青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

不帰ノ嶮

2023-09-23 07:47:47 | コロナ、差別問題と民主化運動、北アルプス


マスクは人類の敵

エアコンは地球の敵

集団性自己中が人類を滅ぼす



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透明人間(背後霊)のご主人コムラサキの話を書く予定でいるわけですが、どんどん後回しになってしまって、先にシロバナマンジュシャゲの話をしようかと、、、でも呑気にブログなど書いている余裕ないです。



来月までに3万5000円(HDD修理費支払いの最終期限)作らねばならない。バイト面接はスシローもマクドもアウトです。結局本を書いて売るしかなさそうです。



「中国蝴蝶野外観察図鑑」補遺の中国語訳は、あと2項目で完了。572頁中570頁まで辿り着きました。明日には完成予定(もっとも参考文献の羅列が難関で、、、)。



それと「近所の森と道端の蝶・福岡編」。地元メディア経由で収入を得ようと。こちらを最優先すべきかも。いずれにせよ今月中には収入に繋げるべく体制を整えます。併せて100万円(スシローの給料1年分相当)目論んでるのですが、とりあえず3万5000円ですね。



と言うわけで、その2つに没頭しなくてはならないのですが、日中は一日中撮影に赴いて歩き通し(この一両日はシロバナマンジュシャゲ)。Wi-Fiは日が暮れてから3時間だけ。ブログ書いてる暇ないです。



とは言いつつ、Wi-Fi繋がれば、ついつい余計なチェックをしてしまう。大谷君に関しては、幸か不幸か、当面チェックしなくて済むわけですが、ここ数日“不帰の嶮”での(助けを求める声は聞こえども、姿が見えず、という)遭難者のことが気になって。



無事救助されたそうで、良かったです!



富山県側2080m地点で救助された由、天狗の大下りでの道迷いだと思われますが、不帰キレットが2411mですから、300m以上下っていることになります。どのような経緯でそこにいたのか、気になります。



「不帰ノ嶮」自体は、無論難所ではありますが、一応一般登山路です。慎重に歩けば、危険な目には会わずに済みます。でも、ヤフコメには相変わらず「危険なところには迷惑だから行くな」「救助隊の人たちの安全優先を」「我々の税金が使われる」等々、正論が並びます。



昔、(この方と同様)白馬乗鞍岳から入って、白馬鑓ヶ岳の雪渓尻で撮影(Ranunculus属の絶滅危惧種2種)した後、天狗の頭から鑓温泉に走って下ったことがあります。無茶ばかりしてたですね。決して自慢にゃならんです(運が良かっただけ)。僕に関しては、“喝”を浴びせられても仕方がないです。



昨日は近所の359mの山(関の山)に登ったりして、へとへとになりました。体力は確実に落ちています。もうアルプスには行けんでしょうね。中国の4000mの山は歩けるだろうか?と思うと、ちょっと不安です。





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今日の背後霊

2023-09-18 21:02:33 | コロナ、差別問題と民主化運動、身近な自然



マスクは人類の敵



エアコンは地球の敵



集団性自己中が人類を滅ぼす



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2023年9月18日の背後霊。

最初の1枚だけ、昨日と同じ写真を再掲。

なお、後半は組み合わせが異なります(コムラサキーキタテハ/アカタテハーキタテハ)



写真1‐17
























































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コムラサキの背後霊もしくは透明人間としてのルリタテハ

2023-09-17 21:10:52 | コロナ、差別問題と民主化運動、身近な自然



カテゴリー:「コロナ」「差別問題と民主化運動」「身近な自然」



マスクは人類の敵

エアコンは地球の敵

集団性自己中が人類を滅ぼす



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シルビアシジミ付録Ⅰコムラサキのそのまた補遺です。



昨日撮影した写真のうち、ルリタテハ絡みの写真を集めました。

(主役のコムラサキは次の機会に)



開演日

2023.9.16 



舞台

鳥羽池畔ベンチの横のクヌギの樹



出演

コムラサキ

サトキマダラヒカゲ

ゴマダラチョウ

アカタテハ

キタテハ

ルリタテハ(影の主役:全ての写真に写っています)



以前、コロナ騒動の時、

コロナは透明人間である、という話をしたと思います。

素っ裸で街に出た夢の話。



透明人間は、実は透明ではないのですね。

姿見えているのですよ。でも、見えない。



最後の1枚が気にいっています。

うっかり隅っこに、、、、















































































































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シルビアシジミの正体

2023-09-13 21:22:24 | コロナ 差別問題と民主化運動 身近な自然

シルビアシジミの正体

カテゴリー:身近な自然



相変わらず次から次へとアクシデントが勃発、カメラが完璧にクラッシュし(修理費用の見積もり3万5000円)、3500円叩いてネットで中古を購入、しかしバッテリー充電器やCFカードは既に作ってない由、カメラがあっても使えない状況、詳細略すが苦労してそれらを入手。でも使い方(パソコンへの写真の取り込み方)が分からず、マクドの向かいのベスト電器スタッフにアドバイスを求め、結果写真を取り込めたのは良いのだけれど、スタッフの方がいじってる間にパソコンの機能が変わってしまい、パソコン作業が出来なくなるという一大事に。理不尽ではあるのだけれど更に3500円(偶然35の数字が並びます)支払って1日前の設定に戻して事なきを得た、、、、とホッとしたら、更に究極の災難が。その過程で、全く自分のうっかりで、徹夜で書き上げたシルビアシジミに関する論文(畢生の大作)をゴミ箱に捨ててしまった。ゴミ箱内部を消去した瞬間に気が付いたのだけれど、時すでに遅し。もう一度書き直す気力はないので、やけくそで(論文は止めて)ブログの記事にします。



