青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

お知らせ

2021-07-23 16:29:39 | ユーチューブ
本日よりユーチュブ再開しました。
宜しくお願いします。

https://www.youtube.com/watch?v=ZSbFmozZYMM&t=292s

https://www.youtube.com/watch?v=1rf1d1zcsf0
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読者の皆様に。

2021-07-21 20:36:45 | その他



 
あや子さんが腕を骨折して作業が困難になったため、「青山潤三の世界・あや子版」は当分の間休載します。
 
完治してからの再開となりますが、それまでの間は、昨年1月にスタートして(モニカにやって貰っていたのだけれど中国に戻ることが出来ずに)その後中断したままになっているユーチュブ配信を再開する予定です。
 
また、ブログの記事を「社会の窓から」のほうに移行掲載していくことになるかも知れないので、そちらのほうもチェックしておいて頂ければ幸いです。
 
青山潤三







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アパートの裏山- Nature of Misty Hill青梅市霞丘陵の自然(and 狭山丘陵“緑の森”)2021.7.12

2021-07-12 21:07:21 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


★7月11日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。



僕は、バカで悪人です。それを証明しましょう。

今朝起きたら、快晴でした。雨の予報だったのだけれど、、、。ほぼひと月、蝶の撮影種の追加が為されず、54種でストップしたままです。よし、今日は一種は増やそう!と出かけることにしました。“金輪際行きたくない” 川(多摩川)向こうの丘陵に行きます。前回は時間が遅かったのでチョウはいなかったけれど、かなり良い環境です。オオムラサキの訪れそうなクヌギも沢山生えているし。まあ、二種や三種は追加出来るでしょう。

でも、多摩川の橋を渡って秋川街道に差し掛かって、“二度と通りたくない”という想いが正しかったことを、改めて思い知らされました。

道の両脇に人の通るスペースが全くない。膨大な数の車がビュンビュン通る。それはもう筆舌を絶するほど怖いですね。怖いのは僕だけじゃなく、ドライバーも怖いでしょう。普通に運転していても跳ね飛ばしてしまいかねない。

人の通行が禁止されているわけではなくても、(常識として)人は通っちゃいかんのです。でも、峠の上(ハイキングコース)に行く必要がある。どうすれば良いか。簡単です。車に乗れば良いわけです。

でも、公共の交通機関は全くありません(注:タクシー利用という手がありますが経済的な事情から僕には不可能な選択肢)。麓には青梅側も五日市側も、様々なバスのルートが張り巡らされている。しかし、行政を跨ぐ峠越えのバスは一本もないのです。これだけの交通量の多い主要道路なのに公共のバスが通っていない。おかしい、と思うのですが、なに、みんな、自家用車を使うから問題ないのです

自分さえよければいい。全員がそう思っているわけで、ということは、「自分さえよければいい、とは思っていない人」は「自分勝手な人」ということになります。

僕は「自分さえよければ良い」とは思っていません。筋金入りの「自然保護・環境保全論者」です(半分ジョーク、半分本気)。エセ、ではなく本物です(笑)。「車」の多用は、環境保全の最大の敵だと思っています。出来る限り「車」の利用を少なくする。簡単です。公共交通機関を充実し、原則それを利用する。どうしても必要な場合は、個人ではなく、家族とか企業単位とかで保有すれば良い。

この考えは、「間違っている」わけです。その理由は「皆がそう考えていない」から。

アメリカの「銃社会」は無くなりませんね。みんな「銃は必要」と思っている。日本の車社会も無くならない。みんな必要と思っているので。

実質(公共交通機関ではない)車しか通らない道を車に乗らずに歩いている、これは「悪い」ことなんですね。一方、「車」によって地球の環境が破壊されていくことは、決して悪い事ではない、、、のでしょう。

・・・・・・・・・・・

イギリスで「(600人)マスクなしスポーツ観戦運動」というニュース。

日本もそのうち(なし崩し的に)追従するのだと思います。全てを有耶無耶にして。

以前「マスクなしピクニック」運動が、「自分勝手な社会的迷惑行動」と見做されていましたね。それを鑑みれば、日本における「マスクなし」集団は、あっては成らぬことだと思いますが、大衆が「空気」に従って認めたことは、同じことであっても「善」になります。

昨年1月、新型ウイルスの人‐人感染確認報道があった同じ日、同じ湖北省で「世界最大淡水魚の絶滅認定が為された」というニュースがありました。僕は、こっちのほうが、遥かに重大ニュースだと思っていたし、今もそう思っています。

僕はバカなので、バカの一つ覚えで何度でも繰り返し言います(「マスク」に対する懐疑はそれ以前から言い続けている)。

コロナはただの風邪。そして「ただの風邪」は、とんでもなく恐ろしい病気。「ただの風邪」から、様々な脅威が引き起こされる。これまでにもそうだったし、今後もずっと、、、。「コロナ」に終わりはない(というか、そもそも遥か昔から始まっている)。

冷静に対さなくてはならない。怖いのは「パンデミック」ではなく「パニック」。様々な“バイアス”で社会が混乱していくこと(医療破壊などを含む)だと思います。

皆、自分だけは、リスクを蒙ることを避けたいのですね。「あらゆるリスクを避ける」ということは、不可能な事です(様々な矛盾に面します)。でも人々はそれを選択する。日本人の性(さが)なのかも知れません。

社会全体が「空気」(実は巨大なスピリチャル、集団的洗脳による幻想)に乗って、どういう方向かはともかく、ぐるりと回って「有耶無耶」に着地するのでしょう。

実際、僕の知人の何人かは、最初からそれを言ってましたね。いや、かなりの数の日本人は、本心では
同じように思っていると思いますよ(コロナが始まった当初から)。“終わりは有耶無耶”と。

「どうせそこに落ち着くので僕らは傍観して流れに身を任せときゃいい」。その通りでしょうね。

でも僕は、傍観出来ない。その結果生み出される「排除」「差別」「ヘイト」「同調圧力」への(実質上の)肯定「空気」には、徹底して抵抗すべきと思っています。

文明・科学に対する無条件信仰の加速、、、、、「リスク完全排除」思想に潜む、とんでもない怖さを覚えるからです。

・・・・・・・・・・・

まあ以上はバカのひとつ覚え、ということで、無視されれば仕方ないです。

今日は快晴です(午後雷)。朝からお昼過ぎにかけて、夏の雑木林の蝶の観察には最高の環境と思われる、川向こうの尾根を歩きました。

蝶が一匹も(大袈裟ではなく)いない!!

オオムラサキどころか、あらゆる蝶の姿を見ないのです(5時間の探索で、ボロボロのコジャノメと、羽化直後と思われるスジグロチョウの各一頭に、それぞれ街に下る手前で出会っただけ)。カナブンもカブトもクワガタもスズメバチもいない、、、、。

いや、原因は(半分)分かっています。

今年の(自然界の)季節は、例年より2~3週間早いペースで進んでいます(昨日出会った人は「3週間ほど早い」と言っていました、僕もそう思います)。それを当て嵌めると、今は7月末か8月上旬になるのですね。その季節は、日本の多くの地域で(寒冷地などを除き)大半の蝶が姿を消します。蝶の種数が多い6月から7月中旬にかけての季節は、とっくに過ぎ去っているわけです。

もっとも、なぜ季節が早く進んでいるのかは分かりません。それと(それにどう関係があるかはともかく)一部の種が姿を現さないまま、出現期を終えているように思えます。出会った蝶の観察者(10人ほど)の全て
の方が言うに、「今年はウラナミアカシジミが全く見れなかった」と。僕がウラナミアカシジミに出会えなかった原因は、僕の経験不足に拠るものと思っていたのですが、あながちそうでもないようです。

オオムラサキは、結局きちんと姿を現してくれるのでしょうか?

・・・・・・・・・・・



二回目に通った「二度と通りたくない道」。9:45























蝶の全くいない森。10:18~11:53











茸。10:48~12:53



雷が鳴ってきたのでバスで帰ります。13:15






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アパートの裏山- Nature of Misty Hill青梅市霞丘陵の自然(and 狭山丘陵“緑の森”)2021.7.10/2021.7.11

2021-07-11 20:30:03 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


★7月9日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。



*ブログへのアップを予定していた「2021.7.6-7.9 日記(下)」と「日本の蝶:イチモンジセセリ類(その5)」を次回に回して、先に昨日と今日の分の報告をしておきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・

昨日(2021.7.10)は、珍しく一日中晴天。朝8時50分に部屋を出て、探索優先順位1位の霞丘陵に向かいました。9時20分から正午過ぎまで、いつものコースをめぐったのですが、蝶が全くいない!!

いつもカブトムシやクワガタやスズメバチが集まっている入り口近くのコナラ古木にも、K.M氏に教えて頂いた愛宕山頂の下のコナラにも、ウグイスの谷のクヌギやヤナギにも、オオムラサキどころか、虫の姿さえありません。コリアス草原を隈なく歩き回ったのに、(3月-5月あれほど沢山いた)モンキチョウは一匹もいない。

午後、第四小学校裏の、去年の7月にオオムラサキが来ていたというポイントに移動しました。灼熱の太陽の許、やはり昆虫の姿は全くなし。そのあと15時過ぎまで「青梅の森」をぐるっと回って探索したのだけれど、成果はゼロです。

結局、昨日(7.10)撮影出来た蝶は、ヒメウラナミジャノメだけ。あと見かけた蝶は、モンシロチョウ一頭、クロヒカゲ(第二化?)一頭、オオチャバネセセリ一頭、ダイミョウセセリ(第二化?)一頭、、、どれも撮影は出来ませんでした。

絶好の好天の7月中旬、、、なんで蝶がいないんだろう、、、、、、?

