青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

前回(第3回)の記事の訂正(同定変更)など

2024-02-29 17:55:49 | 日本の蝶、中国の蝶



誤:

■Lestranicius [Toxopeus,1927]

★♂交尾器の特徴:Valva内面に隆起状、harpe側に鋸歯列を備える。

★中国雲南省南部~インドシナ半島北部産(紹介種)と、フィリッピン・ミンダナオ島産の、計2種からなる。



正:

■Calatoxia [Eliot & Kawazoe, 1983] シラホシルリシジミ(亜)属

★♂交尾器の特徴:Socius先端は鋭突屈曲し、基部下方にgnathos状骨片が生じる。valvaはやや幅狭く前後に伸長する。

★ヒマラヤ中部‐インドシナ半島‐スマトラ-ジャワ、および台湾に計3種。



写真のキャプション

誤:Lestranicius traspectaus

正:シラホシルリシジミLycaenopsis(Celatoxia)marginata



白水隆台湾大図鑑1960のCelastrina carnaと同じ(和名は本文でシロモンルリシジミ、図版ではシラホシルリシジミとなっている)。



Lestranicius traspectausとCelatoxia marginataは♂交尾器が明確に相違するが、色彩・斑紋は酷似する。雲南省西部には、おそらく両種とも分布しているものと思われる。



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Sociuncus基方にgnathos(またはbrachia)状骨片が発達するのは、前々回記したOreolyceなどの他に、Notarthrinus, Uranobothria, Monodontides(ルリシジミに酷似する種を含む)など各(亜)属がある。



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3回で終える予定だったのが長くなってしまいました。

1(序説)

2タイワンクロボシシジミ、タッパンルリシジミ

3サツマシジミ、ヤクシマルリシジミ、シラホシルリシジミ

4ルリシジミ

5スギタニルリシジミcomplex

(スギタニルリシジミ、オオスギタニルリシジミ&ミヤマルリシジミ、ウラジロルリシジミ)

6アリサンルリシジミ類似種群

(オオアリサンルリシジミ雲南亜種、同・四川亜種)

7オガサワラシジミ

8「小笠原緑の島の進化論」転載

次回は4です。








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日本国内絶滅第1号種オガサワラシジミと、ルリシジミ、スギタニルリシジミについて(その3)

2024-02-29 07:46:08 | 日本の蝶、中国の蝶



 
オガサワラシジミLycaenopsis(Celastrina)ogasawaraensis

小笠原母島乳房山 Aug.1,1988 (花は小笠原固有植物のシマザクラ)

【以前作成した絵葉書より】



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真正ルリシジミ属(Celastrina)以外のルリシジミ類の過去撮影写真紹介の続きです。



■Penudara [Eliot & Kawazoe 1983] サツマシジミ(亜)属



★♂交尾器の特徴:Ringは幅広く下半部が短く、vinculumは中央付近で陥入する。Tegumenと

Sociuncusの間に明瞭な節間膜が発達。Sociusは鋭頭(屈曲せず、種によっては基部下方にgunathusに相当する一対の鋭突起が発達)。Juxta両翼は短く幅広い。Phallusのcoecumは良く伸長。Valvaは前後に短く基部が幅広い。



★前回に記したように、♂交尾器の特徴と、属全体の分類のバランス上、暫定的に独立(亜)属として扱う。主に大陸部アジア熱帯に分布するサツマシジミに、スマトラおよびフィリッピン産の各1種を加えた3種。日本産の種としては、後翅裏面外縁沿いの黒点列のうち内側の一列を欠くことで他種との区別が容易だが、国外には別グループの種にも同様の特徴を示す種が少なからずあり、注意が必要。





サツマシジミLycaenopsis(Penudara)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984





サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984



 

サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984





サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島 Aug.2,1984



 

サツマシジミL.(P.)albocaerulea

四川省都江堰市 May 27,1990





サツマシジミL.(P.)albocaerulea

ベトナム・ファンシーパン山 Nov.2,2015



2004年以前はポジフィルム撮影のデジタルスキャン、2005年以降は初めからデジタル撮影。しかし共に整理が中途半端で、原版写真をなかなか見つけ出すことが出来ない。トリミングしてあるのだけを見つけ出しても、それをブログに貼り付けると、異様に大きくなったしまう。そこでわざわざパソコンのデスクトップに映し出した写真をカメラで撮影して全体を小さくしてからブログに貼り付ける、という面倒な手順を経ている次第である。



