青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国および日本のユリ科(狭義)植物 Ⅴ テッポウユリLilium longiflorum

2024-04-29 08:17:27 | 「現代ビジネス」オリジナル記事



一平氏の話題など(「白鵬と大谷」)は、原則として、別ブログ「社会の窓から~いい日朝立ち」のほうに回します。

「いい日、朝立ち」 “Good day. Leaving in the early morning to a strange country, far away,,,,,” - 社会の窓から (hatenablog.com)

そちらの方へのご訪問もよろしくお願いします。



少しでも大谷選手にネガティブなことを言う人間は許さない…そんな空気に警鐘を鳴らしたい(立岩陽一郎)(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース



水原一平氏の通訳能力、米でのリアル評はどうだった? 在米プロ通訳者が分析「水原氏は憑依型」「並の通訳ではない」後任との最大の違いは…―2024上半期 BEST5 (msn.com)



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初夏になったですね。風が爽やか、大好きな季節なのですが、同時に苦手な季節の到来でもあります。全ての空間を締め切って、一斉の冷房が始まります。せっかくの爽やかな風、素敵な季節が台無しで、ウンザリです。

でも東京から福岡に移って(生活パターンの変化も有りますが)屋外の風に触れる機会が多くなったような気もします。

この季節、樹々の緑は一斉に展開し、草花が爛漫と咲き誇ります。ただし草花は、そのほとんどが外来種。視覚的には素敵ではあるのだけれど、複雑な気持ちにもなってしまいます。

自宅から徒歩5分の、絶滅危惧種シルビアシジミの発生地をチェック。去年偶然見つけたのが6月の下旬、おそらく第2化の個体と思われます(その後10月初めまで継続して発生)。今年は第1化(春型)を確かめねばならないのですが、まだ発生していないようです。

もう少し後(5月に入ってから)になるのでしょうか?春型は発生せず、6月にスタートということも考えられます。

それともいなくなってしまった?

驚くことがあります。

この蝶は、食草のミヤコグサに強く結びついていて、ミヤコグサの生えているところの半径1m程の所だけで見ることが出来ます。

去年は、ごく限られた範囲に、ちらほら見ることが出来るだけでした。そこにシルビアシジミが発生していたのです。

そのミヤコグサが、今年は大量に見られます。シルビアシジミの発生ポイントだけでなく、あちこちに咲いている。殊に、発生地に行く手前の、公団アパートの庭や土手には、びっしりと一面に咲いている。

ミヤコグサだけでなく、今年は例年以上に、様々なカラフルな花をつける雑草(ほとんど帰化植物)が咲き競っているように思えます。まるで、ギリシャのアテネ郊外にいるような錯覚を覚えます。



2年前の5月はじめ、ギリシャから日本に戻ってきました。その年の夏、東京滞在中は行政(青梅市/東京都)から理不尽な醜い仕打ちにあって悲惨な思いをした後、秋に福岡に移ってきたのです。

ギリシャの春は、郊外のいたるところに花が咲き乱れています。

日本の常識からすれば、都市の近郊に於いて、在来種の花が草原一面に咲き乱れる、と言ったことは有り得ません。当然アテネ近郊でも、本来の在来種ではなく、どこからか移入してきた外来種ではないかと思われます。

ただし、ギリシャでは在来種自体が、もともと乾燥した気候の開けた環境に結びついているわけですから、ネイティブたちが一面のお花畑を形成していても、不思議ではないのかも知れません。

お花畑を構成しているそれらの植物は、日本とは全く面子が違い、広い意味でのこの地域(地中海東南縁~中東)に特有の種です。厳密な意味での原植生ではないにしろ、それに準じる植生環境と考えて良いと思います。

ちなみに、現代文明は(キリスト教なども)、中東からギリシャを経てヨーロッパ全土に広がってきたのですね。森林に覆われたヨーロッパの内陸部はともかくとして、中東から地中海東南岸にかけての地域は、温暖な乾燥気候で、剥き出しの草原が植生環境の基本と成ります(樹木はコルクガシやオリーブなどの硬葉低木樹)。

北へ向かうと、高木の森林(主に常緑針葉樹)と、林床に広がる草原の組み合わせになり、そのパターンの植生環境は、ぐるりと北極海を取り囲んでいて、ユーラシア大陸の東南端では日本の北海道に及びます(その延長は本州中部山岳まで)。

そこから南は、ガラリと環境が異なり、ヨーロッパでは南のアフリカに至って更に乾燥の極と成るのと対照的に、熱帯アジアの湿潤な鬱閉した熱帯雨林に連なります。

その狭間に日本列島があるのですね。

森林は、いわゆる中間温帯林。見かけ上は変化の少ない北や南の林と違って、四季による劇的な変化を繰り返します。その時間変動が齎す要素を、人為に拠って空間に凝縮・再編したのが、里山・雑木林です。

そこでは、ユーラシア大陸西部に於けるような草原は発達せず、広々としたお花畑などは望むべくも有りません(上記した周北極海要素の南縁である高山帯にのみ出現)。

草花は、森林のギャップや、林縁、疎林、山の急斜面、渓流沿い、人間居住地では、雑木林林床、路傍、集落や耕作地の周辺などに、面(草原)ではなく、点や線状(草地)に生えています

日本の在来草本植物は、ヨーロッパのように広い草原に咲き乱れるのではなく、それぞれの種の特性に応じた狭い環境に、ぽつぽつと疎らに咲いているというのが、本来の姿なのです。

それはそれで、赴きがあって、魅力的だと思うのです。

ところが、近年になって、その状況が一変しつつあります。

まるでインベータに侵入されたごとく、あらゆるギャップに帰化植物が蔓延り、場所によっては、日本らしからぬ、一面のお花畑を形成している。

ヨーロッパの草原とは、構成種のメンツが異なります。ヨーロッパと中東との関係と同じ前提で考えれば、韓国や中国から進出してきた、ということになるのでしょうが、(旧い時代や有史以前の交流は別として)そうでもなさそうなのです(中南米を含む世界各国が供給源)。

普段私たちが野外で見ている花は、おそらく9割以上が、園芸植物+帰化植物なのではないでしょうか?あとで述べる「出戻り在来植物(国内帰化植物)」を加えれば、ほぼ100%が、ネイティブではないのだと思います。

見た目は確かに美しいです。でも、これで良いのだろうか?という思いもあります

昨今、特定外来植物の駆除などが実施されているわけですが、特定というところに僕は引っ掛かります。(その是非はともかく)公平を期すならば他の大多数の帰化雑草も駆除しなくてはならないのではないか、と。

もとより、園芸(栽培)植物はO.K.(大歓迎)、帰化雑草はNo(忌避排除)、というのもおかしな話です。ともに人間の都合で日本にやってきたことには変わりがないわけですから。

あと、「出戻り在来植物」(「国内帰化植物」に近い概念ですが、置かれた次元がやや異なります)の話をしなくてはなりませんね。でも、(「史前帰化植物」の概念ともども)非常に大きな問題を含んだ話になるので、今回は割愛します。

先日のブログで紹介した、レンゲソウとかヒガンバナ(シロバナマンジュシャゲ)なども、「史前帰化植物」「出戻り在来植物」を組み合わせた例と言って良いでしょう。

ミヤコグサも、そのような意味では、著しく複雑な様相を示しています。それと“絶滅危惧種”シルビアシジミとの関わりも、更に複雑な要素を内包しているだろうことは、想像に難くはありません。

とにかく、(供給源や経路はともかく)新参の植物が、恐ろしい勢いで増えつつあるように思えます。毎年毎年、次から次へと加速度を増して。

今日の「ユリ科の話」の主役はテッポウユリ。紹介する写真は、ちょうど25年前の今日、1999年4月28日の撮影です(屋久島春田海岸隆起サンゴ礁)。

その当時は思いだにしなかったことなのですが、今や、東京でも、福岡でも、至るところでテッポウユリが咲き競っています(屋久島よりも4~5か月後)。信じられないほどの勢いで繁殖を続けているのです(正確には、南西諸島原産のテッポウユリと台湾原産のタカサゴユリとの交雑由来だと思われます)。



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ユリ科の話

Wallichianum clade テッポウユリLilium longiflorumほか



ユリは、古くからヨーロッパに於いて重要な植物として(主に宗教面で)位置づけられてきました。

ユリ属の大半の種は東アジア(および北米大陸)に分布、ヨーロッパに在来分布する種は僅かで、マルタゴン・リリー(L.martagon/Martagon clade)やマドンナ・リリー(L.candidum/Candidum clade)が、その代表種で、特にキリスト教と強い結びつきを持っていたのがマドンナ・リリーです。

多くの種が集中して分布しているのは、中国大陸西南部山岳地帯と日本列島、殊に日本列島には、ヤマユリ、ヒメサユリ、ササユリ、カノコユリなどの美麗な固有種が目白押しで、それらの種の球根が大量にヨーロッパに移出されました。

それらにも増して珍重されたのが、南西諸島原産のテッポウユリです。純白のユリとして、それまでのマドンナ・リリーに代わって、キリスト教を象徴する花に君臨します。

興味深いのは、日本原産でヨーロッパに移出され品種改良が行われ、世界的にポピュラーな園芸植物となった(

日本にも逆輸入)例に、ユリのほか、アジサイやシャクナゲがあります。

それらの原産地は、日本本土ではなくて離島なんですね。

アジサイ(ガクアジサイ)は、伊豆諸島。

シャクナゲ(ヤクシマシャクナゲ)は、南西諸島北部の屋久島。

ユリ(テッポウユリ)は、南西諸島全域(三島列島~八重山)。

ちなみに、日本国内で園芸植物化されて身近な存在になっている、サクラ(ソメイヨシノ)の片親は伊豆諸島産オオシマザクラ。代表的園芸ツツジのサツキも、片親が三島列島~トカラ列島産のマルバサツキ。

お寿司の中仕切りとして知られ、かつ街の中のどこにでも植えられているバランも、やはり南西諸島北部(宇治群島、三島列島黒島、トカラ列島諏訪瀬島)原産。

何かを示唆しているように思われますが、それについては場を改めて検討することにしましょう。

テッポウユリは、(猛烈な勢いで拡散中の現在はともかく)「南西諸島全域固有種」という、興味深い分布パターンを示しています。僕にとっては、屋久島安房春田浜の、まるで花だけが隆起サンゴの上に直接咲いているかのような群落が、印象に残ります。

台湾には近縁種のタカサゴユリL.formosanumが分布。低地帯から山上部まで見られるそうですが、僕が撮影したのは、いずれも3000mを超す高山帯(合歓山道路最高地点の周辺と阿里山~玉山間の登山道)、いかにも高山植物然とした風格を備えていて、それと低地の集団との関係はよくわかりません。最近になって、台湾の海岸にもテッポウユリそのもの自生しているとの報告がありますが、タカサゴユリとの関係を含め、詳細は未詳です。



テッポウユリのグループ(Longiflorum節、あるいは「中国植物志」に於ける百合組Sect. Lilium)は、永らく、日本の南西諸島のテッポウユリ、台湾のタカサゴユリ、中国四川省岷江沿いに生えるリーガル・リリー(テッポウユリとともに欧米での白花ユリの主流原種)の3種からなる、とされてきました。

しかし、「Biosystematic Studies on Lilium」のDNA解析に拠ると、リーガル・リリーは、テッポウユリ・タカサゴユリとは、極めて遠縁であることが示されています(次回紹介)。

それに代わって、この一群に含められたのが、中国で最も広域に亘って分布する白花種の野百合(日本名ハカタユリ)L.browniiです。中国で単に「百合」と言えば、本種を指します。

「Biosystematic Studies on Lilium」のWallichianum cladeの模式種はL.wallichianumで、ヒマラヤ東部に分布し、テッポウユリに似た白い大きな花が咲きます。このcladeには、ほかに2種(L.wenshanense雲南省南部/L.philippinense台湾-ルソン島)が含められています。



それにしても、本来南西諸島固有種であるテッポウユリの、最近になっての日本の各地での爆発的な繁殖には、驚くほかありません。東京のアパート周辺でも、福岡のアパート周辺でも、夏~秋(西南諸島よりも数か月遅れ)はテッポウユリに埋め尽くされてしまう、と言っていいほど。

正確には、どうやらテッポウユリとタカサゴユリの雑種由来らしいのですが、どうしてこんなに急激に繁殖しているのか、謎ではあります。
















テッポウユリ 屋久島春田浜 Apr.28,1999














野百合 四川省青城山山麓 Aug.5,1991














タカサゴユリ 台湾阿里山 Sep.2,2006






テッポウユリ×タカサゴユリ? 東京都青梅市自宅アパート付近 Sep.28,2022






テッポウユリ×タカサゴユリ? 福岡県飯塚市自宅アパートの階段下のコンクリートの隙間に生育。花が開く前の蕾の時、誰かが枝を折ってしまった、、、、。不憫に思ってペットボトルに水を入れて折れた枝を差し、元の茎の隣に置いていたら、花が開いた。Aug.29,2023

*このあと、9月~10月になっても、階段下のコンクリートの隙間から次々と茎が伸び、花が咲いて行った。



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「ユリ科の話」は、リーガル・リリー、ヤマユリ、ユンナンベニユリ、尖弁百合、小百合、クロユリ、ウバユリ、ギボウシモドキ、カタクリ、アマナとチシマアマナ、ツバメオモト、タケシマラン、ホトトギス、と続きます。











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中国および日本のユリ科(狭義)植物 Ⅳ クルマユリLilium medeoloides

2024-04-26 20:38:33 | 雑記 報告



今日4月26日は僕の76歳(後期高齢者2年目)の誕生日。ここ数年、誕生日がくるごとに同じことを書いていると思うのですが、、、。客観的に見れば、76歳まで生きることが出来て、特に体に悪いところが無い(痛いとこだらけですけれど)と言うのは、まあ勝ち組(嫌な言葉だけれど)と言って良いのかも知れません。

だって、滅茶苦茶な生活を続けて人生過ごしてきたわけですから。体に良いと思われることは一つもやってこなかった(酒と煙草は元々嗜まないけれど)。実際満身創痍で、これでもかというほど理不尽な災難に立て続けに襲われてストレスも溜まりまくり、なのになんとか普通の生活を送っています。まだ標高4000m超のフィールドだって歩き回ることが出来そうだし(かなり辛いですが、笑)。

巷では、健康で長生きをするために、選ばれた食品を食べ、定期検診を受け、日々ウオーキングに励み、クーラーをつけて暑さをしのぎ、健康を阻害するリスク排除に躍起になっているように見えます。でも僕のように、それとは真逆の生き方をしてきても、結果は何ら変わらない(むしろ上回っている?)。

健康を保つための衣食住なんて、いわばみんな依存症に集約されるのだと思います。お布施をしなければ悪いことが起こりますよ、と言った宗教の教えと同様で、オレオレ詐欺と何ら変わりがありません。全ての人々が、資本主義社会の歯車の中に無意識に飲み込まれてしまっている。そしてそのことに気が付かないでいる。それが今の社会構造です。



それを鑑みれば、賭博依存症なんて特別な事ではないのだと思います。社会は多かれ少なかれ賭博的要素で成り立っているので、グルメとかファッションとかアートとかスポーツとかが許されるなら、賭博と言う行為も、それ自体は何ら問題はないのではないでしょうか。ちなみに僕自身は、賭博とか薬物とか、まるっきり興味がありません。けれど否定をするつもりもない、ということです。

一平氏が賭博でとんでもない高額負債を背負ったのは、組織によって、「大谷の友達」として狙い撃ちされたからです。もちろん一平氏に非があります。大谷君は法的には潔癖です。でも2人の関係性を考えれば、「無関係」「無視」とはいかないはずです。

大谷君は、お金には無関心、と言いながら、とんでもない散財に関わり続けています(グローブ、ポルシェ、仮想通貨、後払い、等々)。本人や崇拝日本人にとっては“美談”ではあるのでしょうが、貧困者からみれば、それらの行為は素直に受け止めることは出来ません。ハワイに豪華別荘を購入する余裕があるのなら、一平氏に手を差し伸べるべきです。



それにしても、大谷君、昨日は2塁打3本とか。162試合換算では87本ペースになります。従来の記録は1931年の67本だそうで、93年ぶりの記録更新が見えてきたことになります。

得点圏打率の異常な低さが指摘されているわけですが、2塁打量産ということは自らが常に得点圏に進んでいることになり、±すると「チャンスを作る」ことで「チャンスでの弱さ」も帳消しになっている、と言えるのかも知れません。

何れにせよ、規格外と言うほかないです。今後とも“悪のヒーロー”大谷君を応援していきますね。



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ユリ科の話ですが、何でまた今更こんなのを書きだしたのだろう?と、自分でもよく分からないまま書き進めてきました。一応きっかけは分かっているのです。以前のブログにユリ科(狭義)の総括を書いた覚えがあり、必要があってそれを探し出そうとしたら見つけ出せない。おかしいなあ、と思いつつ、じゃあ、もう一度書き直そう、と考えたのです。

