弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「気骨の判決」 言い渡すには とても気骨が 折れる国

2009年08月18日 00時05分47秒 | テレビ
NHK名古屋制作のドラマ「気骨の判決」が一昨日、NHKスペシャルとして全国放送された。
昭和20年3月に翼賛選挙を無効とする判決をした大審院の吉田久裁判長の心情がよく描かれていた。
日本では、思い切った判決をするには、時の権力に対抗する気骨(きこつ)があれば足りると考えられがちだが、それは一面的である。
むしろ、保守的な一般国民からの「無駄な判決でしたね」といった激烈な批判を覚悟しなければならない。一般誌さえも「無罪病」「偏向裁判官」「裁判官がおかしい」などと心なく報じるお国柄なのだから。そちらの方がはるかに気骨(きぼね)が折れる。
それにしても、あの時代に時局に流されず立派な審理・判決をした裁判官たちがいたからこそ「日本の裁判所は戦時中も独立を比較的保っていた」との評価を受けられるのだろう。
その意味でも、ドラマの最後の吉田裁判長のセリフにあったように「無駄ではなかった」。
(写真)
東京の裁判所の一階ホールにあるシャンデリアの絵葉書から。
最高裁判所(戦前は大審院)の旧庁舎にあったものだという。