 

サツマシジミL.(P.)albocaerulea 吸水集団

屋久島Aug.2,1984





左:ヤクシマルリシジミL.(A.)puspa/右:サツマシジミL.(P.)albocaerulea

屋久島Aug.2,1984



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■Acytolepis [Toxopeus,1927] ヤクシマルリシジミ(亜)属



★♂交尾器の特徴:Ringはやや丈高で下部が細まる。Vinculumは中央から背方に向け強く嵌入。

Sociusは鈍頭(種samangaでは鋭突)で横から見るとほぼ三角形。Juxtaはやや短かめ。Phallusのcoecumは丸味を帯びるが余り伸長しない。ValvaはCelastrina同様、後縁2か所が突出、ampulla部は腕状に伸長する。



★5種がアジアの熱帯域に分布。うちヤクシマルリシジミは、日本列島南部(定着地北限は紀伊半島)、中国大陸南部、台湾、フィリッピン、スンダランド、インド亜大陸、セレベス周辺諸島などに20亜種が知られ、季節や地域ごとに斑紋の変異が著しい。



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa ♂

屋久島 Aug.29,1984



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa ♀

屋久島 12月(詳細データ探索中)



 

ヤクシマルリシジミL.(A.)puspa 産卵(ツツジ属)

屋久島 12月(詳細データ探索中)



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa 産卵(テリハノイバラ)

屋久島 12月(詳細データ探索中)





ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa ♀

雲南省高黎貢山 Jul.6,2007





ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

雲南省高黎貢山 Jul.6,2007



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

深圳市 May 17,2016 (photo by Monica Lee)



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

ベトナム・ファンシーパン山 Jun.21,2017





ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

ベトナム・ファンシーパン山 Jun.21,2017



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

ベトナム・ファンシーパン山 Jun.21,2017



この写真(さっき写真を整理中たまたま見つけた)の2個体と、前2つの写真の個体は、同一日時・同一場所に隣り合ってとまっていた。前2個体(16時34分撮影)はヤクシマルリシジミであることは間違いないので、こちら(16時35分撮影)は(ヤクシマルリシジミ乾季型の可能性も考えたが)別の種と思われる、、、、というより、タッパンルリシジミだね。でもタッパンルリシジミは昨日アップしてしまったし、一応ヤクシマルリシジミの項目で紹介しておく。



 

ヤクシマルリシジミ L.(A.)puspa

恥ずかしい話だけれど、タッパンルリシジミとヤクシマルリシジミが区別できなくなってしまうことがある。写真上左(屋久島Aug.2,1984)と下2枚(「中国のチョウ」香港Des.28,1989)はヤクシマルリシジミ。上右は一応ヤクシマルリシジミとしている(「中国湖蝶野外観察図鑑」雲南省梅里雪山Jul.25,2014)のだけれど、あるいはタッパンルリシジミ?



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■Lestranicius [Toxopeus,1927]



★♂交尾器の特徴:Valva内面に隆起状、harpe側の縁に鋸歯列を備える。



★中国雲南省南部~インドシナ半島北部産(紹介種)と、フィリッピン産の、計2種からなる。



 

Lestranicius traspectaus

雲南省高黎貢山 Jul.30,2004

リアルタイムではヤクシマルリシジミ(雨季型)のつもりで撮影した。



 

Lestranicius traspectaus

雲南省高黎貢山Jul.30,2004

産卵植物はカシ類?