先日、三世から、(一時期並行してアップしていたもうひとつのブログ)「社会の窓から」を復活させましょう!という提案がありました。

それで、76歳の誕生日を機会に、再スタートすることにしました。その際、旧記事をチェックしたら、その中に「ユリ科の話」があった。僕の思い違いだったのです。もっともこちらには、写真が貼り付けられていません。今回は写真もたっぷりと載せているので、掲載の意義は大きいと思っています。



一応、「社会の窓から」再開第一回目を転載しておきます。将来的にはテーマごとに「あや子版」と「社会の窓から」に振り分けて行く予定ですが、とりあえず(「ユリ科の話」が完結するまで)は試行錯誤の段階で、両方のブログに重複してアップしていく予定です(今日の「あや子版」の記事も前半部だけ「社会の窓から」に転載)。



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https://shakainomadokara.hatenablog.com/entry/2024/04/26/000652?_gl=1*4rw053*_gcl_au*MTQxODUwMTA5OC4xNzE0MDU3NDg3

『社会の窓から』 社会の窓を開け放ち、世界の人々と交わろう

Wind through the window of society



「いい日、朝立ち」

“Good day. Leaving in the early morning to a strange country, far away,,,,,”



加藤登紀子さんの唄に「少年は街を出る」と言う曲があります。

ある朝、夜明けに家を出て、見知らぬ国に向かう。

そのシュチエーションを思い浮かべると、心が揺さぶられます。

そして、それを成し得なかった自分の人生を思うと、忸怩たる後悔が沸き上がってきます。

もう一度、少年の頃に戻れれば、絶対に実行するのですが、それは叶いません。

時間は巻き戻すことは出来ないのです。



でも、一つだけ方法があります。今から実行する。

僕は今日(Apr.26,2024)76歳になります。60歳を引けば(笑)16歳。

幸い、1964年1月18日(この日にちの説明は後ほど機会があった時に)以降、僕の成長はストップしていて、精神年齢は今も16歳です。

体は満身創痍で、資金の目途も全くつかない。でもそれを言ってちゃ何もできません。実行するのみです。

僕の大好きな小説に「高丘親王航海記」(澁澤龍彦)というのがあって、そのCondensemilk版を目指します。お供は、ミルク三世とイケメン・ジョージ。



2018年にスタートし、2020年のコロナ禍以降永らく休んでいたブロブ「社会の窓から」を再開します。もうひとつのブログ「青山潤三の世界あや子版」は続けているのですが、内容に沿って随時振り分けて行きたいと考えています。

青山の他に、ミルク三世、イケメン・ジョージも、代わる代わる執筆を予定。



対外的には、次の様なコンセプト(4人セット)でアピールしていきたいと考えています。応援のほど、よろしくお願いいたします。

★エーゲ海の妖精 Nina爾夏。

★父:ジョージ/イケメンの独創的ギリシャ建築家、才能溢れる自由人。

★母:チエチエ(ミルク三世)/エーゲ海トラベルの第一人者、マルチ美魔女アーティスト

★お爺ちゃん:ジュンゾウ(コンデンスミルク)/世界を駆け巡る、伝説のネイチャー・フォトグラファー



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ユリ科の話

Martagon-clade



ヨーロッパにおけるユリ属の在来種として最も著名なのがマルタゴン・リリーLilium martagon。

マルタゴン節≒輪葉組≒Martagon cladeは、グループとして、例えばシノマルタゴン節のように複雑多様な

多くの種から成っているわけではなく、ユーラシア大陸西半部(地中海東南部沿岸からウイグル=変種pilosiusculun新疆百合まで)に広く分布するマルタゴン・リリーほか数種から成っています。

花の印象が類似したシノマルタゴン節(≒巻弁組)のコオニユリや川百合とは、系統分類上、遠く離れて位置づけされていますが、幾つかの異なる見解があります。

例えば「Biosystematic Studies on Lilium」の、核DNAに基づく解析結果では、他のユリ属各グループとは離れた位置付けがなされているのに対し、葉緑体DNAに拠る解析では、巻弁組(≒シノマルタゴン節)の一員とされるヨーロッパ産L.bulbiferum(オレンジ・リリー)と同一分枝に置かれています。



マルタゴン・リリーのユーラシア大陸東部に於ける姉妹種は、东北百合 L.distichum(中国東北部や東シベリアに分布)と思われますが、僕は撮影していません。ほかに中国産としては、青岛百合 L.singtauenseがこのグループの一員と思われます。

日本列島(主に高山帯)と、一部周辺地域(カムチャッカ半島、朝鮮半島、中国浙江省?)に分布するクルマユリL.medeoloidesもこのグループの一員のはずですが、何故か、「Biosystematic Studies」にも「中国植物志」にも、記述が成されていません。



紹介するクルマユリの写真は、全てポジフィルム撮影からのデジタルスキャンです。







北海道斜里町 Aug.3,1993







北海道ニペソツ岳 Aug.6,1982







北海道アポイ岳 Aug.5,1993









岩手県早池峰 Aug.13,1993





撮影データ確認中









山梨県北岳草滑り (撮影日付け確認中)









長野県常念岳一の沢 (撮影日付け確認中)





長野県穂高岳沢 Aug.3,1986





石川県白山 (撮影日付け確認中)









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中国および日本のユリ科(狭義)植物 Ⅲ 川百合Lilium davidii

2024-04-24 21:40:28 | 雑記 報告


今日は、モニカの2人目の赤ちゃん、枝枝(ジイジイ)の3才の誕生日。写真は度々送ってきてくれるのですが、本人には未だ会っていません(コロナで帰国後に生まれたため)。お姉ちゃんの小七(シャオチー)も、6歳になりました。早く中国に戻って会いたいですね。



かつての僕の望みは“67歳まで生きる事(67という年齢には意味があるのですがその説明はまたの機会に)”だったのが、“小七が大きくなって一緒に山に登れるまで生きる”になり、“枝枝が、、、、、”と、どんどんあと伸ばしになっていきます。年だけはどんどん増えていく(明後日76歳)のに、計画は一向に実現する気配がありません。



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大谷君と一平さん。



大谷6号、首位打者に加えて本塁打でも3位についています。まだまだ早すぎますが、夢の三冠王(兼得点圏打率最下位)の可能性が、、、、(実際は打点王の事を考えればそのパターンはほぼ不可能だと思う)。

僕自身は大谷君の毎日の成績に一喜一憂しているのですが、彼が幾ら活躍しても、正義の味方崇拝信者&マスコミの金太郎飴的大谷賛歌と一平降ろしが金魚のウンチのようにくっついてくるので、鬱陶しくて吐き気がします。

日本人は、池に落ちると叩くんですね、、、(;´д`)

「人間こうはなりたくないの見本」ピート・ローズ 再びの“大谷イジリ”に怒りの声が噴出「これ以上、晩節を汚さないで」(女性自身) - Yahoo!ニュース

↑ぼくは間違ってもあなたたちの様にはなりたくないですけれどね。

《次々と明らかになる水原一平容疑者の過去》日本ハム通訳時代には「大麻所持の前科」を抹消 勤め先の日本酒輸入会社で起きた「不当解雇訴訟」の真相(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース

↑某大出版社有名雑誌編集長が(私的談話で)嘯いていました。「俺はアメリカ留学中に、一通りの覚醒剤やってたもん、バレなきゃどうってことないんよ」

バレれば犯罪、バレなきゃ自慢話。バレるのは、苦労をして生き抜いてきた人たち。バレないのは、ぬくぬくと生きているお坊ちゃんエリートたち。



さっき自分のコラムをチェックしようとして、「日本ブログ村」というのをクリックしたら、同じカテゴリーの記事が幾つか出てきました。こんなのもありました。僕と同じようなことを考えている人もいるようなので、安心しました。

Things happen. (hateblo.jp)

医学に差別されてきたのは、そしてされていくのは、「標準より劣っている」とされるひとたち(1/5)
医学とは、ある意味差別ですね。正常(健康)と異常(病気)。ひいては正義と悪、、、その判断は、“かのような”の世界に成り立っているわけです。

科学・医学は素晴らしいと思います。でも、それが全てじゃないはずです。科学の力で人類は遠からず宇宙の果てに行き着くことでしょう、永遠の命も獲得する事でしょう。だから? それで満足なの?



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ユリ科の話題 

Davidii-clade 川百合Lilium davidiiそのほか



生物の名称(和名)には法則めいたものがあります。当たり前と言えば当たり前なのだけれど、より身近なものには、より短い名前が付いています。

概ね2字ですね。

イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、、、、。

ムシ(少し分類すれば、トンボ、バッタ、チョウと3文字、カ、ガなど1文字もありますが)、ヘビ、トリ、、、、。

更に細かく種単位でも、ポピュラーな存在ほど短い。コイ、フナ、サケ、サバ、、、スズメ、カラス、、、、。

キチョウ、キアゲハ、クロアゲハ、キタテハ、アカタテハ、ルリシジミ、ベニシジミ(全部色絡みです)、、、、。

もっとも、ごく身近なのに、長ったらしい和名の種もあって、それはそれでいろんな興味深い背景があるのです(またの機会に触れます)。



植物も同様、イネ、マメ、キク、バラ、、、、ユリもその一つですね。

この法則?は英語名や学名には当て嵌まらないようなのですが、中国名には見事当て嵌まります。

ユリに関しても然り。



最も単純なのは、「野百合」(単に百合と言ったときは、種単位では野百合を指す)。低地帯を含む(北部や西部を除く)中国大陸に広く在来分布しているので、妥当なところだと思います(ちなみに和名のハカタユリは、最初に中国から持ち込まれた場所に拠る)。

次いでシンプルなのが「川百合」でしょう。こちらも中国大陸に広く分布しています。L.brouniの“野”も、L.davidiiの”川”も、それぞれの生育場所を良く表していると思います。

かように、川百合L.davidiiは中国では広い地域(ただしどちらかと言えば山岳地帯)に分布するポピュラーな種ですが、和名は有りません(日本に分布しないからなのでしょうか?)。強引につければ、「ホソバコオニユリ」と言うところでしょうか?コオニユリ(L.leichtlinii)は、中国では北東部に基変種が分布、中部以西に広く見られる川百合が、その姉妹種に相当すると見做してよいと思います(*ただし、「Biosystematic Studies on Lilium」の解析結果ではその限りではない=後述)。



川百合やコオニユリが所属するグループは、欧米では「シノマルタゴン節Sinomartagon-section」、中国では「巻弁組」とされています。

欧米産のマルタゴンリリーに似た花が咲く中国に於ける一群なので、「シノ・マルタゴン」。花被弁が外側に強く巻くので、「巻弁組」。ともにごく分かりやすい命名です。

1と2で紹介した大理百合や麗江百合、この後に紹介予定のカノコユリなども「シノマルタゴン節」「巻弁組」に所属しています。

然るに、「Biosystematic Studies」では、状況が大分変ってきた。川百合やコオニユリ、それにスカシユリの仲間などは、従来通り同じ一群(「Biosystematic Studie」の「Davidii-section」に一括されていますが、大理百合・麗江百合やカノコユリは、それぞれ別のsectionに移されています。



「Biosystematic Studies」に拠る「Davidii-section」の主なメンバーを簡単に紹介しておきます。

> L.lancifolium (変種名等は省略、以下同) オニユリ 北海道~九州、朝鮮半島、中国大陸

> L.pensylvanicum エゾスカシユリ 北海道、中国東北部、朝鮮半島、極東ロシア

> L.leichtlinii コオニユリ 北海道~九州、朝鮮半島、中国東北部、ロシア沿海地方(*日本産はvar.maximowiczii、大陸産の原名亜種は花色が黄色)

> L.concolor ヒメユリ 日本、朝鮮半島、ロシア沿海地方、中国東北部

> L.callosum スゲユリ 四国、九州、南西諸島、中国大陸南部など

> L.pumilum イトハユリ 東シベリア、モンゴル、中国東北部、朝鮮半島

> L.cernuum マツバユリ ロシア沿海地方、朝鮮半島、中国東北部

> L.maculatum スカシユリ 本州(中部以北、日本海側の集団をvar.bukosanenseミヤマスカシユリとする)

> L.davidii 川百合 ヒマラヤ東部~中国西南部~秦嶺山脈(神架農を含む)

> L.bulbiferum オレンジ・リリー ヨーロッパ・アルプス周辺



「Biosystematic Studies on Lilium」では、グループ(クレイド)内の組み合わせも、これまでの見解とは大分異なっています。また、葉緑体の解析と核DNAの解析でも、相当な相違が示されています。

例えば、川百合とコオニユリは、かなり離れて位置づけが成されている。しかも葉緑体/核DNAでは対応種が全く異なり、川百合に関しては、前者ではスカシユリが、後者ではイトハユリが、姉妹集団に位置づけられています。

エゾスカシユリとスカシユリの類縁も、相当に離れているようです(ちなみに最近の研究では、エゾスカシユリやスカシユリのグループも、再編成が成されています)。

葉緑体DNAの解析では、エゾスカシユリ、オニユリ、コオニユリなどの一群と、スカシユリ、川百合などの一群に分かれます。

一方、核DNA解析では、オニユリ、スカシユリ、エゾスカシが同じ一群、川百合とコオニユリが比較的近い一群(後者は他にスゲユリ、ヒメユリ、イトハユリなども含む)となります。

外観と分子生物学的手法による系統の考察は極めて異なる結果が示されているのですが、後者自体も解析部位によって全く異なる答えが示されているわけで、最終結論に至るまでは、まだまだ時間が必要なものと思われます。

*最後に記したヨーロッパ産の高山植物「オレンジ・リリーL. bulbiferum」については、一応Davidii cladeに含められてはいますが、核DNA解析ではMartagon clade(日本産はクルマユリ=次回紹介予定)のマルタゴン・リリーと同一分枝に置かれています。ちなみに葉緑体解析の方はオニユリ-エゾスカシユリ-スカシユリの分枝に含まれ、Martagon cladeとは遠く離れて位置づけられています。



・・・・・・・・・・・・



このブログでは、デジタル撮影の中国梅里雪山の川百合のほか、主にポジフィルムで以前に撮影してあった、日本産のコオニユリ、オニユリ、エゾスカシユリなどの写真を紹介していきます。








川百合。上2枚は同じ日の午前8時頃と午後2時頃に撮影。














川百合。雲南省梅里雪山明永 alt.約2300m Jul.25,2014

*氷河から流れ落ちる激流の脇に生えていた。葉が著しく細く密集している。








川百合。四川省康定 alt.約2800m Jul.25,2010





コオニユリ。屋久島春田浜隆起サンゴ礁海岸 Jun.14,2000






コオニユリ。屋久島春田浜隆起サンゴ礁海岸 Jin.19,2006






コオニユリ。屋久島春田浜隆起サンゴ礁海岸 Jun.12,2000




コオニユリ。長野県茅野市 Aug.21,1976




コオニユリ。長野県高ボッチJul.26,1995




コオニユリ。長野県白馬村 Jul.11,1985




オニユリ。富山県黒部市 Jul.29,1998




オニユリ。長野県開田村 Aug.23,1992








エゾスカシユリ。北海道羅臼岳 Aug.3,1993




エゾスカシユリ。北海道斜里海岸 Aug.2,1993












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中国および日本のユリ科(狭義)植物 Ⅱ 麗江百合Lilium lijiangense

2024-04-23 21:03:25 | 雑記 報告



去年の暮れから毎日のように銭湯に通っています。歩くと20分余。去年の春~秋も、蝶の観察の為に毎日のように近くを通っていたのですが、存在に気が付かなかった。撮影の帰りに風呂に入っていたらさぞ気持ちが良かっただろうことを思えば、勿体ない事をしたものです。

今年は、(その付近での)撮影自体はほとんど行っていないのですが、逆に銭湯には毎日のように通っています。近所の看板屋さんの社長氏が、仕事を終えてから、一緒に車に乗っけてくれるので、歩かずに行けるのです。


なんせ、入浴料100円ですよ!東京の近所の銭湯(名前は温泉だけれど唯のお風呂)の990円!比べて超格安です。近所には他にも何カ所も銭湯があって、日替わりでそれらの銭湯(市内は100円、別の行政だと220円)を回っています。幾つかの銭湯には露天風呂も有ります。


露天風呂大好き人間の僕としては、歩かずに行ける近所の町中露天風呂も悪くはないですが、やはり何と言っても、露天風呂と言えばアウトドアに限ります。


日本アルプスの渓谷露天風呂と、屋久島周辺諸島の海岸露天風呂。


日本一高い(標高2100m余)雲上の露天温泉が3か所あります。


八ヶ岳中部の本沢温泉、北アルプス北部の白馬鑓温泉、北アルプス中部の高天原温泉。前2カ所は何度か通ったことがあるけれど入浴はしていない。最も山奥にある(行くのに2日以上かかる)高天原温泉では、入浴したことがあります(60年ほど前です)。風呂から上がって、(バリエーションルートで)水晶岳に登りました(60年間、山に行く時は常に単独行)。また行きたいけれど、、、さすがに無理でしょうね。

一番気に入っていた露天風呂は、その高天原への登山口にあたる、湯俣温泉。登校拒否児だった中学生の頃、夏はその山小屋でアルバイトをし、同じ経営の三俣山荘、雲ノ平小屋、水晶小屋などにボッカをしていたのです。湯俣小屋はひと夏僕一人で管理していた(今思えば、よく中学生に任せてくれたものです)。食事も一人で作っていた。メニューは卵チャーハンだけ。ある日、登山客が昼飯を食べに立ち寄り、三俣山荘に向けて登っていった。数時間後、僕も用事があって登ったところ、ちょうどその登山客に追いついて、小屋にチェックインをするところだった。


登山客氏、受付のスタッフに向かって(むろん僕の存在には気が付かずに)開口一番「腹減った!湯俣小屋で食べたチャーハンが美味しかったので、ここでも食べることが出来ますか?」。もしかすると、僕の人生で、一番の自慢案件かも知れませんね!


