日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 私は仕事に追われてついテレビ観戦の機を逸してしまったのですが、重慶市で開幕したサッカー東アジア選手権、日本の初戦における国歌斉唱中にまたまた中国サポーターのブーイングが起きたそうです。



 ●4年前の教訓生かされず、日朝戦でブーイング サッカー東アジア選手権(MSN産経ニュース 2008/02/17/19:55)
 http://sankei.jp.msn.com/sports/soccer/080217/scr0802171956003-n1.htm

 【重慶(中国)=川越一】サッカーの東アジア選手権が17日、中国・重慶で開幕した。2004年7~8月に行われたアジア杯で反日感情むき出しの応援が問題となった因縁の地。重慶市公安当局は念入りな暴動対策を講じていたが、日本-北朝鮮戦で早くも日本の国歌斉唱中にブーイングが起きるなど、4年前の教訓は全く生かされていなかったことが露呈した。

 重慶の五輪競技場。雨上がりの霞がかった競技場に日本国旗が入場した瞬間、観客席の一部からブーイングが起こった。君が代斉唱の際にはブーイングの音量がアップ。中には日本選手に向けて中指を立てて挑発する観客もいた。

 重慶市公安局は14日の時点で“球迷”(サッカーファン)に向けて、「文明的な観戦」を求める通達を出していた。「酩酊(めいてい)者の入場」や「物を投げたり、痰(たん)を吐く行為」を禁じたほか、日中戦を意識しているかのように、「勝敗には冷静に」「小競り合いを避け、故意に騒動の原因となるような行為をしないこと」をファンに要請。悪質な行為には刑事責任を問うとしている。

 前半6分、北朝鮮が先制すると、客席はおろか報道陣も立ち上がって拍手をする始末。その後も、日本がボールを持つたびにブーイングが起きた。中国代表は30年ぶりの韓国戦勝利を逃し、中国人ファンの間にはフラストレーションがたまっている。20日の日中戦に向けて、重慶がきな臭くなってきた。

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 ●中国の観客が日本にブーイング サッカー東アジア選手権(asahi.com 2008/02/17/23:28)

 ●君が代にまたブーイング 五輪控えマナーに不安残す(共同通信 2008/02/17/23:54)




 豚は、腐っても豚なのです。

 豚の社会に生まれ育ち、しかも豚たらしめるべく徹底した教育で刷り込みを繰り返されて成人した病豚に、いきなりヒトモドキになれとか直立歩行しろといっても、それは無理。

 期待するだけ無駄です。ていうか期待される病豚の方が可哀想。そういうスキル、いわば一定水準の「民度」を持つことがないよう入念に育てられてきたのですから。

 実際に御覧の通り、4年経っても進歩がありません。豚は、やっぱり豚のままでした。その病豚どもが言うには、本物の豚の方がまだマシなのだそうです(この辺りが憎めないところ)。

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「來生不做中國人,來世做豬,都不做中國人」(来世も中国人に生まれるくらいなら、豚に生まれ変わる方がマシ)

 という言葉が一時期、中国のネット上を席巻しました。2006年9月4日、大手ポータル「網易」系列の「網易文化」(culture.163.com)がネット上でアンケート調査(投票)を実施したのです。

「来世があるとしたら、また中国人に生まれたいですか?」

 すると……。9月15日18時の時点における投票者数1万1271名のうち、
「中国人に生まれたくない」の比率が実に65.1%に達してしまいました。……私などはこの素直な一面に可愛げというか、ある種の愛嬌を感じてしまいます(笑)。

 ともあれこの結果が話題となり当局の耳に入ったのか、10月11日までと定められた投票期間が9月15日時点で強制終了。ウェブ上の関連ページは削除され、関係責任者が解雇されたそうです。

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 豚を量産すべく規定され、周到かつ緻密に設定された社会からマトモな人間が育つ訳がありません。むろん例外はあります。ただし、あくまでも例外。そして「例外」の多くは海外に活躍の場を見つけて残り、豚社会に帰ってくる者は実に少ないのです。

 さらにいえば、人間が豚の世界で生きていけないように、豚社会で生まれ育った者も人間の社会にはなかなか適応できません。困ったことにプライドと「自分たちは世界の中心」という妙な思い込みだけは際立って強いので、人間の社会に来ても豚社会の常識で押し通そうとする。それが数字に表れます。

 例えば日本における在日外国人犯罪件数で中国人(本土限定)は18年連続1位を誇り、いまなお記録更新中。

 豚社会で開催されるオリンピックに適応できるのは、特亜仲間のヒトモドキくらいでしょう。

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 ところが今回の東アジア選手権において、日本代表チームは日本サッカー協会の意向によって食品は全て現地調達。飲料水だけは持ち込むことを許されたそうです。

 自国の代表チームにコンディション維持のため極力良好な環境を準備するのが協会の仕事だと考えていたのですが、どうやら違うようです。

 大会が豚社会で開かれることを承知の上で、しかもその豚社会が4年前のアジア大会でブーイング&プチ騒乱までやらかした反日傾向の強い前科持ちであることも承知の上で、それでも敢えて無策で通したというのは、牟田口廉也とか辻政信の生まれ変わりみたいな人間が協会を仕切っているのでしょうか。

 食の安全が保証されていない場所へ送り出して「アウェーに慣れろ」では、ガダルカナルやインパールと同じではありませんか。無茶な部分は大和魂で何とかしろとでも?嗚呼ここにも豚がいたとは……。orz



 日本代表が最後に重慶を訪れたのはアジア杯を戦った04年夏。当時は日本人シェフが帯同し、最高の食生活に支えられた。しかし、日中友好の意図もあり、今回は水以外の食材を現地でまかなうことを決断。参加4か国が同宿するホテルで3食すべてを取ることにした。当然、ギョーザも避けることはなかった。

 地元食の中には慣れないものもある。ある選手は「怪しい魚のスープがあった。その魚が丸ごと煮込まれて目玉や皮が出てきた。豪快です」と苦笑い。鶏の空揚げがチョコ味で「バレンタイン仕様なんですかね」と困惑する選手もいた。100%果汁のはずのオレンジジュースが黄色の蛍光色、りんごジュースは茶色…。

 ●岡田ジャパン、中国ギョーザ食った!敵も食う!!(スポーツ報知 2008/02/15/06:02)
 http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/japan/news/20080214-OHT1T00305.htm




 ところで、なぜ「君が代」斉唱時にブーイングをするのか、病豚どもに聞いて御覧なさい。侵略がどうの南京がどうの靖国がどうのと言い出しますから。

 その同じ口が言うのです。

「北京五輪は純粋なスポーツの祭典。政治を持ち込むのはおかしい」

 なんてことを平然と、堂々と。


◆北京五輪トライアスロン代表が語る、中国でのとんでも体験談◆




◆討論! 北京五輪問題点 - 反日ブーイング◆





 それにしてもナンシーさん度胸ありすぎ(笑)。スティーブ降参です。私にはとても真似できません。ウーンこれなんて Wild & Moody!

 ……いや、「ひとりだけ日本人」には慣れていますから、真似する気はありませんけど試してみればスティーブにもできるかも知れません。

 でも、うっかり日本語を使ってしまっても周囲の空気を剣呑にすることなく、逆に鎮めてしまうそのキャラに脱帽。さすがであります。兵隊の位でいえば大将。




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 日曜日ですので久しぶりに真面目に楊枝削りを。


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 まずは以前紹介したこともありますが、時節柄この2冊はやはりオススメです。

中国禁止! 完全ガイド保存版―買うな、食べるな、使うな、危険な中国 (OAK MOOK 169 撃論ムック)

オークラ出版

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 ムック本ならではの気軽さと早わかり・まるわかりの良さがいいです。とても読みやすいので仕入れておく知識がスーッと頭に入ります。「中国では常識」な食品にまつわるトンデモ内容が満載で、「うそだろー」的な事実がどんどん出てきて唖然とさせられること請け合い。毒餃子事件で「中国モノは危ない」と感じた消費者がその危機感を再認識させられる内容です。


中国の危ない食品―中国食品安全現状調査
周勍
草思社

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 中国人である筆者による「食の安全」に関する生々しい命がけのレポートの数々や、それらに対する総括に頷かされます。単に「中国食品」だけではなく、中国と中国人を理解するための手がかりにもなる良書です。現地在住者のための「危険な食品見分け方ガイド」も収録されています。旅行者・出張者も日本を離れる前に一読しておくべきかと。


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ライフ アルバム
いきものがかり,山下穂尊,水野良樹,吉岡聖恵,西川進,中村太知,島田昌典,江口亮,渡辺善太郎,mugen
エピックレコードジャパン

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 こちらは出たばかり。「いきものがかり」のニューアルバムです。期待を裏切らない内容で私は大満足。ヒットした「茜色の約束」のアコースティック版が素晴らしいです。ニューシングルの「花は桜 君は美し」も収録されています。とてもとても切なくなります。インディーズ時代の曲なので路上ライブ版を聴いてみたいところ。毎度のことながらVC置いておきます。





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HAS/YMO

エイベックス・エンタテインメント

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 いやーとうとう出ることになりました(涙)。2007年5月19日にパシフィコ横浜で開催された「HAS/YMO」によるチャリティ・コンサートのDVDです。柴犬さんや私の電凸が奏功したのかどうかはわかりませんが(笑)、何といっても伝説のライブ。記念碑的作品になることは間違いありません。これを逃したら一生後悔します。







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TOKUMA Anime Collection『ザ・コックピット』

徳間書店

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 「またかよー」なんて言わないで下さい。私は何度も繰り返し観てはウルウルしています。悲壮感や泣かせるための演出は一切ありません。むしろ淡々としているのに観る者を魅了し、泣かせてしまう。松本零士のみが到達した境地です。……と前にも書きましたが、観れば改めて納得するのです。こればかりは模倣者の追随を許さない高みといえるのではないかと。主題歌がまたいいのです。どうしようもなく良いのです。


ときめきから BEGIN
松田博幸,カラオケ,松井五郎,十川知司,有賀啓雄
徳間ジャパンコミュニケーションズ

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 これがその主題歌「悲しいときはいつも」を収録したシングルです。DVDともどもこちらで御覧あれ。編集したなかのひとは神。





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ムルデカ 17805 スペシャル・エディション

ハピネット・ピクチャーズ

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 太平洋戦争において、終戦で無事に帰国できるという機会を捨ててまで、東南アジアの占領地の独立戦争に加勢し、地元民と肩を並べて戦った日本人がたくさんいたことを、忘れてはならないと思います。