3500円支払って、990円のトンカツ御膳を食べたら、残金は4000円弱、これで後25日間過ごさねばなりません。マクドのバイトの面接待ちなのだけれど、こちらも雲行きが怪しい。年齢、保証人なし、携帯無し、、、がネック。あと2つは、三世頼りなんだけれど、ギリシャ経由の連絡を、店側が認めてくれるかどうか、、、。

*その後、スシローなどでも面接にトライしたけれど、全て不採用。



・・・・・・・・・・・



さて、「シルビアシジミの正体」。



●極めて限られた空間にだけしか見られない、しかしそこには確実に棲息する。



現時点で確認できているのは3か所。



⓵刈り残し草地。5m×10m。

実質その中の半径3mほどの空間。

⓶金網とセイタカアワダチソウ群落を隔てた①に隣接する水道施設用地。5m四方。

車道側のコンクリート台と、刈り残し空間側のセイタカアワダチソウ群落の間(コンクリートに土が重なりその上にミヤコグサを含む雑草が生えた)半径1mほどの空間。

⓷両地から100m弱離れた池の堤防上。路傍3‐4mほどにミヤコグサの群落。



鳥羽公園とその周辺部(庄内、柏の森などを含む)の僕が歩いた(実質的なルートセンサス)ほぼ全ての地域(全体の99%以上に相当)では、ヤマトシジミのみしか検出できなかった。シルビアシジミを確認し得た上記3か所は全体からすれば僅か1%にも満たない空間である。継続調査を行った全ルートの距離は凡そ3km、シルビアシジミ確認地は距離にして約15m。全体の0.05%にしか相当しない。



むろん、シルビアシジミ発生地は他にもあるはずだ。しかしその存在を確認するためには、「絶対にここにいる」という前提での、ピンポイントでのチェックが必要である。



刈り残し草地では、シルビアシジミに遭遇した7月2日以降、(産卵場所一帯を残して周囲が刈り取られた7月6日を挟み)継続して観察している。



実は、それ以前(2023年4月~6月)も定期的に(2~3日に一度)チェックを行っていた。概ね公園内の調査開始時および終了時に、この草地を横切っていたのである。



4~6月(シルビアシジミに遭遇以前≒刈り取り以前)のこの草地には、ベニシジミが非常に多く、次いでツバメシジミ。ヤマトは余り多く見かけることは無かった。



ヤマトシジミは、昨年の10月~11月、今年に入って3月~4月には、公園一帯で数多く見られたのだが、5月~6月には余り見かけないでいた。それで、出来る限りヤマトシジミのチェックを行っておこうと、出会う個体を全て撮影していた。



7月2日も、その日の撮影を終え、最後にこの草地を横切って自宅に向かおうとしたとき、一頭の“ヤマトシジミ”がいたので、カメラに収めた。その時、あれ?もしかしたら、、、と気になって斑紋をチェックしたら、シルビアシジミだった。もしこの時(シルビアシジミが見られる数mの間に現れた“ヤマトシジミ”を)撮影していなかったら、半永久的にシルビアシジミと出会えていなかった可能性がある。



シルビアシジミが発生する3地点は、著しく狭い区域である。繰り返すが、“そこにいる”と分かったことで、その後のピンポイントでの継続観察が成し得ているわけだ



この余りにも狭い3か所の発生地で個体群を維持し続けることは不可能だと思う。隣接した⓵⓶はもとより、100m弱しか

離れていない⓷を含めた各個体群間の移動と交流は、充分に為され得ているはずだ。問題は、それ以外の地域個体群との交流である。未確認の発生地が断続的に~面でも線でもなく点状に~連なっていると思われるが、その確認は至難の業である。



年次発生パターンについて。



7月上旬の観察では、汚損個体・新鮮個体ともに見ることが出来た。数は多くないが、以降もほぼ途切れることなく、現在(9月中旬)に至るまで姿を見せ続けている。



では、存在に気付く前は、どうだったのだろう。シルビアシジミの第1化の出現は、通常4月~5月と考えられている。それは見落としていたのだろうか?(たぶん見落としていた)



ちなみに7月上旬の出現個体は、第2化もしくは第3化であろう。第3化以降は、一部全世代と重複しながら発生している可能性もある。



興味深いのは、ヤマトシジミなど3種との出現パターンの比較である。北方系の2種、ルリシジミとツバメシジミは、春先の3月‐4月に第1化が出現したのち、間を空けずに初夏5月に入っても第2化と思われる個体が多数出現する。ことにツバメシジミは、当地に於ける5月‐6月(同じく北方系のベニシジミに次いで)最も数多い蝶であろう。



一方暖地性のヤマトシジミは、春先には(むしろ北方系2種に先駆けて)多数の個体が出現する*が、初夏には数が減ってしまう。ことに6月は明らかにツバメシジミよりも数が少ない。

*早春のヤマトシジミは、新年度第一世代というより、前年度の最終世代に相当すると考えた方が良いかも知れない。



そして7月‐8月の盛夏には、それまで多数いたツバメシジミ共々、ほとんど姿を見なくなってしまう。単純計算上は第3化に相当すると思われる世代が、姿を消してしまうのである。



