青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

今日は斎藤緑雨の誕生日

2021-12-30 20:48:48 | コロナ、差別問題と民主化運動、明治文学


★12月29日の記事に、応援ありがとうございます。



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・・

スーリンの西暦での誕生日は12月19日なんですが、本人は無視してます。中国歴?の日付が本当の誕生日由、今年(来年)は1月21日だそうです。毎年、春節(今年は2月1日から、庶民には年末まで伝えられません)共々変わります。そこいらへんが、僕にはもうひとつよく把握できない。ちなみに、モニカは誕生日への拘りはあんまりないようで、僕は正確な誕生日を知りません(たぶんキャッシュカードの暗証番号、笑)。

明治の文学者も面倒ですね。
坪内逍遥 安政6年
半井桃水 万延元年
森鴎外 文久2年
二葉亭四迷 元治元年
夏目漱石 慶応3年
山田美妙 明治元年

逍遥と美妙の間に6つの元号があるので、どれだけ年が離れているのか、と思うのですが、9年(1859/1868)ですね。9年の間に6回元号が変わっている。明治はそのあと45年続きます。江戸時代の元号もそれぞれ結構長いです。幕末の特殊事情、と言う事なんでしょう。

もうひとつややこしいのは、旧暦と新暦の関係。上記した中国の場合同様に、ひと月ほどずれます。斎藤緑雨の場合は、旧暦では今日12月30日(慶応3年=1867年相当)が誕生日ですが、新暦では来年1月24日(1868年=明治元年相当)です。現在の中国での組み合わせとは逆で、また、中国の場合と違って、毎年日付は変わりません。(*注:面倒なので「西暦」「中国歴」/「新暦」「旧暦」としましたが、実際はもっと複雑です)。 

ということで、緑雨の誕生日は、旧暦では、江戸時代の最後の年、慶応3年の大晦日の一日前、ということになります。「最後の江戸文学者」と呼ばれる緑雨に相応しいのですが、12月31日ではなく12月30日というのが、(もちろん偶然ですが)いかにもへそ曲がりな緑雨に、より相応しいと感じます。

緑雨に関しては、書きたいことが山ほどあるので、どこから書いて行って良いのか、、、。

現代における教科書的な位置づけは、概ねこんなところではないでしょうか?(最近の日本文学史関係のネットコラムから)
>斎藤緑雨は、坪内逍遥や二葉亭四迷を始めとする、西洋から導入された新しい文学観を明確に否定し、真っ向から皮肉をぶつけた稀有な作家でした。明治に花開いた近代文学に対する挑戦を試みたのですが、結果的に文学観は変遷し、緑雨のパロディは、パロディの域に留まりました。

でも、そんな単純な話じゃないです。

坪内逍遥の随筆に、「斎藤緑雨と内田不知庵(魯庵)」というのがあります。逍遥が緑雨に最初に会ったのは、明治18年という事なので、満年齢で逍遥25歳、緑雨17歳。このとき緑雨は「小説改良案」というのを持って、既に文壇の大老と目されていた逍遥を訪ねたそうですが、当時の文学者というのは、なんとまあ早熟だったことでしょうか。

逍遥は、魯庵も緑雨も文壇の嫌われ者で、毛虫扱いにされていた、と書きます。

その、魯庵の緑雨回想から(敢えて批判的な部分を抄出しました)。

「僕、本月本日を以て目出たく死去支候」という死亡の自家広告を出したのは、斎藤緑雨が一生のお別れの皮肉というよりも江戸ッ子作者の最後のシャレの吐きじまいをしたので、化政期戯作文学のラスト・スパークである。緑雨以後真の江戸ッ子文学は絶えてしまった。

緑雨の全盛期は『国会新聞』時代で、それから次第に不如意となり、わざわざ世に背き人に逆らうを売物としたので益々世間から遠ざかるようになった。元来緑雨の皮肉には憎気がなくて愛嬌があった。緑雨に冷笑されて緑雨を憎む気には決してなれなかった。が、世間から持て囃されやされて非常な大文豪であるかのように持上げられて自分を高く買うようになってからの緑雨の皮肉は冴を失って、或時は田舎のお大尽のように横柄で鼻持ちがならなかったり、或時は女に振り捨てられた色男のように愚痴ッぽく嫌味であったりした。

世間からも重く見られず、自らも世間の毀誉褒貶に頓着しなかった頃は宣かったが、段々重く見られて自分でも高く買うようになると自負と評判とに相応する創作なり批評なりを書かねばならなくなるから、苦しくもなり固くもなった。同時に自分を案外安く扱う世間の声が耳に入ると不愉快で堪らなくなって愚痴を覆すようになった。緑雨の愚痴は壱岐殿坂時代から初まったが、それ以後失意となればなるほど世間の影口に対する弁明即ち愚痴がいよいよ多くなった。私が緑雨と次第に疎遠になったのは緑雨の話柄が段々低級になって嫌気がさしたからであるが、一つは皮肉の冴を失った愚痴を聞くのが気の毒で堪らなかったからだ。

緑雨は逍遥や鴎外と結んで新らしい流れに棹さしていた。が、根が昔の戯作者系統であったから、人生問題や社会問題を文人には無用な野暮臭い詮索と思っていた。露骨にいうと、こういうマジメな問題に興味を持つだけの根柢を持たなかった。が、不思議に新らしい傾向を直覚する明敏な頭を持っていて、魯文門下の「江東みどり」から「正直正太夫」となると忽ち逍遥博士と交を訂し、絶えず向上して若い新らしい知識に接触するに少しも油断がなかった。根柢ある学問はなかったが、不断の新傾向の聡明なる理解者であった。が、この学問という点が緑雨の弱点であって、新知識を振廻すものがあると痛く癪に触るらしく、独逸語や拉丁語を知っていたって端唄の文句は解るまいと空ぶいて、「君、和田平の鰻を食った事があるかい?」などと敵を討ったもんだ。

緑雨の傑作は何といっても『油地獄』であろう。が、緑雨自身は『油地獄』を褒めるような批評家さまだからカタキシお話しにならぬといって、『かくれんぼ』や『門三味線』を得意がっていた。『門三味線』は全く油汗を搾って苦辛した真の名文章であった。けれども苦辛というは修辞一点張であったゆえ、私の如きは初めから少しも感服しないで明らさまに面白くないというと、頗る不平で、「君も少し端唄の稽古でもし玉え、」と面白くない顔をした。緑雨のデリケートな江戸趣味からは言文一致の飜訳調子の新文体の或るものは気障であったり、或るものは田舎臭かったりして堪らなかったようだ。

聡明な眼識を持っていたが、やはり江戸作者の系統を引いてシャレや小唄の粋を拾って練りに練り上げた文章上の「穿ち」を得意とし、世間に通用しない「独りよがり」が世間に認められないのを不満としつつも、誰にも理解されないのをかえって得意がる気味があった。が、紅葉も露伴も飽かれた今日、緑雨だけが相変らず読まれて、昨年縮印された全集がかなりな部数を売ったというは緑雨の随喜者が今でもマダ絶えないものと見える。緑雨は定めし苔の下でニヤリニヤリと脂下ってるだろう。緑雨の作の価値を秤量するにニーチェやトルストイを持出すは牛肉の香味を以て酢の物を論ずるようなものである。緑雨の通人的観察もまたしばしば人生の一角に触れているので、シミッ垂れな貧乏臭いプロの論客が鼻を衝く今日、緑雨のような小唄で人生を論ずるものも一人ぐらいはあってもイイような気がする。が、こう世の中が世智辛くなっては緑雨のような人物はモウ出まいと思うと何となく落莫の感がある。

う~ん、魯庵のいう事、分かるような気がする。

魯庵(緑雨と同じ年)は、実際の緑雨をよく知っているわけですから、いろんな方向から洞察した上で、深い示唆も込めて、敢えて「江戸の最後の文学者」と位置付けているわけです。

でも、違った意見もありますね。

>内田魯庵が緑雨を評して、「化政期戯作文学のラストスパーク」と言ったのは、“魯庵の眼鏡違い”である。

>一般には斎藤緑雨は、江戸文学趣味が云々とされ「最後の戯作者」と呼ばれて来た。そして、近代社会と激しく格闘することもなく、一定の距離を保ったところから世の中を嘲笑していたものと思われている。だが、緑雨の放った皮肉は、もっと違ったコンテクストの許に捉えられなければならない。緑雨を、単なる前時代の生き残りとしてではなく、明治と言う時代の中に生きた作家として見直そう、とする動きもある。(塚本章子「日清戦争後の緑雨」から要約抄出)

それもまた是だと思います。

ちなみに、緑雨自身は、自分が仮名書魯文(江戸末期の戯作家・ジャーナリスト)の最後の弟子であったことを誇りに思っている旨のことを書き記しています。

「最後の戯作者」「明治近代文学の魁」。どっちも正しいと思います。(誰の場合もそうですけれど)評価をひとつに限定してはならないと思います。

魯庵の緑雨回想。

ひとりの見舞う者もない寂しい終焉だったが、緑雨の一番古い友達の野崎左文と一番新しい親友の馬場孤蝶との肝煎で、駒込の菩提所で告別式を行った。緑雨の竹馬の友たる上田博士も緑雨の第一の知己なる坪内博士も参列し、緑雨の最も莫逆を許した幸田露伴が最も悲痛なる祭文を読んだ。丁度風交りの雨がドシャドシャ降った日で、一代の皮肉家緑雨を弔うには極めて相応しい意地の悪い天気であった。

ということで、「竹馬の友」と「第一の知己」の緑雨評を(ネットのブログのコメント共々)紹介しておきましょう。

上田萬年の緑雨評
【緑雨という男は幸福になるには骨がありすぎた。小骨もね】
>相当な才能を持ちながらも貧苦と病苦と時代の荒波にもまれて夭折した斎藤緑雨、教授として博士として大学や学会に大きな影響を持ち、多大なる権力と名誉を得た上田萬年。2人は、境遇や生涯こそ違ったけれど、緑雨が死ぬまで良き親友であり続けたそうです。そんな盟友が、たった一言で評して見せた「斎藤緑雨」。なかなかいえるものではありません。名評中の名評。(ブログ話の横丁「文壇逸話“幸せになるには骨がありすぎた斎藤緑雨”」から)。

坪内逍遥の緑雨評
【内気で義理堅く、用心深くて気が小さい。見識が高く、時に高慢高く、親分肌で優しい。狷介で、好みがうるさく、面と向かうと口数は少なく、おとなしい。ひょろりとして色白で、目元に愛嬌があり、白い歯をチラリと見せ、冷ややかに笑う若旦那風。新人からは恐れられ、古参からは憎まれるシニシズムの持ち主。常識豊かで唯物主義で楽観家。貧困であったにもかかわらずひねくれておらず、高慢であっただけに卑屈でも軽薄でもない。懐かしみがあって、純粋】
>あまりに書きすぎてどんな人かまるでわかりません。要は大好きだったんだね、緑雨を。そうなの。結構人気者なのよ。緑雨さん。なんというか気に入られる人にはとことん気に入られるタイプみたいねw (本が好き!さんのブログ「“元祖ハンカチ王子”は斎藤緑雨!?花柳界で“ハンケチさん”という異名を持った緑雨は、ハンケチで始終口元を覆い、まるでお嬢さんのようだった」から)。

“毛虫扱いにされていた”という「定説」とは裏腹に、周囲の人たちには、案外愛されていたのですね。光の当て方次第で、180度変わってきます。

以下、緑雨と明治文学の話題は、とめどもなく長くなりそうなので、今回はここらへんで、、、。





「三人冗語」 右から、緑雨、露伴、鴎外(緑雨逝去時は日露戦争に出征中)。



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マヌケな中国人、賢い日本人

2021-12-29 21:08:49 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★12月28日の記事に、応援、ありがとうございます。



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・・

スーリンからも、モニカからも、メリークリスマスのメールが届きました。そういや、三世も、あや子さんも、スタバやマクドやジョナサンやイオンや餃子の満州のスタッフも、教会の牧師や信者の婆さんたちも、JTFC会長も、福生病院のF主治医も、、、、僕の周りは、女性ばっかしですね。男性には嫌われてるんだろうか?まあ、そんだけ女性の力が強い社会に成って来たんだという事なのかな?

・・・・・・・・・・・・・

話は全く変わります。

どうして、日本人は(他の国の国民も同じかも知れないけれど僕は日本人なので日本についてだけしか明言できない)、ある一定の「空気」だけを「答」として、全てを見てしまう(金太郎飴の形成)のだろう、と不思議でなりません。

中国や韓国(および北朝鮮)がケシカラヌ国であることは、僕も同意します。でも、お隣の国であるというのに、余りにも「固定概念」だけで決めつけてやしないか?少しは、自分自身の目や頭で、色眼鏡抜きでの判断は出来ないのだろうか?(韓国については知識が少ないので以下主に中国に対して記して行きます)。

中国は危険な国である、常に監視下に置かれ、何かあればすぐに処刑される、全てが国家権力によって隠蔽され、事実は一つも知らされない、、、等々。むろん、部分的には、その通りでしょう。否定するつもりはありません。でも、それが全てではない。

例えば、中国を含む諸外国から見た日本。日本の国土は未だに原発汚染に覆いつくされているので、行くのは危険だ。そう思い込んでいる人が少なからず(相当に多数)います。それは、ある面では事実なのかも知れません。でも、それが全ての答えではないことは、日本人なら当然わかるはずです(と言うよりもほとんどの日本人は“そんなアホな”とほぼ全面否定するでしょう)。ついでに「日本人は皆変態」と思われている節もありますね(日本アニメは賛美される部分しか日本人には伝わってこないけれど)。そう言われても仕方がないような部分も^^;

・・・・・・・・・・・・・

『デーブ・スペクター「監視されている中でとても自由ですよ!」中国テニス選手問題巡りチクリ』(中日スポーツ)
↑これ、一番の注目は表題末尾の「チクリ」ですね。僕は基本的にデーブ好きなんですよ(三平に替わる大喜利に推薦!)。この人、本当に頭が良い(総合的な意味で)と思う。でも間にエリート受験脳的な頭の良い人(編集者とか)の解釈が入ると、彼の良さが薄れてしまう。この(ネットニュースに於いて常道的な)「チクリ」の表現には、大衆とメディアの空気による物事の決めつけと、正義に名を借りた上からの目線が、如実に表されています。

bluesorangeさん
>シンガポール紙『聯合早報』の取材に「常に、とても自由だ」と答えた。
少なくとも、日本にこの発言をそのまま信じる人なんていないんじゃない?
[そう思う181/そうは思わない5]

milk******
僕は日本人です。この言葉、身に染みて信じています。監視社会の中での自由。それもアリなんではないでしょうか?自由(多様性)を標榜していながら、実は単一性に突き進む、日本(西側社会?)の排他性よりは、マシなように思います。コメ主は「日本にこの発言をそのまま信じる人なんていないんじゃない?」と言いますが、少なくても一人はいるわけです。それとも、僕は日本人ではない、と排除なされるわけですか?
[そう思う0/そうは思わない0]

・・・・・・・・・・・・

中国報道。
『雲南省昆明 無断で学校を抜けだし、旅行後に「新型コロナ」感染発覚。』
雲南省昆明(こんめい)市の安寧(あんねい)市は、12月27日、新型コロナウイルスの感染確定1例を報告した。この感染者は、市内の専門学校の学生であり、既に拠点病院に移され集中隔離治療を受けている。

幾つかの突っ込みどころがあります。

すぐに思うのは、“感染一人だって?そんなわけないだろう?”
その是非はともかく、“感染一人”、、、、本当だったら、なんか凄くないですか?

それが嘘だったら(ほぼ大半の日本人はそう思っていると思う)、本当にそこまで騙しおおせる力は凄いですね。

そして、もし本当だったら、(良くも悪くも)ここまで感染防止を徹底できる、国家権力も凄いことだと思います。

でも僕は、敢えて言えば、どっちとも違う(両方受け入れでも良いですが)想いを持っています。

中国だけを見て解釈する(答えを出す)のではなく、斜め上(または下)の次元から俯瞰する。日本やそのほかの国々の状況(コロナに対する捉え方)はそれぞれ全く異なっています。それぞれ別次元で「柳に怯えている」(僕はその「柳」が本当に怖い存在なのかも知れないことを否定しているわけではない)可能性があるわけです。

いずれにしろ上記の話題は、非情に大きなテーマなので、ひとまず置きます。

気になったのは、こんなコメント。

www*****さん

>昆明市の安寧市

こっから先に進めん・・・w
[そう思う9/そうは思わない10]
*ちなみに僕が次のリコメントを入れるまでは、「そう思う」が「そう思わない」を圧倒していた・

誤記した記者のマヌケを揶揄している。でも誤記じゃないのですね。

milk*****
中国の「市」や「県」の行政は、日本とは異なります。非常に複雑なので一概には言えないのですが、通常は「県」よりも「市」のほうが大きく、「市」の中に「県」があったりします。 「市」にも何通りもの組み合わせがあって、「市」の中に別の規模の「市」があることも普通です。安寧市は、昆明市の一部でもあり、別の立脚点では、異なる行政でもあります。位置的には、東京の23区を狭義の「昆明市」とすれば、三鷹市や武蔵野市辺りが「安寧市」に当たります。
[そう思う11/そうは思わない0]

もっとも「市」の「市」という行政が普通に成り立っている中国も、マヌケといえばマヌケではあるわけですが。

いずれにしても、日本の大衆は、隣国のことを知らなさすぎる。いや、知らないのは、別に仕方がないです(僕の場合はたまたま知っているだけなので、他の国の事は全く知らないし)。知らないのに、バカにしたり、善悪を決めつけたりすることに、異疑を感じているのです。

(ある部分では僕も含めてだけれど)とにかく、日本人は、お隣の国・中国のことを余りに知らなさすぎる。

一例です(前にも書いたかも知れません)。

文芸春秋誌上でたまたま見つけた、高名な小説家のある表現。

「中国からそれほど遠くはない離島」
という表現だったと思う。

「それほど遠くはない」ということは、ある程度は離れている、と言う事でもありますね。相当する島は、地理的には南西諸島か九州西岸諸島の島ということになります。船で一日の間に到着できるので、「それほど遠くはない」離島に当て嵌まります。しかし、日本の島を念頭に置いているという事は、まずありえない。台湾ならば、さほど遠くない、かつある程度離れた「島」なわけですが、大きさから言っても「離島」というカテゴリーには入らないでしょう。

実は、中国には「離島」という概念で呼べるような島は存在しないのですね。確かに、上海-香港間には、無数と言っていいほどの多くの島々が散在しています。でも、それらの島々は、離島と言うよりも、大陸に隣接した、簡単に橋をかけることが出来るほどの、沿岸島嶼です。「中国からそれほど遠くはない」という表現は、しっくりとこない。 

実は、中国には、(沿岸にくっついたような島を除けば)島らしい島はないのですね。あれだけの大国なのに、考えてみれば意外です。この小説家氏を含め大多数の日本人は、中国には多くの離島がある、と当然のように思っていることでしょうから。

南沙や尖閣がそれにあたるとも言えますが、共に無人島です。もっともその視点(中国に於ける数少ない「離島」の存在)で見れば、対外的、戦略的に「南沙」「尖閣」にこだわるのも、分かるような気がします。

・・・・・・・・・・・・

『天安門事件のリーダー、王丹氏(アメリカ在住)の母死去、、、』

kim*****さん
>悪いのは中国共産党。
(以下、コメントの大半が同趣向)

rur*****さん
>リーダーとして煽るだけ煽り、行動前にアメリカに逃げた方たち。俺は仲間たちを捨てて自分の身の安全を優先した人を信じない。

milk*****
>ある意味、西側民主主義社会にとって「天安門事件」は「成功」したのだと思います。

・・・・・・・・・・・・

『中国公安vsアニマル浜口、俺、このタイトルの映画あったら観たいわ、ゴジラvsキングコングよりおもろそう』
↑これ、ウケました!