でもって、蝶の撮影は、ほとんど行っていません。オオムラサキが訪れるはずの愛宕山のコナラの木の横に生えていたヤマユリとかを、壊れているカメラと、使い方が分からないスマホ(小米)で撮影していました(スマホでも上手く撮影出来たようですが、パソコンへの取り込み方が分からないので、カメラで撮影した方を紹介しておきます)。

ヤマユリは日本固有種。斜面の笹藪の中に、ポツンポツンと一花づつ咲いているのが、より魅力的な趣きを醸し出しています。

写真1~6












ヤマユリ。青梅霞丘陵。2021.7.10

ちなみに、ヒグラシの鳴き声はまだ聞くことが出来ないでいます(ニイニイゼミは一週間ほど前から鳴いている)。でも、山道を歩いている最中、足元からヒグラシが飛び立ったのに(異なる二か所で)遭遇しました。一瞬なので姿は確認していませんが、飛び立つ瞬間に“ケッ”と音(鳴き声)を立てたので、(これまでの経験上)ヒグラシに間違いないです。羽化間もない多くの個体が、地表近くに潜んでいるのだと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スマホ(小米)を送ってくださった宮崎の畜産試験所のK氏や、その使い方について遂一教わっているヨドバシカメラ吉祥寺店のM氏に多大なご迷惑をかけていることを想うと心苦しいのですが、それ以前に辛いのは、我が知能の余りの低さ。

例えば、冷蔵庫の使い方は分かります。テレビも何とか見ることが出来ます(宿泊するホテルなどで)。でも(例えば)洗濯機になると、何処を押せばどうなるのか、さっぱり分からない。

僕と機械(殊に電気製品)との相性は、(いろんな意味で)それはもう信じ難いほど最悪なのです。

「パソコン使えてるじゃないですか!」と言われたりもするけれど、出来ること(ごく限られています)は出来る(それも結構高度な操作を行っているみたい、笑)のですが、出来ないこと(ほとんどが相当)は全く出来ません。

操作方法とかが書いてある案内書などを呼んでも、書いてあることの意味(パソコン用語など)が、さっぱり分からない。そのたびに自分の知能の低さを痛感して、限りなく落ち込んでしまいます。

とういことで、スマホの「電源を入れる」「開く」「閉じる」方法に関しては、ほぼ習得出来たようですし、撮影もO.K.で、再現チェックも出来ているようなのですが、パソコンへの移動方法が分かりません。

動画も映像自体は写せているようなのだけれど、再現が出来ません。録音はたぶん出来ていると思います。でも、そこから先、どうすれば良いか、さっぱり分からない。

・・・・・・・・・・・・

今日(2021.7.11)も、天気予報は雨ですね。でもそんなに悪い天気じゃないです。それで、久しぶりに狭山丘陵に向かおうか、どうしようか迷ったのですが、ここは天気予報に従って、慎重に、、、。

ということで、探索は中止することにして、日曜礼拝に出かけたら、晴れてきました。

どうやら、天気予報に従いだしてから、上手くいかなくなってしまっている(蝶の撮影種数追加がストップしたまま)ような気がします。

あまり先の事は考えず、臨機応変に行動した方が良いみたいです。それで、お昼のバスで、瑞穂町経由で、東京都(武蔵村山市)側の自然公園に向かいました。

管理所(案内所)のスタッフの方に、オオムラサキの来る木を教わって、そこで待機することにしました。でもスタッフの方の話では、今年はまだ見ていない、とのこと。しばらく待っていたけれど、やっぱり現れませんでした。樹液は出ているのですが、カナブンが一頭いただけ。オオスズメバチも来ていません。

やはり全体的にチョウ(昆虫全般)自体が少ないのです。
*スジグロチョウの新鮮な夏型(第三化?)がいました(撮影出来ず)。
*アブラゼミの鳴き声を、今年初確認。

とりあえずここでの観察は切り上げて、埼玉側の「緑の森」に移ろうと考えていたら、雷が鳴り出し、雨が降ってきました。

大きな雷が鳴った途端、ヒグラシが鳴き始めました。さあ、いよいよ本番ですね。近いうちに「夜明け前の大合唱」の録音に取り組みます。

蝶の写真は、バス停に戻る際に道端で撮影した、コチャバネセセリだけ。

写真7~10







コチャバネセセリ。武蔵村山市‐瑞穂町境付近。2021.7.11
*3枚目の写真に注目!吸い戻し行動。自分の腹部から水滴を排出した直後です。

・・・・・・・・・・・・・

ところで、「オオムラサキ」は日本の国蝶で、「ヤマユリ」「コチャバネセセリ」は、日本固有種です(見栄えは正反対ですが)。「オオムラサキ」「ヤマユリ」「コチャバネセセリ」が出たところで、ちょっと、その話のさわりを、、、。

・・・・・・・・・・

日本の国蝶について(日本昆虫学会による選定です)。

【最終決定】
オオムラサキ(タテハチョウ科) 一般的な意味での見栄え=10点満点の10点
北海道~九州
朝鮮半島
台湾
中国大陸(北~東~西南部)
インドシナ半島北部
近縁種:1種(中国大陸東南部~西南部)

【ノミネート】
アゲハチョウ(アゲハチョウ科) 見栄え8点
日本全土
ロシア沿海地方
朝鮮半島
台湾
中国大陸(ほぼ全土)
インドシナ半島北部
近縁種:1種(フィリッピン・ルソン島)

【ノミネート】*和名が“帝”なのでノミネートされた。
ミカドアゲハ(アゲハチョウ科) 見栄え8点
紀伊半島南部、四国南部、九州、西南諸島
台湾
中国大陸南部
東南アジア各地
近縁種:多数(東南アジア)

【ノミネート】
ギフチョウ(アゲハチョウ科) 見栄え8点
本州
近縁種:3種(日本中部~北部、ロシア沿海地方、朝鮮半島、中国北部~中部~東部)

【My一押し①】
フジミドリシジミ(シジミチョウ科) 見栄え5点
北海道(南部)~九州
近縁種:2種(台湾、中国大陸中部)

【My 一押し②】
ヒカゲチョウ(タテハチョウ科) 見栄え1点
本州、四国、九州(北部)
近縁種:なし

【My 一押し③】
コチャバネセセリ(セセリチョウ科) 見栄え1点
北海道~九州
近縁種:1種(台湾)

・・・・・・・・・・

日本の国花について

【ノミネート&既成事実的決定①】
キク(キク科)
(チョウセンノギク×ハイシマカンギク:国外からの移入栽培種)
近縁種:主に東アジアに多数

【ノミネート&既成事実的決定②】
サクラ(バラ科)
(ソメイヨシノ=オオシマザクラ×エドヒガン:在来野生集団に基づく栽培品種)
近縁種:主に東アジアに多数

【僕の一押し】
ヤマユリ(ユリ科)
本州、伊豆諸島〈在来野生種〉
近縁種:特に見あたらない?

・・・・・・・・・・

コメントはしません。いろいろ、考えるところがあります。



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2021.7.6-7.9 日記(上)

2021-07-09 20:29:15 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記




雨が続いていて、連日パソコンに向かっています(スタバ、マクド、ジョナサン)。時間の振り分けは、「裏山探索8時間」「パソコン4時間」ということで、山(丘)から下りて来てから、どこかでWi-Fi拾って、調べものとかブログ書きとか、毎日慌ててしているわけです。

本来なら、逆パターン、「探索4時間」「パソコン8時間」ぐらいにしたいのですが、一度探索に出かけると、8時間どころか10時間、12時間、、、とか歩きっぱなしになります。

でも、ここんところずっと雨で、6月半ばからは(本来ならば一年で一番大事な季節なのですが)ほとんど探索に出かけていません。6月17日に「54種目」のオオチャバネセセリを撮影してから、一種も追加出来ていない始末です。

と言うわけで、インターネットでの調べものやブログ書きに関しては、今は時間がたっぷりあります。逆に言えば、時間があるので、あれもこれも(ことに調べもの)やろうとしてしまう。ブログも、並行して幾つかの話題を書き出して、なかなか「完成」に至りません。時間のない時(「探索」から戻った後書くとき)は、無理やり“完結”にしてしまうのですが、「明日回しでも良いかな?」と思っていると、どんどん未完成記事が溜まっていきます。

ことに「日本の蝶:イチモンジセセリ(オオチャバネセセリ記事の続き)5」は、8割がた完成しているのだけれど、なんだかんだで付け加えたいことが出てきて、どんどんアップが遅れて行きます。明日にはアップします。今日は、ここ数日書きかけた文章を適当に寄せ集めてアップしておくことにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

久しぶりに電車に乗って遠出(河辺⇔吉祥寺)したのですが、切符が上手く買えない。

“昔は良かった”と言う気はありません、、、←ウソです(笑)。声を大にして言います。“昔のほうが良かったみたい”と。もっとも、僕の言う「昔」は、「我々年寄りの若かった頃」というのではありません。戦前、明治時代、江戸時代、日本の神話時代、ギリシャ文明の時代、人類出現の頃、、、、全部ひっくるめての「昔」です。

時間は、本当に前に進んでいるのでしょうか? なんか、どんどん後退しているように思えるのですけれど。

どういうことかと言えば(前にも何度か言ったけれど)、JRの切符の自動販売機が、カード対応機を重視することで、現金対応機がどんどん減っている。例えば、3つある販売機のうち1つはチャージ専用、2つが兼用だとした場合(それも現金可能なのが減って一つはカード専用になったりしている)、兼用機でも実際に買っているほとんどの人がカードを利用しているわけです。いちいちチャージして、それから購入するので、現金(主にコイン)利用者より、ずっと長い時間を費やしています。待っていて、電車に乗り損ねたりします。

現金専用機とまでは言わないけれど、現金でも使える兼用機は、もっと増やして欲しいですね。最初から「現金は使えない」のなら、それでもいいのです。対応せざるを得ません。でも、「現金が使える」という前提なんだから、現金もスムーズに使えるようにしてほしい。

少し話が逸れます。

大阪の「表現の不自由展」。吉村知事は、こんな風に言ってますね。
>表現の不自由展をやってる方が自分たちが正義だと思っているのは分かるが、そうじゃない人の正義もある。

“今の日本の社会は「表現の自由」の中に置かれている”、と信じている人たちが大半なのでしょうね。ひいては「(社会の安定のために)表現の自由は限定されていて当然」と認識する自由(正義)なわけです。そうであることは、結局“「表現は不自由」なのではないか?”とアピールする側の自由(正義)と、両方あっても良いのですよね。だったら、「表現の不自由」を話題にして展示することに、何ら問題はないのではないでしょうか?

吉村知事の言う「差し迫った危険が生じる」可能性を鑑み云々、、、それはそうだと思います。でもこれを言うのは「そんなこと言っていると誰かに殺られるかも知れないよ」というのと同じことですね。軽々しく発言するべきではありません。

ちなみに、皆忘れていることがあって、、、、「表現の自由」なんて、実は最初からないんですよ。

プラットホームでの一人言、飲み屋でのおっちゃん同士のトーク、、、そこいらへんは自由でしょう。でも、視聴者がいる会場とかマスメディアとかで発言することは、限られた人にしか出来ない。現実的には、表現の自体が制約されていると変わりないと思います。不特定多数の人々に向けて発言出来るのは、どの陣営であるかに関わりなく、「権力」を持っていなくてはならないのです。

補足しておくと、「表現」自体の自由はあっても、「伝達」「拡散」の自由はない、ということですね。駅のプラットホーム大声で叫んでも、ブログで様々な発言をしつづけても、媒体(「聞く」「読む」)の環境が整っていなければ、実質「無いこと」に等しいのです。「自由」とは、「力」によって配分されるもの(いわば「特権」の産物)だと思っています。

ちなみに、僕は想うところがあって、昨日、“緑の森”の腕章を郵送で送り返しました。(意に反して)それを持っていることで(しかもここんところ行かずにいる)、気持ちが重苦しくなってしまう。決して敵意とか、嫌味とかじゃないのです。スタッフの方は良くしてくれるし、有難く感謝しています。腕章があることで(特に、自然保護区の内部ではなく民家と隣接した入口付近をうろついている時に)不審者に間違われることなく行動がしやすい事も確かですし。

でも、僕のポリシーや価値観(そんな大袈裟なものではないけれど)においては、腕章付き(特権)で行う「自然観察」は、どうも心地が良くない。対象を「自然」とは捉えず、個人や特定の集団(行政など)の持ち物、と認識すれば、ある程度の納得はいくのでしょうが。