運が良いのか悪いのか、ちょうどその季節(盛夏)にカメラが完全破壊して撮影が出来ないでいたわけで、おそらく9月になれば (遅れて出現する第3化なのか、第4化なのかはともかく)再出現するであろう、その頃にはカメラもなんとかなるのではないか、と思っていた。



実は今日(2023.9.6) 久しぶりに、新鮮なツバメシジミに出会った。一昨日から、ベニシジミも新鮮個体が出現し始めた。

ちなみに、5月まで(1‐2化)は非常に多く見られたモンキチョウも、その後ほとんど姿を消してしまっていたのだが、今日久しぶりに非常に新鮮な個体に出会った。これら(ツバメシジミ、ベニシジミ、モンキチョウら)は、おそらく第4化に相当するのであろう。



日本の(北と南を除く)大多数の地域では、Blue3種(ヤマトシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ)+ベニシジミの基本周年発生経過は、ざっくりと見渡して次の様であると考えられる。

第1化:3‐4月

第2化:5‐6月

第3化:7‐8月

第4化:9‐10月

(第5化:11‐12月?)

*第2化以降は世代の重なりも考えられる。



問題は7‐8月の盛夏に出現する第3化。東京の観察地に於けるモンキチョウの例でいえば、春先と初夏の第1化‐2化は豊産する(草地上を群がり飛んでいる)のに、6後半以降の暫くの間、第3化に相当するはずの個体は、嘘のように全く 姿を消してしまう。次に姿を現すのは、秋になってからである。それは第4化なのだろうか? それとも遅れて発生した第3化なのだろうか?



>盛夏の間、第3化は発生しない(いずれかのステージで休眠?)。

>一応発生はしているが、人の眼につかないところに潜んでいる。

>どこかに移動し、第4化世代になって戻ってくる。

>>それらの複合パターン。



東京の観察地(青梅市霞丘陵)ほど極端ではないけれど、福岡の観察地(飯塚市鳥羽池)でも、状況は似たり寄ったりだ。そしてモンキチョウのみならず、他の多くの蝶達も、同様の問題を内包しているように思える。



東京や福岡の都市近郊低地帯の普通種ブルー3種に関しては、上掲のごとく年4~5世代で、第3化出現期に相当する盛夏に数が減り、9月に入って次の世代が出現するわけだが、昨年晩秋(10月末~11月)に確認出来たのはヤマトシジミのみで、ツバメシジミとルリシジミには出会っていない。



第3化問題はひとまず置くとして、日本産の(年に複数世代が出現する)普通種の蝶たちは、基本的に日本の大多数の地域では年4回(または5回、むろん重複している可能性も)発生、北方系のルリシジミやツバメシジミでは第1‐2世代(春・初夏)の比重が、南方系のヤマトシジミでは第4(‐5)世代の比重が強い。



ルリシジミ、ツバメシジミ同様に北方系種の代表的存在であるベニシジミは、秋遅くにも出現する(第5化に相当?)。ヤマトシジミにとって第1化が出現する早春は、実質的に秋の延長に相当するのかも知れないというのとは逆に、ベニシジミにとっての晩秋は、前倒しの春に相当すると考えることも出来る(実際、晩秋のベニシジミは“春型”的外観を示す)。



ヤマトシジミより更に南方的な性格が色濃いウラナミシジミとクロマダラソテツシジミは、年に前半はほぼ全く姿を現さず、

夏の終わり以降、一気に数が増える(そのメカニズムはよくわかっていない)。



ウラナミシジミは、この刈り残し草地に於いても、8月に入ってから数多くみられるようになった。この“刈り残し”空間(今は蔓性マメ科の雑草で覆われている)で出会うブルーは、シルビアシジミかウラナミシジミのどちらかで、たまにツバメシジミ、ヤマトシジミ、クロマダラソテツシジミが混入する。ちなみに、草地末端のクヌギ林に隣接する空間にはルリシジミも現れる。



クロマダラソテツシジミは、昨年晩秋に極めて多数の個体を観察(12月中旬には市街地で遭遇)した後、今年に入って全く姿を見なかったが、8月中旬に市街地で1頭確認、9月になってこの刈り残し草地周辺にも現れるようになった(昨日には僕のアパート隣家のソテツの周りを群がり飛ぶ様に遭遇、詳しくは後述)。



以上(年の前半はほぼ皆無で後半なって極端に数が増えるウラナミシジミとソテツシジミを別とすれば)、シルビアシジミを含むブルー各種は年4(‐5)回の発生であろうが、それぞれ南または北の蝶という性格が明確なヤマトシジミ、ツバメシジミ、ルリシジミが、世代ごとの発生量に大きな揺れ幅がある(春または秋に偏る)のと違って、シルビアシジミには、どうやらその傾向が見られないような気がする。



もとよりシルビアシジミの場合、他3種ブルーと違って発生空間が圧倒的に限られているので、同一次元での比較には無理があろうが、年間や世代を通しての出現が春や秋に偏ることがないようなのは注目に値する。



