日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

普通の感覚とは

2008-11-17 20:18:28 | マーケティング
朝日新聞のWEBサイトに、興味深い記事がUpされていた。
主婦から転身、カリスマ駅弁販売員 生活感覚生かし奮闘と言う内容だ。

記事のタイトルだけを見れば「主婦感覚を生かした商品・販売」という感じなのだが、決してそのような内容ではない。
むしろ、「主婦だから」と言うのではなく、「お客様の立場・気持ち」を理解しているからこそ、カリスマ駅弁販売員になったと言う気がするのだ。

それを表す言葉が、
幕の内弁当の試食会で、魚のすり身の揚げ物を口にしてガリッと歯ごたえの悪さを感じた時の 
担当者に「そんな弁当に冷凍物はおかしい」と、すぐに変更を求めた。「駅弁って高価ですよね。だからこそ、特別なごちそうとして提供したいんです」
と言う言葉だろう。

1300円と言う駅弁の値段が高いか安いかと言われれば、人それぞれだと思う。
ただ、サラリーマンのランチの平均価格が570円程度だとすれば、やはり高価だと言うコトになるだろう。
出典データ
GEマネー・サラリーマン小遣い調査
まして、旅と言うシチュエーションには、1300円+αの要素が必要になる。
単なる「お弁当」では、意味がないのだ。
駅弁を食べながら、どんなコトがあったのか?と言う、思い出づくりの大切なアイティムでもある。

他にも、「駅弁を食べるとき、どんな飲み物と一緒なのか?」と言う視点も必要だろう。
お茶と一緒とは限らない。
男性の中には、出張帰りの新幹線の車内でビールなどと一緒に駅弁を食べる、と言う人も案外いるのではないだろうか?
そうやって考えれば、ビールなどのつまみにもご飯のおかずにもなる、お惣菜がポイントになってくる。
地方色も必要だろう。
旅と言う特別な時間を提供すると言う感覚は、旅をする人の感覚と視点が必要だろう。
それが「駅弁を買う人の思い」なのではないだろうか?

作る側にとっては、原価の積み上げ+利益=1300円なのだろう。
しかし買う側にとっては、1300円+旅情+思い出なのだ。
その点をどれだけ理解し、お客様に提案しているのか?と言うことが、彼女を「カリスマ駅弁販売員」にしているのだと考えるのだ。

「日本」をキャンペーンする「伊右衛門」

2008-11-17 13:23:24 | ライフスタイル
Yahooの右端にある「広告」を何気なく見ていたら、サントリーの「伊右衛門」の冬キャンペーンが出てきた。
「伊右衛門」の販促キャンペーンと言えば、夏の「氷てん茶」が有名だが今回は日本郵便とのジョイントキャンペーンのようだ。
キャンペーンそのものは、だいぶ前から始まっていたようだが、テレビCMで見た記憶もなく、今日に至ってしまった。

「伊右衛門」のテレビCMもそうなのだが、「日本」と言うことにこだわっている。
同じペットボトル入り緑茶でも、他社のテレビCMは「飲み応え」や「お茶のある生活シーン」、「生産者の姿」などが中心になっている。
それに比べると「伊右衛門」は、一貫して福寿園が創業始めた頃のような雰囲気のCMだ。
結果、他社とはまったく違う商品ポジショニングを得ているような気がするのだ。
単なるペットボトルのお茶ではなく、丁寧に淹れたお茶をペットボトルで手軽に飲めると言うようなイメージを作ることに成功していると言うか・・・。
実際飲んで見ると、他社のペットボトル入りのお茶とどれだけ違うのか?と、感じる程度なのだが・・・。
イメージと言うのは、それだけ商品に与える影響が強いと言うことだろう。

そしてテレビCMに連動するように、展開される販促キャンペーンも「日本」それも「今の日本」ではなく、やや手間ひまを惜しまず丁寧感のあるモノを対象としている。
一連の丁寧感や手間ひまを惜しまないと言うイメージは、一種の上質感を生活者に与えることになる。
そしてそれが、「伊右衛門」をますます他社との商品との違いを、はっきりさせることに成功している。

もちろん、若い女性の間では、和小物が人気だと言うような、昨今の「和ブーム」のようなコトも影響しているのだと思う。
他社が老舗お茶店とのジョイント商品を追従するかのように、発売してきたが「伊右衛門」のようなポジショニングを得ることができなかったのは、テレビCMや販促キャンペーンが、商品イメージと連動することができなかったからかも知れない。
それが「伊右衛門」ブランドとして、海外に進出できる力となっているようにも思えるのだ。

今後「伊右衛門」が、どんなキャンペーンをするのか?と考えると、チョッと楽しみだ。