……むう。
と今日も唸ることしか私にはできません。いや、前回のメイド喫茶、あれはあれで一本筋が通っていたので単に驚嘆したということなのですが、今回は先日の「中国足球」同様に「越えられない壁」というものを改めて痛感させられ、中共政権について再認識した次第です。
何の話かといえば、もちろんこちら。
●ニラ肉まんの殺虫剤、中国検査当局「日系企業に落ち度」(YOMIURI ONLINE 2008/02/22/19:42)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080222-OYT1T00561.htm
【北京=牧野田亨】中国の国家品質監督検査検疫総局は22日、山東省の日系企業が製造したニラ肉まんと冷凍とんかつから有機リン系殺虫剤が検出された問題で、「原料野菜を仕入れる過程の検査が厳格でなかった」と発表、日系企業の生産管理に落ち度があったとの見解を示した。
メタミドホスが検出されたニラ肉まんは「山東仁木食品」が、ホレートが検出された冷凍とんかつは「清清仁木食品」がそれぞれ製造した。2社とも「ニッキーフーズ」(大阪市)のグループ企業。
同総局は「2社は日本側が単独出資した企業。日本側の基準に従って管理・生産が行われ、日本側の職員が駐在し、監督と管理を行っている」として、「日本側」の責任を強調した。
また、同総局は日本政府がこれまで、肉まんやギョーザなどの残留農薬検査を要求しなかったと指摘。今後、日本と意見交換し、検査に取り組む考えを明らかにした。
一方、新華社電によると、山東省の中国企業「宇王水産食品」が日本に輸出した冷凍サバから有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出された問題で、中国の検査当局は「サンプルを調査したが、ジクロルボスは検出されなかった」との検査結果を発表した。
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●日系企業の管理不十分 中国検疫総局が声明(共同通信 2008/02/22/17:05)
●「日系企業の管理不十分」中国検疫総局(MSN産経ニュース 2008/02/23/00:25)
原文はこれです。
●質檢總局:輸日包子事件系日本獨資企業把關不嚴(新華網 2008/02/22/14:46)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/22/content_7648285.htm
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ところで、国家品質監督検査検疫総局(質検総局)は「ニラ肉まん」と「冷凍とんかつ」を「日本側の責任」と決めつけた一方で、
●山東省の中国企業「宇王水産食品」が日本に輸出した冷凍サバから有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出された問題で、中国の検査当局は「サンプルを調査したが、ジクロルボスは検出されなかった」との検査結果を発表した。
としています。その「冷凍サバ」について質検総局は、
「ジクロルボスが検出された日本に輸出された冷凍サバについては、消費者に責任を持つという姿勢に基づき、中国側は現在すでに当該企業の全ての製品に対し輸出を停止している」
と胸を張っています。馬鹿だなーこいつら。
●中方已暫停輸日�魚企業所有產品出口(新華網 2008/02/22/14:47)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/22/content_7648288.htm
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質検総局は、
●2社は日本側が単独出資した企業。日本側の基準に従って管理・生産が行われ、日本側の職員が駐在し、監督と管理を行っている。
●(日系企業は)原料野菜を仕入れる過程の検査が厳格でなかった。
と記者会見で発表し、「日系企業の生産管理に落ち度があった」と日本側の責任を強調したとのことですが、「だから何?」というのが私の率直な感想です。日本の全額出資企業だってポカはあるでしょうし、隠れて悪いことをしている可能性も皆無ではないでしょう。ええ、国有企業とか中国と外資による合弁企業と同じように、です。……問題は、