・・・・・・・・・・・・・

『香取慎吾結婚、25年目の2つ上の一般女性と』
↑スマップウオッチャーの僕としては、嬉しい話題です。

・・・・・・・・・・・・・・

“イヌは、人間の言葉を理解しているだけじゃなくて、「気」も読めている”という話題。犬買っている人は、ほぼ全員がそう思っているでしょう。これに関しては僕も同意しますね。それは他の生物にも(蝶だって、笑)当て嵌まるかも知れないし。どうやら人間だけが、別方向に突き進んで行ってしまっているような、、、、。人類は、幸せなんでしょうか? ありきたりの話で、すみません^^; でも、人類の未来を考える上に於いて、実は大変に大きなテーマだと思うのです。

・・・・・・・・・・・

最初の中国女子テニス選手(35歳)とチョウコウレイ(75歳)元副首相の話題に戻ります。この話、結構不思議なんですね。権力闘争を含め様々な背景が考えられるのでしょうが、どれも辻褄が合わない。

僕の、思い切った感想(面白くもなんともない結論)を言えば、 
単なる痴話喧嘩じゃないんでしょうか?
それが、権力者と有名人の間で起こったという、、、、日本でなら結構ありふれた展開です。

それ自体は(本人たちにとってはともかく)どうでも良いのです。

中国指導部の趣旨は、こういうことだと思います。

(この問題に限らず一般論として)メディアが煽り、大衆が追従する。そのような話題が巻き起こるたびに、ひと塊となった社会の(実態なき)空気が形成され、特定の価値観を持った方向に一斉に動いて行く。その流れに乗ることが出来るか否かで、「平等」とはかけ離れた「貧富の差」を生み出す。

中国の言論統制は、「いたずらに特定の空気が形成されること(それは、日本や香港の一部の人々にとっての“自由”ではあるのですが)」を牽制しているのです。誰が得をし、誰が損をするとかと言った問題ではなく、もっと根本的な部分で、日本などの民主主義的社会に対峙しようとしているのだと思います。

しかし、その方策が正しいか間違っているかは、別問題ですね。あるいは、よしんば理念は正しいとしても、結果としては間違った方向に進んでいますね。例えば、自分たち政府高間や各界エリ―ト層を軸として、とんでもない(日本の場合などとはスケールの違う)圧倒的な貧富の差が生じている。貧富の差を無くすために設置したはずの規制が、逆に強者が弱者を踏み台にして、とほうもなく巨大な力を形成する要因になっている。資本主義を否定する、という建前のもと、制御不可能な、化け物のような巨大な資本主義の集団が国中を覆い尽くそうとしている。 

国の指導者たちは、そのことをどう解釈し(たぶん事態は認識できている)、どのように舵を取っていくのでしょうか?
中途半端なことは出来ませんね。強引に理念成就に向かって進んで行くしかない。お前らのためを思って、様々な規制をかけているのだ、黙って従え、と。前途多難でしょう。お手並み拝見。

・・・・・・・・・・

個人のアメリカンドリームを肯定しているのが、日本や香港やアメリカ。自由は、言ったもの勝ちです。勝者は守られねばならぬ権利を有します。そして、「多様性」の御旗の許で、(正義、取得権利、自由の概念に基づく)「単一性」が推進され、大衆は「勝者」の側に集結し、異端は排除されていく。

言論の自由はあっても、実質的にその恩恵に被ることが出来るのは、力のある側、数の多い側、声の大きい側であり、逆説的に言えば、「言論の自由」の明確な承認が、力の存在を増殖させ、相対的に(その時々に於ける)少数や異端は封殺されていく。

日本は、既に「勝者の世界」(勝者が幸福だとは必ずしも限らないけれど)になっています。大多数の大衆は、自分たちは「下」(あるいは「中」)であって「上」ではない、と信じているのでしょうが、上も中も下も、置かれている次元は同じです。「中」も「下」も、「上」の基準に従わないことには成り立たない社会構造になっている。「空気」から置いて行かれた人々は、「上」でも「中」でも「下」でもなく、「外」側に放り出される。「下」も「中」も、常に「上」に従って、(相互監視をしつつ)「外側」に放り出されないように生きていくしかないのです。

一方、個人のチャイニーズドリームを否定しているのが中国。

言論の自由がない中國は、多様性を認めません。最初から単一志向です。穿った見方になりますが(笑)、そうであることで、「多様性」を旗印(隠れ蓑)にして、結果としての「力」の単一性を認め、それに追従せざるをえない、という構造から逃れることが出来ます。最初から単一の価値観しか許されないならば、その中から多様性を地道に派出して行けば良いので、逆説的に言えば、自由の制御が、(少数派にとっては)結果として自由の獲得に結び付く、と(幼稚でバカな頭でもって)考えています。

そんなわけで、「自由」「多様性」の御旗の許、結果として大量の「無敵の人」を生み出している日本よりも、(最初から大量の「無敵の人」が存在する)中国のほうが、まだマシなのではないか、と。

もっとも、最初にも記したように、中国の現実は「平等」の建前・理念とはかけ離れた正反対の方向に驀進しています。「平等」を標榜しているにもかかわらず、日本などとは桁外れの極端な貧富の差を解消できずにいる。エリート層、裕福層が、圧倒的なパワーでもって構築する、文明・科学・経済の超近代的(あくまで“的”ですが)社会に、下層社会が追従していくことは不可能です。

しかし、発想を転換して、そのことをポジティブに捉えてみてはどうでしょうか?日本には、もはや田舎は存在しません。全国隅々まで、都会に従属しています。田舎を取り戻すには、もはや手遅れです。幸いと言ってよいかどうか、中国には、田舎も下層社会も、未だ存在している。いっそのこと、都会(近代)に追従しなければいい、という選択肢も取れます。今だって、近代文明とは未交渉な状態で、田舎や下層社会独自の生活体系がある。近代に追従することなく、「別の自由」の許で生きていくことが出来る。

どうせ一党独裁の、「平等」に向けての一律規制に取り組むなら、この際、科学・文明への過信、近代的繁栄に対する過信を容認(推奨)することを捨て去る決意をしてみてはどうでしょうか?(まあ出来んでしょうが)。

民主主義社会にあっては、「自由」に基づく「既得権」を手放すことは不可能です。しかし独裁政権ならば、構造上は可能なんですね。その決断なしには(科学に頼り繁栄を目指し続けている限りは)「理念」の方向には向かえないと思います。

それは、中国だけではなく、日本を含めた、世界の現代社会に於ける命題です。その取り組みの実行に、最も近い所に位置しているのが、中国だと思うのです。

以上、西側社会からの妄信的とも思える「中国批判」に対するアンチテーゼとして、(極論に近い形で)書き記しました。





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ハニートラップと南京

2021-12-28 15:10:16 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

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『元公安警察官は見た。被害に遭う日本人続出、、、上海のカラオケクラブは中国ハニートラップの巣窟』

tof*****さん
日本でも学者、政治家、コメンティター、ジャーナリスト、不自然に中国や韓国に肩入れしている人がいるよな。
[そう思う680/そうは思わない24]

j*****さん
現在の中国に旅などしようものなら、安全に帰って来れる保証など無いと思う。
[そう思う57/そうは思わない0]

milk*****
僕は、学者、政治家、コメンティター、ジャーナリスト、どれでもないのですが、中国で35年間活動している日本人です。ハニートラップは、至る所に張り巡らされています。政治だけではなく様々な目的で。僕も、不測の行きがかりで、一度だけかかりかけたですね(かからなかった、笑)。しかし、これだけははっきりと自覚しておいて頂きたい。良からぬ目的で、安易に(金にあかせて)女性に近づく日本人男性が、いかに多いか、ということを。別に、自由恋愛は良いのです。ならば、責任をもって結婚しちゃえばいい。それで結果として敵側についてしまうのなら、それも生き方のひとつだと思います。でも実際は、相手の女性を見下して、真剣に対していないことがほとんど。だったら、トラップにかかっても、文句は言えんでしょう。まずは、日本人も中国人も対等な関係にある、という姿勢を、きっちりと認識しておきたいですね。
[そう思う40/そうは思わない3](意外と賛同が多いです)

・・・・・・・・・・・・・

一度だけかかりかけた、の話をしておきましょう(笑)。政治的なハニートラップではなく「ぼったくりハニートラップ」ね。

上海のメインストリートである南京東路に、2人組のハニートラップが常時うろついていることは、結構有名ですね(今はどうなんでしょうか?)。大抵の場合、一人は美人で、一人はブ〇。

ある日、その通りにあるはずの大型書店に行こうとしました。しかし、移転していた。近くの様だったのですが、場所が分からない。そこで警察署に行って尋ねようとしました。署の入口に死体?が転がっていた。怖くなって通りに引き返しました。急に大雨が降ってきた。そのタイミングで、くだんの2人組が話しかけてきた。「日本人でしょう(すぐにわかるのが不思議です)?何かお困りの様ですがお助けしましょうか?」

いや、怪しい人たちには近づきたくないのだけれど、ここは移転した書店の場所を聞いておこう、と。「すぐそこなので案内してあげましょう」。で、通りを横切ったところで、半端ない豪雨になってきた。「ちょっと雨宿りしましょう」とのことで、角にあったフルーツパーラーのようなところに入りました。スイカとアイスクリームとかを注文して、雨が止むまで暫し雑談。可愛い方の女の子は、日本語がメチャ上手です。ブ〇のほうは、何故か途中でいなくなってしまった。雨がやんで、勘定を支払おうとしたら、300元(今で5000円、当時ならもっと)。スイカ数切れとアイスクリーム3個。マクドみたいな、ごく一般的なカフェです。しぶしぶ300元払いました(今思い出した、桂林でもよく似た経験している、スープ一杯で300元取られて、当時の宿舎のスタッフの間で、僕のあだ名が“300元”になった)。明らかに店との共謀です。

で店を出たのですが、驚愕はその後です。今でも、その真意が分からない。その可愛い方の女の子がこう言いました。「(300元も支払った)あなたは素直な人ですね、今後、また同じような局面に会うでしょうから、その時は気を付けて」と。書店まで案内してくれて、「困ったことがあったら私に連絡してください」と名刺をくれた。連絡しなかったけれど、、、そこまで手の込んだことはするのでしょうか?

実は、この時は天中殺みたいな連続で、翌日も別の被害に遭った。こちらは、本物のマクド。店内に入ろうとしたら、入口で小学生ぐらいの女の子を連れた中年のオバサンが声をかけてきた。いきなりこう切り出しました。「南京から来たけれど帰る電車賃がない、食事もしていない、私はともかく、この子には何か食べさせてあげたい、ご馳走してください」。もちろん、最初から日本人と決めつけています(それにしてもよく分かるもんだ)。媚びる様子は全然なく、いわば胸を張って上から目線で(笑)。まあ、ハンバーグ2個ぐらいは良いだろうと、ご馳走してあげました。食べ終えると、電車賃もくれ、という。南京だったら大した運賃じゃないはずなんですが、なんだかんだと100元とか150元とかかかる、と。いちいち関わっている道理はないけれど、(日本人として、笑)無下に断るのもなんだかなぁ~、と思って、いい方法を考えつきました。「今はお金を持っていない、明日にならないとない」。これで引き下がると思ったら、「じゃあ明日で良いです、何処に行けばよいか」と宣います。さすがにわざわざ来ることは無いだろうと思って、(僕が泊っている)ユースホステルを教えました。翌朝、ちゃっかりと来ました。その執念?は、ある意味見事です。

南京といえば、こんなことも。福建省の南平と言う町に、途中で知り合った日本人の若者と一緒に旅行した時のこと。町の中心の河に架かる橋の上で、風景を眺めていました。突然、女子中学生らしき2人連れが声をかけてきました。何の前置きも成しです。いきなりです。「南京から来ました」。以下も上と同じです。腹ペコで何にも食べていない。一応、ごちそうはしてあげました。全然感謝された風もなかった。

日本人を見つけると「南京」。切り札です。

町から町へのローカルバスでの移動は、何時間もかかります。車中にはTVが設置されています。様々な映画が放送されて、(時間つぶしには)それなりに有難いのですが、かなりの確立で、南京大虐殺のドキュメンタリー番組に出会います。これを、何時間も見せ続けられるのは、かなりの苦痛です(まさか日本人の乗客がいるからそれを選んだ、と言うわけではないでしょうが*)。

*ちなみに、アメリカのグレイハウンドでは一度恣意的にやられたことがある。ちょっと感じの悪い運ちゃんだったので、何か文句をつけたら、ずっと「真珠湾奇襲攻撃」の放送を流され続けた(僕がアメリカで遭遇したほぼ唯一のいじわる)。

南京虐殺に話を戻すと、あったと思いますよ、それもほぼ中国側の主張通りの事が(平凡社新書「南京事件論争史~日本人は史実をどう認識してきたか」笠原十九司著に詳しい)。

ただ、せっかくの事実の主張を、トンデモ装飾をもって語るから、胡散臭くなってしまう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

中国で遭遇した様々な理不尽極まりない出来事は、余りにストレートで、かつどこかマヌケさが漂い覆っているゆえ、、、、複雑な想いにならざるを得ないのです。




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日本の民主主義は、本当に正しいのか?

2021-12-26 20:51:49 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★12月25日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・・

今日は、一週間前に書きかけたブログ記事を整えて載せる予定だったのですが、時間がかかりそうなので、今日チェックしたニュースからの新しいコメント。

新しい、といっても、何度も書いて来た内容ですが。

改めて念を押しておきます。僕は、例えば、ミャンマーの政府軍にしても、アフガンのタリバンにしても、それから中国やロシアの共産党政権にしても、日本の大量殺人事件の犯人も、付け加えればコロナウイルスもそうなんですが、彼らを「正しい存在」「悪ではない」と見做している(ポジティブに受け入れている)わけではありません。しかし、単純に「間違った存在」「悪」と見做して済むものでもない。

あまりにも当たり前のことを延々と繰り返し言い続けています。
「正義は一つではない」
「事実はひとつではない」
「光と闇は表裏一体」
“そんなことはみんな知っている”と某有名メディアのエリート編集者氏は言いますが、(彼をも含め)みんな知らないですね。
だから、何度でも繰り返し発信していきます。

・・・・・・・・・・・

この話の主題は(1週間前に書きかけた)次回のブログで記していく予定ですが、僕は、中国共産党の姿勢(ビジョン、ポリシー)を、一定の範囲(あくまで“一定の範囲”)で支持しています。ただし、現状は、本来の「姿勢」とは似ても似つかぬ、トンデモ最悪の方向に進んでしまっている、ということも理解しています。そのうえで、「姿勢」と言う事だけで言えば、日本よりマシだ、と思っているのです。「中国の共産主義社会」と「日本の民主主義社会」、本質的な部分で、どちらがより「民主的」なのか、「自由」の許に成り立っているのか、容易に答えは出せません。まあ、“幼稚”“頭がおかしい”で片付けられちゃうでしょうが(笑)。

何度も言いますが、僕は中国の(日本のもですが)共産主義には同意していません。習欣平(あるいは党指導部)は「中国には中国の民主主義がある」と言いますが、その“中国流民主主義”が正しいとは思いません(はっきり言って間違っていると思う)。しかし(正しいかどうかはともかく)“存在する”のは事実です。それを頭から否定(無視)してしまうのは、良くないことです(それこそ「民主主義」や「自由」の概念からかけ離れている)。

で、今日のニュース。いつもながらのネットの定番ニュースでもあります。
『中国「人権派」2人、所在不明に、当局拘束か(産経新聞)』

まあ、当然、そのようなことはあるでしょうね。僕の知人も、何人も拘束or所在不明になっているし。それ自体は否定していないんです。そしてそれが由々しき問題であることも。でも、だからと言って、それが全面的に間違っていて、対抗組織(いわゆる民主主義社会の人々)の言い分が全て正しい、とも限りません。

コメントは、相変わらず“金太郎飴”状態。

fut*****さん
>絶対に一人で外出したらダメだと思う。
[そう思う53/そうは思わない5]

で、僕のリコメント。
milk*****
>futさん、“思う”んじゃなく、してみたら? 案外できますよ。ぼく(日本人です、共産党嫌いです)は、35年間(中国の都会とか僻地とかで)一人で外出し続けていますが、、、、、。
[そう思う13/そうは思わない51]

そのことについて、少し詳しく説明をしておきます(これまでにも何度か書いて来たと思うけれど)。

その前に、言っておきたいのは、中国で最も辛い想いをしたのが、1980年代末の重慶・成都での留学時。日本人の留学生たちから、壮絶な虐めにあったこと(ずっと昔、東大の演習林で集団リンチをうけ殺されかけたことと重なります)。その日本人たちは、絶対に許せないです(今は各分野の指導者的立場にいるのでしょうが)。詳細はいつか書きます(ちなみに2013-2014年の昆明での留学生活は快適でした、唯一の日本人はもとからの友人だったので)。

それに比べれば中国人の暴力や、中国の政府からの弾圧なんて、可愛いものです。

中国人の暴力と言えば、実際に手をかけられたことがあります。漢民族の国民性なんでしょうかね。彼らは平気で暴力を奮ってくる。首を絞められたり殴り倒されたりした生命の危機が3度ありました。権力者側から2回(うち一回は公安)、反権力側から1回(香港の民主化運動の若者達)。

スパイ容疑での拘束(軟禁)が2回。それについて少し詳しく記しておきます。

最初は、1989年4月。ほぼ一か月間拘束されました(取り調べ時以外は見張り着き外出禁止のホテル軟禁)。西安の秦嶺(太白山南麓)。タクシーをチャーターして、丸一日撮影に出かけました。しかしあいにく悪天候で、蝶の姿は見かけなかった。それで、路傍の草地とか、山肌とかばかり撮影していました。そのタクシーの運ちゃんが、非常に乱暴な運転をするのです。人や自転車を跳ね飛ばしかねないと思って、𠮟りつけたのです。それを根に持っていたのかどうか、公安に報告しました。「この日本人は、特に観光地でもなんでもない山肌とかばかり撮影している、怪しい人なんじゃないだろうか」と。実は太白山の中腹には、中国最大?の軍事施設があるのですね。公安から見れば、僕は間違いなくスパイ、ということになります。わざわざこんな(観光地でもない)ところに蝶とか植物の撮影に来るわけがない、絶対にスパイである、と。

36枚撮りのコダクロームのポジフィルムを100本ほど持っていました。それを没収されました。現像して、何が写っているか確かめる。しかし、当時のコダクロームというのは、同じポジフィルムでもエクタクロームなど他のフィルムとは現像方法が全く違い、中国国内では現像が出来ないのです(最も近いところで香港、まだ「返還」前ですから、西側社会に委ねるわけにはいかない)。ということで「絶対に現像して見せる」と時間をかけたようなのですが、結局は現像できなかった。むろん日本大使館にも助けを求めたのだけれど解決には至りません。最終的には、どうやら大英博物館(当時の自然科学部門)まで照会が行って、この人物は確かに蝶の撮影のために中国に行っているようだ、という確認が取れて、4月26日、僕の41歳の誕生日に、釈放されました。「拘束のお詫びと誕生日祝い」ということで、高官が小さな食事会を開いてくれました。

2度目は、2002年10月1日。ミャンマー国境に近い保山という町での出来事。これもタクシー絡みですが、こちらは町の中です。タクシーの運転手が道を間違えて、アサッテの方向に行ってしまった。ちょっと腹が立ったので、タクシーを乗り捨てて歩くことにしました。そこがたまたま軍事施設の隣だったのですね。公安に引っ張られてしまいました。間が悪いことに、ちょうど国慶節の日で、僕は前々日に台湾から中国に渡ってきたばかり。スパイと見做された、と言うよりも、この日本人を懲らしめてやろう、という態度がありあり。西安の時とは違って、高官の態度は、露骨に敵対的です。やはりホテルに軟禁され、見張りが2人。2日間に亘り、インターネットの専門家という人(たぶん学生?)が、僕のパソコンと、持っていたCD/DVDを全てチェックしました。結局、何も怪しいものは写っていない、ということが分かり、3日目に釈放されました。この時の高官の態度はメチャ悪かったのですが、実際に取り調べに当たった現場の公安は結構フレンドリーで、食事などを御馳走してくれました。ただ、腹が立ったのは、新品のUSBメモリを没収されたこと。オイオイそれは無いよ、と意義を申し立てたら、「あんたは外国人だから無罪釈放するんだよ、中国人だったら極刑だよ」と言われて、おとなしく従わざるを得なかったのです(取り調べの途中、何回も乗っていたタクシーの特徴とかを聞かれて、よく覚えていなかったので答えようがなかったのですが、もし特定されていたら、運転手どんな目にあっていたのか)。

この地方(ミャンマー北部との国境地帯)は、第二次大戦時、南京に次いで中国人が虐殺された地域、ということでも知られています。今でも沢山の史跡が残っている。それで、非常に面白い経験もしました(前に一度書いたかな?)。よりミャンマー国境に近い謄沖の町の中心街での出来事。夜、交差点を横切っていた時に、後ろから若い男性が追いかけてきた。「あなたは日本人ではないですか?」と息を切らせて問いかけます。「そうです」と答えると、喜色満面で、嬉しい!本物の日本人に初めて出会った!サインをください!(まるで映画スターです)。彼曰く、大学で南京大虐殺を研究していて(ちょうど帰省中)、日本人に会ってみたい、とずっと望んでいたのだそう。なんか、複雑な気持ちです。

ちなみに、中国で遭遇した危機一髪?の出来事のひとつが、重慶の大学に留学時、すんでのところで北朝鮮に拉致されるところだったこと(その手口を参考にして貰おうと、日本に帰ってからメディアの記者に会うたびに、話してきたのだけれど、全く無視されたままです)。 

まあ、そんなわけで、理不尽な目にも、それなりに会いはしているのです。

しかし、「国民性」と言う事で言えば、日本人も本質的には「漢民族」と大差ないと思います。日本のエリートたちや、「健全な大衆」が、アジアの国々で、どれだけ(自覚無き)悪事を働いてきたか。

南京大虐殺もそうだし、慰安婦問題もそう、民度の高い(宗高な民族の)日本人が、そんなことをするわけはない、と、日本の愛国者たち(大衆の多く)は口を揃えます。

、、、、しているんですよ。

その一例。申し合わせたように、(国際的な)ユースホステルの受付の(英語とかが喋れる)可愛い女の子は、日本人の彼氏がいて、かつ捨てられちゃっている。僕は、何度も彼女たちの訴えを聞いたことがあります。どうやら“捨てられたらしい”ことは自覚しているのだけれど、それでも一縷の望みは持っているのです。それとは別に、彼氏たち側からも、何人もから“本音”を聞いています。曰く“中国人なんかと結婚するわけないでしょう?”衒いもなく、そう言い切る若い日本人男性が、なんと多いことか。

・・・・・・・・・・・・・・

以下、「日清戦争後の斎藤緑雨」(塚本章子)
第3章からの抄出要約です。

緑雨は、なぜこれほど強く「道徳」を拒絶するのか。緑雨の次の言葉に注目したい。
〇更におもふ。人生の妙は、善ありて生ずるものにあらず、悪ありて生ずるなりと。(以下略)

緑雨は潔白であることの疑わしさを指摘する。

「国民道徳」を訴えた高山樗牛は、やがて(巨大メディア「太陽」の誌上で)「国民文学」を主張するようになる。
樗牛は言う。
“日本国民は快活楽天の国民なり、尚武侠の国民なり、世界の中に於いても最も道義的情緒に富める国民なり。然るに、我が国家が国命をかけて東洋の平和を争いし時、坪内逍遥は「小説神髄」で「勧懲主義」を否定し、今日の日本の民衆の落莫を招致した。逍遥や緑雨らの提唱は「国民性情の蔑視」であり「非国民的」である。”

