青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-70(とりあえず最終回)

2021-04-17 21:07:44 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
ヘツカリンドウSwertia tashiroiについては、既に何度も繰り返しこのブログで紹介してきた。
 
古い自分のブログのチェックは大変に困難で、細かくは追認出来ないでいるが、確か最初は「2006.11.6屋久島モッチョム岳‐アズキヒメリンドウ」という表題で20回ほど続けたと思う。
 
その後2011年に「屋久島および伊平屋島のヘツカリンドウ(アズキヒメリンドウ)について」、今年に入って「中国のリンドウ(竜胆Gentiana)のこと‐Ⅲリンドウ科センブリ属アケボノソウ組ヘツカリンドウ種群の分布」等々、それぞれ数回~10数回に亘って、かなりの数の写真と資料を紹介し、解析を行ってきた。
 
しかし、どうやらほぼ全く無視された状態であるように思われる。
 
ごく一般の自然愛好家のブログに紹介されている、沖縄本島や奄美大島や屋久島や大隅半島でのヘツカリンドウ観察記は、相当数にのぼるようである。どれも結構素敵な写真と記事だと思う。コメントとかイイネとかも沢山貰っているようだし(僻み、笑)。プロ仕立てのブログで見た目もかっこいい。
 
僕のは、あや子さんの手作りなんで、その辺りは見劣りするのも仕方がないと思うけれど、そっけなく出来ている分、中身はあると自負している。
 
他にネット上でチェック出来たのは、完璧に学術的な様式で発表されている、しかし学術的な意味があるとは全く思えない(末端の変異みたいなところだけを突いて本質的な問題には全く触れていない)「私たち学者が調査研究しましたよ」という、「論文」という入れもので飾っただけの学術論文がチラホラ。
 
今の日本の文化基準に従えば、見栄えのする「一般のブログ」パターンをとるか、形式を整えた権威ある学術論文にするか、どっちかに特化しなけりゃ、認めて貰えないのだと思う。
 
ちなみに、2015年には、計466頁737photosの電子書籍版(DVDに収納)『Some document about Swertia tashiroi complex 辺塚竜胆(沖縄千振、琉球曙草)と小豆姫竜胆(Gentianaceae)Ⅰ~Ⅲ』を、自然科学系図書通販を通じて発売したけれど、一冊も売れていない(従って引用されることもない)。「一冊も売れてない」というのも、考えてみれば凄いことではある。 *今年の1月に、このブログで一部を抜粋紹介。
 
ということで、今回再びヘツカリンドウの(大陸産近縁種に関する考察を交えての)総括を、「リンドウ」シリーズの末尾に纏めて置くつもりでいたのだけれど、どうせ同じ事の繰り返しになるだろうことを想えば、今更力を注ぐのは、億劫でしかない。
 
「集大成」は、今年の冬に日本の主な未チェック地域の確認を自分で行い、大陸産の観察・撮影をモニカに委ね、それを終えた時点で再構築を行ってからで良いのではないか、と考えている。今回は写真などはパスして、全体の(現時点での)大まかな総括に留めておく。
 
何度も繰り返し言うが、分類群の位置づけは、研究者や機関ごとに様々である。ここでは「中国植物志Flora of China」の見解を軸に、全体的なバランスを適当に判断して、その一例を示す。
 
注1:分類単位としては、科、属のほか、族、亜族(以上属の上位)、節、列(以上属の下位)を使用した。それぞれtribe, subtribe, section, seriesに相当するが、あくまで暫定的な処置であり、「中国植物志」そのほかで、それぞれ個別に採られている「亜科subfamily」「連(または族)tribe」「亜連(または亜族)subtribe」「組(または節)section」「系(または列)series」等への配分とは、一致するものもあれば、食い違う場合もある。そこらあたりの整合性を一つ一つ考えていると面倒なので、適当に進める
 
注2:主に日本に分布する種について述べた。数字は分かり易く説明するために付しただけで、検索表ではない。
 
Ⅰリンドウ(龙胆)科Gentianaceae →Ⅱ
>旧分類ではリンドウ科に含められることの多かったミツガシワ属などを分離(→ミツガシワ科)、別属とされていた南米産サッキフォリア属Saccifoliumなど4属?をサッキフォリア族(または亜科)Saccifolieaeとしてリンドウ科に加え、それ以外の全ての属をリンドウ族とした。茎に特殊な維管束部がある。苦み成分を持つ。
 
Ⅱリンドウ族Gentianeae→Ⅲ
原則として対生単葉。花冠は合弁で右巻きに重なる。雌蕊は2心皮。花粉は単粒(一個ずつ集合)。
>日本産としては、シマセンブリ亜族のシマセンブリCentaurium japonicumを除く全ての属と種がリンドウ亜族に所属。
 
Ⅲリンドウ亜族 →Ⅳ
子房は一室で、柱頭は二分裂。花粉表面に細かな模様がある。
>センブリ(獐牙菜)属Swertiaのほか、リンドウ(龙胆)属Gentiana、ツルリンドウ(双蝴蝶)属Tripterospermum、シロウマリンドウ(扁蕾)属Gentianopsis、ハナイカリ(花锚)属Halenia、チシマリンドウ(假龙胆)属Gentianella、サンプクリンドウ(喉毛花)属Comastoma、ヒメセンブリ(肋柱花)属Lomatogonium、ホソバノツルリンドウ(翼萼蔓)属の各種が含まれる。
 
Ⅳセンブリ(獐牙菜)属Swertia →Ⅴ
花冠は深裂し、花被裂片上に蜜腺溝がある。雌蕊柱頭は頭状で明瞭に二分裂。
3亜属sub-genus(「中国植物志」では「組」section)に分けられ、それぞれを独立の属と見做す見解もある。
 
Ⅴa ミヤマアケボノソウ亜属Sub-genus Swertia=獐牙菜组 Sect. Swertia
種子に翼がある。蜜腺溝は花被各裂片基部に2個、周囲に繊毛群を生じる。
>日本に分布する種:ミヤマアケボノソウSwertia perennis东北獐牙菜
 
Ⅴb チシマセンブリ亜属Sub-genus Frasera=异花组 Sect. Heteranthos 
種子に翼を欠く。蜜腺溝は花被裂片基部に1個づつ、周囲に繊毛群を生じる。
>日本に分布する種:チシマセンブリSwertia tetraptera四数獐牙菜
 
Ⅴc センブリ亜属Sub-genus Ophelia=多枝组 Sect. Ophelia →Ⅵ
>センブリ属の大半が本亜属に含まれる。ただしセンブリ属の模式種はミヤマアケボノソウなので、属を細分した場合には、狭義のセンブリ属の大半の種はSwertiaには含まれない。
 
Ⅵa センブリ節(*便宜上“節”とした)=多枝系 Ser. Ramosae
蜜腺溝は花被裂片の基部に2個づつあり、周囲を繊毛群が覆う。
>日本に分布する種:イヌセンブリSwertia diluta北方獐牙菜、ムラサキセンブリSwertia pseudochinensis瘤毛獐牙菜、センブリSwertia japonica、ソナレセンブリSwertia noguchiana
 
Ⅵb アケボノソウ節=腺斑系 Ser. Maculatae →Ⅶ
蜜腺溝(花被裂片の中央付近にあるものが多い)の周囲に繊毛群を欠く。前回にも述べたように、この特徴はセンブリ属全体を通して本節固有の形質であり、その独自性を鑑みるに、組section中の系seriesに置くのではなく、私見では、一つ上位の単位である独立の組section(または亜属sub-genus)を設けても良いのではないかと考える。それとともに、「中国植物志」では同じ(種以上の最下位分類単位である)「腺斑系 Ser. Maculatae」に含まれているアケボノソウとヘツカリンドウも、蜜腺溝の数に於いて、前者は常に2個、後者は基本1個、根生葉(ロゼット)は、前者で欠き、後者では巨大になること、などの明瞭な差異がある。そのことから同一の(最小分類単位の)「系series」に抱合するのではなく、(上記の処置に伴って繰り上げることで)それぞれを別の「系」 (あるいは更に上位単位の「組section」)に置いても良いのではないかと思う。ここでは、「中国植物志」での扱い(両者を共通の「系series」に纏めた)を踏襲したうえで、(「series」の日本語分類表記である「列」を暫定使用し)以下の3列に分割した。
 
Ⅶa アケボノソウ列(「中国植物志」に於ける「センブリ組アケボノソウ系」の一部)
大型の根生葉を欠く。蜜腺溝は常に二個で、花被裂片内面の中央付近に位置する。花被裂片内面の地色は白、先半部に濃色斑点群を散布する。
分布域:温帯(東アジア)
>日本に分布する種は、アケボノソウSwertia bimaculata獐牙菜とシノノメソウSwertia swertopsis。台湾高地にタイワンアケボノソウSwertia tozanensis搭山獐牙菜が分布するほか、中国南部産のSwertia hongquaniiなど数種が記載されている。
 
Ⅶb ヒマラヤセンブリ列(「中国植物志」に於ける「センブリ組アケボノソウ系」の一部)
大型の根生葉を欠く。花被裂片内面地色は一面の白色、蜜腺溝は常に一個で各裂片の基部につく。
分布域:温帯(ヒマラヤ地方~中国南西部)=ヒマラヤセンブリSwertia cordata 心叶獐牙菜
 
Ⅶc ヘツカリンドウ列(「中国植物志」に於ける「センブリ組アケボノソウ系」の一部) →Ⅷ
大型の幅広い肉質根生葉がある。蜜腺溝は原則一個(稀に二分)で、通常裂片の中央部付近に位置する(シマアケボノソウのみ基部)。色彩斑紋パターンは多様。
分布域:亜熱帯(日本南部、台湾、中国大陸南部)
>日本に分布する種は、ヘツカリンドウSwertia tashiroiとシマアケボノソウSwertia makinoana
以下、ヘツカリンドウ列に所属する各地域集団の分類上の振り分けは、(検索スタイルの使用を含め)やろうと思えば出来るだろうけれど、僕の任ではないので、特に試みない。
 
(仮に分子生物学的解析手法に拠っても)、4次元下の時間的要素を伴う複雑多様な(言葉では表現できない)系統関係の再構築は、3次元的「紙」や「インターネット」上で、為せるわけがない。あえてきちんと括ったり整えたりせずに、「だいたいこんな感じです」と、幼稚に(笑)進めて行くほうが、「誤魔化し学術的科学」(「エセ科学」の対置語です、笑)論文よりは、マシだと思っている。
 
いずれにしろ、ヘツカリンドウ「総括」は、今冬以降、南西諸島に於ける(色調や斑紋パターンなどの)検証空白地帯と、大陸産の実態をチェックしてからになる。
 
ということで、現時点で確認し得たヘツカリンドウ列の地域集団(の主に花被裂片の色彩斑紋)について、大雑把に整理しておく。
 
【】内の名
片仮名:(僕が仮称したものを含む)下位集団としての和名
漢字:中国名
アルファベット:現時点での学名(系統関係は反映されていない)
●は自分で調査撮影(▲は根生葉のみ)
 
Ⅷa~e
花被裂片内面は全面白地(外面も内面の色調と左程変わらない)、中央に丸い緑の蜜腺溝がある。
>大隅半島(甫与志岳~稲尾岳)【ヘツカリンドウSwertia tashiroi】
>奄美大島南部(加計呂麻島を含む)【ヘツカリンドウSwertia tashiroi(Swertia kuroiwae?)】
>沖縄本島中部(石川岳など)【ヘツカリンドウSwertia tashiroi(Swertia kuroiwae?)】●
>渡名喜島【ヘツカリンドウSwertia tashiroi(Swertia kuroiwae?)】
>久米島【ヘツカリンドウSwertia tashiroi(Swertia kuroiwae?)】
奄美大島南部産は、同島北部産の多様表現形質の集団に移行段階にある個体も含む。各地域産が遺伝的レベルで単系統上に位置づけられるかどうかについては不明。
*分布図:灰色
 
Ⅷf~g
花被裂片内面の斑紋・色彩は極めて多様(ただし地色が赤~褐色系になることはない)。外面の色彩も内面とほぼ同じ(内面地色が紫色の個体も外面は特に強く紫色は帯びない)。蜜腺溝は中央に位置し、二分する個体もある。
>奄美大島北部【リュウキュウアケボノソウ(アマミセンブリ)Swertia tashiroi(Swertia kuroiwae)】●
>沖縄本島北部【リュウキュウアケボノソウ(オキナワセンブリ)Swertia tashiroi(Swertia kuroiwae)】●
奄美大島産と沖縄本島産の表現パターンはかなり異なる。両地域産の系統上の相関性については不明。
*分布図:青色
 
Ⅷh
花被裂片内面の斑紋・色彩は沖縄本島北部の一部個体に似る。地色は濃青紫色、裂片表面先半部が濃色縁に覆われる。内面の紫色は外面には現れない。
>台湾南部【ダイカンサンセンブリ/大漢山当薬Swertia changii】
*分布図:緑色
 
Ⅷi
花被裂片の表面先半部に濃色斑点群がある。花冠内面の地色は濃赤色、外面は内面と異なり緑色。蜜腺溝は中央。
>屋久島【アズキヒメリンドウSwertia tashiroi】●
*分布図:紅色
 
Ⅷj
花被裂片の表面先半部に濃色斑点群がある。花冠内面の地色は赤~褐色、外面は内面と異なり緑色。蜜腺溝は中央。花被裂片の幅は通常やや広い。
>伊平屋島【エビチャヒメリンドウSwertia tashiroi(Swertia kuroiwae)】●
*分布図:赤色
 
Ⅷk~l
花被裂片の表面先半部に濃色斑点群がある。花冠内面の地色は紫色で外面も同色(蕾の時点で明瞭に紫色を帯びる)。蜜腺溝は中央。花被裂片の幅は狭い。
>中国大陸(広東省)【ムラサキヒメリンドウ/新店獐牙菜Swertia shintenensis】
>中国大陸(福建省)【ムラサキヒメリンドウ/新店獐牙菜Swertia shintenensis】
*分布図:紫色
 
Ⅷm
花被裂片の表面先半部の地色は白色、広く斑点群がある。基半部の地色は淡紫色。外面に紫色は現れない。蜜腺溝がやや基部寄りに位置する個体もある。
>台湾北部【シンテンアケボノソウ/新店獐牙菜Swertia shintenensis】
*分布図:薄紫色
 
