goo blog サービス終了のお知らせ 

弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官→原告になった竹内浩史のどどいつ集

請求棄却も 白星「違憲」同性婚の ホワイトデー

2024年03月14日 21時57分27秒 | 判決どどいつ
今日の札幌高裁判決から。

同性婚訴訟で初の高裁判決
国の賠償認めず
カップル側の控訴棄却
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20240313k0000m040341000c

形式上は原告敗訴だが、最高裁に上告すべきかどうか、高度な政治判断が迫られそうだ。
(写真)テレビ朝日「報道ステーション」で各判決をきれいに整理してくれていた。

団藤判事の 思いを継いだ「反対意見」の 宇賀判事

2024年02月01日 00時19分48秒 | 判決どどいつ
名張事件第10次再審請求特別抗告審の1月29日付け最高裁決定の宇賀反対意見から。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92687
この事件で直ちに再審を開始すべきとの意見を述べた最高裁判事は初めてらしい。確かにこれまでの最高裁決定は、最善でも名古屋高裁への差戻しまでだった。
宇賀反対意見は、毒ぶどう酒の封緘紙の糊の成分の新鑑定の評価から出発して、新旧全証拠を総合してこの結論を導いた実に立派な意見だと思う。
多数意見は、団藤判事らが築いた白鳥事件決定の「疑わしきは被告人の利益に」の大原則は再審にも適用されるとの判例に違反するのではないかと厳しく指弾した部分もある。
元々一審の津地裁では無罪判決だったから、再審請求の手続は逆転死刑を宣告した名古屋高裁から始まる。おかげで津地裁に請求が来ることは無い。
それにしても、薄い証拠で有罪にされてしまうと、かえって覆すのが難しいという、まさに究極の矛盾を思い知らされる事件だ。

当選無効の 議員の仕事 百害あって 一利なし

2023年12月14日 00時00分45秒 | 判決どどいつ
一昨日の最高裁判決から。
(写真)最高裁口頭弁論の傍聴人向け説明書
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92565

私は、反対意見に時折見られる人権感覚には大いに期待しているが、この判決に限っては、反対意見よりも多数意見を支持したい。
そもそも、当選無効の議員報酬の不当利得返還請求に対し、議員としての稼働による不当利得返還請求権による相殺を認めるという原審の判断には、非常に違和感がある。そんな相殺を認めるくらいなら、最初から議員報酬の不当利得は成立しないというべきではないだろうか。
それに、当選無効の議員がたとえ何をしようと、当該自治体や住民が利得することは考えられないように思う。
今回は大阪市自身による訴訟だったが、住民訴訟による同種事案の提起も当然予想される。
さらには、国会議員による同種事案で国が不当利得返還請求をしていないのはおかしいのではないかという批判もあり得る。
最高裁判決における意見の対立は、そのような事情も反映しているのかも知れない。

最高裁から 高裁の君へ「忖度し過ぎだ 反省せい!」

2023年11月17日 18時24分45秒 | 判決どどいつ
今日の最高裁判決から。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92502
元々、「表現の自由」の観点から批判が強かった東京高裁判決なので、最高裁が破棄自判して、東京地裁判決を支持したのは当然か。
助成金を予定どおり交付することは「観客等に対し『国は薬物犯罪に寛容である』と誤ったメッセージを発したと受け取られる」などという原判決の判示は、そもそも国民を馬鹿にしている。
それにしても一審の進歩的な判決を覆すのが任務と心得ているかのような高裁裁判長が目立つ。

「判例変更」主張をするか? あるいは「適用 違憲」論

2023年10月27日 18時37分01秒 | 判決どどいつ
一昨日の仙台高裁判決から。

「もっと声上げて」
強制不妊訴訟の原告が実名公表 
仙台高裁判決後 (毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20231026/k00/00m/040/042000c

「最高裁が89年に除斥期間と規定した民法724条後段については「(中断や停止が可能な)消滅時効と解する」と、判例と異なる解釈を示した。」と記事にあるから、最高裁判例の変更を主張した判決ということになる。
この事案を救済するには、最も素直な法律論かも知れない。
あとは、このような事案については「除斥期間を適用するのは憲法違反」という適用違憲論を採用する余地があるかどうかだろう。

「意思に反して 異性の性器 見せられない利益」衡量を

2023年10月25日 20時51分29秒 | 判決どどいつ
今日の最高裁大法廷決定の草野反対意見から。
多数意見は性別変更の「生殖不能要件」を違憲としながらも「外観要件」についての憲法判断は保留した。
しかし、3人の反対意見はこれも違憲とした。
中でも草野裁判官は緻密に分析して利益衡量を示している。
男性器のある人が女風呂に入って来る可能性があるという点をどの程度考慮すべきか、おそらく意見が分かれるところだろう。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92446

判例変更 待つまでもなく 一歩お先に 違憲論

2023年10月24日 18時46分50秒 | 判決どどいつ
今月11日の静岡家裁浜松支部審判から。

https://www.nhk.or.jp/shizuoka/lreport/article/004/15/

戸籍上の性別変更に手術を必要とする法律の規定を憲法違反で無効とした。
明日、最高裁大法廷で同じ争点の特別抗告事件決定が出される。過去の合憲判断を判例変更するかどうか、注目の判断がされる。
しかし、静岡家裁はそれを待つまでもなく違憲と、家事審判では珍しく合議体で判断した。
この家事審判は、即時抗告をする当事者がいないので、明日の最高裁決定の内容いかんにかかわらず、即時確定した。

販売妨害「シカーネ」ーだろう!マンション敷地 のみ移転

2023年10月23日 21時05分54秒 | 判決どどいつ
今日の最高裁判決から。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92441