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出口のない海

ポニーキャニオン

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月光の夏

ポニーキャニオン

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俺は、君のためにこそ死ににいく

TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

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 特攻を描いた映画における私のベスト3です。余計な説明は不要。いずれも究極の反戦映画です。


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出口のない海 (講談社文庫)
横山 秀夫
講談社

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 「出口のない海」は原作本もオススメ。映画では収め切れなかった深い描写が原作本にはある一方で、映画では原作本にないメリハリをつけることに成功している脚本家と演出家の仕事ぶりにうならされます。要するにどちらも、いいのです。


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現代中国の経済改革 (叢書〈制度を考える〉)
呉 敬レン
エヌティティ出版

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 そして最後に、これは秘密にしておきたいような必読の書。「呉市場」といえば1988年の経済過熱に対する分析本が面白くて何度も読み返した記憶がありますが、こちらは経済改革そのものに対するまとまった論考で囲みコラムも勉強になります。「現代中国経済に関し、このように重要な本はかつてなかった」という宣伝文句の通りです。正に真打ち登場。


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 【※余談】右サイドに掲げている特別推奨本『趙紫陽軟禁中的談話』を2冊入手しました。よろしければどうぞ。

 http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g59236520

 http://page16.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u22775393




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 毒餃子がちょっと香ばしくなりつつある気配を示しているのですが、思うところがあって今日はスルー。寝かせます。

 その代わり、といっては何ですが同じ冷凍食品の話題を。ただし毒入りではありませんし、日本の話でもありません。とはいえタイトルの通り、日本人がたくさん住んでいる上海市を舞台としたニュースです。



 ●スーパー販売員が客と口論、包丁で切りつけ大ケガ―上海市(Record China 2008/02/15/17:45)
 http://www.recordchina.co.jp/group/g15598.html

 2008年2月12日、新民晩報によれば、上海市でスーパーの販売員が返品に訪れた男性と口論になり、包丁で客を切りつけケガを負わせるという事件が起きた。

 男性は購入したジューサーを返品しようと、旧正月前に返品のため一度訪れていたが、レシートを忘れていたため返品できず、店員から休み明けにまたレシートを持参してきてほしいと言われた。11日夜、再び返品のため訪れたとき、その店員がおらず、他の店員たちはボールで遊んでいた。男性が返品を頼もうとして、店員の一人を店長室へ連れて行こうとしたところ、別の店員との間で口論となり、店員が突然包丁を持ち出し、男性は背中を切りつけられた。

 男性は出血がひどく、病院へ搬送された。診断の結果、背中に長さ10cm、深さ3cmの傷を負っていたが、幸い命に関わることはなかった。現在、警察が事情聴取を行っている。スーパーの責任者は男性の見舞いに病院を訪れ、賠償を申し出ている。

 スーパー側の説明によれば、容疑者はジューサー生産工場から派遣されてきており、事件が起こる前まではまじめに働いており、特に異常は見られなかった。(翻訳・編集/岡田)




 ……ち、違っ!

 でも「他の店員たちはボールで遊んでいた」「店員が突然包丁を持ち出し、男性は背中を切りつけられた」ってのはすごいですね。営業時間中にお客そっちのけでボールで遊んでいたのなら中国の良き伝統がいまなお健在であることに安心感を覚えるのですが。

 まあ、客がいるのに構わず、ライバル店の弁当を店員たちがでレジで試食してあれこれ意見するするコンビニがあるくらいですから、ボールで遊んでいても不思議ではないかも知れません。むしろボール遊びができる空間のあるゆとりに感心します(バレーボールのトス回しとかだったりして)。

 閑話休題。

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 上海市のスーパーなどで販売されている冷凍食品について、温度管理が極めてずさんで合格率は20%にも満たない、というレポートがこのほど発表されました。

 「上海スーパー食品安全研究レポート」というもので、上海連鎖経営協会(スーパーやコンビニチェーンの業界団体?)と上海商学院流通経済学院が共同で作成した報告書です。

 これによると、上海市のスーパーで販売されている食品の取り扱いなどについて細かく項目分けして調査したところ、総合基準における合格率は81%に達し、特に仕入れ、保管、店員による取り扱い、問題食品の処置などについては合格率が91%に達しました。

 ……と記事は賞讃調なのですが、逆にいえば
総合評価で約2割、仕入れ・保管・店員の質・トラブル対応などで約1割が不合格ということにもなります。摩天楼が建ち並び中国の経済発展のシンボル的な存在である上海市でこの成績、ということに喜ぶべきなのか「あちゃー」と言うべきなのか。

 仮にこの成績を良好と評価するにしても、です。同レポートによると製造・品質検査・安全管理・販売の4つの段階での合格率は総合評価(百点満点で81点)を下回っており、スーパーで売られている食品の安全を確保する上でのアキレス腱になっているそうです。具体的な合格率は記事に出てきません。

 製造・品質検査・安全管理・販売の現場に問題があるのならダメダメだと思うのですが。……ハッ!だから「トラブル対応」には手慣れていて点数もいいのかも。とりあえず総合評価に照らせば、スーバーの5店に1店で売られている食品には危険な香りが漂う、とでもしておきましょうか。

 ――――

 ところが実は「8割がアブナい」ものがあるそうで。……いや「8割以上」ですね。それがタイトル通り冷凍食品です。

 同レポートによれば、
冷凍・冷蔵食品は輸送段階での温度管理が極めてずさんで、基準に達している業者は全体の20%にも満たないとのこと。簡単にいえば冷凍・冷蔵食品の大半は常温で各店舗へと運ばれてくるということです。ええ、もちろん冬でも、夏でも。

 上海市の某大手スーパー食品加工配送センター筋によると、一部の業者は冷凍・冷蔵食品の輸送に専用トラック(冷凍車とか)を使用していないとのこと。専用トラックを使っていても、冷凍・冷蔵機能を作動させていない業者が一部にいるようです。それなら密閉空間であることが災いして逆に普通のトラックより「室温」が高くなるではありませんか。

 夏などはどうなっているのでしょう。
冷凍食品は輸送段階でいったん自然解凍されたものが店舗で再び冷凍されることが多く、店舗によってはさらに店内で自然解凍~再冷凍された上で売り場に陳列される製品もあるそうです。ですから評価点は20点未満。

 上海にしてこのレベルです。冷凍・冷蔵食品については毒入りかどうかという以前の問題。手を出さない方が身のため、といえるでしょう。

 ●『大公報』電子版(2008/02/16/11:06)
 http://www.takungpao.com/news/08/02/16/ZM-864638.htm

 ……ええ、一応香港の親中紙が出した記事であることを付け加えておきます。ソースは台湾・中央通信ですが恐らく上海の地元紙あたりの記事を転載・配信したものかと思われます。




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 またまた中国製です。今度は薬品です。米国で死者まで出ています。米国発のニュースであるうえ私にとっては畑違いの縁遠い分野の話題ゆえ、今回は引用が多くなることを諒として頂ければ幸いです。

 ちなみに、今回のニュースは前回のエントリーで「通りすがり」さんがタレ込んで下さった情報が基になっています。



 ●Unknown (通りすがり) 2008-02-14 23:34:57

 米国において、中国工場で製造された医薬品で薬害が発生した模様です。死亡4名、被害者?350名ほど出てるようです。




 「通りすがり」さん、多謝であります。m(__)m

 このコメントを受けて私は「ソース希望」とか「kwsk」とレスしようとしたのですが、とりあえず自分で調べてみました。ぐぐってみたところ、



 ●ウォールストリート・ジャーナル紙ヘッドライン【14日付】(ロイター 2008/02/14/18:15)
 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK812413720080214

 米食品医薬品局(FDA)の検査を受けたことのない中国の工場で、米バクスター・インターナショナルの抗凝固薬の有効成分が製造されていたことが明らかに。同薬については死者4人を含むアレルギー反応が多数報告される。




 という報道を拾いました。詳細はこちら(英文)。

 ●China Plant Played Role In Drug Tied to 4 Deaths(THE WALL STREET JOURNAL 2008/02/14)
 http://online.wsj.com/article/SB120293808086766253.html

 また、ブログ「医師の一分」さんのところに『WSJ』紙とは別口の情報が出ています。



 ●バクスター製ヘパリン製剤で重篤な副作用/米国医療事情 中国製原料(医師の一分 2008/02/14/23:20)
 http://kurie.at.webry.info/200802/article_25.html

 FDA(米国食品医薬局)による検査のされていない中国の工場で製造された原料によるヘパリンで350人に被害が生じ、少なくとも4人が死亡した。早期に中国の工場を検査するという。ヘパリンは豚の腸から作られる。バクスターはヘパリンの米国使用量の半分を製造しており、製造中止で供給不足に陥る可能性がある。
(中略)

 昨年末ミズーリ病院で透析を受けている子供が激しいアレルギー反応にみまわれ、公衆衛生当局はヘパリン供給品についての問題に気づき、調査で数百の同様なケースが見つかった。バクスターは最初製品のいくらかを回収したが、問題は持続した。
(後略)



 「事件」として問題が本格化したタイミングは日本の毒餃子事件とほぼ同じであるようです。



 ◆Baxter社 ヘパリン抗凝固薬の9ロットを緊急自主回収

 2008年1月25日、Baxter International社は、アレルギー様の有害事象報告の増加を受けて、血液透析や心侵襲性治療に主に使用される1000 ユニット/mL 10mLと30mLマルチドーズバイアルのヘパリン抗凝固薬の9ロットを緊急に自主回収していると発表しました。

 ●「Bio Today」(2008/01/26)
 http://www.biotoday.com/view.cfm?n=24670

 ――――

 ◆バクスター社 重篤なアレルギー反応によりマルチドーズバイアルのヘパリンの製造を一時中止

 2008年2月11日、Baxter Healthcare Corporationは、死者4人を含む重篤なアレルギー反応や血圧低下の報告を受けて抗凝固薬・ヘパリンのマルチドーズバイアルの製造を一時中止したと発表しました。

 ●「Bio Today」(2008/02/12)
 http://www.biotoday.com/view.cfm?n=24997

 ――――

 ◆バクスター社のヘパリンが製造されている中国の工場をFDAは一度も査察していなかった

 Reuters によると、死者4人を含む重篤なアレルギー反応や血圧低下の報告を受けて抗凝固薬・ヘパリンのマルチドーズバイアルの製造一時中止をBaxter社が発表した翌日、Baxter(バクスター)社のヘパリンが製造されている中国の工場を一度も査察していなかったとアメリカFDAが告白しました。