緑雨が娼婦について書いた一連の箇所。
“悪まば売りし人々を悪むべし、売られし彼らをのみ悪まんは非道なり。卑しまば買う人々を卑しむべし、買わるる彼らのみ卑しまんは無常なり。売りしは売られしよりも悪らしからぬか、買うは買わるるよりも卑しからぬか。末は問えども本は問わず、をかしき社会の組織よとは(以下略)。”

緑雨は、人の言葉として、憎まれし卑しまれる娼婦への弁護を書き、「をかしき社会の組織よ」という言葉を記す。だが緑雨の緑雨たる所以は、娼婦たちへの哀しみを垣間見せながらも、それを隠し込んでいくところにある(以下略)。

緑雨がアフォリズムに描き出す人間の姿は、樗牛が「我が国民は公明快濶の人民なり、有意進取の人民なり、退廃保守と憂鬱悲哀は、この性に非ざるなり」(「日本主義を賛す」より)、と言うような、壮大な美しい国民像には程遠い。緑雨の描く日常は、悲惨なものを内に抱えながら、矮小であり、雑多であり、滑稽である。それは、次第に形成されていく、「大日本人」「国民」という像に対する、ひとつの嘲笑なのである。

と塚本氏は説きます。

日本は、100年経っても、ちっとも変っていないのです。

・・・・・・・・・・・

「正義」は、ときによれば「暴力」よりもずっと怖いと思います。

(この項、続きます)



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2021.12.25 「日記」

2021-12-25 21:26:21 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★>手違いで「King of the road」の映像が間違っていました。もう一度ご覧になって頂ければ有難いです。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・・

既成のメディアにプレゼンテーションする予定の「近所の森の蝶・ハンディフィールド図鑑・見本版」136頁
と、
専門図書通販で依頼販売する「週刊中国の蝶」
1月1日号ベニシジミ(キンイロフチベニシジミ)196頁(本冊132頁+補遺64頁)
1月8日号キマダラヒカゲ(クロキマダラヒカゲ)68頁
が完成しました。
ギリシャで発注して、所沢の印刷所(たぶん僕んちから徒歩でも数時間で行ける)を経て印刷本が送られてきます。そのうち「近所~」見本版と、「中国~」1月1日号が、一昨日届きました。

出来は思っていたよりも遥かに良いです。正月休みの間に、各メディアへのアプローチを準備します。

前者(「近所の森の蝶」)は、(三世とジョージが作る「エーゲ海の島ネコたち」もセットで)幾つかの出版社にターゲット決めて(数打ちゃ当たる、と思うので、沢山のメディアに送りたいのですが、なんせ製本資金が、、、一冊の印刷製本費1000円余とはいえ、今の僕には相当の重荷)プレゼンテーションします。

後者(「週刊中国の蝶」)は、今作り始めている
1月15日号ツマキチョウ(ユキワリツマキチョウ)40頁前後
1月22日号ゴマシジミ(サファイアオオルリシジミ)80頁前後
ともども、年が明ければ一気に昆虫専門図書通販での販売を開始します。

まあ、一歩前進です。

今年は、春にギリシャに行って、夏に中国に行って、もう日本には戻って来なくて良いようにしたいのだけれど、さて上手く進むかどうか。思惑通りに行く可能性は相当に低いと思うけれど、、、、トライ・トゥ・マイ・ベスト。

・・・・・・・・・

そんなわけで やらなきゃならない事が無限にある(年明け74にもなって何でこうあくせくしなきゃならんのか、もう解放して欲しい、というのが正直な気持ちですが、縛ってるのは自分自身なのでどうにもならんです)ので、ブログに書くつもりの“痴呆老人のプラットホームの独り言”(の断片)がどんどん溜まってしまっています。

2~3日前のから、遡って一週間ほど前の迄、蔵出ししておきます。順不同(一応新しいのから)です。

・・・・・・・・・・・・・・・・

『四国放送、公式ツイッター「不適切投稿(特定政党を誹謗中傷)」で謝罪』
という記事に対してのコメント。

*****さん
>だからね、記者はもう国家資格制にしようよ。ペンという武器を持たせるんだから、銃と同じように管理しようよ。
自由すぎるのもダメ。
[そう思う42/そうは思わない13]

milk*****
>ということは、中国共産党の方針と全く同じですね。
[そう思う6/そうは思わない8]

↑これは、僕の今年の最優秀コメントではないだろうか、と密かに自負しています(意味が分からない人もいるのでしょうが、笑)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日のニュースに、上野千鶴子さんのジェンダー論がありました。指摘されていることは、その通りだと思います。ただし(彼女は僕と同じ年ですが)僕とは違う。何が違うかと言えば、上野さんは超エリートの東大教授の賢者(皮肉や揶揄じゃなく本当にそう思っている)で、僕は単なるバカです(卑下や韜晦ではなく本当にそう思っている)。

ジェンダー論が出るたびに僕が頭に思い浮かべるのが、1965年のロジャー・ミラーの歴史的大ヒット「キング・オブ・ザ・ロード」と、ジョディ・ミラーの「クイーン・オブ・ザ・ハウス」。

正確には、その添付映像が素晴らしい。ところが、セットで紹介するつもりでいたら、「キング~」のほうの該当映像がユー・チュブから削除されてしまっていた。「クイーン~」のほうは同じバージョンが幾つも残っていたけれど、「キング~」の該当バージョンとセットで見なければ、その魅力が伝わってきません。

残念に思っていたのですが、もしや復活してるかも?とさっきチェックしてみました。復活してた。改めてセットで紹介しておきます。

King of The Road - Roger Miller - 1965 - YouTube

Queen Of The House - Jody Miller - YouTube

*「King~」のお目当てのバージョンがユーチュブ上に復活したと思ったら、入れ替わりに「Queen~」の正常な音量のバージョンが消えてしまいました。この映像は音量が少ないので、大きめに調節して聞いてください。秋山幸二みたくバク転している東洋人男性が気になります。箒を持って踊っている女性たちの背景の「万能調理器?」みたいなのが何気に素敵です。

*ロジャーとジョディは同じミラーですが、血縁そのほかは全くないようです。

*両方ともロジャー・ミラーの作品で、1965年度のグラミー賞の7冠(含「Queen~」)に輝きました。うろ覚えですが、確か次の7冠は、ずっと後年のマイケル・ジャクソンの「スリラー」だったと思います。

*この年の「男性アダルトシングル盤最優秀歌唱賞」のノミネートは、他に、トム・ジョーンズ、レン・バリー、ポール・マッカトニー(「イエスタデイ」)という錚々たるメンバーで、そこにジョニー・ティロットソン「ハートエイクス・バイ・ザ・ナンバー(恋はつらいね)」が紛れ込んでいます。ジョニーの「最優秀歌唱候補」は、ほとんどジョークの世界だと思うのですが(笑)。

ジョニーは1962年に自作の「涙ながらに」でカントリーのほうにもノミネートされていて、こちらはまあ妥当だと思います(ちなみにジョディ・ミラーは「涙ながらに」をカバーしてくれている)。

当時、典型的ティーンアイドルのグラミー2回ノミネートというのは、結構凄いことなんですね。ジョニーは、今でも誇りに思っているようです。

話が逸れちゃいましたけれど、ロジャーとジョディの2つの映像を続けて見て頂きたい。

こんなのも性差別に当たるのかも知れんですね。僕なんか、これを見ると「女は(気楽で?)いいなあ~」と思うのですが、「男は(自由で)いいなあ~」と思う女性もいるかも知れんですね。それ以前に、このように男女の特性を画一的に分けること自体が間違っている、と指摘されるでしょうが、、、。

それを承知のうえで、僕はこの2つの映像を並べて見るたびに、ひとりでほっこりしています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そんなわけで以前に書きだしたブログ記事は、書きかけのままで、どんどん後回しになって行きます。ここんところ、大量殺人とか有名人の自死とか、いろんな大きなニュースがあって、僕もいろんな想いがあるんですよ。でも、重要な内容であればあるほど、先に書き進めることが出来なくて、そのままになってしまう。

今日(注:既に2~3日前)は腹が立つことがあったので、その話題をちょっと。

パソコン使ってると「(ウインドウズとかを)新しいバージョンに変えませんか?」という案内が頻繁出てくる。どうしても変えなきゃならんのなら変えますが、どっちでも良いのならわざわざ変える必要は有りません。ところが、その案内が余りに頻繁に出てくる。ウザくてたまらないので、とうとう根負けして、「新しいバージョンに変える」をクリックしてしまった。

予想通りというか、困ったことになってしまっています。なんか、いちいち、全部新しいパターンに代わってしまって、どうすれば良いのか全く分からない(シャットダウンの場所さえも見つけるのに随分苦労した)。暫くの間は途方に暮れていたのですが、必死に頑張って、一応最低限使えるようになりました。なんでわざわざこんなことするんですかね。もう、無性に腹が立ってきます。

一番困るのは、ファイルの中が見えない様式になってしまっていること。各ファイルの中にどんな情報が入っているか、いちいち開かねば確認できなくなった。これでは、作業を進めていく上に於いて、これまでより遥かに多くの時間と労力がかかってしまいます。

お節介にも、情報を「隠す」ことに努めているのですね。何よりも優先されるのが「個人情報の厳守」。権力も、大衆も、どんだけ、知られちゃマズい情報を溜め込んでいるか、ということの現れです。

取得権保守、自分のものは人にはやらん、それが民主主義社会の原則なんでしょうね。

・・・・・・・・

駅前の銭湯(屋上温泉)は、午後9時を過ぎると300円値引き(580円)になるので、月に2~3回利用しています。普段は、毎朝2時間ほどかけて少しずつお湯を沸かして、沐浴しています(その前に水風呂に入っているのだけれど、最近はさすがに冷たい)。

入浴前に体重を測ります。僕の身長/体重は、若い頃はずっと160㎝50㎏だったのですけれど、50歳過ぎから体重がだんだん増えてきて、3年ほど前には68~9㎏までなっていました。その後2年ほどかけてだんだん減ってきて、1年程前は62~3㎏だったのです。それが、この夏、数か月の間に一気に減って、夏の終わりごろには54㎏に。ちょうど、裏山探索を始めて、2~3日置きに、10数時間・数10㎞歩いていた期間と、体重が急減していった時期がピタリと重なっています。これはちょっとヤバいかな、と思って、秋になって歩く頻度(距離・時間)を減らしたら、また60㎏近くに戻って、今61㎏。体重ってのは、体力の消費の程度で、こんなにも変わるもんなんですね(もっとも若い時はそう変動しなかったように思う、年を取ると敏感に反応していくのかも知れません)。

湯舟に浸かっていて、何の脈絡もなく(なんかは有ったのだろうけれど忘れてしまった)、突然、僕の父親ことを思い浮かべました。母親のことは、年に一度か二度くらいは想い浮かべますが、父親のことを想うことは、まずない。なんだか申し訳ない気がします。

・・・・・・・・・・・・・・

三世は、娘さんが3人もいるわけで、30万円、羨ましいですね。でも上の2人の分は養育権がないみたいなので貰えんですね。10万円はゲットできるとのこと。“でもそれはニナ(今年生まれた赤ちゃん)のものなのであんたがくすねちゃダメですよ”と忠告したら、“将来のニナのために役立つので私が使って良いのです”と。まあいろんな解釈が出来ます。

解釈、と言えば、ある作家がこんな要旨の事を言っていましたね。(人が人を)殺す自由が無いのであれば、産む自由もないのではないか、と。なるほど、と思います。

(そのこととは何の脈絡もないですが)、三世は今回は(ジョージと)良くもっていますね、もう丸4年になるのかな?いろいろあったみたいだけれど、まあ、ここまでくれば大丈夫でしょう。

これはジョージが偉いのです。一度、三世のいないところで聞いたことがあります。三世の何処が良いのか?と。その答えが素晴らしかった。なるほど、と感心しました。もっとも、どんな答えだったか、具体的なことは全く覚えていないのです。覚えているのは、とにかく素晴らしい答えで、感動した、ということ。別に特別な言葉じゃなくて、ごくごく有りきたりな内容だったのだけれど、それを聞いて「この人間は信用に足る」という想いを持ちました。

モニカも、今んところ(出来れば今後も)ご主人には大当たりです。昔聞いたことがあって、結婚相手の条件。
「正直な人」
「デ〇で無い人」
ハードルは低そうなんだけれど、意外と難しいんですね。「正直」というのは観念的な概念だし、「デ〇」というのは、いつそうなるか分からんですし。

・・・・・・・・・・

え~と、どうでも良いことばかり書き連ねてしまったみたいで、、、。
どうもすみません。
三平、降板ですね。

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メリー・クリスマス

2021-12-24 20:31:59 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記




読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・・

Merry X’mas!




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週刊Weekly Magazine 【2022年1月8日号】下

2021-12-22 21:49:55 | コロナ、差別問題と民主化運動、日本と中国の蝶


週刊Weekly Magazine 【2022年1月8日号】下
カテゴリー:「コロナ」「差別問題と民主化運動」「中国の蝶」

中国(および東アジア)の蝶Butterflie of China(and Eastern Asia)中国(和东亚)的蝴蝶
クロキマダラヒカゲ 田园荫眼蝶 キマダラヒカゲ属 Neope荫眼蝶 【タテハチョウ科Nymphalidae蛱蝶科】
Junzo Aoyama
【Photo office萌葱】

/////////////////////////////////////

【*「中国のチョウ」に併記した、各種の雄交尾器の比較(必ずしも系統関係を反映するものではない)を、図版と共に再掲しておく。Neope oberthuriは、この時点では未検討。】

1a
Phallusが太短く、強く背方に屈曲し、suprazonar sheathの 腹面に広くperi-vesical areaが生じ、Zophoessa属に似る。Phallus以外はNeope一般型。
・・・・・・・・オオキマダラヒカゲNeope yama

1b
Phallusは屈曲しない。
・・・・・・・・2

2a
Phallusは著しく太短く、suprazonal sheath背面に不規則な粗い鋸歯を生じる。Uncusは太く短く、先端が大きくて2分する。
・・・・・・・・ウラキマダラヒカゲNeope muirheadi

2b
Phallusは前後に細長く、suprazonar sheath背面に鋸歯が生じる場合は細かく均質な微細な鋸歯が整然と並ぶ。Uncusは長く単一。・
・・・・・・・・3

3a
Valvaの末端背面に指状突起を欠き、代わりに後端付近に多数の微細な粒状鋸歯群を散付する。Phallusはよく前後に伸長し、台湾亜種では特に著しい。後端が背後方へ反り返り気味に強く突出、superzonal sheath後半やや背方寄り両側に多数の小鋸歯群が発達し、台湾亜種では鋸歯そのものが大きく、末端の数個が特に巨大となる。Juxtaの両翼は発達良く、manica背方に長く伸びる。Tegumenは比較的小型で、uncusは後方へ良く発達し、細くスリムで基部がやや縊れる。性斑は前翅中央下半に集中して上下に2分。
・・・・・・・・タイワンキマダラヒカゲNeope bremeri

3b
Valva末端背面に指状突起を備える。Phallusは良く前後に伸長し、幾らか反り返り気味で後
端は背後方へ強く突出し、suprazonal sheath後半側面に多数の小鋸歯を散付(goschkevitschiiのほうが腹方寄りにより広く散付される)。Tegumen背縁はgoschkevitschiiで
より隆起する。Uncusは後方へ良く発達し、比較的細くスリム、基部がやや縊れる(niphonicaでより顕著)。性鱗は前翅中央下半に集中、2分しない。
・・・・・・・・ヤマキマダラヒカゲNeope niphonica
・・・・・・・・サトキマダラヒカゲNeope goschkevitschii

3c
Valva末端背面に指状突起を備える。Phallusは単調で、後背端に突出は弱く、suprazonal sheath側面に小鋸歯を全く欠くか中央付近にごく弱く出現。Tegumenは比較的発達良く、Uncus基部はあまり縊れない。
・・・・・・・・4

4a
Tegumenは丸味を帯び背方へ隆起し、uncusはスリムで背腹の幅が狭い。Valvaは基縁が幅広い。Harpe先端は外縁が膨れ上がったうえ内側に指状突起を派生。Succusが短く、phallusも短めで、suprazonal sheath側面には全く鋸歯を欠くか、背側面に僅かに出現。性斑は前翅中央下半のごく狭い範囲に集中。
・・・・・・・・クロキマダラヒカゲNeope agrestis

4b
雄交尾器は全体に横長。Uncusも前後に長い。Valvaは基縁が幅狭く、前後に細長く、後方へほぼまっすぐに伸長し、末端はそのまま内向して突出する。Phallusも前後に長く、鋸歯群を欠く。性斑は広い範囲に亘って出現する。Juxtaは未発達。
・・・・・・・・シロキマダラヒカゲNeope armandii

4c
Uncusは背腹に幅広い。Valvaはあまり湾曲することなく後方へ伸長し、後端外縁はあまり膨れずに内側に指状突起を備える。Phallusは前後に短く、単調で鋸歯を全く欠くか腹方寄り側縁にごく弱く散付。性斑の出現状況は多様。
・・・・・・・・5(Neope pulaha complex)

5a
Pallusの鋸歯は全く出現しない。長毛と長伸鱗の密生した性斑が広範囲に広がる。
・・・・・・・・アリサンキマダラヒカゲ(台湾産) Neope pulaha didia

5b
Phallusにごく弱い鋸歯群が出現。前翅表上半に鱗粉が密生、長毛や長伸鱗を混じえない。
・・・・・・・・ニセアリサンキマダラヒカゲNeope pulahoides

5c
雄交尾器の形状、斑紋の状況は前種と同じ。翅表の地色がきわめて濃色。
・・・・・・・・ “ユンナンクロキマダラヒカゲ”

5d
Phallusに鋸歯は出現しない。性斑の位置はagrestisに似る。翅表地色がごく明るい。
・・・・・・・・Neope shirozui

Neope属の♂交尾器 ① pulaha-group



Neope属の♂交尾器 ③ bremeri-watanabei



Neope属の♂交尾器 ② agrestis



Neope属の♂交尾器 ④ niphonica-goschkevitchii 



Neope属の♂交尾器 ⑤ armandi



Neope属の♂交尾器 ⑥ yama
写真(省略)

Neope属の♂交尾器 ⑦ muirheadii
写真(省略)

(いずれも「青山1998」からの転写)

///////////////////////////////////////////

Neope各種の撮影地域 Ⅰ
地図(省略) 
●muirheadii 重慶市/成都市/広東省翁源県/ベトナム・ファンシーパン山
●muirheadii ? 広西壮族自治区猫児山
地図(省略)
●yama 重慶市/四川省峨眉山

Neope各種の撮影地域 Ⅱ
地図(省略)
●armandi-1 四川省峨眉山/四川省西嶺雪山 
●armandi-2 広西壮族自治区興堂山/ベトナム・ファンシ-パン山
地図(省略)
●simulans 四川省ミニャコンカ海螺溝/雲南省梅里雪山明永

Neope各種の撮影地域 Ⅲ
地図(省略)
●agrestis 四川省峨眉山/雲南省梅里雪山明永/雲南省香格里拉近郊/雲南省維西
●bremeri(原名亜種) 浙江省杭州市/浙江省天目山系/四川省青城山
●a southern locality(ユンナンクロキマダラヒカゲ) 雲南省金平
地図(省略)
●obertuerii 雲南省梅里雪山/雲南省香格里拉南方
●ramosa?(複数種の可能性あり?) 浙江省西天目山/四川省青城山/四川省西嶺雪山
●pulahoides ベトナム・ファンシーファン山

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope agrestis 田园荫眼蝶
雲南省梅里雪山明永(alt.2300m)2017.6.15

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope agrestis 田园荫眼蝶
雲南省梅里雪山明永(alt.2300m)2017.6.15

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope agrestis 田园荫眼蝶
雲南省維西(alt.2500m)2010.5.15

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope agrestis 田园荫眼蝶
雲南省維西(alt.2500m)2010.5.15

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)
写真10

Neope oberthurei 奥荫眼蝶
雲南省梅里雪山明永(alt.2300m)2013.5.10

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope oberthurei 奥荫眼蝶
雲南省梅里雪山明永(alt.2300m)2017.6.14

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope oberthurei 奥荫眼蝶
雲南省梅里雪山西当‐雨崩(alt.3500m)2009.6.11

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope oberthurei 奥荫眼蝶
雲南省香格里拉‐虎跳峡(alt.2800m)2009.6.1

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)
写真(省略)
Neope bremeri 布莱荫眼蝶 Spring form male & female
浙江省杭州市(alt.10m)1989.3.31

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)
写真(省略)
Neope bremeri 布莱荫眼蝶 Summer form male
四川省青城山(alt.900m) 1989.8.4/陝西省西天目山(alt.1300m)2018.7.8

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope ramose 大斑荫眼蝶
陝西省西天目山(alt.1300m)2018.7.8

【Photogallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)
写真(省略)
Neope ramose 大斑荫眼蝶
陝西省西天目山(alt.1300m)2018.7.8

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope ramose ? 大斑荫眼蝶 ?
四川省西嶺雪山(alt.1500m)2009.8.5

【Photo gallery】 agrestis, obertueri, bremeri, and pulaha complex(ramosa/pulahoides)


Neope pulahoides 黑斑荫眼蝶
越南Vietnam沙巴Fan-xipan(alt.1300m)2009.3.10

【Photo gallery】add.