改めて「普通種ブルー3種+シルビアシジミ」の地理的な次元でのアイデンティティを、大雑把に見渡しておこう。



ルリシジミ

グループ(セクション)としては南方系、種(種群)としては北方系。



ツバメシジミ

グループ(セクション)、種(種群)とも北方系。



ヤマトシジミ

グループ(セクション)、種ともに南方系。



シルビアシジミ

グループ(ヤマトシジミと同一セクション)としては南方系、種群(広義の種シルビアシジミZizina otis)としても南方系、種(狭義の種シルビアシジミZizina emelina)としては中間温帯に結びついた遺存的な存在。



多化性の種のうち、中間温帯に結びついた、東アジア地域に固有の(他地域に姉妹分類群が存在しない)、本来は遺存的種でありながら現時点では繁栄の極にある、アゲハチョウ、キタテハ、ヒメウラナミジャノメなどは、どれも発生量が年間を通して 偏らないという共通点を持つ。狭義のシルビアシジミも(非繁栄という違いはあるにしろ)同様である。



・・・・・・・・・・



6月下旬からカメラの調子が最悪状態になり、8月に入って完全壊滅、撮影自体が出来なくなってしまった(修理に出している)。でも、シルビアシジミは一応チェックし続けている。東京でもそうだった(むしろ東京の方が顕著だった)が、盛夏 には嘘のように蝶影が途絶えてしまう。上記のごとく、どの蝶も第3化相当の世代が姿を現さないわけで、幸か不幸か、その時期とカメラ不在の時期が重なってしまったわけだ。猛烈な高温や、6末から7はじめにかけての一斉の草刈りも、複合的に作用していると思われるが、因果関係は不明。



しかし、その期間も、他の蝶はともかく、シルビアシジミは(新鮮個体・汚損個体が混じって)出現し続けていた。



9月になって、3500円で中古カメラを入手、撮影再開したのだが、偶然かどうかはともかく、そのタイミングに合わせるように(シルビアシジミ以外の)蝶達も、一斉に再出現(第4化に相当)、ヤマトシジミが明らかに増え、ツバメシジミやベニシジミも再び姿を見せ始めた。



ここ数日は、朝と夕に、刈り残し草地とそれに隣接する水道用地で、シルビアシジミのチェックを行っている。ちなみに、7月下旬にシルビアシジミが最も多く見られた池堤上の路傍のミヤコグサ群落は、8月に入って草刈りが行われ、丸裸になってしまっている。



刈り残し草地の方は、現在は再び草(マメ科の蔓植物)に覆われて刈り取られた部分と区別がつかなくなってしまっている。シルビアシジミが生育するための環境条件は以前よりも悪くなったように思えるのだが、それでも相変わらず全く同じ場所(半径2~3mの区域)に姿を見せる。



隣接した(刈り残し草地とは金網とセイタカアワダチソウ群落で隔てられている)水道用地でも、貧弱なミヤコグサの株が生える著しく狭い範囲(半径1mほど)に姿を見せる。老若雌雄が日ごとに入れ替わって。



9月4日の夕刻も、午前中雌が産卵を行っていた同じ空間の草穂上に休息(そのまま睡眠?)中の個体を撮影。

翌朝、同じ草穂をチェックしたら、同一個体(雌)がとまったままだった。そのすぐ隣にはヤマトシジミもとまっていた(写真参照)。



翌朝も、同じ草穂から20㎝ほど離れた葉上に、別の新鮮な雌がとまっていた。ヤマトシジミの雄も近くを飛び回っていたが、シルビアシジミの存在に気付かない。一度だけ接近して、瞬間的に縺れ合ったが、すぐに解けて、ともに葉上に静止した。



・・・・・・・・・・・・・・



9月に入って、完全に秋のメンバーに入れ替わっている。毎朝あれほど騒がしかったクマゼミの鳴き声が、ぴったしと止んだ。代わってツクツクボウシ。



思えば、僕の人生とツクツクボウシは、切っても切り離せない関係にある。東京の部屋のダンボールには、何10本もの録音テープが収まったままだ。



ツクツクボウシの鳴き声のシャワーを浴び、久方ぶりに撮影。目の前 (たぶん数10㎝)で鳴いているのに、どこにとまっているのかサッパリ分からない。そんな馬鹿な、、、、と思いつつ、苦労して姿を探し出す。やっぱり目の前にいた。それも何頭も。木肌に(光と影を伴って)それは見事に溶け込んでいるのである。樹液に集まるタテハチョウ類もそうなのだが、今更ながら凄い能力だと思う(全ての生物が隠れる能力を身に着けているのだと思う)。



むろん、典型的な日本本土タイプの鳴き声パターン。前半「ホーシツクツク」が20数回、後半「フイーヨーシー」(鳴き声表記は人によって異なる)が3または4回。その様式は、日本全国(東北南部~九州大隅半島)で極めて安定している。稀に5回ないしは2回があるが、何万例チェックして0回は皆無(外圧により突然鳴き終えた場合を除く)。



6回以上も滅多にない。ただし、種子島(南部)とトカラ列島(口之島、中之島、横当島でチェック)は、安定的に6回やそれ以上鳴く(前半部とのバランスも本土産とは異なる)。

(*今回、この公園で7‐8回の個体を2例チェックしたが、全体のバランスは本土産の典型)



ちなみに、屋久島と三島列島は100%の個体が0回、例外はない(全体の基本構成も更に異なる)。近年本土からの(園芸樹木に伴う)人為移入が為されている可能性があり、今後の状況が懸念される。



