弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

令状当番 ホテルを指定 されて代金 自腹かな

2024年05月06日 00時51分24秒 | 裁判

久しぶりに裁判所オンブズマンより出題。

名古屋地裁豊橋支部(豊橋簡裁)で宿直の令状当番を順番に割り当てられる裁判官の待遇で、正しいものは次のうちどれか。
①宿直手当が支給されない。
②宿直室が無い。
③泊まるホテルを指定される。
④ホテル代を支給されない。

(参考)裁判所支部問題を取り上げた朝日の連載4回目(最終回)

本庁と支部間50キロ、裁判官はタクシーで往復 「入りにくい予定」
https://www.asahi.com/articles/ASS4S0T2GS4SULFA00CM.html

(写真)連載3回目で取り上げた長野地家裁佐久支部の問題は、昨秋の日弁連人権擁護大会で佐久市長自身が充実を訴えた。エレベーターについては、地元自治体で設置費用を負担すると申し出たが、最高裁は謝絶したという。


長官会見 存在感の 薄さに泣きて「一歩前に出ず」

2024年05月05日 00時04分13秒 | 裁判

毎年恒例の会見の報道から。

最高裁・戸倉長官、導入15年の裁判員制度「安定的かつ順調に運営」 憲法記念日を前に会見
(日テレNEWS NNN)
https://news.yahoo.co.jp/articles/dce5100744c23c9a0a6dc7b40a312d99b51adc65

(写真)中日新聞では2面の左下のベタ記事だった。元社員によると、全国ニュースのうち最もどうでもいい記事の定位置だとのこと。
まさに「存在の耐えられない軽さ」。
クイズに出題されても、誰も名前を答えられないだろう。
今月以降、最高裁判事が手分けして出張し、一部の地家裁を巡回するのだが、最高裁はこれを「憲法週間行事」の一つと称している。何という内向きの組織だろうか。


買ってくれたら 活字で読める 過日の講演「完全版」

2024年05月04日 00時53分44秒 | 裁判

私の本のタイトルにもなっている講演「裁判官の良心とは」は、昨年10月29日、たまたま61歳の誕生日に、母校である愛知県立時習館高校の創立130周年記念行事の中で、同期生の代表として行わせていただいたもの。
YouTubeで見ることもできる。
https://youtu.be/s55rYJSD6iY?si=0b1yV14R6xuxMUaJ

もっとも、当日は、高校の授業と同様に50分という時間制限があり、尻切れトンボにならないように原稿を用意したものの、やはり最後の方は時間が足りなくなり、端折らざるを得なかった。
本の第1章に掲載する講演原稿は、用意していた完全版である。ぜひ、全文を読んでほしい。

(写真)講演時に使用したスライドから

既に講演から半年以上経過したが、末尾の最高裁係属中の事件のうち、旧優先保護法による不妊手術を受けた原告の国家賠償請求訴訟の数件が大法廷に回付され、奇しくも本の出版日である今月29日に口頭弁論が開催されることが決まった以外は、特にこの間の情勢の変化は無く、原稿の修正は要しなかった。

今後の最高裁判決は注目を要し、最高裁裁判官一人一人の意見が判決に表示されるので、次回衆議院総選挙と同時に行われる最高裁裁判官の国民審査で✖︎を付けるべき裁判官を決める際に参考にしていただきたい。


憲法76条3項「良心」とはなにかを 解き明かす

2024年05月03日 12時52分05秒 | 講演
私の新著「『裁判官の良心』とはなにか」のタイトルを都々逸に。
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2024年05月02日 09時25分38秒 | その他

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お待たせしすぎたかも知れません。
今度こそ出ます。


一に「地域」で、二に「減俸」で、三、四が無くて、五に「差別」

2024年05月01日 09時22分40秒 | 講演

提訴予告記者会見への反響を踏まえて、訴状の記載順序の方針を練り直した。
私の当初計画では、地域手当に関し、
①裁判官の減俸による憲法違反
②地域手当の不均衡による違法
③私個人の昇格昇給差別の違法
の順にしようと思っていたが、
①と②の順序を入れ替えたい。
裁判官だけの問題にはせず、全国家公務員、更には悪影響を被っている全地方公務員、もっと言えば、最低賃金格差に現れているように低賃金に抑えられている地方の民間労働者まで糾合した闘いにするためだ。