Ⅷn~o
花被裂片の内面は、基部付近を除き白に近い淡紫色地で、広く散漫に斑点群。蜜腺溝は基部近くに位置し、その周辺は濃紫色を帯びる。外面は斑点群を欠く白に近い淡紫色。花被裂片の幅は広く、花冠は釣鐘状に開く。
>八重山諸島(西表島)【シマアケボノソウSwertia makinoana】▲
>八重山諸島(石垣島)【シマアケボノソウSwertia makinoana】
*分布図:桃色
 
Ⅷ character unverified
分布は確認されているが、色調や斑紋パターンについては未チェックの主な地域。
>甑島、種子島、黒島、口永良部島、口之島、中之島、諏訪瀬島、悪石島、宝島、徳之島、沖永良部島
*分布図:小さな黒丸
 

 


5「中国植物図像庫」収納写真/安昌氏撮影 
6「中国植物図像庫」収納写真/张粤氏撮影
7-8「中国植物図像庫」収納写真/孔繁明氏撮影
9引用ブログ:「ホタルの国から」(ti-da.net)
10引用元未確認
11引用ブログ:「沖縄の自然」(ti-da.net)
12引用ブログ:「南嶋から」irimuti.cocolog-nifty.com
19引用再検証未確認
20引用再検証未確認
(*引用させて頂いた写真の著作権者からの連絡を請う)
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
以下、改めて主要地域の写真を紹介しておく。
(僕自身の撮影分+「中国植物図像庫」に紹介されている中国産の写真)
 






典型ヘツカリンドウ/沖縄本島石川岳
*典型ヘツカリンドウのそのほかの産地(大隅半島、久米島など)に於ける写真は、数多くのブログで見られるので、それらを参照のこと。
 










“リュウキュウアケボノソウ”/沖縄本島与那覇岳
 








“リュウキュウアケボノソウ”/奄美大島名瀬
 
Bot492-08.pdf (sinica.edu.tw)
ダイカンサンセンブリ大漢山当薬Swertia changii/原記載報文
 








“アズキヒメリンドウ”/屋久島
 








“エビチャヒメリンドウ”/伊平屋島
 






“ムラサキヒメリンドウ”/広東省
「中国植物図像庫」(张粤氏撮影)からの引用
 




“ムラサキヒメリンドウ”/福建省
「中国植物図像庫」(安昌氏および陈炳华氏撮影)からの引用




シンテンアケボノソウ/台湾北部
「中国植物図像庫」(孔繁明氏撮影)からの引用
 
*八重山諸島産のシマアケボノソウについては、種々のブログで紹介が成されているので、それらの写真を参照のこと。
 
最新情報の追記:たった今、「中国植物図像庫」のほうに『大汉山当药 Swertia changii』の項目が加わったのを確認した
(ただし、画像自体はまだ入っていず、「中国植物志」のほうには、まだ全く情報がない)。






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-69

2021-04-15 20:12:58 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
次は、『アパートの裏山-Nature of Misty Hill 青梅市霞丘陵の自然 2021.4.8』
「Ⅲ マルバアオダモとモクセイ科の話-雑木林(里山)は、本当に人間によって成された“持続可能な半人為環境”なのか?[常識への疑問]」
の予定だったのですが、最終回目前で滞っている「リンドウ」のほうを先に進めます。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・
 
僕の欠点の一つは、「ほぼ完成」の時点で、「ほぼ」の残りの詰めを怠ることですね。何に限らず、全てにおいて。それで人生随分失敗しています。
 
「リンドウ」は全70回中68回まで終えました。まあ、「ほぼ」と言って間違いない。実際、69と70には「自分で撮影した中国産個体の写真」は紹介出来ないのです。それに、この対象(センブリ属ヘツカリンドウ種群)については、もう13年も前から、何度も繰り返しブログで特集を組んでる。直近でも、この「中国のリンドウ」シリーズを始める直前に、ヘツカリンドウSwertia tashiroiシリーズを(かなりしつこく)再掲していたわけです。従って、今更、再々々々々掲載する必要はないのですが、、、。
 
屋久島の地域集団「(仮称)アズキヒメリンドウ」からスタートし、奄美大島・沖縄本島産の「(いわゆる)オキナワセンブリ(リュウキュウアケボノソウ)」、伊平屋島の「(仮称)イヘイヤアズキヒメリンドウ」、台湾(北部)産の「シンテンアケボノソウ新店獐牙菜Swertia shintenensis」、台湾南部で比較的最近になって発見された「ダイカンサンセンブリ大漢山獐牙菜Swertia changii」、九州大隅半島や沖縄本島の一部や久米島の「(典型)ヘツカリンドウ」、八重山諸島の「(花冠プロポーションが他とは全く異なる)シマアケボノソウSwertia makinoana」、等々の相互関連を考察しつつ、“中国大陸沿海部にも必ずや分布するはず、その発見が待たれる”ということを繰り返し述べてきました。
 
今年の1月、改めてヘツカリンドウの記事を書くために、「中国植物志」に記されている、台湾産の「シンテンアケボノソウ」について調べてみました。
 
幾つかの腑に落ちないことがあります。
 
中国語版にも英語版にも、「シンテンアケボノソウ」の(“中国”における)分布は、「台湾北部」とだけなっています。台湾南部産の「ダイカンサンセンブリ」は、(意図的なのか単に間抜けなだけなのかはともかく)完全無視されている。「中国植物志」にも「中国植物図像庫」にも、「ダイカンザンセンブリ」についての記述や画像は全くありません。「シンテンアケボノソウ」の(あるいはそれ以外の種の)シノニムとされているわけでもなく、一切の表記・記述が成されていないのです。深謀遠慮な意味合いを持つというよりも、単にうっかり忘れている(あるいは報文の存在自体に気が付いていない)のに過ぎないのかも知れませんが。 
 
ただし、「シンテンアケボノソウ」は、日本にも分布すると付記されています。この「日本」は“どこ”を指すのでしょうか?
 
*注記①:和名は適当にチョイスしました。もちろん全部合わせて「ヘツカリンドウ」でもいいのですが、ある特定の地域集団には独自の名(学名・和名とも)がつけられていたり、ある集団は他との関連性が全く無視されていたり、複数の学名や和名がそれぞれ異なる特徴を持つ地域集団にオーバーラップしていたり、「種」の認定基準がバラバラだったり、、、、ということで、便宜上、これまで文献などに現れた名をピックアップして(屋久島・伊平屋島産は新規命名)、それぞれの地域集団ごとに暫定的な名前(あるものは「種」と認定され、あるものは全く区分が成されていない)を付しておきました。その結果、たまたま後ろに「リンドウ」「センブリ」「アケボノソウ」と異なる名前がつくことになったのですが、それと分類上の位置づけとは全く関係がありません。
 
注記②:「中国植物志」センブリ属の中国文・英文の全てをチェックしたのだけれど、「ヘツカリンドウ」に関連する分類群の記述は、台湾北部産の「シンテンアケボノソウ」だけで、台湾南部産の「ダイカンサンセンブリ」を含め、他には一切ありませんでした。そのうえで、「シンテンアケボノソウ」は、他のアケボノソウ類と同じ一群(多枝组Sect. Ophelia腺斑系Ser.Maculatae)に含められています。しかし、日本の西南諸島を中心に分布する「ヘツカリンドウ」に台湾の南北産2種(「シンテンアケボノソウ」「ダイカンサンセンブリ」)を加えた一群は、他のアケボノソウ類(「アケボノソウ獐牙菜Swertia bimaculata」「タイワンアケボノソウ搭山獐牙菜 Swertia tozanensis」「シノノメソウSwertia swertopsis」など)とは、明らかに異質で安定的な特徴形質を有しています(根生葉の肉質巨大化、蜜腺溝が原則一個であることなど)。「中国植物志」(英語版「Flora of China」のほう)の検索表でチェックしたところ、ヒマラヤ地域を中心に分布する心叶獐牙菜 Swertia cordataが、唯一シンテンアケボノソウの対応種に位置づけられていて、僕の見解(第68回で述べた、この種が“アケボノソウ類”と“ヘツカリンドウ類”を橋渡しする位置づけにあるという可能性の指摘)と一致します。そのことを除いては、ヘツカリンドウ(シンテンアケボノソウ)は、(Swertia cordataともども)他のアケボノソウ類から分けられることなく、共通の(最小単位の種より上位の分類群)seriesに含められているのです。
 
話を戻します。
 
シンテンアケボノソウが「日本にも分布する」ということは、その日本産はヘツカリンドウ全体を指すのでしょうか?
ヘツカリンドウの一群を一つの種に統合して捉える場合は、そう考えるのが最も妥当なように思います。その是非については一先ず置きますが、しかし、ここで示されているのは、そういうことではないようです。
 
なぜなら(ここで言う“日本産”を含む)学名がSwertia shintenensisであり、 Swertia tashiroiではないから。前者の記載は1916年、後者の記載が1896年、ということは、両者を同一種と見做すなら、(日本のヘツカリンドウを含む)シンテンアケボノソウの種としての学名は、Swertia tashiroiが使われなくてはならない。
 
おそらく、「中国植物志」の研究者(もしかするとシンテンリンドウの記載者たちも?)が同一種と見做したのは、(オキナワセンブリやアズキヒメリンドウを含む)ヘツカリンドウではなく、八重山諸島産のシマアケボノソウなのではないでしょうか?
 
それには一理あります。まず距離的に近いこと。形態面から言えば、シマアケボノソウは(僕の知る限り)他の全ての地域のヘツカリンドウとは、花冠の開き方や、蜜腺溝の位置を始め、幾つかの形質が明らかに異なっています。そのシマアケボノソウの特徴形質に多少とも関連性を示すのが、台湾北部産のシンテンアケボノソウなのです(もっとも、 シンテンアケボノソウの特徴形質の大部分は、シマアケボノソウ以外のヘツカリンドウに準じますが)。両者を同一種と見做すならば、シマアケボノソウの記載が1936年で、シンテンアケボノソウのそれより遅いため、Swertia shintenensisの名の許に、「日本にも分布する」が成り立つわけです。
 
以上は、それほど重要な問題ではありません。より興味深いのは以下に示す諸事例です。
 
「中国植物志」のヘツカリンドウのグループ(本来なら独立のseriesもしくはsectionを設置されてもおかしくはない安定的固有特徴を持つ)についての記述は、中国語版・英語版とも(台湾南部産ダイカンサンセンブリの無視または見落としを含め)、一貫して「台湾北部産シンテンアケボノソウ」についてだけです。
 
にもかかわらず、「中国植物志」にリンクされている「中国植物図像庫」には、台湾産(南部のダイカンサンリンドウは何処にも見当たらない)の他に、なんと、未記録のはずの、福建省と広東省の野生個体の写真が示されています。両地域とも自生地の環境写真もあり、間違いなく在来分布個体です。
 
そして、写真を見る限り、間違いなくヘツカリンドウです。であると同時に、(台湾産のシンテンアケボノソウやダイカンサンセンブリを含む)ほかの全ての地域集団とは異なる固有の特徴も有しています(具体的には第40回のヘツカリンドウの総括で述べます)。
 
「中国植物図像庫」には、しれッと、シンテンアケボノソウとして、収められています。まあ、独立種を記載するのでなければ、距離的にも近いシンテンアケボノソウに含めておく処置が(少なくとも暫定的には)無難でしょう。
 
ということは、(僕が示唆し続けていたとおり)大陸にもシンテンアケボノソウ(すなわち「ヘツカリンドウ」でもあります)が分布していることになるのですが、上記したように本文には(台湾南部のダイカンサンセンブリ共々)一切記述がない。
 
実は、僕がこの「中国植物図像庫」のシンテンアケボノソウの存在をチェックしたのが正月明け。ヘツカリンドウのブログへの再記述のために文献を調べ直していた時です。
 
広東省の撮影地は、どうやら僕の住んでいたアパートから、すぐ近くの山のようです。一月いっぱいは、まだ開花期のはず。モニカに連絡して実態確認に向かって貰おうと思ったのですが、でも、たぶんすぐに行動を促すことは難しいと思うし、なんだかんだで開花期も過ぎちゃうでしょうから、じっくりと計画を練って来年を目指すことにしました。
 
それよりも、これだけ明らかな写真が「中国植物図像庫」に掲載されているのです。どこかの論文や報文や図鑑や雑記などに、引用が成されているはずです。
 
でも、それが全く見つからない。
 
ネットで調べていったら、「中国南部におけるSwertia属の新種記載」というのに出会いました。これだ、と確信して、記事を読もうとしたのだけれど、パソコンの調子が悪くて上手く開けない。一覧で示された見出しの所に、2021年1
月14日、という日付があるのを見た記憶があります。僕が、改めて今回のブログに「中国南部にヘツカリンドウが分布している可能性」を記した(指摘自体は10年以上前から続けている)のが確か1月19日付けの記事、それ以前に、中国の研究者が気付いていたとしても何ら不思議はありません(というより気付かないわけがない)。
 
パソコンが順調に動くようになるのを待って、改めてチェックしてみることにしました。ところが、2021年1月14日付けの新種発表記事は、いくら探しても出てこない。同じ表題「中国南部産Swertia属の新種記載」の2019年に発表された(同じ内容のものが)幾つも出てくる。これは、ヘツカリンドウ(シンテンアケボノソウ)とは全く別の(アケボノソウのグループに属する)集団で、「中国植物図像庫」に示されている広東省や福建省のシンテンアケボノソウとは全く無関係です。
 
客観的な結論を言えば、僕が2021年の記事と思い込んでいた(中身は「中国南部のセンブリ属新種」ということだから、間違いなく「中国植物図像庫」に収められている福建省と広東省の「シンテンアケボノソウ」とされる集団への新規命名、と決め込んでいた)報文は、単に2019年との記憶違いで、福建や広東のシンテンアケボノソウとは別の集団に対しての新種記載、と言う事なんだと思います。
 
でも、普通に考えれば、これだけ何枚も(といっても2地域併せて10カット未満ですが)の写真が「中国植物図像庫」に、堂々と示されているのです。中国の研究者によって「改めて正式に発表することがない」などということは有り得ない、と思います。どこかにあるはずですから、それを見つけねばなりません。その記載結果を加えるかどうかで、「総括」の仕方が大きく変わってきます(新種記載が成されていれば、それに対する反論=日本産も含めて俯瞰的に捉える必要性を唱えようと思っていた)。
 