・・・・・・・・・・・・・・・・

これまでにも幾つかの記事に書いたのですが、数年ほど前、中国の各地から、「現金」が姿を消してしまいそうになった事がありました。(“一斉に”と言えそうなほど急速に)末端売買の電子化が為されていったのです。日本の、ことに若い世代の社会の先端を行く人々は、(中国全体に対する評価は別として)そのこと(迅速に新技術が実用化されていくこと)を素直に評価し、日本も見習わねば(遅れをとっては)ならない、と考えを新たにしたようです。

とにかく、下町のそこいらの屋台の支払いも、“ピッ”という電子マネー?で済ませます。現金で支払っているのは僕ぐらいのものです(お札は皆滅多に使わないので増刷されることなくズタボロになってしまっている)。スタバとかでも現金支払いを拒否されます。

それで、スタバのスタッフと喧嘩したことがあります。店長が弁明するに、「ごめん、使えないわけじゃない、でも誰も使わないから、お釣りを用意していない」(その時は店長さんが自分のお金でお釣りを立て替えてくれた)。

暫くして再訪したら、「現金も使えるようになったので安心してください」と。国から全飲食店に「現金のお釣りも用意しろ」と命令が下ったそうな。カードを持ってないお年寄りや貧乏人もいるので、必ず現金も使えるようにしておくこと、という命令です。

中国の共産党一党独裁体制を認めるわけじゃないですが、空気だけに乗っかって、建前と現実が異なる「体制下」にある日本より、マシだと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・

ということで、久しぶりに吉祥寺のヨドバシカメラに行ってきました(電車賃が、、、(;´д`))。

ヒグラシの鳴き声を録音するために、K氏から送って頂いたスマホ(中国メーカー?の「小米」、、、そもそも「スマホ」が何を指すのか僕は認知出来ていません)の扱いに、四苦八苦しています(「途方に暮れている」と言って良いくらいの状況)。

録音するために、まず最初にやらねばならぬことは次の3つ。
⓵充電
⓶開く
⓷閉じる

それが(信じて頂けない事でしょうが)K氏に教わったり、参考書を読んだりして、10日間あまり必死に取り組んだのだけれど、出来ない(今回に限らず、僕が新しい電気製品を使う際は、いつも同じような局面に対します)。

原因は次の3つが考えられます。
A 僕の認知能力不足。
B 機械のアクシデント。
C いわゆるオカルトの分野。

それで、ヨドバシカメラのスタッフに教えを請いに行ったのです。

Aでしたね。
(ごく一部はBCが関わっているもかも知れないとしても)

対面で、感覚面を主体に置いて教わって行かねば、どんな参考書や案内書見ても「最初のところ」で“認知”のスイッチが入らないのだと思います。

一度“掴め”ば、あとはスムーズにいく、その“掴み”が、難しいと言えば限りなく難しいわけだし、簡単と言えば余りにも簡単なわけです。

物事を理解・認識する頭の構造(考える仕組み)が、僕の場合ほかの(当たり前にスマホを使う世界の中で生きている)人と違う、いわゆる「発達障害」なわけですね。

「道のない山を歩けても、町の中では迷う」
これが僕ですね。

「道のない山を歩けること」
「町の中で迷ったりはしない」
ともに「能力」のひとつだと思います。

両方の能力を備えている人は少ないのではないでしょうか?
現代社会(スマホを普通に使ってる社会)では、上は不要で、下は必須です。

その“必須”を目指しての、具体的な結果。

録音(⓵⓶⓷および⓸静止画像撮影⓹動画撮影&録音⓺収納)までO.K.です。出来ないことは、収録した動画(動画撮影そのものは出来る)の再現だそうです(録音だけなら再現も可)。対応するアプリが入っていないからなのか、それ以外の原因なのか、現時点では不明だとのこと。今のところ、録音さえ出来れば良いので、それほど気にすることはないでしょう。

とりあえず、最初の段階(⓵電源⓶開く⓷閉じる)は、習得出来ているのではないかと思われます。1歩(7~8歩ほど?)前進です。⓻送信?と⓼ユーチュブ機能に設定については、これから考えます。

・・・・・・・・・・・・・・

梅雨の晴れ間を縫って、一応裏山(霞丘陵や青梅の森の東端)にはチェックに訪れているのですが、ここしばらく蝶の姿を見ません。オオムラサキポイントにも、オオムラサキどころか、ボロヒカゲ3種(もう第一化は完全に姿を消していると思う)はもとより、オオスズメバチさえいない。冒頭に記したように、もう半月以上の期間、54種から一種も増えていません。

6月後半から7月前半にかけては、一年で最も蝶の種類が多い時期のはず、、、、なんですけれど。今年は季節の動きが例年とは違っているみたいなので、まあ、そんなことも有るのかも知れませんが。

そういや昨年6月下旬、モニカを雲南の蝶撮影に派遣したのですね。例の10万円の支給金の半分を当てて。

モニカは、常々梅里雪山にもう一度行きたい(前回は2013年秋)と言ってたし、あと、高山シャクナゲも見たい、というので、当初7月下旬を予定していたのですが、一か月早めて6月下旬にしたのです。

梅里雪山(明永氷河下や雨崩村)における蝶の出現盛期は6月上旬だし、高山シャクナゲは5月、6月下旬でギリギリです。

結果は惨敗。いろんなことで、当てが外れた、と言ってよいのでしょう。コロナでの行政地域越えごとのチェックが厳しくて、梅里雪山まで辿り着くのが難しかったこと。それで香格里拉に停滞しての探索に切り替えたわけですが、明永氷河下より標高が1000m高い香格里拉では、時期が早すぎた?わけです。

それに、モニカが使っていたカメラを僕がぶんどったので(日本からは届けようもない事だし)、携帯電話(スマホ)で撮影することにしたのです。スマホも機能的には結構優れもので、画像のクオリティモなかなかなのですが、だとしても、行く先々で「どんな目的で来たの?」と聞かれるわけですね。その都度「蝶の撮影」と答えるわけですが、カメラは持っていない、、、、、。さぞ肩身の狭い思いをしたであろうことが想像されます。

でも頑張って一週間ほど蝶を探し歩きました。結局、高山病+日射病にかかって、ほとんど何も写せないまま、退散したわけです。

標高と季節(各種の蝶の出現サイクル)の問題もあるには違いないでしょうが、でも、たぶんそれだけが要因ではないと思います。一言で言えば、「たまたまいない時期だった」。

その2年前、蝶友のNM氏とHF氏が、梅里雪山から香格里拉にかけての蝶探索に日本から遠征しました。7月のはじめです。そしてこちらも結果は惨敗。

僕が、たった一か所(10m四方ぐらい)で、100種以上の蝶(その中には、新種記載以来100年余ぶりに記録された何種かの超希少種も含む)を撮影した、梅里雪山氷河下の水溜まりでは、僅か2~3種の蝶にしか(むろん目的の種にも)出会えなかった。そのほかの場所でも、全くと言って良いほど蝶がいなかった、、、、。

話が変わりますが。この間、愛宕山(標高約210m、霞丘陵の主峰?)で地元の蝶愛好家KM氏と数時間に亘って蝶の話をしていました。彼のメインフィールドはラオスで、以前は中国の奥地にも度々行ったそうです。

そこで、一回の調査行の予算についての話になりました。彼曰く、自分は裕福ではないので、極安の予算
で押さえている、と。その極安予算というのが500万円だといいます。

え~~~?  僕はせいぜい5万円ですよ。前々年は、その5万円さえ用意が出来ずに、目的地への遠征を諦めて「香港デモ」の取材に切り替えたわけで。

嘘でしょう? 5万円で行けるわけがない、と彼は言います。あれやこれや、(奥地の探索行は)なんだかんだで、あっという間に数100万かかってしまう。

確かにそうかも知れません。でも僕は、本当に5万円前後の予算で、いつも行動しているのです。

上記した、3年前に梅里雪山や香格里拉に遠征した両氏も、各200万円の予算だったそうです。むろん、彼らにとっても、200万円は大金です。僕を始め、いろんな人から前もって情報を仕入れ、万全の準備をしてアタックしたのに、結果は惨敗。ショックが大きかったそうです。

僕は彼らに言いました。そもそも、200万の予算が間違っている、さすがに2万円とまでは行かなくても、20万円くらいの予算で向かうべきだった、と。

お付きの運転手をつけて、その地方一番の高級ホテルに泊まって、(豊富な情報の許)目的の蝶がいるはずの場所をピンポイントで往復し、、、、僕に言わせれば、それがいけないんだ、と。

予算が無くて、ボロ宿や民家に泊まり、原則ローカルバス利用、それにヒッチハイクや徒歩を加えて、何日もかけて移動し、なんの情報も持たないまま、同じ場所に何日も滞在し、非効率的この上もない行動パターンで、、、、でも非効率的(その積み重ね)だからこそ、(他の人が得られないような)大きな成果が得られる。

むろん、もしもの事(逮捕たり)を考えれば、社会的な地位がある彼らの場合は、リスクへの対応の必然性が「青山さんの場合とは違う」ということは分かるんですけれど。

・・・・・・・・・・

これも何度も書いてますが(笑)、天気予報が当たらんです。ことに今は梅雨の真っただ中なので、(例え一日のうちに何時間か晴れ間があるとしても)「雨」としておくに、しくはないわけです。「晴れ」と予想して「雨」だった時と、「雨」と予想して「晴れ」だった時と、世間の反応(それに対する責任の所在)は全く異なります。世の中、全て「リスク回避」で進んでいるので。

「一日中晴れ」と「一日中雨」は、どう違うのか?