夜、宿泊客たちが寝てから、ひとりで河原に降りて、硫黄泉が噴き出す流れを石で堰き止めて、即席の露天風呂を造ります。流れ星が、火の玉のように飛び交っています。1961年か62年の夏。




僕にとっての露天風呂と言えば、屋久島。平内と湯泊の海中温泉ですね。今は有名になり過ぎて、以前のような素朴な風情は無くなったのではないかと思われますが、引き潮の時だけ入浴可、普段は荒海の中、という正にワイルドな温泉でした。遠くトカラ列島を望みながら浸かる湯は、天国。

その、トカラ列島(十島村)の温泉、中之島では1970年代初頭、早朝フェリーが着いて、すぐに露天風呂に向かいました。僕としては珍しく2人の同行者がいて、なぜか男3人で女風呂に入ったのを覚えています。


後に主要フィールドとしていた口之島の露天風呂は、村から数時間歩いた僻地にあります。へとへとで辿り着いたら、室内の風呂は施錠されていて入れず、露天風呂のほうは水が少ししか無くて、ヘビがたむろしていたので入るのを諦めました。


口之島の北にある口永良部島(屋久島町)にも温泉があります。やはり歩くと村から数時間かかります。ここにも、海岸に露天風呂がありますが、それだけではなく、場違いな温泉旅館街?があります。もっとも人は一人も住んでいない。移住するならココだと思うのですが、実際に生活が出来るのかどうかは、定かではありません。


口永良部島を挟んでトカラ列島と反対側の三島列島(三島村)の露天風呂も、結構有名ですね。もっともそれは活火山の硫黄島(とその東隣の竹島)の露天風呂。僕のフィールドである黒島にはありません。名の通り黒々とした原生林に覆われ、島の周りは断崖絶壁、火山性の他の島々よりも成立が古いため、温泉はないのです。でも、ある時、東大の研究者たちの一行に出会ったことがあって、何をしているのですか?と尋ねたところ、「この島にも温源が無いだろうかと調査をしているのです」とのこと。その後、温源は見つかったのでしょうか?(たぶん徒労に終わったのだと思います)。




最後に、僻地の露天風呂と言えば、何と言っても中国。台湾にも数多くの露天風呂があります(僕は以前「地球の歩き方」の取材でそのほとんどを回った)が、こちらは観光化された近代的な施設です(でもどの温泉も素晴らしい!)。一方、大陸中国のほうは、有るには有っても、そりゃもう悲惨なロケーション・施設。概ね崖や岩の間からちょろちょろとお湯が流れ落ちているだけだったり、道なき道の原生林の中に、モロ硫黄が充満した高熱の湯が沸きだしていたり、、、、。ワイルドを通り越して、とても入浴など考えられないところだらけです。

もっとも、今世紀に入って、国を挙げての観光ブームに突入、今では各地に壮大な温泉レジャー施設が出現しているようです。


僕が遭遇した幾つかの温泉を、思い出すまま列記しておきます。

★広東省陽春市郊外八甲村(路傍に湧き出す湯の中で家畜の肉を捌いていた)。

★四川省ミニャコンカ海螺溝(1989年に訪れた時は、崖からちょろちょろとお湯が流れ落ちているだけ、それが2010年に再訪した際には、森林レジャー施設の中の、一大温泉街に変貌していた)。

★雲南省高黎貢山百花嶺(村から踏み後程度の山道を数時間歩いた、滝つぼ近くの原生林のまっただ中に、滅茶熱い硫黄泉が噴出)。

★同・桜花谷(イラワジ川支流の断崖の原生林中、ここはバンガローもあり、中国の露天風呂では最高!ちなみに、夏の真っただ中に数日滞在したけれど、宿泊・湯治客は僕一人だった)。

★雲南省梅里雪山西当温泉(上記海螺溝と似たり寄ったりのチョロチョロ湯、宿泊施設は馬小屋の中、、、でもきっと今は、近代的温泉に生まれ変わっているのだと思う)。

★福建省龍岩市近郊(町の中心部から適当にバスに乗って終点で降り、小一時間ぐらい歩いたところに、超近代的な温泉付きバンガロー村が)。

・・・・・・・・・・・・・


大谷君と一平さん、


今日は一休み、ということで。

・・・・・・・・・・・・・・


ユリ科の話題 


Bakerianum clade ② 麗江百合

「Biosystematic Studies on Lilium」で「Bakerianum-clade」に含まれている、僕が撮影したもう一つの種は、麗江百合Lilium lijiangenseです。撮影地は麗江からはかなり離れた四川省西嶺雪山(よって同一種かどうかは確信が持てない)。


僕が2014年に表した「中国の野生植物 ユリ科(狭義)」には、川百合L.davidiiやコオニユリL. leichtliniiとともにシノマルタゴン節(「Biosystematic Studies」ではその多くはDavidii-cladeに含まれる)の種として示しています。


実際、これまでのほとんどの文献でシノマルタゴン節の種とされてきたのですが、DNA解析に寄って、川百合やコオニユリとは遠縁の、大理百合などが所属するBakerianum₋cladeの一員と認定されたのです。


花の色や姿は、川百合やコオニユリに非常に似ています。ただし、花色はやや淡い濃黄色(あるいは黄金色)に近い明るい朱色。そして、崖から斜上または垂れ下がるように咲くのが特徴です。葉は川百合のように著しく細くはならず、やや幅広い披針形です。


成都西郊のスキー場として有名な西嶺雪山の東面中腹のスキー場に接した林縁斜面に咲いていました。


同様に垂れ下がり気味に咲き、花型や花色の良く似た種に、湖北百合 Lilium henryiがありますが、この種は花被片の基方に突起群があることで区別できます。「Biosystematic Studies」では、意外なことにRegale₋cladeに所属することが示されています。


意外なことに、と言えば、麗江百合がDavidii-cladeではなくBakerianum₋cladeに所属することも不思議ですが、何故か「中国植物志」には、中国名「麗江百合」学名「L. lijiangense」ともに見当たらない。英語版の「Flora of China」には中国名・英名ともに掲載されていて、川百合や大理百合などとともに、巻弁組の一員として扱われているようです。


ちなみに巻弁組(Sect. Sinomartagonシノマルタゴン節)に所属していたメンバーは、「Biosystematic Studies」では多数のcladeに分割・配分されています。オニユリやスカシユリを含む多くの種はDavidii-clade、大理百合などがBakerianum clade。ただしL.bakerianum(滇百合)自体は、(印象が著しく異なる小百合や尖弁百合ともども)鐘花組Sect.Lophophorumの一員です。


DNA解析による系統は、しばしば外観の類似とは全く関係なく構築され、それ自体は非常に興味深いのですが、往々にして、被検標本の同定が間違っている場合があり、混乱を齎します。正確な同定を行う(系統関係を知る)ために解析を行うのですが、それに供する材料が正確に同定されていなければならない、という絶対条件があります。鶏と卵の関係。いずれにせよ、示された答えを絶対的なもの(最終結論)と見做さずに、つねに懐疑の目を持ち続けることが必要なのではないか、と思っています。





























四川省西嶺雪山 alt.2200m付近 Jul.16,2011








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中国および日本のユリ科(狭義)植物 Ⅰ 大理百合Lilium taliense complex

2024-04-23 08:43:42 | 雑記 報告



歌手の佐川満男さんが無くなりました。僕とは何の縁もないのですが、最初の奥さんの伊東ゆかりさんが、ジョニーのキューティ・パイの日本でのヒットに多大な貢献をしているわけで、それを考えれば僕の人生に(間接的に)少しは影響があったのではないかと。キューティ・パイが日本でヒットしていなかったら、バンコクで三世やジョージとも出会っていないわけですし(笑)。

それはともかく、佐川満男さんの実家は、僕の実家のすぐご近所なんです。近所に住んでいた有名人と言えば、佐川満男と阪神タイガースの真弓選手(2人とも近所には違いないんだけれど面識は有りません)。


中学校時代、JR塩屋の駅前で、花束を持った女子高校生から佐川さんの家を訊ねられて、大体の場所を教えてあげたことがあります。伊東ゆかりを挟んで佐川さんのライバルだったのが、巨人の柴田選手。阪神戦(甲子園)の時の巨人軍の常宿は芦屋の竹園旅館。中学校時代は塩屋⇔芦屋を通っていて、登校途中に竹園旅館の前を通ります。坂の上からランニングで戻ってきた当時新人の柴田選手に向かって、罵声を浴びせた覚えがあります(なんせ、コテコテの阪神ファンだったので)。



今日の大谷君、一平さん。

平野啓一郎氏 大谷翔平の関与疑う発言で稼いだインフルエンサーを疑問視「返上すべきでは」(東スポWEB) - Yahoo!ニュース

大谷翔平選手にまつわる「たられば」の罪深さ(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

「元NBAスター選手が言ってたよ。オオタニは有罪だって」大谷翔平を“悪人”に仕立て上げようとする米記者に非難の声が殺到!「お前は哀れだ」「もううんざり」(THE DIGEST) - Yahoo!ニュース



なにやら、以前にも何度も見たのと似た動きが、、、、本人たちは全く気が付いていないでしょうが、、、、これ、「集団的洗脳」「同調圧力」の典型であるということに。

無知な大衆はともかく、いわゆる知識層に属する「知能の高い」人たちの、薄っぺらな感性には、呆れてしまうしかありません。


「定説」に対する批判を許さない「自主警察」の人々は、いわゆる「真実」以外の異論は、陰謀論として抹殺します。マスクやワクチンを否定すると、「自分勝手な悪人」「国賊」として罵られる。


香港デモを批判した記事を書いたときは、「(正義の学生たちを非難する)こいつは人間としての心を持っているのだろうか?」と、ボロクソに叩かれました。


今、大谷君に対して一言でも批判を行えば、人間失格の烙印を押されかねません。「恥ずかしいとは思わないのか」「大谷に謝れ」、、、有識者も大衆も、正義の金太郎飴の大合唱です。


大谷君本人にとっても、決して良いことではない、と思います。




しかし、それにしても大谷君、打撃絶好調ですね。とうとう首位打者ですよ!それに松井を抜く通算本塁打。

打率(1位)、安打数(1位)、出塁率(3位)、二塁打(1位)、三塁打(6位)、ホームラン(9位)、得点(4位)、打点(23位)、塁打数(1位)、長打率(3位)、盗塁数(9位)、OPS(3位)、、、(打点を除き)全てトップを競っている。凄い事ですね。

にもかかわらず、得点圏打率が最悪(昨日やっと2本目を打ち、今日やっと1割台に乗せて、95位から89位に)。まさかとは思うけれど、このままでは、シーズン終了後、首位打者(あるいは三冠王)になって、得点圏打率は最下位、という、前代未聞の珍事にもなりかねません。


まあ大丈夫だとは思いますが、例年、表立った実績に比べて、得点圏打率は低い。そこいら辺に(野球だけではなく一平氏問題などを含めた)大谷君の課題が(それとなく)示されているのではないかと思います。


野球選手として完璧な成績。


人間として完全無欠。


しかし、光の当たる角度を変えてみれば、、、、、。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ユリ科の話題。

いろんな異質の集団を寄せ集めた巨大ファミリーから、一気にごく少数の属と種から成る弱小ファミリーに転化した(必ずしもネガティブに捉える必要はない)、ユリ科植物ついて、僕が撮影した中国産と日本産の種を中心に紹介していきます。


何度も繰り返して言いますが、僕は(自分で形態や生態を深く検証しているチョウやセミと違って)植物に関しては(唯一、野生アジサイを除き)全くの素人です。アカデミックな知識も、マニアックな知識も全く持ち合わせていません。よって、幾つかの文献に示されている資料からの、受け売りの知識を、自分なりに統合・再編して、蘊蓄を述べていくことになります。


ユリ科は、ユリ亜科、タケシマラン亜科、ホトトギス亜科から成り、その大半をユリ属が占めます。


ユリ属の分布は東アジアに集中しています(一部は北米大陸)、人気の発祥地はヨーロッパです。宗教と結びついたのも大きいですね。ヨーロッパにも少数の種が在来分布していますが、多くは東アジアから持ち込まれた素材を基に、園芸化が為されてきました。そのヨーロッパの研究者たちの視点で、アジア産の原種群を含めた系統分類に、古くから取り組まれ続けてきました。さすが博物学の本場だけあって、その分類体系の構成の完成度は、すばらしいものだと驚嘆します。しかし、近年の分子生物学的手法に拠る解析では、少なからずの見解が覆っています(別の視点から捉えれば、かなりの一致点も見出されるとも言える)。


欧米に於ける研究とは別に、ユリ属の系統的な分類体系は、北米産のPardalinum群などを除く大半の種が中国大陸に集中して分布していることもあって、中国でも研究が進められています(ただし、「中国語版中国植物志1980/2019」「英文版Flora of China2001」「中国植物図像庫」でしばしば異なる見解が示されている)。ヨーロッパにおける伝統的分類体系とも、次に記す(日本の)最新科学技術に導かれた見解とも、かなりの部分で異なってはいますが、なにしろ材料が圧倒的に豊富なことから、無視はできません。


大抵の東アジア産の生物では、日本産の種は中国産の種の中に概ね含まれていて(日本固有種とされるものも大半が中国に姉妹種が分布しています)、ということは、中国産による系統分類がそのまま日本産にも応用される、という側面があります。


然るに、ユリ属に関しては、中国大陸に分布の中心があるグループの他に、日本列島(および日本海周縁地域)にだけ分布する種から成るグループが、少なからず存在します。そのいくつかは、例えばヤマユリのように、日本的な清楚で奥ゆかしい情緒を保ちながら、日本産生物としては珍しく豪華絢爛な種です。


東アジアのユリ属の種は、中国大陸(主に西南部)と日本列島に二極化して分布しているわけです(そしてそれぞれがヨーロッパに於ける品種改良の重要な役割をなしている)。


その結果、旧来の伝統的な西洋博物学に拠る分類体系、膨大な材料に物を言わした中国に於ける分類体系、近代科学的手法に基づく日本での分類体系、それぞれの手法の違いと共に、材料の違いもあるわけで、レザルトに食い違いが生じても、仕方がない事と思います。




現時点でユリ属の系統分類に於ける最も信頼性の高い報文は、幾つかの日本産固有種を含めた多くの東アジア産の種を中心にDNA解析を行った「Biosystematic Studies on Lilium (Liliaceae) I. Phylogenetic Analysis Based on Chloroplast and Nuclear DNA Sequences and a Revised Infrageneric Classification」(T. Watanabe, et.al, 2021)ではないかと思われます。

その共同執筆者の一人である大阪の植物園「咲くやこの花館」の前名誉館長久山敦氏が、従来の諸見解を纏めた「花の故郷から学ぶ(6)野生の百合」を、一般紙に寄稿されています。


6月号カンプ_P37〜39_自生地めぐり.pdf

氏よりの私信には、

「上記論文の発表前の諸見解の纏め故、群の組み合わせが大きく異なる」としたうえで、

●DNA調査は一部種しか出来ていないので、全貌をつかめない。

●種の定義に趣味家的な見解もあることが問題。

●正確なKEYが出来るまでには時間を要しそう。

旨のことが附されていました。

正にその通りでしょうね。

思うに、ユリ以外の一般論としても同様でしょうが、ことにユリなどの人気のある対象に於いては(趣味家的な見解に基づく種の定義などに伴った)材料が多いことが必ずしもプラスの要因とはならないのではないでしょうか?