 ●「Bio Today」(2008/02/14)
 http://www.biotoday.com/view.cfm?n=25046




 日本のような騒ぎになっていたようではありませんが、死者まで出ているので米国内ではそれなりに報道されてたのでしょうか。現時点においては日本のマスコミで詳報しているところはない模様です。

 この件、実は香港紙の方が速く、今日付(2月15日)の紙面で親中紙『香港文匯報』をはじめ複数紙が報じています。白状しますと私も「通りすがり」さんのコメントに続いてこの香港メディアの報道を受けて腰を上げた次第。

 ●『明報』(2008/02/15)
 http://www.mingpaonews.com/20080215/caa4.htm

 ●『東方日報』(2008/02/15)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_b14cnt.html?pubdate=20080215

 ●『香港文匯報』(2008/02/15)
 http://paper.wenweipo.com/2008/02/15/CH0802150019.htm

 ――――

 簡単にまとめてみます。私には関連知識が皆無なものですからトンチンカンな部分があれば御指摘下さい。m(__)m

 米国の製薬会社バクスター・インターナショナルが製造・販売している抗凝固薬・ヘパリンのマルチドーズバイアルを服用した患者にアレルギー反応が出たことを受け、当局が調べたところ多数の被害が出ているという実態が判明しました。このため同社は販売した製品を緊急回収したうえ、製造中止を決定。

 現時点までで死者4名が出ているほか、約350名にアレルギー反応が出ていると報告されています。

 ここで中国の出番。問題となった製品のヘパリンが中国の工場で生産されていたことが明らかになり、調べたところ米食品医薬品局(FDA)の検査を一度も受けたことのない工場であることがわかったのです。

 このためFDAは急きょ調査に乗り出すことを決定、また中国に対し調査に協力するよう求めることにしました。FDA報道官が13日,明らかにしたところによると、「人為的なミス」と「情報技術システムにおける欠陥」などの原因により、FDAはこの工場に対して通常の認可前検査が実施できないでいるとのこと。

 ただし同報道官はまた、一連の被害の原因がヘパリンにあるかどうかはまだ断定できないともコメントしています。

 なお、バクスター・インターナショナル社のヘパリンは米国市場において約半分のシェアを占めているため、被害の拡大や製造中止による影響を懸念する声も出ているようです。



 ヘパリン (heparin) は抗凝固薬の一つであり、血栓塞栓症や播種性血管内凝固症候群 (DIC) の治療、人工透析、体外循環での凝固防止などに用いられる。ヘパリンの原料は牛や豚の腸粘膜から採取されるが、牛海綿状脳症 (BSE) 発生後の現在は健康な豚から採取されたものがほとんどである。

 ●「Wikipedia~ヘパリン」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%91%E3%83%AA%E3%83%B3




 情報量が十分でありませんし英文記事であるうえ、私には縁遠い業界の話なので苦労しております。問題の抗凝固薬が日本で使用されているのかどうかも不明です。御存知の方がコメント欄にて補強して下さることを願うばかりです。m(__)m

 取り急ぎ速報まで。




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 次号、詰むや、詰まざるや?……と前回のエントリーを書き終えてから、私の稼業では不可欠な睡眠導入剤を飲んでぐっすり寝て起きたら驚きました。

 詰む詰まないどころか、将棋盤がひっくり返っているではありませんか。

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 ひっくり返したのは質検総局(国家品質監督検査検疫総局)です。昨日13日午後に北京で魏伝忠・副総局長が記者会見を開き、まず訪日した中国調査団の強い求めにより、日本生活協同組合連合会から提供された問題の製造日を含む製品を検査したところ、有機リン系殺虫剤のメタミドホス、ジクロルボスは一切検出されなかったと発表。

 続いて現時点までの日中双方の調査結果から、今回の事件は残留農薬が引き起こした構造的な食品安全事件ではなく、人為的な破壊行為の可能性があり、あくまでも例外的なケースと考えてよいと表明。北京五輪の食品の安全性とは全く無関係とし、

「中国政府と北京五輪組織委員会は有効かつ行き届いた五輪食品安全監視システムを構築している。オリンピックにおける食品の安全は完全に保障されている」

 と強調しました。

 一方で魏伝忠は、「河北省石家庄市当局者が、同市公安局に設置した特別捜査チームが今回の事件を職場の待遇などに不満を持つ人間の犯行、との見方を強めている」という共同通信の記事について、

「質検総局または警察当局の発表に基づいていない主観的かつ憶測的な報道であり、調査活動と民衆をミスリードするもの」

 と指摘。その上で魏伝忠は河北省警察当局で確認したものとして、1月30日に警察部門が捜査を開始してから現時点に至るまで生産工程における異常は発見されておらず、特捜チームは現在も捜査活動を行っていると報告。当局は結論が出る前に外部に詳細など如何なる情報も発表したことがないとして、一部で流れている情報は憶測の類とみるべきだとコメントしています。

 魏伝忠はさらに、中国側の事件に対する調査状況については、質検総局と中国公安部門の発表を正式なものとすると語り、

「調査活動について中国政府は断固たる姿勢で臨んでおり、打ち出される措置は有力なものであり、一人たりとも悪人を逃すことは決してなく、また一人たりとも善人を冤罪に陥れることはない」

 と表明。このほか、事件の真相究明のため日中両国による共同捜査チームの設立を提案しています。

 ――――

 ……というのが今回の記者会見に関する中国側の報道です。中国の国営通信社・新華社が2月13日付で配信した一連の記事を簡潔にまとめてみました。

 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/13/content_7598330.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/13/content_7598331.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/13/content_7598341.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/13/content_7598408.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/13/content_7598381.htm
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/13/content_7598436.htm

 日本側の報道はこのあたりを。

 ●人為的混入の形跡なし ギョーザ事件で中国当局(共同通信 2008/02/13/19:35)
 ●中国 人為的混入を示唆する日本の報道を否定 ギョーザ中毒事件(MSN産経ニュース 2008/02/13/21:35)
 ●中国当局、中国での混入を否定 ギョーザ事件(asahi.com 2008/02/13/21:35)
 ●中国製ギョーザ中毒:中国検疫当局、人為的な混入否定 共同捜査を提案(毎日新聞東京朝刊 2008/02/14)
 ●中国での殺虫剤混入に否定的…ギョーザ事件で中国副局長(YOMIURI ONLINE 2008/02/14/00:45)
 ●密封でも中国とは限らず ギョーザ事件で中国検疫当局(共同通信 2008/02/13/21:35)

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 さて中国側の報道について。いずれも外交部報道官定例記者会見のような「実況」型の記事ではないため、どこまでが質検総局側の発表でどのあたりが質疑応答での回答部分なのか一切不明です。記者会見の現場に居合わせていない私(素人だし)には不可解な部分が多く感じられました。日本側の報道にも不可解な部分があります。

 まあ中国側の報道からいきますか。冒頭で私は「将棋盤がひっくり返っている」と書きましたが、これは寝ぼけマナコの第一印象。仔細に眺めてみると、「詰むや,詰まざるや?」の段階まで至っていた棋譜がチャラになって振り出しに戻った、という訳ではないようです。

 質検総局の会見は「将棋盤をひっくり返した」というより
「あ、その手ちょっと待った!」という性質のもの、という感想を私は抱きました。香ばしいです。

 まずは事実認否について断定している部分が非常に少ないことが目立ちます。「これは事実」とはっきり断定しているのは、日本の生協に対し「強く要求」して回収したサンプル(さすがは生協さん。政協の方がまだマシ?)からはメタミドホス、ジクロルボスが検出されなかった、ということぐらいではないでしょうか。事件そのものについては、

 ●現時点までの日中双方の調査結果から
 ●人為的な破壊行為の可能性があり
 ●例外的なケースであると考えてよい

 などと含みを残す表現に終始し、はっきりと断定していません。「中国での混入」を「否定」したとか「否定的」だとか日本側の記事のタイトルに出ていますが、新華社電にはそういう言辞は一切出てきません(私の見落としでなければ)。そのくせ「北京五輪における食品の安全性とは無関係」とか北京五輪での食の安全がいかに完璧な体制で守られているかといった
「そんな聞かれてもいないことを」(記者から質問が出たのかも知れませんが)に長広舌をふるった挙げ句、

「調査活動について中国政府は断固たる姿勢で臨んでおり、打ち出される措置は有力なものであり、一人たりとも悪人を逃すことは決してなく、また一人たりとも善人を冤罪に陥れることはない」

 とか大見得切られてもこちらは唖然としてしまいます。……逆にいよいよ不安になったりして(笑)。

 ――――

 記者会見で引き合いに出されている「共同通信の報道」についても、

 ●質検総局または警察当局の発表に基づいていない主観的かつ憶測的な報道であり、調査活動と民衆をミスリードするもの。
 ●一部で流れている情報は憶測の類とみるべきだ。

 と言っているだけで「事実無根」などと明確に否定してはいないのです。当局の正式発表によるものではなく、また主観的かつ憶測的であり、ミスリードする性質だとしてはいるものの、

「事実に反する」

 と魏伝忠は一言もたりとも言っていません。新華社電を読む際には安直に翻訳してしまわないような慎重さが必要。共同電を「怪しさ満点の報道」とはしているものの、「嘘っぱち」認定は出ていないのです。

 そもそも警察の特捜チームが現在なお調査中であり「事実」そのものについての結論がまだ出ていない、ということは魏伝忠も明言していますね。

 ちなみに私の記憶違いでなければ、
「警察が捜査している」「特捜チームが設置されている」ということが中国当局から正式に発表されたのはこれが初めてです。その意味では逆に中国国内メディアの多くが報じた共同電の内容を事実と認めていることになります。……と書くと話がややこしくなりますが。

 ――――

 ●【毒餃子】中国国内でも出ました「怪しいのは中国」報道。(2008/02/12)

 ……このエントリーで紹介したように、

「日本向け『毒餃子』事件に突破口、問題製品は祝日・休日に生産、中国警察当局は袋詰め・箱詰め関係者を追及」

 というタイトルで中国国内に流れた【共同電A】(仮称)には「職場の待遇などに不満を持つ」云々といった記述は全くなく、記者会見で魏伝忠が引き合いに出している記事とは全くの別物です。魏伝忠の言う、

