青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国および日本のユリ科(狭義)植物 Ⅱ 麗江百合Lilium lijiangense

2024-04-23 21:03:25 | 雑記 報告



去年の暮れから毎日のように銭湯に通っています。歩くと20分余。去年の春~秋も、蝶の観察の為に毎日のように近くを通っていたのですが、存在に気が付かなかった。撮影の帰りに風呂に入っていたらさぞ気持ちが良かっただろうことを思えば、勿体ない事をしたものです。

今年は、(その付近での)撮影自体はほとんど行っていないのですが、逆に銭湯には毎日のように通っています。近所の看板屋さんの社長氏が、仕事を終えてから、一緒に車に乗っけてくれるので、歩かずに行けるのです。


なんせ、入浴料100円ですよ!東京の近所の銭湯(名前は温泉だけれど唯のお風呂)の990円!比べて超格安です。近所には他にも何カ所も銭湯があって、日替わりでそれらの銭湯(市内は100円、別の行政だと220円)を回っています。幾つかの銭湯には露天風呂も有ります。


露天風呂大好き人間の僕としては、歩かずに行ける近所の町中露天風呂も悪くはないですが、やはり何と言っても、露天風呂と言えばアウトドアに限ります。


日本アルプスの渓谷露天風呂と、屋久島周辺諸島の海岸露天風呂。


日本一高い(標高2100m余)雲上の露天温泉が3か所あります。


八ヶ岳中部の本沢温泉、北アルプス北部の白馬鑓温泉、北アルプス中部の高天原温泉。前2カ所は何度か通ったことがあるけれど入浴はしていない。最も山奥にある(行くのに2日以上かかる)高天原温泉では、入浴したことがあります(60年ほど前です)。風呂から上がって、(バリエーションルートで)水晶岳に登りました(60年間、山に行く時は常に単独行)。また行きたいけれど、、、さすがに無理でしょうね。

一番気に入っていた露天風呂は、その高天原への登山口にあたる、湯俣温泉。登校拒否児だった中学生の頃、夏はその山小屋でアルバイトをし、同じ経営の三俣山荘、雲ノ平小屋、水晶小屋などにボッカをしていたのです。湯俣小屋はひと夏僕一人で管理していた(今思えば、よく中学生に任せてくれたものです)。食事も一人で作っていた。メニューは卵チャーハンだけ。ある日、登山客が昼飯を食べに立ち寄り、三俣山荘に向けて登っていった。数時間後、僕も用事があって登ったところ、ちょうどその登山客に追いついて、小屋にチェックインをするところだった。


登山客氏、受付のスタッフに向かって(むろん僕の存在には気が付かずに)開口一番「腹減った!湯俣小屋で食べたチャーハンが美味しかったので、ここでも食べることが出来ますか?」。もしかすると、僕の人生で、一番の自慢案件かも知れませんね!


夜、宿泊客たちが寝てから、ひとりで河原に降りて、硫黄泉が噴き出す流れを石で堰き止めて、即席の露天風呂を造ります。流れ星が、火の玉のように飛び交っています。1961年か62年の夏。




僕にとっての露天風呂と言えば、屋久島。平内と湯泊の海中温泉ですね。今は有名になり過ぎて、以前のような素朴な風情は無くなったのではないかと思われますが、引き潮の時だけ入浴可、普段は荒海の中、という正にワイルドな温泉でした。遠くトカラ列島を望みながら浸かる湯は、天国。

その、トカラ列島(十島村)の温泉、中之島では1970年代初頭、早朝フェリーが着いて、すぐに露天風呂に向かいました。僕としては珍しく2人の同行者がいて、なぜか男3人で女風呂に入ったのを覚えています。


後に主要フィールドとしていた口之島の露天風呂は、村から数時間歩いた僻地にあります。へとへとで辿り着いたら、室内の風呂は施錠されていて入れず、露天風呂のほうは水が少ししか無くて、ヘビがたむろしていたので入るのを諦めました。


口之島の北にある口永良部島(屋久島町)にも温泉があります。やはり歩くと村から数時間かかります。ここにも、海岸に露天風呂がありますが、それだけではなく、場違いな温泉旅館街?があります。もっとも人は一人も住んでいない。移住するならココだと思うのですが、実際に生活が出来るのかどうかは、定かではありません。


口永良部島を挟んでトカラ列島と反対側の三島列島(三島村)の露天風呂も、結構有名ですね。もっともそれは活火山の硫黄島(とその東隣の竹島)の露天風呂。僕のフィールドである黒島にはありません。名の通り黒々とした原生林に覆われ、島の周りは断崖絶壁、火山性の他の島々よりも成立が古いため、温泉はないのです。でも、ある時、東大の研究者たちの一行に出会ったことがあって、何をしているのですか?と尋ねたところ、「この島にも温源が無いだろうかと調査をしているのです」とのこと。その後、温源は見つかったのでしょうか?(たぶん徒労に終わったのだと思います)。