Neope muirheadi 蒙链荫眼蝶
広東省翁源県(alt.500m)2013.6.12

【Photo gallery】add.


a type of Neope muirheadi 蒙链荫眼蝶的一型
広西壮族自治区猫児山(alt.800m)2005.4.23

纏めSummary概括

日本産キマダラヒカゲ2種のアイデンティティあるいはルーツのようなものを探ろうと思う。Neope属は、日本列島のほか、北部などを除く中国大陸と、台湾、海南島、インドシナ半島北部、およびヒマラヤ地方に分布し(朝鮮半島には分布を欠く)、日本の場合同様に、ほぼ全域で外観が類似する2種が混棲している。著者が現時点
で観察し得たところでは(斑紋構成や雄交尾器の形状が異なる数種を除くと)次のような組み合わせになる。

梅里雪山周辺(香格里拉近郊、ミャンマー北部など、中国南西部高標高地帯の、ざっと半径200km程の地域)
Neope agrestis クロキマダラヒカゲ
Neope oberuthueri スミイロキマダラヒカゲ

長江下流域(杭州市街地を含む)
Neope bremeri タイワンキマダラヒカゲ原名亜種(アカキマダラヒカゲ)
Neope ramosa(暫定同定) タイリクアリサンキマダラヒカゲ

長江上流域の入口付近(成都西郊山地)から、おそらく中流域にかけての南北の地域
Neope bremeri タイワンキマダラヒカゲ原名亜種(アカキマダラヒカゲ)
Neope pulahaアリサンキマダラヒカゲ群?(ramosa? pulahoides? ほか複数種?)

雲南省南部とベトナム北部に跨る国境山地
Neope plahoides オオアリサンキマダラヒカゲ
Neope sp. ユンナンクロキマダラヒカゲ

また、Neope simulans、Neope armandii、Neope muirheadiなど外観などが特徴的な種も、上記各種と何らかの系統上の繋がりを持っているように思われる。

以下は言い訳。様々な事情でデータが抜け落ちていたりして、つぎはぎだらけの報文になった。例えば、写真は翅の裏面が殆どである。Neope属は静止時には絶対に翅を開かないので、正しい“生態写真”としては真っ当なわけだが、翅表の模様や配布鱗粉の状況などがチェック出来ない事には、系統分類に取り組む資格は無いのかも知れない。筆者が拠り所にする外部生殖器の顕鏡解析も、2000年以降は使用可能な実体顕微鏡が手許にないため行えないでいる。

しかし、たとえそれらが充分に為されたとしても(更に付け加えれば分子生物学的な面からの解析が行えたとしても)、限りなく複雑混沌多様な「種」および「種(地域個体群)間ごとの相関性」を完全に捉えることは出来るのであろうか?ひたすら体系に沿い、類型に当て嵌めて結果を示す研究者の論文とか、あるいは重箱の隅をつつくような蝶マニアやコレクターたちの取り組みに、筆者はあまり魅力を感じていない。もちろん、地道に個々の作業を進めていくことは、必要だとは思う。ただ、同時に「俯瞰」という「曖昧で大雑把な」姿勢も必要なのではないだろうか?

まあ、自己正当化しているわけで、お恥ずかしい限りであるが、筆者のworkは「問題提起」に収斂されるので、
結果の正当性の獲得には全く拘泥していない。この報文を目にした蝶好きの方々には、どんどん反論・批判して頂ければ、と望んでいる。そして、殊に若い人たちには、性急に答えを求めずに、常に「俯瞰」の姿勢を忘れないで頂きたいと望んでいる次第である。

2022年正月


週刊・中国の蝶 2022年1月8日号 クロキマダラヒカゲ
著者:青山潤三
発行:Photo office 萌木MOEGI
2021.12.24





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週刊Weekly Magazine 【2022年1月8日号】中

2021-12-22 21:45:47 | コロナ、差別問題と民主化運動、日本と中国の蝶


週刊Weekly Magazine 【2022年1月8日号】中
カテゴリー:「コロナ」「差別問題と民主化運動」「中国の蝶」

中国(および東アジア)の蝶Butterflie of China(and Eastern Asia)中国(和东亚)的蝴蝶
クロキマダラヒカゲ 田园荫眼蝶 キマダラヒカゲ属 Neope荫眼蝶 【タテハチョウ科Nymphalidae蛱蝶科】
Junzo Aoyama
【Photo office萌葱】

/////////////////////////////

日本固有種「サトキマダラヒカゲ」「ヤマキマダラヒカゲ」の大陸産対応種について
The vicarious species of Neope niphonica and Neope goschevitschii (endemic species of Japan)found outside of Japan [青山潤三の世界・あや子版 2013.5.17からの転載]

大都市都心部を含めた日本の広い範囲(幾つかの離島を除く)に分布するサトキマダラヒカゲNeope goschevitschiiと、主に標高1000m以上の山岳地帯(寒冷地および房総半島では低標高地にも)に分布するヤマキマダラヒカゲNeope niphonicaは、ともに日本列島(サハリンの一部などを含む)の固有種である。

キマダラヒカゲ属は、朝鮮半島や中国北部、ロシア沿海地方など日本海対岸地方には分布せず、日本列島産2種のほか、台湾に4種、中国大陸(中部以南)・ヒマラヤ地方・インドシナ半島北部などに10種前後が分布することになっている。記載された種や亜種はかなりの数に上ると思われるが、相互の関係についての検証は全く成されていないというのが現状である。

筆者(青山は)以前、中国東部(杭州市)産のタイワンキマダラヒカゲ原名亜種Neope bremeri bremeriについて観察を行い、また「中国のチョウ」(東海大学出版会1998年)で、その時点で知り得たNeope属各種の雄外部生殖器の形状を比較し、各種間の相互関係を暫定的に考察した(166-168頁、315-322頁)。その後の15年間に、新たな知見の追加集積が成されているが、未だ総合的な纏めを行うには至っていない。最大の課題である日本産2種、ことにサトキマダラヒカゲの対応種についても、未解明のままである。

しかし、ひとつ、かなりの高い確率で指摘出来そうな事実がある。最終的な結論は将来の実証結果に委ねるとして、その概要をごく簡単に述べておく。

その前にヤマキマダラヒカゲ(以下“ヤマ”)とサトキマダラヒカゲ(以下“サト”)の外観上の区別点について説明しておく。多くの形質による比較が成されているが、両種を確実に区別しうる安定的な指標形質は次の3点。
●①前翅外縁。
>ヤマでは上部で緩く内側に湾曲、サトは湾曲しない。
●②前翅表第6室眼状紋中の黒点。
>ヤマで外縁寄りに、サトではほぼ中央部に位置する(♂についてのみ検証可)。
●③後翅裏基部の3個の丸紋の並び方。
>ヤマでは下の一個が上2個の延長線上から明瞭に外側へ外れ、中央の一個からの距離は上の一個に比べ明らかに遠い。サトでは3個がほぼ均等の距離を保って並び、下の一個が外側へ大きく外れることはない。上記3形質以外については傾向的な差異に過ぎず、それらに注目することで、しばしばかえって混乱してしまい分からなくなってしまう。上記3形質は極めて安定的なので、慣れればそれによって100%区別が可能である。

それらのうち、①②に関しては、幾分印象による判断が必要とされるため、よほどの熟練者でなければ同定を誤ることがある。しかし③については特徴が安定的で、この形質のみで同定が可能となる(それに①②による検証を加味すれば、ほぼ間違いなく正しい同定が出来ると思う)。
*両種の幼生期の形態には著しい差異があり、また染色体数も異なることから、外観上の酷似とはうらはらに、思いのほか血縁の離れた関係にある可能性も考えられる。

中国大陸産各種のうち代表的な種について大雑把に整理しておく(詳しくは「中国のチョウ」を参照)。

日本産2種から最も類縁が遠いと思われるのが、オオキマダラヒカゲNeope yama。外部生殖器は構造的にZophoessa属との類似性も示され、Neope属の中ではかなり離れて位置付けされる可能性がある。

Neope属中、低標高地を含む最も広い範囲に分布するウラキマダラヒカゲNeope muirheadiiも、外観が他の多くの種と顕著に異なる。♂外部生殖器にも、uncusの先端が2分岐するという他の各種に見られない明確な特徴を示す。ただし基本構造的には他各種と共通し、外観の相違から判断されるほど特異な存在ではないのかも知れない(将来複数種に分割される可能性もある)。分布状況や生態的地位に於いては、この種がサトキマダラヒカゲの代置的存在にあるように思われるが、形態形質的な面での相関性は特に見出し得ない。

シロキマダラヒカゲNeope armandiiは、山岳地帯を中心として、やはり広い範囲に分布している。ウラキマダラヒカゲに於いても同様のことが言えるが、季節・雌雄・地域などに於ける外観上の差が著しく、後翅表に白色やオレンジ色部分が広がり他の各種とは顕著に異なって見える個体から、意外に一般のキマダラヒカゲに類似した個体まで、多岐に亘っている。♂外部生殖器にも、他の種から隔てられる顕著な特徴は見出されず(相対的にvalva基半部の幅が狭いというのが特徴と言えば特徴と言える)、外観で想像される以上に、以下に述べる各種に、かなり近縁な存在であるのかも知れない(やはり複数種から成る可能性あり)。

ヤマやサトの対応種は、(Neope simulansなど幾つかの特異な種を除く)残る各種の中に見出されるものと思われる。上記の①②の分類指標形質を見る限りに於いては、それらの全ての種がヤマに対応するように思われ、サトに対応すると積極的に評価しうるような集団は見出されない。四川省から記載されたNeope shirozuiをサトの対応種と考える意見もあるが、おそらくはN.bremeriやN.agurestis(あるいはN.pulaha)に収斂される、顕著な変異型(または地域集団)ではないかと考えている。

キマダラヒカゲ属の分類に当って最も問題となる事項のひとつは、♂外部生殖器の形状比較による考察が困難なことである。基本的な構造に於いて種間の差が少なく、かつ種内に於ける末端的な部分での変異が多様なことから、外部生殖器の形状から種間関係の正確な実態を把握するのは至難の業なのである。ヤマとサトの外部生殖器の形状にも、ほとんど差異がない。そのため両者は、(上記したような)血縁上相当に離れた関係にあるとする見解とは逆に、比較的新しい時代に分化した集団ではないか、という見解も成し得よう。

ヤマとサトの間のみでなく、(yama, muilheadiiなど明らかな固有の特徴を示す種を除けば)国外産の各種間にも、基本的な構造差は、ほとんどないと言ってよい。差異が見られるのは下記のような部位。
●①プロポーション(uncusやvalvaやpenisの相対長)。
●②末端形質(valvaの先端部分など)。
●③penisの鋸状突起。

このうち、①や②については、種(または地域集団)間である程度の安定差が示されるが、③については、同一種の個体間(しばしば同一地域集団の個体間)でも、多様な表現が成される。また①については、しばしば亜種間(ことにN.bremeri watanabeiとN.bremeri bremeri間)で顕著な差が示される。

各部位が大型で、valvaやuncusの前後長が長く、penisの鋸歯群が最も発達するのが、タイワンキマダラヒカゲ台湾亜種N.bremeri watanabei。逆に各プロポーションが最もコンパクト(前後に寸詰まり)で、penisの鋸歯も発達が弱い(あるいは消失する)のがクロキマダラヒカゲN.agrestis。タイワンキマダラヒカゲ原名亜種(アカキマダラヒカゲ)N.bremeri bremeriと日本産の2種は、ほぼ中間的な段階を示し、アリサンキマダラヒカゲN.pulaha didia(および原名亜種を含む大陸産の幾つかの近似分類群)も、ほぼそれに準じる(penisの鋸歯の発達はおおむね弱い)。

思うに、外部生殖器の形状(例えば全体のプロポーションやpenisの棘の出現程度を含む末端部分)の差異は、種間差というよりも、種内(地域集団間、ときによっては個体間)変異と見るのが妥当ではないかと。

外観(翅の概形・斑紋・色彩など)の差異についても同様のことが言えるであろう。外観や外部生殖器の形状が酷似する複数の(しかし少数の)“種(または上種)”が存在、それぞれの種内で(同一空間に於いて並行的に相互相似する)変異の幅を示すことから、多くの種から成るように見えるのである(♂の性標の表現の違いにどのような意味があるのか? 今後の重要な検証課題だが、あえて誤解を顧みずに言えば、上記した他の形質同様に、2次的かつ並行的な相似/相違である可能性も考えられる)。

いずれにしろ、外部生殖器の形状に斑紋など外観的特徴を加味して考察すれば、国外産の典型Neope各種は、全ての種がヤマに繋がるように思え、サトに繋がる種は存在しない、と言い切ってもよさそうなのだが、今一度、外観上に表現された形質に惑わされることなく、改めて整理検討しておきたい。

上記したように、私見では、典型Neopeはごく少数の種、ほぼ同一の(かつ地域集団などの別に於いて様々な段階で異なった表現が成される)形質を備えた2つの分類群(種または上種)から成っているのでは、と見ている。ヤマもサトも、各々そのどちらかに収斂されるのである(同一空間に存在することによる偶然または必然的な相似)。

そのことを示唆する例を挙げておく。どうやらNeope分布圏内に於いては、幾つかの地域で(yama,muirheadii, armandiiなどを除き)日本のヤマ&サト同様に、2つの分類群(種または上種)が混在している可能性がある。
「2つの」ということが重要で、決して「多数の」ということではない。日本のヤマ同様に、いや遥かにそれを上回る顕著な変異を示すことから、「2つ」ではなく「多数」に見えるのだが、それらの「多数」は、全て「2つ」に収斂されるわけである。

その2つとは、すなわち「タイワンキマダラヒカゲNeope bremeri」と「アリサンキマダラヒカゲNeope pulaha」。ヤマが前者に対応することは容易に理解出来ようが、思い切って言うならば、サトは後者に対応する(後述)。

前者には、中国中部~東部のN.bremeri原名亜種や、西南部山岳地帯産のN.agrestisが含まれる。以下にこれまでに撮影した個体を、雲南省産N.agrestisを中心に紹介しておく。
*[Neope agrestisの写真18枚→別項目に移動]

四川峨眉山産と雲南金平産を除き、いずれも雲南北部の高標高地産で、5月上旬から7月上旬に至る撮影個体。8月中旬から10月上旬にかけての探訪時には確認していず、この期間に発生しているものと思われる。同一地点(例えば梅里雪山明永氷河末端下部の標高2300m地点)に於いても丸2ヶ月の期間に亘るため、2世代を繰り返している可能性も考えられなくはないが、5月上旬の個体と6月下旬の個体間に有意な差が見られないことから、年1化の発生(長期間に亘って暫時出現)と考えたほうが妥当であろう。もし2世代を繰り返しているとすれば、世代間の形質差がほとんどないということになる。(しばしばヤマキマダラヒカゲ房総亜種N.niphonica kiyosumiensis春型個体に見られるように)翅型がコンパクトで寸詰まりな印象、外縁の白色鱗と翅脈末端の黒色鱗のコントラストが強いため、外縁が顕著に凹凸を帯びて見える傾向がある。
全体的な形質はタイワンキマダラダラヒカゲ原名亜種(アカキマダラヒカゲ)N.bremeri bremeri春型に連続し、日本のヤマキマダラヒカゲN.niphonicaとも繋がるように思われる。写真下2枚の個体のように、裏面地色の色調がぼやけて明るい赤茶色を帯びた個体なども見出されるが、個体変異の範疇に入るものと考えている。「中国のチョウ」で“ウンナンクロキマダラヒカゲ”として紹介した雲南省南部のベトナム国境に近い金平産の個体は、北部のagrestisとは大分印象がことなり、bremeriに所属せしめるべきかも知れない。N.pulahaの系統とも考えられるが、裏面基部の丸紋の並び方は、後述する(*原典ではpulahaと仮同定した)雲南北部山岳地帯産N.oberthueriと異なり、明らかにagrestis~bremeri~niphonicaと共通する特徴を示している。
*[Neope bremeriの写真6枚→別項目に移動]

♂外部生殖器のプロポーションや末端構造に於いて(あるいは翅の概形や斑紋・色彩などに於いても)、クロキマダラヒカゲNeope agrestisと対極的な印象を持つのが、タイワンキマダラヒカゲ台湾亜種(N.bremeri watanabei)である。N.bremeriの大陸産原名亜種と台湾亜種の間には、一般的常識による種間差を優に越える差があるように見受けられるが、形質の一定方向への“傾き”であると捉えれば、両者を同一種として扱うことは妥当であると思われる。ただしその場合、反対方向の傾斜上に位置するN.agrestisの処遇も考慮しなければならない。大陸東部(杭州)産N.bremeri原名亜種は、全体の傾斜の中で、台湾亜種N.bremeri watanabeiと、大陸西南部高地産 N.agrestisとの中間に位置する、と言ってよい(日本産のN.niphonicaについてもそれに近いことが言えそうである)。

四川成都市近郊(青城山)産もN.bremeriに含めた。杭州市産と同じくbremeriの原名亜種に置く事が妥当か否かについては今後の詳しい検証を待たねばならないが、盛夏に同一種の夏型(外部生殖器形状の一致を検証済み)が出現することから、夏型の出現しないN.agrestisとは一線を区し、(青城山に隣接した西嶺雪山で撮影した夏型♀共々)狭義のbremeriに含めておく。

ほかに青城山からは、性票(特殊鱗の集中散布)を欠く春型♂を記録していて、「中国のチョウ」では暫定的にN.pulahoidesとしておいた。N.pulahoidesやN.pulahinaは、広義にはN.pulahaの一群に所属するものと考えられるが、この個体は、あるいはpulaha ではなくbremeriに繋がるのかも知れない。先に記したように、性標(特殊鱗の有無や散布範囲)が種間関係に於いてどのような意味を持ち、分類指標としてどの程度の重要性を示すのかを検証することは、今後の重要な検証課題であると思われる。

それらの課題はさておき、(N.niphonicaの分類上の処遇はともかく)N.bremeri, N.agrestis, N.niphonica等の各種が、同一の形質傾斜上に置かれた、ひとつの上種super-speciesを形成する可能性を、一応の結論としておきたい。

では、サトキマダラヒカゲNeope goschevitschiiは、どの傾斜上に位置するのであろうか? 筆者の結論は、少々乱暴ではあるが「アリサンキマダラヒカゲN.pulaha(*およびその近縁種群)」が、国外に於ける日本固有種「サトキマダラヒカゲ」の対応種であるということ。

“乱暴”の実態を補足しつつ、中国西南部に於ける「サトキマダラヒカゲ」対応集団の写真を紹介していく。

*[Neope oberthueri(原典では【仮同定】としてNeope pulahaを当てた)の写真13枚→別項目に移動]
現時点では(比較的限られた地域で広範囲とはいえないが)少なくとも4つの地域に於いて“典型Neope”と呼ぶべき2種の混棲が知られている。先にも述べたように、重要なことは、単に2種が混棲していると言うことよりも、それらの地域に見られる(一見多様な変異形質を示す)“典型Neope”の全てが、そのどちらかの種に帰属する、ということである。

ひとつはもちろん日本産の2種。そして台湾のタイワンキマダラヒカゲ台湾亜種Neope bremeri watanabeiとアリサンキマダラヒカゲ台湾亜種Neope pulaha didia。以下に述べる雲南省北部山地に於けるクロキマダラヒカゲNeope agrestisとNeope oberthueri(*原典ではpulaha類似種)。およびそれと同一の組み合わせと考え得るミャンマー北部産の2種(Butterflies Musiam展示の過程で多数の標本を検証)。それ以外の地域では、今のところ前者(bremeriなどniphonica対応集団)のみしか確認していないが、より多くの地域で“2種”が混棲している可能性も有り得る。

先に検証したように、niphonica~bremeri~agrestisは、同じ傾斜上に位置するniphonica対応集団と考えられる。ならば、一方のgoschchevitschii~pulaha didia(台湾亜種)~大陸東南部産pulaha類似種(*注:本書で暫定的にNeope ramosaを当てた集団)も、同じ傾斜上に置かれる対応集団、と考えるのは早計に過ぎるであろうか?

