日々是マーケティング

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自動車メーカーが仕掛ける、エネルギー事業?

2014-11-20 18:35:03 | ビジネス

昨日、トヨタが「水素を電気に変換させて走らせる、クルマ」を発表した。
トヨタ自動車:MIRAI

「水素自動車」と一般的に呼ばれているようだが、その仕組みは「水素を燃料として走るクルマ」ではなく「水素を電気に変換して走るEV車」というコトらしい。
実は、名古屋では9月~10月にかけ、名古屋大学と名古屋の企業が共同で行った「サイエンスフォーラム」が、いくつも開催されていた。
その中でも、トヨタは相当な力の入れ方で、「水素を使った電力」という内容のフォーラムを開催していた。
私は、都合があり行くコトができなかったのだが、おそらくこのフォーラムを開催する時点で、既に「MIRAI」は出来上がっていたのだと思う。

気になったのは、そのフォーラムの目的というのは、上述した通り「水素を使った電力」について、広く一般の人達に理解をしてもらうコトなのだが、案内には「水素が変える未来の生活」という様な趣旨が書いてあった。
というコトは、トヨタにとって「MIRAI」という「FCV車」は、自動車メーカーが作る究極のエコカーというだけの意味ではないのでは?という気がしている。
むしろ、トヨタ自動車の関連会社であるトヨタホームなどと共同で、「水素を電力に変換させるエコ住宅」なども視野に入れているのではないだろうか?

そしてトヨタと同様に、「水素自動車」の開発に取り組んでいるのがホンダだ。
HONDA:FCXクラリティ
ホンダは、トヨタの様にハウスメーカーを関連会社として保有している訳ではないが、大手ハウスメーカーと協力、技術提供などを行うコトも考えているのではないだろうか。
HONDA:e-dream

そう考えると、この「FCV車」は単なる「究極のエコカー」というだけではなく、「エネルギー事業」そのものへの参入、と考えても良いかもしれない。
これまで「エネルギー事業」というと、現在の電力会社や石油関連(や商社)の事業分野だった。
そこへ、東日本大震災以来「自然エネルギー」という分野が加わり、SoftBankの様な企業も参入し始めている。
ただ、「自然エネルギー」の中でも「太陽光発電」などは、電力会社各社が買い取り制度の見直しなどを発表しているため、事業そのものが拡大するのは難しいビジネスとなってきている感がある。
もちろん、「自然エネルギー=太陽光発電」ではないので、地熱や風力などに力を入れていく、という考えもあるだろう。

「自然エネルギー」の中でも、地熱や風力などは初期投資に莫大な費用がかかるため、今後の拡がりには(個人的には)疑問を持っている。しかし、トヨタやホンダが作り出した様な「水素による発電」であれば施設規模もそれぞれの事情にあわせるコトができる。もちろん燃料となる水素の取扱には十分な注意が必要だが、「フクシマ事故」のような、事故収束までにどれだけの時間を要するのかわからない、というコトはまず考え難い。
その様な意味でも「水素を使ったエネルギー」というのは、魅力的だと思う。その様な技術をコンパクト化したコトに、この「FCV車」の開発意義があるのではないだろうか?

「自動車の話だから、一般的なエネルギーの話とは関係無い」と思いがちだが、「自動車」という枠を外すコトで見えてくるのは、自動車メーカーが仕掛けている(仕掛けようとしている)「エネルギー産業への参入」という見方もできる。