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*参考として:

タッパンルリシジミやヤクシマルリシジミ(乾季型)に外観がよく似たルリシジミ類の1属Oreolyca(4種)が熱帯アジア(おそらく中国大陸南部を含む)に分布。この属は、ルリシジミ節Lycaenopsis‐section(本コラムでの広義のルリシジミ属)としては例外的に♂交尾器に明瞭なbrachiumを備える(狭義のLycaenopsis属=1属1種=にも痕跡状のbrachiaあり)。



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前回の訂正:

*前回のキャプション、タッパンルリシジミ5枚目(誤:四川省都江堰市青城山 May 27,1990→正:雲南省梅里雪山明永 Jul.9,2012)、同6枚目(誤:四川省梅里雪山明永 Jul.9,2012→正:四川省都江堰市青城山 May 27,1990)、同7~8枚目(誤:四川省→正:雲南省)、9枚目(誤:四川省梅里雪山明永 Jul.12,2012→正:四川省宝興県東拉渓谷Aug.7,2010)。



*ヒメサツマシジミL.(U.)asakaの同定は正しくないと思う。サツマシジミL.(P.)albocaeruleaの変異型(もしくは僕が特定できなかった別の種?)としておくのが妥当だろう。



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次回から、ルリシジミ、スギタニルリシジミ、オガサワラを含む、真正のCelastrinaについて述べていく。














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日本国内絶滅第1号種オガサワラシジミと、ルリシジミ、スギタニルリシジミについて(その2)

2024-02-28 12:56:04 | 日本の蝶、中国の蝶





オガサワラシジミLycaenopsis(Celastrina)ogasawaraensis

小笠原母島猪熊谷 Sep.23,1992 (花は帰化植物のタチアワユキセンダングサ)



去年の春、ルリシジミの話題をブログにアップした際、ルリシジミ関係の項目を引き続き取り上げていくと通知したのだけれど、その前にツバメシジミの話などをしだしたら、ルリシジミの件は忘れてしまってそのままになってしまった。この機会に一年遅れで再開する。今回は、Celastorina以外のルリシジミ(タッパンルリシジミ、ハワイアンブルー、サツマシジミ、ヤクシマルリシジミ、タイワンクロボシシジミなど)*、次回は真正Celastorina(ルリシジミ、オガサワラシジミ、スギタニルリシジミ、アリサンルリシジミなど)を予定。*注:更に2回に分けます。



既に何度も述べているように、僕のスタンスは“教科書クソくらえ(笑)”である。何らかの基準に則るのでも、確立済みの体系に従うのでもなく、僕自身が納得できる事象を最重視して書き進めて行く。目指すのは「答え」ではなく、ひたすら「問題提起」である。



“ルリシジミ属”の定義の変遷についてザっと見渡しておこう。日本に関わりが深い、かつ外観も典型的ルリシジミ型の種は、ルリシジミ、スギタニルリシジミ、サツマシジミ、ヤクシマルリシジミ、タッパンルリシジミ。これらは皆、以前はCelastrina属の一員であった(ちなみにオガサワラシジミは古くはハワイアンブルーとともにVaga属とされていて、のちに真正のCelastrina属に移行)。



やがて、タッパンルリシジミとヤクシマルリシジミがCelastrinaから分離され、それぞれUdara、とAcytolepisに移行、川副・若林(1976年)では、ルリシジミ、スギタニルリシジミ、サツマシジミがCelastrinaに残って、オガサワラシジミも加わった(外観が顕著に異なるタイワンクロボシシジミとヒメウラボシシジミは、それぞれ従来通りMegisba、Neopithecopus)。



1983年、Eliot&Kawazoeが、Lycaenopusis section(ヒメシジミ族ルリシジミ節)を再編、サツマシジミをCelastrinaから切り離し、新分類群Penudaraを設置、ただし「余り多くの属に分けたくはない」(川副氏私信)ゆえ、亜属として既存の属に編入することになった。その際、最も関連が深いのは、元の所属であるCelastrinaよりUdaraと判断し、Udaraの1亜属に置いた。



従って、PenudaraをUdaraの一亜属とすることに否定はしないが、その処遇は必ずしも積極的に為されたものではなく、切り離して独立属とする処置も、また否定は出来ないであろう。♂交尾器に関しては、狭義のUdaraとの間に共通の部位もあるが、明らかに異なる部位も少なからずある(後述)。同じく亜属に置かれるVagaの場合、♂交尾器の形状が明らかに狭義のUdaraと相同であることと対照的であり、他の属分類とのバランス上も、Penudaraを独立属と見做すほうが適っているように思われる。



というわけで、本コラムでは原則として属を細分した。日本産については、ルリシジミ、スギタニルリシジミ、オガサワラシジミがCelastrina、タッパンルリシジミがUdara、サツマシジミがPenudara、ヤクシマルリシジミがAcytolepis、尾状突起を備えるなど外観の印象がやや異なるタイワンウラボシシジミがMegisba。そのほか本書で写真を取り上げた関連種では、アリサンルリシジミがCelastrina、ハワイアンブルーとヒメサツマシジミがUdaraに所属する。