常識的には、暴論には違いない。アリサンキマダラヒカゲ台湾亜種N.pulaha didiaは(中国大陸産アリサンキマダラヒカゲN.pulahaのいくつかの亜種ともども)、外観上、様々な点でサトキマダラヒカゲN.goschevitschiiとは対極的な特徴を示している。 ヤマとサトの有意な区別点たる、「前翅外縁のカーブの仕方」「前翅表第6室眼状紋内の黒点の位置」「後翅裏面基部の3個の丸紋の並び方」など、いずれもサトとの共通性は全く示さず、むしろずっとヤマ的だ。アリサンとサトは、“典型Neope”の中では最も離れた位置にあると考えるのが妥当であろう。

大陸西南部高地産のNeope oberthueri(*原典ではpulaha類似種)に於いても、以下に述べる斑紋などの幾つかの特徴はともかく、より広域に分布するN.bremeri~N.agrestisに対して、明らかに(高標高地のみに)分布域が限られている。日本のヤマとサトの関係とは正反対なのである。

しかし、日本と中国では、近縁種間の組み合わせに於いて生態的地位が逆転する、という現象は、枚挙にいとまない。また、表現された形質が、必ずしも系統を反映しているとは限らない、ということも、多くの例で知られるところである。

そして、非常に気になる事実がひとつ。最初に示した、ヤマとサトの、最も安定的な分類指標である「③後翅裏面基部の3つの丸紋の並び方」に於いて、大陸西南部(雲南省北部)山地産のNeope oberthueri(*原典ではpulaha類似種)と、日本産N.goschevitschiiは、見事に一致するのである。

そのような前提で改めてこのNeope oberthueri(*原典pulaha類似種、本書での和名をスミイロキマダラヒカゲとした)に注目すれば、裏面の色調や全体的な印象も、どこかサトに共通する印象が感じられる(ただし現地での観察に於いて、ことに飛翔時には本種は真っ黒に見え、一方、筆者が「中国のチョウ」で“クロキマダラヒカゲ”と名付けたNeope agrestisは、遥かに明るい色調~赤褐色~に見えることから、和名については再検討するべきと考えている)。

ちなみに、最初に記したごとく、♂外部生殖器の形状は、ヤマとサトの間で酷似し、全く相同のようにも見えるが、川副昭人氏も指摘し(若林守男氏との共著による「日本産蝶類大図鑑」保育社) 筆者も「中国のチョウ」で解説したように、非常にデリケートではあるが、それなりの安定差が見出される。すなわち、ヤマではpenisに生じる鋸歯群の個々の鋸歯が相対的に大型で、やや疎らに散布される傾向があるのに対し、サトでは個々の鋸歯がより小型で、大きさや散布密度が一定しているということ。また、(あくまで傾向的・印象的な相違に過ぎぬが)uncus概形の全体的な印象が、サトでは茫洋とした感じで、ヤマのような引き締まりに欠ける気がする。それらの傾向は、buremeri watanabei~bremeri buremeri~agrestisと、pulaha complexの間にも当て嵌まるように思える。

筆者は、原則、Neope分布圏内の多くの地域で、2組の“典型Neope”の組み合わせが成されているのではないかと考えている。そして、どの組み合わせの2つの種も、ヤマ、サト、それぞれの傾斜上に位置しているのではないかと。日本列島に於ける2つの種の酷似は、並行的に成された、2次的な類似だと解釈したい。

むろん、それぞれの組み合わせに於ける2種が、同じ傾斜上の同一種群間に帰属するのではなく、各地での組み合わせごとに、(少なくとも“サト”に対応する側は)別系統の集団からなっている可能性も否定出来ない。ここに示した雲南省北部山地産Neope oberthueri(原典の“アリサンキマダラヒカゲNeope pulaha類似種”)が、果たして系統上、(台湾産亜種をはじめとした)ほかのアリサンキマダラヒカゲ各亜種に繋がるのかなど、全く分かっていない。
それらを含めた、より詳しい検証が成されなければならない。幼生期、生態、行動、生理の比較、性標(特殊鱗粉)の散布状況と機質的機能的意味の解明、DNA解析による系統的考察。アグレッシブな探求を切に願う。
*[Genitalia図ほか→別項目に移動]

/////////////////////////////////

「中国のチョウ」(東海大学出版会1998)からヒカゲチョウ族の項を転載
本文309頁~322頁、写真図版166頁~177頁、総説7頁~11頁

ヒカゲチョウ族 Lethini
ルリオビヒカゲ類
ルリオビヒカゲMandarinia regalis
ヒカゲチョウ類
ウラジャノメ属(広義)Pararge
7種 16写真図版 雄交尾器3図版
ヒカゲチョウ属 Lethe
13種 16写真図版 雄交尾器2図版
オジロヒカゲ属 Zophoessa
7種 12写真図版 雄交尾器5群に分け文章での詳細解説
キマダラヒカゲ属 Neope
8種 15写真図版 雄交尾器7図版 25個体

以上は省略し、以下キマダラヒカゲ属については、原著(1998)をそのまま転写する(誤植は修正、【*】は「週刊・中国の蝶:2022年1月8日号」に於ける追記)。
写真・図版は、ほぼ全て再掲した。 ●は「中国のチョウ」刊行時に新たに提唱した和名。

キマダラヒカゲ属 Neope

ヒカゲチョウ属Letheに近縁で、Evans(1932)やTalbot(1947)は、Lethe属のyama groupとした。しかし、筆者の知る限り、ヒカゲチョウ族Lethiniの他の全ての種は、静止時に翅を開くことがあるのに対し、本属の種は静止時に常に翅を閉じていて、求愛時や飛び立つ瞬間などを別とした通常の状況下では絶対に開くことはない。静止時に絶対に翅を開かない蝶というのは案外少なく、断定し得るところでは、ほかにシロチョウ科のキチョウ亜科COLIADINAE(モンキチョウ族のColiasやCatopsilia, キチョウ族のGonepteryxやeuremaを含む)の各種ぐらいしか見当たらない(そのほかにも“静止時に絶対翅を開かぬ”可能性のある種はいくつかあるが、観察例が充分でないため断定は避けておく)。この形質(性質)は、系統分類上意外に重要であるとも考えられ、とすればNeope属は、他のLethe類各属と案外大きく隔たった系統上に位置づけされる可能性も生じてくる(それについての判断はここでは保留する)。

キマダラヒカゲ属Neopeは、中国大陸からヒマラヤ地方にかけてと、日本列島および台湾から計15種ほどが記載されているが、種の整理や系統関係の考察は(高橋真弓氏の業績を別とすれば)充分になされているとは言い難い。Neope属のうち、オオキマダラヒカゲN.yama、ウラキマダラヒカゲN.muirheadiの両種は、翅型や斑紋パターンからも察しがつくように、雄交尾器の形状も極めて特徴的である。しかし、他の各種、ことにアリサンキマダラヒカゲN.pulahaとその近縁種は互いに極めて類似し、雄交尾器による種の区別もほとんど不可能に近い。したがって、斑紋など外観による検討が必要とされてくるわけだが、その場合、種全体に不変の形質を前もって認識・把握したうえで、個々の個体群の相互比較を進めないことには、むしろ困難を助長するだけになってしまう。

本属の雄前翅表に出現する「性斑(性標)」は、種の分類形質として、どのように位置付ければよいだろうか。Neope属の場合、Lethe属の一部の種のように特殊鱗の顕著な集合部が存在するわけではなく、前翅表のかなり広い範囲に亘って細長く伸長した特殊鱗(大半は発香鱗ではない?)と長毛が密生し、その部分が他の地色の部分と比べて濃色の斑紋になっている(ただし、濃色斑の発達程度と発香鱗を含む特殊鱗の集合密度は必ずしも比例しない)。この濃色斑の出現程度や形状が、種として一定しているかどうかについては、ウラナミジャノメYpthima motschulskyiやベニヒカゲErebia niphonicaなどの場合同様、かなり疑わしい。もっとも、Neope属の日本産2種のように、種内でごく安定している場合もあるわけだから、有意な指標に成り得るか否かは、個々のケースごとに判断されるべきものと思われる(例えばタイワンキマダラヒカゲN.bremeriでは、高橋真弓氏も指摘するように大陸産夏型のみが他と異なる)。

ニセアリサンキマダラヒカゲN.pulahoides【*下注参照】は、アリサンキマダラヒカゲN.pulahaとは性斑を欠き前翅表翅底部が広く明色になることから、別種とされている。この性斑は、主に長毛や長伸鱗の密生によるもので、しかも大陸産のpulahaでは、長毛や長伸鱗が顕著に発達する台湾産のpulaha didiaや日本産2種に比べてその出現頻度がごく弱い。したがって鱗粉の集中した暗色斑、と理解し、斑紋構成上の問題として捉えた方がよいように思える。性斑の有無やその形状を必要以上に分類指標として重視することは、問題なしとしない。むしろ、台湾産pulaha didiaを含めた非bremeri-niphonica系の種は、クロキマダラヒカゲN.agrestisを除き、前翅表の上半部にも鱗粉の集中が見られることに注目したい。

斑紋その他の形質の、表現の程度の差が、そのまま種の帰属基準になり得るとは限らない。その形質が全体の中でどのように位置づけされているかをまず把握したうえで、差異の大小にとらわれずに評価を進めていくべきであろう。ごく微細にしか見えぬ部位が、種の帰属を決定する重要な基準になる例としては、ヤマキマダラヒカゲN.niphonicaとサトキマダラヒカゲN.goschkevitchiiの区別点がある。具体的には、前翅外縁の丸味の程度と、前翅表第3室(雌)、第5室(雄)の眼状紋の形、および後翅裏面基底部に並ぶ3つの丸紋のうち最下方の紋の位置。この3形質はniphonicaとgoschkevitschiiの比較に於いては、ほぼ完ぺきな分類指標となり得る。逆に、表現が全く異なるように見えても、種の比較には何ら意味をもたぬ場合もある。Niphonicaとgoschkevitschiiの例をとると、全体の色や斑紋の印象に関しては2つの種の暖地産の夏型どうしと寒冷地産の春型どうしのほうが、季節や地域を異にする2種間より、はるかに差は小さい。

雄交尾器についても同様の事が言える。微細な末端形質(困ったことに案外目につき易い)に拘泥されるのではなく、その場その場の局面に応じて正確に評価を下さなければならない(ある程度の形質が、有る分類群の中ではきわめて安定していて、分類上の大きな指標となり得るのに対し、別の分類群の中では変異が多く分類指標として全く意味をなさない、といった例も少なくない)。

Neope属の場合、phallusのsuprazonal sheathの側面に出現する微小な鋸歯群の存在を、どのように評価するか、という問題がある。Bremeriやniphonicaでは、常に広い面積に多数の鋸歯群が整然と出現するものと捉え、pulaha近縁種群やagrestis、armandiiでは、「全く欠く場合も含め、ごく発達が悪い」という視点から一括して把握し、両者の間には一線を区すべきであろう。また、鋸歯群の散付位置についても、検討する必要がある。単に鋸歯群を欠くか備えるかで評価すると、大きな誤りを犯すことになる。

そのような視点から、著者の検閲し得た各種について、属内の分類を試みた(検索表を参照【*本書では省略】)。やや別系統のyama、muirheadiや、標本を被検し得なかったウラナミキマダラヒカゲN.simulansなど数種、および色彩・斑紋が明瞭に異なるシロキマダラヒカゲN.armandiiを別とした、外観のよく似た中国大陸産やその周辺地域産の各種(それらは日本産の2種とも似る)は、bremeri、pulaha complex、argestisの3自然群に分けることが出来る。アリサンキマダラヒカゲの近縁種群をpulaha complexとして表したが、“一見同じに見える別物の集合体”としてより“一見違って見える同一物の集合体”と考えたい。Pulaha、pulahoides、pulahina、ramosa(未検)、“ユンナンクロキマダラヒカゲ”、それにshirozui(小岩屋1989の挿図による)は、いずれも、亜種・地域変異・季節変異・個体変異、および何らかの意味を持つ表現型として、同一種pulahaに帰属する可能性が強いと思われる(むしろ台湾産pulaha didiaは、筆者の検した限りでは常にphallusの棘を欠き、長毛・長伸鱗の密生した性斑の発達が著しく、他と区別される)。Pulaha complex内の正確な分類は、幼生期の形態比較、さらには遺伝子レベルでの分析結果を待たねばならぬであろう。

181 オオキマダラヒカゲ Neope yama

N.bhadraと並ぶNeope属中の最大種。翅は分厚く、体つきも頑丈で、他の同属各種とはかなりイメージが異なる。雄交尾器の形状は、全体としてアリサンキマダラヒカゲNeope pulaha近縁種群やシロキマダラヒカゲN.armandiiに似るが、phallusのみきわめて特異で、前後に短く、左右に幅広く、背方へ強く屈曲して腹方に広くperi-vesical areaを生じることなど、オジロヒカゲ属Zophoessaの種と酷似する。祖先的形質をZophoessaと共有している、と見ることが出来るかもしれない。四川省峨眉山では、中腹付近の登山道上や付近の湿った崩地などで吸水し、しばしば数頭の集団を形成する。6月のはじめには新鮮な個体が多い。なお、1989年4月25日には、重慶市の四川外語学院構内でも、1個体(おそらく雌)を目撃している。なお、オオキマダラヒカゲの和名はすでにN.bhadraに冠せられているため、本種にはウスグロキマダラヒカゲの名を当てるべきであろう。D(167頁6*)
【*「中国のチョウ」掲載写真を本書に再掲、新たな撮影はない】

182 ウラキマダラヒカゲNeope yama

人里付近にも多い最もポピュラーなNeope属の種で、その分布域や棲息環境上の位置づけは、ちょうど日本のサトキマダラヒカゲN.goschkevitschiiに相当するといってよい。ただし、斑紋構成や雄交尾器の形状は、goschkevitschiiはもとより他のNeope属各種とは、かなり異なる。四川省成都(市内にも分布する)近郊の青城山山麓で盛夏に見られるNeope属の種は、ほとんどが本種で、5月(手許の記録にある初見日は5月27日:1989年、青城山山麓)から10月(記録上の終見日は9月27日:1988年、重慶市四川外語学院)まで目撃していることから、年3化(またはそれ以上)の可能性が考えられる。D(167頁7*)
【*本書では、広東省翁源県(春型・夏型)およびベトナム・ファン―パン山(春型)の3個体を新たに掲載し、「中国のチョウ」に掲載した写真(重慶市烈士墓alt.300m 17.Sep.1988)は割愛】

183 ウラナミキマダラヒカゲ● Neope simulans

中国大陸西南部に分布する大型種。四川省西南部ミニャ・コンカ(7556m)山麓の海螺溝入り付近の、切り立った川岸を縦貫する車道のカーブ地点(1989年5月3日夕刻)や、集落につづく山道周辺に発達する雑木林(ナラガシワやクヌギに似たQuercus属の種で構成)内(5月4日午前中)を飛び交う数頭の個体を目撃したが、飛翔は活発でなかなかとまらず、撮影に苦労した。本種に類似したN.christiやN.oberthueriともども雄交尾器は見していず、属中の系統的な位置づけは不明(De Less1957の挿図から判断すれば、Neope属としての一般型で特異なものではない)。青山(1991b*「私たちの自然No.353:14‐18」日本鳥類保護連盟)では、本書に掲載したものと同じ写真をN.christiとして紹介したが、N.christiとN.simulansの関係の解明については、将来の研究に委ねなければならないであろう。F(167頁2*)
【*本書でも同一写真を再掲し、加えて、雲南省梅里雪山明永入山管理事務所の室内に紛れ込んでいた一個体(死骸)を紹介した】
【**翅表はN.oberthueriと全く同じ。裏面は特異で一見異常型のような趣きを持つが、遠隔2地域産で差異が見あたらない。後翅裏面の中央部付近に特殊鱗(黄褐色)の塊がある】

184 シロキマダラヒカゲNeope armandii

中国大陸南部からヒマラヤ地方東部にかけてと、台湾の高地に分布し、筆者は四川省峨眉山中腹と、雲南省南部のベトナム国境に近い山岳地帯、金平県で記録した。峨眉山では6月はじめ、中腹の登山道上で他のヒカゲチョウ類とともに吸水中の、やや飛び古した1雄を撮影・採取。台湾産亜種lacticoloraや雲南省産に比べ著しく小型で、後翅表の白色部の発達が悪く、種armandiiとしての外観的特徴の表現は、あまり顕著でない。金平では、4月中旬、峠頂の雲霧林中に形成された天然放牧草地の林縁に沿ってダイナミックに飛翔し、しばしば撮影中の著者らにまとわりつき、衣類に静止して吸汗を行う数頭の雌雄を観察した。金平産は四川省産に比べ明らかに大型で、台湾産lacticoloraとほぼ同大、翅表の淡色斑は白色のlacticoloraと異なり粉白色を帯びた明るいオレンジ色で、後翅表を広く覆って第4脈以下の外縁に達し(lacticoloraでは白色部は完全には外縁に達しない)、後翅表の各室に大きく鮮明な眼状紋を現す。峨眉山、金平産ともに、季節および鮮度から考えおそらく春型(乾季型)で、金平産は原名亜種に属すると思われるが、峨眉山産の亜種帰属については未詳。手許の資料によると峨眉山にも原名亜種が分布する由だが、本書掲載の個体は明らかにそれとは異なり、将来の検証が待たれる。雄交尾器は全体にきわめて細長く、雲南省金平産・四川省峨眉山産・台湾産の順でその特徴が著しい。D.H(167頁3・4/29頁右下*)
【*本書でも同一写真を再掲し、新たに四川省西嶺雪山産(外観は峨眉山産に類似しやや大型)を加えた(写真が手許になく本書での紹介は出来なかったが、広西壮族自治区興堂山2007.4.30の個体の外観は、雲南省金平産に類似する)】

185 ユンナンクロキマダラヒカゲ● Neope sp.

雲南省南部の金平北方の峠上で全種シロキマダラヒカゲN.armandiiと混棲し、曇天時の午後には周辺の林の梢から、峠頂の車道(未舗装)に何頭もの個体が舞い降り、路上に静止する。前種よりひとまわり以上小型で、日本のヤマキマダラヒカゲN.niphonica春型と感じは似ている。4月中旬には、新鮮な個体が多い前種とは対照的にやや汚損した個体が多く、おそらく3月後半頃から発生しているものと思われる。翅表の地色が濃黒色を帯び、アンテナの先端が鮮明な赤色を呈すなど独自の特徴を持ち、独立種の可能性もあるが、雄交尾器には、ニセアリサンキマダラヒカゲN.pulahoidesや大陸産アリサンキマダラヒカゲN.pulahaおよびN.pulahinaとの間に有意差を全く見出せず、それらの種と同一種である可能性も考えられる*。H(166頁5)
【*後翅裏基部の3丸紋配列や翅表色調などを考えれば現時点で結論を出すことは難しい】
【**本書にも同一写真を再掲した(Neope pulahoidesの項)】
【***該当文献が手許に無く確認が出来ないが「中国のチョウ」刊行と前後して、雲南省南部の個体群に新種記載が為されていたと思う】

186 ニセアリサンキマダラヒカゲNeope pulahoides

雄の前翅表に性標を欠く(正確には翅底の明色域が広い)ことから真のアリサンキマダラヒカゲN.pulahaと区別されるが、雄交尾器の形状は、アリサンキマダラヒカゲやユンナンクロキマダラヒカゲN.sp.、N.pulahoidesおよびN.shirozuiなどとの間に有意差を認め得ない*。四川省近郊ではタイワンキマダラヒカゲ(アカキマダラヒカゲ)N.bremeri bremeriと混棲し、春季には青城山山麓の渓流沿い(1990年4月8日)で、夏季には玉塁山中腹の雑木林内(1991年8月7日)と大邑原始林入口付近(車道脇のコンクリート側溝上で吸水、1991年8月9日)で、それぞれ新鮮な1雄を撮影している。タイワンキマダラヒカゲ(アカキマダラヒカゲ)と異なり季節による差は顕著でない。和名はウスイロキマダラヒカゲとするべきかも知れない。D(166頁6、167頁5)
【*筆者がチェックした限り、phallusのsuprazonal sheath背面の鋸歯群は、台湾産亜種didinaおよびN.shirozui(小岩屋1989の挿図による)では全く欠き、そのほかの“pulaha complex”の顕鏡個体では僅かながら出現する】
【**本書ではベトナムの雲南省境近くで春夏複数回に亘り撮影した集団をN.phlahoidesと同定し、和名をオオアリサンキマダラヒカゲに改め新たに紹介した。また、浙江省天目山系で撮影した(bremeriと混棲する)一部個体をN.ramosaタイリクアリサンキマダラヒカゲとし、「中国のチョウ」にN.pulahoidesとして図版を掲載した四川省成都西郊山地産の2個体(やはりbremeriと混棲)も暫定的にramosaとしたが、広義の種“pulaha”内での位置づけやbremeriとの関係を含め、今後の検証を要する。】

187 クロキマダラヒカゲ Neope argestis

雄交尾器の概形はpulaha complexやタイワンキマダラヒカゲ(アカキマダラヒカゲ)N.bremeriや日本産の2種に似るが、全体に寸詰まり気味で、ことにsaccusが短い。Tegmen背縁は丸味を帯び、uncusはごくスリム。Valvaの後半の椀状部は強く背向する傾向がある。Phallusはやや短めで、suprazonal sheath両側面には個体により背方からごく小さな鋸歯群が出現する。雄の性斑紋状暗色部は、niphonicaやbremeri同様に翅底部付近の翅脈沿いに出現する。四川省峨眉山では、他のヒカゲチョウ類各種よりも高標高地に見られ、標高2500m前後の亜高山帯夏緑樹林内に数が多い。翅型は左右に寸詰まりで全体に四角っぽく、体つきも華奢で、高山蝶のような趣がある。日本産ヤマキマダラヒカゲの房総半島亜種kiyosumiensis春型には、しばしば本種に似た翅型の個体が見出される。翅色は黒色味が強く、ことに後翅裏面の眼状紋は濃く発達が良いが、中央の白点を欠き、前・後翅の外縁は顕著な白色毛で縁取られる。D(167頁1)
【*「中国のチョウ」刊行時点では、四川省峨眉山で1個体を撮影(標本は雲南省西北部産を含め複数個体をチェック)】したのみだったが、その後雲南省をメイン・フィールドとするようになって、N.agrestisがこの一帯(中国西南部の高標高地帯)に於けるNeope属の最優占種(多くの地でoberthueriと混棲)であることを知った。峨眉山付近が分布の東限に当たると思う(西はミャンマー北部にまで分布)。
【**種としての特徴は上記各点のほか、後翅裏面基部の3丸紋の下の1つが内側に大きくずれること(ヤマキマダラヒカゲやN.agrestisと共通。】

188 タイワンキマダラヒカゲ(アカキマダラヒカゲ) Neope bremeri bremeri

アリサンキマダラヒカゲNeope pulahaやその近縁数種と対応し、北部を除く中国大陸のかなり広い範囲に分布するものと思われる。春型はもとはアリサンキマダラヒカゲの一亜種と考えられていたが、筆者が1988年3月31日に撮影したNeope sp.の正体を確かめるべく、翌春、高橋真弓氏とともに調査を行った結果、台湾に棲むタイワンキマダラヒカゲと同一種の、大陸産(原名亜種)春型であることが判明した(青山1991b[本書13~14頁に転載]、高橋1993a)。ただし、真のタイワンキマダラヒカゲ(台湾産亜種)とは雄交尾器に種を別にしても良い程の有意差があり、本書では暫定的に同一種に含めておくが、あるいは別種とされるべきかも知れない。