「日本側の職員が駐在し、監督と管理を行っている」
というその企業を監督する責任部門はどこか、ということです。記者会見を開いている当の質検総局ではありませんか。質検総局でなくても中国当局のいずれかの部門であることは間違いありません。
という訳で、質検総局の自称「消費者に責任を持つという姿勢」が問われることになります。要するに「日本企業がポカをやった。だから日本側の責任」と言っているけど、そういう日系企業の愚鈍さをしっかり監督せず見過ごしていたのはお前ら質検総局じゃないか、その責任はどうとるんだボケ、ということです。
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質検総局は、日系企業を叩くことで自分も叩かれる立場になることをわかっていないのでしょうか。今回は記者会見のプレスリリースである新華社電が、
「日本に輸出された肉まんから残留農薬が検出されたのは日本の全額出資企業による管理の問題」
と断定してしまっています。
「じゃあ質検総局なんてないのと同じじゃないか。日系企業だけに責任を負わせるというのは、要するに輸出される食品への品質検査はザルってことだな」
という話になるのです。……実際、
「日本はこれまで、残留農薬量の基準を示したり検査を求めてきたことはなかった」
と質検総局は新華社電で弁解していますから、輸出製品への品質検査は本当にザルなのでしょう。道理でパナマで中国製風邪薬で多数の死者が出たり、米国などで中国製ペットフードで犬猫がどんどん死んだり、鉛漬けの玩具が輸出されたり、EUへの輸出米に遺伝子組み換えコメが混入されて問題になったりしている訳です。わが日本でも新ネタが続々。
つまり質検総局は、自分たちが仕事をしていないことをわざわざ記者会見まで開いて明らかにしていることになります。なるほどこれはある意味「消費者に責任を持つという姿勢」かも知れません。……非常に大胆かつ野心的な手法ではありますが。
おかげさまで少なくとも日本の消費者の間では、中国食品のブランドイメージがしっかり定着することとなりました。餃子でも肉まんでもとんかつでもシメサバでも、とにかく中国が関わっている製品には名前の前に「毒」の一字を付け加えればいいのですから、これほどわかりやすいものはありません(笑)。
ともあれこの「質検総局の監督責任」というものを、日本のメディアにはどんどん衝いてほしいものです。また今回の記者会見では、中国においては残留農薬たっぷりな素材がごく当たり前に流通し販売されている、ということも改めて浮き彫りにされました。この点もしっかり強調してもらいたいところです。
乱暴なことを言わせてもらいますが、風評被害なんて自業自得。中国にとっても日本企業にとっても日本の消費者にとっても、です。真面目に取り組んできたところは生き残ることができるでしょうし、それでも生き残れなければ中国にすがった己を呪うこと。
何たって他でもない中国なんですから。目先の利益を最大限に追求するモラル不在の「やったもん勝ち」がまかり通り、農民は自分で食べる分の野菜には農薬を使わない、という苛烈な社会状況です。もっとも大気も水もひどく汚染されていて、その汚染された水が農業用水として入り込んで土壌を重金属まみれにしていますから、農薬を使わない作物も無事では済みません。そんな中国に深入りしたのが運の尽きということです。
聞くところによると、最近は国産のニラが需要急増に追いつかず高値になっているそうで。一連の中国毒事件を受けて、餃子を手作りする消費者が増えたからなのだそうです。結構なことではありませんか。
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面白いことに、日本が毒食品シリーズで大揺れに揺れて、米国は有効成分が中国産である抗凝固薬ヘパリンによる中毒被害の問題が現在進行形で、EUはEUで遺伝子組み換えコメその他の問題で剣呑になってきたこの最高のタイミングで、燃え上がった炎にさらに油を注ぐようなことをしてしまうのが中国なのです。
●北京市が食品安全を強調、「国際基準より厳しい」(MSN産経ニュース 2008/02/21/18:44)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802211844006-n1.htm
北京市食品安全弁公室の唐雲華報道官は21日、記者会見し「北京五輪ばかりでなく市全体の食の安全を確保するため、国際的なものより厳しい基準を適用して取り組んでいる」と安全性を強調した。