もっとも、別の観点から、全てをCelastrinaに統合することも、それはそれで適った処置であろう。「線引き」の問題である。Eliot(1973)はヒメシジミ亜科ヒメシジミ族を、主に雄交尾器の形状に基づいて30の節(Section)に分けている。それぞれの節内の♂交尾器の特徴はよく共通していて、かつ節間には安定的な差異が示される。



ルリシジミ節に於いては、sociusが広く2分、通常braciaを備えず(ごく一部の種を除く)、vinculmは前方体腔内に湾曲嵌入、saccusが未発達、valvaは板状、juxtaは紐(VまたはY字)状、phallusのperivesicul-area内にcornutiが発達、coecumは丸くしばしば長伸する、等々。



他のヒメシジミ節Polyommatus-section、カバイロシジミ節Glauchpsyche section、ツバメシジミ節Cupido-section、ヤマトシジミ節Zizeeria-sectionなども、それぞれの節内で特徴を共有、かつ節間で明瞭な安定差がある。したがって、属を広義にとり、節をそのまま属に当てる処置が妥当なのではないかと考える(数多くの種群が単一属に含まれる例えばPapilioの場合などと同次元の処置)。



いわば、太陽系の概念ようなものである。別恒星との間には明確な線引きが為される。ルリシジミやヤクシマルリシジミやタッパンルリシジミやサツマシジミをCelastrinaに纏め、比較的顕著な特徴を持つタイワンクロボシシジミやヒメウラボシシジミなどを夫々独立属として切り離す、という考えも出来ようが、海王星や冥王星が幾ら異質な存在であろうとも、線引きという点では主観が入る余地はなく、太陽系という明らかに纏まった集合体の一員であることは否定のしようがない。



線引きという観点からは、ルリシジミ節を細かく属分割するか、全体を単一の分類単位(節=属)とするか、2択だと思う。



しかし、後者の場合、属名はCelastrinaではなくなる。よりによって、ルリシジミ節のうちで最も特異な存在で少数派のLycaenopsisが属を代表することになる。いわば、太陽系を代表する星に冥王星が選ばれるようなものである。



これはもう手続き上の問題で、致し方が無い。ルリシジミはヨーロッパで最もポピュラーな蝶の一つだ。

リンネが2名法の学名を提唱した際、いの一番に名付けられた(1758年、Lycaena argiolus)蝶の一つである。その当時、シジミチョウ科の大半の種は、Lycaena(現在ではベニシジミ属に限定)1属に統一されていた。一方、遠く離れたアジアの蝶達も、(インド亜大陸を中心とした少なからぬ地域がイギリスの植民地であったゆえ)新種記載が行われるようになった。それらの蝶達は、外観からしてヨーロッパ産の蝶と顕著に異なっているため、種記載に際して、最初から属名も新設された。



もちろん、ヨーロッパのルリシジミも、やがてLycaenaから分離されて最終的にCelastrinaを名乗るようになった(1906年)のだが、それよりも前(1787年)にLycaenopusisが記載されていた。従って、明確に為し得る線引きでもってこのグループ(広義のルリシジミの仲間)を定義付ける際の属名は、事務的に(実質的に代表するCelastrinaではなく、異端的少数派の)Lycaenopusisと成るわけだ。



ということで、ここでは広義のルリシジミ属をLycaenopsisとし(あくまで問題提起としての一案で、それに拘るつもりはない)、日本産については、以下の亜属または狭義の属に分配する。



以下、Eliot&Kawazoeを参照しつつ(種数などはそれに従い、必要に応じて追加する)、僕が撮影した写真の種を紹介していく。



・・・・・・・・・・・・・・



■Megisba [Moore 1881] タイワンクロボシシジミ(亜)属



★♂交尾器の特徴:個々の部位はルリシジミ類としてはごく一般的が、プロポーションがかなり異なり、dorsamが前後に長く、vinculmは前方体腔内に大きく嵌入、全体的にコンパクトなCelastrinaとは対極的な印象を持つ。Sociusは鈍頭で、基部付近にgnathos(brachium?)の痕跡のような部位が生じる。Phallusのcoecumは伸長。Valvaは単調な板状。