雄交尾器の大きさは、大陸産が日本産niphonicaとほぼ同程度なのに対し、台湾産は全体が明らかに大形。Uncusはniphonicaに似た大陸産に比べ、台湾産はより前後に長く、基部があまりくびれずに後方へ伸びる。Valvaのharpe末端は鈍頭で他の各種のような指状突起を持たないが、そのプロポーションがniphonicaとさほど変わらない大陸産に対し、台湾産では後半の椀状部がきわめて長く発達する。大陸産と台湾産の最も顕著な差異は、phallusの形状に見られる。大陸産は日本産niphonicaとほぼ同程度の大きさ。それに対し台湾産はphallus全体が著しく発達し、その全長はring高を遥かに超え、Neope属全種の中でもずば抜けて大きい。また、suprazonal sheathの両側縁に生じる鋸歯群は、大陸産ではniphonicaと同様に、細かく比較的密にかつ均等に散付されるが、台湾産では個々の鋸歯そのものが大きく、より粗く散付され、ことに後端部の数個が顕著に発達する。大陸2地域(*四川省/浙江省)間の雄交尾器各部形状には、有意差は見られない。

大陸産は、各形質の発達程度に於いては台湾産よりむしろ日本産niphonicaに近く、bremeri固有の特徴の発現度が低いのに対し、台湾産では特徴の発現が著しく進んでいる。台湾産と大陸産の雄交尾器の差異の程度は、(差が全くないに等しいpulaha complexはもとより)Neope属全体を通して見た種間差の一般的状況からすれば、別種として問題ない有意差と判断できる。大陸産、台湾産の両集団の特徴が同一方向の延長線上にあることから、両者の差異は、大陸産を祖型とし、隔離による著しい特殊化の結果生じたと考え、両集団を同一種の亜種関係に位置づけることも、必ずしも納得できないではない。しかし性斑の形状など雄交尾器以外にも差が見られることや、Neope属各種内での分類上のバランスを考えれば、とりあえず大陸産と台湾産を別の種に分けておく処置が、より賢明のように思える。本書では、暫定的に現行の処置に沿って台湾産をbremeriの一亜種(台湾から記録されている“2種”、タイワンキマダラヒカゲN.bremeri taiwanaとワタナベキマダラヒカゲN.watanabeiが同一種ならば、亜種名は先取権をもつwatanabeiとなる。ここでは高橋真弓[1993b]に従って両者を同一種とし、watanabeiとする)に置き、将来独立の種として認められる可能性をふまえて、和名をアカキマダラヒカゲ(春型後翅表下半が独特の赤味をおびることによる)と名付けておく(図版頁ではアカチャキマダラヒカゲとした。どちらを選ぶかは読者の判断にゆだねる)。

杭州では、アカオビギフチョウluehdorfia chinensisの棲む市内の雑木林に、3月中旬から4月上旬にかけて豊産し(1989年度の初見は3月14日)、棲息地にメダケ属Pleiobrastusの種ではないが、日本のメダケやネザサに相応する状態でマダケ属Phyllostachysの種が林床を覆っていて、地面近くに垂れ下がった葉の裏にとまり産卵姿勢をとる雌を撮影している(1989年3月16日、産卵前に逃げ去った)。

四川省成都市近郊の青城山山麓では、春型は4月上~中旬に数多く見られ、夏型は8月上旬頃出現するが、目にする個体は春季よりずっと少ない。春型の出現時期から考えれば、本来なら第2化が出現していてもよさそうな6月(杭州市内産は飼育下で6月に夏型が出現、高橋1991)には、1989年以降数多くの調査を重ねてきたのにも関わらず全く見出すことが出来ず、ヤマキマダラヒカゲ房総亜種と同様に、夏期に終齢幼虫や蛹で休眠している可能性も、全く考えられないわけではない。杭州市では樹木での吸汁性が著しく顕著で、吸水行動はほとんど記録していないが、青城山に於ける夏型は吸水志向が強く、吸水集団もしばしば形成される。市街地に隣接した林内にも多産する杭州市とは異なり、成都市(四川盆地の平原中に広がり、青城山などの山裾まで50㎞ほど離れている)では、市内では見ることが出来なかった。なお、北脇和光氏より、林幸二郎氏採集の海南島産2雌(1992年6月27日、かなり汚損、1989年6月3日五指山、ほぼ新鮮)の提供を受けている。このうち、1989年6月3日の個体は明らかなbremeri夏型の特徴を示している(したがってここでは年3回以上発生している可能性が強い)が、1992年6月27日の個体は斑紋構成がかなり異なっており(一見N.simulansに類似)、種の帰属には再考を要する。A.D(166頁1~4、168頁1・2)
【*著者は2000年代に入って雲南省に活動の拠点を移したこともあって、N.buremeriに出会う機会が激減した。本書で掲載した写真は「中国のチョウ」で紹介したものが大半(春型に関しては全て)】で、新たに追加紹介したのは杭州西郊の天目山系(西天目山山上と清涼峰山麓)で7月に撮影した夏型2雄のみである。杭州市区内でも7月(2002年)に夏型雄を撮影しているが、原版写真が見つからず紹介できなかった。本書でN.ramosa?として紹介した成都西郊山地産の個体の一部も、bremeriの可能性があるかも知れない。

【以下、2022年追記】

上記したように、「中国のチョウ」刊行後2000年代に入り雲南省北部に活動の拠点を移したことから、日常的に出会うNeope属のメンバーの中心は、N.argustisとN.oberthueriに置き換わった。

スミイロキマダラヒカゲ Neope oberthuri

梅里雪山や香格里拉近郊(標高2200m~3800m)でN.agrestisと混棲する。前翅表の翅脈沿いの黄色条を欠き(梅里雪山で同所的に分布するもう一つの種N.simulensと、前翅表の外観が共通する。後翅裏基部の3つの丸紋は、ほぼ直線状に並ぶ。ラオスなどインドシナ半島北部からも記録されているが、雲南省北部の集団との関係については未詳。




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週刊Weekly Magazine 【2022年1月8日号】上

2021-12-22 21:36:56 | コロナ、差別問題と民主化運動、日本と中国の蝶




中国(および東アジア)の蝶Butterflie of China(and Eastern Asia)中国(和东亚)的蝴蝶
クロキマダラヒカゲ 田园荫眼蝶 キマダラヒカゲ属 Neope荫眼蝶 【タテハチョウ科Nymphalidae蛱蝶科】
Junzo Aoyama
【Photo office萌葱】

はじめに

中国をフィールドにして35年が経つ(この3年間は新型ウイルスとかで日本に閉じ込められているが)。1998年に400頁余に及ぶ「中国のチョウ」を刊行してからも、倍以上の24年が経った。その間、何冊かの自主刊行本(ミヤマシロチョウ、ベニシジミなど)を作成したが、筆者の資金力では数冊の製本が精一杯で、その後は途絶えてしまった。

作品自体は、ほかにも数多く書き溜めてはいる。しかし書籍化することは困難である。ということで、このままでは写真や資料を死蔵したままになってしまう可能性が高い。そこで、これまでに書き溜めて来た「未完成作品」をクオリティには目をつぶって(廉価な印刷製本で)世に問うことにした。

一部は自主刊行本として発表済みの作品のリニューアルであり、また「中国のチョウ」(東海大学出版会1998)の記事の再掲も行った。構成上も内容的にも中途半端なスタイルであり、多くの内容が重複しているが、敢えてそのままの形で組むことにした。本来なら、到底商品として成り立つものではないと思うが、筆者は今後も改めて「中国と日本の蝶」の探索に挑戦したいという想いがあり、それを実現するためのカンパだと解釈して頂ければ幸いである(写真のクオリティに関しては付録にオリジナル原稿を収納したCDを添えることでカバーが出来ると思う)。

蝶の研究者や愛好家やコレクターの知識量は凄まじいものがある。著者などは、文字通り足元にも及ばない、と自覚している。ただ、著者は30年間以上に亘って、自分の脚で各地を歩き、自分の眼で生きた蝶たちの姿に接し、自分の頭でその実態再現を構築してきた、という自負もある。上記した人々(研究者や愛好家)とは別の次元からの、対象の把握が為されていると思っている。

体系的にではなく俯瞰的に、細部の徹底追及ではなくランダムな拾い読みで、斜め横辺りの視点から、様々な問題提起を行っていこうと思っている。それはそれで、意味のある事であろう。

とは言っても、なにしろ、ここ数年はフィールドからも遠ざかっているし、「中国のチョウ」上梓以降は、ゲニタリアの検鏡も出来ないでいる。古い知識に頼った、ほとんど感覚的ともいえる分析ばかりである。著者の指摘が、お門違いだったり、幼稚に過ぎるという批判を受けるだろうことは、承知している。

本を購入して頂いた、すなわちお金をとっていながらこのようなお願いをすることは厚かましいこと限りないのだが、 著者の呈した様々な疑問(問題提起)などについて、忌憚の無いご意見を頂ければ有難い。

著者の呈した問題提起を、読者の皆さんと一緒に考えていくことが出来ればと望んでいる。一応「マガジン」という性格を利用して、意見をくだされば、次号以降に誌上で議論を展開していくことも出来ると思う。
どうか、よろしく。

*作品によっては「青山潤三遺稿集」となっています。その時点における将来(正式作品発表時)を考慮しての準備処置であることを御理解ください。また、著者として、若い友人の李芳Li Fang(Monica Lee)/Lewis Crannitchの名が加えられている場合がありますが、撮影・執筆はほぼ全て青山によるものです(翻訳の一部を両名が担当)。両名のクレジットが為されているものについては将来を考え、それを付したままにしておきます。

*オリジナル原稿と原版写真を収納したCDを添付しました。原版写真の個人的利用は自由に行ってください。商業的に使われる場合は、その旨を著者へ報告いただき、収益の一部(各自のご判断に任せます)を納入ください。

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週刊:中国(および東アジア)の蝶 【2022.1.8】 『クロキマダラヒカゲNeope agrestis(キマダラヒカゲ属 Neope)』は、主に次の原典を元に構成しています。This book is based on the following original text. 本书根据以下原文改编。
●作成途上の単行本「中国の蝶」のNeope属の項の抜粋 2020.7.4脱稿(CD版「青山潤三作品集」収納)訳文追加
●「日本固有種ヤマキマダラヒカゲ・サトキマダラヒカゲの大陸産対応種について」
(ブログ青山潤三の世界あや子版2013.5.24)の再録(写真を除く記事全文、*は本書での注と改変)
●「中国のチョウ(東海大学出版会)1998」の再録(写真を除く記事全文)

ジャノメチョウ族Satyrini/ヒカゲチョウ亜族Lethina/キマダラヒカゲ属Neope荫眼蝶属
筆者が撮影したことのある中国大陸産(および日本産2種)
Neope yama 丝链荫眼蝶 オオキマダラヒカゲ
Neope muirheadii 蒙链荫眼蝶 ウラキマダラヒカゲ
Neope simulans 拟网荫眼蝶 ウラナミキマダラヒカゲ
Neope armandii 阿芒荫眼蝶 シロキマダラヒカゲ
Neope ramosa 大斑荫眼蝶(暫定分類) タイリクアリサンキマダラヒカゲ(台湾産を含むpulahaとの関係は未詳)
Neope pulahoides 黑斑荫眼蝶(暫定分類) オオアリサンキマダラヒカゲ(台湾産を含むpulahaとの関係は未詳)
Neope oberthueri 奥荫眼蝶 スミイロキマダラヒカゲ
Neope goschkevitchii 日本荫眼蝶 サトキマダラヒカゲ(日本列島固有種)
Neope agrestis 田园荫眼蝶 クロキマダラヒカゲ
Neope niphonica 山荫眼蝶 ヤマキマダラヒカゲ(日本列島固有種)
Neope buremeri 布莱荫眼蝶 アカキマダラヒカゲ(台湾産タイワンキマダラヒカゲの原名亜種)

Miller(1968)などによる古くからの分類でも、DNA解析に基づいた新しい分類体系でも、キマダラヒカゲ属は常にヒカゲチョウ族(あるいはジャノメチョウ族ヒカゲチョウ亜族)の一員として扱われてきた。筆者もこの処遇を概ね支持するが、「必ず翅を閉じて止まる」という、他のヒカゲチョウ亜族の各種と異なる独自の性質を持つことは、非常に気になる点である。ただし、キマダラヒカゲ属のうち、Neope yama において♂ゲニタリアの構造がヒカゲチョウ属の一グループ(独立属と見做した場合のZophoessa属)との共通点を有している事は、本種がNeope属とLethe属(Zophoessa属)との橋渡し的存在であることを示しているように思われ、生態上の特徴は二次的な現象なのかも知れない。
Neope agrestisとNeope oberthueriiは、Neope属全体として見た場合、ごく狭い地域にのみ分布する希少種だが、梅里雪山周辺では最もポピュラーな蝶の一つである。15年間に亘りこの地で調査・撮影を続けた著者にとっては、最も身近な対象であるため、本書ではこの2種を中心に紹介していく。  

Neope属は、日本でもよく似た2種(ヤマキマダラヒカゲとサトキマダラヒカゲ)がセットになって、大局的に見れば(原則サトキマダラヒカゲのみ分布する低標高地・温暖地を除く)分布圏のほぼ全域で混在している。同様に大陸部に於いても、属の分布域全体(「東アジア」地域、ただし朝鮮半島周辺を除き、ヒマラヤ地方を含む)で2つの種*がセットで分布しているように思える。それらの“2種”が日本産2種との間に、どのような系統的反映を示すかという判断はさておき、それぞれの地における近縁2種(あるいは任意の分類群)の関係性は、日本産2種間の関係性と同一方向を示している、という実態は確かなようである。

ごく大雑把に捉えれば、agrestis-niphonica‐bremeri(台湾産watanabeiを含む)と、oberthueri‐goschkevitchii
‐pulaha(complex)の流れを読み取れる。系統的な直接の繋がりの是非(ことに後者の組み合わせでは積極的な支持要素が見つからない)はともかく、雄交尾器、斑紋様式、雄の性標の状態、等々の比較の上では、ある程度の纏まりを持つようにも思えるし、かつ非常に複雑で混沌としている部分もある。DNAの解析も含め、今後の検証を待たねばならない。

*ほかに、やや異なる系統のシロキマダラヒカゲ近縁種群やウラキマダラヒカゲ(この両種は台湾にも分布)、ウラナミキマダラヒカゲ、オオキマダラヒカゲなども幾つかの地域で同所分布することを確認している。Neope 属としては他にも幾つかの種(全て中国西南部‐インドシナ半島北部‐ヒマラヤ地方)が記載されているが、筆者は未確認のため、詳細については言及し得ない。明らかな独立種(ただしarmandiとの関係については検討余地が残る)であろうbhadraなど数種を除いては、本書でとり上げた各種に収斂されるものと思われる(その場合の模式分類群の特定については未詳)。

**和名は、原則として「中国のチョウ」で取り上げた名を使用した。外観の印象に照らし合わせて、必ずしも適切で無いものも含まれると思うが、そのままにしておく。

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Neope agrestis 田园荫眼蝶 クロキマダラヒカゲ 《bremeri種群》
写真(省略)上:雲南省梅里雪山明永2017.6.15alt.2500m/下左:同2009.6.12 alt.3600m/下右:維西~巨旬2010.5.18 alt.2500m
>四川省の大渡河以西から雲南省西北部を経てミャンマー北部に至る標高2000m以上の高地帯に分布し、次種と混棲。長江中~下流域低地帯に分布するNeope bremeri(=台湾産タイワンキマダラヒカゲ原名亜種)の代置的存在で、同様に後翅裏面基部近くの三丸紋の下側の一つが顕著にずれるが、亜外縁沿いの眼状紋は余り離れずに並ぶ。眼状紋中心の白点を欠く。 おそらく年1化。4月から7月まで新鮮個体が見られる。
>Coexists with next species Neope oberthueri in the mountainous areas of southwestern China. A substitute species of Neope bremeri (distributed in the lowlands of middle to lower reaches of 長江), similar to bremeri, one of lower sides of 3 crest near base of back side of thind wing is significantly displaced. However, top 3 of the eye-spots along outer edge are not apart. Lacks white spot in the center of eyespot. One brood from April to July.
>在中国西南山区与下一个物种共存。它是分布在长江中下游低地的布莱荫眼蝶(=台湾荫眼蝶原名亚种)的替代种。但, 沿外边缘的成排眼点, 上三个也排成一排。它缺少眼点中心的白点。年发生一次(4‐7月)。

Neope oberthueri 奥荫眼蝶 スミイロキマダラヒカゲ 《pulaha種群》
写真(省略)上:雲南省梅里雪山明永2017.6.15 alt.2300m/下左:同/下右:梅里雪山西当~雨崩2009.6.11 alt.3300m
>中国西南部山岳地帯(雲南省西北部~ミャンマー北部)に分布しNeope agrestisと混棲する。色彩・斑紋の個体差が著しいが、後翅裏面基部の3丸紋が離れずに並び、前表翅脈沿いが暗色(同所分布するsimulansと区別不可)であること等は共通。後翅裏面外縁沿いの上から2つ目の眼状紋は前種同様余り内側に寄らない。翅裏は薄紫色を帯びることが多い。4月~7月に出現するが、おそらく年1化。
>Distributed in mountain areas of southwestern China and coexists with Neope agrestis. Significant individual differences in color and mottled pattern. 3 round patterns at base of back face of hind wings are lined up straight. vein of upper face are dark (indistinguishable from simulans). 2nd eye-spot from top along outer edge of back face of hind wing don't move inward same as agrestis. Back face is often light purple. One brood April to July.
>分布于中国西南部山区,与奥荫眼蝶共存。 颜色和斑纹个体差异显着,但共同点是后翅背面基部的3个圆形花纹排列成直线,前翅脉较暗(与拟象无区别)。沿后翅背面外缘自上而下的第2个眼点不向内移动,与奥荫眼蝶相同。 翅膀背面常呈淡紫色。年发生一次(4‐7月)。

Neope bremeri 布莱荫眼蝶 アカキマダラヒカゲ(タイワンキマダラヒカゲ原名亜種) 
写真(省略)浙江省杭州市alt.10m 1989.3.31(春型♂)/四川青城山alt.900m 1989.8.4(夏型♂)/浙江省清涼峰alt.400m 2018.8.14(夏型♂)/浙江省杭州市alt.10m 1989.3.31(春型♀)
>長江中~下流域に広く分布し、河口近くの杭州では都心にも棲息。成都西郊の低山地にも分布しているが、それ以西の西南部高地帯ではNeope agrestisに置き換わる。後翅裏面基部の丸紋、亜外縁沿いの眼状紋ともに2つ目と3つ目が顕著にずれる(agrestisとは前者で共通し後者で相違する)。雄翅表に特殊鱗密集域がある(上下には分離しない)。年二化。春型(次頁上右も)と夏型(次頁左下も)で外観差が著しい。
>Widely distributed in middle to lower reaches of 長江, also inhabits city center in 杭州 near mouth of 長江. Also distributed in low mountains west of 成都, but it replaces to Neope agrestis in high-altitude mountain area on west. Both, rows of round crests at the base of back of hind wings and rows of eye-spots along sub-outer edge are second and third are significantly off (former is same to agrestis and latter is different). Male wing surface have special scaled area (not separated above and below). Significant difference in appearance between the spring type (also on the upper right of the next page) and the summer type (also on the lower left of the next page).
> 广泛分布于长江中下游(包括近长江口杭州市中心)、在成都西郊的低山也有分布,但它取代它西部高地的 Neope agrestis。后翅背面基部圆冠,沿外缘的一排眼点,两个都,第二个和第三个显着交替(与agrestis比较,前者同,后者不同)。牡机翼表面覆盖着特殊的鳞片区域(上下不分开)。春季型和夏季型在外观上存在显着差异。

Neope ramosa大斑荫眼蝶₋pulahoides黑斑荫眼蝶₋pulaha complex   
写真(省略)四川省西嶺雪山alt.1100m 1991.4.9/四川省青城山alt.900m 1990.4.8、同・1989.4.5(参考Neope bremeri春型)/中段と下段左(参考Neope bremeri夏型)と中央:浙江省西天目山alt.1300m 2018.7.8、下段右:四川省西嶺雪山alt.1500m 2009.8.5
>四川省大渡江以西のNeope agrestisとNeope oberturi、長江下流域のNeope bremeriは種名を特定したが、その他の同定についてはギブアップ。参考としてbremeri春型(上右)と夏型(下左)も紹介しておく。上中央は性標欠如、右(bremeri)は有り、他は未確認。西天目山の個体はbremeriを含め全て同一地点・日時の撮影。
>Identify species names for N.agrestis and N.oberturi west of 四川大渡河, and N.bremeri lower reaches of長江, but give up for other identifications. For reference, also introduce bremeri Spring form (upper right) and Summer form (lower left). Upper center lacks special scaled area, right (=bremeri) present, others are unconfirmed. All individuals of 西天目山(including bremeri) photographed at same location and at same date and time.
>对四川大渡河以西的Neope agrestis、Neope oberturi、长江下游的Neope bremeri 进行种名鉴定、放弃其他鉴定。作为参考,还介绍了 bremeri夏季型(右上)和夏季型(左下)。上中特殊的鳞片无,右(=bremeri)有,其他未确认。 西天目山(包括bremeri)都是在同一地点同一日时拍摄。

