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女性マーケターから見た日々の出来事

ヒット曲とチャートハックとの関係

2022-08-06 20:45:06 | マーケティング

Yahoo!のトピックスに、珍しいテーマの記事があった。
KAI-YOU:Billboard運営が警告「チャートハック目的では、音楽を”聴く”とは言えない」

「Billboard」という名前そのものを、ご存じない方もいらっしゃるかもしれない。
米国の音楽ヒットチャートを分析・公表をしている企業だ。
日本の「オリコン」のような企業だと、思っていただければよいかもしれない。
ただ、Billboard誌が毎週発表する音楽チャートは、その国の音楽業界に与える影響が絶大である、という点は理解しておく必要があると思う。
いわゆる「全米音楽チャート〇位」と発表される、音楽チャート=Billboard誌、ということになるからだ。

何故それほど、絶大な影響力があるのか?と言えば、Billboardの総合チャートは「CD売り上げ、ラジオのオンエア回数、ダウンロード回数、ストリーミング回数」に加え、YouTube等の動画再生回数等を集めたデータによる「今、一番聞かれている音楽順位」を発表しているからだ。
その歴史も長く、客観性の高いデータを集める事で、業界内での信頼もある。
かつては、「CashBoxs」という同じ音楽や映画のチャート誌があったが、こちらは「音楽の聴き方」がCDからダウンロード等に変わっていく中で、撤退をしている。
いわば、「音楽チャート=Billboard」ということになる。
そのBillboard誌が、「ファンダム」と呼ばれる熱狂的なファンの行動に対して、警告をし、改ざんされているのでは?と思われるデータを排除する、というが今回の記事の内容だ。

この「ファンダム」という名称そのものは、聞いたことがない方のほうが多いと思う。
私も実は、今回初めて知った言葉なのだが、その行動については心当たりがある。
某アイドルグループの「握手券付きCD」を一人で大量に購入し、CDそのものは二束三文で中古CDショップへ売り払う行為が、「本当のCDセールスと言えるのか?」と話題になったことがあるからだ。
CDセールだけではなく、年末の音楽賞などについても「実力が伴わない受賞」と、言われることもあったように記憶している。
このような話は、音楽ファンでなくとも「あ~~~あのアイドルグループの話か!」と、思い出される方も数多いだろう。

同様のことが、CD以外のダウンロードやストリーミングでも起きている、という。
というよりも、CDそのもののセールが減少していく中、代わりに音楽を聴くツールとして登場したダウンロードやストリーミングにとって代わられた、ということなのだと思う。
その中でBillboard側が注目したのが、Twitterのようだ。
ご存じの通り、Twitterの短い文の中や文章とは別に「#〇〇」とつける事で、「#〇〇」に興味のある人が「♡」を押してくれたり、リツイートをすることで、拡散していくことになる。
いわば、広告宣伝の役割もしているのが「#〇〇」に対する、「♡」やリツイートということになるのだ。
となると、新譜がリリースされると、「ファンダム」と呼ばれる熱狂的なファンたちは、作品についての感想+#〇〇ではなく、「#新譜」+#アイドル名+ダウンロード先やストリーミング先を、自分のTwitterに書き込み、ファン同士がそのようなことを繰り返すことで、トレンドワードの上位に食い込ませ、ダウンロードやストリーミング回数を増やすという、ことを繰り返している、という現実があるという指摘なのだ。

ファン心理として分からないわけではないのだが、音楽ファンであればやはり「音楽を聴いて、自分の感想」をTwitter等に書き込むことの方が、ミュージシャン側にとってもうれしいのでは、ないだろうか?
と同時に、新譜のリリースと共に旧作にも注目してもらい、自分たちの音楽をより深く知ってもらいたい、という気持ちがミュージシャン側にはあると思うのだ。

その一方で、インフルエンサーという言葉が一時期流行したが、今は特定のインフルエンサーではなく、ごく普通の人達のSNSでの評判が、時には大きな宣伝力にもなり、その逆効果も生み出す時代である、ということも感じるのだ。



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