それはともかく、上記の論文にしても、葉緑体による解析手法と、核DNAに基づく解析手法とでは、群間の系統関係の組み合わせが著しく異なってきます。


ここでは、核DNA解析により成された分類をベースとし、敢えて群間関係には触れずに、11の群を並列して個々に紹介していきます。そのうえで、幾つかの群に分かれて配置されている「中国植物志」記載の各種を、それぞれ11の群に振り分けて行きます。




今回のブログでの紹介は、大理百合Lilium talienseから始めます。

ポピュラーでインパクトの強い種と成れば、種としても群としても日本独自の存在で、何と言っても清楚かつ豪華な花のヤマユリがNo.1ではないかと思われますが、この報文は中国の自然をベースにしていることから、別群の種を選んだわけです。


中国を代表する野生ユリとしては、リーガルリリー、野百合(ハカタユリ=日本のテッポウユリなどに近縁)、川百合(日本のコオニユリなどに近縁)などがあります。


けれど、僕のフィールドである西南地方の山岳地帯に広く分布し、かつ群としてもこの地域が主体(日本には分布しない)で、なおかつビジュアル的に非常に美しい(花の色彩斑紋パターンはヤマユリに似て、ずっと小型で可憐)大理百合を、トップバッターに選んだわけです。




以下、「中国の野生植物・ユリ科(狭義)」初版(2014)の記述を転載。

Lilium taliense (大理百合)

7月頃、雲南省西北部や四川省西部の標高2400m~3600m付近の林縁や渓流沿い草地などで、白とピンクの地に紫色の斑点を伴った美しい花が咲く野生ユリによく出会う。この一帯では比較的ポピュラーな植物だと思うのだが、種名が特定できないでいる。

白花の多くは大理百合Lilium talienseと同定して良いと思うのだけれど、問題は紅花。大理百合の色違いの変異型なのか、独立の分類群に所属するのか。後者の場合、宝興百合L duchartrei である可能性が強いのだが、さらに複数の種(例えば卓巴百合 L.wardiiなど)が混在している可能性もある。

茎は直立または斜上し、葉は細長い披針形、対生または輪生。径5㎝ほどの花が茎頂に1~数個下向きに咲く。花被弁は強く反り返る。筆者の撮影した個体に限って言えば、四川省九賽溝産は全て白、四川省康定は淡いピンク、四川省境近くの雲南省翁水では白とピンクが混在、雲南省白馬雪山産は全てピンク。

いくつかの傾向があり、白花株は開けた草地や日当たりのよい斜面に多く、紅花株は林縁や日陰になった路傍などによくみられる。白花株は草丈が高く花序に花を多数つけ、紅花株は草丈が低く、花序の花は少ない。

宝興百合L.duchartreiが大理百合L.talienseと異なる特徴は、花被弁基部両側?の蜜腺周辺に突起が発達すること、葉柄があること、などとされるが、筆者の撮影した紅花個体ではその特徴を確認していない。

宝興百合の系統分類上の位置づけは、「中国植物志」では大理百合L.talienseと同じ巻弁組(ほかに川百合L.davidiiや日本のコオニユリL.leichtliniiなども所属)に含まれているが、検索表に於ける位置づけはかなり遠く離れている。



「中国植物志」(1980[2019版])によると、宝興百合L.duchartreiに似た匍茎百合L.lankongense(←双苞百合L.ninae)が、全ての他のユリとはなぜか別枠で示されていて(“葉が散生“という特徴に基づく?)、ただし英語版「Flora of China 」(2000)では、宝興百合と共に、大理百合の近縁種として位置づけられています。



大理百合と宝興百合の区別点(「中国植物志」に拠る)

乳腺は乳頭状ではなく時には線毛状の突起を伴う(大理百合)。

蜜腺は両面に乳頭状に形成される(宝興百合)。



宝興百合と匍茎百合の区別点(「Flora of China」に拠る)

葉腋に白毛が密生、葉脈は背軸方向に隆起しない。花被片は白く、赤紫の斑点がある(宝興百合)。

葉腋には毛がない。葉脈は背軸方向に隆起。花被片はピンク色で、深紅の斑点がある(匍茎百合)。



宝興百合と匍茎百合の区別点(「Pacific Bulb Society」に拠る)

花は散形花序の長く優雅な花柄に付き、花の基本色は白(宝興百合)。

花は開いた総状花序の長い花柄に1茎あたり6~12個付き、下向きで反り返る(匍茎百合)。



「Biosystematic Studies」では大理百合L.taliense自体がコオニユリなどの巻弁組各種(大半がDavidii-clade)から遠く離れて位置づけされていて(Bakerianum-clade)、宝興百合L.duchartreiについては記述がありません。前記したように「Biosystematic Studies」は葉緑体と核DNAの解析から成されていて、それぞれの手法で群(Clade)間の対置関係が全く異なります。



いずれにせよ細部の検証は僕の写真では困難ですが、「Taxonomic notes on Chinese Lilium L. (Liliaceae) with proposal of three nomenclatural revisions(Yundong, Gao2014)」「横断山分布的百合属植物」などに於ける見解などとも照らし合わせれば、少なくとも雲南省翁水村に於ける白花と赤花は、それぞれ大理百合と匍茎百合(もしくは宝興百合)に相当するのではないかと思われます。しかし、そのほかの地域で撮影した、四川省九賽溝の白色個体、四川省康定の淡ピンク色の個体、雲南省白馬雪山のピンク色個体等が、それぞれ上記の分類群に相当するか否かについては定かではなく、暫定的にそれらを複合して、大理百合複合種L.taliense complexとしておきます。


大理百合が所属するBakerianum-cladeには、他に中国西南部からミャンマー北部にかけて分布する鮮やかな色調の滇百合L.bakerianumや、一見コオニユリなどが所属するDavidii-clade(シノマルタゴン節の主要メンバー)の種に似た麗江百合L.lijiangense(次回紹介予定)などが含まれますが、日本列島および日本海周辺地域には一種も分布していません。












































四川省との省境近く、雲南省西北部翁水村の路傍の急斜面(alt.約3100m)に、典型的なL.talienseのように思える、背の高い白花の株が多数生えていた。Jul.16,2014

















上写真20枚の白花個体と同じ場所に、草丈の低いピンク色の株も混在。こちらはL.lankongenseである可能性が強い。Jul.16,2014













雲南省白馬雪山中腹、alt.約2000mの長江岸から、alt.4300mの峠頂との中間地点付近(alt.約3000m)の夏緑広葉樹林の林縁に、ピンク色のやや草丈の高い株が散生していた。Jul.29,2008









四川省九賽溝。渓流に接した広い湿性草原(alt.約2500m)上に、草丈の高い白花の株がポツンポツンと生えていた。Jul.31,1991












四川省康定(alt.2800m付近)。急斜面に生えていた淡ピンク色の株。Jul.25,2010







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非科学的な話~雲の向こうの白い国 Ⅲ タンポポ

2024-04-20 20:48:32 | その他



今日4月20日は、Johnny Tillotson 86歳の誕生日。

毎年、お祝いのメールを送っているのだけれど、今年は僕のヤフーメールのアカウントのパスワードが変更されて本人証明が出来ないでいて、様々な連絡先が全て見れなくなってしまっています。ジョニーのアドレスも分からなくなってしなった。これからツイッターとかで探して(操作方法が分からないので誰かに手伝って貰わねばならない)送信しようと思っています。



ここんところ、ジョニーの「新曲」が相次いでyou-tube上にアップされています。むろん、録音されたのは大分以前(と言っても2000年代に入ってから?)なのでしょうが。

いろんな曲を紹介していきたいのですが、選んでいたらあれもこれもできりがありません。取りあえず2つ。



it keeps right on a hurtin' first time hearing - 検索 動画 (bing.com)

https://www.youtube.com/watch?v=DTkA9AfyjJE (上と同じ)

ひとつは、現代の若いDJが昔の曲を紹介するコーナー、曲を聴いて感想を述べます。ジョニーも「ポエトリー・イン・モーション」や「ホワイ・ドゥ・アイ・ラブ・ユー・ソウ」などが取り上げられていて、むろん「涙ながらに」もあります。

若い男女2人のD.J.。とても気に入ってくれているみたいなので、僕も嬉しい気持ちになります。

「ポップス」なのか「カントリー」なのかと言ったようなことを議論したりしながら(「クルーナー」だ、と何度も感想が入ります)曲がオンエアーされます。

現代の若者に拠る、昔の音楽の再評価、、、いい企画ですね。

なお、ここで取り上げられている音源は、1962年のCadenseのオリジナルではなく、1967年のMGMバージョンです。僕は、これまでは圧倒的にケイデンス盤が優っていると思っていたのですが、改めて聴いてみると、MGM版も結構素敵です。



Bing 動画

もう一つは、同じくジョニー自身のペンによる1963年のヒット曲「涙でいっぱい」。この曲は、なぜか(結構ヒットしたのにも関わらず)40年近く、アルバムにもベスト盤にも収録されていませんでした。最近になって、別テイクを含む音源が次々とアルバムに組み入れられて、のみならず、2023年にはセルフカバーの新譜?として発表されています。

いつ頃の録音なのでしょうか? 少なくても1960年代でないことは間違いないですが、1980年前後なのか? 2000年代に入ってからなのか?

これが素敵なんですね。60年代のソフトで素直な歌声とは異なる、粘っこい独特の節回し、何といっても、バックに展開されるジョニーの映像が良い。特に古いライブの動画。これまで60年代初頭の動画はほとんど公開されていない(50年代末、60年代後半は幾つもある)のだけれど、ここにはごく短い映像が、同じような背広とネクタイのスタイルで、ギター無しと、ギターを抱えたのと、2つ挿入されています。

61年を挟んだ前後1年でしょうか? 別ユーチュブに基づけば、ギター無しのほうは「アース・エンジェル(口パク)」のようです。ギターを弾いているのは、どの曲なのでしょうね(バラード曲)。



・・・・・・・・・・・・・・・



今日は、大谷君、一平さんの話は無しです(ちなみに、若い頃のジョニーは、大谷君にどことなく似ている)。

僕のもひとつの趣味、明治文学絡みですが、内田魯庵と三田凡天寺が「趣味人は学問分野に分け入るべきか否か」と言ったようなことを一発触発の雰囲気で激論していました。そこに2人の友人の淡島寒月からエールが。「どっちも負けるな!」と。登場人物のメンツ(キャラの濃さ)が凄いですね(分かる人は分かる)。



ということで、僕は今後とも、大谷君、一平氏を、ともに応援し続けます(形の上では、劣勢の一平氏に肩入れする)。

ユリの話をしていく予定でいたのですが、いつの間にかレンゲソウとかタンポポとかに寄り道してしまっています。今日は、白いタンポポ。



ちなみに旧い分類体系では、頭花が舌状花のみからなる(タンポポ属を含む)タンポポ連の種は、他の全てキク亜科の種と対応するタンポポ亜科として纏められていました。現在の分類体系では(タンポポ亜科としての纏まりはそのまま保たれているにせよ)、他のキク科植物とともに単系統上に組み込まれています(コウヤボウキなどが側系統)。ちょうど“蝶”に於けるセセリチョウ科の処遇の変遷と軌を一にします。



タンポポ連全体としては、僕の興味は、レタスやアキノノゲシを含むLactuca属、それと中国の高山帯に生える(今回紹介する高山性白花タンポポとも混在する)原始的な花序構成を示す絹毛苣菊属 Soroseris で、タンポポ属は(興味はあるけれど)知識は全くないし、撮影個体のチェックもきちんとは行っていません。



タンポポ類の分類は非常に複雑です。おそらくは近年のDNA解析で、かなり詳細な分類体系が構築されていることと思いますが、僕はまだチェックしていません。それで、頭の中に朧げにインプットしている、森田竜義氏による旧来の解析結果に基づいて、話を進めて行きます。



所謂「タンポポ」は、ごく大雑把に言って「日本タンポポ」(在来種)と「西洋タンポポ」(帰化種)から成ります。

在来タンポポは、いわゆるニホンタンポポに代表され、カントウタンポポ、トウカイタンポポ、カンサイタンポポなどが含まれます。それにエゾタンポポや高山性各種あるいは特殊地域に稀産する数種が加わります(互いの系統上の関係については割愛)。

帰化タンポポは、セイヨウタンポポに代表され、近年はアカミタンポポをはじめとした数種も加わっているようです。



中国での実態は、僕は把握していません。おそらく上記した日本産各種の関係性が、より複雑に入り組んだ状況を示しているのではないかと思われます。蝶に置き換えれば、セイヨウタンポポがモンシロチョウ、ニホンタンポポがスジグロチョウーエゾスジグロチョウの一群、と言うところでしょうか?



ニホンタンポポは(大雑把に見て)首都圏がカントウタンポポ、京阪神圏がカンサイタンポポということになりますが、西日本にはもう一種、白い花のシロバナタンポポが存在します。

関西では黄花と混在(東日本でも稀に見られる)、九州では黄花の在来種は稀にしか見られず、ネイティブはほとんどがシロバナタンポポです。

シロバナタンポポは独立の種Taraxacum albidumで、稀に出現する他の日本タンポポの変異型である「白花のタンポポ」とは、基本的な存在次元が異なります。



ちなみにシロバナタンポポは、西日本一帯の比較的広い範囲に分布しているのですが、全ての個体が(黄花のどれかの種から生じた)同じ遺伝子をもつ、いわゆるクローンによって形成されているのだそうです。



中国大陸ではタンポポの撮影時にきちんと形質チェックはしていないので、日本産との相関性などについては分かりません。白花のタンポポも時々見かけますが、それが(黄花種の)白花変位型なのか、日本産のシロバナタンポポと同じ種なのか、別の独立種の白花のタンポポなのか、僕には判断がつきません。もっとも、現在整理中の段階で、低地産に関しては白花はほとんど見当たらず、唯一、山東半島産(朝鲜蒲公英Taraxacum coreanum?)を紹介しておくに留めます。



一方、西南部の山岳地帯では白花がメインと成ります。標高3000m~4000m台の高山草原に生育、幾つかの地域で撮影しましたが、それらが同じ種なのかどうかは不明。日本のシロバナタンポポとの関係も不明ですが、見た感じでは非常によく似ていて、その関係性が気になるところです。

*「中国植物志」では「白花蒲公英=T.leucanthum」(ウイグルやチベット周辺地域に分布)。「中国植物図像庫」では「白花蒲公英=T.albiflos」(中国各地に分布)。



福岡県飯塚市2024.3.27







福岡県飯塚市2024.3.11







福岡県飯塚市2023.3.19









福岡県飯塚市2023.4.1





福岡県飯塚市2023.4.3





福岡県飯塚市2023.5.1





福岡県飯塚市2023.5.2





福岡県飯塚市2023.5.9





山東省青島市2001.4.28





四川省塔公-八美 alt.4200m 2010.7.23





四川省雅江-新都橋 alt.3500m 2010.6.7













四川省理塘-巴塘 alt.4200m 2010.6.10





雲南省香格里拉 alt.3300m 2005.6.20









雲南省香格里拉 alt.3300m 2015.7.29





雲南省香格里拉 alt.3500m 2015.7.30





















雲南省白馬雪山 alt.4400m 2009.6.15












雲南省白馬雪山 alt.4300m 2010.7.24





雲南省白馬雪山 alt.4100m 2008.7.29





雲南省白馬雪山 alt.4200m 2005.9.28



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次回からユリの話(10~20回を予定)。






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非科学的な話~雲の向こうの白い国 Ⅱ ヒガンバナほか

2024-04-20 07:50:49 | 雑記 報告



水原容疑者なしでは「途方に暮れていた」 家族のために奔走…元助っ人が感謝した“献身” (msn.com)

大谷君は、(普通に考えれば不可能な)自分の夢を実現すること、ただひたすらに、それだけを考え、実行し、実現させてきた。それ以外のあらゆる事柄は、全て無関心。

一平氏は、どろどろの世界の中で、苦しみながら生きてきた。悪い(法に触れる)こともやってきたことでしょう。でも自分が苦しい分、人の苦しみも我が身のように分かったのだと思う。

だらしのない、しかし一生懸命な、ひとの気持ちを(そのスタンスが間違っているにせよ)思う、、、、そういう人なんでしょう(ちなみに、中国はそんな人だらけ、笑)。



何度か指摘しているのですが、大谷君が「仮想通貨」(のちに破綻、主催者は有罪実刑収監中)機構の広告塔になっていた件。何故か全くスルーされてしまっているのですね。それを信じて人生破綻した人も少なからずいるはずです。

こんな記事も目にしました(今ソースを探索中)。一平氏が、度重なる賭博に大金をかけねばならなくなった経緯は。仮想通貨に手を出し、身動きも取れなくなってしまったことが発端。

大谷君は「法的」には、間違ったことは何一つ行っていないのだと思います。しかし、「法」が全てではないはず(それが「全て」であると信じている人も多い事でしょうが)。



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直接の関係はないのですけれど、、、。

完全無欠のヒーロー大谷君の対極的存在に位置続けられる人間(極悪人)としては、一平氏のほかに、もう一人、元エンゼルス同僚のレンドン選手がいます。そりゃもう、(ヤフコメ民をはじめとする)日本の大衆からすれば、これほど酷い、人間として最低の人物は、そうそういない、と罵倒され続けています。非の打ちどころのない人格者大谷と対比させて、それはもうボロクソです。客観的に考えれば、立派な人権侵害だと思うのですが、たぶん誰一人そんなことは認識していないことでしょう。正義が悪を懲らしめるのは当然なので。

野球に対する取り組み方、金銭に関しての価値観、、、、等々、「善」と「悪」の対照的な見本。いやもう、余りにはっきりと表れているので、笑ってしまうぐらいですが、光を当てる角度を変えると、もしかすると、、、、、。

レンドン選手の姿勢は、本当に(ほとんどの日本人が疑いもなく思っているように)間違っているのでしょうか?