★小形で後翅に尾状突起を有し、一見ルリシジミ類らしからぬ外観をしている。熱帯アジアに広く分布するmalayaと、ニューギニア地域に分布するstotongyleの2種からなる。日本ではタイワンクロボシシジミが沖縄本島と八重山諸島に分布する。



 

タイワンクロボシシジミ Lycaenopsis(Megisba)malaya

西表島 Jun.4,1992



 

タイワンクロボシシジミL.(M.)malaya

西表島 Jun.4,1992



 

タイワンクロボシシジミL.(M.)malaya

台湾 Dec.26,1985



 

タイワンクロボシシジミL.(M.)malaya

台湾 Dec.26,1985





タイワンクロボシシジミL.(M.)malaya 産卵

石垣島 Jun.6,1992



・・・・・・・・・・・



■Udara [Toxopeus,1928] タッパンルリシジミ(亜)属



★♂交尾器の特徴:Dorsamは上下に高く、vinculumは背方寄りで体腔内に嵌入、ringは下半部が細く丈高い。Sociusは鈍頭で後方に伸長。Phallusのcoecumは良く発達。valvaは広い板状。Vaga(旧・ハワイアンブルー属)との間に基本構造差はない。



★外観がルリシジミに酷似し熱帯アジアに広く分布するタッパンルリシジミなど、5亜属37種を含む(ただしここではサツマシジミ亜属3種を独立属として分離)。ニューギニアに繁栄する亜属Perivagaやハワイ諸島固有の亜属VagaはUdaraに統一した。タッパンルリシジミついては写真を紹介した一部個体について、今ひとつ同定の自信がない。ヒメサツマシジミの同定も暫定的。





タッパンルリシジミ Lycaenopsis(Udara)dilecta ♂

四川省天全県 Aug.4,2009



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta ♂

四川省天全県 Aug.4,2009



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta ♂

四川省天全県 Aug.4,2009



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta ♂

四川省天全県 Aug.4,2009



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省都江堰市青城山 May 27,1990



 

タッパンルリシジミ L(U.)dilecta

四川省梅里雪山明永 Jul.9,2012



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省梅里雪山明永 Jul.12, 2012

手前の1頭。右はL.(Celastrina perplexa)、奥はL.(C.)hersilia





タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省梅里雪山明永 Jul.12,2012

手前の1頭。右はL.(C.)perplexa、奥はL.(C.)hersilia



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省梅里雪山明永 Jul.12,2012

右の1頭。左はL.(C.)argiolus。





タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

広西壮族自治区龍勝県芙蓉 May 21,2009

後翅裏の黒点配列からdilectaと同定したが、確証はない。



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省都江堰市青城山 Jun.9,1989

こちらはdilectaで間違いないと思われる。





タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省都江堰市青城山Jun.9,1989



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省都江堰市青城山Jun.9,1989



 

タッパンルリシジミ L.(U.)dilecta

四川省都江堰市青城山 Jun.9,1989





ヒメサツマシジミ(仮称) L.(U.)akasa ?

浙江省杭州市西郊清涼峰 Jul.12,2018

斑紋の印象からakasa(インドシナ半島以南に3亜種が分布)と同定したが、分布圏から離れていることなどもあり、確証はない。Akasaの雄交尾器はサツマシジミとは顕著に異なり、Udaraとしての典型を示す。



 

ハワイアンブルー L.(U.)blackburni 

ハワイ・オアフ島 Dec.17,1993

かつてはオガサワラシジミと2種で独立属Vagaがたてられていた。♂交尾器の基本形状に有意差が無い事からUdaraに包括しておく。





ハワイアンブルー L.(U.)blackburni 

ハワイ・ハワイ島 Apr.11,1994





ハワイアンブルー L.(U.)blackburni 

ハワイ・ハワイ島 Apr.11,1994








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日本国内絶滅第1号種オガサワラシジミと、ルリシジミ、スギタニルリシジミミについて(その1)