「河北省石家庄市当局者が、同市公安局に設置した特別捜査チームが今回の事件を職場の待遇などに不満を持つ人間の犯行、との見方を強めている」

 という【共同電B】(同)は、前回当ブログが
「【2】のフラグ」としたもので、実は記者会見が開かれる時点まで中国国内メディアでは一切報じられていないものなのです。

 要するに、
質検総局が自ら「スクープ」して「ミスリード」していることになります。不可解ですねえ。

 繰り返しになりますが、【共同電B】を中国国内で最初に発表したのは、その記事に文句をつけている当の魏伝忠なのです。そして、すでに中国国内メディアが報じている【共同電A】の消息筋情報は、少なくとも「警察が捜査に乗り出している」「特捜チームが設置された」という点に関しては今回の記者会見で事実であることが明らかとなりました。証拠はこちら。

 ●【共同電A】“毒餃子”於節假日製造 警方嚴査包裝裝箱工序(2008/02/08/21:57)
 http://china.kyodo.co.jp/modules/fsStory/index.php?sel_lang=schinese&storyid=53616

 ●【共同電B】石家莊警方專案組懷疑”毒餃子”或為內部作案(2008/02/12/21:50)
 http://china.kyodo.co.jp/modules/fsStory/index.php?storyid=53748%26sel_lang=schinese

 ――――

 魏伝忠は警察の捜査について「結論はまだ出ていない」と言っていますから、意外にも【共同電B】が「結論」になってしまう可能性もあるのです。まことに香ばしいと申し上げるほかございません。

 まあ「結論」がどうなるかは続報待ちではありますが、今回の質検総局による記者会見、中国側の報道をみる限りでは一体何のために開いたのか首をひねりたくなってしまいます。要するに、

 「野郎ども、報道管制モード突入だ!」「海外のみなさん、北京五輪で出される食品は安全ですから」と言いたかっただけ。

 なのではないかと。

 この点に関して実に興味深いのは、実質的に中国国内における【共同電A】の発信源となった広東省の地元紙『南方都市報』の反応です。記者会見を報じた本日付の紙面では、

 ●訪日した中国側調査団が持ち帰ったサンプルからメタミドホス、ジクロルボスは検出されなかった。
 ●今回の事件は残留農薬が引き起こした食品安全事件ではなく、あくまでも単発の例外的なケース。
 ●事件の早期解明のため、中国側は日中共同捜査チームの設置を提案する。

 の3点を伝えるにとどまり、共同電がどうとか、北京五輪がどうとかいうことには一切ふれていません。当局に対して一種の際どいシャレを飛ばしたとでもいうべきでしょうか、さすがに「権力に容易に屈しない社会派新聞」として人気を集めているだけのことはあります(笑)。

 ●『南方都市報』(2008/02/14)
 http://epaper.nddaily.com/A/html/2008-02/14/content_386005.htm

 ――――

 そして日本側の報道は、ということになりますが、現時点で出ている記事はいずれも記者会見の第一報的な内容ですから、上述したような「香ばしさ」には一切言及されていません。

 でも日本のマスコミのことですから詳細な解説記事がほどなく出るに違いありません。たぶん出ると思います。出る可能性もあります。……出るといいな。

 それにしても、です。実際に現場でどういうやり取りが交わされたのか私にはわかりませんが、新華社電でもかくもフニャフニャしたものだというのに、

「日本の報道を否定」
「中国での混入を否定」

 という安易な断定形がどうして出てくるのか、不思議でなりません。他の仕事もあって色々忙しいのでしょうけど、ずっと事件を追いかけている現地取材班なのですから、中国国内報道と照らし合わせて共同電へのクレームにツッコミを入れるくらいのことはしてほしかったです。……また、

 ●「包装の過程を含めてビデオ監視の中で作業しており(人為的な)異常はない」(MSN産経ニュース)
 ●「ギョーザの生産から輸出までの過程で人為的な破壊行為があった可能性はほぼない」(asahi.com)
 ●「生産から輸出までの過程で人為的に(殺虫剤が)混入される可能性はほとんどない」(YOMIURI ONLINE)
 ●「12日には、李長江総局長(閣僚級)らが製造元『天洋食品』の工場を再び視察したしたほか、生産記録を詳しく調べたというが、『生産から輸出までの各段階で異常はなく、人為的な破壊の可能性はほぼ存在していない』と強調した」(毎日新聞東京朝刊)

 といったことはむしろ新華社がガンガン強調するべきなのに、該当する記述は全く見当たりませんでした。新華社のサボタージュなのか日本マスコミがサービス過剰なのか、これまた不可解、であります。

 ――――

 ……それでも、

 ●「一般人でも開封したものを再び密封できる。少数の事例で断定すべきではない」(asahi.com)
 ●「袋を開封してまた密封することは、ハイテクなど使わなくても普通の人でもできる」(共同通信)
 ●「開封したものを再び密封することは可能だ」(毎日新聞東京朝刊)

 という魏伝忠のパワープレー発言(笑)を拾ったメディアにはGJ!と言ってあげましょう。それから共同通信とMSN産経ニュースの、

 ●ただ「すべての調査が終わるまであらゆる可能性がある」と含みを残した。(共同通信)
 ●一方で魏副総局長は、「調査が終了するまであらゆる可能性がある」とも述べ、将来への含みは残した。(MSN産経ニュース)

 という一節、「含みを残した」「含みは残した」という指摘はナイスでした。……本当はこのくらいやれて当たり前だと思うんですけど、他がやっていないものですから。orz

「対日輸出で成長した会社なので日本に好感を持っており、従業員の給与も低くない」(asahi.com)

 というのが新華社電に登場しないのは、わかるような気がします。うっかり記事にしてしまうと、超格差社会であえいでいる大多数の中国人民が怒りを爆発させかねませんから(笑)。

 不可解、不可解というなかで最も解せないのは、
「北京五輪での食の安全は大丈夫」という魏伝忠の誰も聞いてねーよそんなこと発言を日本側は一切スルーしていることです。……行数制限、ですよね?

 ――――

 最後に香港の親中紙『大公報』が何を勘違いしたか
誤爆です。13日の記者会見直後に電子版で流した速報はほぼ新華社テイストだったのに、今日スタンドで売られている紙媒体では何と記者会見に全く言及せず、【1】【2】フラグ2本立て、という内容になっています(笑)。

 あるいは記者会見記事がウェブサイトには出ていないだけかも知れませんが、ここに来てフラグを立てまくるというのは党中央に喧嘩を売っているとしか思えません(笑)。放送事故のようなものでしょうか?

 ●『大公報』(2008/02/14)
 http://www.takungpao.com/news/08/02/14/ZM-863448.htm

 もし本当にチクリと刺したかったのなら『南方都市報』のセンスを見習うべきでしょう。さもなくば記者会見前に報道するとか。……肝心なときにモタモタしているから、

「弾幕遅いよ、なーにやってんの!」(報道、報道)

 と私に言われてしまうのです。




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 当ブログはこれまで執拗に毒餃子事件を追いかけてきました。むろん、他に話題がないからではありません。

 この事件について、私自身は最初の何回かで書くべきことは書いてしまっています。

 実のところ途中で「もうお腹一杯」な気分に支配されていったんモチベーションが低下しました。食傷気味というやつです。

 ところが「昔の観察日記」ではありませんが、

「これひょっとしてなかなか良いヲチ教材?」

 とふと考え、その視点からこの事件を眺めてみようと腰を据えたところ、不謹慎ながら俄然面白くなってきました。それ以来もう、毎日わくわく。

 ――――

 いい加減みなさんもお気付きでしょうが、最近の当ブログはこの問題を「毒餃子事件」としてではなく、むしろその「事件報道」という点に絞って動向を観察しております。もちろん中国側の報道をヲチするのがメイン。報道量や報道内容に関して日本側と比較したり、

「日本側が報道→海外の親中系メディアが報道→中国国内メディアが報道」

 という敏感なニュースにはつきもののお約束のプロセスを紹介したり、そのタイムラグを測ったり。……また、報道するにしても日本側の元記事の肝心な部分を逃さずに織り込んでいるか最低限の線でとどめたか、それから同じことを報じるにしても『環球時報』のように、

「中国食品利用せず:75%」→
「日本人の4分の1はそれでも中国食品を支持している」

 という強引な荒技を平然と繰り出す(中国では珍しくもないでしょうが)、なんてことも「実況」することができました。さらにはどんどん雲行きの怪しくなる報道内容を受けて、次第に動揺を強めつつ火病へと発展していく中国のネット世論も見応えがありました。

 「事件報道ヲチ」へと質的転換(笑)を行うにあたり、タイトルの頭につける【中国食品】【中国毒餃子】も【毒餃子】に改めております。ターニングポイントは、

 ●【中国毒餃子に】旧正月だ!中国人民にお年玉を!【誠意ある返礼】(2008/02/08)

 ……まあこの辺りです。「事件報道ヲチ」に限っていえば、中国独特の「しきたり」などをリアルタイムに眺めることができて、なかなか濃い内容になっているかと思います。こういう機会は、なかなかあるものではありません。

 ――――

 いやもう本当に毎日がわくわく。日本側から重要な報道が出ると、

「日本側が報道→海外の親中系メディアが報道→中国国内メディアが報道」

 となりますからこちらは落ち着かなくなります。『香港文匯報』や『聯合早報』の電子版や「星島環球網」などが中文記事も配信してくれる共同電を転載すると
「よっしゃーフラグ立った!」と私は小さくガッツポーズ(笑)。

 そして中国国内のメディアの動静を注視することになるのですが、親中系メディアの間にもフラグの立ち方にバラつきがあったりして、
「大公報!弾幕遅いよ何やってんの~」などと勝手にやきもきしたりします(笑)。……ああ弾幕ではなく報道、報道。

 しかし、それもいよいよ大詰めの段階を迎えました。もう我慢できないので書いてしまいましょう。共同通信が昨日(12日)、今回の事件については中国側の窓口となっている国家質検総局(国家品質監督検査検疫総局)が日本時間の今日(13日)17時から調査の最新状況に関する記者会見を開くと明らかにしたのです。おおお。

 ●中国検疫当局が13日会見へ 中国製ギョーザ中毒事件(MSN産経ニュース 2008/02/12/18:40)

 とはいえこの会見自体には、私はあまりワクテカではありません。というのも、事態はすでに質検総局ではなく公安部門(警察)を中心に動いているからです。「検査・調査」ではなくもはや「捜査」。ですから会見に公安当局も列席するようでないとどこまで面白い出し物になるかは疑問符なのです。

