Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) ①
2015年に作成・刊行(自費出版)した、『Wild Plants of CHINA 中国的野生植物 Orobanchaceaeハマウツボ科(シオガマギク属Pedicularisを中心に)』を再編紹介していきます。
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表紙写真:Pedicularis mussotii
扉写真;Pedicularis przewalskii
シオガマギク属は、APG分類が組まれる以前は、ゴマノハグサ科に分類されていた。
分子生物学的な手法によるAPG分類では、シソ科・スイカズラ科・クマツヅラ科など、シソ目の大規模な再編成が成され、その結果、シオガマギク属は、従来のゴマノハグサ科から腐肉植物から成るハマウツボ科に移行された。
このことは、APG分類に頼らなくても、すでに予測されていた結果であった。寄生または半寄生植物であること、花をはじめとした植物体の大部分の構造の共通性から、両者を統合しようという考えは多くの研究者が持っていたのだが、分類に於いて最も重視されるべき、子房の基本構造に顕著な差があることから、実行するには至らなかったのである。
その形質の相違を、本質的なものと捉えるか、2次的に発生した例外的現象として捉えるかで、結論は違ってくるのである。分類学の常識に沿った、安全策を採ったわけである。
APG分類のお墨付きを得て、目出度く両者は合体され、以前のハマウツボ科の数属(ハマウツボ属のほか、オニク属、ナンバンギセル属など)と、シオガマ属、および近縁のコシオガマ属・ママコナ属・コゴメグサ属・ヒキヨモギ属など、全て半寄生~寄生からなる、新たなハマウツボ科が出現した。
旧ハマウツボ科のメンバーはもとより、新たに加わった大部分の属も、僅かな種から成る小属である。100種を超す種を擁するのは、コゴメグサ属と新大陸のCastilleja属。そして、科全体の約半数の種を占める最大の属が、シオガマギク属で、ユーラシア大陸温帯域から北米大陸にかけ約600種が知られている。そのうち中国産は約350種、100以上の節(series)に整理される。
筆者は、これまでに100種前後を撮影し、手元に約60種(90地域群)が存在、これに、コシオガマ属、ママコナ属(おそらく誤認)、コゴメグサ属、ハマウツボ属の各1種を併せて紹介する。
原典では、種名の決定は将来の課題とし*、暫定的な独自の仮分類に従って、属名の後に数字を記して「種」の名称に代えた。また、種名数字の後に、該当の種に含まれると思う地域ごとの集団を、[ ]内に数字(と地域名)で記した。
上唇の形状が、細い「嘴型」で、途中でねじ曲がりながら針状に突出する種と、上下に幅広く、左右にやや扁平な「舟型」になる種に、大きく2分し、前者は、一見花茎に見える著しく細長い花筒を地上付近から直接叢生する矮小種と、草丈が高く、花序に複数の花をつける種に分けて並べた。
この仮分類が、系統的な自然分類を反映しているか否かは不明である。しかし、大まかなグルーピングの目安にはなるだろうと思っている。
*シオガマギク属の全掲載個体について尹民氏による種同定を添えた(2017年時点での知見)。
**巻末に「中国植物志」によるsection分割と、本書における仮分類の対照リストを示しておく。
***本書原典刊行後に「中国植物志」のチェックと尹民氏による種名同定が為されたが、種番号(一部同一種が複数表示)および解説は原則として原典のまま示しておく。
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本ブログに於いては、(字体などの表示が困難なため)検索表を省略、写真掲載は青山による仮分類の順に並べ、それぞれ「中国植物志」による分類単位との対応を示し、日本産各種を追加紹介した。
種の同定は、尹民氏の私信に従った。改めて氏に連絡を取りたいと思っているが、ヤフーメイルのアカウントのパスワードが(本人確認が出来ずに)凍結されてしまっているため、連絡が取れないでいる。読者の方で尹民氏とコンタクトを取れる方がいらっしゃれば、仲介を願いたい。
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28C 33.19(←APG分類第2版) Orobanchaceae列当科
シオガマギク属(半寄生)
ハマウツボ属(全寄生)
コゴメグサ属(半寄生)
コシオガマ属(半寄生)
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Pedicularis属を、上唇の形状から、暫定的に2つのグループに大別した。
◆細い管状で、先端が鋭く尖る「嘴型」となる種(写真右:下唇は水平に丸く広がる)。
◆上下に幅広く、左右にやや扁平「舟型」となる種(写真左:この種の場合、下唇は上唇の下方に接着して僅かに認められる)。
【Pedicularis 1~44:「嘴型」の上唇を持つ種】
【Pedicularis 45以下:「舟型」の上唇を持つ種】
検索表 ⇒省略