第38回を終えてから、第39回のアップまでに時間が空いた大きな原因の一つは、その「2021年」の“幻の報文?”を探していたからなのです。
 
現時点では見つかっていません(もともと存在しない可能性が高い)。結局、他力本願ではなく、自分で実物に当たるしかない。
 
ということで、先に書いたように、今のうちに準備をしておこうと。今年の暮れにはモニカを派遣して(交通費は数100円単位で済みそうだし日帰り調査も可能かも)実物をチェックします。そのうちに中国なり日本なりの研究者も気が付いて、適切な形での、手続き上の位置づけが決まることでしょう。
 
まあ、ヘツカリンドウの「総括」をやりかけたままストップしているのは、そんな事情によるのですが、いずれにしろ、改めて真面目に取り組みたいと思っています。
 
そのための必須事項は、一つは大陸産のヘツカリンドウ(シンテンアケボノソウ)をきちんとチェックしておくことも有るのですが、日本産のヘツカリンドウに関しても、チェックしておかねばならないことが山ほど残っているのですね。
 
自分で撮影した地域(●)を含め、文献やインターネットのブログなどに写真が示されて、ある程度の実態が分かっているのが次の地域の集団です。
大隅半島、屋久島●、奄美大島●、伊平屋島●、沖縄本島北部●、同中部●、渡名喜島、久米島、石垣島、西表島▲、台湾北部、台湾南部。*▲の花は未撮影。
 
それ以外の地域で、分布していることが分かっていて、しかし姿を確認出来ないでいる主な集団は以下の地域。
甑島、種子島、黒島、口永良部島、口之島、中之島、諏訪瀬島、宝島、徳の島、沖永良部島。
 
屋久島の周辺の、種子島、黒島、口永良部島、口之島のヘツカリンドウが、どんな姿(色)をしているのか、メチャ興味ありますね。毎年今冬こそ、と思いながら、10数年過ぎてしまいました。
 
取材費と体力の2大問題をクリアできれば、今冬こそチャレンジしてみたいです。
 
中国大陸産は、文字通り僕のお膝元の広東省東南部、モニカには何としても頑張って観察に行ってもらう。
 
屋久島周辺諸島も、以前の僕のお膝元です。黒島、口永良部島、口之島、および種子島は(出来れば沖永良部島も)、なんとかチェックしておきたい(前3つの島はポイントを絞れそうだけれど、だだっ広い種子島は難敵)。
 
それらの島々に、ヘツカリンドウの典型タイプが生えているのか、アズキヒメリンドウタイプなのか、オキナワセンブリ(リュウキュウアケボノソウ)タイプなのか、それらの橋渡しをするような移行的な表現を示しているのか、或いは全く別のタイプなのか、、、、予測がつきません。
 
なにしろ、(ほかの地域では現れることのない)赤~褐色系のみの花の“アズキヒメリンドウ”が屋久島と伊平屋島、白地に緑丸の花のヘツカリンドウ典型タイプは九州大隅半島と沖縄本島中部と久米島、赤~褐色以外の雑多な表現を成す“オキナワセンブリ”が奄美大島と沖縄本島北部、そして八重山の“シマアケボノソウ”はそれらとはたぶん別の系統、、、、。
 
このパズルのような組み合わせを解き明かす(解き明かすのは無理、せめて実態に肉薄する手がかりを掴む)には、
台湾の南北2か所産と、大陸産、および実態が全く知られていない種子島産やトカラ火山列島産が、キーを握っていることになります。
 
ところで、上記のうち、典型的ヘツカリンドウ(花被裂片が純白で中央に丸い緑色の蜜腺溝がある)タイプは、大隅半島、沖縄本島中部の石川岳、久米島(およびその隣の渡名喜島)に出現することが分かってはいますが、実は、石川岳産以外は、自分では確かめていません。大隅半島の生育地(稲尾岳周辺)には昔何度も訪れているのですけれど、その頃はヘツカリンドウの存在を知らなくて、チェックをしていなかった。
 
久米島のほうは、南西諸島の大半の島々に渡航歴がある中にあって、この島には未だ訪れたことがないのです。でも大隅半島産共々、インターネット上のブログなどで、多数の写真を確認できます。どれも、「緑日の丸タイプ」です。
 
僕は久米島には行ったことが無くても、ちょっとした“縁”は或るのですね。17年前、僕がインターネットで初めて対外的な遣り取りを始めた時、最初に戴いたのが久米島の方からのメールでした。その方とは、更にその27年前(すなわち今から44年前)にお会いしたことがあるのです。
 
小笠原に向かう船の上で、たぶんまだ学生だった男性と談笑したことがあり、その方が久米島の博物館職員の職員となって、僕の事を覚えていてくださっていて、メールをくださった、と言うわけです。
 
是非訪ねて行きたいと思いながら、更に20年近くが経ってしまいました。
 
更にもう一つ、小さいけれども、これも“縁”の一つと思うことが最近ありました。計70回の「リンドウシリーズ」を始める前に、ヘツカリンドウの記事を再(々々?)掲載したのですが、その総括として、僕自身が撮影出来なかった地域の個体の写真(「中国植物図像庫」で見つけた中国大陸産を含め)を纏めて紹介するつもりでいたのです。自分の撮影ではない写真を使うには(最低限のルールとして)出典を示さねばならないでしょう。でも、これがなかなか手間がかかります。
 
その一環で、久米島産のヘツカリンドウの写真を、satou-n氏のブログ「ホタルの国から~久米島・南西諸島」から引用しようと、転用許可願いをコメント欄に入れてみました。すると(「紹介して頂けるのは有難いです」という)丁寧な返信コメントが成されていました。 
 
ということで、許可を頂いたsatou-nさんに感謝して、(第70回に予定している「ヘツカリンドウ」一覧リストの使用写真共々)紹介させていただきます。
 
出典ブログ
「ホタルの国から~久米島・南西諸島 沖縄の小さな島~ (ti-da.net)」
↑素敵な自然観察ブログです。是非ご覧ください。
 


久米島産ヘツカリンドウ
【上記ブログからの引用】
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
*ヘツカリンドウのうち、分布圏の北端の大隅半島産と、南端に位置する沖縄本島中部+渡名喜島+久米島産が、同じ外観を持っているというのは、非常に興味深いと思います。
 
*客観的に「地史」「生物地理」という立脚点に立てば、久米島は「日本列島の最南西端」ということが出来ます。「先島諸島」や「(規模は全然小さいですが)尖閣諸島」は、それぞれ「日本列島」とは異なるカテゴリーの地域に入る、という見方も出来ます。そのことについてはまた改めて書きます。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
久米島に関しては、もう一つ未解決のテーマが残されています。そのことは、2年半前に「現代ビジネス」で連載を予定していた「琉球とは何か?(南西諸島の自然の本質について)」の中で紹介する予定だったのだけれど、途中で連載を突然打ち切られてしまったために書くことが出来なかった、久米島産の「新種の蝶」についてです。
 
唯の(ありきたりの)「新種」ではありません。例えば、奄美大島のアマミノクロウサギとか、沖縄本島のヤンバルテナガコガネとかに匹敵するほどの、非常に興味深い(ただし、マニアとかコレクターとかは興味を示さないだろうごく地味な)、古い時代からの遺存種である可能性が大きい、或る意味、「日本」の生物地理の(大陸との関りに於ける)位置づけを根底から見直すきっかけになるような存在でもあります。
 
そのことも「久米島」の宿題として残っているのです。
 
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
 
あや子さんのパソコンの調子が悪かったらしく、日にち遅れの話題になりましたが、一応追加しておきます(笑)。
 
マスターズ制覇、松山選手、おめでとう。
(僕はゴルフという遊びは嫌いなのだけれど、プロ・スポーツとしてのゴルフは好きです)
 
大谷早くも4号、そして昨日につづき猛打賞です。
アメリカでは「一試合2安打」で“マルチヒット”として、日本では「一試合3安打」で“猛打賞”として、それぞれ称えられます。
 
昨日のコラムに「大谷猛打賞」というのがあって、そこのコメントに「アメリカは2安打でマルチヒット、猛打賞はないよ、そんなことも知らないの?(笑)」というのがあった。そのコメント(さすがに青ポッチ沢山)に、「記者はそんなこと知ってる上で、みんなに分かり易いように書いてんだよ、(笑)は余計」と諭すリコメントがありました。
 
どうも大衆の中には「そんなことも知らないの(笑)」と恥ずかしげもなく発言するレベルの人(たぶん学校で一生懸命お勉強してきた優等生)たちが、少なからずいるようです。







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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-68

2021-04-07 21:49:01 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★4月5日と6日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。
 
Swertia bimaculata 獐牙菜 (雲南省高黎貢山南部)



雲南省保山市謄沖高黎貢山。標高2300m付近。2006.10.4 (以下9枚同じ)
 
ここで紹介するセンブリ属の種のうち、獐牙菜组Sect. Swertia(折皱系Ser. Rugosae)の大药獐牙菜Swertia tibetica(第64回)以外は、全て多枝组Sect. Opheliaに所属し、3つのseriesに振り分けられている。
 
そのうちの大多数の種(前回紹介した3種や、日本産のセンブリ、イヌセンブリ、ムラサキセンブリなども)は、ほかの2seriesに所属、アケボノソウ(獐牙菜Swertia bimaculataおよび近縁種群)とヘツカリンドウ(Swertia tashiroiおよび近縁種群)だけが、腺斑系Ser. Maculataeとして分けられている。
 
「中国植物志」では、アケボノソウとヘツカリンドウ(本文に記述があるのは台湾北部産の「新店獐牙菜Swertia shintenensis」のみ)は特に下位分類群を区分されることなく、同じSer. Maculataeの一員とされる。
 
Ser. Maculataeが他の大多数のSwertiaと顕著に異なる特徴は、蜜腺溝の周りに繊毛群を生じないことである。また、蜜腺溝の位置が、他の多くの種の場合花被裂片の基部近くにあるのに対し、中央付近にあることが多いのも特徴と言えよう。
 
アケボノソウとヘツカリンドウにも、かなり明確な安定差がある。何よりもヘツカリンドウの特徴である、広く大きく肉厚の根生葉をアケボノソウには欠く。花被裂片の蜜腺溝の数は、アケボノソウでは常に2個、ヘツカリンドウでは基本的に1個(
稀に二分割する個体があり、ことに奄美大島産に屡々見られる)。
 
それらの事から、アケボノソウとヘツカリンドウを夫々別のseriesに配置し、その二分類群(series)を併せて、(他の獐牙菜组section Swertiaと対応する)新たなsectionを設置する方が理に適っている、と僕は想う(従ってここでは、アケボノソウの所属分類群を「Ser. Maculatae腺斑系A」、ヘツカリンドウの所属分類群を「Ser. Maculatae腺斑系B」と暫定表記しておく)。
 
他にアケボノソウとヘツカリンドウの特徴差は、前者が冷温帯性の種で、後者が亜熱帯性の種であること、前者では(近縁別種に置かれているものも含めて)花の色彩や斑紋パターンがごく安定しているのに対し、後者では地域集団ごとに著しい差が示されること、等々である。
 
「中国植物志」に示されている多枝組腺班系の種は、広域分布種のアケボノソウと、ヘツカリンドウと種の段階でも同一種と見做すことも出来る「新店獐牙菜」(「中国植物志」には大陸産についての正式な記述はない)のほかに4種。
 
ひとつは、今回紹介した台湾固有の搭山獐牙菜 Swertia tozanensis。確かに(斑紋パターンなどに僅かながら)固有の特徴が認められもするが、それもアケボノソウの特徴の延長線上にあるとみなすことも出来、仮に同一種に含める見解があってもおかしくはないと思われる。いずれにしろ、台湾におけるアケボノソウの代置的存在である。
 
台湾からはもう一種、细叶獐牙菜 Swertia matsudaeが記録されている。これについては、僕は確認していない。なお、次回に詳しく説明予定の、台湾東南部山地から記録されている「大漢山獐牙菜Swertia changii」(沖縄本島北部産のヘツカリンドウに形質的親和性あり)は「中国植物志」では全く触れられていない。
 
中国内陸部(重慶など)に分布するとされる鄂西獐牙菜 Swertia oculataについては、アケボノソウから種として分離すべき明確で安定的な形質を有しているとは思えない。(「中国植物図像庫」に紹介されている写真を見る限り)分類群の分割の是非はともかく、アケボノソウにごく近い存在であることは間違いない。
 
多枝組腺班系の種は、(「中国植物志」に紹介されている)6種のほかに、日本固有種シノノメソウSwertia swertopsisがある。本州の東海地方から九州にかけて分布する、いわゆる“襲速紀”要素の種である。この分布型の場合、飛んで中国のどこかの地域に同一種(または対応する近縁種)が分布していることが多いが、本種に関しては大陸産の対応集団をチェックできないでいる。将来、中国のどこかに、未知の対応集団が見つかる可能性もある。
 
気になるのは、このseriesの一員として「中国植物志」に紹介されているもう一つの種、心叶獐牙菜 Swertia cordata。鄂西獐牙菜や台湾の搭山獐牙菜はもちろん、シノノメソウも明らかにアケボノソウにごく近い植物であり、一方、新店獐牙菜(大陸産を含む)や大漢山獐牙菜は、ヘツカリンドウにごく近い植物である。そして、この2つのグループ間には、かなり大きな形質的相違点があるように思われる。
 
「中国植物図像庫」で写真をチェックした「心叶獐牙菜 Swertia cordata」(ヒマラヤ地方西部から雲南にかけて分布)は、どちらの固有的特徴も持ち合わせず、かつ、両者を結びつける「蜜腺溝の周囲に繊毛群を欠く」という「腺班系」としての共通の特徴を有している。蜜腺溝は一個で基部寄り。根生葉は肉厚大型にはならない(根生葉自体がない?)。アケボノソウとヘツカリンドウの相関性を知るカギを握っているのかも知れない。
 
















雲南省保山市謄沖高黎貢山。標高2300m付近。2006.10.4
 
 
Swertia bimaculata 獐牙菜 (広西壮族自治区南嶺)