昔、屋久島で常に経験していたことですが、、、。
「屋久島はいつも雨」は、事実です。
「屋久島はいつも晴れ」、これも正しい。

島のぐるりと360度、どこかで雨が降っていて、どこかが晴れている。
一日24時間の間、どこかで雨が降って、どこかで晴れる。

・・・・・・・・・・・・

梅里雪山では、天候は余り関係がないようです。曇っていても晴れる。晴れていても曇る。ころころ天候が変わります。氷雪の山嶺は極寒の世界ですが、メコン川沿いは亜熱帯の延長、、、夏の期間は、天候に関わらず結構あったかいのです。

結局、同じところに居座って、終日様子を見続けるしかありません。正確には「“毎日”一日中」です(日によって状況が異なる)。

そのうち、ある時間帯に、種によっては(例えばタテハチョウ科だと「ニセアサギマダラミスジ」「ユンナンアオイチモンジ」「チベットスミナガシ」とかの超希少種)それこそ一瞬の間だけ、この場所に吸水に現れるのです。

トータル100種超が入れ替わり立ち代わり現れ、凄い時には10種以上の数100個体が同時に一堂に会します。一方、いないときは、蝶の姿自体が一頭もない。

いわば、ここは大食堂です。周辺の急傾斜の森林のどこかに、100種余のそれぞれの蝶たちの本来の棲み家があります。食事の時だけ、ここに集まるのです。

梅里雪山の例は極端ですが、アパートの裏山だって基本は同じです。蝶がいる時はいるし、いない時はいない。

・・・・・・・・・・・・・

これまでに「アパートの裏山とその周辺地域」で撮影した54種の蝶は、ピンポイントで狙ったのではありません。(事前の情報や目的を全く持たずに)同じ場所に何度も通って、偶然出会ったものを撮影したのに過ぎません(50種目辺りからの2~3種は一応狙った)。いわば、無欲の成果。しかし(むろん時期的な焦りもあるのですけれど)ここしばらくは、場所とか種とかを特定して、効率的な成果を狙っているのが、かえって良くなかったのかも知れません。この半月間、54種から進まないでいるのです。

・・・・・・・・・・・・・・

時間切れ。以下は、明日以降にアップする予定です。

・・・・・・・・・・・・・・



一年前(2020.6.28)のモニカによる写真(確か去年同じのを紹介済み)。香格里拉。標高3300m超の炎天下に立ち続けて、高山病にかかり、日射病になって、あげくほとんど蝶に出会えぬまま帰ってきました。








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日本の蝶 Ⅲ イチモンジセセリの仲間(その4:前回までのオオチャバネセセリ「上」「下」「補遺」から引き継いで)

2021-07-07 20:24:50 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶



・・・・・・・・・・・

読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*ブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けます。

・・・・・・・・・・・

『北米の自然保護区で“人を襲った熊を駆除する”』という記事。

むろん、考慮に考慮を重ねた上での、窮余の策でしょう。そう簡単に「自然保護区は野生生物の側の領域なので人間が立ち入ることが問題」と片付けるわけにはいきません(いろんなニュースの反応コメントを読んでいると大衆の多くがいかに単純思考なのかが分かる)。

アメリカの価値観では、「自然保護区」は、あえて「人々が自由に立ち入ること」を前提として成り立っています。「(特定の人間だけの活動が許可され)一般人の行動を制約することに重きを置く」日本とは違うのです。

それはともかく、、、。こんな↓コメントもありました。まさか、ジョークで言っているわけじゃないのでしょうが。さすが「そうは思わない」という反応多数ですが、「そう思う」もそれなりにあって、、、。

>クマでもワニでもライオンでも世界中で駆除して動物園で飼育すれば良いと思う。
>どんな山奥でも安心して入山出来る環境にするべきです。
>マジで。

現実を正視すれば、このコメントを笑うわけにはいかないと思います(実際に、その通りの方向に進みつつある)。

・・・・・・・・・・・・・

さて、せっかくエヴァンスを引っ張り出した(段ボール箱からでなくパソコンからなのが少し残念ですけれど)ので、セセリチョウの話題を続けましょう。

図鑑の種の並べ方は、それなりのルールみたいなのがありますね。ことに、どの種を最初に置くか、国ごとに異なります。ただし国の如何に関わらず、アゲハチョウ科が最初に来ることは変わらないようです(以下、ちゃんとチェックしたわけではないので思い違いがあるかも知れんですが)。

ヨーロッパは、キアゲハかアポロチョウ。中国も、たぶんアポロチョウ類(アカボシウスバシロチョウ)。アメリカもキアゲハ類だったような、、、。日本はギフチョウでほぼ決まっていますね。

本来ならば、その群全体に於ける(より祖先的形質を多く備えた)側系統群、すなわち蝶の場合はセセリチョウ科から始めるべき(実際図版なしのリストだけならそのような扱いが多い)なのですが、最初に地味なセセリチョウが示されていると、たぶん本の売れ行きが悪くなってしまいます。

最初に本を開いた時に、綺麗で人気がある種が目に入るようにしておく必要があります。したがって、アゲハチョウ科からスタートして、セセリチョウ科を末尾に置く、これが暗黙の了解(MLBで「大差でリードしているチームが盗塁してはならない」みたいなもの、かな?)です。

チョウの愛好家は、もちろんチョウが好きなのですが、「セセリチョウはちょっと、、、」「関心がない」「除外」という人も少なくないようですね。気持ちは分かります。一般人の感覚としては、「蝶」というより「蛾」に近いのではないかと。

ところで、Lepidoptera(通称“レピ”)「旧・鱗翅目」を、今は「チョウ目」あるいは「ガ目」と呼びます。

「膜翅目」とか「双翅目」とか「直翅目」とか、堅苦しい名前は止めて、親しみのある馴染みの名を使うように、ということ(お上?からの通達)で、上の3つで言うと、それぞれ「ハチ目」「ハエ目」「バッタ目」に置き換ったわけです。「鞘翅目」は「コガネムシ目」かな?あるいは「甲虫(コウチュウ)目」と言っているのかも知れません。

しかし、「膜翅目」には、「ハチ」のほかに、「アリ」(両者の関係の説明はパス)がいます。また、「双翅目」には、「ハエ」のほかに、「アブ」や「カ」(これも相互関係説明はパス)がいます。直翅目には、「バッタ」のほかに、「コオロギ」とか「キリギリス」(同上)とかも。

でも、「蟻」よりは「蜂」、「虻」や「蚊」よりは「蠅」、「興梠」や「螽斯」よりは「飛蝗」のほうが、よりポピュラーでメジャーな気がする(今そう書いていて、そうでもないかな?とも思いますが)ので、まあ一応「ハチ目」「ハエ目」「バッタ目」辺りは妥当なところでしょう。

「蜻蛉目」は「トンボ目」で決まり。「半翅目」は難しいところで、「セミ目」なのか「カメムシ目」なのか、、、。そして、最も難しいのが「鱗翅目」ですね。「チョウ目」なのか「ガ目」なのか。

ちなみに、難しいと言えば「霊長目」も同じ。「ヒト目」なのか「サル目」なのか(「ヒト目を採用しているのかな?」)。

以上に挙げたような選択が難しい目の名は、現在でもいくつかが併用されているのだと思います。結局、下手に大衆に忖度したり、基準とかを作ろうとしたりすると、かえってしっちゃかめっちゃかになってしまう、という好例です。
 
鱗翅目を「チョウ目」にするか、「ガ目」にするか、、、現在、どうやら「チョウ目」が主流なようなのですが、さしたる根拠があるわけでもなく、単に語呂が良いからだと推察しています。

さて、「蝶」と「蛾」ですね。

この表現は、実は成り立ちません。

以下に記す様々なことも含めて、このブログで記す内容は「そんなこと誰でも知ってるよ!」と言われそうに思いますが、チョウ愛好家に向けて記事を書いているのではなく、一般の人たちに読んで貰うことに重点を置いています。“(一部の人々にとっては)誰でも知っている”事ではあっても、トータルに見渡せば知らない人のほうが多い、と言う事もあると思うので。

「蝶」と「蛾」の関係は、「東京」と「日本」の関係(「パリ」と「フランス」の関係でもよい)と理解して頂いて良いかと思います。「蝶」は「蛾」の一部なのです。「チョウ」は「ガ」であるけれど、「ガ」は必ずしも(と言うか大半は)「チョウ」とは限らない。

沢山の(無数とも言えそうな)種類から成る「ガ」の中の、ごく一部を「チョウ」と呼んでいます。「科学的な根拠に拠る」と言う事では無く、通例としての無条件選択(僕もそれが悪い事だとは思ってはいません)ですね。

「蝶」に相当する系統分類上のある程度の纏まりはあって(ただしその活用が承認されるなら他の幾つかの「蛾」の任意の纏まった分類群にも、「蝶」同様に「蛾とは違った」名前を付けねばならないわけですが、少なくても日本ではそのような例はありません)、学術上の定義で言えば、「セセリチョウ上科」と「アゲハチョウ上科」を併せた一群が、「蝶」とされているわけです。

前者(セセリチョウ上科)は単独でセセリチョウ科Hesperiidaeから成り、後者(アゲハチョウ上科)は複数の科を包括しています。すなわち、アゲハチョウ科Papilionidae、シロチョウ科Pieridae、タテハチョウ科Nymphalidae(以前は「マダラチョウ科」「ジャノメチョウ科」ほか多くの科に分けられていた、シジミチョウ科Lycaenidaeなどです。

欧米文化圏で「パピヨン」または「バタフライ」と呼ばれるのは、アゲハチョウ上科の種だけで、通常セセリチョウは含まれません(「スキッパーSkipper」と呼びます)。従って、セセリチョウを蝶の概念から除外する人がいても、何ら不思議はないわけです。

ちなみに、“「蝶」とは「セセリチョウ上科」と「アゲハチョウ上科」から構成される「ガ」の一部である「チョウ」という概念の一括りの分類群”と書きましたが、正確にはもう少し補足が必要です。それは、比較的近年になって、「シャクガモドキ」というごく地味な、まあ、いわゆる「ガ」の一群が、系統分類上の「チョウ」(「セセリチョウ上科」と「アゲハチョウ上科」を組み合わせた集合分類群)の中に組み込まれたこと。

いわゆる「ガ」のひとつが「チョウ」の中に加えられたわけですね。

シャクガモドキの存在はさておき(というか、蝶コレクターとかは、その存在を無視する人が多いのではないでしょうか)、蝶は「アゲハチョウ上科」の種と「セセリチョウ上科」の種から成っているわけですが、セセリチョウを(シャクガモドキ共々)切り離して、アゲハチョウ上科だけを“純粋な”「蝶」と見做す人がいても、
なんら問題はないわけです。

ところが、そうもいかない事情も、、、。

「アゲハチョウ上科」と「セセリチョウ上科」と「シャクガモドキ上科」の相互の位置関係については様々な見解があり、最近は、(シャクガモドキ上科の存在はともかくとして)次のような見解もあるわけで。

アゲハチョウ科以外のアゲハチョウ上科に含まれる各科が、アゲハチョウ科よりもセセリチョウ上科に類縁的に近い。

アゲハ(パピリオ、パピヨン)はチョウの代名詞でもあります。一般論としては「アゲハ=チョウ」と言っても大きな間違いではないくらいです。しかし、この見解が正しいとすれば、「アゲハはチョウではない」、ひいては「チョウはチョウではない」ということにも成りかねません。

話を戻します。

「日本の蝶」シリーズをブログで書いて行くに当たり、通例に従ってアゲハチョウ科から始めることにしました。ギフチョウからスタートすべきなのですが、しかしアパート周辺地域には分布していません。それで、通常の日本の図鑑では、ギフチョウの次に紹介されているウスバシロチョウから始めることにしたのです。

それが(別に思惑とか理由とかがあったわけではないのですが単なる成行きで)2回目からセセリチョウ科の種になってしまいました。ある意味では「本来採るベき順番*」に収まったとも言えます。

*もっとも、先に書いたように、アゲハチョウ科を(セセリチョウ科をも含めた)「蝶」の中で異端的な(側系統の)存在と見做すなら、アゲハチョウ科でスタートしてセセリチョウ科をラストに置くという並びも、理に適っていることになります。

いずれにしろ、一般例(=日本でも中国でもヨーロッパでもアメリカでも、通常図鑑のラストはセセリチョウ科で、その末尾はイチモンジセセリやチャバネセセリなどのゲゲネス類)とは逆の、セセリチョウ科から再スタートすることにします。前回にオオチャバネセセリについて述べたので、引き続き同じゲゲネス類の、イチモンジセセリ属、チャバネセセリ属、ユウレイセセリ属について記して行きます。

眠たいので、今日は部屋に帰って寝ます。以下は、明日のブログで。



2005.6.23 雲南省麗江(本文とは無関係)












