弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

前提事実を 押さえたならば 落としどころが 見えてくる

2008年01月18日 19時58分57秒 | 未分類
離婚判決の提言②
これも私が判決で励行している点である。
一般民事と異なり弁論主義の適用がなく、当事者の主張に拘束されないので、いきなり事実認定に入る方式もあり得る。しかし、事案の問題の所在が分かりにくいという欠点があると思う。
私は、新様式を採用し、冒頭でまず、双方の共通認識となっているはずの「前提事実」を認定することにしている。「争いのない事実」という表現は使えないものの、双方に異論のない証拠で認定する形を取れば問題ない。
そして、双方の主張の別れ道となるところから先を「争点」として摘示した上、「争点に対する判断」の中で認定判断する。
この方式の長所は、どこまでが動かし難い「前提事実」で、どこから先が本当の裁判官の判断なのか区分が明確になることである。
実際には、この「前提事実」だけから自ずと結論の方向性が見えてくる事案が少なくない。
これが見えてこない事案は、一般に難事件である。しかし、控訴審では、原判決の「争点に対する判断」以降の部分の当否を審査し、そこから先だけを修正すればよいように、事案の問題の所在が整理されているはずである。