Neope pulahoides 黑斑荫眼蝶 オオアリサンキマダラヒカゲ (附:ユンナンクロキマダラヒカゲ)
写真(省略)越南(ベトナムVietnam)沙巴(Sa-pa)2009.3.13 /越南沙巴alt.1500m 2009.3.10/越南沙巴alt.1400m 2011.7.25/ 雲南省金平alt.2000m 1995.4.8(ユンナンクロキマダラヒカゲ)
>春夏とも大型で、翅型が鋭角なことなどNeope armandiに類似(目を窄めて見ると後翅裏基方寄りのarmandiの白帯と同じ位置にぼんやりと白帯が走るようにも思える)。ここでは暫定的にNeope pulahoidesとしておく。下右は雲南省最南部のベトナム国境山地で4月上旬に撮影(やや汚損した個体が多く、同時期同所に見られるarmandiは新鮮)。Neope agrestisやNeope bremeriに対応すると思われるが、翅表地色が著しく黒く(それについてはNeope obertureiとの関連も考えねばならない)、♂交尾器はNeope pulahaなどにも似る。
>As a whole, similar to Neope armandi in that both spring and summer form are large and acute-angled wing. When squeeze eyes, it seems that the white belt runs vaguely at the same position as the white belt of armandi near the back of the hind wings. Here, it is tentatively indentify to as Neope pulahoides. Bottom right, photographing in early April in the Vietnam border mountainous area in the southernmost part of Yunnan (many individuals are slightly soiled, and armandii are fresh, that I checked at same time same place). It seems to correspond to Neope agrestis and Neope bremeri, but wing surface color is remarkably black (also need consider relationship with Neope oberturei) and ♂ genitalia is similar to Neope pulaha.
>作为一个整体与 Neope armandi 相似、春夏两季都很大、有一个锐角的翅膀形状(挤眼一看,白带似乎在后翅后部附近的armandii白带的同一位置依稀可见)。我暂时称 Neope pulahoides。右下图是4月初在云南省最南端的越南边境山区拍摄的(很多都是轻微的脏,同时在那里看到的Neope armandi是新鲜的)。它似乎对应于 Neope agrestis 和 Neope bremeri,但翼面颜色显着黑色(也必须考虑与 Neope oberturei 的关系),♂生殖器与Neope pulaha 相似。

Neope armandii 阿芒荫眼蝶 シロキマダラヒカゲ
写真(省略)四川省西嶺雪山alt.2000m 2011.7.11/雲南省金平alt.2000m 1995 .4.11/四川省峨眉山alt.1700m 1990.6.1/雲南省金平alt.2000m 1995 .4.11
>後翅表が白~オレンジ色を帯び、後翅裏基方寄りに明確な白帯が斜めに走る(この特徴がさらに強調されたのがNeope bhadraだが、系統的関連については未詳)。四川省産は後翅表が白色、雲南省金平産と広西壮族自治区興堂山産(2007.4.30図示なし)は橙褐色を帯びる(裏面にも出現)。雄交尾器はプロポーションがやや異なる以外は他の各種と共通(全体的に見てNeope agrestisが最も寸詰まりで本種が最も前後に長い)。
> Inside of hind wings white or pale orange, and outside clear white belt runs diagonally toward base to upper edge (this feature is further emphasized by Neope bhadra, but systematic relationship is unknown). Inside of hind wings color 四川 is white, 雲南and広西 (not shown this book, April 30, 2007) are orange-brown (also it appear on outside). The male genitalia is common to all other species except that the proportions are slightly different (overall, Neope agrestis is most compact and Neope armandii is longest in front to back).
>后翅正面白色和淡橙色,背面有一条清晰的白带斜向基部至上缘(Neope bhadra 进一步强调了这一特征,但系统关系未知)。后翅内侧颜色四川为白色,云南和広西(本书未显示,2007年4月30日)为橙棕色(也出现在外侧)。雄性生殖器与所有其他物种相同,只是总体比例有不同(总体而言,Neope agrestis 最紧凑,而 Neope armandii 从前到后最长)。

Neope muirheadii 蒙链荫眼蝶 ウラキマダラヒカゲ
写真(省略)広東省紹関市翁源県2015.3.29/越南沙巴2009.3.11/広東省紹関市翁源県2013.6.12
>中国南部の低地帯で最も普通に見られるNeope属の種。翅表は一様に褐色(亜外縁に眼状紋列がある)。裏面に白帯があり、春型では主に前翅に細く現れるだけ(一見bremeriなどに似た印象)だが、夏型では後翅を含みより太く明瞭に出現する。♂交尾器はuncus先端が二分する。大型種で雌雄は類似し♀はやや翅色が淡く丸みを帯びる傾向がある。生態的地位は、日本のサトキマダラヒカゲにほぼ一致する。
>Most common species of the genus Neope in lowlands of southern China. Wing surface is uniformly brown (with eye-spots line along sub-outer edge). Outside have a white belt, Spring form barely appearance thinly and only front wing (at first glance same as bremeri). Summer type it appears thicker and clearer including hind wings. Uncus of male genitalia is bisected. large species, male and female are similar(female wings slightly round) . Ecological niche is almost same as Japan's Neope goschkevitchii.
>中国南方低地最常见的尼奥佩属种。机翼表面呈均匀的棕色(亜外缘有眼点排)。背面有一条白色的带子,春季型只出现在前翼上薄薄的(乍一看,很像布雷梅里)夏季型前翼后翼都出现厚实清晰白帯。体型较大,雌雄相近,雌翅略和圆形。雄 uncus 的尖端被一分为二。生态位几乎与日本的N.goschkevitchii相同。

a type of Neope muirheadii ? 蒙链荫眼蝶的一型?
写真(省略)/広西壮族自治区興安県猫児山南麓2005.4.23/同/広西壮族自治区龍勝県猫児山北麓2009.4.22
>おそらくNeope muirheadiiの一型(北部産春型?)と思われるが、眼状紋が著しく小さくなるなど、極めて顕著で、かつ地域的に安定的な特徴を示すことから、別途に紹介しておく。湖南省との境に近い広西壮族自治区猫児山北麓と南麓の、渓流沿いの鬱閉した竹林や照葉樹林内に棲息する。
>Probably a type of Neope muirheadii (spring form in northern area in China?), but it is extremely remarkable shows regional stable characteristics (such as extremely small eye-spots), so I will introduce it separately. Lives in bamboo forest beside coppice, at north and south face of 猫児山(広西壮族自治区near border of 湖南省).
>可能是Neope muirheadii的一型(中国北方地区的春季形态?),但它非常显着,表现出区域稳定的特征(如极小的眼点),所以我将单独介绍。 生活在猫児山南北面的灌木丛旁的竹林中(広西壮族自治区湖南省边境附近)。

Neope simulans 拟网纹荫眼蝶 ウラナミキマダラヒカゲ
写真(省略)四川省ミニャコンカ海螺溝alt.1800m 1989.5.3/雲南省梅里雪山明永alt.2300m(屋内侵入個体)2017.6.15
>四川省最高峰ミニャコンカ(7556m)山麓の海螺溝氷河下方と雲南省最高峰梅里雪山(6740m)山麓の明永氷河下方で撮影した。梅里雪山では明永村の入山管理事務所の室内の床に多数のNeope agurestisに交じって死骸が散乱していた。翅表の色彩・斑紋は、同所に分布するもう一つの種Neope oberutueriと区別できない。後翅裏中室端(第4室基部)に明茶褐色の特殊鱗粉を密生する。
>Both pictures were taken at below glacier of Minya-konka (7556m), the highest peak in Sichuan, and Meili Snow Mountain (6740m), the highest peak in Yunnan. In Meili Snow Mountains, dead bodies were scattered on the floor of mountain management office, mixed with many Neope agurestis. Color and mottle on the wing surface are indistinguishable from another species, Neope oberutueri, which is distributed in same place. Light brown special scales are densely grown on edge of middle chamber behind hind wings (base of the 4th chamber).
>两张照片均拍摄于四川最高峰貢夏山(7556m)和云南最高峰梅里雪山(6740m)冰川下方。 在梅里雪山,山管处的地板上散落着尸体(混杂着许多Neope argestis)。 翅膀表面的颜色和斑驳与分布在同一地点的另一个物种 Neope oberutueri 无法区分。 后翅后中室边缘(第4室基部)密生淡褐色特殊鳞片。

Neope yama 丝链荫眼蝶 大黄斑日陰蝶
写真(省略)四川省峨眉山alt. 1700m 1990.6.1
>Neope属中の最大型種。♂交尾器のpennisの形状が、前後に短く、左右に幅広く、背方に強く屈曲して、その腹方に広くperi-vesical areaを生じることなど(一般的にはLethe属に含められる)Zophoessa属各種のそれと共通する。両者(Zophoessa属各種とNeope yama)による祖先的形質の共有と見る事が出来るかも知れない。
>The largest species in genus Neope. Pallus of male genitalia is short, wide in the left and right, and strongly bends in back side, and producing a wide peri-vesical area around abdomen,,,,etc. Its characteristics are common to those of genus Zophoessa(generally included in the genus Lethe). It may be seen as a sharing of ancestral traits by both (various species of Zophoessa and Neope yama).
>Neope 属中最大的物种。 雄性生殖器的penis苍短,左右宽,背部强烈弯曲,在腹部周围形成宽阔的peri-vesical area,等。 其特征与Zophoessa属(通常包括在Lethe属中)的特征相同。 它可以被视为两者(Zophoessa 的各物种和 Neope yama)共享祖先特征。

附:日本産ヤマキマダラヒカゲNepoe niphonica(左)とサトキマダラヒカゲNeope goschkevitchii
写真(省略)ヤマキマダラヒカゲ屋久島亜種alt.1800m 2006.7.15/ サトキマダラヒカゲ東京都青梅市alt.200m 2021.5.14(春型)/同2021.8.22(夏型)alt.200m

種群Species group A(暫定temporary:niphonica-bremeri-agrestis)の撮影地photographing
地図(省略)●Neope agrestis雲南省西北部および四川省峨眉山/●Neope bremeri四川省青城山および浙江省杭州市/●Neope watanabei台湾/●Neope niphonica日本列島

種群Species group B(暫定temporary:goschkevitschii-pulaha complex-oberthueri)の撮影地
地図(省略)●Neope oberthueri雲南省西北部/●ユンナンクロキマダラヒカゲ雲南省南部/●Neope plahoidesベトナム北部/●未同定種(ramosa?)四川省成都西郊山地/●Neope ramosa浙江省天目山/●Neope didia(Neope pulaha台湾/●Neope goschkevitchii日本列島

前頁地図に示した撮影地点(丸ドット)や地図の範囲外におけるNeope属全体の分布は、北は北海道(南千島とサハリンの一部を含む)西はヒマラヤ地方、南は海南島やインドシナ半島北部に及ぶ。朝鮮半島など日本海の対岸地域、中国大陸の北部には分布しない。いわゆる「東亜半月孤」分布様式だが、屋久島を除く南西諸島には分布を欠く。Distribution of entire genus Neope, except for photographing points (circle dots) and outside range of previous map Hokkaido (including part of South Chishima and Saharin) in north,Himalayan region in west, and Hainan Island and northern part of Indochina in south. It is not distributed Korean and northern part of mainland China. also lacks distribution in South-west Islands except Yakushima. 除了拍摄点(圆点)和之前地图的范围之外 Neope 的分布,北是北海道(包括南千岛和沙哈林的一部分),西接喜马拉雅地区,南接海南岛和印度支那北部。不分布于朝鲜半岛等日本海对岸及中国大陆北部。 除屋久岛西南诸岛也缺乏分布。

やや特殊な数種を除く大陸産各種を、種群Aと種群Bに分けた。分類指標としてとりあえず重視したのは、雄交尾器の形状と下記の「特徴形質1」。ユンナンクロキマダラヒカゲは暫定的にBに含めたが、①の特徴に関してはAと相同。これらの組み合わせが必ずしも系統関係を反映しているわけではないが、Neope属の分布圏のほぼ全域で日本産2種同様に類似2種が混生していることは確かなようである。Except few species, divided into species group A and species group B. Focused male genitalia and "trait 1". 金平1995.4.8 included in B, but characteristics of ① homologous to A. Although these combinations do not necessarily reflect phylogenetic relation, it seems certain that 2 similar species coexist in entire distribution area of Neope. 除特殊物種,分为A群(包括日本的niphonica)和B群(包括日本的goschkevitschii)。专注于雄性生殖器和“特征 1”。金平1995.4.8是暂B,但①的特征与A同。些组合并不一定反映系统发育关系,但在Neope属的乎整个分布区域中两个相似的物种共存。

特徴形質①:種群A(左)と種群B(右)① Trait①:Species group A (left) and species group B (right)
写真(省略)後翅裏基部近くの3つの丸紋の並び方。左N.agrestis(buremeri種群の各種を通して共通)。最下方の紋が外側に大きく外れる。右N.oberthueri(pulaha種群の各種を通し傾向的に共通)=最下方一紋は特に目立って外側に外れない。3 round crests near the base of the back of the hind wings. Left N.agrestis (same as all bremeri species group) = bottom one is largely off to the outside. Right N.oberthueri (same as pulaha complex) = bottom one is not largely off to outside. 基部3圆。左: 田园荫眼蝶(bremeri 物种组全相同)= 底部的一个在外面。右:奥荫眼蝶(pulaha 复合种全相同)= 底部的一个不是在外面。

特徴形質②:左は「種群」に関わらず中国西南部高地帯の2種に共通。Trait②:Left is common to 2 species in Southwest China highlands regardless of any species group. 左是西南高地的两个物种所共有的,不分物种群。
写真(省略)(参考)後翅裏の亜外縁の眼状紋配列に関しては雲南省西北部に混棲する2種が共通し、上から2個目と3個目は緩やかに連なる:左N.agrestis(N.oberthueriも同様)。他の多くのNeope属の種では、上から3個目は2個目と顕著に外れる:右N.bremeri(agrestisとoberthueriを除く主要各種も同様)。(Reference) Arrangement of 3 eye-spots of near base of hind wing. Left: Neope agrestis. 2nd and third from top are loosely connected (same as Neope oberthueri that coexist in the northwestern part of Yunnan). Right: Neope bremeri (almost species of Neope except agrestis and oberthueri). Third one is outside.
(参考) 后翅近基部3个眼点的排列。左:agrestis、第二个和第三个是松散连接的(与云南西北部并存的oberthueri 相同)。右:bremeri(除agrestis 和oberthueri 之外全Neope)、第三个在外面。

梅里雪山に於けるNeope agrestisとNeope oberthuer
写真(省略)上左と中:Neope agrestis/上右端と下4頭:Neope oberthueri 雲南省梅里雪山明永(2300m)2009.6.11/左:Neope oberthueri右:Neope agrestis 雲南省梅里雪山明永(2300m)2009.6.11

写真(省略)この部分の紋の並び方に注目してください(説明は前頁にあります)。Please attention to arrangement of crests in this part (explanation is previous page). 请注意这部分的波峰排列(说明见前页)。

梅里雪山周辺のキマダラヒカゲ類:Ⅰ Neope agrestis 田园荫眼蝶
写真(省略24枚)
四川省峨眉山alt.2400m 1990.6. 1
雲南省白水台alt.2400m 2009.6.3
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2013.5.8
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2013.5.8
雲南省香格里拉~白水台alt.3200m 2005.6.19
雲南省香格里拉~白水台alt.3200m 2005.6.19
雲南省虎跳峡-香格里拉alt.2900m 2009.6.1
雲南梅里雪山明永alt.2300m 2009.6.5
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2009.6.5
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2012.6.29
雲南梅里雪山明永alt.2300m 2012.6.29
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2009.6.5
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2009.6.6
雲南梅里雪山明永alt.2300m 2012.6.29
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.15
(左と同一個体same as the left)*
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.14
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.14
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.15
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.15
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.15
雲南省梅里雪山西当‐雨崩(峠頂)alt.3900m 2009.6.11
雲南省維西東南方alt.2500m 2010.5.18
雲南省維西東南方alt.2500m 2010.5.18
*向きを統一するため反転した画像を含む/Includes flipped images to unify orientation/包括反转图像以统一方向

梅里雪山周辺ののキマダラヒカゲ類:Ⅱ Neope oberthueri 奥荫眼蝶
写真(省略16枚)
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2013.5.8        
(左と同一個体same one as the left)*
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2013.5.10      
(左と同一個体same one as the left)*
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2013.5.7
雲南省虎跳峡-香格里拉alt.2900m 2009.6.1
雲南省虎跳峡-香格里拉alt.2900m 2009.6.1      
雲南省虎跳峡-香格里拉alt.2900m 2009.6.1
雲南省梅里雪山西当‐雨崩alt.3500m 2009.6.11     
雲南省梅里雪山西当‐雨崩alt.3300m 2009.6.11*
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.15
(左と同一個体same one as the left)*
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2017.6.14
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2012.6.29
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2012.6.30
雲南省梅里雪山明永alt.2300m 2012.7.1
*向きを統一するため反転した画像を含む/Includes flipped images to unify orientation/包括反转图像以统一方向。

キマダラヒカゲ類三種の原記載図など Neope agrestis
写真(省略)
Satyrus Agrestis Oberthür= Neope agrestis (Oberthür, 1876)(a: upperside, b: underside)
Leech 1892-1893 Neope agrestis albicans
写真(省略)
梅里雪山明永(管理事務所内にて)2017.6.15
写真(省略)
Neope agrestis(左:雄2013.5.9梅里雪山/中:雌2009.6.1香格里拉‐虎飛峡/右:雄2012.6.29梅里雪山)
写真(省略3枚)

写真(省略8枚)
各地のNeope argestis-bremeri種群:1~6 Neope argestis/7&8 Neope bremeri 1雲南省梅里雪山雨崩 標高約3900m地点 2009.6.11/2雲南省梅里雪山明永 標高約2300m地点2017.6.15/3雲南省維西 標高約2500m地点/4雲南省香格里拉~虎跳峡 標高約2900m地点/5雲南省香格里拉~白水台 標高約3500m地点/6四川省峨眉山 標高約2400m地点/7四川省青城山 標高約900m地点/8浙江省杭州市街地(湖畔)標高約10m地点(female)

キマダラヒカゲ類三種の原記載図など Neope oberthueri & Neope similens
写真(省略)
Neope obertueri Leech 1891
Neope simulans Leech 1891
写真(省略)
Neope obertueri 雲南省梅里雪山 2009.6.11
Neope simulans 雲南省梅里雪山 2017.6.15
Neope obertueri雲南省香格里拉‐虎跳峡 2009.6.1
Neope obertueri(female?)雲南省梅里雪山 2013.5.10
Neope obertueri梅里雪山 2013.5.7
Neope obertueri梅里雪山 2013.5.10
Neope simulans梅里雪山 2017.6.15

翅表に関しては、oberthueri(変異の幅は広い)とsimulansの間に有意差は無いように思われる。Front wing no significant difference between oberthueri (have many variation) and simulans .翼桌 oberthueri(有很多变化)和 simulans 之间没有差异。
注1:開翅表示は全てサンプリング個体。All open wing displays are sampled individuals. 所有开放式机翼展示均为采样个体。
注2:上に紹介した大半の個体は雌雄の判別を行っていない。おそらく大多数は雄。確実に雌と分かる個体のみ、それを記した。
Most of individuals introduced above don’t distinguish between male and female. Probably majority are male. Only individuals that is surely identified as females are shown so. 上面介绍的大多数不分雌雄。可能大多数是雄性。确定为雌性的个体才会显示。

写真(省略)
2017.6.15。梅里雪山明永氷河下の入山管理署室内の床や窓際には、多くのキマダラヒカゲ類の死骸が散乱していた。agrestis, oberchueriの他、simulansも混じっていた。新鮮個体が多く、なぜ屋外に逃げ出さなかったのか不思議である。上:窓際にとまるoberthueri。下:床に転がっていたagrestisとsimulans(右から2頭目)。/Many dead Neope (including simulans) were scattered on floor and near windows of mountain climbing control office. Many are fresh, why they didn't escape outdoors? Above: oberthueri perching by window. Bottom: agrestis and simulans (2nd from right) lying on the floor./许多荫眼蝶的尸体散落在梅里雪山入山行政办公室的地板和窗户附近。很多都是新鲜的,为什么不逃到户外呢?上图:奥荫眼蝶栖息在窗边.。下图:田园荫眼蝶和(右二)拟网纹荫眼蝶躺在地板上。
写真(省略)
左left:Neope oberthurei(2009.6.2)/中center:Neope simulans/右right:Neope agrestis
写真(省略)
左left:Neope simulens拟网纹荫眼蝶/右right:Neope agrestis田园荫眼蝶和
写真(省略)
左left:simulans/中と右center and right:agrestis【↓左left:oberthueri/右right:agrestis】
写真(省略)
22017.6.15。全て梅里雪山管理事務所(上左を除く)。一部は別頁にも重複掲載。All photos(except top left)of this page are same data, and some photos are also introduced on another page.全是梅里雪山管理办公室(不含左上)。 有些在另一页上重复。

Neope agrestis/Neope oberthueri
写真(省略)
Neope agrestis 2012.7.9
Neope oberthueri 2013.5.10

氷河末端から数km下った流れの横にあるこの水溜まりに、100種近い蝶が水を吸いに訪れる(水面が黄緑色の藻で覆われ、多くの蝶が藻に捕まって溺れる)。指を差し出すと、様々な蝶が指にとまって吸汁する。ただしキマダラヒカゲ属2種は、この水溜まりよりも、周辺の路上で吸水していることのほうが多い。/Nearly 100 species butterflies come here to suck water in this puddle next to stream down 明永glacier terminus (surface of water is covered with yellow-green algae, many butterflies are drowned in here). Various butterflies are perch my finger and suck moisture. 2 species Neope also can see on the roads around puddle. /近100种蝴蝶来这里在明永冰川终点旁的水坑里吸水(水面长满黄绿藻,很多蝴蝶都淹死在这里)。各种各样的蝴蝶栖息在我的手指上吸湿。2种荫眼蝶也可以看在水坑周围的道路上。

Neope agrestis
写真(省略)
with Delias subnubila 雲南梅里雪山Alt.2300m 2012.7.9
写真(省略)
with Pieris dubernardi)2012.7.9 下右:雲南省維西東南方alt.2500m

