日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

老舗の老舗たる所以

2009-12-14 06:40:54 | ビジネス
昨日は、京都の青蓮院門跡の「青不動明尊」を見に出かけていた。
もちろん、それだけではなく上七軒のお茶屋さんの通りを散策していたら「事始め」のご挨拶まわりをしている舞妓さん・芸子さんに出会ったりと言う、気ままな旅だったのだが、実は、1ヵ月半ほど前からあるお店にお願いをしていたモノを、受け取ると言うことも今回の目的の一つだった。

それが、以前拙ブログでも紹介した事がある、着物の羽裏友禅の老舗・岡重さんの見本帳の中にあり、現在ではハンカチーフなどのデザインとして使われている「からす」柄で、あるモノを作っていただいていたのだ。
元々は「鯛柄飴袋」で作られているものを、別注として作っていただいたのだが、決して高価なモノではないし、気軽に作っていただけるとは思っていなかった。

オリジナル「鯛柄飴袋」

特別に作っていただいた「からす柄飴袋」

「からす柄」と言うと、縁起が悪いように思われるかも知れないのだが、この「からす」は「神武天皇を那智・熊野大社へと導いた幸運のからす」と言われている「八咫烏(ヤタガラス)」をモチーフにしている。
知人にサッカーに関わる人がいるので、その方へのプレゼントとしてお願いしたのだが、出来上がるまで、何度もメールのやり取りをし、作っていただくコトができた。
それだけでも、岡重さんとしては面倒なコトだったのではないか?と思ったのだが、コチラからの我儘なメールに対しての返事や提案がとても早かったのだ。
わずかな数の安価な別注品と言う、岡重さんにとってはきっと「迷惑」だったに違いないモノでありながら、「誠心誠意」と言うコトバを思い浮かぶほどの丁寧な応対に、こちらが逆に驚き・申し訳なさまで感じる程だった。

そして、もう一つ「老舗だな~」と感じさせられたのが、木屋町通りにある「本家 月餅家」さんだ(紹介記事は「京名物 百味會」より)。
紹介記事にあるように、「老舗であるか否かは、お客様が決めること。時代時代にあった最高の材料を使うということを信条として切磋琢磨することこそが老舗の道ではないかと考えています」と言う、暖簾に胡座をかかず、時には柔軟な発想とブレるコトのない信念、お客様と真摯に向き合う姿を感じさせられた。

そのような小さなお店は、路地裏の間口の狭いお店でも見られる事ができる京都は、その意味で「老舗の底力」で支えられた都市かも知れない・・・と、感じて帰ってきた。

しかし、岡重さんや月餅家さんのような「時代の変化に柔軟に対応しながらも、ブレるコトのない信念・理念。そしてお客様(=生活者)と真摯に向き合う姿」を持ちつづけることが、今の企業にとって忘れてはいけないコトなのではないだろうか?