青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 12

2024-05-31 08:07:46 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 12



今回から青山(2014)仮分類の『「舟型」の上唇を持つ種』のグループ(「舟型群」と略称)に入ります。

「中国植物志」の分類では、幾つかの種が『「嘴状」上唇を持つ種』のグループ(「嘴状群」と略称)と入り組んでいますが、便宜上、青山の検索リストの順に沿って紹介していきます。



1-2上唇は舟型(棍棒状を含む)

1₋2-1上唇は太い棍棒状で下唇は未発達、葉の基部が合着し箱状になる【Group ㉓】

1₋2-1-1黄花

斗叶群 Grex Cyathophora 华丽系 Ser. Superbae 大王系 Ser. Reges

〖56〗 P.rex 大王马先蒿

写真⓵


雲南省大理蒼山(高山稜線)alt.3500m付近. Aug.1,1995

写真⓶⓷




雲南省西北部翁水(四川省境近く)alt.3700m付近. Jul.16,2014

〖56-57-58〗は、Pedicularis属の中で特異な位置づけにある同一種群(本書では同一種とした)の色違い(黄花と赤褐色花)の種。草丈は極めて高く、数10㎝から、時には人の背丈を超えるほどになる。茎は太く毛を欠き滑らか、葉は浅い重鋸歯を伴って羽状に深裂、茎の下部から茎頂まで、多いものでは数10段に亘って、3~4枚が輪生する。葉(苞葉)の基部は互いに合着し大きな四角い箱状となる。花は「箱」の中から3~4個づつ顔を出し、萼筒部は外側からは見えない。花は、下唇が退化し、大きく発達した上唇の腹面に、痕跡的な3片が認め得る。上唇は先半の太い棍棒状で、「箱」の中から四方に突き出す。

1₋2-1-2赤褐色花

1₋2-1-2₋1上唇の毛は疎ら

〖57〗(same species as the 56)

写真⓸⓹⓺⓻⓼










四川省ミニャコンカ(海螺溝氷河末端下に発達する冷温帯原生林の林床)alt.3100m付近. Jul.2,2010

赤褐色種〖57〗および〖58〗は、基本的な構造は黄色種〖56〗と共通するが、植物体や花はより豪壮。Pedicularis属中の最大種と思われる。通常、鬱閉した暗い環境に生育し、周囲に溶け込んで、すぐ近くに生えていても見落としてしまうことがある。棍棒状の上唇の豪壮さは、並んで生えていた〖21〗Pedicularis davidiiの細い嘴状上唇と比べれば、一目瞭然。両者が同じPedicularisに所属するとは、とても信じられないほどの、印象上の差異がある。〖57〗(海螺溝産および康定産)と〖58〗(四姑娘山産)は、比較的近隣な位置関係にある3地域で撮影を行った。花色や苞葉基部の形状などには有意の差があるようにも思われるが、同じ地域、例えばミニャコンカ海螺溝の個体でも差異の幅が大きく、おそらく全て同一種と考えるべきだろう。

*ピンクの花は〖21〗Pedicularis davidii (〖57〗Pedicularis rexの茎は、写真中央上辺から、さらに上方に高く伸びている)

写真⓽⓾




四川省康定alt.3000m付近. Jul.12,2010

1₋2-1-2₋2上唇に毛を密生

〖58〗(same species as the 56)

写真⑪⑫




四川省四姑娘山(山麓の渓流沿い林縁)alt.3000付近. Jul.30,2010

〖57〗に似るが、花色が淡く、軟毛を密生し、「箱」状部の概形とその縁に流れる分離葉状部の基部の角度が、よりスレンダー。






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