2024-02-24 21:13:04 | 屋久島 奄美 沖縄 八重山 その他




オガサワラシジミ Lycaenopsis (Celastrina) ogasawaraensis

オオバシマムラサキ(シソ科)の蕾に産卵:小笠原父島中央山 Aug.2,1979



スギタニルリシジミ本州亜種 Lycaenopsis (Celastrina) hersilia sugitani

トチノキ(トチノキ科)の蕾に産卵:山形県肘折温泉 May 10,1982



ルリシジミ Lycaenopsis (Celastrina) argiolus

イタドリ(タデ科)の新芽に産卵:千葉県天津小湊町 JUL.19,1975



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今日、テイラー・スイフトをはじめて聴いた(我ながら笑ってしまう、なんて時代遅れな人間なのだろうか、、、)。なぜこれまで聴いていなかったのかと言うと、特に理由は無くて、、、、敢えて言えば、単にわざわざチェックするのが面倒だったから。たまたまバイデンvsトランプの記事をチェック中の流れで、曲を聴くことに相成ったわけだ。どの曲も、なかなか良い。



カントリーからスタートして、ポップ音楽の歌姫になり、今では音楽と言うジャンルを超えた時代のアイコンになっている、と言うことぐらいは知っていた。「デビューはカントリー、後にポップに移行して大ブレイク」と言うことなんだけれど、僕の感覚では、今だってスピリットは充分カントリーだね。



以前にも、テイラー・スイフトの実績をチェックしようと思って、手許にある「Billboard Top Pop Singles 1958-1999」「Top Country Singles 1944-1997」とをチェックしたら、どちらにも載っていなかった。そりゃそうだ、20世紀末は彼女はまだ10歳前後だもの。



考えてみれば、ポップからカントリーに移行した歌手は星の数ほどいるけれど、意外なことに、その逆は見当たらない。そうか、エルヴィス(1955年→1956年)が数少ないそのパターンだった(後のドリー・パートンとかも)。時代と男女の(+自分で曲を作る)差はあれど、イメージ的には、エルヴィスと重なる。



アメリカでのウケ方がなんとなくわかるような(かつ多くの日本人には分からないであろうろうことが分かるような)気がする。付け加えれば(漠然と、、、だけれど)大谷翔平の「存在次元」とも、被るような、、、。



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逸ノ城の断髪式、北青鵬の強制引退と宮城野親方(白鵬)の平年寄り降格、、、、ひいては、モンゴルと日本の文化や人々の価値観の相違、等々について考察していくつもりだったのだけれど、余りに大きな問題へと広がっていきそうなので割愛し、テイラー・スイフトでお茶を濁して、蝶の話題に移ることにする。



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ここのところ、連日霧雨のような天気。晴れていれば、今年一番の新世代の蝶(ベニシジミとかモンキチョウとか)が飛び出してきても良い時期である。撮影に出かけたいところだが、雨天を幸いにグッと我慢をして、デスクワークに専念。



「近所の森と道端の蝶(福岡編)」は、4章で構成することにした。

第一章:生態図鑑⓵:2023年春~秋に著者の自宅付近で撮影した蝶50(+7)種

68頁。これは完成済み。

第二章:生態図鑑⓶:日本産の蝶全種/主に1975年~2004年撮影のポジフィルムから

62頁。これも昨日ほぼ完成。

第三章:蝶のアラカルト

第四章:海の向こうの兄妹たち

3(約80頁予定)と4(約50頁予定)は“さわり”だけ抄出紹介するに留め、とりあえず商品(ローカル発信)にしてしまおうという目論見。



第二章の「日本産全種」というのは、かつてはザっと240種というのが定説だったけれど、現在はそれに加えて、南方系の蝶の南西諸島への進出、および「隠蔽種」とやらを種分割することなどで、かなりの増加となっている。でも遂一それを追っていれば(人によって見解も異なるだろうし)キリがない。なるたけ下方に標準を定め、大雑把なカウントで260~270種(分類群)ぐらいが妥当なところではなかろうか?