 ――――

 前回紹介したように、中国国内でも11日の時点で、

「日本向け『毒餃子』事件に突破口、問題製品は祝日・休日に生産、中国警察当局は袋詰め・箱詰め関係者を追及」

 という報道がすでに流れており、公安当局が前面に出ていることは明らかになっています。で、中国国内の報道はその時点で足踏み状態なのですが、実は日本側ではドカンドカンと大きな花火が2つ打ち上がっております。共同電プリーズ。



 ●【1】「毒物混入」容疑での立件も視野 中国の公安当局(共同通信 2008/02/12/09:50)
 http://www.47news.jp/CN/200802/CN2008021201000112.htm

 【石家荘(中国河北省)12日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、ギョーザを製造した「天洋食品」の工場がある中国河北省石家荘市当局者は12日、河北省公安庁や同市公安局が「毒物混入事件」として特別捜査チームを設置、多数の捜査官が春節(旧正月)休みを返上した「缶詰め状態」で事件解明に全力を挙げていることを明らかにした。

 中国の国家品質監督検査検疫総局高官らは、中国国内での殺虫剤などの混入に否定的な見方を示しているが、司法当局は「毒物混入」容疑の刑事事件として立件を視野に捜査していることが分かった。中国政府は胡錦濤国家主席の今春の訪日予定を重視、事件の早期解決を図る狙いがあるとみられる。

 当局者によると、地元当局に公安省関係者を加えた「多数の専従捜査員」による特別捜査チームは同市公安局に設置された。同チームの捜査員らは外部との接触を厳しく制限されているという。

 ――――

 ●【2】「待遇に不満」で混入か、内部犯行で捜査 ギョーザ中毒事件(共同通信 2008/02/12/21:21)
 http://www.47news.jp/CN/200802/CN2008021201000506.htmll

 【石家荘(中国河北省)12日共同】中国製ギョーザ中毒事件で、河北省石家荘市当局者は12日、同市公安局に設置した特別捜査チームが「職場の待遇などに不満を持つ人間の犯行」との見方を強め、ギョーザを製造した「天洋食品」の工場関係者らによる内部犯行の線で捜査を進めていることを明らかにした。同事件で、当局者が容疑者像を明らかにしたのは初めて。

 この当局者は、今春に予定されている胡錦濤国家主席の訪日を念頭に「それ以前に解決されるのは間違いない。それだけの態勢を組んでいる」と述べ、事件の早期解決を目指していることを強調した。

 捜査には石家荘市の公安局だけでなく北京から公安省関係者も加わり、12日には国家品質監督検査検疫総局の李長江局長が天洋食品を視察に訪れた。中央政府が事件解明を重視していることを示している。

 当局者によると、同市公安局に設置された特別捜査チームはこれまでに複数の従業員から任意で事情聴取。犯行動機は「反日」とは関係なく、「労働条件や工場幹部に対する不満」の可能性が強いとの見方を示した。




 【1】のキモは
「地元警察当局が特別捜査チーム設置」であり、【2】は言うまでもなく「待遇に不満持つ内部犯行か」ということになります。

 それで海外の親中系メディアはどうか?といえば、シンガポールの『聯合早報』電子版で真っ先に【1】フラグが立ちました。11日午後に警察当局の車両数台が天洋食品前に乗り付けられ、カメラと資料を手にした捜査員約20名が工場内に入り数時間かけて捜査を行ったそうです。門前に屯集していた日本メディア多数にはノーコメントで風のように撤収した模様。

 ●中国当局が「毒餃子」特捜チーム設置、天洋食品を捜査(聯合新聞網 2008/02/12/11:30)
 http://realtime.zaobao.com/2008/02/080212_12.shtml

 これより一足早く親中紙『香港商報』電子版が「天洋食品に再調査入る」と報じていますが、どちらのフラグも立たずじまい。こちらの報道では司法部門が車6台・約20名で天洋食品で調査を行った、となっています。「毒餃子生産工場」とは親中系らしからぬトゲを含んだタイトルですね(笑)。

 ●河北司法部門が毒餃子生産工場を調査…11日(香港商報電子版 2008/02/12/09:28)
 http://www.hkcd.com.hk/20080212/ca2885693.htm

 ここから私のやきもきが始まります。他の親中系メディアが続かないのです。これだけでは当ブログにて速報できません。悶々と眠れぬ夜を過ごす破目になりました。

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 ……しかし今朝、『香港文匯報』にも【1】フラグが!

 ●河北省当局、特別チーム設置し毒餃子を捜査(香港文匯報 2008/02/13)
 http://paper.wenweipo.com/2008/02/13/CH0802130015.htm

 さらに「星島環球網」がこれに続きました。こちらは【1】【2】フラグを2本まとめて立てる大技です。

 ●毒餃子事件:待遇不満を根に持った内部犯行か…警察当局(星島環球網 2008/02/13)
 http://www.stnn.cc/china/200802/t20080213_729707.html

 ●石家庄警察当局、「毒餃子」で内部犯行の線を疑う(星島環球網 2008/02/13/07:57)
 http://www.singtaonet.com/hot_news/gd_20080213/200802/t20080213_729674.html

 私のいう「海外の親中系メディア」とは中国国内からもアクセスできる中国語ニュースサイトのこと。この「星島環球網」の2本はいずれもフラグ2本立て報道なのですが、中国国内のサーチエンジンでは2本目の記事が引っかかりました。

 さらに香港の親中系通信社・中国評論通信社がこれまたフラグ2本立てキタ━━━(゜∀゜)━━━!!!!

 ●日本の警察当局、餃子中毒事件で捜査員を中国に派遣へ(中国新聞評論網 2008/02/13/11:51)
 http://gb.chinareviewnews.com/doc/1005/6/7/5/100567565.html?coluid=7&kindid=0&docid=100567565

 タイトルでさらにもう1本フラグを立てていますね(日本から捜査員を現地派遣へ)。

 ――――

 それからこれは何のフラグも立ちませんが、民主党の調査団が訪中することが香港とシンガポールで報じられています。

 ●「中国新聞評論網」(2008/02/12/16:23)
 http://gb.chinareviewnews.com/doc/1005/6/7/0/100567057.html?coluid=7&kindid=0&docid=100567057

 ●「聯合早報網」(2008/02/13/14:50)
 http://realtime.zaobao.com/2008/02/080213_22.shtml

 ところで香港の最大手紙『蘋果日報』と親中紙『大公報』は、あるいは中国にとってより気になるニュースを今日の朝イチで流しています。米国のスーパーチェーン「Trader Joe's」が11日、中国食品の販売を4月1日から段階的に停止すると発表した、というものです。

 ●『蘋果日報』(2008/02/13)
 http://www1.appledaily.atnext.com

 ●『大公報』(2008/02/13)
 http://www.takungpao.com/news/08/02/13/ZM-863011.htm

 これはAFPが日本語記事も配信しています。



 ●米食品チェーン、一部の中国産食品を店頭から撤去へ(AFP BB News 2008/02/12/19:48)
 http://www.afpbb.com/article/economy/2349910/2632540

 【2月12日 AFP/ワシントン】米食品チェーン、トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)は11日、顧客の懸念を配慮し、中国産の「単一の素材からなる食品」を4月1日までに店頭からすべて撤去すると発表した。

 「単一の素材からなる食品」とはニンニクや冷凍ホウレンソウなどを指し、原材料の一部に中国産品を含む食品は引き続き販売する。アリソン・モチヅキ(Alison Mochizuki)広報担当は中国産食品の安全性を懸念する顧客の声に対応するための措置とした上で、「当社が扱っている中国産食品の安全性について、当社が持っているのと同じ確信を顧客が持てるようになるまで」、中国以外からの調達を継続するという。

 前年、中国から輸出された魚介類、キャットフード、医薬品、玩具などから相次いで有害物質が検出され、米国では大規模な自主回収が実施されたほか、安全基準が強化された。

 トレーダー・ジョーズは1960年代にカリフォルニア州で創業した食品チェーンで、オーガニックフードも販売している。




 他国へ飛び火か?という中国が最も恐れているであろう事態の出現です。当局は神経質にならざるを得ないでしょうね。八つ当たりで日本側へ「プチ逆ギレ」とか、あるかも知れません。

 ちなみに香港では他に本日付の『星島日報』『東方日報』『太陽報』などが紙媒体でそれぞれ【1】【2】フラグ2本立て記事を掲載しています。

 ●『星島日報』(2008/01/13)
 http://www.singtao.com/yesterday/chi/0213eo05.html

 ●『東方日報』(2008/01/13)
 http://orientaldaily.on.cc/new/new_c21cnt.html?pubdate=20080213

 ●『太陽報』(2008/01/13)
 http://the-sun.on.cc/channels/news/20080213/20080213030655_0000.html

 さあ、こうしたニュースについて、中国当局が国内メディアに報道解禁を出すのはいつのことになるのか。次号、詰むや、詰まざるや?……ってやっぱ古いかアリスよりはマシだけど。orz

 ……どうやら私は休んだ方がいいようです。寝ます。






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【昔の観察日記09】へ)


 現在の中国において、経済発展のシンボルとして第一に挙げられるのは往々にして上海市。ビジュアル的には香港に負けじと建ち並ぶ摩天楼や夜景に映える外灘(バンド)、といったところでしょう。

 特に外灘は租界時代の名残を遺しつつも周囲の風景がガラリと変化したため、20年近く前の町並みしか知らない私のような「昔型」にとって、現代的にライトアップされている「偽りの正面」にはただただ圧倒されるばかりです。夜景だと大気汚染が目につかないのもいいですね(笑)。

 ちなみに「老上海」と名乗ることにはひるみがあるので「昔型」としましたが、私はもちろん「上海閥」ではなく「団派」贔屓です。ええ胡錦涛直系の共青団(共産主義青年団)人脈。……というより胡燿邦系「団派」というべき時代でした。「上海閥」でないのは1989年の民主化運動のときデモ隊の一員として、

「江澤民,下台!」(辞めろ辞めちまえ江沢民)

 と何百回も叫びつつ上海市中心部の目抜き通りを練り歩きましたし、当時上海のトップ(上海市党委書記)だった奴の自宅の門前に座り込んで、

「江澤民,出来!」(コラ出てきやがれ江沢民)

 とシュプレヒコールを繰り返したように、「上海閥」の御大を散々にこき下ろしているからです(余談:当時私が見聞した限りでは、上海市長だった朱鎔基の悪口を言うデモ隊は全くありませんでした)。

