青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

日本の蝶についての考察 【1】

2021-04-27 20:25:22 | 生物地理



僕は、これまで約35年間に亘り、「中国の蝶」を現地でチェックし続けて来ました(去年から今年にかけては行けなかった)。

当初の目的は「日本の蝶」のアイデンティティを考察するに当たっての「準備段階」だったのです。ところが、「準備」のほうが「本番」より100倍ほど労力や時間がかかってしまったみたいで、、、。物事、本気を出し過ぎると、かえって遠のくのですね。ちょっと手を抜いたほうが「実質本気」に近づくのかも知れません。

ということで、改めて(数十年ぶりに)「日本の蝶」について取り組んでみようかと思っています。今回は、とりあえず「第1回目」ですが、僕が存命している限り、たぶん永遠に続きます(長期スパーンで断続的に)。

まず、(蝶だけではなく野生生物をトータルに見渡した)日本の生物地理区の分類を再確認しておきます。今更と思われるかも知れないけれど、教科書に載っている区分とは異なる体系なので、目を通しておいて頂ければ幸いです。

自分の目と脚と頭できちんと確認した、オリジナルのデータが基になっています。

実は、何人かの先行研究者も、僕と同じような認識を持っているのですね。けれども、“常識”や“権威”や、それにあまり言いたくは無いけれど政治的な思惑とか、様々なバイアスが(無意識のうちに)折り重ねって「定説」が形造られ、下々の民は、その「教科書的」見解に従わねばならない。

付け加えると、そもそも「生物の分類」という作業を、「科学的」視点から行おうとする(それが可能であると信じている)こと自体、大変な思い上がりなんですね。

逆に言えば、どのような区分の仕方であっても、それぞれの立脚点からすれば「正しい」ことには違いないわけです。

ということで、とりあえずは、こんなところが妥当なのではないか、という「日本の生物地理区分」を示しておきます。

Ⅰ地史的要素
⓵東亜北区
>a北海道亜区
>b渡島亜区⇔日本本土区東日本亜区との繋がり
>c対馬亜区⇔日本本土区西日本亜区(瀬戸内山陰北九州小区)との繋がり
⓶東亜南区
>a八重山亜区[=南琉球]
⓷ミクロネシア区
>a小笠原亜区
⓸日本本土区
>a東日本亜区
>b西日本亜区(瀬戸内山陰北九州小区⇔東亜北区との繋がり+襲速紀小区⇔東亜南区天目亜区との繋がり)
>c屋久島亜区[=北琉球]⇔奄美沖縄区との繋がり
⓹奄美沖縄区[=中琉球]
>a奄美亜区
>b沖縄亜区

Ⅱ気候的(帯・熱帯アジア)要素
⓶a>⓷a>⓹b>⓹a>⓸c>⓸b>⓵c>⓸a>⓵b>⓵a

附:北方四島は⓵aに抱合/竹島は⓸bに抱合/尖閣諸島は⓶の別亜区(華南亜区?尖閣諸島小区)/男女群島は⓵の別亜区(済州島亜区?男女群島小区)

*あくまで(地史をベースに置いた)「生物地理」視点からの見解で、政治・行政および一般的通念とは一切無関係。
**大雑把に線を引いたので、隠岐、五島列島、伊豆諸島南部が枠から外れているが、いずれも⓸に抱合される。
***使用地図はたまたま中国の刊行物を使ったため、右下に余計な図が入っているけれど、無視してください。

適当に「区」とか「亜区」とかを設置しました。繰り返し言うけれど、自分の足と目と頭で構築した見解です。といっても、基本的には、先行研究者たちの示す見解とは、大きな差はありません。

「教科書」との違いは、“琉球”についての認識です。“中琉球(奄美群島+沖縄本島周辺地域)”と“南琉球(先島諸島=八重山諸島+宮古諸島”)を、「地史(時間的要素)」と「気候(現在の状況)」という2つの次元の異なる立脚点から、改めて明確に分離し、それぞれの本質的な位置づけを強調しました。

その根拠については、「大和と琉球と大陸のはざまで」(平凡社新書/2001年刊行)に、詳しく記述しています(僕としては珍しくロジカルに、笑、数値を示しつつ説明しています)。

現時点では、「教科書」で育ってきたエリートの人たちには、たぶん理解出来ない(あるいは無視するしかない)のかも知れませんね。頭の良い人は、物事を(本質的な意味で)俯瞰的に捉えることが出来ないのだと思います。それが出来ないことが、「頭が良い」(物事を体系的に把握する能力を持つ)ことの条件であるように思うので。

とは言っても、おそらく、“南西諸島(琉球列島)”に対する認識は、今後は、僕が指摘した方向に、暫時浸透していくのだと思います。

まあ僕は頭が悪いので、頭の良い人たちよりも遥かに早い段階で把握出来ているわけで。そのうちに(何10年も遅れて)、「体系に基づいて物事を考える能力しかない」頭の良い人たちの認識が、僕の認識に追いついてくるのでしょう。

でも、頭の良い人たちが、頭の悪い僕に追いついてきた“その頃”には、僕はまた反対の事を言っていたりして(笑)。



幼稚な図で恥ずかしいですが(笑)
黒:地史的要素/赤:気候的要素(帯・亜熱帯度)



コメント
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