最後に、僻地の露天風呂と言えば、何と言っても中国。台湾にも数多くの露天風呂があります(僕は以前「地球の歩き方」の取材でそのほとんどを回った)が、こちらは観光化された近代的な施設です(でもどの温泉も素晴らしい!)。一方、大陸中国のほうは、有るには有っても、そりゃもう悲惨なロケーション・施設。概ね崖や岩の間からちょろちょろとお湯が流れ落ちているだけだったり、道なき道の原生林の中に、モロ硫黄が充満した高熱の湯が沸きだしていたり、、、、。ワイルドを通り越して、とても入浴など考えられないところだらけです。

もっとも、今世紀に入って、国を挙げての観光ブームに突入、今では各地に壮大な温泉レジャー施設が出現しているようです。


僕が遭遇した幾つかの温泉を、思い出すまま列記しておきます。

★広東省陽春市郊外八甲村(路傍に湧き出す湯の中で家畜の肉を捌いていた)。

★四川省ミニャコンカ海螺溝(1989年に訪れた時は、崖からちょろちょろとお湯が流れ落ちているだけ、それが2010年に再訪した際には、森林レジャー施設の中の、一大温泉街に変貌していた)。

★雲南省高黎貢山百花嶺(村から踏み後程度の山道を数時間歩いた、滝つぼ近くの原生林のまっただ中に、滅茶熱い硫黄泉が噴出)。

★同・桜花谷(イラワジ川支流の断崖の原生林中、ここはバンガローもあり、中国の露天風呂では最高!ちなみに、夏の真っただ中に数日滞在したけれど、宿泊・湯治客は僕一人だった)。

★雲南省梅里雪山西当温泉(上記海螺溝と似たり寄ったりのチョロチョロ湯、宿泊施設は馬小屋の中、、、でもきっと今は、近代的温泉に生まれ変わっているのだと思う)。

★福建省龍岩市近郊(町の中心部から適当にバスに乗って終点で降り、小一時間ぐらい歩いたところに、超近代的な温泉付きバンガロー村が)。

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大谷君と一平さん、


今日は一休み、ということで。

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ユリ科の話題 


Bakerianum clade ② 麗江百合

「Biosystematic Studies on Lilium」で「Bakerianum-clade」に含まれている、僕が撮影したもう一つの種は、麗江百合Lilium lijiangenseです。撮影地は麗江からはかなり離れた四川省西嶺雪山(よって同一種かどうかは確信が持てない)。


僕が2014年に表した「中国の野生植物 ユリ科(狭義)」には、川百合L.davidiiやコオニユリL. leichtliniiとともにシノマルタゴン節(「Biosystematic Studies」ではその多くはDavidii-cladeに含まれる)の種として示しています。


実際、これまでのほとんどの文献でシノマルタゴン節の種とされてきたのですが、DNA解析に寄って、川百合やコオニユリとは遠縁の、大理百合などが所属するBakerianum₋cladeの一員と認定されたのです。


花の色や姿は、川百合やコオニユリに非常に似ています。ただし、花色はやや淡い濃黄色(あるいは黄金色)に近い明るい朱色。そして、崖から斜上または垂れ下がるように咲くのが特徴です。葉は川百合のように著しく細くはならず、やや幅広い披針形です。


成都西郊のスキー場として有名な西嶺雪山の東面中腹のスキー場に接した林縁斜面に咲いていました。


同様に垂れ下がり気味に咲き、花型や花色の良く似た種に、湖北百合 Lilium henryiがありますが、この種は花被片の基方に突起群があることで区別できます。「Biosystematic Studies」では、意外なことにRegale₋cladeに所属することが示されています。


意外なことに、と言えば、麗江百合がDavidii-cladeではなくBakerianum₋cladeに所属することも不思議ですが、何故か「中国植物志」には、中国名「麗江百合」学名「L. lijiangense」ともに見当たらない。英語版の「Flora of China」には中国名・英名ともに掲載されていて、川百合や大理百合などとともに、巻弁組の一員として扱われているようです。


ちなみに巻弁組(Sect. Sinomartagonシノマルタゴン節)に所属していたメンバーは、「Biosystematic Studies」では多数のcladeに分割・配分されています。オニユリやスカシユリを含む多くの種はDavidii-clade、大理百合などがBakerianum clade。ただしL.bakerianum(滇百合)自体は、(印象が著しく異なる小百合や尖弁百合ともども)鐘花組Sect.Lophophorumの一員です。


DNA解析による系統は、しばしば外観の類似とは全く関係なく構築され、それ自体は非常に興味深いのですが、往々にして、被検標本の同定が間違っている場合があり、混乱を齎します。正確な同定を行う(系統関係を知る)ために解析を行うのですが、それに供する材料が正確に同定されていなければならない、という絶対条件があります。鶏と卵の関係。いずれにせよ、示された答えを絶対的なもの(最終結論)と見做さずに、つねに懐疑の目を持ち続けることが必要なのではないか、と思っています。





























四川省西嶺雪山 alt.2200m付近 Jul.16,2011









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