広西壮族自治区永福県花坪原始森林。標高1500m付近。
(以下6枚同じ)
 










広西壮族自治区桂林市永福県花坪原始森林。標高1500m付近。
 
 
Swertia tozanensis 搭山獐牙菜  (台湾合歓山)









台湾花蓮県合歓山。標高2800m付近。2017.11.29
 
・・・・・・・・・・・・・・
 


青:謄沖/緑:桂林/赤:合歓山
 







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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-67

2021-04-06 19:30:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 


















さっき、駅に向かう途中の青梅街道沿いにパンジーの道端ポケットが8つ並んでたので、全部写してきました(笑)。個人の庭を撮影すると「個人情報ナントカ」でややこしくなるけれど、公道なら良いでしょう。
 
青梅の市民の大多数は、いわゆる「小金持ち」(自分たちは貧乏だと思ってるかも知れませんが僕から見れば十分なお金持ち)でしょうから、家々の庭は「花と緑」で溢れています。
 
この写真を見て、「綺麗」「春の暖かさを感じる」「心地いい」と思う人、どのくらいいるんでしょうか? たぶん、かなりの割合を占めると思う。僕も一応、そう感じてもいます。
 
でも、「醜い」「寒々としている」「嫌な気分になる」、、、そんな気分になる人がいても、良いのです(むしろ、全ての“バイアス”を取り除いたなら、そう感じる方が“まとも”なんだと思う)。いずれにしても、それも正鵠を得た捉え方の一つです。99%と1%、どちらかが「正しい」と言うわけではないでしょう。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
前回の続きです。冷静に、客観的、ロジカルに、物事に対することの重要さ。そのこと自体には賛同します。
 
問題は、その基盤に、こうあらねばならぬ、というバイアスが、「教育」や「成長」(知能の構築)の過程で無意識のうちに加わっていること。
 
僕は自信を持って言い切ります。
 
皆が右に行くならば、左に行きます。左に行くならば、右に行きます。構築を目指すなら、破壊を目指します。それで結果として破壊するならば、構築します。
 
人と違っている、というのとは違うのです。違っている、というのは、そのこと自体が「安定」じゃないですか。常に意識的に違おうとすること。違うことに対しても違うという立場をとること。例えば、カウンター・カルチャーへのカウンター。
 
人間の社会が成り立つためには、調和をとる努力をしつつ構築していかねばなりません。しかし、そこには常に破壊が伴っている必要がある(調和とは反対の要素も両有しなければならない)。ただの調和は、終滅への道を辿るだけです。
 
・・・・・・・・・・・・
 
今日は、この後、とても難しい話をします。僕の頭では解き明かすことの出来ないpropositionです。
 
ウイグルについて。
 
その前に、僕の「中国観」を改めて述べておきます。
 
文章に表すと、NGになってしまうかな?
 
一言で言えば、とにかく、大嫌い(笑)。例えば、たまたま旅先で出会った日本人と(久しぶりに)日本語で会話したりします。お互いに、これでもか、というぐらい、中国の悪口で盛り上がってしまう。
僕は、ここまで言いますね(中国の方にゴメンと謝っておきます)。
>人がいて、獣がいて、ウジ虫がいて、その下が中国人。
>中国の自然は素敵だけれど、中国人がそこに住んでいることだけが欠点、中国から中国人がいなくなれば、どんなに素晴らしいことか。
↑これを僕が言うのです。大抵の日本人が同意してくれます。
 
なんせ、35年日本と行ったり来たりしてるので、筋金入りの中国“下げ”です(筋金入りの日本嫌いのモニカに負けていない)。
 
僕は本来外国大好き人間で、東南アジアや欧米各国もそれぞれに好きなんだけれど、中国(と韓国)だけは嫌い。その辺、ヤフコメの人たちと、たいして変わりません(笑)。
 
その前提で。
 
ウイグル(あるいはチベット)の人たちが、どれだけ謂れなき差別を受け、酷い迫害に会っているか、その事自体は(知識とかではなくて実際に肌身に感じて)知っています。たぶん、「ウイグルを迫害する中国を許すな!」と声を上げる一般日本市民よりも、ずっと知っていると思います。
 
しかし、今「中国(の国家、、、国家ということは国民も含まれる)」が彼らに対して取っている政策が「間違っている」のかどうかについては、僕には分かりません。
 
個別の事例で言えば、人に暴力・危害を加えたり、貶めたりすることは、間違っている、と断言します。だから、ウイグルの人たちが、実際に辛い目に会っている、ということは事実だと思う(実際に自分の目でも見ている)ので、そのことに対しては深く憂慮しています(日本に死刑制度が残っていることを憂慮するのと同じレベルで)。
 
損得とか、単純な問題ではないのですね。でも大衆(ことにエリート)は単純にしか考えない。そこから前や、そこから先の事を考えない(無意識的に「考えないように」制御が成されている)。
「人に思い遣りを」
「自己中心的にならずに」
そのようなことを言う人ほど、(広く深い意味での)思い遣りとは正反対の方向に走っている(むろん自分では自覚はない)。
 
僕の言うところの「集団的自己中心」なんですね。そこから見た、別次元での“思い遣り”は、「自己中心」と見做されるわけです(共同体共通の利益に反するから)。
 
暖かいところにいて、痛みを伴わずに、目先の「自由」「平和」「正義」を求める。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
ウイグルは、地史的、生物地理的に見れば、中央アジアの一角です。地誌ではなく地史としての「中央アジア」。ユーラシア大陸中部の西北側の、その先に中東を挟んでヨーロッパ(地中海周縁地域)がある。ちなみに、ユーラシア大陸中部の東南の四川・雲南の、その先に漢民族居住圏を挟んで、東北アジア(日本海周縁地域)がある。
*中央部は、概ねチベット高原、南縁がヒマラヤ。
 
東アジア(日本海周縁地域+長江流域周辺)文明と、ヨーロッパ(地中海周縁地域+中東)文明の移行地(の西側)でもあります。
 
そのような意味で言えば、雲南一帯(横断山脈周辺地域)も移行地の「東側」ということになりますね。雲南は、生物相にしろ、人類の文化にしろ(生物の種の歴史と人類の歴史は時間的なスケールで全く別の次元にあるけれど僕の言う“時間のフラクタル”を鑑みれば合致する)、いわゆる典型的な「中国」とは、著しく異なります。「中国」というより、東南アジア諸国、インドの東、ヒマラヤ、チベットなどの要素を色濃く含み、それらの地域とむしろ親和性があります。
 
全然関係ない話に成りますが、、、、僕の大好きな町の一つ(中国大嫌い!と言っておきながら矛盾しますが、笑)、ミャンマー国境に近い謄沖。いろんな想い出があります。
 
(山奥の村で)「僕は日本人です」と言ったとたん、そこにいた人々が皆一目散に逃げて行ったこと。食堂のオバちゃんに「私、昨日インドから歩いて帰って来たのよ」と言われて、そんなわけないだろ、と思って地図を確かめたら、意外に近かったこと。
 
歩いてきた、と言えば、サヤン地方を挟んでインド(アッサム)に抜ける道は、外国人には容易に通行許可が出ないはずなのに、昔「猿岩石」というお笑いタレントが、そこをヒッチハイクで越えた、と言って、それがバレたことなどもありましたね。
 
謄沖からミャンマーに入った最初の町が、ミッチーナ(密支那)です。この名前、大好きです(ミャンマーの話題は余りしないようにとモニカから釘を刺されてるのでここまで)。
 
いずれにしろ、雲南は「典型的」な中国ではありません。でも雲南の人々は「俺たちを中国と一括りに見做してしまうことはケシカラン」と言ったアピールはしていない(しているかも知れないけれど特に表立っては現れていない)。文化は異なるとしても、人種がモンゴロイド(ただし南方系)であることには違いないですから。
 
そこに行くと、ウイグルは、人種的には、コーカソイドとモンゴロイドの移行(混合)地帯です。欧米人もコーカソイド。
 
どういうことかと言えば、、、、、。
 
僕の能力ではここまで。ここから先に踏み入る力はないので。
 
一応、「ここから先」の、さわりだけ。
 
ウイグルと「中国」の問題は、仮にも(気高き)アングロサクソンの末裔(先祖の一部?)が、モンゴロイドの(出鱈目極まりない)中国に統合されるなど、許すことは出来ない、、、視点を変えて見れば、逆転現象としての「アジア人差別」に繋がってくる、、、のかも知れないのです。
 







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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-66

2021-04-06 13:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
以下に、中国(一応台湾を含む)産のセンブリ属の「組(及び系)」ごとの種数を示した([]は日本産の種数)。リストアップしたのは、このリンドウシリーズで自分の写真(モニカ撮影分を含む)を紹介した種(〈〉は文献写真引用)と、日本産の種(中国・日本共に分布する種および日本固有種=中国名を示していない種)。*は「中国植物志」に掲載されていない台湾産の種。多枝組Sect. Opheliaの腺斑系Ser. Maculataeについては僕の判断で【A】【B】に分割した。センブリが所属する組/系は特定できなかったので暫定的に多枝組/多枝系に含めた。ミヤマセンブリの学名は「中国植物志」に従った。
 
センブリ属の大多数の種は、花被裂片の基部近くに顕著な2個(ヘツカリンドウは原則1個)の蜜腺溝を有し、その周囲を多数の繊毛群が纏わりつく。ただし、多枝組腺班系の各種は蜜腺溝に繊毛を生じない。
 
异花组 Sect. Heteranthos 1種[1種]
>>チシマセンブリ(四数獐牙菜) Swertia tetraptera
獐牙菜组Sect. Kingdon 1種[0種]
大花组Sect. Macranthos 4種[0種]
多枝组 Sect. Ophelia
>歧伞系Ser. Dichotomae 1種[0 ?種]
>>歧伞獐牙菜 Swertia dichotoma 第66回
>腺斑系 Ser. Maculatae【A】 5種[2種]
>>獐牙菜 Swertia bimaculata 第68回
>>搭山獐牙菜 Swertia tozanensis 第68回
>>シノノメソウSwertia swertopsis
>腺斑系 Ser. Maculatae【B】 2種[2種]
>>新店獐牙菜(大陸産を含む) Swertia shintenensis 〈第70回〉
>>大漢山獐牙菜 Swertia changii*〈第70回〉
>>ヘツカリンドウSwertia tashiroi
>>シマアケボノソウSwertia makinoane
>多年生系 Ser. Perennes 5種[0種]
>多枝系 Ser. Ramosae 25種[3種]
>>イヌセンブリ(北方獐牙菜) Swertia diluta
>>大籽獐牙菜 Swertia macrosperma 第66回
>>台湾獐牙菜 Swertia randaiensis* 第66回
>>ムラサキセンブリ(瘤毛獐牙菜)Swertia pseudochinensis 
>>センブリSwertia japonica
宽丝组 Sect. Platynema 4種[0種]
肉根组 Sect. Poephila 4種[0種]
獐牙菜组 Sect. Swertia
>裸腺系 Ser. Divaricatae 1種[0種]
>獐牙菜系 Ser. Swertia 8種[1種]
>>ミヤマアケボノソウ(东北獐牙菜)Swertia perennis
>折皱系 Ser. Rugosae 19種[0種]
>>大药獐牙菜 Swertia tibetica 第64回
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
Swertia dichotoma 歧伞獐牙菜 [Sect. Ophelia多枝组- Ser. Dichotomae歧伞系] (甘粛省天水)



甘粛省天水市麦積山alt.800m付近 2010.4.21 (以下3枚同じ)
 
この一種のみで、歧伞系Ser. Dichotomae(多枝组Sect. Ophelia)を構成する。花冠裂片は(おそらく常に)4枚。「中国植物志」によると、分布域は「四川北部、青海、甘肃、新疆、陕西、宁夏、内蒙古、山西、河北、河南、湖北、黑龙江、辽宁、吉林の中国各省、および苏联(模式标本产地)、蒙古、日本」となっているが、日本での分布を示す文献は確認できなかった。プライベート・ネーム「ウスユキセンブリ」。撮影地は、陝西省との境近くの秦嶺山脈の甘粛省側。
 




 
・・・・・・・・・・・・・・・・
 
Swertia macrosperma 大籽獐牙菜 [Sect. Ophelia多枝组- Ser.多枝系Ser. Ramosae]  (雲南省高黎貢山南部)



雲南省保山市謄沖高黎貢山alt.2300m付近 2006.10.3 (以下9枚同じ)
 
ミャンマーとの国境近くに沿って南北数100㎞に亘って連なる高黎貢山南部の、峠頂近くの雲霧林の放牧草地の脇道に、次回紹介するアケボノソウと共に生え、同様に茎葉は多数に分枝して高く立ち上がる。花冠裂片は4枚を基本に5枚のものも混じる。「中国植物志」では、西藏、云南、四川、贵州、湖北、台湾、广西。海拔1400-3950米。尼泊尔、锡金、不丹、印度(模式标本产地)、缅甸にも分布、となっている。しかし、同一種とされる(変種以下の分類群も認められていない)次の台湾産に比べ、蜜腺溝周辺の繊毛群の発達がより顕著であることなど、かなりの差が認められる。
 
















この雲霧帯林の路傍に、アケボノソウと共に生育している。
 
Swertia randaiensis 台湾獐牙菜 (台湾合歓山)



台湾合歓山alt.2900m付近 2006.9.2 (以下3枚同じ)
 
上記したように「中国植物志」では、“外観、種子の構造など大陸産Swertia macrospermaと完全に一致し、相違点は認め得ないので、同一の分類群に置く”として、Swertia randaiensisはSwertia macrospermaシノニムと見做されている。しかし、写真(「中国植物図像庫」収録の他の大陸産個体も含む)を見た限りでは、かなりの差異があるように思え、ここではSwertia randaiensisを復活しておくことにした。雲南謄沖の場合同様、アケボノソウ(タイワンアケボノソウ)とセットで生育。
 



 
・・・・・・・・・・・・・
 


ピンク:甘粛天水/青:雲南謄沖/赤:台湾合歓山









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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-65

2021-04-05 20:10:15 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★4月3日、4日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。