どうも最近、最高裁の、特にキャリア裁判官出身の裁判官のバランス感覚には、首を傾げる判決が目立つ。

事案を簡略化すると、マンションの建築代金を支払えなくなった注文者が、請負人においてマンションを完成して分譲販売したいという提案を拒み、第三者に敷地のみを売却した形にして長期間販売を妨害したというもの。請負人が第三者に不法行為に基づく損害賠償を請求した訴訟。なお、その後、注文者は破産し、破産管財人が否認権を行使して敷地を取り戻し、ようやくマンションの売却を実現した。
どう考えても、注文者の意図は販売妨害でしかなく、これに呼応して協力した第三者にも一方的に非があり、法律的に理屈が立つ限りは第三者を敗訴させるべき事案と思われる。そして、その理屈が十分成り立つことは、原判決や堺裁判官(検察官出身)と岡裁判官(弁護士出身)の反対意見の言うとおりであろう。

ちなみに、シカーネ(Schikane)とは、権利者が自分には何の利益もないのにもっぱら他人を害することを目的として権利を行使することをいう。ローマ法以来,シカーネは禁止されている。

團藤さんを 彷彿させる 孤軍奮闘「リベラル派」

2023年10月18日 21時54分52秒 | 判決どどいつ
今日の最高裁大法廷判決の宇賀克也裁判官の反対意見から。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92431
日本の最高裁に、アメリカ連邦最高裁には常に数人いるようなリベラル派が一人しかいないのは寂しい。
今回の反対意見は、選挙無効判決をすべきというものだ。
再来年夏の次回参議院選挙後となる今から2年後の将来効判決を主張した意図や、再選挙をどのような定数で行うのかなどは、よく分からないが、真剣に検討すべき案だと思う。

検察官では ない事務官が 略式起訴では ラクし過ぎ

2023年09月23日 00時13分09秒 | 判決どどいつ
22日の最高裁判決から。
「検察ミスの10人、罰金破棄」
 最高裁「非常上告」受け
(東京新聞 TOKYO Web)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/279152
司法修習生だった当時、
地検検察官事務取扱副検事
にも驚いたが、
区検検察官事務取扱検察事務官
にはもっと驚いた。
裁判官になぞらえれば、
前者は簡裁判事に地裁の裁判をさせているようなものだが、
後者は書記官に簡裁の裁判をさせているようなものだ。
このような便法を常用しているから、重大な過誤が起きるとも言える。

地方議会の 招集に合わせ「20日以内」の 改正案

2023年09月17日 10時10分19秒 | 判決どどいつ
遅ればせながら、今日の毎日社説から。
「臨時国会の召集手続き 憲法理念に沿う法整備を」

https://mainichi.jp/articles/20230917/ddm/005/070/068000c

(写真)宇賀反対意見は、地方自治法の臨時会の招集期間の規定のみならず、自民党改憲案の規定まで引用して、20日以内の臨時国会の召集を義務と解釈した。

臨時国会 確認訴訟 どうすりゃいいのさ 下級審

2023年09月15日 18時15分25秒 | 判決どどいつ
遅ればせながら、今日の朝日社説から。
「国会召集義務 議論封じは許されない」より引用。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15741877.html

「最高裁は、議員が臨時国会の召集を受けられる地位の確認を求める訴えについて、地裁や高裁の判断を覆し、裁判で争える事柄であること自体は認めた。今後、内閣が召集要求に応じないときに速やかに議員が訴えれば、裁判所が救済する可能性もある。」

確かに理論上はそうだが、次に同様の召集拒否があったら裁判はどうなるのか、シミュレーションしてみよう。
まず、臨時国会の召集請求をした野党議員らが、東京地裁に召集請求から20日経過後直ちに臨時国会を召集すべきことの確認訴訟を提起したとしよう。
しかし、そもそも行政訴訟においては仮処分が認められておらず、判決では間に合いそうにない。ちなみに、逆に執行停止に対しては内閣総理大臣の異議という強力な対抗手段が認められている。
仮に一審判決が極めて迅速に出たとしても、被告が徹底抗戦しようとすれば、控訴・上告をして判決確定を引き延ばすことができそうである。
これに対して、原告や裁判所側に何か対抗手段があるのかどうか。
そこまで考えて判決理由中で具体的な方法を提示しなければ、理論的に裁判を認めたところで、画餅に過ぎない。現時点では確認の利益がないから訴えは不適法などという多数意見は、下級審に対しても無責任というほかない。

「反対の賛成」と 言いたくもなる「これでいいのだ」最高裁

2023年09月12日 22時22分01秒 | 判決どどいつ
今日の最高裁判決の宇賀反対意見から。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92353

やはり憲法・行政法の解釈適用に関しては、その道の専門家である宇賀克也最高裁判事に期待するほかないことがますます明らかになった。
なぜか、バカボンのパパを思い出してしまった。
お役目ご苦労なことだ。

朝日・毎日 ・日経「補足」読売・産経「歯止め」意見

2023年07月18日 19時09分50秒 | 判決どどいつ
11日の最高裁判決に対する社説から。
全紙とも賛成しているように見えるが、最も言いたいことは、見出しに現れている。

朝日「少数者守る環境整えよ」
毎日「性自認の尊重求めた判決」
日経「性的少数者の就労環境整えよ」
は、法廷意見に対する補足意見と見るべきだろう。
これらに対し、
読売「判決の拡大解釈避けるべきだ」
産経「個別事情踏まえた判断だ」
は反対意見に近い補足意見。
ちなみに、
中日「個人の尊厳守ってこそ」
は、前者に属する。