関係者によると、この日の記者会見は中国の温家宝首相の指示で開かれた。唐報道官らは、生産地からの食材の管理体制や39の検査機関が品質検査に当たることを紹介、中国製ギョーザ中毒事件などで高まる不安を打ち消した。
北京五輪で一部の国の代表チームが食材を持ち込む意向を示しているが、同席した五輪組織委員会担当者は「正式な申し入れはないが、これだけ準備しているのに残念」と話した。唐報道官は「われわれが提供するものを安心して食べてほしい」と述べた。(共同)
質検総局も北京市も、ひょっとしてMプレイがお好み?まあ当局は大真面目に対応しているつもりなんでしょうけど、都合の悪い話題は力づくで封殺にかかるという中共政権お得意の厚顔無恥なパワープレーは独裁統治が及ぶ中国国内でのみ通用する、ということが理解できないでいるようです。
しかも説得力が全然なくて、言えば言うほど怪しく思えてきてしまう会見内容。なぜこんな愚昧なことを?というのは私たちの感覚で、中国にとってはこれがセオリーなのです。そこら辺が「越えられない壁」というやつで。……何やら国際的に香ばしい展開となりつつあります。
むろん、日本の主役である天洋食品特製毒餃子にも進展がみられています。
●メタミドホス、中国国内で混入…警察庁長官が公式見解(YOMIURI ONLINE 2008/02/21/19:04)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080221-OYT1T00487.htm
警察庁の吉村博人長官は21日の定例記者会見で、中国産冷凍ギョーザの中毒事件について「日本国内で混入した可能性は低いと考えている」と述べ、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」は中国国内で混入されたとする見方を示した。
警察庁が公式の場でこうした見解を示すのは初めて。(後略)
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●ギョーザ中毒事件、中国外務省が警察庁見解に「不快感」(YOMIURI ONLINE 2008/02/21/20:05)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080131-1068087/news/20080221-OYT1T00526.htm
【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、警察庁が中国国内での混入の可能性が高いとの見方を示したことに関連して、中国外務省の劉建超・報道局長は21日の定例記者会見で、「現段階で、一方的で不完全な『証拠』に基づいて判断するのは、正しく責任ある態度ではない」と述べ、不快感を表明した。
劉局長は「科学的で全面的な調査を経て判断しなければならない」と強調した。
デブ報道官は質検総局が2月13日に開いた記者会見で魏伝忠・副総局長が、
「中国側の調査状況は、質検総局と公安部門が発表するものを正式なものとする」
と語ったことを忘れているようですね。日本側の調査状況を警察庁が発表するのに文句をつけるとは筋違いも甚だしいところです。
●質檢總局:水餃事件是個案 與奧運食品安全無關聯(新華網 2008/02/13/20:27)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/13/content_7598408.htm
それから、これもちょっと気になるところです。
●中国製ギョーザ中毒:唐・中国国務委員「申し訳ない」(毎日新聞東京夕刊 2008/02/21)
●社民党:唐家セン・中国国務委員の発言説明を訂正(毎日jp 2008/02/21/22:32)
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それにしても質検総局、前回の記者会見では、「袋を開封してまた密封することは、ハイテクなど使わなくても普通の人でもできる」という名言を残しましたが、今回も自らの責任を棚に上げた「お前が言うか」的な大ボケ発言をかましてくれましたし、親切にも残留農薬の注意喚起までしてくれましたし。……毎回魅せてくれるあたり、なかなかのエンターテイナーです。