 ――――

 それに私は江沢民が大嫌い。なぜって反日風味満点の愛国主義教育を定着させた……という以前に、この愛国主義教育によって
硬直的な価値観を叩き込むことで中国の若い世代から柔軟な思考癖を奪い、民度を退行させたというのが第一。これは歴史に刻むべき重罪です。

 それから江沢民は同じ「中共人」でもギリギリの局面で「中国人」であることをより優先させた趙紫陽とはまるで比較になりませんし、「中共人」としてみてもトウ小平や胡錦涛のように良くも悪くも政権維持のために心を砕くことを第一とするスタイルではなく、むしろ「中共人」としての特権で潤うという方向に激しく傾斜していた観があるのも醜悪でたまりません。

 ではなぜ「団派」贔屓かといえば、そりゃ私の書いた文章が初めて中国語媒体に出たのが共青団系の新聞、という馴染みがありますし、当時の胡燿邦・趙紫陽時代に深い思い入れがありますし(趙紫陽は「団派」じゃありませんでしたけど)。

 そもそも当時は「上海閥」なんて利権集団なぞ、まだ政治勢力として認知されていませんでした。……いや、誕生していなかったというべきでしょう。

 1992年当時の上海もまた同様で、後年の繁栄への取っ掛かりとなる「浦東開発計画」すら本格始動していなかった時期です。そのころ改革開放政策の先進地区といえば広東省であり、広東省の中でも経済特区の旗頭として輝いていた深セン市。

 そういえば、当時の広東省は後の上海市のように中央政府に対し独立王国然としたスタンスを崩さない一方で、「経済特区」という名のもと中央に召し上げられてしまった深センを陰湿にイジメたりもしていました(そのうち「観察日記」に登場すると思います)。

 ――――

 余太はともかく。

 その改革開放政策の星である深セン市に突如出現し、後年「南巡講話」としてまとめられる「改革路線再加速」の大号令談話を次々に発表し始めたトウ小平が、その「南方考察」(南方視察)を始めて1週間か10日ばかり経過したあたりから、権力闘争としての本格的な凄みを帯びてきます。



●トウ小平、党政軍の高官集め政治会議を開催か(1992年1月28日)


 珠海を訪問しているトウ小平と楊尚昆・国家主席は27日、市内の電子工業企業を視察した後、市北部をバスで見学。この日の発言は伝えられていない。

 28日付の親中国系紙(実質的に新華社の掌握下にある)『香港文匯報』は、両氏の深センにおける談話を紹介。それによると、トウ小平は株式市場を視察した際、

「株は資本主義のものだと言う者もいるが、上海と深センでの実験は成功を収めた。資本主義のものの中にも社会主義体制下に転用できるものはあるということだ。たとえ扱い間違えることがあっても大したことはなかろう」

 と語り、株式市場をはじめ大胆な資本主義的要素を改革に導入することに大きな支持を表明。これは一方で保守派の提唱する、

「姓社、姓資」(資本主義的な改革には断固反対)

 を批判するものである。同紙はまた、

「改革を進めなければ中国には前途がない。改革開放は唯一の道なのだ。改革に反対する者には失脚だけが待っている」

 という発言をも伝えている。楊尚昆は深センで、

「改革開放と発展に有利な政策は全て支持する」

 と表明。この発言は、トウ小平の持論である「白猫黒猫論」(生産力の発展につながる政策であれば、資本主義的なものでも構わない)を想起させる。

 一方で、両氏が滞在する広東省に党・政府・軍隊の高官が集まりつつあり、注目を集めている。広州市で公安・検察部門の会議を主宰した喬石・党中央政治局常務委員はなお同地にとどまり、珠海で両氏と会ってもいる。軍部では中央軍事委員会の劉華清・副主席、張愛萍・元国防部長が相次いで同省入りしたほか、楊尚昆の実弟で軍内部で実力を広げつつあるとされる楊白冰・中央軍事委秘書長は深セン訪問以来トウ小平に随行。また、同省の実力者である葉選平・全国政協副主席も珠海に到着したと伝えられる。

 こうした動きに、来月初めの旧正月期間中、広州で党・政・軍高官による会議が開かれるという観測が強まってきている。テーマについては見方が分かれるが、江沢民総書記が参加する可能性が低いうえ、李鵬首相は外遊中。鄒家華・朱鎔基両副首相といった実務面の指導者にも「声がかからない」ことからみて、「改革路線の検討」といったことでないのは明らか。むしろ党大会を控え、改革派優位の人事実現に向けた軍部の支持取り付けが行われるのではないかとみられる。

 なお、こうした動きのなかで26日付『人民日報』(国内版)は1面で江沢民・李瑞環演説、また楊尚昆の改革加速を促す発言を掲載。さらに河南省の経済発展を紹介する記事では「思想解放」を見出しに使った。

 同紙は天安門事件以降、さながら「保守派の意見発表の場」として使われ、昨年は「思想解放」の是非をめぐって上海の『解放日報』と論争を展開。トウ小平の深セン訪問を契機に改革派の攻勢が強まる中でも「改革加速」には沈黙を続け、24日、海外で趙紫陽前総書記の免責報道が流れた際には、同氏を暗に批判するとともに、「姓社、姓資」的内容を再び提起した保守派の主張を反映する論文を発表している。

 今回掲載された記事は、河南省が内陸部という地理的ハンディのなか、「思想解放によって『内陸』観念を打破」し、輸出をはじめ各面での発展に成功したことを評価。「意識の開放による改革の加速化」を呼びかけ、メインタイトルで「改革加速」を打ち出してもいる。楊・江・李3氏に関する報道と併せてみれば、何らかの「変化」を示唆するといえなくもない。

 しかし、この場合の「思想解放」が、保守派による思想引き締めを批判する本来の意味ではなく、

「不利な条件をはね返すための意識改革」

 といったニュアンスで使われていることは興味深い。保守派は「思想解放」の内容をすりかえ、政治色を薄めることで、改革派による攻撃の矛先をかわそうとしているのかも知れない。




 軍部や治安当局の元締めがトウ小平の元に馳せ参じてくる光景はさすがに「銃口から政権が生まれる」というお国柄ですが、トウ小平談話によって改革派に猛烈な追い風が吹き始めたという「中国政局一大転換」な俯瞰図の中にあって、この情景にはやはり戦慄を伴うような凄みを感じずにはおれませんでした。

「軍を握っている奴が最高実力者」

 ということを、トウ小平は行動を以て内外に知らしめ、自分こそが主流派なのだ親分なのだ仕切るのはおれなのだ、ということを誇示したに等しいからです。トウ小平・楊尚昆・楊白冰なんて顔ぶれは正にブラッディー三匹。小細工の繰り返しで勢いに流されることに終始した李鵬などとは違い、天安門事件を自ら実行に移してその血しぶきを浴びた連中です。

 ちなみに今回の「観察日記」の中にある一節「テーマについては見方が分かれるが」というのが、当時の私にとっての解説陣の声であることは言うまでもありません。プロのチャイナウォッチャーや記者たちの間でも意見が割れていました。跡づけてもいないので私にとってはいまでも謎です。

 ともあれこの「軍・警察の元締め参集」というデモンストレーションで一番ブルったのが政治・経済の両面で厳しい引き締め政策を維持し、改革開放路線の再開にも何かと制約をつけようとしていた保守派の現役組です。

 馬鹿李鵬などはここでも漂うように何となくひよりつつも結局空気が読めず最後に赤っ恥をかくことになるのですが、それよりも代弁者としてブイブイ言わせていた保守派系メディアの「転向」がこのあたりから歴然としてきます(この時点において中国国内メディアはまだ「トウ小平出現」を報じていませんけど)。

 例えば当時の『香港文匯報』などは天安門事件を機に編集部が総入れ替えとなって保守派カラーに染め上げられていたのが、今回の「観察日記」にあるように改革開放路線へと面舵一杯。

 ●往年の文匯報をしのびつつ。(2005/01/31)

 また、トウ小平の広報紙として働いていた上海紙『解放日報』と激しい論争を繰り返してきた保守派の牙城たる『人民日報』も、このあたりで腰砕けになるのが明確になります。

 ただし、『人民日報』はこの段階では完全に白旗を掲げた訳ではなく、上の「思想解放」の記事にみられるように弱々しいながらもしぶとい抵抗をなおも試みています。

 この『人民日報』のしぶとさはこの後もしばらく続くことになりますが(たぶん後述)、この時期に同紙が示した一連の「抵抗活動」(=保守派の最後のあがき?)は、中国の新聞の読み方を学ぶ上でまたとない恰好の教材となりました。「団派」贔屓の気分がある私もこの点だけは感謝しているのです。

 心から「ありがとう」と言わせてもらいます。……ええ、「ありが3-とう2」と谷村新司調で是非ハンドインハンドで。


【昔の観察日記11】へ)




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 えーと、ちょっと展開が速過ぎるのではないかと(笑)。

 準備体操もそこそこにプールに飛び込んでしまったようです。



 中国毒餃子問題について、中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトに一斉、といっていいタイミングで共同通信の中国語版の記事を引用した報道が登場しました。

 海外親中系メディアの報道は最低でも、

 ●中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。
 ●中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。

 ……の2点には言及。どの記事も餃子を生産していた天洋食品を訪れた日本側調査団が「特に問題はなかった」と語ったと報じつつも、その一方で、

「公安が動いている。どうやら中国側が怪しい模様」

 といった印象や読後感を残す内容です。

「これは一種の予告編というか、準備体操のようなものでしょうか」

 と冒頭に書きましたが、いままでのケースからすると、中国は往々にしてこうした中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトでまず情報を流した上で、ややタイムラグを置いてから中国国内メディアに報道させることが多いからです。

 これら海外の親中系メディア、これまでは基本的に中国国内で報道されている記事を掲載するのみだったことから、今回の「一斉報道」は中国側が何らかの動きを準備している可能性を感じさせるものです。


 ●【毒餃子】手打ち間近か?親中メディア「中国怪しい」へ足並み揃える。(2008/02/10)



 などと当ブログにて書いたのが2月10日の23時。……ところが翌11日朝から
より入念な「中国怪しい」報道が早くも中国国内に出現したのです。

 タイムラグなんて24時間もありゃしません。前回の香港紙『明報』による「習近平が中央軍事委副主席に就任へ」のエントリーを書いているときには、もう中国国内で「毒餃子、怪しいのは中国」報道が広がりつつありました。