 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
読売巨人軍のウイラー選手が、試合開始直前になってメンバーから外された。選手の何人かにコロナ陽性反応が出て、その濃厚接触者になった可能性がある、と。だったら、首脳陣、選手、裏方さん全員アウトじゃないの??と、思うのですが、、、、(そこは「マスクをしていたか否か」とか適当な基準を作って判断しているみたいですね)。ネット上で大喜利状態になっているので、僕もいつもと同じ見解を(400字ぴたりに纏めて)コメントしておきました。
 
>コロナは、ただの風邪です。そして「ただの風邪」は、大変に怖い病気です。昔も今も将来も。
 
>ウイルスの脅威は昔からずっと存在しました。若者が感染して(基本)自身は発症せずに周囲の老人に感染させ(良くも悪くも)“人口調節”しているのです。
 
>今回は(一応人類の敵とされている、笑)「中国の武漢」発症ということで大騒ぎになってる。
 
>我々が成すべきことは(「コロナ」を敵と見做して)マスクで防御することでもワクチンで退治することでもない。もっと別の所にあると思います。
 
>僕(73歳)は、劣悪な衛生環境の中国に数10年暮らしていました。何度もウイルスにやられました。医者曰く「未知のウイルスだと思うので治療法は知らん」「栄養付けて、ぐっすり寝ることだね」。
 
>因みに、今の中国の日常は、マスクなしの生活。感染者は(隠蔽かどうかはともかく)日本(そもそも検査してない)より少ない。
 
>そういう事でしょう?
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
まあ、こういった事を書くと、「非科学的」と烙印を押されてしまいます。
 
ネットを読んでいると、ここんところ、「陰謀論」を否定する(陰謀論が蔓延する社会に対して危機感を覚え警告を発する)ことが、頭の良い(エリートです)論者の間で、一種の“ブーム”みたいになっています(笑)。
 
“陰謀論に騙されないように。社会がそっち(陰謀論)の方向に向かうのは、非常に危険な傾向”と。具体的には、「コロナ」を見縊ったり、陰謀論として捉えたりすることの危険性の指摘です。
 
僕は、自分が「低知能」だと言う事を自認しています。
 
でも、僕よりずっと程度の低い(としか僕には思われない)人が、“いかにも”の正論を、理路整然と語っている。その「様式」は僕より100倍は立派です(そもそも構築されている次元が異なる)。であると共に、(例えば、以下に示した記事はコロナとは関係ないのですが)結局、中身は、幼稚園児の作文にも及ばない。
 
「ただでは死ねない」睡眠薬120錠を飲んで駅に突っ込んだ下関通り魔事件にみる死刑相当事犯の“奇妙な共通点”(文春オンライン) - Yahoo!ニュース
 
確か、前にもこの方の書いた記事(「コロナ」に対する危機感の欠如に対する危惧)を批判(?)したことがあるけれど、、、いわゆる「頭の良いエリート」というのは、この程度にしか、世界を捉えることが出来ない。それを(メジャー)メディアが有難がって利用する。ほんとに情けなくなってきます。
 
言ってることは、そりゃそのとおりですね。冷静に、ロジカルに考えれば。でも、「その(思考の)基盤」を突き詰めて考えることを、スルーしてしまっている。「この社会の中に於いては当たり前の事(科学的かつロジカルな証明済み)」という前提からスタートしている。本当に、それは「本当の事」なのか、という疑問を差し挟めば、それは「陰謀論」となってしまうわけです。
 
北杜夫さんが、昔こんな要旨の事を書いていましたよね。
>(子供たちは皆昔より知識が増えて賢くなってしまったけれど)「地球は本当に丸いのだろうか?」と疑問に思う子供が、一人ぐらいいても良いのではないだろうか?
 
三世は、「(私の知っている限り世界中で)まともな人間はジョージと青山さんだけ」とよく言っています(笑)。ジョージは「陰謀論大好き人間」なので、一緒にされるのは、それも困ったですね(笑)。
 
陰謀論絡みで見つけた記事。
 
自分の考えが「一般の人々と異なると思っている“非普通自任”人間」と、「一般社会常識の持ち主と思っている“普通自任”人間」の、二つのタイプに分けてアンケートを取ったところ、予想に反して、「陰謀論」を信じる人は、“非普通自任人間”よりも“普通自任人間”のほうが明らかに多かった、という「逆転現象」について見解を述べています。
 
「驚きの調査結果」だというのですが、僕は当然だと思います。“非普通自任人間”なんてのは、大抵がステレオタイプの人ですから、「陰謀論否定」が正しくてカッコいいと思っていますね。バカとバカの鬩ぎ合いです。
 
僕やジョージ(今は普通の“陰謀論者”からは一歩抜けだしていると思う)は、“自分が一般の人々とは異なる考えの持ち主、と思っている人達とは異なる、たぶん一般の人の中には入れてくれないのだろう人間”なのだと思います。“バカ”でも“賢者”なのでもなくて、たぶん人間とは見做されていないんでしょうね。(一応、姿は人間です、、、ジョージはイケメンだし、僕だって見かけは普通だと思うのですけれど、笑)。
 
もうひとつ陰謀論関連。
 
『現在も「地球平面説」を信じる人は多い。陰謀論が危うい理由』
【陰謀論が広がると近代社会のシステムが崩壊する】
東京大学中退の経歴で、明晰な頭脳を生かしてマルチに活躍するラッパー・ダースレイダーさんの「時事問題に吠える!」という連載記事からです。
 
要旨を抜粋すると。
>天動説や地球平面説を信じる人たちが現在でも一定数いる*➀。
>太陽が昇って沈む、月が昇って沈む、と言う事を簡単に説明できるのが天動説なのだが、このような簡単な説明ではなく、複雑な説明をして「なぜなら世界は複雑なんだ」という物語的な答えを用意している。
>簡単に説明できるということは、誰もが科学的に検証できるということ。陰謀論の場合、それを唱えている人たちにしか通じない(検証できない)理論構造での説明になってしまっている*②。これが今後どんどん広まっていくと、当然この社会は持たなくなる*③。
>陰謀論が「面白い」「いろんな考えがあるね」で済まないのは、近代社会はいろんな考えの人たちが、ある程度の人数で社会を営んでいくという前提で回っていることに関係する。
>このシステムの良し悪しとは別に*④、それを維持するのであれば、全員が同じ共通前提を持っていなければ成立しない*⑤。
>陰謀論は「すべては嘘なんだ、だけど自分が知っていることは本当なんだ」という方向に考えてしまう*⑥ので、陰謀論の拡大は近代社会が崩壊する*⑦道筋に繋がっていると思う。
>そして、その先には「科学的な証拠・検証は価値がなくなる」という暗黒時代がやってくる。そうすると、陰謀論者が社会的な言い訳としてよく使う「まあ何が本当かわからないからね」が現実になる。証拠になんの価値もなくなった*⑧世界は、何が本当かわからなくなる。なぜなら、本当というものを検証するベースを否定する*⑨から。
>これが陰謀論者の最も危険な考え方である。
>これを防ぐには、
>「世界で起きる様々な出来事に正解はなく、たまたま上手くいった奇跡的な偶然で秩序が保たれているに過ぎない」と知ることである*⑩。
>そして本来の世界は混乱に満ちていて訳が分からないけれど、それを説明してくれる都合のいい物語もなければ、突然明日(自分の身を含め)何が起こるかもわからない、でも目の前で起こっていることに対応もしながら、その偶然性に頼りながら生きていくという認識を持つ*⑪。
>こういった、本来動物がやっている世界の認識を持ったうえで、それでもみんなでやっていく*⑫ために、ひとまずは*⑬眼前にある社会的なコミュニティーを維持・形成していくこと。教育を徹底して*⑭、世界はそもそもどうなっているのか、考える癖をつける*⑮。
 
僕も、その意見はよく分かりますよ。表層的には、ですが。
 
*①上記した北杜夫さんの言を参照してください。
*②誰もが科学的に(ロジカルに)に説明できる、ということに、どれだけの意味があるのだろうか?
*③この社会を維持する必要は僕には感じません。
*④「別」にしちゃいけない。そこが一番重要な所なんだから。
*⑤そのために、ニューギニアの高地とかアンダマンの孤島とかアマゾンのジャングルとかにキリスト教の牧師が行って、、、。
*⑥たぶん「陰謀論者」の多くの人は「自分が知ってることだけが本当」とは考えていないのではないでしょうか?「あなたたちの知ってることだけが本当とは限らない」と思っているのではないかと。
*⑦崩壊しても良いと思うのですが、、、。
*⑧「証拠」に、どれだけの価値があるのでしょう?「絶対的な価値」と「なんの価値もない」の中間ぐらいだと思います。
*⑨「本当」と言うものの存在(それが絶対的存在であるということ)自体を否定しているのであって、そもそもベースの次元が異なる。
*⑩それはその通り。
*⑪僕の言う「無意識強要同調空気」の形成です。
*⑫そのこと自体には賛成なのですが、“みんな”が、どのような概念に基づく対象なのか?
*⑬あくまで「ひとまずは」であって、最終結論ではない。
*⑭実質的「洗脳」。
*⑮「理論武装」(U氏曰く、これが最も大事なことで、僕にはそれが全く欠けているのだそうな)。考える癖をつける、ということは大事なことだと思うけれど、それが一つのベースからの一方向的なものであっては、意味がないと思う。
 
「明晰な頭脳」を持った人々は、そうでない頭脳の人たちとの、会話(接触)を拒否する傾向があるように思います。ベーシックな部分で対話がかみ合わない、と知ると、頭の良い人(力のある側の人)は、理論武装をしていない(根本的な部分での価値観が異なる)人を回避する。
 
そして、青葉容疑者のような人を生み出していく。
 
現在の「人間社会(近代社会)」のシステムが続く限り、永久に、その繰り返しが成されて行くのではないでしょうか?






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2021-04-04 13:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
Swertia tibetica 大药獐牙菜 (四川省四姑娘巴朗山)



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘巴朗山。標高4700m付近。2010.7.31 (以下全て同じ)
 
センブリ(獐牙菜)属Swertiaは、ユーラシア大陸と北米大陸に150~200種ほどが知られ、その約半数の80種前後が、中国大陸(主に西南部高地帯)に分布している。「中国植物志」では、7section-12seriesに分けられる。ここで紹介する各種のうち、今回のSwertia tibetica(プライベート・ネーム「オオヤクセンブリ」)のみが、獐牙菜组Sect. Swertia(中国に3series28種が分布)に属し、他の種は全て多枝组Sect. Ophelia(中国に4series37種が分布)に所属するとされる。
 
オオヤクセンブリは、前回のヒメセンブリ属各種やヤクシマリンドウ組の種同様に、巴朗山の高山岩礫地に生えるが、秋に咲くそれらの花よりも開花期はひと月余り早い盛夏である。
 
センブリ属としては極めて大型で、外観も著しく特異だが、属としての特徴である、柱頭が明確に2分し、萼や花冠部は筒状にならず、蜜腺溝が花冠裂片の基部よりも先方に2個(ヘツカリンドウは通常1個)あり、その周囲を繊毛群が覆う(ただしアケボノソウ類とヘツカリンドウ類を除く)ことなどは、は、他のセンブリ属各種と共通する。
 


撮影した時点では、ユリ科(広義)の一種だと思い込んでいた。
 


花冠径は3~4㎝ほどあり、センブリ属の中では格段の大きさだ。
 



 


様々な高山植物の中に、オオヤクセンブリの蕾も見える。
 


標高4700~4800m辺りが、一般の植物の生育限界ではないだろうか。
 


岩石に注目。大理石の産出地としても知られている。
 


白と三角の岩が気に入っているので、同じ場所の写真を数枚続ける。
 







 




蕾。リアルタイムではリンドウと気付かず、あとでこの蕾の写真を見てリンドウであることが分かった。
 






ちょうど開花盛期なのだろう。蕾と共に咲き古した黄色い花も見られる。
 




この辺りのタンポポは、もう一種、著しく特異な花姿の「原始タンポポ」も咲いているが、こちらは普通のタンポポ。
 




二分した子房の柱頭が、まるで鰐の口(唇?)のようである。
 


花被弁の内外、雌蕊の子房本体、雄蕊の花糸と約、細糸状の毛が周囲に絡まった蜜腺溝、そのどれもが、インクを思わせる渋い藍色をしている。
 


普通のタイプと特異なタイプの2種が生えるタンポポ同様に、トウヒレンも普通のタイプと特異なタイプの2種が生える。どれほど特異なのかは、以前のブログに書いたので、探してください。
 






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2021-04-03 20:12:50 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★4月2日の記事に応援ありがとうございました。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

台湾、、、、。

僕の最初の国外旅行は、台湾だったのですよ。45年ほど前、初海外というには少し奥手で、もう30歳近くになっていたと思う。実は、初めて彼女(お茶大の生徒)が出来たのもその頃、そっちのほうも奥手で、でも結構いいところまでは行っていたのだけれど、なんだかわけがわからないうちに破局してしまった(未だに理由は不明)。

その彼女が、卒業旅行でドイツに行ったときに、トーマス・マンの「魔の山Der Zauberberg」の単行本(もちろんドイツ語)とその皮カバーをお土産に買ってきてくれた。

本来なら、(例え破局はしても)僕の「宝物」として、ずっと持っていなければならなかったものです。でも、暫く後に無くしてしまった。

その少し後、初海外の台湾に行きました。旅費を作るために、それまでの蔵書の多くを、知人の古本屋(生物学系)に売った。台湾渡航中、東京(世田谷)の僕のアパートの室内に入れるようにしておいて、「本棚にある本(図鑑類が多い)は全部もって行って良い」「ただし本棚以外のところに纏めている分は絶対にもっていかないように」と、依頼をしておいたのです。

なのに、「絶対持っていかないように」と厳命していたのも(他の古本屋に)売り払ってしまった。

その中には、
上に述べた彼女のドイツ土産の革製トーマス・マン。
北杜夫さんからの献呈本(遠藤周作さんとの対談中にちらっと僕の事を書いてくれた)。
岩波鴎外全集(毎月購入していた)の付録についていた「三人冗語」「雲中語」全文。
今思えば、すごく大切なものばかりなんですね。
なんで、もっと抗議をするなり、取り戻す努力をしなかったのだろう(その知人は「一束三文で売り払ったので追跡不可」と言うけれど、その気になれば突き止められたはず)。結構気が弱く、淡泊なのです。