今日は「メーデー」。
元労働弁護士である私は、任官後も有休を取り、デモ行進後の懇親会だけには欠かさず参加するようにしている。

来年からは、労働裁判の原告本人として、デモにも参加できそうだ。


「次の一手」を どう指すつもり? 6月末には「切れ負け」に

2024年04月30日 18時03分52秒 | 将棋

現在の戦況を、目下進行中の将棋の名人戦になぞらえれば、フルセットの激闘の末に惜しくも失冠した岡口前名人のリベンジとばかりに、先手番となった挑戦者の私がいきなり仕掛けて開戦したところ。
奇襲を受けて後手を引いてしまった対局相手の現名人は長考中である。
だからと言って、いつまでも「次の一手」を指さないと、ルール上、無様な時間切れ負けになってしまう。

私の作戦は既に明らかにしたとおりで、5月半ばにまたこちらの手番が回って来るので、6月中には否応なく相手の手番となり、どういう応接をするのか態度を明らかにしなければならない。

などと思っていたら、突然、相手の手番が巡って来てしまった。「次の一手」は、悪手を指せば形勢が大きく傾く。
おそらく想定外の事象の発生で、相手は連休明けには「次の一手」を指さざるを得なくなった。

そして、7月1日には間違いなく、またまた相手の手番が来る。

次回の自戦解説に乞うご期待。
(意味が分からない方は、お近くの裁判所関係者に教えてもらってね。知らんけど。)


「家族」の慰謝料「ワン」十万は安すぎたのか「ワン」百万

2024年04月29日 19時23分25秒 | 講演

名古屋高裁判決(長谷川コート)に「あっぱれ!」

愛犬の医療過誤で100万円…
「ペットも家族」増える慰謝料
弁護士「時代の流れに沿った判決」
(中日新聞Web)
https://www.chunichi.co.jp/article/884103

実は、原審・津地裁判決の裁判長は私だ。
一昔、二昔前までは、民法・刑法の条文のとおり、動物はあくまでも「物」とされ、物損の慰謝料は認められなかった。
昨今はそれを通すわけにもいかないご時世になったので、原審としては、原告夫妻に10万円の慰謝料を認めたのだが、控訴審は更に一桁上げて100万円に変更した。
おそらく、ペットの死亡による飼主の慰謝料額としては、史上最高水準と思われる。


「除斥期間」の判例破り「小林コート」は 時効とす

2024年04月28日 08時41分49秒 | 講演

(写真)東京新聞より。下級審裁判官には珍しい死亡記事。

小林久起判事追悼を兼ね、初「あっぱれ!」を。

最高裁大法廷係属中の旧優生保護法による強制不妊手術に対する国賠訴訟。
仙台高裁の第二次訴訟の判決をした小林コートは、「除斥期間」経過として請求棄却とした他の部の第一次訴訟の判決と異なり、そもそも「除斥期間」ではなく「時効」の規定と解するとして時効完成を認めず、請求認容した。

https://www.aiben.jp/opinion-statement/news/2023/11/post-96.html

一連の地裁・高裁判決の中で最高裁判例に正面から異を唱えた唯一の判決。
「あっぱれ!」だ。
当時の民法724条後段を20年の長期消滅「時効」期間と解していた通説を覆し、唐突に、一切の例外を認めない「除斥期間」と解した35年前の最高裁判例は、増えつつあった戦後補償裁判を問答無用でシャットアウトする意図で無理矢理先回りしたと見るしかないものだった。
当時の通説に戻って「時効」だから援用権の濫用とすれば原告を救済できるではないかというのは、極めて真っ当な判断である。数年前の民法改正によって、同条の20年の期間は「時効」であると改めて明示された。

この「小林判決」は、最高裁大法廷に回付された先行事件には含まれていないものの、同様の見解を採用する最高裁判事が何人か出る可能性は十分あるようにも思われる。


職種限定で なぜ配転を 命じられるのか?「喝!」1号

2024年04月27日 10時29分07秒 | 「喝!」判決

昨日の最高裁判決から。
https://sp.m.jiji.com/article/show/3222429
原審裁判官は猛省すべきだろう。
①労働契約で職種を限定していた
②使用者が異なる職種に配転命令
という2点からして、
○配転命令は無効
という結論は、子どもでも分かる。
ところが原審は、
✖︎配転命令は権利濫用でなく有効
という驚くべき判決をしていた。

(写真)最高裁判決の理由を抜粋。

原審・大阪高裁の裁判官たちに「喝!」。

これが私の判決「喝!」「あっぱれ!」第1号だ。

原判決破棄差戻しの最高裁判決は、当たり前。
むしろ、この程度の高裁部総括の民事部があることが誠に嘆かわしい。
なぜ、筋の通らない屁理屈をこねてまで使用者を勝たせたのか、私には全く理解できない。