 ずずーっとお茶をすするヒマもなかった、という感じです。権力に屈しない社会派なスタンスで人気の『南方都市報』(広東省)を発信源に、

「日本向け『毒餃子』事件に突破口、問題製品は祝日・休日に生産、中国警察当局は袋詰め・箱詰め関係者を追及」

 という長ったらしいタイトルの記事が大手ポータルなどにどんどん転載されていきました。それにしても正に
「怪しいのは中国側」というか「捜査対象は天洋食品に絞られた」といった印象を与える半ば断定調の大見出しです。

 オフィシャル系の新華社や中国新聞社は記事を配信していないようですが、大手ポータルなどネット上に出た記事が削除されていないのですから、ゴーサインが出ているのでしょう。党中央機関紙『人民日報』の系列紙『環球時報』も独自報道を行っています。

 ●『南方都市報』(2008/02/11)
 http://epaper.nddaily.com/A/html/2008-02/11/content_385309.htm

 ●「新浪網」(2008/02/11/03:03)
 http://news.sina.com.cn/c/2008-02-11/030314922674.shtml

 ●「捜狐」(2008/02/11/06:31)
 http://news.sohu.com/20080211/n255117691.shtml

 ●「中国経済網」(2008/02/11/08:55)
 http://www.ce.cn/cysc/sp/info/200802/11/t20080211_14495670.shtml

 ●「網易」(2008/02/11/10:08)
 http://news.163.com/08/0211/10/44DOD4UO0001124J.html

 ――――

 それにしても、急いでますねえ。

 まずは、胡錦涛訪日前に騒動を収拾したいという思惑があるのでしょう。それから近く開催と噂される党の重要会議「二中全会」(第17期中央委員会第二次全体会議)との兼ね合いもあるでしょうし、何よりも北京五輪を控えて欧米諸国への風評被害を懸念したのでしょう。

 いや北京五輪以前に食品輸出に大きな影響が出ることを案じたのかも。……ひょっとすると日本側から飛び出したこの記事、

 ●「中国食品利用せず」75% 電話世論調査(共同通信 2008/02/10/19:20)

 これで日本国民が予想以上に怒髪衝天であることに驚き、中国当局の尻に火がついたのかも知れません。実は今回のニュースが『南方都市報』発、という点もなかなか興味深いように思えるのですが、それは今回の主題から逸れるので割愛。

 ともあれ上の「捜狐」とか「網易」の付属掲示板に飛んでみればわかりますが、ネット世論がこのニュースを受けて激しく狂おしく動揺しております(笑)。「中国食品利用せず:75%」報道も流れているので、

「それならこっちも日貨排斥だ!」
「支持!」
「支持!」
「支持!」

 ……といったイタい様相を呈しております。今回の『南方都市報』発記事の元ネタはやはり2月8日の共同電。だから言ったじゃないですか>>中国網民ども。いずれこうなると思って私は「知る権利」を侵害されている中国人民のために中国語記事をタイムリーにペタペタあちこちに貼り付けて心の準備を促してやったのに、

「毒を入れたのは絶対に小日本」
「柳条湖や盧溝橋と同じやり口。いかにも日本鬼子のやりそうなことだ」

 みたいな「根拠のない揺るぎなき確信」を抱いていたがために、今日の狂態を招くことになったのです。……ああ昨日ですか。

 ――――

「より入念な『中国怪しい』報道」

 というのは、まずタイトルからして海外の親中系メディアの報道より踏み込んでいるうえ、元記事である共同電の肝心の部分を余すところなく収録しているために、中国人が読んでも、

「ああこりゃ犯人は中国側だわな」

 という感想を素直に抱く内容となっているからです。上記ネット世論はこの現実を受け入れられずに火病を生じている、といったところでしょう。むろん、真犯人に関する結論は未だ出てはいないのですが、こういう記事が中国国内に出るということは、当局が国民に「心の準備」を促しているということですから。

 面白いことに、日本側調査団が天洋食品を訪れた際に中国側代表である質検総局の副局長が
「中国側には一切問題は発見されなかった」と胸を張りつつ意図的な毒物混入という見方を示唆し、

「恐らく中日友好関係の進展を望まない少数分子によるものだろう」

 と、犯人があたかも日本側だと決めつけんばかりの発言をかましたために下僚が慌てて、

「いや、破壊活動を行った犯人は日本側かも知れないし、中国側かも知れない、という意味」

 とフォローに走ったというお粗末な一幕がありましたが(日本マスコミの報道の多くもお粗末でしたね)、今回の中国国内における報道ではこの、

「犯人は日本側かも知れないし、中国側かも知れない」

 という一節が中国国民向けのフォローとして使われています。日本向けのフォローだったのがいまでは中国国内向けに転じていることから、事態の風向きが当時と一変しているのがよくわかります。

 ――――

 最後に『環球時報』の独自報道にも触れておきましょう。基本的に電波系反日記事の多い同紙ですから『南方都市報』のように大きく踏み込んではいません。それでも、

 ●中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。
 ●中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。

 という2点はしっかり押さえられています。とりあえず最低限の仕事はしているということですね。しかしこれだけでは収まらないのか一方で日本における中国食品の風評被害について強い懸念を示しているのですが、同時にまた「中国食品利用せず:75%」という調査結果も織り込んでいるという自律神経失調症的な実に落ち着きのない内容になっています。

 ああさすがに
「腐っても豚」だ、と私が思ったのは同紙がこの「中国食品利用せず:75%」を記事のタイトルに掲げるに際し、

「日本メディアの世論調査:日本人の4分の1はそれでも中国食品を支持している」

 と悔しさのにじみ出た標題にしたことです。というより、もんのすごーいパワープレー(笑)。

 ●「環球網」(2008/02/11/10:52)
 http://www.huanqiu.com/first/2008-02/58932.html

 まあ『環球時報』は悔しいことでしょう。

「日本の庶民は中国食品を手放せない」

 という長々とした記事を出した矢先にこれですから(笑)。「4分の1は……」というヘソ曲がりなタイトルにも同情してやりたくなります。

 ●「環球網」(2008/02/09/10:04)
 http://www.huanqiu.com/www/115/2008-02/58576.html

 ――――

 それにしても今回の毒餃子事件、中国国内でもかような報道が流れたことで日中間の手打ち気配がいよいよ濃厚となりました。なりましたけど、どういう形になるのでしょう。

 中国側がここまで「自虐的」な姿勢で実質的に天洋食品にまで絞り込んでしまっているので、やはり
現場の工員さんを何人か取っ捕まえて「例外的事件」と喧伝してシャンシャン。……てなところでしょうか。「例外的事件」にしても危機管理体制が問われることにはなるのですけど。

「日本の輸入業者の天洋食品に対する管理が甘かったことにも問題がある」

 みたいな「プチ逆ギレ」がオマケにつくのかなあ、と考えたりしているところです。……て、今回の事件について本当に真面目に考えなければならないことは別に色々あるのですけど。

 前にも書いたかも知れませんが、とりあえず拙宅は極力チャイナフリーという方針で固まっています。小市民なりに危険な食品を生産する中国とそれをのさばらせた関連業界に鉄槌を下すのです。そして安直な生活に流れていた私も配偶者と一緒に天罰を受けると。

 まあ、毎日何時間もメイド・イン・チャイナの電波浴をしているのですから、せめて食べるもの着るものくらいは出来るだけこだわるつももりです。




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 うーん旧正月の休み明け早々に香港紙『明報』がスクープです。

 昨年10月の「十七大」(第17回党大会)を節目とする世代交代で、二階級特進による党中央政治局常務委員(実質的な最高意思決定機関)入りを果たした
習近平が近く党中央軍事委員会・副主席に就任する。……という消息筋情報の大花火をドカンと打ち上げました。

 実現すれば軍権掌握に向けた異例の大抜擢ということになり、ポスト胡錦涛の地位当確といっていいでしょう。外部からはライバルと目され、やはり二階級特進で一緒に党中央政治局常務委員となった「団派」(胡錦涛直系の共青団人脈)の出世頭・李克強に対し、すでに党内序列でひとつ上に立っている習近平ですが、これでその差を決定的なものにすることとなります。

 「複数の消息筋から得た情報」とする『明報』にとっては満を持してのスクープです。というのもこの記事、中国面のトップではなく何と一面トップ。

 前回『明報』が一面トップに掲げた中国関連の消息筋情報といえば昨年秋、「十七大」を前に世代交代後の党中央政治局常務委員の顔ぶれを予測したものでした。これをピタリと的中させたことは記憶に新しいところです。同紙は今回の情報にもそこまで派手な扱いにするだけの高い確度があると判断しているのでしょう。自信のほどがうかがえるというものです。

 ――――

 総書記、中央政治局常務委員などといった党のトップクラスのポストは、任期5年である国家主席、首相といった国務院(中央政府)の要職とリンクしています。簡単にいうと、5年に1度、概ね秋に開催される党大会で世代交代が行われるのに続き、翌年春の全人代(全国人民代表大会=なんちゃって国会)で政府の主要ポストも任期満了となり、同様に世代交代が行われる仕組みです。

 要するに党大会が昨年秋に開かれているため、毎年3月に開催される今年の全人代で国家主席、国家副主席、首相、副首相などが任期満了となり、世代交代が実施されます。この全人代で任期満了を機に退くのが曽慶紅・国家副主席や呉儀・副首相など。……現在の中国において最高指導者は、

「党中央総書記・中央軍事委主席・国家主席」

 の3点セットの持ち主であることがお約束となっていますので胡錦涛は国家主席続投となり、たぶん本人は辞めたい(経済運営責任者としてババを引くことになりかねないので逃げたい)であろう温家宝も首相職に留まることとなるでしょう。同時に、習近平が曽慶紅の後を襲って国家副主席となり、李克強(前遼寧省党委員会書記)、張徳江(前広東省党委書記)、王岐山(前北京市党委書記)らが副首相に昇格するとみられていました。

 ……ところがここにきて『明報』の大スクープ。もしこれが的中して習近平が中央軍事委副主席にも就任するとすれば、

「党中央政治局常務委員・中央軍事委副主席・国家副主席」

 ですから、正にポスト胡錦涛へのレールが敷かれることとなります。しかもヒラの中央軍事委員ではなく、いきなり副主席。次世代トップとしての修業がスタートする訳です。

 ――――

 ちなみに中央軍事委員会という組織は党にも政府にもあるのですが、引き継ぎ期間を別とすればメンバーは同じ。ただし人民解放軍は「党中央の指揮に絶対服従」となっていますから(国軍ではなく中国共産党の私兵なのです)、一党独裁国家らしく実質的には党中央軍事委員会が上位に立ちます。人事も党側の方が先。つまり習近平は3月の全人代で政府の中央軍事委副主席になる前に党中央軍事委副主席に就任することとなるでしょう。