「三人冗語」は、ゆっくりと読もうと、楽しみにしていたのです。森鴎外が「鐘禮舎」、幸田露伴が「脱天使」、斎藤緑雨が「登仙坊」ですね(その後の「雲中語」では、依田学海、尾崎紅葉、饗庭篁村、森田思軒らも参加)。

昨日、ネットで「三人冗語」を検索していました。樋口一葉(とくに「たけくらべ」)関連が多いですね。「たけくらべ」をもって、一葉が日本近代文学の最高峰に上り詰めた直接要因は、この激賞によるものです。

因みに、(そのことは以前にも記しましたが)「たけくらべ」絶賛のすぐ後に、広津柳浪の「今戸心中」が「たけくらべ」を上回る字数を割いて絶賛されていることは、余り知られていません。

あと、評論そのものよりも、「三人冗語の石」(鴎外が石に座って、露伴が横に立って、緑雨が木にもたれかかっている)のほうが、知名度が高いようです。「三人冗語」でネット検索すると大抵「三人冗語の石」が出てきます。

鴎外の住んだ観潮楼は戦後消失し、今はその跡に「森鴎外記念館」が建っています。「三人冗語の石」だけは、焼けずにちゃんと残っています。瀟洒なカフェもあるようなので、経済的・精神的余裕ができたときに、一度訪ねてみたいと思っています。

ところで、今ではどの解説書にも、「“観潮楼”は、当時そこから東京湾が望めたことに因り名付けられた」と、しれッと書かれています

「三人冗語」の話題について書かれたあるコラムに、興味深い記事がありました。鴎外の娘の小堀杏奴が母(鴎外の二番目の奥さん)から聞いた話です。

鴎外が夫人に訊ねたのだそうな。
「お前、海が見えるか?」
夫人は一生懸命海の方角を眺めたのち、
「私にはどうしても見えません」
鴎外は笑って、
「お前は正直だ、ここから海が見えるわけがないのだよ」
「でも来訪者に“見えるか?”と尋ねると、皆(鴎外に忖度して)“見えます”という」

まあ、世の中そんなものですね。事実と空気は、「形作られた空気」のほうが事実に近いわけです。

これも前に書きましたが、長年近所に住んでいた夏目漱石と鴎外は、記録の上では2度しか会っていないことになっています。現在では、これが定説です。

でも、史実の実態など、簡単には分からないですね。漱石と鴎外はしょっちゅうツルんでいた、という設定の小説や漫画もあります。

「三人冗語」検索中に、「二人冗語」とか「四人冗語」とかのパロデイ・コラムを見つけました。

「一人冗語」は無かったので、僕のコラム表題は(そのうち)これで行きます。

「いい日朝立ち」(三世から滅多なことでは使うな、と言われて大事に取ってある)と共に、“切り札”です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

台湾、樹林(蘇澳)から花蓮に至る断崖絶壁をくりぬいたトンネル、特急列車や各停列車に乗って、何度も何度も行き来したものです。

ご冥福を祈ります。残された愛する人々に、幸ありますように、、、、。





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-62

2021-04-03 13:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
Lomatogonium gamosepalum 合萼肋柱花 (雲南省香格里拉)



雲南省迪庆藏族自治州香格里拉近郊。標高3300m付近。2013.10.2 [Monica Lee撮影]
 
合萼肋柱花Lomatogonium gamosepalum は、他のヒメセンブリ属各種とは、萼筒が裂片の中程までが合着すること、花冠の“喉”の部分が丸く白色で覆われ、そこに(裂片ごとに)明瞭な2個の蜜腺溝を有することなど、大分印象が異なる。「中国植物志」によると、分布域は「チベット東北部、四川省、青海省、甘粛省西南部、およびネパール」で、雲南省は含まれていない(ただし「中国植物図像庫」には香格里拉産が掲載されている)が、写真の個体は、ほぼ間違いなくこれに相当するようである。
 


雲南省迪庆藏族自治州香格里拉近郊。標高3300m付近。2013.10.2 [Monica Lee撮影]
 
 
Lomatogonium sp. 肋柱花属の一種 (雲南省白馬雪山)



雲南省迪庆藏族自治州白馬雪山。標高4200m付近。2005.9.29 
 
Lomatogoniumヒメセンブリ属は、子房に花柱を欠き、柱頭が子房に沿って垂下する、という特有の構造を持つ。また、花被裂片が右巻きに重なりあい、その裂片の裏面は、片側半分(重なられた側)が表面と同じ明色、もう半分(重なる側)が顕著に暗色を帯びるという特徴も有している(そのことは蕾の様子でも判る)。
 
ヒメセンブリLomatogonium carinthiacum は、日本では南アルプス(主に北岳周辺)と八ヶ岳のみに分布する絶滅危惧種だが、世界的に見れば、ユーラシア大陸(ヨーロッパ~中国大陸)と北米大陸の亜寒帯域に広域分布している。
 
Lomatogonium属は世界に24種、うち20種が中国大陸に分布。しかし、次に紹介した顕著な特徴を持つLomatogonium gamosepalum以外の種は、僕には区別がつかない。そのため、ここでは種ごとではなく地域ごとに紹介していく。四姑娘山に於いては、少なくとも4種以上に分けられるようである。
 
この写真(3枚)の個体は、花冠が平開しない。この後紹介する、四川省雪宝頂の個体、および四姑娘山の最初の個体と共通する。
 




雲南省迪庆藏族自治州白馬雪山。標高4200m付近。2005.9.29 
 
 
Lomatogonium sp. 肋柱花属の一種 (四川省雪宝頂)



四川省阿坝藏族羌族自治州雪宝頂(松潘~黄龍間の峠)。標高4200m付近。2005.9.25
 
前掲の雲南省白馬雪山の個体、および次掲する四姑娘山の最初の個体と共通する
 (プライベート・ネーム「ツボバナヒメセンブリ」)。
 
Lomatogonium spp. 肋柱花属の複数種 (四川省四姑娘山➀)



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘長坪溝。標高3600m付近。2006.9.18
 
上掲2地域個体群と同一分類群に含まれると思われる。
 


四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘長坪溝。標高3400m付近。2006.9.18
 
一見、蕾のようにも見えるが、そうではないと思う。異常個体の可能性も含め、特定不可。どちらかと言えば、最初に紹介したLomatogonium gamosepalum合萼肋柱花との関連性が考えられる。
 






四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘長坪溝。標高3600m付近。2006.9.18
 
花は平開し、大型(花冠径2㎝余)、後述する高山帯(巴朗山)の集団の一つに似るが、茎高が高く分枝して花を着ける。
 
 
Lomatogonium spp. 肋柱花属の複数種 (四川省四姑娘山②)



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘巴朗山。標高4700m付近。2006.9.19 (以下18枚同一日同一地点)
 
リンドウ属ヤクシマリンドウ組の場合もそうだったように、四姑娘山に見られるヒメセンブリの一群は、おそらく同一グループの別分類群(別種)に所属すると思われる複数の個体群から形成されている。
 
それぞれが、どの種に当て嵌まるのかについては、僕の能力では特定出来ないでいる。少なくても、著しく大きさの異なる個体は、別々の分類群に属するのであろう。
 


花の大きさが著しく異なる。
 




画面上での花の大きさを統一して示した。
 


大きい方の個体を、小さい方の個体と同倍率(やや低め)で示す。
 


小さい方の個体(上の大きい個体の数倍の倍率)。
 




小さい方は、ヤクシマリンドウ組の種と比べても、これだけの差がある。
 






小さい方に属すると思われるが、前出の個体よりは、やや大きめ。
 




これは、長坪溝の茎高の高い個体と同一分類群なのではないだろうか?
 




ユキノシタ科ユキノシタ属の一種と。
 




大きな小さな方と違って、ヤクシマリンドウ組の種の花冠径を上まわる大きさ。
*下写真。この地域特有の岩石に注目。
 


右後方は、四姑娘山主峰6250m。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 


黄緑:白馬雪山/空色:香格里拉/ピンク:四姑娘山/赤:雪宝頂/【参考】黒:南アルプス
 
 
 
 
 
 





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2021-04-02 20:33:35 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
最後の砦、スタバのバイトもダメだったですね。
 
シルバー・スタッフ募集ということで、「僕なんか無理でしょう」と言ったら、店長さんは、「大丈夫ですよ!」というので応募したのですが、、、。
 
まあ、決めるのは現場のスタッフじゃないでしょうし、人間とは見做されていないような僕なんかが「組織」で働くことは、初めから不可能でしょうから(「審査」が必要な仕事は、チラシ配りやガードマンもさせて貰えない*くらいなので)。*インターネット上には(「あなたにもできますよ」と)いろんな案内があるのですが、いざ応募すると「条件に会いません」と拒否されてしまう。
 
青山 潤三様

スターバックスコーヒー
0000店
採用担当です。

先日は、お忙しい中面接にお越しいただき誠にありがとうございました。
慎重に検討を重ねました結果、残念ながら今回は貴意に添いかねる結果となりました。
貴重なお時間をいただきながら、大変申し訳ございませんが、何卒ご理解いただければ幸いです。
引続きスターバックスをよろしくお願いいたします。

<<<<!!!!ご注意!!!!>>>>
こちらのメールは配信のみとなっております。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
まあ、予想通りの結果なのですが、(大抵の「組織」「公的機関」からのメールはそうだけれど)最後の2行が腹立ちますね(笑)。
 
ズボン買ったり、靴買ったりしたので、来月分のお金も無くなってしまったです(でも、見かけが綺麗になった!)。
 
やっぱり、DVD(40作品+原版写真500枚収納)を売るために、毎日8時間街角に立ち続けるしかないのでしょうかね?(去年は2週間ほど続けて2000円で1枚だけ売れた)。
 
ところで、、、、。
 
僕のブログは、一応有料(自主カンパ要請)なのですが、誰も応じてくれないですね(正確には13年間に3人いたかな、、、、もう10年ほど前ですが)。
 
読者がゼロだったら仕方ないけれど、何人かの方は読まれているはずです。例えば、街角に無人新聞販売コーナーがあって「読まれる方はお金をここに入れて下さい」という表示があった時、どうせ分からないから、と思って、タダ読みしても良いのだろうか?
 
僕のように、新聞代も払えないような貧乏な人で、でも読みたい、という人は、タダで読んで貰っても良いと思っています。でもその旨一言欲しいですね。
 
もちろん、読んでみたけれど、読む価値がなかった(だからお金払う必要ない)、と判断されれば仕方ないですけれど(笑)。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
以上、最新の現状報告。以下の話題とは無関係です。
 
「アジア系差別」
 
いろいろ想うところがあります。
 
たぶん、大方の人々とは異なる性質の“想い”でしょう。
 
アジア人が欧米人に差別されても、当然だと思います。だって、“違う”んだもの。“異なるものを排除する”これは生命の原則ですね。それを想えば、差別されたって、どうってことない。むしろ“同じ”と思っている人たち(日本人)から差別されることのほうが、ずっと辛いです。
 
因みに、アメリカでの活動中(計半年近く)は、謂われなき差別を受けるだろう覚悟でいたのだけれど、予想に反して、それはもう親切にされました。今でも、なんでなんだろう?と思っています。
 
・・・・・・・・・・・・・・・
 
僕のフィールドの一つに、屋久島の北の(九州本土との間にある)三島列島があります。三つ並んだ西端の黒島が僕の主要フィールドですが、これは東端の竹島という島の話。
 
島全体が一面リュウキュウチクに覆われた竹島、数年前、ここがちょっとしたニュースになった事がありました。
 
島外(都会)から若者が簡易郵便局の(唯一の)職員として派遣された。その若者が突然行方不明になった。島の余りの閉鎖社会に精神的に耐えられなくなって島から逃亡したのだとのこと。
 
そのニュースに、「気持ちわかる」「当然だと思う」というコメントが沢山ついていた。それで僕は、「竹島、素適なところですよ、一面のリュウキュウチクと綺麗な海以外に、な~んにもないところで、おじいちゃんおばあちゃんと子供たちしかいないけれど、みんな親切だし、僕は溶け込んでいましたけれど」とコメントしたら、「そうは思わない」をどっさり貰ってしまった。
 
そのことをU氏に話したら、U氏曰く、「それは青山さんが鈍感だから気が付かないだけで、普通の人は違うんじゃないですか?」
 
そうか、僕がバカだから、気付かないだけなんだ、、、。
 
そうなんですね、きっと。それにしては、一般社会からのその他の様々な排除やイジメには、どうしようにもない程(首括ってしまいたいほど)傷ついているのですけれど、、、、。きっと、そっちのほうは、単なる思い込み(神経質)とか言われるのかな?
 