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2021.7.5 日記

2021-07-05 20:42:46 | コロナ 差別問題と民主化運動 日記


★7月4日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。


僕は、ここんところ、自分が低知能(いわゆるバカ、かっこよく言えば「発達障害」とかも入るのかな?)だということをアピールしているのですが、決してポーズではありません。本当にそう思っているのです。いわゆる“メンヘラ”とかに分類されるのかも知れませんね(笑)。

そのうえで、「知能が高い」「低い」とはどういうことなのか?そもそも「知能」とは何なのか?と言う命題を「低い方の側」から考えてみよう、と思っています。

最近(コロナ問題がスタートしてから)、つくづくと思うのですね。
学問とは何なんだろう。教育とは何なんだろう。進歩とは何なんだろう。発展とは何なんだろう、、、。
理論とは?証明とは? いろんなことに、疑念を懐いています。

・・・・・・・・・・・・・・・・

繰り返しますね。僕はマスクはしません。別に、「経済復活」のためじゃないです。何度もバカの一つ覚え(本当にそうかも、笑)のように言うけれど「人類の未来」のためにです。

しろ!と命令されたら、しますよ。でも、「ご理解とご協力をお願いします」と言われても、理解できないことは理解できんのだからしようがありません。「ご協力をお願い」されれば、まあ応えてあげることはやぶさかではないですが。

ということで、人がいない所では、(どんなに面倒でもいちいち)マスクを外しています(笑)。原則2m以内に人がいるときと、対面するときに限り、マスクしてます(理解は出来ないけれど、一応“お願い”には応えている)。

ワクチンは打ちません。別に副作用云々の話ではありません。こっちも「人類の未来」のためです(あと、三世とジョージが「打っちゃダメ!」というので従っている)。まあ、命令されれば打ちます(打たなければ日本出国出来ないときとか)。

だって、これまでだって、「新型ウイルス発症」でいちいちワクチンなんて打ってなかったでしょう? なんで今回だけ「ワクチン接種必須」なのか、理解できない。

昨日、3か月半ぶりに、銭湯(河辺温泉)に行きました(体は毎朝夕お湯沸かして洗っています、お湯は少しずつしか沸かせないので約一時間かかる)。

以前にも何度か書きましたが、相変わらず、入口3mはマスク必着(受付の段階でつけてないと入浴を拒否される)、中に入れば必然的にマスクはとります。

若者が、大声で喋りまくっています。

そのうち、入浴時もマスクを、と言う事になるのかも知れないですが、それは無いでしょう。あんな湿気の高いところでマスクなんかしていれば、別のシチュエーションで感染しまくりになると思います。

じゃあ、どうすれば良いか?

「感染防止」とかを真面目に考えれば、マスクなし入浴も、マスク入浴も、両方ダメですね。

原則論貫くなら、銭湯廃止です。そもそも、銭湯と言った(ある意味非常に不衛生で破廉恥な)「日本文化」が成り立っていること自体が、おかしいのです。僕は「銭湯大好き人間」なので、廃止されたら困りますが、、、。

でも「日本文化」は廃止されないでしょうね。自分とこの文化は認めても、他文化は拒否する(入れ墨入浴禁止とか)国ですから。

じゃあ、どうするのか。有耶無耶にしちゃいます。「コロナ問題」の結末(結末が見出せないという結末)は、最初から決まっています。最終的には「無かったこと」(基本的に「ただの風邪の延長」であることを認める)にしてしまう。そのうちに「感染」というキーワード自体が、どこかにフェイドアウトしていくと思います。

そして、全ての責任を(何はともあれ)「武漢」に押し付ける。何はともあれ「民主主義」と「科学」が「正義である」と、平然と居直る。

僕は「コロナウイルス問題発生(その認知)当日」から、そのことを言い続けています。

当たりますよ。

ちなみに、昆虫とか植物の分野で、僕が提起実証した(それまでの定説と異なる)新しい見解も、全て当っています。最初は無視され、その後エリート研究者により「正規の形で」「科学的に」発表され、僕の言ったことは、無かったことにされます。過去の発言(ちゃんと文献上に残っている)を主張すると、「後追いのパクリだ」「素人の言うことは無視」と誹謗中傷され、様々な分野で、それが無数に繰り返されているのです。

で、唐突ですが、手塚治虫。もちろん、僕の場合と同列には扱えない(能力の量が天と地の差なので、この話題と並べるのは余りに烏滸がまし過ぎる、ということを承知している)のですが。彼の(その時点での未来の事を書いた)作品は、今のところ全部当たっていますね。

とりあえず、「ロジカル」「エビデンス」が見出されねば「陰謀論」にしちゃう。後にそれが当たれば、「科学の勝利」にすり替える。

この間、青梅の森で撮影中、数学者で画家で音楽家のお婆さん(僕よりちょっと下)にお会いしました。「数学は学問ではなく芸術です」と仰っていました。僕もその通りだと思います。

追記:

僕は、政府の味方でも、反政権の味方でも、マスコミの味方でも、有識者たちの味方でも、大衆の味方でもありません。人類の味方です。「大衆」は最大の敵ですが、個々の人間は好きです。

先日、愛宕山の頂上で、偶然出会ったM氏と延々とお喋りしていたのですが、M氏が次のような要旨を言っておられました。
>世間が、空気の流れだけで、WHOのデドロス事務局長を「悪者」に仕立て上げ、そのことで結局しっちゃかめっちゃかになってしまっている。今回の「コロナ騒動において」最も憂慮することのひとつだと思う。

・・・・・・・・・・・



適当に選びました。たまたまパソコンの画面にあった、結構好きな写真です。
四川省宝興県ロンドン-東拉渓谷 2010.8.6






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2021.7.4 日記

2021-07-04 20:31:52 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然


★7月3日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。


大谷選手の話題から始まる、かなり難しく複雑な話を書くつもりでいたのですが、、、それを後回しにして(関連はあるのだけれど)非常に気になる記事があったので、それを先に紹介しておきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絶滅危惧種のタガメ、田んぼで発見、さいたま市でなぜ


こちらも、(様々な“思惑”が入り混じった)非常に難しく、複雑極まりない話になります。
僕も、ごく短いコメントを入れておきました。

>林正美氏の意見を聞きたいです。よろしくお願いします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4月8日に書こうとしていた「マルバアオダモと里山‐雑木林」の話から始めねばなりません。

その前に書くつもりでいた、(去年モニカが送ってくれた)『マルバアオダモと同じトネリコ属が或る意味主人公となる、「武漢ウイルス」関連で帰国指令を受けた、アメリカのメジャーメディア記者の感想記事』 の翻訳も書かねばならない。こちらは「大谷選手の話題から始まる難しく複雑な話」に関連してきます。さらに言えば「オコエ(妹さんのほう)選手の話」「青葉被告と主治医の話」にも。

僕の中では、アパートの裏山も、蝶も、アメリカンポップスも、明治文学も、コロナとマスクとワクチンも、香港デモも、差別問題も、、、、全部繋がっているのです。でもそれを有機的に結び付けて表現する力が僕にはない。それが悔しいです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

W.H.Evans「A catalogue of the Hesperiidae from Europe, Asia and Australia in the British Museum」

部屋の中の100箱余の段ボールのどこかに入っています。探し出そうと重い段ボールを幾つか移動したら、腰と背骨と胸を痛めてしまったので中断。

それをインターネットで見つけました。「ユーラシア大陸編」の502頁が全て復刻紹介されています。これも悔しい(本は日浦勇先生の遺品なので、それを活用したい)ですけれど、とりあえずこっちを読もうと、一日がかりで一頁づつパソコンに取り込んでいるところです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一枚ぐらい写真入れといた方が良いみたいなので、適当に出てきたものを(これ、去年のです)。




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日本の蝶(その3) オオチャバネセセリ[下] 補遺

2021-07-03 20:35:17 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶


★7月2日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。



大谷君、また連発(このまま60発越え行きそうです)で、盗塁にサヨナラ走塁、もう何がどうなっているのやら。。。。明後日は27歳の誕生日かな?

阪神中谷ソフトにトレード(仁保を貰った)ですね。両チームにとって(両選手にとっても)かなり良いウインウインのトレードだと思います。ネットで「中谷頑張れ!」の声が多数あるのは嬉しいですね。まだ28歳ですから、チャンスさえ貰えれば、大化けするはずです。

、、、、ちなみに、高山、貰い手あるんだろうか(;´д`)

・・・・・・・・・・・・・・

このブログの原稿は、猛スピードで(かなり無責任に)書いているので、あちこちに間違いがあったりします。でも、ここんとこ(今年の東京としては)珍しく雨続きで、毎日探索に出ることもないので、翌日アップした記事を再チェックして、必要なところは訂正記事を書くことが出来ます。昨日の記事についての訂正と追記。

⓵末尾の部分(最後の付録5種の前)。「タイワンチャバネセセリ」「コモンチャバネセセリ」とあるのは、(それぞれ「オオ」が抜け落ちていて)「タイワンオオチャバネセセリ」「コモンオオチャバネセセリ」の間違いです。タイワンチャバネセセリはPelopidas sinensis、コモンチャバネセセリはPseudoborbo bevanii、それぞれオオチャバネセセリのPolytremisとは別属の種です。

で、それで一件落着と言うわけでもありません。更に「タイワンオオチャバネセセリ」の和名自体も、オオチャバネセセリ属ではなく、チャバネセセリ属のPelopidas conjunctaに冠された和名です。よって正しくは「オオチャバネセセリ台湾亜種」とされていた種には別の名をつけねばなりません。種の帰属がpellucidaのままなら「オオチャバネセセリ」で良いわけですが、大陸にも分布する別の種のzinaに組み替えられたとなれば、和名も別の種(zinaに相当する名前)に移す必要があるでしょう。

といって、別に海外産の種に和名をつける必要はないのですが、台湾産の蝶には原則全て和名(日本名)がついているし、このブログで写真紹介している主な種にも和名を付していることですから、何らかの名前をつけたい。でも、なかなか良い名前が思い浮かびません。中国名が「刺紋」となっているので「サツモンオオチャバネセセリ」あるいは中国語発音で「チ―ウェンオオチャバネセセリ」かな?