中国大陸産(北は朝鮮半島から台湾を経て広州近郊やベトナム北部まで)は、日本本土とも屋久島ともことなる独自の鳴き声パターン(全地域で共通)。



ツクツクボウシ属は、南西諸島や中国大陸南部などに数種が分布しているが、その中でもツクツクボウシは独自の存在(僕は中琉球=奄美諸島と沖縄本島周辺部固有のオオシマゼミが対応種であるとみなしている)。



上述したように明確に3集団に分けることが出来る。

日本本土(種子島、トカラ列島を含む)

屋久島(三島列島と口永良部島を含む)

中国大陸(朝鮮半島、台湾、インドシナ北部を含む)

具体的の比較は別の機会に。



擬人的に例えていえば、

●屋久島産

「新しいものなんて覚えないもんね!」と最初から諦めてしまっている『落ちこぼれ』。

●中国産

不器用で必ず途中でトチってしまい、しかし絶対に諦めずに2部を唄いぬく『努力家』。

●日本本土産

すらりと取得し、失敗は全くしない『エリート』。



それぞれは遺伝的に極めて安定していて、基本的な鳴き声構造が明確に異なり、かつそれぞれの集団内で例外はない(前述のごとく、日本本土タイプのうち種子島とトカラ列島で独自の特徴を示すが、その特徴の方向性が、隣接する屋久島や三島列島とは正反対の方向にあることは興味深い)。



2023年9月6日:記(9月13日:一部加筆)



・・・・・・・・・・・・・・・・・



写真⓵

シルビアシジミ

2021.9.9 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⓶

ヤマトシジミ

2021.9.6 刈り残し草地に隣接した水道用地 



写真⓷

シルビアシジミ産卵

2021.9.4 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⓸

ヤマトシジミ産卵

2021.9.4 水道用地の脇



写真⓹

シルビアシジミ雌

2021.9.4 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⓺

シルビアシジミ

2021.9.4 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⓻

シルビアシジミ(左:青丸)とヤマトシジミ(右:赤丸)

シルビアシジミは前日夕刻と同じ個体が同じ草株にとまっていた。

両種の中間地点の下方に産卵が行われているミヤコグサの株が見える。

2023.9.5 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⓼

⓻の拡大:シルビアシジミ

2023.9.5 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⓽

⓻の拡大:ヤマトシジミ

2023.9.5 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⓾

シルビアシジミ

⓻‐⓽の翌朝、同じ場所。しかし個体は別。

2023.9.6 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⑪

シルビアシジミ雌

2023.9.6 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⑫

ヤマトシジミ雌

2023.9.6 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真⑬

ツバメシジミ

2023.9.6 刈り残し草地と隣接した水道用地の間に生えるコマツナギ



写真⑭

クロマダラソテツシジミ

2023.9.7 刈り残し草地

クロマダラソテツシジミは今年最初の世代、この後10月に次の世代が発生するが、その関係について非常に興味深い事実が判明した。それについては、機会を改めて紹介する。



写真⑮

クロマダラソテツシジミ

2023.9.7 刈り残し草地



写真⑯

クロマダラソテツシジミ

2023.9.9 僕のアパートの隣家

ソテツに群がっていた



写真⑰

クロマダラソテツシジミ

2023.9.9 僕のアパートの隣家



写真⑱

ウラナミシジミ

2023.9.3 刈り残し草地



写真⑲

ウラナミシジミ斑紋異常型

2023.9.13 刈り残し草地



写真⑳

シルビアシジミ

2023.9.9 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真㉑

シルビアシジミ

2023.9.9 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真㉒

シルビアシジミ

2023.9.9 刈り残し草地に隣接した水道用地



写真㉓

ルリシジミ

2023.9.3 刈り残し草地の水道用地と反対側の縁



写真㉔

ルリシジミ

2023.9.9 刈り残し草地の水道用地と反対側の縁の路傍



写真㉕

ツバメシジミ産卵

2023.9.10 刈り残し草地と隣接した水道用地の間に生えるコマツナギ



写真㉖

ヤマトシジミ産卵

2023.9.11 刈り残し草地と隣接した水道用地の間



写真㉗

シルビアシジミ

2023.9.12 刈り残し草地



写真㉘

シルビアシジミ

2023.9.12 刈り残し草地





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シルビアシジミの正体 Ⅲ (付録2:クロヒカゲほか)

2023-09-10 20:46:30 | 黒魔術、身近な自然

シルビアシジミの正体 Ⅲ (付録2:クロヒカゲほか)

カテゴリー:黒魔術、身近な自然



壊滅エンゼルスの中で1人孤軍奮闘絶好調(週間MVP)だったレンヒフォーが、試合開始直後、ネキストバッターズサークルで素振りをしていた時、突如異変を訴えて打席に立たずに退場。これで開幕メンバー全員が姿を消してしまった(そして誰もいなくなった)という、まさに笑ってしまうしかない事態であります。大谷君もトラウト兄もそうだけれど、一般の怪我や故障とはちょっと違うような、、、、黒魔術かな? 例えば兜の、、、、とか、非科学的な事は言っちゃいかんのでしょうけれどね。



僕も、ここ数日、“まさか”のアクシデントの連続です。あまりにも理不尽な出来事ばかりで、心底滅入っちゃいます。カメラは3500円の中古をネットで入手。しかし既に備品(バッテリーチャージ機、CFカードなど)が製造されていないとのことで、結局それらの再購入を含めて、なんだかんだで1万円以上がかかってしまいました(それだけじゃなく、そのリカバリーの過程でドミノ倒しのように想定外まさかのアクシデントの繰り返し、、、昔の天中殺ってやつかな)。