「どんな状況に置かれても平気、気にしない」というのと、
「普通の状況なのに排除されてしまう事を、常に悩んでいる」というのは、 
表裏一体なのかも知れません。
 
柳に風、暖簾に腕押し、蛙の面にションベン。
 
全く別の次元において、「してる側」も、「されてる側」も、気付いていなければ、どうしようもないわけです。
 
一方、(言葉を忘れちゃったですが)「影が巨大な悪魔のように見えて怯える」(柳が幽霊に見える)みたいな、ちっちゃな(なんでもない)事に過剰に反応してしまう、という言い回しもあったはずです。
 
自分の体調に関して言うと、いろんな検査(血液、CTスキャン、呼吸器、脳波、心電図etc.)受けて、何処にも異常がない。だけど辛い。生きているのが精いっぱい、という状況です(パソコンに向かってるのも、裏山を歩いているのも、決死の覚悟です)。
 
体の各部分が、猛烈に痛かったり、頭が割れそうになったり、猛烈な吐き気や眩暈のような状態が続いていたり、、、、たぶん、第三者には分かって貰えないでしょうね。
 
突然「裏山探索」したのも、意味があるのですよ。スタバの面接受けて万が一O.K.だった場合、体が耐えられるかどうか、、、それをチェックしておきたかったのです。とりあえず、数時間なら、カメラ以外何も持たずに歩いている分は耐えられる、と。
 
ずっと前のブログにも書いた事。僕が痛み(や体に対する何らかの圧力)に弱すぎる、という可能性。普通の人なら、ちょっとした痛みに過ぎないのに、僕の場合は我慢が出来なさすぎる、という。
 
でも、逆に、普通の人なら我慢できない状況の中を、平気で過ごすことも出来るわけで、、、。
 
どっちも思い当る節があるわけです。
 
人間、いろいろあるんです。そんなこと分かっている、と皆言うわけですが、分かってませんね(もちろん僕を含めて)。
 
どうしても(無意識なうちに)一つに基準を作ってしまう。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・
 
僕は、最近、「ロジカルであること」とか、「科学的であること」とかに、非常に反発してるんですね(笑)。「理論」信望、「科学」信望は、どこか違うんじゃないかと。
 
「理論的」「科学的」であろうとすることによって、選択肢を一つに絞ってしまっている。特定の「基準」でしか、物事を把握できなくなってしまっている。
 
こんな記事がありました。
 
>コロナを、ただの風邪と思っている無知な人への警告。
>コロナがいかに大きな恐怖であるか、ロジカルな認識に沿って、もっと真剣に立ち向かわねばならない。
実際に罹ったという海外在住ライターが書かれた記事です。
 
何度も言いますが、コロナは“ただの風邪”です。
そして“ただの風邪”は、とんでもなく恐ろしい脅威です。
 
何度も繰り返して言います。
(いわゆる)コロナは、昔からずっと存在していた。
僕は中国で何度も罹りました。
中国の医師曰く。
>未知のウイルスだと思うので、(治療法と言われても)どうしようもないです。
>充分な栄養と睡眠をとる事、それだけです。
 
今後も、「コロナ」は、どんどん脅威を増して行くでしょう。
 
でも、逃げたり(マスク)、立ち向かったり(ワクチン)することは、選択肢が(基本的な部分で)違うと思います。
 
・・・・・・・・・・・
 
“コロナ”➀
 
1 東京の某大規模病院の事務局長の談(直接取材)
>敢えて検査数を減らしている。

2 中国の状況(直接取材)
>一般生活ではマスクなし。*
>感染者数は日本より少ない。**

*場所によってはマスク着用が「命令」されます。背くと厳罰です(罰金とか資格剥奪とか)。
「民主主義」の日本のように、「自由の保障」は名目上成されていても大衆の「空気」に従わねば実質上排除される、ということはありません。

**「隠蔽」を言う人がいますが、それは1の例とどこが違うのでしょうか?
 
“コロナ”②
 
「第4波目」だそうです。
 
今まで気が付かなかった(話題にしなかった)だけで、過去から数えれば、第100波目とか500波目とか、、、将来は、第2000波目とか、1万波目とかになるんでしょうね。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・
 
バカな僕が無知なのか、賢者が無知なのか。
 
賢者は賢者の世界でしか対象を見れません。一つの次元(ロジカル)でしか、解釈の仕方を知らない。
 
「次元」は無数にあるはずです。
 
U氏に繰り返し言われたこと。
青山さんの書く物は“「現代ビジネス」クオリティ”に達していない。
それは分かるんですよ。
世の中には、その時代、その地域に特化した「クオリティ」というのがあるわけです。
それが(俯瞰的に見た場合)必ずしも「標準」ではなく「特化」である、ということを、頭の良い人たちは分かっていない。
 
・・・・・・・・・・・・・・
 
僕がバカで知能が低い、というのは、真剣に、真面目な話として捉えねばなりません(いや、ほんとは“真剣”は面倒なのでスルーしてますが、笑)。
 
知能とは何か?
と言う事ですね。
 
狼少女でしたっけ。赤ちゃんの時から狼に育てられて、後に人間界に奪回されたけれど、人間には戻れなかった、という話。戻らねばならぬ必然性は、どこまであるのだろう?
 
僕に関して言えば、、、10代の半ばから、社会に背を向けてきました。その分、他の人にない特殊技能?(原始社会でも暮らせる?)を持っているのではないか?と、ちらっと自負しているところがあります。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
悪人を断罪し、老人を排除する、正義のヤフコメ民の人々。U氏は、「彼らは特別だ」と言うけれど、結局は大衆の代弁者なんですよね。
 
植松被告は、「空気」の中にある、「普通の人」です。「普通の人」が、やってはならぬことを実行してしまった。
 
青葉容疑者は、「異常者」です。健常者から断罪される側にある人です。「空気」に加わることが出来ず、無視をされ排除された挙句、「健常者」を攻撃してしまった。
 
むろん、どちらも肯定できません。
 
でも、世界は、意外に“それぞれ”どちらかを肯定してしまっていたりする。それに気が付かない、ということが、問題なのです。
 
だから「コロナ」も「民主化運動」も、収拾がつかなくなってしまっている。
 
問題はもっと別の所にあるのに、、、、。
 
・・・・・・・・・・・・・
 
リンドウ、次回のヒメセンブリ属が終われば、あとはセンブリ属(ヘツカリンドウの総括を含む)を残すだけです。どう考えても無意味でしかないことをやってるみたいですが、とりあえず完結まで頑張ります。




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-60

2021-04-02 13:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
Comastoma pulmonarium 喉毛花 (雲南省白馬雪山)



雲南省迪庆藏族自治州德钦县白馬雪山。標高4100m付近。2005.9.29(以下10枚同じ)
 
前回のシロウマリンドウ属や次回予定のヒメセンブリ属もそうだが、日本では絶滅寸前の種が、大陸では普遍的に広く分布しているという例が少なくない。このサンプクリンドウ属もその典型例である。日本では、南アルプスと八ヶ岳の極めて限られた場所のみに見られる超希少種。しかし、この後示す幾つかの写真でも分かる通り、中国西南部の高標高地帯では、ほとんど雑草然として生育しているのである。
 
「中国植物志」によると、世界(北米やヨーロッパを含む)に15種、うち中国に11種分布するとされる。種サンプクリンドウComastoma pulmonarium (喉毛花)の分布域は、中国西南部が中心で、東は秦嶺山脈、北はロシアの一部(模式産地)、及び日本。
 
中国には、西南部を含むかなり広い範囲に、Comastoma pulmonariumによく似た、Comastoma traillianum高杯喉毛花やComastoma falcatum鎌萼喉毛花も分布していて、写真の各地域集団が、それらのどの種に帰属するのか、僕には特定が出来ない。最後に紹介する四川省四姑娘夹金山産のみは、他の4地域集団とは明確に異なるため種を分けるべきと考えるが、それ以外の(四川省康定産を含めた)4集団は、暫定的にComastoma pulmonariumとして纏めておく(逆に四姑娘夹金山産がComastoma pulmonariumに相当し、他4地域集団が異なる種に属するという可能性もある)。
 

















 
 
Comastoma pulmonarium 喉毛花 (雲南省香格里拉)





雲南省迪庆藏族自治州香格里拉市。標高3300m付近。2013.10.2 [Monica Lee撮影]
町の一角(造成地?)に、まるで帰化雑草のような群落を作っていた。
 
 
Comastoma pulmonarium 喉毛花 (雲南省中甸大雪山)





雲南省迪庆藏族自治州香格里拉県翁水郷。標高3600m付近。2010.9.21
 
 
Comastoma pulmonarium 喉毛花 (四川省康定)



四川省阿坝藏族自治州康定县康定近郊。標高3300m付近。2010.7.25(以下10枚同じ)
上掲した雲南産の3地域集団に比べて、花冠はより窄み気味に開く。
 

















 
 
Comastoma sp. 喉毛花属の一種 (四川省四姑娘山)



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县~雅安市宝興県夹金山。標高4100m付近。2010.7.30(以下3枚同じ)
萼筒部が短い。花冠裂片は反り返り気味に平開する。
 



 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 


青:白馬雪山/空色:香格里拉/黄緑:雲南四川省境山地/赤:康定/紫:四姑娘山/【参考】黒:南アルプス






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-59

2021-04-01 20:00:48 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



★中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-58の記事は、文章が半分しか掲載されていなかったので、再掲しました。応援をいただき、ありがとうございました。

 
読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
昨夜は大変な目にあいました。いつものとおり、夜中の12時過ぎに就寝するつもりで、トリアゾルムを1錠飲んで寝ます。
 
飲んでから、ベルト・ケンプフェルトの曲をイヤホーンで聴く。7~8曲しか入っていないのだったり、50曲近く入ってたりで、いつも適当に選んでいる。基本的にはいつも、トリアゾルムを飲んだ後も少しは作業しようと、パソコンの中の資料を弄っています。飲んでいようがいまいが、20分や30分ぐらいは起きていられるはずです。でも、大抵は2曲目か3曲目辺りで熟睡してします(あとは何曲残っていようが一切聞こえていない)。
 
意に反して、見事に寝てしまう。そりゃ睡眠剤飲んでるのだから当たり前だろ、と言われそうですが、以前(10数年前頃まで)の僕は、一度眠れなくなると睡眠剤を飲んでも全く効かなかったのです。それが、不思議なことに、数年前頃から見事に効きだした。(むろん、それはそれで有難いのですが)。
 
昨夜は36曲(約1時間半分)収納のファイル。7~8曲ぐらいまでは耐えて、少し頑張って作業(写真整理)を続けよう、と思っていたのが、全36曲を終えてもまだ起きていた。“今日は良く頑張ることが出来た、儲けもの”ぐらいに思っていました。トリアゾルムは既に飲んでいる(100%確か)ので、効かないわけはないでしょうから、そのうち眠れるはずです。
 
それが、なぜか全然眠れないのです。数か月前にも同じようなことがありました。何故か眠れない。トリアゾルムを飲んでいるので、確実に眠れるはず、そのうちに、と思っていたのに、いつまで経っても眠りにつけない。念のため、薬の数を数えてみたら、飲んでいなかった。
 
その時と違って、今回は絶対に飲んだ自信があります。わざわざ数える必要はない。眠れないわけはないのです。しかし、夜が明けても眠りにつけない。もし徹夜でもすることに成ったら、体調は一気に悪化してしまう(それでなくとも毎日夕方以降は生死の境を彷徨っているみたいな状況ですから)。
 
さあ困りました。もう一錠飲めば眠れるかも知れないけれど、一晩に2錠飲むことはしたくありません。でも今回は異常事態、やむを得ないと思ってもう一錠飲みました。
 
すぐに眠りについて、下手すると倍寝てしまうところ、幸いお昼前(5時間ほど熟睡)に起きた。目が覚めて、ふと頭の横のパソコンを見たら、なんと(間違いなく飲んだと思い込んでいた)最初の一錠が、パソコンのキーボードの上に転がっていた。
 
薬を飲む事と他の作業 (イヤホンを差し込むとか音楽再生をクリックするとか)を同時進行していたのが、薬を口に入れる瞬間に、うっかり別作業のほうを優先してしまった。自分としては、間違いなく飲んでいるのだから、眠れないわけがない、と信じていたのですね。単純に、飲んでなかったから眠れなかったわけです。
 
幾つかの問題点。
 
よく、フェイクの薬とかあるじゃないですか。それが案外効いたりするんだと。薬なんて実際の効き目より、そのような心因的な部分に対して効果を齎らす部分もあると思うんですね。睡眠剤などには、それをちょと期待してしまいそうです。
 
でも、今回のような例で考えたら、どうやらそのような効果は100%発動しない。飲んでいなかったら(本人は飲んだと信じていても)絶対に眠れない。飲んだら一発で眠れる。
 
よく、「不眠症なんて気持ちの問題」と言う人がいるけれど、無責任すぎます。何日も何日も眠れないことが、どれほど辛いことか。昔の僕は、(たとえ睡眠剤を飲んでさえ)いったん眠れなくなると、毎日ハードな作業(僕の場合概ね撮影登山)を行い、徹夜を繰り返しても、何日も何日も眠れない日が続いたのです。一週間か10日ほど不眠を繰り返し、その後、突然2~3日間爆睡する。人生の半分は、それで苦しんできました。
 
それが、何故かここ数年、睡眠剤さえ飲めば、確実に眠れるようになった。今の「トリアゾロム」は、以前の(飲んでも効き目がほとんどなかった)「ハルシオン」と同じ成分だそうです。
 
若い頃と違って、徹夜が体に一番堪えます。一晩でも徹夜をすれば、器質的な部分での障害に結びつく可能性があるでしょう。
 
徹夜すれば、朝になってから眠れば良い、、、そんな簡単にはいかぬのです。日が変わろうが、再び重労働をしようが、睡眠剤を何錠飲もうが、羊を100匹数えようが、眠れなくなると眠れない、それが以前の僕です。 
 
それでも(今よりは)若かったから、体への大きな影響は齎さないで済んでいたのだと思いますが、今はダメです。1年半前の、マクドナルドの深夜清掃、連日の夜間作業(今は睡眠剤の力である程度日中眠ることが出来るけれど、それでも夜→昼逆転は相当なダメージ)で重いものを持つ日が続いて、背骨を曲げてしまった。
 
ただ、(昼夜逆転の深夜重労働はともかくとして)今は万が一朝まで起きていたとしても、睡眠剤を飲めばすぐに眠りを得る事が出来ます。
 
でも、それは、結構怖い事だと思いませんか? 確実に眠れるようにはなったけれど、薬が無くなれば、眠れないわけです。
 
この先、どうすれば良いのでしょうか? 最も考えられる方法は、薬の量を少しづつ削って、体のほうも徐々に馴らして、やがてゼロにする。
 
ということは、以前と同じになるわけです。1週間眠れない日が続き、その後纏めて爆睡。若い頃はともかく、今(殊に軟口蓋の奥の破壊されたままの状態でいるこの8年間)は、数日徹夜すれば、体全体の器質が破壊されてしまうと思います。
 
73歳にもなれば、良く持ってもどうせあと数年でしょうから、ちゃんと薬を飲み続けて、せめて朝のうちだけでも、意識と体調を維持しておく(5時間眠ったとは言え今日は起きてからも苦しい)、そちらの方が賢明かも知れません。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
一週間も10日間も、重労働を繰り返しているのにも関わらず眠れないでいる、という話を先に書きました。
 
実は、ある意味、頭は起きていても、体は寝ているのですね。だから、今はともかく若い頃(60歳くらいまで)は、それで持った。
 
別の見方をすれば、「眠れない」というのは、睡眠中に断片的に目覚めている事なのかも知れません。その覚めている部分だけを繋ぎ合わせて、連続して起きていると認識する。
 
若い頃はそれで何とかなったのですけれど、今はそれじゃ困ります。それはともかくとして、、、、。
 
僕が一番興味を持っているのは、「寝ている部分(おそらく夢も見ていない)」と「覚めている部分(広義には夢も含む)」の相関です。
 
そもそも「夢」というのは、一体何なのでしょうか?
(僕の嫌いな、笑、「ロジカル」の対義語的な要素もありそうです)
 
起きて、普段の状態でいる時、(瞬間的に)夢を見ている*ということもあるように思います(大抵は気付かない)。*例えば、何の脈絡もなく、大昔の一場面の記憶の瞬間が突然鮮明に再現されたり。
(「痴呆」という現象も、本質を深く探っていけば、それは人間本来の要素の表れなのであって、人間とは何か?という問いに辿り着くことになるのだと思います)。
 
意識とは何か、ということですね。人間が人間であることと「意識」は、どう関連しているのか? 人間以外の「命」(冗談だけれど、例えば宇宙人とかも含めて)は、「意識」とは別の領域に存在しているのではないか? (本質的には人間も?)
 