それについての考察は、ここでは割愛します。

エンゼルスの新監督(名将ロナルド・ワシントン)は、開幕以来、(去年までの大谷に代わって)レンドンを不動の1番バッター指名打者で起用し続けている。ほとんどの日本人(たぶん全員)は、狂気の沙汰、ワシントン監督は頭がおかしくなったのでは?と思っているはずです。

実際、今期も成績上では、雲泥の差があります。打率、出塁率、安打数、二塁打、三塁打、ホームラン、塁打数、得点、打点、盗塁数、、、、、数字の上で比較にならないほど大谷君が優っています。むろん「人間性」も「完璧」と「最悪」。

それでも監督はレンドンを信じて主軸に起用し続けている。契約云々でしかたなく、という事情もあるのかも知れませんが、それなら他に幾らでも方法があります。そしてその結果、エンゼルスは健闘している。

数字上は、けた違いに大谷君が優っているわけですが、ただひとつ、そうとも言えない部分があります。それは、「得点圏打率」の(打率や本塁打数からすれば)異常なほどの低さ。ここで打って欲しい、というところで打てない。今年に限ったことではなく、ここ数年ずっとその傾向が続いています。

一方レンドンは、(ここ数年の成績は)圧倒的に劣りますが、意外に大事なところで良い働きをしている(ヒットとかホームランとかの数字に表れる面ではない部分で)。



あと、ケガをしても隠して出場をし続ける大谷と、ケガをしたらすぐに欠場してしまうレンドン。

チームスポーツ野球として見た場合、どちらがチームにとって有意義な事なのか、判断が難しいところだと思います。



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前回、「次回からユリの話」と書いたのだけれど、あと2回「西に行くと白(科学的な根拠なし)」を続けます。今回は白いヒガンバナと白い野生イチゴ。次回は白いタンポポ。



「海の向こうの兄妹たち・上巻」(2014)では「ゲンゲとヒガンバナの故郷-真の野生はどこに?」として、春のレンゲソウと秋の彼岸花とをセットで紹介しています。

白い彼岸花(シロバナマンジュシャゲ)は、蝶に於ける「白いスギタニルリシジミ」ともども、九州を象徴する生物のひとつだと思います。

ちなみに、シロバナマンジュシャゲは、紅花のヒガンバナと黄花のショウキラン(ショウキズイセン)の種間雑種由来と考えられていますが、実際の所はよく分かりません。*各種の学名についても敢えて示さないで置く。

九州各地には白花種が自生していても、黄花種(ショウキラン)は自生していない(屋久島以南の南西諸島に自生?)と思われますし、そもそも紅花のヒガンバナ自体が不稔性です。とういことは、中国で交配した子孫集団が九州に持ち込まれた可能性が強いわけですが、僕は中国で白花種を見た記憶がない。



ということで、ヒガンバナの場合の「東⇒西」は、とりあえず赤(本州)→白(九州)→黄(中国大陸)の順と言うことになります。





赤と白の曼殊沙華が咲く路傍の土手。福岡県飯塚市2023.9.22





ヒガンバナとシロバナマンジュシャゲ 福岡県飯塚市2023.9.23



写真⓷⓸



ヒガンバナとシロバナマンジュシャゲ 福岡県飯塚市2023.9.21





シロバナマンジュシャゲ 福岡県飯塚市2023.9.19

ゴミ捨て場の脇などに生えていたりします。











シロバナマンジュシャゲ 福岡県飯塚市2023.9.20

鬱閉した照葉樹林内の路傍。



日本に在来分布するLycoris属の種は、結局のところ、キツネノカミソリ一種(および変種のオオキツネノカミソリなど)ということになるでしょうが、そのほかの“自生種”も、それぞれ単純な“帰化植物”の括りでは捉える事が出来ないのではないかと。ヒガンバナ(赤)、シロバナマンジュシャゲ(白)、ショウキラン(黄)、ナツズイセン(青)、、、どれも一平さん並みに、興味深い魅力のあるアイデンティティを有しているように思えます。





ショウキラン屋久島。屋久島、トカラ列島、奄美大島ではよく見かけるのだけれど、大抵は民家の片隅とか、野生状態とは言えないところですね。でも、「明らかに外から持ってきた」とも言えなさそうな雰囲気も漂わせているので、よくわからんです。







中国産の黄花種。「海の向こうの兄妹たち」では、L.chinensisとしておきましたが、確信はないです。成都近郊の青城山山麓の小渓流にて。川岸の草叢の中に、ぽつんと一株だけが咲いていました。









これも中国産の黄花種。桂林市の郊外、有名な観光地・陽朔とは反対側のだだっ広い平坦地(華中長江流域と華南珠江流域を連接する、いにしえの運河“霊渠”の近く)に、ポコッと岩山が突出していました。付近は長閑な田園地帯、この時期、日本ならほぼ間違いなく、田んぼの土手にヒガンバナの赤い花が咲き競っています。でもここには皆無です。皆無ではあるのだけれど、、、なんだか頭の隅っこに、テレパシーで(笑)、存在のシグナルを送ってきているような気がする。でも無いものは無い。シグナルは気のせいだと思って、その場を去ろうと、凝視していた田んぼからふと目線を上にあげたら、正面の岩山の断崖絶壁に黄花のヒガンバナがぎっしりとへばりついていた。ショウキランにしろ、ヒガンバナの仲間にこんな特徴的な生態型を持つ種なんてあったっけ?Lycoris aureaなのか別の種なのかよくわかんないので、種名は保留にしておきます。広西壮族自治区興安県2003.10.4







この後、山際に行って、赤い花のヒガンバナに出会いました。日本のように田んぼの土手に整然と並んで咲いているのではなく、民家の裏庭の藪や斜面などに雑然と咲いています。日本のヒガンバナは、全ての株が申し合わせたように9月の中旬に一斉に咲きますが、中国に於いては、半月ほど早かったり遅かったり、個体群ごとにバラバラです。広西壮族自治区龍勝県2003.10.6





山道の脇にポツンと一株だけ咲いていました。開花時季は日本のヒガンバナと同じですが、佇まいが全く異なります。福建省龍岩市2003.9.14







こちらも道路わきの暗所にぽつんと。7月中旬、開花時期は日本のヒガンバナよりも2か月も早い。いわゆるコヒガンバナ(稔性あり)に属するのかも知れません。浙江省清涼峰山麓2018.7.13



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4月も後半になると、「春」というよりも「初夏」ですね。

フジの花が展開しだしました(ルリシジミが産卵にやってきます)。

東日本の在来種のフジWisteria floribundaは、いわゆる藤色の種“フジ”です。一方、西日本では白花種のヤマフジW.brachybotrysが主体になります。これも「西=白」の一例と言えるかも知れません。

ただし中国産の在来種(第3のフジ属の種W.sinensis)は基本藤色(白花もある)で、しかし日本のフジとは花序の巻き方が逆です。フジ属はこの東アジアの3種の他に、訪米大陸東海岸から第4の種W.frutescensが知られていて、「東アジア+北米大陸東海岸生物群」の代表的な例と言えるでしょう。





フジ群落のなかのヤマフジ(白)。飯塚市鳥羽公園2023.4.17





チュウゴクフジ。杭州市近郊。



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中国雲南省は「遥かなる雲の南」。そして「雲の南の白い国」でもあります。





雲南省に近い四川省西南端の“白い街”郷城 2010.5.22





この一帯(雲南省維西県東南部)には8つの少数民族居住地が混在しています。その一つ、民家も畑も白で統一された村。雲南省維西‐巨甸 2010.5.17



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人の世界も人間以外の生物も、“西に向かうと白”。むろん、それぞれで全くパターンが異なる(たぶん互いの因果関係は全くない)のだけれど、日本を基点として見渡した東アジアを大雑把に捉えると、「西に向かうほど白くなる」という傾向があるのは確かなようなのです。





ダイミョウセセリ 東日本型。東京都青梅市 2021.5.25





ダイミョウセセリ 西日本型。福岡県飯塚市 2023.4.26





ダイミョウセセリ 中国大陸(含・台湾)型。雲南省梅里雪山 2011.8.11



ナガサキアゲハとか、ミヤマカラスアゲハとかも、同様の傾向を示します。クマゼミも基本はそれに近いのですが、実態はより複雑(本土=黒/屋久島=白黒混合/奄美=欠如/沖縄=真っ黒/八重山=白/与那国=真っ白/台湾=黒褐色別種)。



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野生のイチゴ(ワイルド・ストロベリー)は、日本の高山地帯などにも2種が在来分布しています(シロバナヘビイチゴとノウゴウイチゴ)。赤い実で、栽培イチゴのミニュチュアのように小さく、しかし甘みが凝縮されていてとても美味しいのです。

中国にも、各地の山々に野生していますが、西南部の山岳地帯には、白い実のなる種もあります(シロミノモリイチゴと仮称)。赤い実の種と混在していますが、一応別種です。非常に美味しい!ほんのりと、ミルクの味もします。僕の仮説(単なる思い付き、笑)ですが、イチゴにミルクを加えて食べる習慣は、もともと野生種に含まれていた香りが、実を大きくすることに拠って失われてしまい、それを補佐することから始まったのではないかと。





白い実の野生イチゴ。雲南省高黎貢山 2006.5.12











赤と白い実の野生イチゴ。雲南省香格里拉~虎跳峡 2007.7.9









赤と白い実の野生イチゴ。雲南省香格里拉~白水台 2007.7.10







白い実の野生イチゴ。雲南省白水台 2009.6.3







ちなみに(これもまるっきり偶然)、シロミノモリイチゴが多く見られる雲南省西北部の白水台ウオーター・テラスは、真っ白な石灰岩で構成されています。雲南省白水台 2005.6.13



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ということで、漠然と「西は白」を並べておきました。科学的根拠は全くありません。九州=白、と言えば、秋のシロバナマンジュシャゲとともに、春のシロバナタンポポがその代表格。ちなみに、中国の高山タンポポは、基本白花です。次回は、九州と中国大陸の“白花のタンポポ”を紹介していきます。







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非科学的な話~雲の向こうの白い国Ⅰレンゲソウ

2024-04-18 21:25:11 | その他



一平さんに対しては、僕は正直言って、以前は苦手でした(なんでこんなに胡散臭い人が持て囃されるのだろうと)。大谷君は文句なくカッコいい。



今回の事件で、一平さん、見直しました(笑)。様々な(むろんネガティブな)情報が入ってくるにつれて、益々興味深々です。相反するように、大谷君が実につまらない人間に思えてきた(変わらずに応援していますが)。



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教育は洗脳、科学は手品。

陰謀論とか、エセ科学とか、僕は好きですね。

理屈ではよくわからんことを指摘すると、それは非科学的と蔑まれ、陰謀論として処理されてしまう。



今、ユリ科のあれこれ(ことに「Biosystematic Studies on Lilium I. Phylogenetic Analysis Based on Chloroplast and Nuclear DNA Sequences and a Revised Infrageneric Classification Seita T. Watanabe et.al」に基づく系統分類)をチェック中なのですが、意外な系統関係の組み合わせが示唆されていて、興味深いのです。



例えば、奄美固有のウケユリは、本土のササユリにごく近いとする解析結果。普通に考えれば、外観がより類似し、かつ同所的に(より広範囲に)分布が重なるテッポウユリと関連が深いように思われるのですが、遺伝的には遠く離れていて、本土に広く分布するササユリに近縁(というよりも種レベルでほとんど同一?)という解析結果が出ています。



そういえば、色とか全体の雰囲気はササユリに似ているかも知れませんね。そして花のプロポーションが独特です。実は、蝶の場合も、奄美の固有分類群は(他の生物の固有分類群の多くも)、種をクロスオーバーして独特のプロポーションを示している気がします。共通項は「丸味を帯びた四角」(蝶の場合は翅の概形)。どう説明すれば良いのでしょうか、こんなのは、科学での説明は不可能だと思うのですが(辻褄が合う説明があったとしたら、それはインチキ)。



次回のブログから、ユリ科の話題に戻る予定です。



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一昨日は天気が良かったので、知人の車に乗せて貰って、英彦山中腹にスギタニルリシジミ探索に向かいました。

萌える新緑に覆われた渓流に腰まで浸かって、濡れた岩上に吸水にやってくるだろうスギタニルリシジミを待ち続けました。お昼前後に2回だけやってきた。一瞬のワンチャンス、携帯電話の画面をギリギリまで近づけて、なんとか撮影に成功しました。



本州のスギタニルリシジミは、翅の裏表とも黒っぽい暗色なのですが、九州産はルリシジミに似て白く明るく、大陸産(更に白っぽくて明るい)との関係を考察するうえに置いて、重要なポイントになるのではないかと、僕は思っています。今更撮影したところで、意味がないと言えば意味ないのだけれど、やっぱり自分の目で生きた姿を確認しておくことは、大きいと思うのです。



オマケの収穫もありました。帰路、麓の路傍の空き地に、レンゲソウが一面に咲いていた。以前は見慣れた光景であるのだけれど、最近は目立って少なくなりつつあります。



白い花も混じっていました。九州では白花が出現する頻度が高いように思われます。





レンゲ畑。福岡県大任町2024.4.14









白い花も混じっています。同上



レンゲソウの原産地は一応中国大陸ということになっているのですが、僕の知る限り中国では日本のような“一面のレンゲ畑”には出会えません。中国のどこに自生地があるのか、ということも分かっていません(その辺りの事は「海の向こうの兄妹たち・上巻/59頁~108頁」で紹介・考察しています)。



中国に於ける、日本の紅花種)に対応する自生種(花序が総状にならない非高山性の種)は、その多くが白花です(種名が特定できないので仮称和名で記します)。レンゲソウも「西に向かうと白くなる」生物の一員と言って良いでしょう。