それはともかく、丸一か月ぶりに撮影を再開しました。写真が撮影出来るのは素直に喜んでいるのですが、さすがに3500円というだけのことはあります、映り込んだ画面にビッシリとゴミが張り付いている。濃い色の部分は目立たないから良いのだけれど、空とか適度にボケたバックとか(本来ならば雰囲気の良い写真ですね)には、張り付いたゴミが目立ちまくりなので、いちいち手作業で消していかなければなりません。なんとか見れるようにするために1枚の写真に1時間ぐらいかかる。いくら時間があっても足りません。



その前提で、「シルビアシジミの正体」という、訳ありな記事を書くことにしたのですが、これが(さらに究極のアクシデント勃発もあって)大変なことになってしまった(徹夜で書き終えた畢生の大作が消えてしまった)。



そこで、3回に分け、本編の「シルビアシジミの正体」(現在書き直し中)と、付録として予定していた「付録1:コムラサキ」

「付録2:クロヒカゲほか」を、本来の順序とは逆に「2‐1‐本編」の順で掲載していくことにします。ちなみに、シルビアシジミ、コムラサキ、クロヒカゲ、互いに全く脈絡のない内容で、単にカメラ入手後(9月3日‐9日)に新たに撮影した写真の紹介ということです。



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写真1クロヒカゲ Lethe diana 2023.9.7


写真2クロヒカゲ Lethe diana 2023.9.8


写真3クロヒカゲ Lethe diana 2023.9.5



このあいだも同じこと言ったけれど、クロヒカゲ、、、、いい蝶だなぁ~。僕の(一度も使ったことのない)ペンネームが、黒日陰三四郎。三四郎池(東大構内)にかつてクロヒカゲがいた、ということは、実は非常に大きな意味を持っているのですが、今回はそれについての深入りは止めておきます。



北はサハリン、南は九州大隅半島先端(昔調べに行った)まで、日本の津々浦々で普遍的に見ることが出来ます。全体的に見渡せば、典型的な「中間温帯林」の蝶、と言って良いかと思います。



本土(北海道、本州、四国、九州)の他、日本海側の大方の島々(対馬、見島、隠岐、佐渡、飛島、奥尻島など)にも分布していますが、太平洋側の島嶼にはほぼ皆無、いかにも棲息していそうな、屋久島や三島列島黒島にも分布していません。



そこまではなんとなく分かるのです。解せないのは房総半島(千葉県全域)に全く分布を欠くこと。房総半島には、普通に考えれば“いるはずのない”ヤマキマダラヒカゲがいて、“いるはず”のクロヒカゲがいないのです。説明をつけ難い、相当に不思議な現象です。



房総半島だけでなく、東京の都心部を含めた関東平野にもいません。しかし、多摩川を越えると、一気に豊産します(多摩丘陵とか横浜の郊外とかでは普通に見られる)。多摩川を境にして、東側ではピタッと姿を消してしまう。もっとも、小田急線や京王線の車内に紛れ込んで、新宿あたりに移り住んでいる集団もあるかも知れませんが(前述した三四郎池はそれとは異なる分布要因から成っていると思われます)。 



高山とか寒冷地だけに分布する種の場合はともかくとして、一般的な中間温帯性の種で、本種のような歪な分布様式を示す種は、ほかにいないのではないでしょうか?



なお(太平洋側の島嶼には皆無と最初に記したのだけれど)、伊豆諸島の有人島では南から三番目の御蔵島に、顕著な外観的特徴を示す(雄交尾器や幼虫の外観にも安定的特徴がある)固有亜種ミクラクロヒカゲが隔離分布しています。房総半島に分布を欠き、原則太平洋側の各島嶼にも分布しないということと、距離的に離れた(しかし非常に豊かな植生環境の)御蔵島に特化集団が存在すると言うことは、必然的な因果関係があると思われるのですが、その辺りの解明は、将来の大きな課題です。



国外では、日本列島の対岸に位置する、朝鮮半島、ロシア沿海州、中国東北部に分布しています。典型的な「周日本海」要素の分布パターンですね。



幾つかの文献によれば、さらにその南、中国大陸の東部にも分布していることになっている。僕は、中国大陸東部の「クロヒカゲ」と同定された個体については、誤認同定(同じく誤認同定で台湾にもクロヒカゲが分布すると記述した文献が少なからずあります)ではないかと疑問に思っていたのですけれど、インターネット上には、浙江省産(天目山系など)幾つかの写真が示されて、それらは、紛いなきクロヒカゲであると同時に、(日本本土産とは)明らかな安定的差異を有しているように思えます。両者の関係性の探索は将来の課題です。



クロヒカゲの属するヒカゲチョウ属は、東アジアを中心に100種以上を擁し、(De Lessによると)クロヒカゲの姉妹種は、台湾産のオオシロオビクロヒカゲL.matajaと、中国大陸西部産のラオダミアクロヒカゲL.laodamiaが挙げられています。なんせ100年以上も前の報文なので、その判断の妥当性についてが少々心もとない気もしますが、僕自身のチェックでも(現時点では)その判断は支持されるべきものと考えています。