繰り返し言うけれど(ここが一番大事なのだけれど、いかんせん僕には能力がなくてうまく表現できない)、論理に因る証明や、それに基づいて発展を遂げた科学の恩恵でもって、今成し得ていること(例えば、電気がつき、飛行機が飛び、、、医療が発展し、インターネットが出現し、等々)、は、一体、どれほどに“意味”がある事なのか?
 
朝と夜
光と闇
生と死
現実と夢
時間と空間
過去と未来
極大と極小
拡散と収斂
安定と変動
善と悪
文明と原始
科学と非科学
賢者と愚者
明晰と混沌
 
今日はしんどいです。リンドウ60を送って、早めに部屋に戻って、睡眠剤飲んで、もう一度寝ます。







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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-58

2021-04-01 13:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



 
Halenia elliptica 楕円葉花錨  (雲南省梅里雪山)


雲南省迪庆藏族自治州德钦县梅里雪山明永村。標高2300m付近。2010.9.11(以下同じ)
 
ハナイカリ(花錨)属Haleniaは、花冠の各裂片の基部から、大きな角上の突起が四方に突き出すという、非常に特徴的な外観をもつ。一見リンドウの仲間には見えないが、基本的形質は他のリンドウ各属と大きな相違はない。
 
北米大陸に繁栄する植物で、約100種。ごく僅かな種が旧大陸にも分布し、中国からは、日本にも分布するハナイカリHalenia corniculata花錨を含めた2種が知られている。ハナイカリは、主に中北部~東北部(西端は陝西省の秦嶺山脈)に、もう一種Halenia elliptica 楕円葉花錨(マルバハナイカリ)が、中国西南部を中心とした一帯(東は湖省、西はヒマラヤ地方)に分布する。
 
ここで写真紹介する5地域個体群は、全てHalenia ellipticaとして纏めた。日本のハナイカリと異なり、萼裂片が幅広い葉状を成す(「中国植物志」では2変種に分けている)。
 


梅里雪山産は、萼裂片の幅が比較的狭い。
 





 


小型ヒョウモンの一種Clossiana gongと。
 


渓流脇の草地に群落を成していた。
 
 
Halenia elliptica 楕円葉花錨  (雲南省白馬雪山)




雲南省迪庆藏族自治州德钦县白馬雪山。標高4100m付近。2015.7.30
 
 
Halenia elliptica 楕円葉花錨  (雲南省香格里拉)


雲南省迪庆州香格里拉石卡雪山。標高3900m付近。2015.7.28
 






雲南省迪庆州香格里拉石卡雪山。標高3900m付近。2015.7.28
赤い花はシオガマギク属
 




雲南省迪庆州香格里拉石卡雪山。標高3900m付近。2015.7.28
ピンクの花はシオガマギク属
 




雲南省迪庆州香格里拉-碧塔海。標高3400m付近。2015.7.29
 
 
Halenia elliptica 楕円葉花錨  (雲南省玉龍雪山)


雲南省麗江市玉龍雪山山麓。標高3100m付近。2005.9.27
 


雲南省麗江市玉龍雪山山麓。標高3100m付近。2005.9.27
 


雲南省麗江市玉龍雪山山麓。標高3100m付近。2004.8.5
 


雲南省麗江市玉龍雪山山麓。標高3100m付近。2005.9.27
 
 
Halenia elliptica 楕円葉花錨  (四川省雅江)


四川省甘孜藏族自治州雅江県-康定県。標高4500m付近。2009.7.20
雲南省各地産に比べ、萼裂片の幅がより広い。
 




四川省甘孜藏族自治州雅江県-康定県。標高4500m付近。2009.7.20
 
・・・・・・・・・・・・・
 


空色:梅里雪山/緑色:白馬雪山/紺色:香格里拉/桃色:玉龍雪山/赤色:雅江-康定






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-57

2021-03-31 21:04:36 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★記事の後半部分が抜けていたので、追加しました。4月1日

読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ほぼ書き終えているけれど、ブログにアップしていない記事」が大量にあるので、それをどのように処理していけば良いか、いつも考えています。“ほぼ”というのが、一番困るのですね。書いているときはイケイケなのですが、一息ついて読み返すと、なんか違うな、、、と。

そういうのが無数にあって、何処に収めたのか、パソコンの中から探し出すのが大変。

で、どんどん後回しになって、行方不明のお蔵に溜まって行きます。

「アメリカン・ポップス」と「明治文学」関係には、特に多い。

大作の一例を挙げると(もう繰り返し何度も予告していますが、笑)
『A Short Story of The Cadence Record』と題してスタート、いつの間にやら「ショート・ストーリー」じゃなくなり、1954(53)年~1963(64)年にリリースしたシングル盤212枚A/B両面の全曲解説などに取り組んで、それもほぼ終わり(大半の曲はユーチュブから見つけ出せる、音源が無くても最低限の情報を探す)、更にアルバム解説とかに手を付けて、、、、いつに成ったら日の目を見るのか?

斎藤緑雨の話題も書きかけたままです。どんどん枝葉が広がって行って、収拾がつかなくなっています。

文学、ということで言えば、ぐっと新しいところで(僕より20歳近く若い作家の)酒井順子さんの著作『金閣寺の燃やし方』。これ、最初に読んだとき“やられた”と思いました。いわゆる「ギヨウ」を感じた、という事なんですが、、、以前にも触れたのだけれど、この言葉がいくら手繰ってもパソコンでは表示されないんですね。いやもう本当に腹が立ちます(そんなことでいちいち腹立ててたら生きていられませんが、笑)。やっと出てきたのがこれ↓
技癢ぎよう
でっかく振り仮名付きで、、、なんとかならんでしょうか。

もう一つ見つけました。こちらは略字。
Akizukidさんという方の、「シリアルなポップな日々」というブログ(2008年)からです。
>年2回の芥川賞の発表を迎え、自分と同世代の誰かが受賞したりするとギヨウを感じます。
>ギヨウって漢字がわかりません。
>これは森鴎外が「舞姫」を発表した際に夏目漱石が感じた感情です。
>ギヨウ。
>ザウルスSL-C1000の辞書にはありませんでした。
>技痒。伎【養に病だれ】。
と、記されています。

↑しかし(細かい事ですが、笑)間違ってますよ。
逆ですね。
これは“夏目漱石が「吾輩は猫である」を発表した際に森鴎外が感じた感情”です。

ただし、これも以前指摘したことですが、確かに、漱石は鴎外の「舞姫」にギヨウを感じていたらしい。子規とのメールやり取りでそれを知ることが出来ます(ギヨウという言葉を使ったかどうかは不明、たぶん使ってない)。メールに書かれた言葉が分からない、というのは、残されている往復書簡の、何故かその部分だけが欠落しているからです。子規に「そんなのを褒めちゃいかん」と怒られたそうで、、、その時、もし、怒られていなければ、漱石も発奮して小説書きに取り組み、「吾輩は猫である」や「坊ちゃん」の15~6年前から、大作家として君臨していた可能性があると思います。

因みに、(唐突ですが)三四郎はお初さんと、純一は雪子さんと、それぞれ結婚したのでしょうか?100年以上前のことですが、ずっと気になっています。

「金閣寺の燃やし方」に話を戻すと、これほど完璧な文芸評論には他に出会ったことがない。何度も読み返して、「なるほど」と納得する事ばかりです。そのたびに、ギヨウどころか、自信喪失しているのです。具体的なことは、いつか書きます。相当長くなります。

ということで(この語句は便利ですね、笑)、とにかくリンドウを終えてしまわねば、先に進めません(次回は、一見リンドウらしからぬ花姿の、ハナイカリ属です)。

なんの因果でリンドウなんかに取り組みだしたのか、と思うと、それも腹立たしいのですが。

・・・・・・・・・・

今日のネット・ニュースから。

アイルランドでは、溶岩噴出中の火山の横でバレーボールしてたり、溶岩の岩でホットドック焼いてたり、、、。

大阪は、エスカレーターの片側歩行禁止条例を作った、と(どうやら僕の住む青梅線も禁止になったらしい)。

日本は、ほんとうに「美しく優しく従順な立派な国」ですね。

・・・・・・・・・

前回文章の訂正。

マンションはオブじゃなくオンです(単純誤記)。

因みに、フランキー・ヴァリの「君の瞳に恋してる」は、オブじゃなくてオフ、こちらは暫くわからないでいた(ニュージーランドのルイスが教えてくれた)。

それと、レイ・チャールズの「ファッド・アイ・セイ」は、トじゃなくてド(これはラオスで会ったドイツ人のおっちゃんが教えてくれた)。

それらの事を知るたびに、自分の語学力の貧弱さを痛感して、凹んでしまうのです。

・・・・・・・・・・・・・・・

ネット社会を遮断し、対人関係を拒否して、エーゲ海の小さな島の山のてっぺんの洞穴に籠っている三世から、久しぶりに(無事を知らせる、、、、この状態のどこが“無事”なのか、笑)メールが届いた。

モニカからもメールが来た。中国は“everything is back to normal”と。

一段落着けば、ギリシャに行こうか、中国に行こうか、、、どっちにしろ、日本からは早く脱出したいです。




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-56

2021-03-31 14:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
Gentianopsis paludosa 湿性扁蕾  (四川省雅江県)


四川省甘孜藏族自治州雅江県東方。標高3500m付近。2010.6.7
 
プライベート・ネーム:ツチノコヘンライソウ
萼筒が長方形の箱のような形をしている(各地域産の湿性扁蕾Gentianopsis paludosa に共通する特徴)。
 






四川省甘孜藏族自治州雅江県東方。標高3500m付近。2010.6.7
 
Gentianopsis paludosa 湿性扁蕾  (四川省西嶺雪山)



四川省大邑県西嶺雪山支脈尾根。標高3300m付近。2009.8.5
 


















四川省大邑県西嶺雪山支脈尾根。標高3200m付近。2009.8.6
 
Gentianopsis pardasa 湿性扁蕾  (四川省夹金山)



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县~雅安市宝興県四姑娘夹金山。標高3500m付近。2010.7.30
 




四川省阿坝藏族羌族自治州小金县~雅安市宝興県四姑娘夹金山。標高3500m付近。2010.7.30
 
Gentianopsis sp. 湿性扁蕾?  (四川省雪宝頂)



四川省阿坝藏族羌族自治州雪宝頂(松潘~黄龍間の峠)。標高4200m付近。1995.8.5
おそらくGentianopsis pardasa湿性扁蕾に所属すると思うが、一応sp.としておく。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
シロウマリンドウ属Gentianopsis(扁蕾属)の種は、チチブリンドウGentianopsis contorta(廻旋扁蕾)のほかに日本にもう一種、一応日本固有種とされる高山植物のシロウマリンドウ(別称タカネリンドウ)Gentianopsis yabei があり、北アルプスの白馬岳周辺に基準(何度も言うように「基準」は人間側の手続きに関するもので植物自体とは無関係)変種のシロウマリンドウ、南アルプスの一部地域に(別)変種アカイシリンドウが分布している。
 
低山帯を含む中標高地帯に生えるチチブリンドウと違って高山帯にも見られ、僕は両変種(シロウマリンドウ/アカイシリンドウ)とも結構撮影しているので、それほど珍しい種だとは思っていなかったが、かなりの希少種らしい。南北アルプスのほか、日光女峰山、加賀白山からも記録されている。
 
中国大陸に広く(といって面的に連続しているかどうかは不明)分布する種は、前回紹介したGentianopsis contorta廻旋扁蕾(チチブリンドウ)、Gentianopsis grandis大花扁蕾(プライベートネーム:オオバナヘンライソウ)を含む広義のGentianopsis barbata扁蕾(プライべートネーム:ヘンライソウ)、および今回紹介するGentianopsis pardasa 湿性扁蕾(プライベートネーム:ツチノコヘンライソウ)である。
 
日本のチチブリンドウが大陸の廻旋扁蕾に対応する(同一種Gentianopsis contortaと見做されている)わけだが、シロウマリンドウは、大陸産のヘンライソウとツチノコヘンライソウのどちら(両種とも日本には分布しない)に対応するのだろうか?(それについての考察は省略)
 
ツチノコヘンライソウは、ヘンライソウに比べて花筒や萼筒が短く、その点ではチチブリンドウとも共通するが、萼筒の基部は花茎には流れず切形。地域(あるいは個体)ごとに変異に富み、幾つかの種に分けられる可能性があるが、ここでは暫定的にGentianopsis pardasa一種に纏めておく。
 
僕の撮影した個体に関しては、雲南省産はチチブリンドウ(および近縁と思われる梅里雪山の個体)とオオバナヘンライソウ、四川省産はツチノコヘンライソウと明確に分かれたが、それが偶然なのか必然なのかは把握していない。
 


(第54回を含むシロウマリンドウ属の撮影地点)
朱色:四川雪宝頂/濃緑:四川夹金山/青:四川西嶺雪山/ピンク:四川雅江/黄緑:四川雲南省境山地/紫:雲南香格里拉小中甸/空色:雲南香格里拉尼西/小豆色:雲南梅里雪山
 


(中国に於けるシロウマリンドウ属撮影種、および日本産のシロウマリンドウ属の種)
濃緑:シロウマリンドウ
桃色:チチブリンドウ
黄緑:オオバナヘンライソウ
青色:ツチノコヘンライソウ
紫色:(未詳)
 
 





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