Neope agrestis
写真(省略)
雲南省梅里雪山西当-雨崩(峠頂)alt.3900m 2009.6.11 
これまで撮影した中での最高標高地。Neope as highest altitude taken picture.最高海拔拍摄的荫眼蝶的照片。
写真(省略)
雲南省維西東南方alt.2500m 2010.5.18

Neope agrestis
写真(省略)
雲南省維西東南方alt.2500m 2010.5.18

写真(省略)
雲南省梅里雪山雨崩alt.3500m付近、2009.6.11

Neope bremeri
写真(省略)
【上写真】四川省都江堰市青城山1989.4.16 。同じ場所には、雄前翅表の性標を欠き、後翅裏面3丸紋の3個目が特に大きく外れないpulaha系の種(ramosaまたはpulahoides?)も棲息。In the same place, live also pulaha-type species(ramosa or pulahoides?) that lacks sex patch on front wing surface, and 3 round crests near base of hind wing does not come off significantly. 在同一个地方,还生活着前翅表面没有性斑的pulaha型种(ramosa或者pulahoides?),后翅基部附近的3个圆嵴连接顺畅。
【下写真】浙江省杭州市内(西湖畔)1989.3.31





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日記 2021.12.22

2021-12-22 12:38:14 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★12月19,20日の記事に、応援、ありがとうございます。



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・・

この一週間、「週刊中国の蝶」の第2回目、1月8日号に取り組んでいて、それはもう大変な作業になってしまって、身も心もパンク寸前です( ´艸`)。

ブログの記事(今起こっている様々なニュースについての意見や感想)も溜まってしまって、収拾がつかない。それで、とりあえずそれは一時保留し、さっきチェックした最新ニュースについてのコメント(400字ピッタリ)を入れて置くことにしました。

ヨーロッパの有名音楽家が、「コロナ」で逝去した。感染したのは「今回の新型コロナ発生の前年」「ワクチン接種済み」。

僕のコメントの内容は、2年前から言い続けていることと、全く同じ意見の繰り返しです。非常に単純なことなんですが、単純すぎて、頭の良い人たちには分からないんでしょうね。

milk******

僕は、中国の奥地で野生生物の撮影を35年間続けている73歳の男性です。これまで(主に10年前後前)ここに記されているのと同様の症状で、中国の病院で3度診察を受けています。医師曰く「新型のウイルスに感染しているようだ」「未知のウイルスなので対処法は不明」「十分な休息・睡眠をとり、栄養をつけて下さい」。それで何とか切り抜けてきました。

これまでにも、人類は様々なウイルスに感染し続けているのです。人が死亡するときは、何らかの形でウイルスが関与しています。ウイルスも地球の一員です。どんな形であれ、共存していくことを考えねばなりません。

マスクで逃げ、ワクチンで退治し、中国が悪いと叫び、、、、それはちょっと違うのではないか?と思います。科学の力であらゆるリスクを避ける。人類は、科学や文明を過信しすぎです。別の方向から俯瞰しながら、未来の地球・人類の進む道を探って行かねばならないと思います。





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2021.12.19 日記

2021-12-20 09:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記




読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

重大事件が起こると、

◎(犯人に対し)このような人間を存在させている社会が間違い。
◎このような人間を作り出した社会が問題。

という、2つの対極の意見が出されますね。

この2つは、次元が全く異なり、それと同時に根源では同じところに繋がるのです。

(僕や読者の方々を含め)「無敵の人」の予備軍は、驚くほど沢山いるのだと思います。それらの人々が、大きな事件を
起さずに、平穏に世の中が動いて行く、と言う事自体が、考えてみれば、奇跡に近いんですよね。何故か(僕や読者の方々を含めた)99%の人たちは、大きな事件を起こさないでいる。ほとんど偶然みたいなもんです。

言い換えれば、そのような「悪のエキス」を内包した人々が存在していること自体は、決して間違いではないと思います。その人たちを徹底して排除して行けば、地球から人類は消えていくかも知れない。

僕は、やっぱり、「正義」の存在が、一番怖いと思います(それが諸悪の根源です)。




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続々・民主主義の正義について、等々

2021-12-19 21:44:42 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★12月18日の記事に、いいね!その他、ありがとうございました。

読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

民間人は荷物と同じ…前澤友作氏の宇宙旅行を文科省やJAXAがよろこばない残念な理由 (msn.com)

31年前の、秋山さんと毛利さん、覚えていますよ。非常に“気まずい”空気でしたよね。日本政府(およびアカデミック界)が“面子”をつぶされた。そういう事です。今も昔も同じです。

権力(科学、医学、そのほかを含む、、、そしてそれは、大衆の要求を基に成り立っている)は、どんなに小さな“できもの”でも、徹底して排除しようとする(ときには無視という形で)。

・・・・・・・・・・・・・・・

ミャンマーの軍事政権についての記事(アフガンについても同じ)。

↓僕が入れたコメントです。

今日は、冬の青空が広がり、陽の光が降り注ぐ快晴でした。僕にとっては、心もウキウキとなる、素適な天気でした。

でも、(例えばモグラのような)闇に棲む生命にとっては、最悪の条件だったのですね、、、、。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

実体とは何か?

リアルに存在する顔なのか?

掴むことの出来ない心なのか?

むろん、前者なんでしょうね。

でもって、結局みんな“同じ方向”(一方向とは限らない)に行ってしまうんだ、、、。

・・・・・・・・・・・・・・

ポジティブな話題も載せておきましょう。

イチロー氏、足つるも17K完封 女子高校選抜と“ガチ対決”で最速135キロ、打撃は3タコ(Full-Count) - Yahoo!ニュース

僕は基本的にはイチロー信者のイチロー賛美にはうんざりしてるのですが、このニュースは素敵ですね。イチローは、やること(心構え)が他の人(=大衆、笑)とは違います。“3タコ”がウケます。

野茂も兵庫県を活動のベースとしているし、兵庫県民として、両レジェントを誇りに思っています。


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続・民主主義の正義について

2021-12-18 14:26:17 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★12月15日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・

「死因の欄には"刑死"とあった」16分間、吊されていた元オウム幹部の最後の姿(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

ここ数日、昼は「週刊中国の蝶1月8日号」の作成(もう大変な作業でノイローゼ気味になっています、笑)、夜は「大逆事件」の資料を読み続けています。夏目漱石と森鴎外は、それぞれどう関わった(関わらなかったことを含めての関わり)のか、、、、。等々。その間に三世とテレビ電話、昨日は、パロス島(エーゲ海)の僕が住む予定の部屋(兼・「Photo office萌葱」編集室)を見せて貰いました。



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近所の森の蝶 第三部 (下巻)「海の向うの兄妹たち」 :予告

2021-12-16 20:14:57 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


近所の森の蝶 第三部 (下巻)「海の向うの兄妹たち」 :予告

日本の蝶の本質を知るためには、“種”全体を俯瞰的に見渡さねばならない。中国大陸産を中心に、日本産と同じ種、或いはその姉妹種が、どのように分布しているのか、日本産全種の対応種について、探って行く(ここでは数組を適当にピックアップして紹介)。

■ ツマキチョウ Anthocharis scolymus  【海の向うの兄妹たち】


Anthocharis bieti 雪融戸尖襟粉蝶 雲南省香格里拉 2005.6.21


Anthocharis bieti 雪融戸尖襟粉蝶 四川省雅江 2010.6.7


ツマキチョウ属は、前翅先端が丸味を帯びるタイプが主流で、ユーラシア大陸に広く分布するクモマツマキチョウ(日本では高山蝶の一種)を始め、北半球温帯域に多数の種が分布している。その中にあって、前翅端が鉤状に尖るツマキチョウは異質のタイプ。日本を含む東アジアに分布するツマキチョウ、中国西南部の高山帯に分布するユキワリツマキチョウAnthocharis bieti、北米大陸東海岸産のアメリカツマキチョウAnthocharis midea、メキシコ高地産のAnthocharis limoneaの4種が、このタイプに属している。

■ ヒオドシチョウ Nymphalis xanthomelas  【海の向うの兄妹たち】


ヒオドシチョウとキベリタテハNymphalis antiopa は外観(色彩斑紋)が著しく異なるが、雄交尾器をはじめとする体各部の構造(翅裏に剛毛を生じることなど)が共通し、極めて近縁な関係にある。ヒオドシチョウが ユーラシア大陸の主に東半部に分布する(西半部には外観のよく似た別種が分布)のに対し、キベリタテハは全北区に分布、日本では亜高山帯の蝶だが北米大陸では低地にも分布し、中米から南米北部にまで至る。キベリタテハの色彩パターンは我々から見れば特異だが、北米大陸には同様の色パターンの種が多く(ダイアナヒョウモン、アオイチモンジ、クロキアゲハなど)その極がキベリタテハ。著者は、キベリタテハは新大陸で特化し旧大陸に再渡来した“ヒオドシチョウ”であると捉えている。メキシコ南部~グァテマラ北部にはNymphalis cyanomelasという両者の中間のようなイメージの種が分布する。広義のヒオドシチョウ属に含まれるシ-タテハの一群にも、例外的に熱帯アジア山岳地中心を中心にルリタテハが分布していることは興味深い。その暗示も合わせ、この種に対し近年使用されている「アオヒオドシ」という(ありきたりな)名称よりも、古くから使われて来た「メキシコルリタテハ」の名を採用したい。

■ ツバメシジミ Cupido argiades 【海の向うの兄妹たち】

 


Cupido huegelii薄墨藍灰蝶(Cupido argiades huegelii) 雲南省香格里拉 2013.5.5


北半球温帯域に広く分布し、幾つかの種に分けうる可能性もある。中国大陸産は通常日本産と区別されないが、雲南省西北部産に関しては、明らかに日本産とは異なる外観を示している(裏面地色がやや灰褐色を帯び季節によっては雄翅表の縁の黒色部が広いことなど)。ただし雄交尾器の形状は相同。一応日本産と同一種と見做したうえで「ウスズミツバメシジミ」の和名を仮称しておく。ヨーロッパにはツバメシジミのほか近縁2種が分布、北米大陸産は東西に棲む2種がそれぞれ独立種とされる。ユーラシア大陸には、より小型で尾状突起を欠く狭義のCupido属数種が分布し、ツバメシジミを含む従来のEveres属の種もこれに移した(雄交尾器など基本構造は共通)。外観がツバメシジミに似た暖地性のタイワンツバメシジミは、ツバメシジミとそれほど近い類縁にはない。他にクロツバメシジミ属の種なども広義のツバメシジミ類の一員である。

■ ミヤマチャバネセセリPelopidas jansonis 【海の向うの兄妹たち】


前翅先端が尖った褐色地に白斑を配する典型的“スキッパー” 「Gegenes類」は、東南アジアとアフリカ大陸を中心に多くの属と種を擁し、ヨーロッパではGegenes pumilioなど数種が、東アジアではイチモンジセセリやチャバネセセリが南方から引き続き分布している。その中でオオチャバネセセリと共に最も北に分布するのがミヤマチャバネセセリ(日本本土、朝鮮半島、中国北部、及び山東半島)。外観がチャバネセセリと顕著に相違するが、雄交尾器の基本構造は変わらず、ことにタイワンチャバネセセリ(台湾と北部を除く中国大陸に分布)とは酷似する。タイワンチャバネセセリの白紋は小さいが配置は共通し(ただし雄翅表に顕著な白い性標を持つ)、共に基部の一個の白斑が明瞭。山東半島の西延長線上の秦嶺にはミヤマチャバネセセリがいずタイワンチャバネセセリが見られるので、両種は分布圏が明確に別れた姉妹種関係にあると思われる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あとがき

2年前に緊急帰国し、そのまま中国に戻れないでいる(それで「近所の森の蝶」の探索を始めたわけだが)。その前後にパソコントラブルを繰り返し、ことに複数のHDDがクラッシュしてしまった。古くは2011ー2012年度に撮影した全原版写真。それ以外のHDDに収録されている資料を使って作業を進めてきたところ、2020年暮れになって使用中のHDDがクラッシュしてしまった。幸い、なんとか修復は叶った。しかし、修復費用が47万円。著者にとっては途方もない金額である。毎月数万円を支払い、やっと半分程度。重要な資料の大半はその中に入っているので、それが無くては仕事が出来ない。一刻も早く取り戻すべく資金調達しかない。

著者は老齢である。大きな持病はないものの、背骨を痛めていて重いものを持てない。天涯孤独で、日本には家族はもとより友人もほとんどいない。仕事を得るにあたって必要な「保証人」もいないし、クレジットカードや携帯電話も持つことが出来ない(その理由は不明、なぜか中国はじめとした国外では可能)。当分中国に戻ることが出来ないと悟った1年前の年末年始には、日本で皿洗いや便所掃除の仕事にありつこうと、求人の貼り紙があるたびに片っ端から申し込んだ。しかし、「老齢/保証人なし/携帯電話なし」“うちでは無理なのでお引き取り下さい”となってしまう。インターネットを通じての求人は更に悲惨で、電話やカードがない等、最初の時点で先に進む事さえ出来ない。ハローワークやシルバーセンターにガードマンやチラシ配りの仕事をリクエストしても、最終的には回って来ない。ちなみにクラウドファンディングにも何度か挑戦したのだけれど、一銭も入って来ない。

そうこうしているうちに、パソコンもクラッシュしてしまった。途方に暮れて、日本では数少ない知人の昔の彼女の父上(90歳近く)に助けを求めた。彼も困窮生活の只中にいるのだが、 「パソコン程度なら買ってあげよう」と申し出てくださった。そして彼曰く「青山さんは昔は日本の蝶のフィールド図鑑などを沢山出版していたではないか、一から撮影し、昔のようにメディアと交渉して、新たな本を出版しなさい」と。今更、そんなのは無理、でも、しばらくは中国には戻れないことだし、この機会にやるだけはやってみよう、と取り組んだのが、このフィールド図鑑「(アパートの)近所の森の蝶」なのである。

本書は、既存メディア(出版社など)にプレゼンレーションを行うために試作したものである。首尾よくどこかで出版を引き受けてくれたなら、印税(原稿料)を入手してHDDも取り戻せる。今の出版業界不況の時代「中国の山奥の蝶」をテーマに刊行することはほぼ100%不可能だろうけれど、「日本の都市の蝶」なら僅かながら可能性が残っているように思っている。

しかし、第3章までを整え、既存の出版社から「商業作品に足る」として認めて貰うクオリティに達することは、修復HDDに収納された写真や資料が手許に戻って来ない限り不可能に近い。その資金を捻出するべく、第一章の一応の完成段階で、「特製版」としての「近所の森の蝶/図鑑編」を作成し、資金援助を募ることにした。

どうか、ご協力を頂きたい。

2021年12月吉日
                                             
「近所の森の蝶」(上巻:フィールド図鑑編)

著者 青山潤三
発行 Photo-office 萌葱(MOEGI)
発行日 2021.12.10



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民主主義の正義について

2021-12-15 20:36:27 | コロナ、差別問題と民主主義、正義


★12月13日の記事に、応援、12月14日の記事にいいね!その他、ありがとうございました。



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・
性被害を告訴した元草津町議の女性が会見 会場の関心と#MeTooのズレに衝撃を受けた 〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース

僕は、北原みのり氏(女性だから「さん」のほうが、、、とか考えたのだけれど、まあ、それはどっちでも良いです)という作家には、以前から敬服の念を持っていて、いつも刮目して記事を読ませて頂いています。

今回の記事も、思うところが多々ありました。

もう何年か前からの話題です。

世間的には、おそらく“決着”が付いているのだろう話題。

概要。

草津(群馬県の温泉町)町長(70歳代半ば)から性被害を受けたという、女性元町議(50歳代)。

その執拗な訴えが“虚偽”である、という、、、、ほぼ間違いないであろうとされている“事実”。

他の、一般によく知れ渡っている“ミートゥ”事件とは、かなり背景が異なります。「敵」と「味方」の関係の「外側」に置かれた関係性。

僕は、元来、フェミニストの人たちの主張や、“ミートゥ”といったムーブメントの空気には、どうにも馴染めないのです(斎藤緑雨みたいな立場だと思ってください、分からない方は、緑雨のアフォリズムの文章を探して読んでくださいね)。

北原氏は、たぶん世間的には、フェミニストの代表的存在のように理解されているようですが、(漠然とした感覚で言いますが)氏の立ち処はちょっと違うと思います。

ちなみに、(全く無関係な話だけれど)この元草津町議と、ここしばらくの間話題になっていた元都議の女性、なんとなく雰囲気が似ているんですね。大衆に「全面否定」されている(ほとんどオモチャのように揶揄されている)ことも。

ついでに、敢えて言うけれど、その元東京都議の女性に対しても、元草津町議の女性に対しても、もう一回繰り返し「敢えて言う」と強調しておくけれど、日大前理事長氏に対しても、僕は味方ですよ!

彼ら彼女らが「悪人」で「社会から消えて貰いたい人」なのかどうかについては、僕は知りません。でも味方です。

僕が何を言おうかとしているかと言うと、、、、。この元町議の行っていることは、他の“ミートゥ”運動を展開している女性たちと、全く同じなんですね。でも、外野(大衆、あるいは「反大衆としての大衆の一部」)の反応が全く異なる。

「カウンター・カルチャー」の、さらに“外側”にいるのです。

分かり易く言うと(妥当な例かどうかは知らないけれど)、例えば辻本さんとか連坊さんだったら、まあ、半分以上の国民から(ヤフコメ民なら99%ぐらいから、笑)は、アゲインストの立場に置かれています。でも、主義主張が違って、彼らを支持する国民がいるのも、確かなことです。

でも、この元町議は、(主義主張に関わらず)おそらくほとんど全ての立場の人々から、排除されている。あの元東京都議氏や元日大理事長氏についても似たようなことは言えると思いますが、ただ彼らの場合は「悪人」として対されているだけ、まだ救いがあると思います。この町議は、「頭のおかしな人」「近づきたくない人」と見做されているようなのです。

これまでの報道をチェックしてきた限りに於いて、僕も確かに「町長が元町議から言い掛かりをつけられている(いわば痴漢の冤罪被害者になっているような)」流れに、ほぼ間違いがないだろうとは思うのです。

しかし、100%そうだとは言い切れない。

町長は人格者で、多くの人たちから尊敬の念をもって迎えられている。一方、元町議のほうは、元々とんでもない厄介者。それはそうかも知れんです。

でも、そのことと「事実」がどうであるかは関係ありません。というか、「事実」というのは、もっと複雑なのかも知れない。町長の主張も「一つの事実」であり、元町議の訴えも「一つの事実」なのかも知れない。

実は、今日、この記事を読む直前に、先日久しぶりに会った知人(40歳代男性)からEメールが届きました。それに対する反応をどうすれば良いか、苦慮していたところだったのです。

その知人男性をM氏としておきましょう。

片方(北原氏)を持ち上げて、片方(M氏)を貶める、というつもりは、僕自身の中では全くありません(しかし客観的にはそう見られても仕方がない)。僕は、M氏の真摯な人柄と、斬新さに満ちたクリエイティブな才能には、敬意を表しているのですよ。

言えることは、僕の“価値観”のようなものが北原氏と重なり、M氏とは相反する、という事なのだと思います。

M氏に代表される日本の健全な大衆にとっての“「中国の悪」と「元町議の行動」”は、重なる意味を持っています。

M氏からのメールの要旨を、ここに引いておきます。とてもいい文章で、出来れば全文を引用紹介したいのですが、そうもいかないでしょうし、抄出要約に留めて置きます(そのことで本来のニュアンスが失われているところがあるとすれば、申し訳なく思います)。

>中国共産党に対する青山さんの考え方がどうしても私には受け付けらない。中国共産党側につくような発言は、大自然の素晴らしさを切り取りそれを世間に伝えようとする真摯な青山さんの感性とは、真逆の態度だと感じている。

>私も自然が好きで、地球環境の保全が急務だと思っている。しかし、今の中国政府がやっていることがそれに合致しているとは到底思えない。

>新幹線埋没事件、香港弾圧、台湾侵攻思想、法輪功問題、ウイグル、チベット問題、最近のテニスプレーヤー、等々、さらに中国政府は過去に多くの自国民をも幾度となく殺したと言うのが、国際社会では常識になりつつある。それらのことについて、証拠が無いから日本政府かアメリカ政府が流したデマであり、中国は悪くないと考えていらっしゃるのだろうか?

>コロナも、証拠が無いから、武漢で発生したのではない、と言うのだろうか?

>少なくとも多くの日本人、いや世界中の人は、現在のそういう中国の考え方に辟易している。中国を賞賛しているのは中国政府にお金で心まで買われた国々の人達だけだと私は思う。

>ちなみに、私は中国共産党の政策自体は忌み嫌っているが、個人に対しての悪感情はない。北朝鮮や韓国や、もしかしたら中国共産党員の中にさえ良い人はいると思う。今の政策は間違っていると思いつつも抜け出せない人もいるだろう。

>青山さんが日本を批判し中国共産党を賞賛するのならば、なぜ今日本に居て日本国から年金と生活保護を受けているのか。中国の老人達が中国政府から生活支援を受けて豊かに暮らしているとは思えない。

>中国共産党が行っている政策、韓国政府や中国政府が日本政府に対してやっていることは、間違っていると思う。青山さんも、少し目を覚ました方がいいのではないかと思う。

>率直な意見をお聞かせ頂きたい。


どう反応してよいものか、、、、M氏は良かれと思って進言して下さっているのだし、彼が言っていることが「間違っている」とは思わない。しかし、それだけが「正しい」とも思わない。
(ちなみに僕は中国共産党賞賛なんてこれっぽっちもしていない)


いずれにしろ、北原氏の(元町議を擁護する)発言に、少しは勇気づけられたことは確かです。



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