もっとも、中国名の命名基準は、属の所属が変わるごとに、中国名もそれに従って変わっていく*(日本も、そうなりつつある、、、それが「科学的」だと思ってるんだ)ので、ローカル名の持つ意味がなくなっているようにも思います。明治開化の日本みたく、なんでも西洋追従、理論的に、統制的に、、、と。

その西洋では、「赤い海軍大将」「お化粧した貴婦人」「紫の皇帝」、、、といったローカル名が堂々と昔から引き継がれているわけですから、結局、文化の成熟の程度が違うんですよね。(ステレオタイプ一辺倒の)中国や日本には、勝ち目がない、と思ったりします。

*PolytremisからZinaidaに属を組み替えられた場合、Polytremisを指す「孔セセリ(セセリの漢字を打ち出せない)」から別の「○セセリ」に替わるのでしょう。そこら辺は、どの研究者が最も力を持っているか、という事情で決まるわけです。

⓶後者論文の系統図のタッパンチャバネセセリとニセキマダラセセリを含む分枝の属名を、誤記してしまいました。共にZenoniaと記しましたが、正しくは、アフリカ産のニセキマダラセセリのみがZenoniaで、アジア産のタッパンチャバネセセリはZenonoidaです。「Zenonoida」 「Zenonia」「Zinaida」、、、、紛らわしいですね。

⓷後者論文で論議されている対象は、旧・Polytremis中の大多数の種を含むZinaidaとされる種についてのみで、それとは別属に置くZenoniaと狭義のPolytremisについては、Zinaidaとは異系統であることが示されている(タイリクタッパンチャバネセセリeltolaはZenonoidaとしてアフリカ産の別属Zenoniaと姉妹群を成し、Polytremisに残されたキモンチャバネセセリlubricansとの間には別属Itonシロシタチャバネセセリ属が割り込む)だけで、互いの詳しい関係性については特に示されていません。

しかし前者論文では、必ずしもタイリクタッパンチャバネセセリeltolaとキモンチャバネセセリ lubricansの関係性を、そのように位置付けてはいず、Zenoniaの属としての単系統性も確定はされていません。

僕が思うに、他のゲゲネス類各属各種の系統的位置関係を、改めて洗い直してからでないと、実態は見えて来ないのではないかと(そんなことは既に為されているのかも知れませんが)。

*例えば、雄交尾器の形状などからすれば、Caltorisの幾つかの種などはPolytoremisとの何らかの親和性があるような気がします。

*GegeniniあるいはBaorini、和名ならイチモンジセセリ族またはチャバネセセリ族、直訳するならGegeniniを採る場合アフリカチビセセリ族、Baoriniの場合はサシスネ(刺脛)セセリ族、ということになるのかな? まあ、そんなことはどうでもよくて、その時の気分で(前後の語呂とかの関係で、要するに適当に)「ゲゲネス類」「チャバネセセリ類」「イチモンジセセリ類」とか呼んで置いても良いだろうと思っています。

そのゲゲネス類について。
『Phylogenetic relationships of subfamilies and circumscription of tribes in the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea) Andrew D. Warrena, at all.2008』によると、次の14属から構成されているようです。
Prusiana Evans, 1937
Melphina Evans, 1937
Fresna Evans, 1937
Platylesches Holland, 1896
Brusa Evans, 1937
Zenonia (ニセキマダラセセリ属)Evans, 1935
Gegenes(アフリカチビセセリ属) Hu¨bner, 1819
Parnara(イチモンジセセリ属) Moore, 1881
Borbo(ユウレイセセリ属) Evans, 1949
Pelopidas(チャバネセセリ属) Walker, 1870
Polytremis(オオチャバネセセリ属) Mabille, 1904
Baoris Moore, 1881
Caltoris(ムモンセセリ属) Swinhoe, 1893
Iton(シロシタチャバネセセリ属) de Nice´ville, 1895
(Borboから分離されていたPseudoborboコモンチャバネセセリ属はBorboに戻されたのかな?)
前7属が主にアフリカに分布、後7属が主にアジアに分布します。これに新大陸産の幾つかの属(Sinapte、Calpodes、Saliana、Dubiella、Tharacidesなど)が、姉妹族として対応するようです。

この時点では、タイリクタッパンチャバネセセリの属するZenonoidaや、広義のPolytremisのうちの大多数の種が所属するとされるZinaidaの名は、提示されていません。

ちなみに、議論の本質とは関係ないでしょうが、分けるにしても(繰り返し記しますが)「Zenonia」「Zenonoida」「Zinaida」は、紛らわしすぎます(笑)。

⓸タッパンチャバネセセリは、「原名亜種eltola(一応「タイリクタッパンチャバネセセリ」と表記しています)と 台湾産亜種tappanaで、(エヴァンスの挿図で比較する限り)雄交尾器の形状が著しく異なる」と、白水図鑑に記されています。僕は今エヴァンスが手元に無い(段ボールの中、笑)のですが、他の幾つかの文献(例えば「The butterflies of the Malay peninsula」や「Butterflies in Indochina」)の添図をチェックした限りでは、それほどの差があるとは思えません(種レベルとしては微妙)。一方、ニセタイリクタッパンチャバネセセリdiscreta とは明らかに相違(見方によっては属レベル)します。

それらのことを含めて、雄交尾器を見る限りに於いては、Zinaidaの独立性(単系統性)の支持は困難なように僕は思います。もちろん、分子生物学的な解析のレソルトを、最優先して信用しなくてはならないことは分かっているつもりですが(その信頼すべき複数の解析結果自体が異なる、、、、)。

前回同定保留にしておいた写真3・4と写真5・6の種について。
「Butterflies in Indochina」(Polytremisとしてlubricansを含む3種、Zenonoidaとしてeltolaとdiscleteの2種が掲示されている) でチェックしてみましたが、結局分からなかった。ベトナム・サパの5・6は、たぶんどちらかに帰属すると思います。「Butterflies of Malay peninsula」や「Butterflies in Indochina」に添附されたdiscletaの雄交尾器図・写真は「中国のチョウ」で紹介したdiscleta雄交尾器の図に完全に一致しますが、5・6(後翅の白紋が一個少ない)の個体に関しては雄交尾器を検鏡していないので、判断がつきません(イメージ的にはdiscleta?)。3・4のほう(やはり雄交尾器は見ていない)は、外観的には両方とも違うような、、、(イメージ的にはeltola?)。

・・・・・・・・・・・

ネットで、色々な資料を調べていたら、今回取り上げた2つの論文の他にも、幾つかの報文を見つけました。
『Polytremis属の分子系統学研究(上海大学2013)』
『Molecular Phylogeny of the Butterfly Genus Polygonia(Hesperiidae,Hesperiinae,baorini)in China』
『中国及び周辺地域セセリチョウ亜科分子系統学研究(百度文庫2020)』
等々。
それらについてのチェックはまだ行っていません。また機会があった時に言及しようと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後に、僕が知らなかっただけなのでしょうが、、、、。

台湾産の蝶に関しては、杉坂美典さんという方(来週69歳になる男性)の、これはもう「凄い!」としか言いようのない(大谷君レベルです)驚愕のH.P.が紹介されています。

台湾の蝶 <セセリチョウ科- セセリチョウ亜科2>


大谷君といい、杉坂氏といい、世の中には想像を絶する凄い人がいるもんだ、と、つくづく思います。

*台湾には5種のオオチャバネセセリ属の種がいるようです。白水(1960)で紹介された「オオチャバネセセリ」「キモンチャバネセセリ」「タッパンチャバネセセリ」「キライザンチャバネセセリ(標本図なし)」のほかに、Pelopidas theca fukia(昨日紹介した「前者論文」ではthecaとfuciaは明らかな別種とされています)。そして、既述したように、白水では(一頭の雌標本から)オオチャバネセセリpellucidaと同定された個体は、大陸産のzinaに帰属します。その和名をどうするかについて考慮していたのですが、杉坂氏のH.P.には「トガリオオチャバネセセリ」となっていたので、それを踏襲することにします。

・・・・・・・・・・・・

昨日アップした、四川省大邑原生林のChrysozephyrus sp.の写真が、かなり甘いように思えるので、ややシャープネスをかけた写真を再掲しておきます。








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日本の蝶(その3) オオチャバネセセリ[下]

2021-07-02 21:10:55 | コロナ、差別問題と民主化運動、蝶



 
インターネットで最近のオオチャバネセセリ関係の報文を探してみました。とりあえず2つの論文を見つけました。
 
Taxonomic status and molecular phylogeography of two sibling species of Polytremis(Lepidoptera:Hesperiidae)
 
Sistematics of the genus Zinaida Evans,1937(Hesperiidae:Hesperiinae:Baorini)
 
前者は2016年、後者は2017年の発表で、共に中国人研究者によります(前者は8人、後者は6人の共同著述で、後者には前回述べた日本人のC氏が加わっています)。
 
前者の主題は、特定の2つの種の分類で、それに伴ってPolytremis属全体の系統関係の構築がなされています。
 
後者は、Polytremis属を、Zinaidaを含めた幾つかの属に分割するという提案(事実上の決定事項)です。大多数の種の標本図、雄交尾器図、分布図が示されています
 
いずれも、分子生物学的手法を使った系統分類で、論文中の語句をそのまま示すと、前者は“the evaluation of mitochondrial and nuclear DNA markers”、後者は、“inferred based on regions of the mitochondrial COI-COII and 16S and nuclear EF-1α genes (3006 bp)”という手法に基づいているようです。頭の悪い僕にはよく分からんのですが(笑)、いわゆるDNAによる解析ですね。
 
取り上げたPolytremis属(後者論文では“従来のPolytremis属”)の種数は、共に16種。ただし、1種だけメンバーが異なり、Polytremis eltola(Zenoia eltola)の同一群の種(のひとつ)に、前者ではPolytremis discreta* が、後者ではZenonia zeno**が示されているので、Polytremis全体として挙げられた種数は17種、また後者には、(Polytremisが単系統ではない根拠の一つとして)従来の広義のPolytremis属を認めた場合それに併合されることになる別属種のIton semamoraも系統図上に示されているため、それを含めると登場種は総計18種ということになります。
 
*僕が「中国のチョウ」で“ニセタイリクタッパンチャバネセセリ”として紹介した種(詳細については後述)。
**アフリカに広く分布するキマダラセセリにそっくりな種(Orange-spotted skipper)。この論文では、Polytremis eltolaタイリクチャバネセセリ(や近縁数種?)も、PolytremisからZenoniaに移されています。
 
ざっと整理をすると。
 
前者論文では、後者論文が大多数の(広義の)Polytremis属の種とは異系統の別属の(すなわち狭義のPolytremis属の)種として位置づけるキモンチャバネセセリlublicansも含めるなど、従来のPolytremisをそのまま生かして、属を再構築しています。Polytremisは(広い範囲で捉えれば)単系統属と見做されるわけです。
 
それに対し、後者論文*では、Polytremisの模式種であるlublicans(=Gegenes contigua)のみを真のPolytremisと見做し、他の全ての(従来一括してPolytremisに含まれていた)種を、別属に移しました。狭義のPolytremisと、そこから区別された各種との間の系統上の位置に、別属とされるIton属の種が割り込みます。したがって従来の概念でのPolytremis属は、多系統群ということになります。
 
狭義のPolytremis(キモンチャバネセセリ)以外の各種は、更にZenoniaとZinaidaに属分割され、Zenoniaにはタイリクタッパンチャバネセセリeltolaやアフリカ産のzeno(Orenge-spotted skipper“ニセキマダラセセリ”)など数種(タッパンチャバネセセリやdiscletaもここに含まれると思われますが未確認)が属し、オオチャバネセセリをはじめとしたそのほか大多数の種はZinaidaに属します。
*現在の日本の「蝶界」の見解は、これに従っているようです。
 
ちなみに、後者論文でZinaidaに含まれているオオチャバネセセリpellucidaは、前者論文の分類体系に従えば、後者でZinaidaとされる大多数の種の分枝(branch)ではなく、lubricansやeltlaと共通の分枝に属しています。また、Zinaidaに相当する各種の系統上の組み合わせも、前者と後者では大きく異なります。
 
