青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 11

2024-05-29 21:39:00 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 11



1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2下唇は径2㎝未満、苞葉の基部は合着しない【Group Ⅴ】

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1下唇は垂れ下がり気味で、側片の脊部は盛り上がらない

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1-1花は黄色

无枝群 Grex Apocladus 无枝亚群 Subgrex Apocladus 尖果系 Ser. Oxycarpae(以下24を除き25まで同じ)

〖19〗 Pedicularis semitorta半扭卷马先蒿






四川省黄龍渓谷alt.3200m付近. Jul.4,2005




四川省黄龍渓谷alt.3400m付近. Jun.24,1989

以下(前項の〖18〗Pedicularis superbaを含む)、〖1~17〗同様に嘴状の上唇を有し、ことに細長く時計と反対回りに弧を描いて湾曲するという点では〖4〗Pedicularis siphonanthaや〖5〗Pedicularis longifloraと類似するが、草丈が高く、総状に多数の花を付ける種を紹介していく。10数㎝から高いものでは1mを超す茎に、数枚の葉が互生・対生・輪生し、茎の上部の葉腋から派生した短い花茎の先端付近に、紡錘状の萼筒と筒部の短い花をつける。〖19〗Pedicularis semitortaは、茎が瓜肌模様で、数枚の葉が輪生。萼筒の上縁は細く突出する。花は下唇が淡い黄色~黄色、中央裂片は幅広く、側裂片共々やや垂れ下がってエプロン状を呈する。上唇は基部やや膨らんだ濃い黄色。

**「中国植物志」の分類では、本種の所属する半扭卷系 Ser. Semitortaeと、〖53〗密穗马先蒿Pedicularis densispicaが所属する蒿叶系 Ser. Abrotanifoliaeの2つのシリーズで、直管群 Grex Orthosiphoniaを構成する。

**写真のクオリティの関係から独立項目での紹介を控えたが、下写真右下方の濃紫色の花も、Pedicularis属の種であろう(花は小型で茎の上部に総状に密生し上唇が舟型)。

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1-2花は白色(嘴状上唇は鮮紅色)

〖20〗 Pedicularis oxycarpa 尖果马先蒿




雲南省香格里拉近郊、標高2900m付近. Jul.9,2007

このあと紹介する〖23〗Pedicularis tortaと同じく、淡白~黄色の下唇と濃赤紫色の上唇を持ち、以下の各種同様に下唇の中央裂片が小型だが、側片は垂れ下がり気味で、嘴状上唇は余り上向きには巻かず、花冠上部から派出するように見える。その点では〖19〗Pedicularis semitortaと共通したイメージをもつ。

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2下唇は横に広がり、脊部が上方に盛り上る

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1草丈は1m前後になる

〖21〗 Pedicularis davidii大卫氏马先蒿






四川省夹金山alt.3900m付近.Jul.30,2010












四川省ミニャコンカ(海螺溝氷河末端下)alt.3100m付近. Jul.3,2009

〖21~24〗は、下唇の中央裂片が小型で、側裂片が横上に張出し、後方にも伸長して花冠背方を覆う(そのため嘴状上唇が花冠の中央近くから突き出しているように見える)。上唇は下唇の色に関わらず黒みを帯びた紫赤色で、よりスムーズに下右回りに円を描くように湾曲する。萼筒上縁に小さな葉状片が派出する。〖22〗および〖25〗も同一種。〖21〗と〖22〗は、花の地色がピンク(一部白色)ということで共通するが、〖21〗は著しく草丈が高くなることから、一応別項目で扱っておく。〖21〗とした2地域の集団間にも、ある程度の有意差が認められるかも知れない。夹金山産は森林限界を超えたあたりの日当たりの良い山腹の路傍に生育、草丈は1mを超え、非常に多数の花を総状に密生する。ミニャコンカ産は氷河末端の渓流沿い湿性地、純白の花を含む草丈1m近くになる発達の良い株が群がって生えていた。夹金山産に比べれば小ぶりで、〖22〗との中間的な印象を持つ。

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2草丈は10~数10㎝

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1花は濃紅色、花序に密につく

〖22〗(same species as the 21)

〖21〗に似るが、草丈は低く10~数10㎝。下唇は赤紫色。茎の上部と萼筒は濃紫。〖21〗および〖25〗と同一種。








四川省巴朗山alt.4500m付近. Jul.31,2010








四川省黄龍alt.4200m付近. Jul.6,2005

下唇上半部が白色。

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2花は黄色または淡紅色、花序に疎らにつく

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1黄花

〖23〗 Pedicularis torta扭旋马先蒿






四川省夹金山alt.3700m付近. Jul.30,2010




四川省九賽溝alt.2500m付近. Jul.31,1991

〖21〗〖22〗〖23〗〖25〗Pedicularis davidiiと基本的な差はないが、花はやや疎らにつく。下唇は淡黄色。茎と萼筒は淡緑色。

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2白花(ごく淡い紅色を帯びる)

