青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国および日本のユリ科(狭義)植物 15 カタクリErythronium japonicum

2024-05-14 08:25:39 | 雑記 報告


新聞広告、まだ一冊も注文がありません(むろんブログ経由も無反応)。10冊程度(純利1万円)は、と皮算用していたのですが、悲惨な結果に終わりそうです。

15日に水道が止まります(2420円滞納)。


本人確認不可によるアカウント消失のためほぼ全ての知人と連絡が取れなくなってしまっている中、辛うじて連絡の取れた東京の蝶友2人が購入して頂けそうで、なんとか危機を脱出できるかも知れません。


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去年のシルビアシジミ発生地(7月2日~9月28日)は、僕の部屋から徒歩5~8分の公園入口~池端の歩道脇だったのですが、今年の春は(去年の同時期よりも遥かに多くのミヤコグサが咲いているにも関わらず)シルビアシジミを一頭もチェックできませんでした。


今年は去年と異なり、ミヤコグサはあちこちに咲いています。部屋から徒歩2分半の公団住宅中庭には、カーペットを敷き詰めたように咲いている。こんな開け過ぎた環境にはシルビアはいないだろうとスルーしていたのですが、そこに居ました(雌雄とも)。次の日曜日に住民総出で草刈りを行うようです。1m四方ぐらいを残しておいてもらうことになっています。


草刈り後の、卵、幼虫、蛹は、どのようになっているのか?


成虫は、どのような環境へ、どのようにして移動を行うのか?

そういったチェックを行いたいのですが、個人では限度があります。

そこで、さっきふと思いついたのが、隣接した近畿大学の付属高校。大学の事務所には何度か訪ねたことがあるのですが、高校とはこれまで全くコンタクトを取っていません。もしかすると、生物研究部とかがあるかも知れません。


明日、本が2冊届く予定なので、それをサンプルに持って、生物部(があればですが)担任の先生を訪ねてみよう、と考えています。学校のグランド脇に発生しているクロマダラソテツシジミともども、シルビアシジミの動向を生徒たちに調べさせる、というのはどうでしょうか?地元のメディアでの発信もしやすくなるし、資料やパンフのコピーなどもしてもらえるかも知れません。


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ユリ科の話 

Genus Erythronium 猪牙花 カタクリ属



狭義のユリ科のうち、典型的ユリ類(ユリ亜科ユリ連)は、ざっと2つのグループに分けることが出来ます。ユリやバイモの一群と、チューリップやカタクリの一群です(一応それぞれを亜連としておきます、記載の有無はあとでチェック)。

ヨーロッパや中東などユーラシア大陸の西半部にはユリ属の種は少ないのですが、それに代わって繁栄しているのがチューリップ属Turipaです。アジアでは、天山山脈などウイグル北部に及びますが、極東地域には分布していません。

日本などに分布するアマナ属Amanaが、ユーラシア大陸東半部に於けるチューリップ属の代置群(Turipaに併合する見解も)とされてきましたが、最近のDNA解析によれば、AmanaはTuripaよりも、むしろErythoniumカタクリ属に近い位置に置かれています。

いずれにしろ、Turipa、Amana、Erythoniumの3属は、近い関係にあることは確かで、それぞれ独立の属として並列しておくのが妥当と思われます。ユーラシア大陸の西半部に繁栄するのがTuripa、北米大陸に繁栄し、ユーラシア大陸では東西に跨って少数の種が分布するのがErythonium、東アジアのごく少数種からなるAmana、という図式です。これに全北区に繁栄するGageaキバナアマナ属(Lloydiaチシマアマナ属)を加えたのが、この亜連のメンバーということになります。

日本(と日本海対岸地域)に於いては、カタクリとギフチョウ・ヒメギフチョウが概ねセットになって存在していますが、中国では東北部や北部を除きカタクリの分布を欠くため、ギフチョウ(オナガギフチョウ/チュウゴクギフチョウ)とカタクリの花という「定番」の組み合わせは見られません。

カタクリE.japonicumは、北海道から本州(西部の大半を除き四国の一部と九州中部のごく限られた地域を含む)にかけて比較的普通に見ることができますが、中国大陸にはカタクリと同一種が東北部(黒竜江省など)に産するほか、近縁別種E.sibiricum新疆猪牙花(紅白のツートンカラー)が、天山山脈周辺などに分布するだけです。

ユーラシア大陸全域を見てもカタクリ属の種は少数で、上記2種の他、ヨーロッパにE.dens-canis、ロシアに上記E.sibiricumほか数種(E.slevii, E.sajanense, E.krylovii)が分布するだけです。それら旧大陸産の各種(1種に統合する見解あり)は、カタクリ同様に全て赤花です。

一方、北米大陸には、20種ほどの種が繁栄し、そのほとんどが黄(~白)花です。



黄色いカタクリには、思い入れがあります。

もう30年ほど前のこと、北海道北部の歌登町(現在では合併のため町名廃止)に滞在中、たまたま目にした地元の新聞に「黄色いカタクリ」を見つけた方の話が載っていました。歌登町から、さほど離れていない別の町。

僕が歌登町を訪ねたのは、この地域の幾つかの特殊岩石の山に、それぞれその山にだけしか見られない固有植物(ポロヌプリ山のミヤマノギクなど)が分布していて、それらの花を撮影するためでした。

常識的に考えたならば、日本に「黄色いカタクリ」が自生していることなど、まず有り得ないのだけれど、この地域の特殊性を鑑みれば、頭から無視してしまうわけにもいかないような気もします(ちなみに赤いカタクリの日本での北限がこの地域の少し南方で、次の分布地サハリンまで空白区間がある)。

詳細はうろ覚え(一連の物語を書いた記憶があるので、そのうち探し出します)なのですが、おおよそ次の様な経緯だったと記憶しています。

複数の証言者を訪ねました。庭に植えていたというおばさんは、地元の花売りの人から買ったとのこと。他にも黄色いカタクリの事を知っている人がいる、と聞き、その方も訪ねました。その方のなくなったご主人が、生前に山から採ってきたことがあると。その山(一応ポイントは教えて頂いた)は道もなく、ヒグマの巣窟である由。

何らかの形での北米からの人為である可能性が強いことは確かだとしても、そうとも言い切れない、幾つかのモヤモヤした疑問が残ります。

翌年も、雑誌ビーパルの編集長氏を伴って再訪しましたが、手掛かりは得られず、もちろん見つけることは出来ませんでした。その存在に関しては、未だに謎のままです。



そんなわけで、黄色いカタクリには思い入れがあって、2005年夏、ロッキー山脈のグレーシャー国立公園で野生の黄色いカタクリE.grandiflorum(グレーシャー・リリー)に出会ったときは、それはもう感動しました。もちろん、どっさりと写真を撮ったのですが、後に不慮のアクシデントで、ほぼ全ての写真が消失してしまった(たまたま残っていた2枚を表示)。

むろん、日本のカタクリそのものの写真も、ギフチョウ・ヒメギフチョウ絡みを中心に(比較的最近撮影したデジタル写真も含み)山のようにあるのですが、今回は探し出す手間を省くため、手許にあった古いポジフィルムからのスキャン写真のみを示しておきます(いつか機会があればいろんな写真を紹介していきたいと思っています)。








グレーシャー・リリー

Glacier National Park Jul.31,2005












カタクリ(白花/赤花)

山形県大蔵村肘折川 May 10,1982








カタクリ

新潟県浦佐町 May 4,1986








長野県白馬村









コメント
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