未撮影種が5種ほどある。撮影はしたはずなのだけれど写真を見つけ出せないという種が10種ほど。(南方系の日本に定着しているのかしていないのか曖昧な種に関しては、中国南部などでの撮影品で代用する)。誰かに借りるという手もあるが、「以前自分で写した種」というコンセプトに沿うためには、それはしたくない。



もちろん新たに撮影する、という手もあるわけだが、時間的、経済的なハードルを考えれば、現実的ではない。正直に「写真欠落」と表示することにしよう(一応市販本にする予定なので「なんだかなあ」とは思うが、致し方ない)。「図鑑」というよりも「作品」、というポリシーを重視したい。



で、原則今年は部屋でデスクワークに専念し、フィールドには出向かない。でも「福岡編」「日本産全種(+主要下位分類群)」と銘打ったからには、入れないわけにはいかない対象がひとつだけある。日本産蝶類のなかで唯一の「九州における明確な固有分類群」であるところの、スギタニルリシジミ九州亜種。



45年前(1979年4月17日)、まだ出来て間もない大村空港から、経ヶ岳に登ったことがある。延々と歩き通してヘトヘトになった挙句、お目当てのスギタニルリシジミには出会えなかった*。惨敗である。そこに再挑戦する(あや子さんは写真うつしていないかな?)。あるいは福岡県に的を絞って、英彦山や犬が岳。飯塚市内なら、(市内最高峰の)三郡山にいるかも知れない。



カメラは3万5000円の修理費を支払って引き取らねばならぬのだが、3万5000円捻出は厳しいし、

ちゃんと治っていない可能性もあるので、今すぐの奪回は躊躇、といってスマホでの撮影は自信がない。前回は3500円の中古カメラを購入して最低限の撮影は出来た(ひと月でぶっ壊れた)ので、今回もネットで安いカメラを購入、というのが現実的なのかも知れない。いずれにしても気が重いのだが、それ(九州産スギタニルリシジミ)だけは写しておきたい。



3月下旬に本が完成次第、即追加する。とにかく今年のフィールドワークは九州産スギタニルリシジミ一本に絞って(ほかに去年夏から続けているシルビアシジミのチェックも継続)、あとは部屋に籠城してデスクワーク専念に徹する。



冒頭にも晴れたように、次に晴れたら(明日かも知れない)、今年最初に姿を現すベニシジミとかモンキチョウとかを撮影に行きたいところだけれど、ぐっと我慢してスルー、デスクワークに専念と決めている。



けれど、もうひとつ思い出した。去年の春、ルリシジミは数多く撮影出来たけれど、翅を開いた♂のまともな写真は取れていない。そうだ、それにも再チャレンジしなくちゃ。こちらはアパートから徒歩1分の地点での撮影なので、それほど負担にはならないと思う。



ということで、来週からは徒歩一分地点でのルリシジミ撮影、月末には丸一日バス(下手すりゃタクシー)と徒歩でスギタニルリシジミにチャレンジ、あとはひたすらディスクワークに専念する。



その前に、先日東京から郵送したダンボール16箱分に収納してある、数10万枚のポジフィルムを整理して、スキャンしなくてはならない(既に開始している)。丸一年がかりの作業になりそうである。



「近所の森と道端の蝶(福岡編)」を終えれば、次は「東アジア(中国・日本と周辺地域)の蝶:原資料としての青山潤三撮影写真集+幾つかの問題提起」に取り組む。一巻平均200頁ぐらいで、計50巻を予定。印刷はせずに、写真を主体としたPDF原稿をCDに収納、定価1800円で販売する。200頁だと印刷本の売値は5000円くらいになる。なおかつ低いクオリティの印刷なので、購入者に対して心苦しいことこの上もない。



しかし、原版PDFをCDに収納販売すれば、圧倒的に廉価で、圧倒的にクオリティの高い作品を提供できることになる。原価はほとんどかからないので、僕の純益分(1000円を予定)と、六本脚へのマージン(30%)を上乗せしても、頁数の多少にかかわらず、全50巻一律1800円の定価で提供できる。

購読者にとっても僕にとっても取次ぎ機関にとっても、三方得策だと思う。僕の収入は、各巻購読者一人ならば5万円、10人なら50万円、100人なら500万円、という皮算用、である。



「取らぬ狸の皮算用」とならぬためには、作品を作り続けるしかない。最初は大向こう受けする対象からと考え、「モンシロチョウ」の号からスタートしようと、400頁分の試作品の凡その構成と写真の準備を、つい先日終えたばかりである。で、ポジフィルムの整理をしている過程で、いろんな写真が出てくる出てくる、絶滅危機各種も、結構揃っている。大向こう受けする、ということでは、こちらの方かも知れない。



