またまた中国製です。今度は薬品です。米国で死者まで出ています。米国発のニュースであるうえ私にとっては畑違いの縁遠い分野の話題ゆえ、今回は引用が多くなることを諒として頂ければ幸いです。
ちなみに、今回のニュースは前回のエントリーで「通りすがり」さんがタレ込んで下さった情報が基になっています。
●Unknown (通りすがり) 2008-02-14 23:34:57
米国において、中国工場で製造された医薬品で薬害が発生した模様です。死亡4名、被害者?350名ほど出てるようです。
「通りすがり」さん、多謝であります。m(__)m
このコメントを受けて私は「ソース希望」とか「kwsk」とレスしようとしたのですが、とりあえず自分で調べてみました。ぐぐってみたところ、
●ウォールストリート・ジャーナル紙ヘッドライン【14日付】(ロイター 2008/02/14/18:15)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK812413720080214
米食品医薬品局(FDA)の検査を受けたことのない中国の工場で、米バクスター・インターナショナルの抗凝固薬の有効成分が製造されていたことが明らかに。同薬については死者4人を含むアレルギー反応が多数報告される。
という報道を拾いました。詳細はこちら(英文)。
●China Plant Played Role In Drug Tied to 4 Deaths(THE WALL STREET JOURNAL 2008/02/14)
http://online.wsj.com/article/SB120293808086766253.html
また、ブログ「医師の一分」さんのところに『WSJ』紙とは別口の情報が出ています。
●バクスター製ヘパリン製剤で重篤な副作用/米国医療事情 中国製原料(医師の一分 2008/02/14/23:20)
http://kurie.at.webry.info/200802/article_25.html
FDA(米国食品医薬局)による検査のされていない中国の工場で製造された原料によるヘパリンで350人に被害が生じ、少なくとも4人が死亡した。早期に中国の工場を検査するという。ヘパリンは豚の腸から作られる。バクスターはヘパリンの米国使用量の半分を製造しており、製造中止で供給不足に陥る可能性がある。(中略)
昨年末ミズーリ病院で透析を受けている子供が激しいアレルギー反応にみまわれ、公衆衛生当局はヘパリン供給品についての問題に気づき、調査で数百の同様なケースが見つかった。バクスターは最初製品のいくらかを回収したが、問題は持続した。(後略)
「事件」として問題が本格化したタイミングは日本の毒餃子事件とほぼ同じであるようです。
◆Baxter社 ヘパリン抗凝固薬の9ロットを緊急自主回収
2008年1月25日、Baxter International社は、アレルギー様の有害事象報告の増加を受けて、血液透析や心侵襲性治療に主に使用される1000 ユニット/mL 10mLと30mLマルチドーズバイアルのヘパリン抗凝固薬の9ロットを緊急に自主回収していると発表しました。
●「Bio Today」(2008/01/26)
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=24670
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◆バクスター社 重篤なアレルギー反応によりマルチドーズバイアルのヘパリンの製造を一時中止
2008年2月11日、Baxter Healthcare Corporationは、死者4人を含む重篤なアレルギー反応や血圧低下の報告を受けて抗凝固薬・ヘパリンのマルチドーズバイアルの製造を一時中止したと発表しました。
●「Bio Today」(2008/02/12)
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=24997
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◆バクスター社のヘパリンが製造されている中国の工場をFDAは一度も査察していなかった
Reuters によると、死者4人を含む重篤なアレルギー反応や血圧低下の報告を受けて抗凝固薬・ヘパリンのマルチドーズバイアルの製造一時中止をBaxter社が発表した翌日、Baxter(バクスター)社のヘパリンが製造されている中国の工場を一度も査察していなかったとアメリカFDAが告白しました。
●「Bio Today」(2008/02/14)
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=25046
日本のような騒ぎになっていたようではありませんが、死者まで出ているので米国内ではそれなりに報道されてたのでしょうか。現時点においては日本のマスコミで詳報しているところはない模様です。
この件、実は香港紙の方が速く、今日付(2月15日)の紙面で親中紙『香港文匯報』をはじめ複数紙が報じています。白状しますと私も「通りすがり」さんのコメントに続いてこの香港メディアの報道を受けて腰を上げた次第。
●『明報』(2008/02/15)
http://www.mingpaonews.com/20080215/caa4.htm
●『東方日報』(2008/02/15)
http://orientaldaily.on.cc/new/new_b14cnt.html?pubdate=20080215
●『香港文匯報』(2008/02/15)
http://paper.wenweipo.com/2008/02/15/CH0802150019.htm
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簡単にまとめてみます。私には関連知識が皆無なものですからトンチンカンな部分があれば御指摘下さい。m(__)m
米国の製薬会社バクスター・インターナショナルが製造・販売している抗凝固薬・ヘパリンのマルチドーズバイアルを服用した患者にアレルギー反応が出たことを受け、当局が調べたところ多数の被害が出ているという実態が判明しました。このため同社は販売した製品を緊急回収したうえ、製造中止を決定。
現時点までで死者4名が出ているほか、約350名にアレルギー反応が出ていると報告されています。
ここで中国の出番。問題となった製品のヘパリンが中国の工場で生産されていたことが明らかになり、調べたところ米食品医薬品局(FDA)の検査を一度も受けたことのない工場であることがわかったのです。
このためFDAは急きょ調査に乗り出すことを決定、また中国に対し調査に協力するよう求めることにしました。FDA報道官が13日,明らかにしたところによると、「人為的なミス」と「情報技術システムにおける欠陥」などの原因により、FDAはこの工場に対して通常の認可前検査が実施できないでいるとのこと。
ただし同報道官はまた、一連の被害の原因がヘパリンにあるかどうかはまだ断定できないともコメントしています。
なお、バクスター・インターナショナル社のヘパリンは米国市場において約半分のシェアを占めているため、被害の拡大や製造中止による影響を懸念する声も出ているようです。
ヘパリン (heparin) は抗凝固薬の一つであり、血栓塞栓症や播種性血管内凝固症候群 (DIC) の治療、人工透析、体外循環での凝固防止などに用いられる。ヘパリンの原料は牛や豚の腸粘膜から採取されるが、牛海綿状脳症 (BSE) 発生後の現在は健康な豚から採取されたものがほとんどである。
●「Wikipedia~ヘパリン」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%91%E3%83%AA%E3%83%B3
情報量が十分でありませんし英文記事であるうえ、私には縁遠い業界の話なので苦労しております。問題の抗凝固薬が日本で使用されているのかどうかも不明です。御存知の方がコメント欄にて補強して下さることを願うばかりです。m(__)m
取り急ぎ速報まで。