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「自国ファースト」は、国益なのか?

2018-10-22 13:10:20 | 徒然

トランプ氏が「IMF脱退」を宣言した。
「ロシアが、条約違反をしている」というのが、その理由だ。
朝日新聞:トランプ氏「兵器開発せねば」IMF全廃条約から脱退

この条約が結ばれたとき、米国の大統領はトランプ氏と同じ共和党のレーガン氏だった。
そしてロシア側はゴルバチョフ氏だった。
「ベルリンの壁」が崩壊し、これから先は「東西冷戦」という武力の時代ではなく、「経済のグローバル化(と世界経済の主導権争い)」の時代へと移り変わった、と感じた時代でもあったような気がする。

それから30年、世界を覆っているのは「自国ファースト」という考えだ。
トランプ氏が、米国大統領に就任する前から、その傾向は見られていたように感じる。
その一人が、ロシアのプーチン氏だろう。

プーチン氏が、2000年にロシアの大統領になってから「大統領選挙」は行われているものの、プーチン氏が指名したメドヴェージェフ氏と交代で大統領を務め、実質的ロシアの最高権力者はプーチン氏であることには変わりない。
そのプーチン氏もトランプ氏以上に好戦的なところがあり、「チェチェン紛争」などを引き起こしたときなどは、旧西側諸国から猛抗議を受けているが、「内政干渉」のような発言をしていたような記憶がある。
トランプ氏は自ら「自国ファースト」と公言しているが、プーチン氏は公言をしていないだけで「自国ファースト」を実践し、過去の行動から相当好戦的な行動をしてきているのでは?と、感じている。

他にも「自国ファースト」という思考は、大国と呼ばれる国々で広まりつつあるように感じている。
確かに「自国ファースト」を明快に訴えたのはトランプ氏だが、EUを離脱したイギリスなども「自国ファースト」という考えが、EU離脱につながったともいえるのではないだろうか?
そして、日本でもジワジワと「自国ファースト」の思考が、ネット上で見られるようになってきているように感じている。

この「自国ファースト」という思考は、本当に国益になっているのか?という、疑問がある。
それは「経済」と「自由」という視点で、感じることだ。

「経済」そのものは、「自国ファースト」なとと言っている場合ではない。
企業活動が世界規模になっていけばいくほど、情報は一瞬で世界を駆け巡り、それらの情報は企業活動に影響を及ぼす。
自社利益だけを考えて、企業活動ができる時代ではないのだ。
裏返せば、経済においては「自国ファースト」という発想では、立ち行かない時代ということも言える。

身近な例えをするなら、スーパーに買い物に行くと、国内産の野菜や果物だけが店頭に並んでいるわけではない。
魚にしても、加工された場所は日本国内であっても、獲れた場所は海外ということも多い。
それだけの生鮮品が、日本の輸入されている(=経済が世界規模で動いている)ということになる。
いくら「自国ファースト」と言ったところで、その動きを止めることなどできないのが今の状況だろう。
しかし、トランプ氏の言っている「自国ファースト」は、経済を含めた内容だ。
だからこそ、米国内でも批判が起きている、ということになる。

そして「自由」という視点で考えると、トランプ氏の掲げる政策以上にロシアや中国の政策は排他的だ。
政治的に不都合な発言や考えを徹底的に排除し、場合によっては見せしめのようなことまで行われるようになってきている。
時の権力者にとっては、都合が良いだろう。
しかしそのような社会は、軋轢を生みに極化の分断された社会となりやすい。
当然「国力(軍事力という意味ではなく、経済や教育、福祉などを対象とした相対的な国の活力)」は、落ちてしまう。
そのようなことは、本当に国益となっているのだろうか?

このような「自由を奪う国」は、徐々に増えてきているように思う。
それは「自国ファースト」と言いながら、「権力者ファースト」でしかないはずだ。
そのような発想は、決して「国益」には結びつかないのではないだろうか?