僕としては、どちら見解が正鵠を得ているのか、知る由もありません。
 
具体的な指摘は略しますが、、、、後者論文に示された、雄交尾器の比較に見る相関性と、DNA解析の結果は、多くの組み合わせで(姉妹群とされるペアも含めて)一致していません。それも(形態と系統が一致しない事は何ら不思議ではないとしても)、、、、もうひとつ納得が出来ないでいる所以です。
 
分子生物学的な(DNAの)解析結果が「正解」である、ということに異論をさし挟む気はないのですが、複数の異なる「正解」が示されている以上、結論は控えたいと考えています。
 
オオチャバネセセリに関する最初の(6月17日の)ブログ記事に、「DNA解析に基づいて、幾つかの属に細分されているわけですが、ただし広義のPolytremisは、必ずしも多系統群という事でもなく、オオチャバネセセリを狭義のZinaidaに置くか、広義のPolytremisに含めるかの選択は、研究者の見解ごとに可能かと思われます(ここではPolytremis pellucidaとしておきます)」と記しました。でもその後は僕もZenaidaを使っているのですね。やはり暫定的にPolytremisにしておいた方が良いかな?という思いもあります。
 
根拠、というほどの意見はないのですよ。でも、幾つかの“想うところ”はあります。
 
まず、オオチャバネセセリ属が含まれる上位分類群の「アカセセリ族」「イチモンジセセリ類」についての記述を「中国のチョウ」(1998/東海大学出版会)から再掲しておきます(362-363頁)。
 
アカセセリ族:Evansの(K)(L)(M)、川副のアカセセリ亜科第3セクション、最も典型的なセセリチョウの仲間である。翅は横長で、前翅長と後翅肛角が突出し、頭部が大きくて胴体も太く、前翅長は1.5㎝前後、褐色の地に白斑を持つか黄褐色のまだらとなる。EvansのK、L、Mに相当する、アカセセリ、キマダラセセリ、イチモンジセセリの3群に大別され、川副も3群を同一セクションに含めたうえで、それぞれを独立のグループとして扱っている。ここでは他とのバランスを考えて3グループを1族にまとめたが、それぞれを独立の族とする処遇がむしろ妥当かも知れない。
 
イチモンジセセリ類:Evansの(M)、川副のアカセセリ亜科第3セクション、チャバネセセリ群。褐色の地色に白斑を配した地味な翅をもつ、最もセセリらしいセセリである。しかし、世界の熱帯に200種余を数える本群のうち、2/3ほどを占める新大陸産には大型で美麗な種が多数あり、それらはピロピゲ族との並行的な相互類似現象と考えられている。アジア産に限れば、アトムモンセセリ属が17種(Evansによる)で種数が最も多く、以下、オオチャバネセセリ属Polytremis、チャバネセセリ属Pelopidas、イチモンジセセリ属Parnaraがそれぞれ10種前後、ドウイロムモンセセリ属Baoris、ユウレイセセリ属Borbo、シロシタチャバネセセリ属Iton、コモンチャバネセセリ属Pseudoborboは、1~数種のみの小属である。このうちチャバネセセリ属(雄前翅頂に性標をもつ)やイチモンジセセリ属(熱帯アジア山岳地帯に孤立した数種を含む)は属として極めて均質だが、オオチャバネセセリ属は異質の種の集まりで、将来属を幾つかに分ける必要性があるかとも思われる。ヨーロッパにはこの仲間は少ないが、南部にピグミーチャバネセセリGegenes pumilioなどアフリカチャバネセセリ属Gegenesの2種を産し、ゆえに一般には、ゲゲネス類と呼称されている。
 
私見を(「中国のチョウ」の種解説文と写真の再掲を交えながら)幾つか羅列しておきます。
 
【Ⅰ】
上記の後者論文でPolytremisからZenoniaに移されているタイリクタッパンチャバネセセリeltolaに関しては、前者論文では、また別の検証が成されています。すなわち、後者論文ではlubrarisのみを狭義のPolytremisとし、eltola, zenoをZenoniaに、そのほかの大多数の旧・Polytremisの種を Zinaidaとして、互いに遠い類縁関係に置きました。殊に、Zenonia+Zinaidaと狭義のPolytremisの間には、別属のIton属の種が置かれることで示されるように、直接の類縁を否定しています。一方、前者論文によれば、eltolaはlubrarisと極めて近い類縁性を有しています(種段階で相同のレベル?)。次いで、その両種の姉妹種としてdiscreteが置かれ、それらを含む分枝には、さらに後者論文でZenoniaに包括されているうちの一部の種(オオチャバネセセリを含む)も配置されています。すなわち、広くPolytremisとして捉えた場合は単系統であっても、Zenoniaに於いては単系統ではないことになります。それはともかく、僕はタッパンチャバネセセリeltola? ssp.tappana、タイリクタッパンチャバネセセリeltola、ニセタイリクタッパンチャバネセセリdiscreteの関係が把握し得ていません。少なくとも僕がEvansに従ってニセタイリクタッパンチャバネセセリdiscreteとした種に関しては、雄交尾器の構造(“オオイチモンジセセリ”のところで紹介)に、Zinaidaの多くの種と属単位での有意差はないと思うのですが。
↓「中国のチョウ」の解説文(366頁)を再掲しておきます。
 
346 ニセタイリクタッパンチャバネセセリ(新称) Polytremis discrete
白水(1960)は、台湾産のタッパンチャバネセセリPolytremis eltola tappanaを、大陸産の真のeltolaとはおそらく別種であろうと示唆している(白水のtappanaの挿図をEvansの原名亜種挿図と比べるとdorsumの概形は似るが、valvaのharpe腹縁は張り出さず、末端突起が著しく伸長する)。とすればeltolaの種小名は大陸産のみ使用されることになり、その和名を仮にタイリクタッパンチャバネセセリとしておく。本種はこれによく似たさらに別の種で、前翅中室と第二室の白斑が著しく大きく、雄交尾器も、uncusは基端が強く背向し後端が押しつぶされた状態、valvaは単調な横長の方形、phallusのperi-vesical area腹端から生じる骨片は、aedeagus本体から分離伸長し、後端が二分して鋸歯を伴うなど顕著な差が見られる。原名亜種はヒマラヤ地方からインドシナ半島にかけて分布し、中国大陸産は亜種feliciaに属する。分布域はかなり広くホンコン周辺から雲南、四川に至る。6月上旬(四川省峨眉山)と8月上旬(同・玉塁山)に、鬱閉した林内で、ともに新鮮な1雄を撮影している。D(226頁9、227頁7)
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
右がニセタイリクタッパンチャバネセセリPolytremis discrete
四川省峨眉山山麓、標高600m付近。1990年5月29日。
(中と左はミヤマチャバネセセリ、山東省煙台市近郊、標高300m付近。1994年4月18日)
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
右がニセタイリクタッパンチャバネセセリPolytremis discrete
四川省都江堰市玉塁山、標高700m付近。1991年8月5日。
(中はBaoris sp./右はCaltoris bromus)
 




Polytremis sp.
広西壮族自治区花坪原生林。2010年6月30日。
 




Polytremis sp.
ベトナム・サパ。2009年3月10日。
 
*上記4枚の種特定は、ブログアップの時間切れのため、あとで行います。
 
【Ⅱ】
両方の論文で共通して示されている解析結果は、オオチャバネセセリpellucidaとタイワンオオチャバネセセリzina(中国大陸南半部に広く分布し白水図鑑において1雌のみの記録が示されている台湾産オオチャバネセセリも後者論文に従うとzinaに属するようです)が姉妹種に位置づけられていることです。しかし、両種の雄交尾器を比較する限りに於いては、Polytremisとして両極の(正反対の)特徴が示されています。ことにオオチャバネセセリの雄交尾器の形状は、lubrarisやeltolaやZinaida各種を含む全てのPolytremisの種と(Gegenes群全体で見ても)顕著に異なります。これをどう解釈するか。
⓵通常、雄交尾器の形状がここまで相違していれば、近い類縁に置かれることは考えられません。しかし、ナガサキアゲハ群に於けるアカネアゲハのような例外もあります。このペアも例外のひとつかも知れない。
⓶遺伝的に近いと示されるのは、その情報処理の過程?で(平面上に)示されているに過ぎず、実質上の類縁は相当に離れている(ミヤマシロチョウ/チベットミヤマシロチョウの関係性と逆パターン)。
⓷オオチャバネセセリpellucidaの雄交尾器被検サンプルについては問題ない(川副の図も相同)のですが、zinaに関してはミスサンプルの可能性がある?
⓸そのほか。
雄交尾器の形状で判断する限り、オオチャバネセセリpellucidaが他の全Polytremisに対置するように思えるのです。
 
【Ⅲ】
後者論文ではZinaidaを単系統と見做した上で4つの小グループに分け、それぞれの種やグループ間の姉妹関係が示されていますが、matsuiiに関しては「材料不足」ということで、姉妹群の特定を保留しています。matsuiは1999年に日本人によって新種記載が為されていますが、これは疑いもなく、僕が「中国のチョウ」で、「Evansのカタログに見あたらない未記載種」“オオイチモンジセセリ”として生態写真と雄交尾器の図を示したものです。
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
オオイチモンジセセリ(オオチャバネセセリ属の未記載種) Polytremis sp.
左と中:四川省都江堰市青城山(標高800m付近)。1989年6月17日。
(右はコモンオオチャバネセセリ、大邑原始林、標高1700m付近、1991年8月9日)
 


「中国のチョウ」(東海大学出版会、1998)から転載
「オオイチモンジセセリPolytremis sp.」の雄交尾器図*
(1は、「ニセタイリクタッパンチャバネセセリPolytremis discreta」)
*ペニスのエデアグスに生じる骨片が片側しか発達しないのは、この種固有の特徴。
↓「中国のチョウ」解説文再掲(365‐366頁)
 
345 オオイチモンジセセリ(新称) Polytremis sp.
写真は、四川省都江堰市の青城山から青城山後山に向かう車道と川の畔の農家の間に形成された竹林(マダケ属)の葉上に静止していた雄。タイワンチャバネセセリPelopidas sinensisに似るが、後翅裏面基方の白斑を欠き、外側の4個の白斑はほぼ一列で、イチモンジセセリParnara guttataに類似する。表面の白い性標からは、チャバネセセリ属の種であることを思わせるが、雄交尾器を調べてみたところ、イチモンジセセリ属Parnaraでもチャバネセセリ属Pelopidasでもなく、オオチャバネセセリ属Polytremisの種であることが判明した。一般にオオチャバネ属の種は性標を欠くが、キライザンチャバネセセリP.mencia(中国東北部、台湾?-後注:P.kiraizanaに要訂正)など2種(後注:4種)は性標持つ。しかしEvansの雄交尾器略図や記述から判断すると、本種はそれら性標を持つ2種ではなく、むしろ性標も欠き外観も異なるニセタイリクタッパンチャバネセセリにより近縁な、Evansのカタログに未掲の種であると思われる。雄交尾器はdiscreta同様tegumenの基縁が背方に突き出した“鶏冠”状だが、やや前後に長く、tegumen後端は鉤状に鋭く曲がる。Gnathos(後注:Gunathosと誤記=以下同)は良く発達し、後端が丸い鈍頭となって後方に突き出す。Valvaの概形はタッパンチャバネセセリP.eltola tappanaに類似しharpe末端が強く背方へ伸長して多数の小鋸歯を伴う。Phallusにはaedeagus本体後端から、左右の大きさが不対称な、鋸歯を伴った一対の長い骨片を生じる。Juxtaは大きく、強く骨化する。本書では種名を保留したうえ、表記の和名を仮称しておく。D(227頁1・2)
 