クロヒカゲは、特徴的な雄の性標を有しています。しかしラオダミアクロヒカゲでは、それを欠きます。一方、オオシロオビクロヒカゲの性標は、極めて特徴的です。その存在は、鱗粉や斑紋の形成と大きく関わっています。非常に興味深いテーマなのですが、ここでは割愛します。



中国大陸などからは、上記2種に外観が酷似した幾つかの種が報告されていて、それらの種とクロヒカゲの関係を探ることも、今後の課題です。





写真4ヒメジャノメMycalesis gotama 2023.9.7



これも素敵な蝶ですね(あくまで僕の美的感覚から)。“ジャノメ”と名がついているし、丸い翅型もいかにもジャノメチョウ的なのですが、ヒカゲチョウに近い一群であることは、古くはミラーや川副・若林でも指摘されていて、近年のDNAによる解析も同様の結果を示しています。



ヒカゲチョウのグループは、大雑把に言って、Lethe(Zophoessa, Ninguta, Raphichera, およびNeopeなどを含む)、Pararge(ウラジャノメ、ツマジロウラジャノメ、キマダラモドキなど)、Mycalesisの3群から成ることは確かなようなのですが、3群間互いの組み合わせについては見解が分かれます。



ヒメジャノメは、古くは日本全土(北海道南部~南西諸島)産をヒメジャノメ一種に一括していましたが、後年、奄美大島以南の南西諸島産がリュウキュウヒメジャノメM.madjicosaとして独立種に昇格されました。僕は、その処遇を妥当であると思うとともに、2つの問題点を内包していると考えています。中国大陸産や台湾産との総体的な関係性が分かっていない。中琉球(奄美‐沖縄本島)の集団と、南琉球(八重山諸島)の集団を、一括して地域固有種とする処置には肯んじられない。詳しくは改めて。



ゼフィルスで知られている雄同士の顕著な卍巴飛翔を、本種も行います(一昨日の夕刻にも観察)。



一昨年の東京郊外(霞丘陵)に於ける観察では、コジャノメが非常に多かった(林内ナンバーワン)のと対照的に、ヒメジャノメはほとんど見ることが出来なかった。6月1日に1頭、9月末から10月にかけて数頭を撮影しただけです。ヒメジャノメは、都市近郊の最普通種の一つと思っていたものですから、予想外でした。



今回、福岡郊外(鳥羽池)でも、5月末に一頭出会っただけでしたが、9月に入って(5月と同一ポイントで)数頭を撮影することが出来ました。





写真5 コジャノメMicalesis francisca 2023.5.2



写真は5月に撮影。ここしばらくの間見かけていないのですが、ヒメジャノメとの比較上、別時期撮影の写真を紹介しておきます。Mycalesis属中、ヒメジャノメと同じ種群に所属します。両種の雄交尾器や雄性標には、明らかな安定的な差異がありますが、全体的には共通点が多く、同一種群に含まれることが納得できます。 



東亜半月弧(日本列島‐台湾‐中国大陸南半部‐インドシナ半島北部‐ヒマラヤ地方を結ぶ照葉樹林地帯)分布パターンの典型として知られていますが、意外なことに南西諸島(屋久島を含む)には分布していません。クロヒカゲの場合同様に、

九州南端でパタッと分布が途切れます。



ヒメジャノメやヒメウラナミジャノメともども、大陸部では日本列島産には見られない「冬型(乾季型)」が出現します。さらに、インドシナ半島、ミャンマー、ヒマラヤ東部に分布する、外観的特徴が著しく相違した2(‐3)種も、雄性標などがコジャノメと全く相同で、それらを併せて「コジャノメ上種」を形成しているものと思われます。



ヒメジャノメ共々、どちらかというと暖地性の種で、北日本では分布を欠きます(ヒメジャノメは北海道南部まで、コジャノメは東北北部まで)。ヒメジャノメが主に人間活動地(ことに田畑周辺など)に棲息するのに対し、本種は鬱閉した森林の内部が主要棲息地です(例えば房総半島脊梁の極相照葉樹林内で見られる蝶は、ルーミスシジミ以外は本種だけ)。



東京霞丘陵の雑木林内でも、クロヒカゲとともに最普通種。福岡鳥羽公園でも同様ですが、霞丘陵ほど数は多くないようで、5月頃には比較的普通に見られたものの、夏に入ってからは見ていない(そのうち出現するものと思われます)。





写真6 ヒメウラナミジャノメYpthima argus 2023.4.30



ここで紹介した(クロコノマチョウを除く)各種は、ヒカゲチョウのグループに所属しますが、本種は(大雑把に言えば)ジャノメチョウのグループです。正確に言うと、ジャノメチョウ亜科ジャノメチョウ族のうち、ヒカゲチョウのグループ以外は、便宜上ジャノメチョウ類と一括しているので、ヒカゲチョウ類が単系統であるのに対し、ジャノメチョウ類は単系統ではありません。ことにYpthima属は、他のジャノメチョウ類各属とは、かなり隔たった類縁関係にあります。



Ypthima属は、多数の種が、アフリカと熱帯アジアを中心に繁栄しています。うち最も北まで分布を広げているのが、ヒメウラナミジャノメとウラナミジャノメです。両者は一応同一属に所属しますが、類縁的にはそれほど近くはなく、大きく分けたときは、ヒメウラナミジャノメ群とウラナミジャノメ群に分割することが出来ます。