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2下唇は白(淡い紅色)一色

〖25〗(same species as the 21)










四川省西嶺雪山alt.3100m付近. Aug.6,2009

下唇は白色。紫色紋はなく、茎や萼筒が濃紫色を帯びる。〖26〗Pedicularis moupinensisと混在する(第8回参照)。

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1下唇の基部が濃い紅色

无枝群 Grex Apocladus 无枝亚群 Subgrex Apocladus 细裂系 Ser. Dissectae

〖24〗 Pedicularis petitmenginii 伯氏马先蒿




四川省夹金山 alt.4200m付近. Jul.31,2010

下唇は白色。基部に濃紫色の2個の斑紋がある。茎と萼筒は淡緑色。








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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 10

2024-05-29 09:00:00 | 雑記 報告

中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 10

Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 10



1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2花は茎の上部や茎頂に密生する

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1下唇は波打つ【Group Ⅶ】

1-1-2-2-2-2-2-2--2-2-2-1-1上唇は白色

〖16〗 Pedicularis rhinanthoides subsp.labellate 拟鼻花马先蒿

无枝群 Grex Apocladus 无枝亚群 Subgrex Apocladus 拟鼻花系 Ser. Rhinanthoides

写真⓵


四川省巴朗山alt.4500m付近. Jul.31,2010

〖17〗と同一分類群。葉は重鋸歯を伴った羽状中裂、高さ10数㎝の茎頂に濃赤褐色の斑点をもつ淡黄褐色の紡錘状萼筒が5~10ほど束生、その先に短い花筒部を伴った花が咲く。下唇はピンク色で、3片とも幅広く広がって重なり会い、若い時点から萎れ気味に波打ち、青紫色の細脈をめぐらす。嘴状上唇は純白、基部から立ち上がり、中央が膨れて、先半は極めて細い管状となって内側へ曲がりながら下伸する。

1-1-2-2-2-2-2-2--2-2-2-1-2上唇は下唇と同じピンク色

〖17〗(same as the 16)

写真⓶-⓻












四川省巴朗山alt.4500m付近. Jul.31,2010

写真⓼-⑩






四川省雅江~臥龍峠間(渓流源頭部の草地)alt.3700m付近. Jun.7,2010

写真⑪


四川省塔公~八美間(日当たりの良い高山草原)alt.4200m付近. Jul.24,2010

〖16〗と同一分類群。葉は羽状中裂、重鋸歯の先端が鋭く尖る。高さ10~数10㎝ほどの茎頂に、膨らんだ紡錘状の萼片が5~10ほど束生(詰まった総状~輪状)、その先に余り長くはない花筒部を伴った花が咲く。上方から見ると、5~10程が丸く輪生する。下唇は3片が余り分離せず幅広く広がり、若い時点から萎れ気味に波打ち、ピンク~濃ピンク色、数本の赤褐色の脈があり、中央付近は白い。上唇は〖16〗に比べ、基半部の立ち上がりや中央部の膨れは顕著ではなく、先半の細い管状部は、より捻れて曲がりくねる。萼筒は、巴朗山産で最も濃く濃赤紫褐色、雅江産では疎らな斑点を生じ、塔公産では斑紋を欠き全体が淡緑色を呈する。



1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2下唇は平坦

1-1-2-2-2-2-2-2-2-2-2-2-1下唇は径3㎝超、苞葉は合着【Group Ⅵ】

〖18〗 Pedicularis superba华丽马先蒿

斗叶群 Grex Cyathophora 华丽系 Ser. Superbae

写真⑫⑬




雲南省白馬雪山alt.4200m付近. Jul.30,2015

茎の高くなる種では最も大型の花をもつ種の一つ。茎高数10㎝。葉は重鋸歯の羽状全裂、4~5枚が輪生し、基部が合着して大型の碗状となり、葉腋に4~5個の花をつける。萼筒は碗状の苞葉の内側に収まって外からは見えにくいが、苞葉と似た姿をしているように思われる。下唇は薄紫がかったピンク色で、径3~4㎝、左右に幅広く、背縁は盛り上がる。中央裂片は側裂片より小さく、重なり合わない。上唇は嘴状で、強く内側に湾曲し、尖端は濃色を帯び鋭く尖る。シャクナゲや針葉樹の灌木を交えた急斜面の高山礫地に、ぽつんと生えていた。

**大型種で、葉の基部が合着して箱状になることなど、〖56-58〗Pedicularis rexとの類似点が多い。本書では上唇の形状から両者を遠い類縁に位置づけたが、「中国植物志」では両者を(本書で紹介した他の全ての種とは異なる)同一グループ(Grex Cyathophora斗叶群、ただし別Siris)に置いている。









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