日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

子供と女性‐出産マシーンではない風景‐

2007-01-30 22:21:57 | CMウォッチ
柳沢大臣の不用意な発言は、日に日に波紋を広げているようだ。
アメリカなどでは、パワー・ハラスメントとかセクシャル・ハラスメントになるだろう。
日本では、その意識が低いということが、よりわかりやすいカタチになったと言う気がする。
ところで、今年のお正月広告に「子供の女性」が扱われた内容のものがあったことを、覚えておいでだろうか?
昨年は、テレビCMなどに出演している女優さん・モデルさんを総動員し、真っ白な衣装で登場させた「資生堂」だ。

今年のお正月広告は、「一瞬も一生も美しく」をテーマにし、全裸の女性が新生児を抱きかかえていると言う、ややショッキングなモノだった。
この広告を見て思い出した広告があった。
それは、ドイツの高級車(うろ覚えで申し訳ないのだが、BMWだったと思う)の「安全性」を訴える広告だった。
赤ちゃんを抱き、その視線は真っ直ぐにこちらを見ている。
まるで「生」と言う宝物を、壊さないように威嚇するほどの力強さを持って、こちらを見つめているのだ。
この広告には裏話があり、何人ものプロのモデルに赤ちゃんを抱かせるのだが、どうもしっくりこない。
結局、出産直後の女性を使って撮影した、と言う話を聞いたことがある。

女性の胸に抱かれた赤ちゃんの表情は、あくまでも安らかで無防備だ。
しかし、その赤ちゃんを抱く女性の腕や手は、とても力づよい。
それは剛ではなく、柔の強さだ。
女性だから、生まれながらに母性を持っているわけではない。
妊娠・出産と言う経験を通して「母性」を持ち、子育てによって「母性」を育てていくのではないのではないだろうか?

「出産マシーン」などと言う、機械的なものでも装置でもない風景が、資生堂の広告にも自動車の広告にもあった。
だからこそ、「いのち」を表現することができたのだろう。

今年の資生堂のお正月広告、どのようにご覧になりましたか?