個人的に9月から始まった「自主的勉強期間」が、やっと今月で終了する。
と言っても、毎日図書館などに缶詰になりながら、難しい本を読んでいたわけではない。
名古屋市内で開催された、公開講座などへ出向いて、普段接することがない分野の話を聞きに出かけていただけだ。
医療や科学の分野などは、意識的に情報を収集し出かけないと、なかなか得ることができない情報が多くある。
そして、そのような講座で聴講した話が、その後役に立つ情報となることも多い。
今回聴講した講座の一つに、「認知症予防」という内容があった。
拙ブログに来てくださる方の中には、「認知症」ということ自体に興味・関心を持っていらっしゃる方も多いと思う。
結論的なことを言うと、認知症の中でも一番患者数の多い「アルツハイマー型認知症」などは、その症状が出る20年前から徐々に脳に変化が表れている、という。
70歳で発症した場合は、50歳ごろから脳には変化が表れている、ということになる。
そして、今現在「アルツハイマー型認知症」などを治す薬などは、開発されていないということだった。
そのため予防策となる創薬の研究などが、盛んにおこなわれている、というお話もあった。
先日、日経新聞のWEBサイトに、ビル・ゲイツ氏自身の私財で「アルツハイマーなどの認知症研究に、113億円投資する、という記事があった。
日経:ゲイツ氏、アルツハイマー病研究に、113億円を投資
この記事を読んだ時、「さすがに目の付け所が違うな~」と思ったのだが、それほど創薬の分野では「認知症研究」が重要になってきているという印象がある講座内容だった。
講座を聞きに来られている方の多くは、「認知症になりたくない。予防法があれば知りたい」という方がほとんどだった。
その中でおひとり、ご高齢の女性が「私は、軽度の認知症と診断されています」と、お話しをされた。
突然のお話しに、私を含めた周囲は驚いたのだが、その女性は「認知症って、そんなに悪いことですか?」と、疑問を呈したのだった。
「確かに、周囲に迷惑をかけることが多いのですが、私自身は過去の自分の思いでと今の現実を行ったり来たりしている時、どこか楽しいと感じている部分もあるのです」と、続けて話されたのだった。
この女性の言う通り、「認知症」と聞くと「世間に迷惑をかける」という、気持ちが一番先に来る。
だからこそ、「認知症に、なりたくない!」と思っている。
しかし、当事者本人から語られることばには「認知症という病気を、否定して欲しくない」という気持ちが、伝わってくるものだったのだ。
この女性の発言に、ハッとさせられたのは言うまでもない。
「認知症」と診断されたからと言って、その人自身の存在を否定したりすることはできないからだ。
この女性の言いたかったことは、「認知症患者であっても暮らしやすい社会とは何か?」ということを考えてほしい、ということだったのではないだろうか?
確かに、認知症予防や認知症治療の創薬は、急がれる研究だと思う。
だからと言って、今現在の患者さんに向けられる社会の目が、冷たくさげすんだようなものであってはいけない、ということを教えてくれたような気がした。
「当事者の言葉を聞く」ということは、今の問題と未来の社会を考える為に必要なことなのだ、と改めて教えられた気がした「自主勉強期間」だった。
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