日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「出産マシーン」という発想

2007-01-28 20:36:14 | 徒然
今朝の新聞に、柳沢厚労相:講演で「女性は産む機械」という記事が掲載されていた。
安易な発言が、大きな波紋を呼んでいるようだ。

だいぶ以前、拙ブログでも書かせていただいたのだが、妊娠は女性一人が頑張れば何とかなるものではない。
いくら子供を望んでも、恵まれないご夫婦は世間にはいっぱいいる。
まだまだ「結婚すれば子供はできる」という幻想を抱いている人が、世間には多いようだ。
そのような幻想が、海外にまで行って「代理出産」をしてくるタレントを擁護しているような気がするのだ。
不妊治療に膨大な時間と労力、費用をかけ、最期の望みとして「代理出産」を考えるということもわからないわけではない。
「自分とパートナーの遺伝子を残したい」という思いの結果として、「代理出産」を選んだと言うことなのだろうが、ただ、そのために起こる様々な肉体的・精神的リスクは、お金では引き換えられないような気がするのだ。

それで、柳沢大臣の発言をよくよく読んでみると、出産率が上がることで経済=税収が安定するような幻想を抱いているようなのだ。
まるで「生めよ増やせよ、日本の労働」ではないか?
単なる労働力の問題だけなら、60歳定年を延長するとか、女性の就労環境を整えるといった方法があるはずなのだ。
それとも、「女性は子供を産み・育て、男性の6割程度の給与でフルタイムで働いてくれ」というのだろうか?
それでは、あまりにも都合が良いのではないだろうか?

むしろ今の少子化は、そんな男性に対する女性の反旗なのではないだろうか?
男性が家庭をかえりみず「仕事」と言えば、なんとなく「企業戦士」として社会に貢献しているような、思い込みに対しての反旗だ。
最近でも、ある主婦の方とこんな会話をした。
それは、日帰りの旅行に行かないか?というお誘いの話だったのだが「夕方までには帰らないと・・・主人と子供の食事を作らないと、主人の機嫌が悪いの」というお返事をいただいたのだ。
で、「ご主人は、ご旅行とかは行かれないの?」と尋ねると、「そんな~、主人は自分の好きなところに行っているわ」という答え。
お子さんと言っても、立派な社会人なのに「夕飯を作らないと、機嫌が悪い」と言うのは、どこか可笑しな話のように思うのだ。

どこまでも、女性と男性の家庭での役割分担を求め、社会では同等にと言うのであれば、よほどの「スーパーウーマン」でも無理ではないだろうか?
そして、嫡子以外の子供も嫡子と変わらない見方を、社会がしなくては意味がないように思うのだ。
その意味で、ぜひ安倍総理ご夫妻には家庭的に恵まれないお子さんたちの、(法的な)お父さん・お母さんになっていただきたいものである。