青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 9

2024-05-28 21:03:46 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 9



1-1-2-2-2-2-2-2-2-2萼片は合着して壺状

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-1花は10段以上に亘り均等に基  部から茎頂に向かい大型の萼筒を持つ

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-1-1萼筒や花は淡黄白色、花筒は太い【Group Ⅻ】

〖28〗 Pedicularis smithiana钩喙马先蒿

短叶群 Grex Brachyphyllum 短叶亚群 Subgrex Brachyphyllum 短叶系 Ser.Brevifoliae

写真⓵-⑤










四川省西嶺雪山(稜線上)alt.3200m付近. Aug.6,2009

茎高は1mほどに達し、細長く直立または斜上、茎の下半部には、不明瞭な重鋸歯を伴った羽状深裂の4枚の葉が輪生。茎の上半部には、長大な花序が形成され、ほぼ均等間隔に20~30段に亘り、苞葉片が対生または輪生、葉腋に、凌のある球形の萼筒を3~4 個つける。萼筒の上縁には、数枚の葉状の緑色裂片が生じる。茎・苞葉・萼筒には細毛を伴う。萼筒の開口部から、長さ 1cmほどの、他の各種に見られない太い花筒が真横に伸び、その先に花冠が開く。下唇はほぼ均等丸く3裂、上唇は太い筒状のまま伸長したあと、屈曲して細い管状となり下方に向かう。植物体の上半部は、茎・苞葉・萼筒・下唇・上唇とも白色。萼筒上縁から派生する葉状鱗片のみが緑色を呈する。

**青山(2014)を著した時点で、撮影地域が単純ミスのため誤って表記されていたことから、尹民氏による同定が保留されていた。その後、青山自身で同定を試み、表記の種であることが判明。〖14〗〖15〗(以上第7回で紹介)〖32〗〖54〗〖55〗(後述予定)とともに短葉群に所属するが、青山の仮検索に沿って、ここに記しておく。



1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-1-2紅花で萼筒は緑、上唇は捻じれる【Group Ⅺ】

〖27〗Pedicularis dichotoma 二歧马先蒿

多裂叶群 Grex Polyschistophyllum 二歧系 Ser. Dichotomae

写真⓺


雲南省白馬雪山(中腹の石灰岩崩壊地)alt.2800m付近.Sep.29, 2005

雲南省白馬雪山中腹の石灰岩崩壊地で撮影。茎高数10cm。葉は数枚が輪生、重鋸歯を伴った羽状全裂。茎の上部には、葉腋ごとに、狭被針状で全縁の一対の苞葉と、極めて大型で淡緑色の2個の壺状萼筒をつける。花は短い筒部があり、下唇はごく淡い紫色、裂片は余り分離せず、平板状に斜め下に広がり、中央裂片の部分が短く突出する。嘴状上唇は濃い赤紫色、基部近くで強くねじ曲がったのち、後方へ波打ちながら細長く伸長する。






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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 8

2024-05-28 09:00:00 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 8



☆Pedicularis chamissonisヨツバシオガマ




(撮影データ確認中)




北アルプス白馬鑓温泉 Aug.24,1993




北アルプス穂高岳沢 Jul.25,1986




(撮影場所確認中) Aug.3,1992




(撮影データ確認中)








岩手県早池峰 Jul.27,1993

ヨツバシオガマは日本の亜高山~高山帯で最もポピュラーなシオガマギク属の種だが、分布は日本列島(本州中部以北)と北の延長地域(サハリンなど)に限られ、中国大陸には分布していないように思われる。所属するとすれば轮枝群 Grex Cyclocladus 短唇亚群 Subgrex Brachychilaで、中国植物志のリストの中から対応種を当たってみたが、現時点では特定できないでいる。日本産のヨツバシオガマ自体も、近年のDNA解析に拠って、エゾヨツバシオガマP. chamissonisとヨツバシオガマP.japonicaに分割される傾向にある。ほかにも、レブンシオガマ、クチバシシオガマ、ハッコウダシオガマなどの下位分類群が知られているが、ここではそれらの区分は行わず、暫定的に全てをヨツバシオガマP. chamissonisとしておく。



1-1-2-2-2-2-2-2花序に粒状の塊は混じらない

1-1-2-2-2-2-2-2-1茎が多数に分岐する

1-1-2-2-2-2-2-2-1-1下唇はエプロン状に垂下する【Group Ⅷ】

〖26〗Pedicularis moupinensis 穆坪马先蒿

轮枝群 Grex Cyclocladus 短唇亚群 Subgrex Brachychila 穆坪系 Ser. Moupinenses

〖26〗穆坪马先蒿Pedicularis moupinensis


















四川省西嶺雪山alt.3200m付近. Aug.6,2009(1/3枚目写真左と2枚目写真右個体は〖25〗Pedicularis davidii)

撮影地の四川省西嶺雪山の稜線沿いでは、後ほど紹介する〖25〗Pedicularis davidiiと常にセットで生えていた。全体のサイズがほぼ共通し、花がやや歪で、一見〖25〗の異常形か、開花末期の個体のように見えるが、これが正常な姿である。直立した一本の茎に総状の花序を付ける〖25〗と異なり、茎は良く分枝する。葉は羽状に全裂し、小葉も深裂、4枚づつ茎に輪生する。葉腋から伸びた各茎の上部に、総状に10前後の花からなる花序をつける。苞葉は一対で緑色。先端が掌状に広がる。萼筒は紡錘形、茎とともに赤紫色を呈し、上縁の鋸歯はごく短い。花は筒部を欠き、薄紫色。下唇の形は特異で、3片が分離しないままエプロン状に垂れ下がり、中央裂片に当たる部分が凸出する。嘴状上唇は中央より基部に近い部分で下方に折れ、やや膨れたのち細い棒状となって前方に伸長する。個々の花の形は日本のヨツバシオガマによく似ている。



1-1-2-2-2-2-2-2-1-2下唇は平開する【Group Ⅸ】

轮枝亚群 Subgrex Cyclocladus 纤细系 Ser. Graciles Maxim.

〖30〗纤细马先蒿Pedicularis gracilis




雲南省玉龍雪山(山麓の草原)alt.3100m付近. Aug.4,2004

花は小さくて目立たないが、草丈が高く1m前後になり、茎の途中に4~5枚が輪生する羽状葉の葉腋から、輪状に4~5本の側枝が分岐し、草原の中にあってひときわ目を惹く。萼片は茶褐色。花は主茎の上半部や側枝の葉腋ごとに輪生し、淡紅色、嘴状上唇を持つ種の一般型で、下唇は丸く3裂、上唇は立ち上がったあと先端に向かって余り捻じれることなく下降突出する。



**輪枝亜群には、ほかに青山の仮分類では舟形群として扱った〖34〗多花马先蒿Pedicularis floribunda

(山萝花系 Ser. Melampyriflorae)、および日本のセリバシオガマPedicularis keiskeiが含まれる。それらについては青山の検索リストに沿って、後ほど紹介する。







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