ウラナミジャノメが日本では西半部のみに分布し、かつ多くの地域で絶滅危惧の状況に面しているのと対照的に、ヒメウラナミジャノメは日本に於ける最普通と言って良いほど、(都市近郊を含む)各地で繁栄しています。



ただし中国大陸においてはその限りでなく、むしろウラナミジャノメの方が、人為地周辺に繁栄しているように思えます。



実は、それ以前の問題として、中国大陸を中心とした国外では、ヒメウラナミジャノメの分布の実態は(近縁種コウラナミジャノメY.buldusとの混同故)よく分かっていないのです。



ざっと見渡して、東アジアの北半分にヒメウラナミジャノメ(中国大陸中‐西‐南部には日本とは異なる季節表現型を産し、一部の集団を別種として扱う見解もある)、南半分(東南アジアなど)にコウラナミジャノメが分布、台湾や中国大陸では地域によって両者が混在しています。近年、両者を同一種と見做し、ヒメウラナミジャノメをコウラナミジャノメに含める文献も見受けられます。しかし両者の雄交尾器は明らかに異なり、別種であることに疑を持ちません。今後、俯瞰的な立場からの再検討が必要と思われます。



同じような翅型のヒメジャノメやコジャノメが、樹液や腐果などを好み、花には原則として来ないのに対し、ヒメウラナミジャノメは逆に花での吸蜜を好み、原則として樹液には来ません(“ジャノメチョウ類”にはそのような種が多い)。



同属各種との比較などには翅裏面の斑紋パターンがメインになることもあって、ウラナミジャノメ属の写真は裏面が示されることが多いのですが、実際は裏面の撮影は思いのほか難しいのです。通常、静止するとすぐに翅を開いてしまい、裏面の撮影は結構苦労を要します。そんなわけで、ここしばらくの間に撮影した写真に適切なのが無かったので、春に撮影した写真を紹介する次第です。





写真7 クロコノマチョウ Melanitis leda 2023.9.4



鳥羽公園周辺51種目の撮影種。



ジャノメチョウ亜科の中でも他の各種(いわゆるジャノメチョウ類やヒカゲチョウ類)とは異なる系統に位置づけられます(コノマチョウ亜科として分けることもある)。



温暖化の影響で北へ分布を広げている昆虫の代表として、ナガサキアゲハやクマゼミと共に挙げられることが多いようですが、実際は、そのような単純な図式ではないように思います。クロコノマチョウも、確かに近年になって(それまで全くいなかった)東京周辺などでも普遍的に見られるようになったわけですが、その要因を、温暖化にだけ帰するのには、疑問を呈します。



熱帯アジアに広く分布する近縁種のウスイロコノマチョウM. phedimaが、秋に季節風などに乗って(いわゆる迷蝶として)意外な北方まで姿を表したりしますが、クロコノマチョウの場合は、同じ北上でも、一気にではなく、「個体群」として、着実に定着地を広げているようです。



そのことだけを見ると温暖化に拠る現象と解釈できそうなのですが、実態は、もっと複雑な要因が複合的に関わっているような気がします。



コジャノメ同様、意外なことに、南西諸島の大部分に分布が欠如しています(ただしコジャノメと異なり屋久島に在来分布)。そして、奄美大島や沖縄本島など、南への拡散も頻繁に行われ、近年はこれらの地域にも定着している様なのです。



そのことを、どのように解釈すれば良いか、なかなか興味深いと思います。





写真8 サトキマダラヒカゲ Neope goschkevitchii 2023.9.6


写真9 サトキマダラヒカゲNeope goschkevitchii (産卵) 2023.9.4


写真10 サトキマダラヒカゲNeope goschkevitchii (産卵) 2023.9.4



本種については書きたいことが多数有り過ぎて、、、大部分を割愛して、ちょっと斜め上から直接関係ない話を。



日本固有種。ヤマキマダラヒカゲN.niphonicaも日本固有種ですが、ただしヤマキマダラヒカゲが中国大陸に対応種と見做される集団が分布しているのに対し、サトキマダラヒカゲは大陸部での対応種が見当たりません。



日本の4大島のほぼ全域、都市部でも、寒冷地や高標高地でも、普遍的に見ることが出来ます。しかし島嶼には(瀬戸内海などを除き)非分布。



この時期、鳥羽池で見られる蝶の中で、ナンバーワンと言って良いでしょう。クヌギの樹の幹の根元から樹上遥か上まで、至るとことで樹液を吸っている姿を見かけます。



日本中で見慣れた光景です。でも、ちょっと僕の記憶と違うところが、、、、。



日本の大抵の地域では、サトキマダラヒカゲとヒカゲチョウ(ナミヒカゲ)Lethe sicelisがセットで現れる(千葉房総ではヤマキマダラヒカゲが加わり、東京西郊ではクロヒカゲが加わる)のですが、ヒカゲチョウの姿がない。



そう、究極の日本固有種(国外に姉妹種もいない)のヒカゲチョウですが、北海道と九州には分布していません。実は九州北部にも昔はいて、現在も地域によっては絶滅寸前状態で棲息しているらしいのですが、他の地方では都市部のド真ん中でも普通に見られるヒカゲチョウが、なぜに九州では絶滅寸前なのか、納得しがたいです。その謎に取り組むのも、面白いと思います。



ちなみに、クロヒカゲも近くにいるのですが、何故か樹液にやって来ません。







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