↓以下に、「海の向こうの兄妹たち(上)第三章」から一部を抜粋しておきます。



■中国の“里山ゲンゲ”4 種について 中国科学院編(科学出版社)の中国植物志・第 42 巻第一分冊(1993 年 12 月刊行) はゲンゲ属 Astragalus を中心に組まれていて(他に同一亜族 Coluteinae に含まれる 3 属を収録)、ゲンゲ属 278 種の解説・189 種の図版(線画)が表示されています。 レンゲソウ(ゲンゲ)については、125 番目に、Astragalus sinicus(中国名:紫 云英)として、12 行(他種とほぼ同じ分量かやや少なめ)の解説文と、図版で紹介 されています。ゲンゲ属に於ける A.sinicus の位置付けは、8 亜属中三番目の華黄耆 亜属 Sub-genus Astragalus(7-section)、その第 6-section 傘序組 Sect.Lotidium(8 種)の一員、ということになっているようです。 8 種中レンゲソウを含む 5 種(A.sinicus のほか、[124] A. tungensis 洞川黄耆、[128] A.souliei 蜀西巫山黄耆、[130] A.sutchuenensis 四川黄耆、[131] A.wenxianensis 文 県黄耆)が図版表示されています。記述や図に於ける判断では、傘序組 Sect.Lotidium 076 の共通項は、花序の小花が傘状(外側に向かって垂れ下がり気味という意?)に付く ことのほか、果実が余り膨れないことと、葉がやや丸味を帯びる(ただし小型)とい うことぐらいのようで、いずれも花序は、レンゲソウのように(外観上の)散形とは ならないようです。仮にある程度はレンゲソウに近いグループであるとはしても、レ ンゲソウのルーツを探る対象と成り得るような、ごく近い類縁関係には相当しないと 考えられます。 図版に載っていない 3 種は、[126] A.yangtzeanus 揚子黄耆、[127] A.wushanicus 巫山黄耆、[129] A.fangensis 房県黄耆。しかし、検索表では、どれもレンゲソウか らは遠い位置に置かれていて、図版に示されている(レンゲソウとは明確に異なった 特徴をもつ)各種と姉妹種関係にあるようです。検索表で見る限り、唯一レンゲソウ と同一枝に置かれているのは、A.tungensis 洞川黄耆ですが、子房などが無毛、とい う若干の共通点を持つにすぎず、それ以外の主要形質の特徴は、小葉が小さく細長い ことなど、7 種中最も隔たっているように思えます。 そもそも、傘序組 Sect.Lotidium の共通形質は、花序が“傘状”を呈している、とい う点だけのようであり、しかも、レンゲソウを除く 7 種は、いずれも花序が総状に伸 長し、レンゲソウのように(外見上)完全な散形状になる種は見当たりません。 Sect.Lotidium のみならず、ゲンゲ属 Astragalus 全体を見渡しても、図に表示され た全 189 種中、ごく数種だけが散形状の花序を呈していますが、それらの種は、ほ かの形質が大きく異なっていて、レンゲソウとの間の強い類縁の想定には無理があり ます。 ということで、278 種の中には、レンゲソウの姉妹集団たるべき「花序が集散型、 種子が細長く、小葉が大型で幅広い卵型」の存在は、一種も見当たらない(*1)。む ろんこの総説が発表されてから 20 年近く経つわけですから、僕がチェックをし得な いでいるだけで、新たな分類体系によるレンゲソウ近縁種の知識が集積されている可 能性は大いにあります。 とりあえず、上記の特徴を共有した、レンゲソウの姉妹集団(高山性の種を除く“里 山性”の種に限る)を、僕なりにまとめてみました(レンゲソウ以外の和名は新称、 産地名は僕の確認した地域のみ)。 ★①オナガシロゲンゲ 湖北恩施 ★②レンゲソウ 浙江舟山・浙江杭州・広西桂林・湖北恩施・四川成都 ☆②b レンゲソウ(白花) ★③ユンナンシロゲンゲ 雲南大理・雲南謄沖 ★④ユンナンベニゲンゲ 雲南屏辺・雲南金平 ガク裂片長は本体部分の長さよりも長く、果実に軟毛を生じる→オナガシロゲンゲ ガク裂片長は本体部分の長さよりも短く、果実は平滑無毛 花の色調は鮮やかなピンク部分と白色部に明瞭に分かれる(*2)→レンゲソウ 花の色調は一様 一様に紅色 →ユンナンベニゲンゲ 白色、または淡い紅色や黄色を帯びた白色 →ユンナンシロゲンゲ 077 (*1)図版が示されていない 3 種を含む Sect.Lotidium の 5 種は、いずれも同じ報文により記 載されていて(1915 年)、うち、A.wushanicus 巫山黄耆の摸式産地(固有種)の四川省(現・ 重慶市)Wushan 巫山は、恩施とは目と鼻の先の三峡沿岸の都市。従って、この種が“オナガシロ ゲンゲ”に相当する可能性は大いにあると思う。図示は成されていず、記述のみで判断すると、小 葉が大きく幅広いこと、および子房(オナガシロゲンゲでの確認は果実)に軟毛を生じる点では 一致します。花色が“粉紅色”とあるのは、“淡く紅色を帯びた白花個体”と同義と考えて良いのか も知れません。ただし、花序は、レンゲソウのように傘形(≒散形状)とは記していず、他の種 同様に疏松近傘形(≒総状)と記されています。また、最も特徴的であるべきガク裂片の形状に ついては、余り詳しくは述べられていません(少なくても、長く伸長するとは書かれてはいず、 むしろ長さ 0.5~1.5 ㎜と、他の種同様に短く記されている)。ほかに、A.fangensis 房県黄耆も摸 式産地が湖北省西部(西北部)ですが、恩施からの距離はより遠く、A.sinicus との共通形質も、 より少ないように思われます。 (*2)竜骨弁、翼弁の基半部が白色、旗弁の内側が白地にピンク条、その他は濃ピンク色。

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「中国植物誌:第 42 巻第 1 分冊」にも、肝心の種としてのレンゲソウ(紫雲英 Astragalus sinicus) については、「長江流域各省の海抜 400~3000mの山岳地帯渓谷周辺および湿潤地に 見られ、現在は、重要な緑肥作物、家畜飼料、稀に食用として、我が国の各地で栽培 されている。摸式標本産地は、浙江省寧波」となっているだけで、具体的な在来集団 の自生産地などに関しては、全く触れられていません。また、この本に紹介されてい る 278 種に及ぶ中国産ゲンゲ属の中にも、雲南の白花種や赤花種をはじめとした、 強い類縁関係を持つと思われるレンゲソウ近縁種についての記述も見当たりません。



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この項(“西に行くと白くなる話”)続く











レンゲソウ

浙江省舟山島2009.7.7







レンゲソウ

広西壮族自治区興安県猫児山山麓 2005.4.19





レンゲソウ

広西壮族自治区興安県猫児山山麓2009.4.26





レンゲソウ白花

広西壮族自治区龍勝県芙蓉村 2009.5.20





レンゲソウ

湖北省建始県猫児坪 2009.5.3





レンゲソウ

湖北省恩施市板橋 2009.5.4









レンゲソウ白花ほか

湖北省恩施市板橋2009.5.4







レンゲソウ(左)/オナガシロゲンゲ(中と右)

湖北省建始県猫児坪 2009.5.3











オナガシロゲンゲ

湖北省恩施市板橋2009.5.4







ユンナンゲンゲ(ユンナンシロゲンゲ)

雲南省大理蒼山山麓 1995.5.12







ユンナンゲンゲ(ユンナンシロゲンゲ)

雲南省大理蒼山山麓 2009.3.17









ユンナンゲンゲ

雲南省謄沖市 2004.3.28









ユンナンゲンゲ(ユンナンベニゲンゲ)

雲南省紅河州屏辺2009.3.27







ユンナンゲンゲ(ユンナンベニゲンゲ)

雲南省紅河州金平県 1995.4.14





ユンナンゲンゲ(ユンナンベニゲンゲ)

雲南省紅河州緑春県 1995.4.7











ユンナンチビゲンゲ

雲南省謄沖高黎貢山2006.5.12









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白鵬と大谷(つづき)

2024-04-16 14:39:21 | その他


昨日のコラムでの、もっとも重要な部分が抜け落ちていました。

ロッテ吉井監督が故郷でのトークショーで暴露― スポニチ Sponichi Annex 野球 - 検索 News (bing.com)



代理人のバレロ氏を含めて、誰が良い人で、誰が悪い人、という話になっているようですね。

そんなの、分かるわけがありません。

大谷君だけは、絶対的に良い人、という前提であることは間違いないらしいのですが、、、。

実は、そこが問題なのです。

もしこの問題で、絶対的に「悪い人」を特定するならば、それは大谷君です。



繰り返し繰り返し何度も言いますが、僕は誰よりも大谷君のファンのつもりだし、誰よりも彼を応援していると自負しています。ちょうど、僕が日本という国を誰よりも愛していると自負しているのと同様に。だからこそ、日本の欠点は批判する。日本の為を思ってです。でも「売国奴!」と罵倒されるのですね。僕が大谷君を批判することも、多くの大谷信者(一般的日本人のほぼ全て?)からすれば、まあ売国奴みたいなものでしょう。それでも良いですよ。大谷君のことを思ってのことなのですから、気にしません。一人ぐらい、そういう人間がいても良いと思います。



大谷はジャイアン。これが問題のすべてに関与しているのです。決してネガティブな意味合いではない、けれど、全面的にポジティブだというわけでもない。



「全能の神」であること自体、素晴らしい事であると共に、恐ろしいことでもあるのです。



大谷君が、(それを為せる唯一の人間としての能力を持つことで)自分のやりたいこと、やるべきことに突き進む、それに伴う“負”の部分が、結果として(大谷君とは対極にある存在の)一平氏の“悪(正確には負の情念とでも言うべきでしょう)”を、留めもなく膨らませることになります。



何千万、何億円を湯水のように使っているのは、大谷君です。「ポルシェ贈呈」「グローブ配布」「仮想通貨事件(これは何故かスルーされているのですね)」「1000億後払い」「ハワイに豪邸購入」、、、、、大谷君の稼いだ金なので、大谷君がどう使おうと自由です。しかし、あれやこれやで、すき好まざるとも、周囲を巻き込んでいく。

マヌケでとんでもなくダメ人間の水原氏が陥った現状の背景は、現実的に切っても切り離せられない関係が構築されていた大谷君の存在にあります(水原氏が大谷君の実質的相棒でなければ、莫大な金額の賭博の負債自体起こり得ていない)。



大谷君が、本当に聖人君子(僕はこの言葉自体限りなく胡散臭く感じますが)ならば、まず何よりも、水谷氏が置かれた立場(そのスタートは大谷君自身の存在にある)について、深く考慮するところから始めねばならない。



それが為されないならば、この問題における究極の(根源的な)非は、大谷君の側(彼を盲目的に崇拝する社会・大衆)にある。いくら前人未踏の記録を構築しようとも、人間としての評価は出来ません。



なんてこと言いながら、毎朝大谷君の成績に、一喜一憂している僕なのですが(笑)。










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白鵬と大谷(続・断片的感想)

2024-04-15 08:17:42 | その他



小籔千豊 水原一平容疑者と胴元のやり取りで私見「水原さんの方が悪いように僕は見えますね」(東スポWEB) - Yahoo!ニュース

大谷君一平さん事件の秀逸な指摘。



某お笑い芸人のコメントです。僕はこの人あんまり好きじゃないのですが、さすがお笑い芸人、このコメントは的確(客観的)で、思わず笑ってしまいました。

一平さんの魅力度、ますます増してきました。悪の根源が大谷君(および崇拝大衆)にあることも。



全く無関係(異なる次元)なのですが、僕の現状とオーバーラップしてきます。



2018年の秋、HDDがクラッシュしてしまった(むろん僕自身の不注意なのだけれど理不尽な背景が、、、それについての詳細は割愛)。

僕のライフワークである、野生アジサイ関連の写真やデータの全てがその中に収納されている。

文字通り、命よりも大事な資料なのです。

中国での修理が叶わず、日本に帰国し、様々なところで打診するも、全て修復不可能、との答え。



残された可能性は、その時点では日本に数か所か存在しないという修復専門企業に持ち込むこと。

そこでも、このように言い渡された。

修復費52万円、ただし修復できるか否かの確証はなく(というよりも修復できる可能性は限りなく低い)、もし修復出来なくても同額の費用は払ってもらう、と。

苦渋の決断でO.K.しました。

修復可否の結果が分かるまでに、大分時間がかかる、と言われていたのだけれど、数日後、連絡が来ました。修復出来た、と。チェックしに行ったら、ちゃんと元に戻っていた(拍子抜けです)。



ついては、52万円の支払いを求められた。3か月以内に支払うこと、それが出来なければ廃棄する由。むろんそんなお金はない。途方に暮れました。

たまたま知り合った近所のお年寄りのお婆さん(とその息子さん)にそのことを話したら、(まさか、と思ったのだけれど)心配しなさんな、自分が支払ってあげる、返済はいつでもよい、と。



感謝感激です。そのことを修復会社に報告、支払日とHDD受け取り日を決め、心配してくれている三世やモニカにも伝え、その支払い当日、ATMから全額を降ろして振り込もうとしたときに、息子氏からの連絡、わけあって協力できなくなった、と。



こういうことなのです。お婆さん一家のお金は、長男氏(関西の大病院の東大出の医師)が最終管理していて、長男氏曰く、そいつは振込詐欺だ、振り込むのは止めろ。



まあ、僕としては、恨みつらつらなのですが、そのことについては、言っても仕方がないので、泣き寝入りするしかありません。



で、改めて修復会社に事情を説明し、一年間支払いを待って貰うことにしました。

といって、毎月分割で4万円余を支払うのは、僕にとって不可能に近い現実です。

結局、2019年度には、15万円ほどしか支払えなかった。



その後、コロナ禍に突入。益々状況が苦しくなって行きます。何度も話し合いを持ち、僕にとっては命より大事な資料であることを念を押して分かって貰い、どんなことがあっても全額支払ってHDDを受け取るので、廃棄しないで欲しい、と交渉が成立。2021年の春までには完済と言う契約、結局それも出来ずに、2022年の春までに、ということになり、しかしやはり完済には至らず、再々々々交渉の末、その時点で残り24万円だったのを、先方からの提案で、10万円にディスカウントする、ついては2023年春までに支払うように、と。



ところが、その後も、せいぜい月5000円(それも断片的に)支払うのが精いっぱい(なんせ月2万円の予算からの5000円ですから)で、未だに完済に至らないでいます(残り約7万円)。



それでも先方(HDD修復会社)は根気よく待ってくれている。もう、感謝するしかないのです。



ふと、こうも思いました。残り24万円を10万円に負けてくれた。ということは、早い話、最初の時点で、ボラれているのかも知れません。極論すれば、先方としては、修復費は(実態として)有って無いようなもの。払えなければ廃棄と言う手もあるのでしょうが、一部といえども支払いは行っているので、下手に廃棄してしまって、あとで問題がおこると面倒、それならば大幅に値下げしてでも支払いを済ませて僕に返却、という目論見なのかも知れません。



いや、ここまで(3か月の期限が足かけ7年!)待ってくれてるのに、そんなこと言っちゃいかんですね。

修復会社の名誉の為に言っておくと、他の関係機関の話を総合して判断するに、(52万円が適正価格かどうかはともかくとして)実際に修復費用が数十万円かかること(人件費など)は有り得る、と。それをボラれていると解釈することもできるだろうし、そうではないと解釈することもできるとも思うのです。



何を言おうかとしているのかと言うと、主題はそんな話ではないのです。



この話に関しては、僕の周りの人たちは、例外なく全員、同じ意見を言います。



HDDの奪回など、どうでも良いではないか。自分の生活を犠牲にしてまで(ひいては周りの人々に迷惑をかけ)、HDD奪回に拘る必要がどこにあるのか?自分の生活・残された命を大切にしなさい、と。



命よりも大切なものは存在しない、と皆異口同音に言います。でも僕はそうは思わない。76歳、いつくたばってもおかしくないのです。どうせ尽きてしまう数日~数年の命と、後に引き継ぐことの出来る膨大な資料(僕は地球の財産と信じている)と、どちらが大切かと言えば、迷うことなく後者です。



でも、そんな僕を(敢えて不遜な事を云うと、助けてくれもせず)間違っている、と断罪する世間、、、、、まあ、全然立場が違うのだけれど(笑)、一平氏の状況(やり方が間違っているかどうかはともかく、彼は彼なりに大谷君や周りの人たちのことも考えて、必死に頑張っている)と、オーバーラップします。



*ちなみに、ついさっき、東京の部屋の留守番をしている三世からメールが来て、青梅市民病院から、8万円の支払い命令、払えなきゃ差し押さえる、との通達が来ていた、どうしましょう(-_-;)、と。それで、そんなのは無視しろと伝えておきました



これは、一昨年の夏(福岡に移る直前)コロナで救急輸送されたときのこと。ちょうど(理不尽極まりない)生活保護取り下げに関して市役所とトラブっていた時で、健康保健書も使えなくなっていて、かつ、滅茶苦茶な扱いを受けた(医療機関に着くまで何日もたらいまわし、やっと辿り着いてもすぐに放り出された)あげく、法外な診察費の請求をされた時の事に起因します。

この間のコラムで「前置き」だけ書いた、青梅市と東京都への訴えが却下されたことと連動します。却下されたということは、国が「正義」、僕が「悪」と認定されたことになるわけで、そのとたん、これでもかというように、叩き始めます。

理不尽としか言いようのない状況に陥って困り果てている人間(池に溺れた犬)を、国や行政が(一般市民も一緒になって)これでもか、と棒で叩きまくる。

一平氏の心情が、我が身のごとく分かります( ;∀;)



前に書いたことを、再度記しておきます。



一平氏がギャンブルで苦境に立ったことは、むろん決して良い事ではありません。悪い事です。自己責任です。



しかし、別の角度から光を当ててみれば、単純にそう言い切れない部分も浮かび上がります。

ギャンブルが悪か、といえば、ギャンブル自体が悪とは必ずしも言えないのですね。それを悪と決めたシステムから外れたことが悪なのです。

そもそも大リーグ機構は、ギャンブルに拠る経済的庇護の許で成り立っています。他の様々な日常の社会の仕組みと基本的にはなんら変わりはない。

前にも記したけれど、株の取引だってギャンブルの一種です。「株の個人投資家」なんて「ギャンブル依存症」と何ら違いはありません。資本主義社会は、人々に何かを依存させることで成り立っているのです。

そのうえで、あるものは病気、あるものは健全、と振り分ける。その振り分けを行う医療なんて、壮大なまやかしでしかありません。



大谷君の能力(ボールを誰よりも早くなげ誰よりも遠くに飛ばす)が“素晴らしい”という事は、共通同調認識を前提として成り立っています。別に絶対的な意味で“素晴らしい”わけではないのです(時空が異なれば評価も全く違って来る)。

一平氏の2か国語を操ってのサポートは、大谷君の「ボールを投げて打つ」ことに拠る1000億円の、1万分の一以下の価値評価しか為されません。

大谷君は、そのような特定価値基準の大前提の下で、自分のやりたいことにひたすら邁進する。たとえそのことで、周囲に何か不都合なことが生じようとも、許されるわけです。何しろ、「完璧な人間」「王様」ですから。