絶滅危惧種となれば、何と言ってもオガサワラシジミ。危惧どころか、絶滅してしまった(ということになっている)蝶である。インパクトということでは、これほどの適材はないであろう。そのオガサワラシジミの「生きた野生の姿」の写真(とデータ)を世界で一番保持しているのは、間違いなく僕だと思う(探し出さなきゃなんないが)。



どうせなら、本当に絶滅してしまったのかどうかも確かめたい。そのうえで1998年刊行の「小笠原緑の島の進化論」の復刻版に、現在の状況(願わくば「絶滅種の生存確認」)を追加発表することが出来れば、大向こう受けすること必至である。



ということで、5‐6月頃(ゴールデンウイーク明け)に渡島調査、PDF作品をその前に発売し、調査結果を(上記復刻版に追加して)改めて報告する。それに先立って、来週のルリシジミ、月末の九州産スギタニルリシジミ(ともにオガサワラシジミの母種の末裔に相当)の紹介も兼ねて、ブログに概要を綴っていく。



*追記:



↓この写真を紹介すべきかどうか迷ったのだが、、、、45年前の撮影行の記念を兼ねて、一応挙げておく。経ヶ岳への登り口、黒木の村の路傍のレンゲソウに止まっていた“ルリシジミ”。この1枚しか写せなかったのだけれど、撮影時にはスギタニルリシジミと確信していた。この後、山に分け入ればいくらでも出現するだろうとたかを括っていたのだけれど、結局ルリシジミさえも一頭も出会えずに終わった。あとでチェックしたら、スギタニルリシジミかルリシジミか、この写真じゃとても判別不能。でもリアルタイムでの直観はかなりの確率で当たっていると思うので、一応ここに紹介しておくことにした。



 長崎県大村市黒木 Apr.17,1979








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新年快楽!

2024-02-10 21:04:31 | 雑記 報告



今日2月10日は、中国の春節初日です。



ブログ、ずっと更新していないので、近況報告を兼ねて。



ここしばらく、目が覚めると机に向かって作業をはじめ、気が付くと日が暮れています。「近所の森と道端の蝶」のバージョンアップ版の作成に向けて、東京のアパートから郵送した10万枚を超すポジフィルムをデジタルスキャンしつつ、延々と進めています。沸かしたコーヒーを飲む暇もない状況です。



ということで、当分はブログもお休み。まっちゃん問題以降も、桐島聡氏の50年潜伏、女性マンガ家の小学館への抗議自殺、某整形美容外科氏のパートナー漫画家の娘さんと身元引受人女性作家との確執、、、、、いろいろと複雑で、想うところが多々あるのですが、「アメリカン・ポップス」の話題共々、しばし感想を封印しておかざるを得ません。



「中国蝴蝶野外観察図鑑」「近所の森と道端の蝶」の作成を終えれば、「東アジア(日本・中国および近隣地域)の蝶~原資料としての青山潤三撮影写真集+幾つかの問題提起」全80巻(各巻平均200頁)をPDFでCD収納して、定価1800円ぐらいで販売していこうと考えています。



紙の書籍本にすると(同じ純益1000円で計算して)各巻定価5000円以上になり、なおかつクオリティが圧倒的に劣るわけで、原版を廉価で提供する方が、僕にとっても購読者にとってもベターなはずなのです。でもその過程において幾多のハードルがあり、思うように進めることが出来ません。



それを終えれば、「中国の植物」全100巻。そして野生アジサイの集大成(資料を収納している修復HDD奪回まで、こまめに支払いを続けてあと8万円)に取り組みます(その次は中国大陸各地のヒグラシの鳴き声録音と解析比較)。それまで、くたばるわけにはいきません。計算上は、200歳まで生きてなきゃなんない(^^;)。



ここしばらく脊椎狭窄症(椎間板ヘルニアの親戚?)とかで身動きも取れない状況が続いていて、

まずそれを治して、資金を調達して、、、今年こそは中国に戻りたいです(客観的に考えれば来年ですかね)。



機会があれば、上記作品群の一端を、ブログでも随時紹介して行きたいと考えています。











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