まあ現在のように「また中国製が」といった毒入りの新ネタが続いたり質検総局が踊ってくれている分にはマスコミも放ってはおけませんから、消費者の中国食品に対する危機感が弱まることは当分ないでしょう。
胡錦涛が来日しても東シナ海ガス田問題が劇的な進展をみることはない、という観測が流れていますから、ひょっとすると毒餃子事件も長引く可能性があります。新ネタが続くのであれば、むしろ長期化する方が日本の消費者にチャイナフリーや食の安全に関する意識が根付くので良いかも知れません。中国とフフン♪は困るでしょうけど。
個人的には、質検総局による前回の記者会見のプレスリリースである新華社電が、日本側のかなり断定的な報道とは対照的に「中国側に責任」という含みをかなり持たせた内容だったことに興味を持っています。
●【毒餃子】静かなる「祭」の始まり。(2008/02/14)
あの新華社電が生きることになるのかどうかはともかく、「中国=有毒」キャンペーンがかなり盛り上がってきたことは事実。好ましい状況が形成されつつあります。
これで中国製食料品の実情が露呈されたこともそうだけど生協の実態が白日の下にされた恰好だよねェ
自称消費者の味方、生協よりその生協に利益優先と非難されている大手民間スーパーの方がまだマシだったということに…
うちでも地元某生協会員で、大手スーパーより価格が多少高くてもアカい人達の巣窟(笑 でも大目に見てきたが一昨年、不味い中国産ごぼうの醤油漬け(人工甘味料か化学調味料の入れ過ぎ)買わせられて以降、信頼していない。親も生協で買い物する時は、国産かどうかチェックするようになって以前より買わなくなったみたいでもう今では主に灯油配達サービス利用くらいに…
スーパーが自主的に販売を中止した場合「毒餃子」と報道するのは
こうも次から次へと香ばしく自爆をかましてくれるとは、ある意味すがすがしいほどです。
日本の警察が引かずにどんどん中国側の責任だと断定証拠を突きつければ突きつけるほど、中国が追い込まれては自爆してゆくわけで痛快ですらあります。
今回は日本政府はほとんどスルーパス状態ですから、日本の消費者は、中国の実態を直接体験しているわけで、先日の東アジア選手権日中戦のように反則プレー、カンフーキックを受けているようなものです。静かに受け流して完封勝ちにもっていくことを期待します。
時間が経つにつれて自爆へまっしぐらですな。
http://mainichi.jp/select/today/news/20080223k0000e040047000c.html
他のメーカーも雪崩を打って欲しいところです。続報が楽しみ。
「維持」(したつもり)だけが
何より大事な当局の検査など
信用できるか!?
だけでなくて、「北京五輪大会用の食材の安全基準は国際基準より厳しいものとなっているばかりでなく、食材の種類では各国選手の食習慣の違いを配慮している。選手らの食安全需要に対し完全に満足でき、海外から食材の持参は認めない」ってなってますよ。
持ち込み禁止。われわれの準備したもの以外食うな。ですね。
ttp://www.newschina.jp/news/category_1/child_31/item_9175.html
現在の状況は「四位一体」といったところかと思います。日本は消費者レベルで怒りが渦巻いていて、捜査・調査チームといった現場はヤル気十分。さらにはマスコミがまだ旬の話題扱いしている上に、中国側が自爆連発(笑)。これでは嫌でも盛り上がりますし、チャイナフリーが定着するというものです。日本政府はスルーするしない以前に腰砕けではないと。この調子で事件が長引けば、そのスタンスがいよいよ際立つことになるでしょうね。
いやーこれは私も全く予想していませんでした。だってこれを言ってしまうと中国当局の監督責任が問われるのは自明ですから。実際、今回の記者会見報道に接した中国のネット世論には「その日本企業はどこで野菜を買ったんだ?」「つまりおれたちも毒野菜を食わされているということか」といった類の書き込みが目立つようになっています。仮にこの騒ぎで中国国内の食品安全問題にも火がついたら面白いですね。ババは引くべき人に引いてもらいましょう。
●中国製食品を検査も良くしないで売る方が悪い、食べる方はもっと悪い!
●中国人はコピーするのは当たり前だ、コピーされるのが悪い!コピーされない物を売れ!
●中国人は強盗盗人は当たり前田だ!そんな中国人を日本に入れる役人が悪い!そんな中国人に殺される日本人が悪い!盗まれる日本人が悪い!