僕は新種(を含む新分類群)の記載には全く趣味がありません。競って記載に熱を上げている研究者や愛好家が滑稽に見えてしまいます。まあそれは僕の勝手で、きっとエリート研究者やお金持ちコレクターたちにとっては、最優先事項なんでしょうけれど、、、。それはそれでいいです。でも論文を発表する人は、先行の仕事を(それを発表した人間がたとえ非エリートであったとしても)、ちゃんとチェックして、敬意を表しておくべきではないんでしょうか?それを「当たり前のように」無視して平然としているのは、研究者である以前に、人間として失格なのではないのだろうか、と僕は思うのですがね(現在の大多数の研究者とか愛好家に当て嵌まります、日本の文化がそれを良しとする体質なので、仕方がない事なんでしょうけれど)。
 
【Ⅳ】
1998年の「中国のチョウ」刊行時点で僕が撮影したオオチャバネセセリ属の種は、上記「ニセタイリクタッパンチャバネセセリ」「オオイチモンジセセリ」に加えて、もう1種あります。ただし1個体のみの撮影、雄交尾器のチェックも成していません。その時点では、暫定的にオオチャバネセセリの亜種としておきました。
↓「中国のチョウ」の解説文(365頁)再掲
 
344  コモンオオチャバネセセリ(新称) Polytremis pellucida ssp.
オオチャバネセセリ属Polytremisは、Evansによると東アジア~東南アジアに11種が知られているが、川副・若林(1975)が指摘するように、その実態はいくつかの異なった自然群の集合体である可能性が強い。このうちluburicans, eltola, tappana, discretaおよび“オオイチモンジセセリ”などは、雄交尾器の形状から見て明らかに一自然群に属するが、少なくてもオオチャバネセセリP.pellucidaは雄交尾器の構造が明らかに異なり、上記諸種とはかなり類縁的に離れた存在であると考えられる。四川省大邑原始林内の渓流に沿った登山道脇で、イチモンジセセリParnara guttataとともに、キイチゴ属の花に吸蜜に来ていた写真の個体は、大型で前翅長は2㎝に達し、翅型はやや幅広く後翅肛角はあまり突出せず、裏面地色は暗色で後翅には丸味を帯びた小点列が白く浮き立つ。白水(1960)に図示された台湾産オオチャバネセセリによく似ている。亜種(Evansによると中国大陸では東南部の福建省に亜種quantaが知られているが、本個体の斑紋構成はその記述に合致しない)の帰属を保留したうえで、暫定的にpellucidaに含め、表記の和名を与えておく。(D227頁3)
 
その後、2009年に、上記と同じ場所(四川省大邑原生林=西嶺雪山中腹)で、多数の“コモンオオチャバネセセリ”を撮影しました。それらの個体は、上記の後者論文の標本サンプルに照らし合わせると、Polytremis (Zinaida) nascensに相当します。外観上の固有の特徴は、前翅表中室の白斑が1個であり、1b室中央付近から内縁寄りに、分断された性標の痕跡とも、性標の位置にたまたま(?)出現した微小な通常斑紋ともとれる、断続的な白斑が認められることです。上記論文に示された雄交尾器をチェックした限りでは、全体的にはZinaidaとして(ニセタイリクチャバネセセリなどを含む広義のPolytremisとしても)一般型。Phallusのaedeagus末端からは鋸歯を伴った一対の突起が良く発達し、suprazonal-sheath内部にも明瞭な骨片塊*が生じます(*Zinaidaに含まれる種には存在する種としない種がある)。固有の特徴は、valvaのharpe末端がampullaを覆う鍬状突起となることに加え、その基方にもう一つ大きな鍬状突起を生じることです。
 
















コモンオオチャバネセセリPolytremis nascens。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山に同じ:標高1700m付近)。
 
【V】
なにしろ僕は、オオチャバネセセリやPolytremis属については、全く知識がない、と言っても過言ではありません。同定に関しても、(知識を持っている人なら)誰でも知っていることを、分からないでいるのかも 知れない、ということを断っておきます。
 
この2009年8月7日(この時はオオスジグロチョウの撮影がメイン)、大邑原生林(西嶺雪山)の標高1700m付近の渓谷に咲く“オオアジサイ(通称Aspera=中国を代表する野生アジサイのひとつ=それについては過去ブログで詳しく記述しているので参照されたし)”には、上で紹介した多数のPolytremis (Zinaida) nascensのほかに、別のオオチャバネセセリ属の種も訪れていました。
 
前翅表中室に2個の大きな白斑があり、下の一個がオオチャバネセセリでは第2室の白斑に向かってほぼ直線状(緩く「く」の字状)に続くのですが、本集団では、大きく外れます。我ながら情けないことに、この種の特定が出来ないでいます。以下、お門違いの見解だと恥ずかしいという前提で、可能性としては4つ。
[1] nascensの雌ってことはないでしょうか?他のPolytremisの種は雌雄同型のはずだけれど、Hesperiaなどは雌雄異形だし、もしかすると、という可能性(まあ違うでしょうが)。
[2] 次に、これも違うと思いますが、lubricansキモンチャバネセセリ(中国各地に普遍的に分布)の可能性は? 実はlubricansの外観的特徴は、他のPolytremis(Zinaida)の数種とよく似ていて、僕は区別点を把握していません。一応、白水図鑑などによると、後翅の白斑が、(いわゆるZinaida属する)他の類似各種のように4個並ばず、上半分(概ね2個)だけで下半分を欠く、と言う事なのですが、ここで撮影 した個体に関しては、どちらとも言えないのです。真正のPolytremisの唯一の種とされるlubricensキモンチャバネセセリは、中国ではごくポピュラーな種なので、これであっても良いような気もします。
[3][4] でもまあ、普通に考えれば、やはり(後者論文で)Zinaidaに所属するのどれかの種でしょうね。その場合、オオチャバネセセリの姉妹種とされるzinaなのか、それとはかなり離れた系統関係に位置するgiganteaなのか、僕には判別不能です(一応zinaとしておきますが)。
 
それにしても(【Ⅱ】で記したように)、雄交尾器の形状が対極の、オオチャバネセセリpellucidaとタイワンオオチャバネセセリzinaが姉妹群であることを、2つの論文とも示しているわけで、、、今後より詳しい検証を行っていきたいです。
 














タイワンチャバネセセリPolytremis zina。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山:標高1700m付近)。
*上写真の下個体、上から2枚目の右個体、4枚目の左個体、5‐6枚目の右個体は、コモンチャバネセセリ。
*この場所では、コモンオオチャバネセセリとタイワンオオチャバネセセリのほかに、ゲゲネス類の種としては、イチモンジセセリParnara guttataも撮影しているはずですが、写真が見つからないので、今回は割愛します。
 
・・・・・・・・・・
 
前回のブログで、同じオオアジサイに訪花するホタルガの写真を紹介しました。他にもこの場所では、多数の蝶を撮影しています。その一部を紹介しておきます。
 


ニセアオバセセリChoaspes xanthopogon。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山)。
*詳細については「中国のチョウ」を参照願います。
 


マガリバセセリApostictpterus fuliginosus。2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山)。
最も不思議な翅を持つ蝶のひとつです。前翅の先半2/3辺りのところで、外側に折れ曲がっています。異常型ではなく、これが正常な姿なのです。大抵の人は採集後に展翅して翅を平らにしてしまうので、その特異さが気付かれていません。僕は、この蝶の持つ特異さに注目すべきであると、以前から言い続けている(「海の向こうの兄妹たち・下巻」などに詳しく記述)のですが、全く無視されたままです。
 




オオスジグロチョウPieris extensa(上写真雄/下写真雌)2009年8月7日。四川省大邑原生林(西嶺雪山)。
一見、同地にも混棲する、エゾスジグロチョウPieris napiの近縁種(例えば日本のスジグロチョウPieris meleteなども同様)のように思えます(実際多くの文献でそのように記されている)が、それとは類縁が全く離れた、この地域に固有の、特異な位置づけにある種です(分布圏はジャイアントパンダのそれとほぼ重なります)。詳しくは「中国西南部の蝶②シロチョウの仲間」を参照してください。
 


キンイロフチベニシジミ Kulua blahma 大邑原生林、標高1800m付近、2011年7月17日
「中国のチョウ」で、僕が最も力を注いで記述したのが、ベニシジミの仲間(シジミチョウ科ベニシジミ族)です。しかし、全く無視されています。その後「中国西南部の蝶①ベニシジミの仲間」として単行本化し、自主制作販売を行ったのですが、やはり完全無視されたままです。無視されるのは、それでも良いのですが、僕が発表した見解と同様の意見を、後に「正規の研究者」が発表し、僕の先行した仕事が、逆に「盗作」扱いされたりします。そんなことは有ってはならないと思うのですが、(繰り返し書きますが)それが平然と許されるのが、日本の情けない「文化」なわけです。
 
ベニシジミの仲間とキンイロフチベニシジミに関しての、幾つかの重要事項を、箇条書きで留めておきましょう。
 
ベニシジミ族を、「ベニシジミ節」と「ウラフチベニシジミ節」の2つのセクションに大別する、という見解が主流です。しかし、基本的な構造は、両者で大きく異なっているわけではありません。そもそも「ベニシジミ節」自体が単系統ではないし、「ウラフチベニシジミ節」の固有の特徴とされる形質も、限られた種(ウラフチベニシジミとその近縁数種)が相当するだけです。両者を合わせて、改めて総体的に俯瞰すべきです。
 
ベニシジミの仲間の分類に於ける、最も重要な指標形質は、雄交尾器のjuxtaという部分の構造です。他の蝶に見られない、独特で非常に複雑な構造を持っていて、マクロ写真でも、単純な図でも表現することが難しいのです。しかし、そこに当たらない限りは、形態による系統分類には取り組めません。
 
日本のベニシジミもそうですが、ベニシジミの仲間は、季節によって翅型や斑紋などが大きく異なります。そのことから、種の特定が誤って為されている場合が少なくありません(具体例は割愛)。
 
キンイロフチベニシジミは、外観が顕著に異なる(かつ同所的に分布することもある)フカミドリフチベニシジミと、雄交尾器の形状が、ほぼ相同です。その意味するところは、、、、、以下、学名とかを含めて、時間がないので省略。
 


メスアカミドリシジミ属の一種 Chrysozephyrus sp. (大邑原生林、標高1800m付近、2011年7月17日、上のキンイロフチベニシジミ撮影時、カメラの10㎝ほど下に止まっていた)
*種解説は、話が長くなるので省略。







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