日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

一体誰が儲けたのか?-イラク戦争での経済損失-

2008-12-14 21:57:06 | ビジネス
産経新聞のWEBサイトに、興味深い記事が掲載されていた。
それが「1千億ドルの失敗」と指摘、米でイラク復興検証の報告書だ。

「イラク復興計画」として使われた額が、1170億ドルと言うのにも驚くのだが、それよりも驚くのが、使われた額の9割近くが意味の無いモノだった、と言う指摘だ。
しかし、1170億ドルと言う膨大なお金は使われたのだから、当然支払われた先があるはずだ。
とすれば、1000億ドル分の支払い先は?と言うことが、気になる。
多くの人は、ある特定業種を思い浮かべているのではないだろうか?
そう、軍事産業だ。

「イラクでの戦い=テロとの戦い」だったはずなのだが、テロは一向に収まらず。
収まるどころか、拡大の傾向さえあらわれている。
先日起こったインド・ムンバイの同時多発テロなども、イスラム過激派が欧米からの滞在者を狙ったものだったと言われている。
インドとパキスタン両国の利害と言うこともあるにせよ、アメリカが強く主張する「テロとの戦い」は、あまり功を奏しているようには思えない。
むしろ欧州・アジア各国は、「テロとの戦いに疲弊し始めている」ように、感じることもある。
「そろそろ『(武力重視の)戦い』ではない方法で『テロ撲滅』を考えたい」と、思っているのではないだろうか?

そんな時に、まったく効果が無かったという検証が出たと言うのは、ある意味興味深い。
ブッシュ政権が終わりに近づいた今だからこそ、このような検証レポートが出てくるのだろう。
そしてこのような検証レポートを基に、オバマさんは「イラクからの撤退」を「経済効果がほとんど無く、むしろ国内産業が瀕死状態である」という理由づけをしやすくするのではないだろうか?

それにしても気になるのは、1000億ドル分を儲けた人たちのコトだ。
アメリカの主要産業・自動車が、これだけ崩壊状態だと言うことを考えれば(もちろん、経営の失敗が最大の要因だが)、儲けたのはもうひとつの主要産業とも言われる「軍事産業」だろう。
現在のアメリカの経済事情から考えれば、1000億ドル分の税金があれば様々な経済対策が打ち出せるはずだ。
「ビッグ3」の救済策というのではなく、職を失った人たちへの一時的救済策などだ。
もしかしたら「新ニューディール政策」のようなコトへ、使えたかも知れないのだ。

1000億ドルを軍事産業に投入し、国の経済が財政危機と言うのでは、あまりにもお粗末過ぎる。
アメリカの轍を踏まないためにも、世界の軍事大国はそれだけの軍事予算を他のモノへ転換させたほうが良いのでは?


「無い袖を振る?」景気対策

2008-12-14 10:09:45 | ビジネス
朝日新聞のWEBサイトに、来年度予算についての記事が掲載されている。
5兆円を超える予算組を考えているようだが、それだけの財政がどこにあるのだろう?と、疑問に感じたのは私だけではないだろう。

日本の財政赤字は、物凄い勢いで増えつづけている。
それが将来的に「ツケ」となって、次世代へと繰り越されていくのは、十分分っているはずだ。
反面、現在のような経済状況であれば「景気対策優先」というコトも、理解できる。
麻生さんが「財政再建よりも景気対策」というのも、よくわかる。
ただ、あまりにも大規模で「無い袖を振る」ような景気対策というのは、どうなのだろうか?

というのも、このような景気対策の柱といえば「公共事業」が中心になるのが、これまでの政策だった。
また、意味の無いような道路建設やハコモノ行政で一時の雇用を作り出し、それがいずれ地方経済を疲弊させるな気がするからだ。

拙ブログでも指摘させているのだが、「公共事業による一時の雇用創出は、地方経済のプラスにはならない」と、考えている。
現在問題になっている「製造業で働く派遣社員」の多くは、地方出身者でその地方では職が無いために、いわば「長期出稼ぎ」的な意味で働きにきていた人たちなのだ。
とすれば、今必要なのことは「地方における、永続的な雇用創出」となるはずなのだ。
安易な公共事業では、永続的な雇用とはならない。
むしろ、「二重行政」と指摘されるような事業を、地方に積極的に移管し、地方行政の視点で雇用創出をするコトのほうが、現実的で効果が高いような気がするのだ。

もうひとつ「安易な公共事業による景気対策」への不安というのは、「無駄遣い」が増えるのではないか?というコトだ。
毎年毎年「これでもか!!!」というほど、官公庁の「無駄遣い」が話題になる。
その無駄遣いの元になるのは、いわゆる「ピラミッド型の組織」が各層で「まぁ~、いいか」的な緊張感の無さから起きているのでは?と、感じるのだ。
公共事業などの原資は、各省庁に振り当てられてもそれが、本当に必要な場所・現場で使われるのではなく、そのピラミッドの各階層で抜き取られては、本当に必要な場所・現場ではいつまでたっても、厳しいままなのだ。

景気対策は必要だと思う、だがその前に「無い袖を振る」のではなく、「ある袖を見直して、必要な場所・現場で使える景気対策」を考えるべきなのではないだろうか?