛みで、眠ることもできないほどだという。
このような状態になると、積極的な治療をしても治療効果が期待できないため、今では疼痛管理をしながら「患者の生活の質の維持」を目指すコトになる。
これは決して医療放棄ではなく、患者の生活の質を維持することで「その人らしい最期を迎えるようにする」というコトが、目的の医療だ。
その時に使われるのが、「医療麻薬」なのだ。
日本ではあくまでも、緩和ケア専門医が患者の状態に合わせて、管理し処方をしている。
今回のトヨタの女性役員の様に、気軽に処方されるモノではない。
厳しく管理・処方される「医療麻薬」だが、日本では「病気(=がん)の痛みは、我慢するモノ」という認識が、まだまだ根強くある。
「痛みに耐え」てがんが消滅するのであれば、「痛みに耐える」コトもできるかもしれない。
しかし上述した通り、終末期の治療というのは「死に向かう時間を、その人らしく過ごす治療」だ。
痛みを緩和することで、ぐっすり眠ることができたり、自由に動くことができるようになり「自分らしい人生の終末を過ごす」ことを手助けしているのが、「医療麻薬」なのだ。
医師の管理下で処方されるので、「薬剤依存」の心配もないというのが、日本の「医療麻薬」の使われ方だ。
確かに「鎮痛剤」として使用するつもりだったのだろうが、国際小包として持ち込む方法に問題があると思う。
わざわざアクセサリーケースの中に入れるというのは、ある種の罪悪感のようなモノがあったからこそ、「ごまかそう」としたのでは?
彼女のビジネスキャリアは、華々しく実績も素晴らしものだ(と思う)。
だが、今回の事件でこれまでの華々しい実績もキャリアも、すべて失ってしまったように思う。
彼女だけではなく、彼女を役員として迎え入れたトヨタも、大きなイメージダウンになってしまった。
この事件で一つ感じたことは、米国だけではなくこの日本でも、「処方薬」による「依存症」という問題が、これからクローズアップしてくるのでは?という点だ。
医療費の中でも、薬剤が占める割合は決して少なくない。
このような問題も、これから考えていく必要があるのかもしれない。
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