それ自体が、おかしいと言えばおかしいのですが。



全ての事を、自分の意思通りに進めることが出来る。

大谷翔平は「性格的に言ったらジャイアン」 ロッテ吉井監督が故郷でのトークショーで暴露― スポニチ Sponichi Annex 野球

無論、単にネガティブな意味で言っているわけではありません。大谷君は、良くも悪くも“ジャイアン”なのです。



野球一筋、お金なんて全く無関心。

でも、

背番号を譲ってくれた同僚の奥さんにポルシェをプレゼントし、全国の小学校にグローブを贈呈し、1000億円の契約金を後払い、、、、ほとんどの日本人の受け取り方は「美談」であるわけですが、光の当て方次第では、とんでもなく傲慢な、自分勝手な行為、と見做すことも可能かと思います。



その、「本人は全く無関心な膨大なお金」の(実質的な)管理を、一平氏が任されていた。(あちこちにばらまく分を中心に)大谷君が必要とするお金は、たぶん、大谷君の名前で、一平氏がいくらでも自由に扱えるような体制になっていたであろうことは、十分に考えられます。

“なりすまし”というけれど、ある意味当たり前であって、どう捉えるかで評価が180度変わってくるだけのことです。



自分のギャンブル負債は、大谷を困らせることになる。ならば(ある意味大谷のために)、結果として所謂窃盗という方法で、チャラにしておこう。数十億単位で片が付くなら(大谷の立場からすれば)安いもの。



一平氏は、本質的に、滅茶苦茶真面目なんだと思う。むろん、滅茶苦茶ダメ人間だある、というベースの上で。



相手のことを思い(大谷君には良くも悪くもそんなところはない)、もがき続けることで、泥沼に嵌ってしまう。

本来なら敵で悪役の胴元さえも戸惑ってしまうような、まるでギャグの世界に陥ってしまっているのです。



ここまでくると、「胴元が悪」「一平も悪」を超越した、それとは別次元の、この某コメディアンの指摘のごとく、なんだか両方に同情してしまうような、究極のズッコケ事態に至っているわけです(僕のHDD修復費支払い滞り⇒HDD修復会社の戸惑い?に、オーバーラップ)。



大谷に向けては、誰も(大半の日本人は)面と向かって指摘は出来ないでしょうね(しようものなら国賊)。

このズッコケ茶番劇の根源は、「聖人君子」「正義の象徴」の、大谷君(と崇拝日本人)にあるのだ、と。



大谷君は、良くも悪くも、自分の好き勝手に生きているのです。そのことに(正/負様々な次元に於いて)全力で(本人の持つキャパシティを越えて)サポートしてきた一平氏の窮状(物質的窮状以前に精神的な窮状)を分かってあげる義務があった(それもこれも大谷崇拝者の存在がハードルになって為され得なかったのだと思います)。



この項つづく。



追記:



今日は、514円を叩いて、ココスレストランでピザ注文し、アベマTVでドジャースVSパドレスの南カリフォルニア対決を観戦しました。



さすが大谷、野球に関しては「神」と呼ぶしかないです。松井秀喜に並ぶメジャー175本目の本塁打、日米通算1000本目のヒット、何があっても、留まるところを知らない。完璧です。



8対7でパドレス。それにしても素晴らしい試合でした。勝ちは逃したけれど山本も好投し、最後のスアレス(ソフトバンク-阪神-パドレス)の魂の投球。やはり野球は面白いです。















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白鵬と大谷(断片的感想)

2024-04-13 08:00:23 | その他



僕がずっと注目し続けている大谷君と一平さんの事件。

大谷大好き、一平胡散臭い、とこれまで思い続けてきたのですが、逆転しつつありますね。もちろん、今も大谷大好きだし、一平胡散臭い、という思いは変わりありません。でも、「一平悪」「大谷正義」が、(様々な証明を伴って)合唱されるにつれて、そうじゃない、という(全く別次元からの)思いが、僕の中で確信されつつあります。



そういえば、香港大好き、中国大嫌いから、香港デモをきっかけに、逆転して行った。コロナもしかり、ウクライナ問題も然り。

僕はコロナが人類にとって大変な脅威であることは否定していない。中国やロシアが、どうしようもない出鱈目な国であることを否定しない。医療機関の頑張りや、民主主義社会の素晴らしさも、否定しない。一平さんの悪事や、大谷君の素晴らしさも、否定するわけではない。



しかし、問題の根源は、それとは別次元の所にある。もっと、遥かに大きなスケールで。

それを知るには、コロナや中国・ロシアや一平さんら悪玉、あるいは医療や民主主義社会や大谷君の正義だけに注視するのではなく、我々を取り巻く世の中の構造の根源を、徹底的かつ俯瞰的に見渡さねばならない。



ニュースやコラムで、様々な情報(大谷正義/一平悪)がどんどんと更新され、様々な有識者や大衆が、したり顔でコメントしているのを見るにつれ、そうじゃない、問題はそこじゃない、という思いが募ってきます。

どのように“そうじゃない”のか、上手く表現出来ない自分の頭の悪さが、もどかしい限りです。

自己弁護になりますが、非常にデリケートな問題故、慎重に言葉を選ぼうとして、具体的な表現は何一つ出来なくなってしまっている。大衆の思考の単純さが、腹立たしく、かつ羨ましい。



背景を含めて俯瞰的に見渡せば、一番の悪は大谷(ひいては彼を崇拝する大衆)です。それだけは、確信をもって言えます。

誰よりも大谷を応援し、活躍を期待している僕の、偽らざる思いです(今後も、追々その“思い”について考察していきたい)。







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ユリ科 附記

2024-04-11 21:40:53 | その他



曙、、、、、( ;∀;)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



前回の付記です



「Biosystematic Studies on Lilium」には、葉緑体解析に基づく系統と、核DNA解析に基づく系統の、2つの解析結果が示されていて、各clade間の相関性は見事なまでに一致しません。



したがって、核DNA解析の系統樹を基に10群を6群10亜群に再編(群を数え忘れていたので11群を7群11亜群に再編)した前回の処遇は、客観的に考えれば全く成り立たず、とりあえずは各群を並列するに留めて置くことにします。



そのうえで、やはり上記の論文とは全く異なる解釈が示されている「中国植物志」(2019年版)における中国産80種についての分類体系(英語版「Flora of China」2001もまた異なる)も組み合わせ、それぞれの見解を見渡しつつ、各種群/種ごとに再編成を行っていきたいと思っています。








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ユリ科の分類について

2024-04-09 21:48:12 | その他



大谷君、今日は2塁打2本に本塁打。全開モード突入ですね。



大体分かってきました。

大谷は、人間としては最低、野球選手(個人成績)としては完璧。

後者は今まで通りの評価ですが、前者については180度反転したわけです。

僕の中では、ホッとした気持ちです。なぜって、僕は悪人大好き人間なわけですから(今までのモヤモヤが無くなりました)。

大谷崇拝日本人(無意識的依存症の成れの果て)は勝手に盲目的崇拝を続ければ良いです。僕の方は単純に成績で一喜一憂できるので。



残り財産400円(整理中フィルムの山の中から100円玉が出てきた)。今夜の風呂代100円、野良猫の餌代100円、まあ200円あれば半額弁当ゲットできるので楽勝でしょう。問題は、明日売上金1万円余が入るかどうか(ここんところ2~3日遅れてるので)。



蝶のほう(「中国~」「近所の~」)は一段落ついたので、植物関連の作品作りに取り掛かります。

とにかく、ひたすらポジフィルムの整理(セレクト⇒デジタルスキャン)を行っています。

ブログの記事は、大谷君一平さん(白鵬とかも)は様子見。

東京都への告訴(前置きだけ書いた)は気が重いので後回し。



野生アジサイの資料(を収納したHDD)はあと8万円支払わないと戻ってこない(毎月5000円として、あと1年半)ので、とりあえず完成済みの「ハマウツボ科(シオガマギク属)」「ユリ科(狭義)」「キンポウゲ科」「ケシ科」と、ほぼ完成に近づいている「リンドウ科」「サクラソウ科」「ツツジ科(主にシャクナゲ類)」を再編します。



再編、というのは、東京から膨大な数のポジフィルムを福岡に送り、スキャン機材を入手し、日本産の種を追加紹介していくことが可能になったからです。とりあえず完成している「シオガマギク」と「ユリ」を、追加再編していきます。



ユリ科(狭義)については、このブログでも何度か紹介してきました。それに基づいて新知見や写真を追加紹介していこうと考えたのですが、しかし過去記事が探し出せません。旧いのは消えてしまっているみたいなので仕方がないけれど、比較的最近に紹介したはずの記事も見当たらない。ということで、改めて一から書いていきます。



APG分類による現在の位置付けは、結構早い時期から一般大衆に浸透していたはずです。しかし他の多くの科が新しい分類群にスムーズに移行しているのに対し、ユリ科は未だ旧い分類体系が併用されています(古い方が基準になっている)。



全植物中一二を競う大メジャーな科から、一気にマイナーな弱小科に移行してしまったわけで、その落差の大きさに戸惑っている、一般常識としては(ユリ科を狭義に捉えるのは)困る、と言うところなんでしょう。

しかしAPG分類以前(旧来の形質に拠る分類)から、ちゃんと見ている人は見ているわけで、ユリ科の定義も現在の少数の属から成るという見解は既にほぼ確立されていたのです。博物学的に為されていた先行見解に、科学的手法が追いついた。



ユリ科は、4亜科5連(ユリ亜科2連/カルコタルス亜科1連/タケシマラン亜科1連/ホトトギス亜科1連)から成り、どの連もごく少数の属と種で構成されています。旧ユリ科の大半はクサスギカズラ(アスパラガス)目などに移転し、(ユリ科を含む)一部がユリ目に残ります。その中でユリ科に最も近い類縁を持つのが、外観が特異なシオデ(サルトリイバラ)科(写真⑳)で、ユリ科の姉妹科となります。





自主刊行済みの「中国の野生植物:ユリ科」のあとがきに、このような要旨を記しました(もしかすると初出はこのブログだったかも知れません)。

【あとがきに替えての蛇足】

先に記述した通り、葉緑体DNA解析に基づく分子生物学的系統分類(APG分類)において単系統のユリ科として位置づけられる植物には、従来から予測されていた“典型的ユリ属類”(ユリ属、カタクリ属、チューリップ属など)”のほかにも、ごく少数の(予想外とも言える)異質の属が加えられることになった。その中で最も特異な存在が、ホトトギス属である。

ホトトギス属は、狭義の(真正)ユリ科の中では、最も古い時代に他の各属との共通祖先から分化した植物で、正統的ユリ科の一員であると同時に、ユリ科としての異端児でもあるわけだ。

従来、ユリ科として一括されていた植物の大多数は、他の被子植物、ことに“双子葉植物”の分類システムに準じれば、明らかに異質の群の寄せ集めであると言って良い。現在、それら(旧ユリ科植物)の大半は、「目」の単位でユリ目から別の群(主にアスパラガス目)に移動せしめている。それらの多くは、外観がいかにも「ユリ」的であり、これまでの“常識”的一般概念と相まって今でも「ユリ科」は旧来のカテゴリーのまま認識されているのが現状といえる。

それはともかく、学術的な視点からは、旧来の「ユリ科植物」の多くが、「科」を飛び越えて「目」のレベルで移動することになったわけだが、一部については、(科のレベルではユリ科から別科に移動したとはいえ)目のレベルではユリ目にとどまっている。その(ユリ科以外のユリ目植物の)中で、ユリ科に最も深い関連を持つと思われる(従って範囲の取り方次第ではより広義のユリ科に含まれると考えても良いかも知れない)のが、サルトリイバラ科(シオデ科)である。外観は、さらに特異である。

【典型ユリ属類(ユリ属、カタクリ属、チューリップ属など)】【極めて特異なホトトギス属】【まるっきり外観が異なるサルトリイバラ属】この(外観的には)それぞれ対極にある3グループの植物が、大雑把に生物学上視点から捉えた「ユリの仲間」、ということができる。

APG分類が確立される以前は、誰もそんなことは予想だにしていなかった。「誰も」、、、否、そうではない。蝶の愛好家たちは、その(互いに異質の)3つの植物群が、近い関係にあるだろうことを、漠然と知っていた。典型ユリ類+ホトトトギス属+サルトリイバラ属は、ルリタテハの食草である。ルリタテハ自身は、これらの植物が明確に近縁な関係にあることを、結果として知っていた。

他にも同様の例(「蝶は知っていた」)が幾つもある。例えば、ウマノスズクサ科からカンアオイ類が一時別科に移されていたことがあるが、最近は改めて同一科に戻されている。これなどは、ギフチョウ属(やその周辺属)の食草について鑑みれば、当然のことである。あるいはクス科とモクレン科の近縁性を、アオスジアゲハ属との関連で考えても良いだろう。

ところで、ルリタテハだが、一属一種とされている。しかし、外観(色彩斑紋)、食草、分布域が著しく異なることを除けば、シータテハやヒオドシチョウの仲間(Polygonia-Nymphalis)とほとんど差異はない(同一属に含めても良いと著者は考えている)。

シータテハ(それを含む典型タテハ=ヒオドシチョウ亜科)の基本食草は、イラクサ科やクワ科である。系統的にはユリ科とは全く異なる植物群だ。

しかし(系統とは別の次元から)何らかの“関連性”(例えば祖先形質の共有など)があるのではないか?

、、、、、そんな気がしてならない、という蛇足で、本編を結んでおくことにする。



・・・・・・・



まずは、ユリ属に絞って紹介していくことにします。

最新のDNA解析結果(「Phylogeny and classification of Lilium」 Watanabe & al. 2021)では、次の様な系統構築が示されています。全面的に信用して良いのかどうかはともかく、意外な組み合わせも幾つか見てとれます(リーガルリリーとテッポウユリの類縁が遠く離れていること、ヤマユリ群内での各種の組み合わせなど、なるほどと思わせる結果も)。



ここでは、10のグレードを便宜上6群4亜群の計10上位分類群に再編(下位分類群については「中国植物志」を参照)、僕の「中国の野生植物:ユリ科」の掲載順に従って大理百合(L.taliense)を冒頭に置くべく並べ直しました。



ユリ科

ユリ亜科

>ユリ連

>>ユリ属

>>>1a 【分布中心:中国西南部】 大理百合(写真①)、麗江百合など。

>>>1b 【分布中心:日本海周縁地域、中国西南部】 川百合(写真③)、コオニユリ、エゾスカシユリなど。

>>>1c 【分布中心:南西諸島-台湾-中国南部】 野百合(写真②)、タカサゴユリ、テッポウユリ。

>>>1d 【分布中心:ユーラシア大陸寒冷地】 クルマユリ(写真④)、マルタゴンリリーなど。

>>>2 【分布中心:日本列島】 ヤマユリ(写真⑤)、ヒメサユリ、ササユリ、ウケユリ、カノコユリ、タモトユリ。

>>>3 【分布中心:北米大陸】 アメリカユリ類(省略)。

>>>4 【分布中心:中国西南部】 リーガルリリー、通江百合(写真⑥)など。

>>>5a 【分布中心:中国西南部~ヒマラヤ地方】 ユンナンベニユリ(写真⑦)など、旧Nomocharis属)。

>>>5b 【分布中心:ヨーロッパ】 マドンナリリーなど(省略)。

>>>6 【分布中心:中国西南部~ヒマラヤ地方】 尖弁百合(写真⑧)、小百合(写真⑨)など。

>>バイモ(クロユリ)属(写真⑩)

>>ウバユリ属(写真⑪)

>>ギボウシモドキ属(写真⑫)

>>カタクリ属(写真⑬)

>>チューリップ属(省略、分布中心:ユーラシア大陸西部)

>>アマナ属(写真⑭)

>>チシマアマナ属(=キバナノアマナ属:写真⑮)

>ツバメオモト連

>>ツバメオモト属(写真⑯)

>>メデオラ属(写真⑰)

カロコルタス亜科(省略、1連1属北米産)

タケシマラン亜科(写真⑱、1連3属うち2属は北米産)

ホトトギス亜科(写真⑲、1連1属)



次回以降、各群のそれぞれの種について(中国産と日本産を)紹介していきます。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