今まで検査してこなかったのが丸わかり。
ところで、御家人さんのお宅でも生協敬遠されていらっしゃるんですね。
私はもう二度と使わないと心に決めたので、会員を止めようと思っております。
飛び火して国内で暴動・・・是非そのような展開になって欲しいものです。
御家人さんの情報収集能力と分析能力にはいつも感心させられます。特に現場感覚・推理力の鋭さが光っています。無数の修羅場をくぐり抜けてこられたのが伺えます。
今朝、産経新聞の折込広告に地元生協の広告が入っていました。猛毒入り食品に関わった生協として何の言及もありませんでした。商売の感覚が一般企業と違うのでしょうか?当事者感覚や責任感の欠如を感じました。
また昨日の産経新聞の「小平秘録・番外編」に劉暁波氏の寄稿が掲載されておりました。もうすでに読まれたかと思いますが、同氏は中国社会を豚小屋に例えています。我々が指摘するよりも当事者自身の弁のほうがより深刻ですね。
ttp://www.newschina.jp/news/category_1/child_31/item_9175.html
の記事の件ですが、個人的に私は信用できる、と思います。
まず、川島尚子記者の記事は、誰がどう発言しているのか明記してあり、他のメディア記事の発言者があいまいな記事とは違うこと。
それに、川島尚子記者の記事の関して調べ直してみたのですが、信頼性は高いと再確認しました。
記事を比較して読み直せば、どちらが正しいか明白だと思います。
中国内の食材業者利権もからんでいるのでしょうかね。
持ち込み禁止にして内需で全てを賄うとしたら、
やはり大金が動くわけでしょう。
福島記者ブログより
食の安全学再び:お弁当の持参禁止By五輪食品安全委
http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/
あまりに長いので割愛。
駄文にお付き合い頂きありがとうございます。でも素人がやっていることですから当てにしてはいけません。修羅場……愛憎の何たらなら確かにくぐり抜けたことがあったような気が。あとはニセ漢方医になりすまして荒稼ぎするなどといった地獄を見たことは何度かあります(笑)。
生協は節度がありませんね。サンプルを中国に差し出したところもありましたし、旗色を見て「中国製品売りません」みたいなスタンスに転じたり。……そう言っておいて偽装表示だった、という事件もありましたね。
劉暁波は紅衛兵世代ですから、まさに政治運動の修羅場を何度もくぐり抜けています。最後には天安門事件で投獄されましたね。ああいう筋金入りの知識分子になると、もはや性分として中国社会というものを根っこから深刻に考えざるを得ないのだろうと思います。その劉暁波が若手知識人の代表格だったころ、つまり私が留学したころですが、大学生=エリートだったので中国人学生たちは大抵がコツコツと勉強ばかりしていて、社会に対しても生真面目な責任感を持っていました。
みんな貧乏という時代だったので、浮気するものもなく一筋に打ち込むことができたのだろうと思います。当時の連中をタイムマシンに乗せて現在の超格差社会を見せてやったらたぶん全員が絶句することと思います。いまや中国社会は歪みに歪んだ形で秩序が固まってしまっているので、もはや知識人や大学生の出番はないでしょう。民主化運動なんて悠長なことをやっている余裕がないのではないかと。その意味では劉暁波も取り残されてしまった存在なのだろうと思います。
それにしても産経は当該記者会見報道では「禁止する」なんて書いていませんでしたけど。
で、ここからは中国国内メディアの扱い方の話になります。川島記者の記事は事実ではあるけれど、中国政府の立場に照らせば誤っている、というものです。
北京市は記者会見で確かに「禁止する」と言っているのですが、国営通信社である新華社の記事には「持ち込まないでほしい」とあるだけで、「禁止する」という一節は全く出てきません。胡錦涛の拠点である共青団中央の機関紙『中国青年報』(2008/02/26)も外国選手団が食材を持ち込むことを前提にした記事を掲載しています。
ttp://zqb.cyol.com/content/2008-02/26/content_2077526.htm
……ということは、北京市の記者会見では確かに「禁止する」と明言したものの、中国政府としての公式見解では「持ち込まないで欲しい」ということになっているのだと思います。新華社電が基準ということです。要するに現時点における中国のオフィシャルな姿勢としては「禁止する」とは言っていない、ということです。ただ北京市の記者会見記事が同市HPに掲載されたまま削除されていませんから、いざとなったときに「禁止する」を持ち出せるよう含みを残してあるのだと思います。
別の言い方をすると、記者会見で「禁止する」と明言したのが政府見解では「なかったこと」にされているのです。このため現時点における中国の公式見解としては「持ち込みを禁止する」ではなく「持ち込まないでほしい」というのが正解。
……複雑なんですけど、一党独裁制というのはそういうものです。例えば外交部定例記者会見でも、本当は記事に掲載されていないやりとりが結構あるのではないかと私は思います。何らかの理由で「なかったこと」扱いとなり削除されている訳です。確かに質問しているのだけれど、記事に出ていないので中国政府非公認。「真実」は新華社電及び外交部HPの会見録だ、ということです。昨年の全人代における温家宝の記者会見でもそうした「放送事故」が発生しています。
あ、それからURLを書けば済むことなので長過ぎる引用はなるべく控えて下さい。m(__)m
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