写真① 大理百合 Lilium taliense 雲南省翁水村 Jul.16,2014


写真② 川百合Lilium davidii 雲南省梅里雪山 Jul.25,2014


写真③ 野百合(ハカタユリ) Lilium burounie 四川省青城山 Aug.4,1989


写真④ クルマユリ Lilium burounie 岩手県早池峰 Aug.13,1993


写真⑤ ヤマユリ Lilium auratum 東京都青梅市 Jul.10,2022


写真⑥ 通江百合 Lilium sargentiae 四川省宝興県 Jul.17,2010


写真⑦ 滇蜀豹子花(ユンナンベニユリ) Lilium aperta 雲南省香格里拉 Jun.19,2005


写真⑧ 尖弁百合 Lilium lophophorum 雲南省白馬雪山 Jun.14,2009


写真⑨ 小百合 Lilium nanum 雲南省白馬雪山 Jun.16,2009


写真⑩ 暗紫贝母 Fritillaria unibracteata 四川省雪宝頂 Jul.4,2005


写真⑪ 大百合Cardiocrinum giganteum 四川省宝興県 Jul.4,2009


写真⑫ 仮百合 Notholilion campanulatum 四川省塔公 Jul.24,2010


写真⑬ カタクリErythronium japonicum 長野県白馬村 May 4,2005


写真⑭ アマナ属の一種 Amana kuocangshanica 浙江省杭州市 Mar.27,1989


写真⑮ チシマアマナ属の一種 Loydia tibetica 四川省夹金山 Jul.19,2010


写真⑯ ツバメオモト属の一種 Clintonia alpine 四川省黄龍 Jun.22,1989


写真⑰ Medeola virginiana アメリカ・テネシー州 May 18,2005


写真⑱ タケシマラン属の一種 Streptopus parviflorus 四川省ミニャコンカ Jul.2,2009


写真⑲ ホトトギス属の一種 Tricyrtis viridula 広西壮族自治区花坪 Aug.7,2015


写真⑳ サルトリイバラ Smilax china 浙江省舟山島Apr.7,2009



・・・・・・・・・・・

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冒頭の話題の追記。

*面白いことに気付きました。大谷君が“人間として最低(必ずしもネガティブな評価ではありません)”な理由は、「自分のやりたいことだけをやる」から。そのことに対してほとんどの日本人は敬服・熱狂支持し、アメリカ人の多くは冷めた目で見ているのです。そりゃそうでしょう。日本では「自分のやりたいようにする」ことは現実問題として許されない、それが出来る特別な立場にある大谷に自己投影し全肯定・崇拝する。アメリカでは、誰もが自分のやりたい様に生きているわけで、今更、、、、。



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**某県知事の県庁入庁式典での職員に対しての祝辞。

「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性の高い人たち」

とスピーチ。

近年稀にみる、見事な本音暴言ですね。

実際にそのような人たちが、日本という国を動かしているのですから( ;∀;)。





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大谷選手の今後

2024-04-04 17:19:06 | その他




「大谷の会見は失敗でした」米ベテラン作家が見た違法賭博疑惑 水原と大谷2人にベストなシナリオとは(AERA dot.) - Yahoo!ニュース



ロバート・ホワイティングさん(81歳)が、大谷問題についてのコメントを発表しました。



これまでに様々な人たちが発した全てのコメントに勝る、素晴らしい見解です。



涙が出てきました。



元・鎌倉市民として、彼のような人がいることは、誇りです。







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東京都と青梅市の横暴に対する公開質問状(前置き)

2024-04-03 07:46:41 | その他



さて、福岡移転以来取り組んできた「中国蝴蝶野外観察図鑑」と「近所の森と道端の蝶・福岡編」の執筆・印刷はとりあえず終えたのですが、困ったことに、その本を購入する資金(近所~2500円、中国4部作1万円)がない。「中国~」はともかくとして、「近所~」は地元新聞社・メディア・関係各機関にプレゼン(PDF原稿は通常は見てくれない)しなくてはなりません。



昨日、生活保護金の支給日。受領は2万2014円。基本金約10万から、福岡の家賃、年金(東京の書庫家賃とほぼ相殺)、それぞれ3万5000円余。更に、後期高齢者は食事代などが多くかからないという謎の理由で約5000円減、自己収入見込みなどが差し引かれて、2万円余になるのです。

その中から電気代・水道代1万円近く支払い、HDD修理未払い分(これが戻ってこなければ今後の全ての仕事が出来なくなってしまう)月1万円分割支払い。弁護士(東京)費用分割支払い月5000円、ゼロどころかマイナスです。弁護士への支払いを待って貰うとしても、残りは2000円。

幾ら仙人的生活でも、これでひと月は暮らせません(10日に売り上げ1500円ほど見込み)。

自分の本の購入など(生活保護の身分で)もってのほか、というのが大衆の共通認識でしょうが、

でも、それなくしては、関係各機関からの協力を得、販売・収入に繋げることは出来ないのです。



“普通のアルバイト”をして金を稼げ、と言う人が多いでしょうが、それは貴方たちが恵まれている(容易に仕事にありつくことが出来る)から言えることです。

むろんチャレンジしました。そして全て門前払い。年齢、身分(家族や保証人の有無)、学歴略歴等々。

それらの障害が少なくてすみそうな力仕事は、「脊椎脊損症」と「急性肺炎もどき」で度々救急車などの世話になっている身(障碍者指定を受けたいのだけれど却下されている)では、仕事中何かが起こる可能性が極めて高いです。まあ、自分の仕事(山での撮影行など)の場合は、そのつど自分の判断で中止を繰り返せば良いのですが、雇われ仕事の場合は、そうはいかないでしょう。

ということで、結局は、そのようなハードルの無い、創作活動を行うしかない。いや必ずしも創作活動でなくても良いですね、写真や文章を使っての仕事です。収入に繋がれば仕事ですし、繋がらねば遊びとしか見做されないことを覚悟のうえで。



収入に繋がる展開になるかどうかは別として、今後の計画(このブログには毎度計画ばかり載せている、一体何度目でしょうか、笑)。



蝶関係の書籍本は「中国蝴蝶野外観察図鑑」「近所の森と道端の蝶」でひとまず一段落。

近い将来、後者は「東京編」「福岡編」を合体(それに中国や北米、ギリシャなどの情報も付け加え)「近所の森と道端の蝶」決定版を製作(本にするのではなく既存メディアへのプレゼン用として)。



それとは別に手許にある蝶関係の全ての写真を、中国/日本、あるいはデジタル/ポジフィルム(→デジタルスキャン)に関わらず、片っ端から集めてワードに貼り付け、「原資料としての東アジア(日本/中国)の蝶1975~2024年撮影写真および幾つかの問題提起」の総題の許、PDF編集し、CDに収納、あるいは電子書籍として、全50~100巻、各巻数100頁で例えば1800円(取次を通さなければ1000円でも可)統一で格安販売。

制作コストはほとんどかからず、各巻10部売れれば全100巻として100万円、読者も手軽に購入しやすい価格だと思うので各巻100部ぐらいは期待しても良いかも知れず、ならば収益1000万円という狸算用です(笑)。いや、(笑)ではなく、現実味はあると思っているのですが(笑)。

それはともかく、写真や資料を纏めておくことで、将来に引き継ぐことが出来る(一応、英訳・中国語訳もしておく)。



あと、植物(やはり中国産と日本産を合体)ですね。むしろこちらの方に力を入れたいと考えています。これまでに、ハマウツボ科(メインはシオガマギク属)、ユリ科(狭義)、キンポウゲ科、ケシ科は、ほぼ作品として完成している。ある程度完成に近いのは、リンドウ科、サクラソウ科、ツツジ科(メインはシャクナゲ)等々。各巻数100頁全100巻(科単位)。むろん、HDDを取り戻した暁には、野生アジサイ集大成(1000頁超になる)も。いずれも、英訳、中国語、中国語併記。

読者の需要キャパシテイは、蝶よりも圧倒的に植物の方が多いはずです。紙の書籍とするか、CD収納(あるいは電子書籍)とするかは今後考えるとして、上手くレールに乗せることが出来れば、相当な収入になります。収入云々よりも、後世に資料を残すという大きな意味があることは、蝶の場合と同じです。

それらの写真や資料をピックアップして纏め、「四川雲南山嶺花」といったフィールド・ガイド・ブック(中国の読者向け)、あるいは、中国での探索行をシリーズ化した(日本の読者向け)企画なども考えて行きたいです。



蝉(鳴き声録音の纏め)もね。



けれども、眼前の現状を突破しないことには、絵に描いた餅になってしまう。資金作りにどのように結び付け、どのように展開していくかを、考えねばなりません。

とりあえず2択です。



今年1年、室内作業(いろんな方々からの協力を得てやっと仕事ができる体制になった)に専念、これまでの写真や資料を整理して、上記した様々な企画を形にしていく。

月2万円の生活保護受給費+少額の売り上げ金(2万円前後)、年金の残額などで、光熱費やHDD修理費など差し引いても、月1万円ぐらいはなんとか使える。

室内に閉じ籠って頑張れば、なんとか次に繋げることは出来そうです。

幾つかの作品が纏まった時点で(来年以降)勝負に出る。上手くいく保証はないですが、少なくとも当面は前に進み続けることが出来ます。でも、いずれにせよ、必要とされる纏まった資金は、すぐには作れそうもない。



それとも、これまでの纏めの作業は一旦保留し、直接纏まった収入を得るため、新たな企画に動く。

中古の5000円くらいのカメラを購入、例えば小笠原に絶滅オガサワラシジミの探索に行くなど、インパクトのある大向こう受けする企画を立ち上げる。

むろんやはり上手くいく保証はありません。でも実行さえ出来れば、纏まった収入に繋がる(大手メディアからの作品刊行など)可能性は、より高いと思うのです。



向こう数日中に、方針を決めねばなりません。



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飯塚市(行政や市民)には、感謝しているんですよ!

青梅市と比べれば、天国と地獄です(むろん前者が地獄)。

布団、衣類、電子レンジ、食料などの生活用品、机、Wi-Fi、携帯電話、スキャン機、等々、仕事に必要な機材を、いろんな機関(や個人)が用意してくれて、やっとスタートラインに立つことが出来ている次第です。



それでも、いろいろと不満や腹立たしいことは有ります。

昨日は1時に生活保護支給金(2万2014円)を受け取りに行くことになっていて、なおかつ新しい担当者に代わる旨、先週末に確認を取っていたのですが、何の通知もなく3時に変更、2時間近く待たされる破目になってしまいました。そりゃ腹が立ちます。それで様々な不満を、たまたま窓口にいた全く面識のない若い女子職員に2時間近く滔々とぶつけていました。仕事とは言え、嫌な顔一つせず延々と聞き続けてくださった職員嬢には申し訳ない思いでいっぱいです。



飯塚に来てから、ちょうど1年半になります。その間に、担当者が4回も交代しました。最初の方は(怒りっぽいのが欠点だけれど)とてもしっかりした方で、様々な相談にも乗って頂けた。変わるごとに劣化していきます(良い人達ですが、笑)。どんどん若くなって、ついには、大学出たてと思しき若者男性です。上記女子職員とは2時間近く話していたのに、彼との会話は1分程度。不安満載です。青梅市役所の、とんでもない(散々な目にあった)若造職員とレジャブが一瞬過ぎったのですが、まあ、そうでないことを祈るしかありません。



そもそも青梅市役所では、それまで(2022年初めまで)の苦労人中年担当者から、とんでもない若者(いかにも勉強だけは出来そうなエリート職員)に代わったことで、悲惨な方向に進み始めた。

具体的な事は飛ばします(次回記す予定)。理不尽(ほとんど嫌がらせ)としか言いようのない理由で、生活保護の打ち切り。その過程が余りにも酷かったものですから、飯塚に来る直前の一昨年7月、東京都と青梅市に告訴状を送りつけました。



丸一年経った去年7月に書類上の受理がなされ、ついては正式な手続きをするようにとの通知が来ました。一年間も棚上げされて今更という思い、加えて(時間の無駄でしかないと)周囲の方々のアドバイスもあり、そのまま放っておいたのです。

すると、また一年近く経った先月、訴えは却下するとの書類が届きました。その理由は、もう笑ってしまうしかない、優等生による教科書的理論答弁が延々書き綴られていて、到底理解も納得も不可能、(反論したいことは山々ですが)無視するしかありません。



すると、昨夜、青梅市から52万円余の賠償命令の書類が届いた。もっともこれは初めてではなく、2年前に問題が起こるより数年前から、計4~5回目の催促です。健保など必要な支払いが未納になっていて、結果として生保金支払いが超過しているため、還元返済しなければならない、ということで、青梅市から支給されていた6万円前後から、毎月5000円~1万円を天引きしていく、ということで話が済んでいたのです。順調に青梅での生活保護が続けられていたならば、現時点で半分以上は完了しているはずです。しかし停止になってしまったら、そうは行かない。僕の訴えが却下されたからには、すぐにでも支払え、ということなのでしょう。当面無視します(その辺りのことは次回)。



そもそも、飯塚市から貰える2万円余(初めの頃は3万5000円ほどだったのが、担当者が変わるごとに減額されていく)というのは、東京の家賃(実質書庫代)に相殺される年金分を引かれての事、東京に部屋があるなら、東京で生活保護を受けるべきで、飯塚で保護を受けるのはおかしい、と指摘され続けてきました。でも、それが出来ないからということで、渋々(?)飯塚市が受け入れてくれているわけです。



飯塚市の職員たちも、支給額が2万円少々、光熱費等々を差し引くと、実質1万円前後で、ひと月(HDD修理費の月々の支払を含めれば実質0円)の生活費で暮らすのは、さすがに無理だろう、と同情してくれています。

で、皆、口を揃えてアドバイスをしてくれる。

青梅の部屋にキープしているダンボール120箱分の資料も、修理費未納のHDDも、全部捨ててしまいなさい。そんなものは、生活には必要のないもの。それよりも、(十分な保護費を得て)人間らしい生活をしつつ余生を送ることの方が、遥かに大事です、と。



大きな問題ですね。



先に結論を述べておくと、突き詰めれば空気への同調圧力。人類総責任逃れを第一義に構成される民主主義社会への順応指示。



人間にとって、ことに高齢者にとって、生きる、という意味。

2つの解釈が存在します。

大多数と、(僕を含む)ごく少数の。

無論、正しい答えは前者(⓵)であり、後者(⓶)は間違った答えなのですね。

本来なら答えなど存在するわけはないのですが、空気に乗っかって理路整然と、当然のごとく導かれた答えが真実・正義であるわけです。



⓵大多数の人々の見解

年寄りは、金も生活も国や行政が助けてやるので、おとなしくお金貰って、それなりに美味しいもの食べて、寝転んでテレビでも見て、死ぬまで余生を楽しく、人間らしい生活を送れば良い。何よりも大事なのは自分の命。それを守る為に手助けをしてやるのである。余計なことはしなさんな。命の為には、他のことなどはどうでもよい。命に勝るものは(当然のことながら)どこにも存在しない。



⓶(僕を含めた)少数の人々の見解

本当に命が全てなのか?

人間は、死なないことが第一義で生きてきているのか?

僕はそう思はない。

生きるために手を貸す、それは、責任逃れの発想でしかない。



僕は今月76歳になります。客観的に考えれば、充分に生きてきたわけです。(まだ生き続けることが出来れば有難いですが)いつ死んでも文句は言えない。



一方、僕自身が人生をかけて、かつ多くの人々の尽力を得て、積み上げてきた“仕事”は、僕自身の為にも、協力してくださった人々の為にも、少々大袈裟に言えば、人類や地球の為にも、引き継ぐ責務がある。



今後僅かの個人の命と、膨大な可能性を未来に残す仕事(写真やデータや作品)と、どちらが大事なのか? 僕にとっては後者であるのは当然のことです。



しかし、国も行政も大衆も、(建前上)命は尊く全てに勝る、と考えているのですね。それ(命を繋ぐこと)に関しては全面的に協力をする、付随する些末な事には一切関与しない(僕には責任逃れの現れだとしか思えないけれど)。

残りの人生(1年かも知れないし1日あるいは10年かも知れない)“人間らしく生きる”(インチキ感満載の実に嫌な言葉だ)ことだけに全力を注ぎなさい、と。



僕には(よほど頭が悪いからなのか)どうしても理解が出来ません。



何度も言います。76歳まで生きてきたのだから、この後どうなろうが文句は言えません。

しかし、膨大な資料(地球の財産です)を形に整え、将来に引き継ぐことは、命の継続より上位の、最優先事項です。



ぼくのような考えは、大衆の価値観、道徳観からすれば、間違っている(=悪)なのでしょうか?

依存症、あるいは(正義にとって都合の悪い)陰謀論と同じ、と見做されるだけなのでしょうか?



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二階引退、ひき換えにお咎めなし(および“ばかやろう”発言)、というニュース。

二階氏85森氏87。

ちなみに麻生氏83(実家は僕のアパートのすぐそばです)、でも何故か彼のヤフコメでの評判は余り悪くないみたい。

(ちなみに、ジョニーは今月20日で86、もう10年近く前からヨボヨボです)。



いや、分かりますよ(笑)。

>二階にしろ森にしろ、もはやお呼びでない。

確かに。

>こいつら、たまたま権力を得て、この年になっても、それにしがみついているのは、一にも二にも、お金の為。

でも、僕の感覚では、何もお金の為に、権力にしがみついているのではないと思う。彼らなりに一生懸命に(老体に鞭打って)国や国民を思って(それはそれで困るわけですが、笑)行動しているのです。

どうして(世間的な物差しでは頭が良いのかもしれない)大衆の思想と言うのは、こうも貧弱なのでしょうか?

どころか、とんでもない(年齢)ハラスメントなんですけれどね。



彼らへの批判自体は間違ってはいないのかも知れないとしても、余りの金太郎飴的無個性コメントの行列、見ているだけで恥ずかしくなってきます。

その中にあって、実にセンスの良い秀逸コメントを見つけました。

Olx…さん。

>二怪氏と田原総一郎氏で、朝までばかやろう対談をやってほしい。

笑ったです。





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