 『明報』によれば、政府の世代交代が行われる年の慣例として、今年は全人代の前に党中央の重要会議である「二中全会」(党第17期中央委員会第二次全体会議)が今月中に開催され、政府主要人事についての最終調整が行われるとのこと。習近平はその場でまず党中央軍事委副主席に就任するそうです。

 もっとも同紙は習近平の中央軍事委副主席就任は昨年10月の「十七大」において既定路線となっていたとし、党上層部にとってはサプライズ人事ではないと指摘しています。

 中央軍事委副主席の人数については「若干名」と規定されていますが、先代である第16期では3名体制。ところが「十七大」を節目に曹剛川(国防部長)が定年で副主席職から下りて、席がひとつ空く形になっていました。

 私は次期国防部長と目されている梁光烈が入るのかと思っていたのですが、同紙によると習近平がそこに滑り込むのだそうですです。「二中全会」で党中央軍事委副主席に就任すれば、全人代では国家副主席とともに中央軍事委副主席という2つのポストを手にすることになるでしょう。

 この人事が異例なのは、胡錦涛の場合は1992年に党中央政治局常務委員入りしてから1999年の第15期四中全会で党中央軍事委副主席に就任するまで実に7年を要していることからもわかります。胡錦涛は後継者育成を急いでいるということです。

 江沢民のように
「はいここで総書記、次は国家主席、それで最後に中央軍事委主席」といった未練がましいことをせず、次の世代交代の場となる2012年の「十八大」および翌2013年の全人代において胡錦涛は「三点セット」を後継者に全て譲って身を退くということでしょう。院政を敷くか敷かないか、敷くだけの実力がそのときにあるかどうかは別として、習近平の抜擢は胡錦涛にとってもトクといえるかも知れません。

 中国は「銃口から政権が生まれる」という言葉が示しているように、軍権を握ることが指導者としては何よりも肝要。この点について考えれば、軍部は2005年の秋冬あたりから世代交代が進んでおり、胡錦涛寄りの顔ぶれが主流派を形成しつつあります。

 これに加えて習近平を中央軍事委副主席に就任させれば、胡錦涛はいよいよ仕事がやりやすくなる、という見方が成立します。口うるさい年寄りどもを退け新進気鋭の連中で固めることで、胡錦涛の求心力・統制力が高まるということです。

 ――――

 実は意外なことに、現在の国家指導部では珍しく習近平は軍籍を有していた時期があります。1979~1982年に中央軍事委弁公庁の秘書を務めています。『明報』はこれを「中央軍委秘書長・耿飆の秘書」としていますが、ともかく軍事と全く無縁ではないのです。

 ●習近平簡歴(新華網)
 http://news.xinhuanet.com/ziliao/2002-02/22/content_286763.htm

 またその後、1985年から福建省内のポストを歴任してから福建省、浙江省、上海市のトップを務めていますが、これはいずれも大軍区でいう「南京軍区」の管轄地域。

 南京軍区といえば台湾侵攻作戦の担当役ですが、習近平はここ20年以上、地元のトップとして常にその南京軍区との往来があり、また福建省で長かったため台湾に関する仕事の経験も豊富。習近平は「太子党」(二世組)の出世頭ですが、そもそも福建は父親である習仲勳の地盤でもあります。

 さらにいうと、これは対台湾政策を意識したものなのかどうか、現在の軍中枢部には南京軍区で仕事をした経験のある者が少なくありません。例えば梁光烈(中央軍事委員で次期国防部長候補)、陳炳徳(総参謀長)、許其亮(空軍司令)、呉勝利(海軍司令)、李長才(蘭州軍区政治委員)などがそれです。

 また習近平が「太子党」ということに着目してみると、軍内部においても「太子党」はかなり幅を利かせていると『明報』は指摘しています。

 ●劉源・軍事科学院政治委員(劉少奇・元国家主席の子)
 ●張海陽・成都軍区政治委員(張震・元中央軍事委副主席の子)
 ●彭小楓・第二砲兵政治委員(彭雪楓・元新四軍第四師団長の子)
 ●張翔・第二砲兵副司令(張愛萍・元国防部長の子)
 ●張又侠・瀋陽軍区司令(張宗遜・元総後勤部長の子)
 ●許其亮・空軍司令(許楽夫・元空軍副政治委員の子)
 ●丁一平・海軍副司令(丁秋生・元中将の子)
 ●劉暁江・次期海軍政治委員候補(胡燿邦・元総書記の女婿)

 ……とのこと。「太子党」が実質的な政治勢力だったり縦横の連絡があるサロンのようなものかどうか、私にはわかりません。親同士のよしみで互いに子女を引き立てたりしているのか、まあ「七光り」な者同士で通じる部分はあるのかも知れません。

 ――――

 ともあれ私は驚くばかりで皆目見当がつきません。後は自信満々な『明報』にでも聞いて下さい(笑)。

 ……あ、「昇格のスピードが速過ぎることに異論が出て揉める可能性も」という消息筋もいるそうです。でも一面トップですから同紙にとっては会心の一撃なのでしょう。来る「二中全会」を高みの見物と洒落込むことにします。

 それにしても、この調子だと来月の全人代まで息つくヒマもなさそうですね。毒餃子問題はもちろん、雪害の復旧具合とか、雪害によるマクロ経済への影響とか、雪害で明らかになった構造的問題とか、取り組むべきテーマがてんこ盛りです。株価も先行き不透明。

 ああそれに1月の消費者物価指数(CPI)などの発表も月内にあるでしょう。前年同期比の上昇幅が7%台に乗る可能性が高いので、縁起の悪い話は忌避してあるいは「二中全会」の後に発表、となるかも知れませんけど。



 ●『明報』(2008/02/11)
 http://hk.news.yahoo.com/080210/12/2ole8.html
 http://hk.news.yahoo.com/080210/12/2ole9.html
 http://hk.news.yahoo.com/080210/12/2olea.html




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 これは一種の予告編というか、準備体操のようなものでしょうか。

 中国毒餃子問題について、中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトに一斉、といっていいタイミングで共同通信の中国語版の記事を引用した報道が登場しました。



 ●「毒餃子」製造は祝日・休日、中国捜査当局が包装・出荷過程を重点捜査(聯合早報網 2008/02/09/11:15)
 http://realtime.zaobao.com/2008/02/080209_11.shtml

 ●質検総局:対日輸出餃子、意図的な毒混入の可能性強まる(香港文匯報 2008/02/10)
 http://paper.wenweipo.com/2008/02/10/CH0802100009.htm

 ●毒餃子は祝日・休日に生産、中国側が捜査へ(大公報 2008/02/10)
 http://www.takungpao.com/news/08/02/10/MW-861916.htm

 ●毒餃子は祝日・休日に生産、中国側が包装・出荷要員を重点捜査(星島環球網 2008/02/10/08:29)
 http://www.singtaonet.com/hot_news/gd_20080210/200802/t20080210_729238.html




 記事の内容自体は私たちにとって目新しいものではありません。元記事はいずれもこれです。

 ●“毒餃子”於節假日製造 警方嚴査包裝裝箱工序(2008年2月8日21:57 来源:共同網)
 http://china.kyodo.co.jp/modules/fsStory/index.php?sel_lang=schinese&storyid=53616

 日本語版の記事から肝心の部分を抜き出しておきます。



 中国製ギョーザ中毒事件で、高濃度の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」や「ジクロルボス」が検出された製品の製造日である昨年の六月三日、十月一日、同月二十日の三日間は中国の祝日や週末の休日にあたり、製造元「天洋食品」での従業員数や製造量が平日より少なかったことが八日、関係者の話で分かった。

 中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。

 中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。穴の開いていない袋の内側からも殺虫剤が検出されており、日本での混入の疑いがなくなれば、工場での包装、箱詰めの段階での可能性が高まる。

 包装作業を担当していた従業員の家族は「包装作業担当者は調査などのため一月三十日から工場からの外出が(一時的に)禁止となった」と話した。

 ●中国警察、包装作業員を重点聴取 ギョーザ中毒(神戸新聞News 2008/02/09/08:51)
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0000830663.shtml




 前掲の海外親中系メディアの報道はこの部分を概ね引用しています。最低でも、

 ●中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。
 ●中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。

 ……の2点には言及。どの記事も餃子を生産していた天洋食品を訪れた日本側調査団が「特に問題はなかった」と語ったと報じつつも、その一方で、

「公安が動いている。どうやら中国側が怪しい模様」

 といった印象や読後感を残す内容です。

「これは一種の予告編というか、準備体操のようなものでしょうか」

 と冒頭に書きましたが、いままでのケースからすると、中国は往々にしてこうした中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトでまず情報を流した上で、ややタイムラグを置いてから中国国内メディアに報道させることが多いからです。

 これら海外の親中系メディア、これまでは基本的に中国国内で報道されている記事を掲載するのみだったことから、今回の「一斉報道」は中国側が何らかの動きを準備している可能性を感じさせるものです。

 先日のエントリーで紹介した福田首相や町村官房長官の発言と照らし合わせて考えると、「手打ち」発表が近いのではないかと思われます。


 ●ギョーザ中毒「不幸な事件」=友好関係維持を強調-日中財務相(時事ドットコム 2008/02/10/13:06)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008021000075

 ●中日財務相、毒餃子事件の真相究明へ連携を確認(大公網 2008/02/10/17:26)
 http://www.takungpao.com/news/08/02/10/YM-862191.htm

 ……これも「手打ち」を前にした環境づくりということになるのかも知れません。

 ――――

 しかし、こういう展開に日本国民が満足しているかといえば、さにあらず。……ということは言わずもがなですね。数字が出ちゃいました。



 ●「中国食品利用せず」75% 電話世論調査(共同通信 2008/02/10/19:20)

 中国製ギョーザ中毒事件を受け、共同通信社が9、10の両日に行った全国電話世論調査で「今後、中国製食品は利用しない」という人が75.9%を占めることが分かった。同事件で日本の行政が「責任を果たしていない」と感じている人は51.1%に達した。

 中国製食品の利用については「これまで利用してきたし、今後も利用する」が21.6%、「これまで利用してきたが、今後はしない」は36.3%。一方「これまでも利用していないし、今後も利用しない」が39.6%だった。

 この数字でみると、事件前に中国製食品を利用していた人は計57.9%だったが、事件後は利用者が21.6%に急激に落ち込むことになる。

 ――――

 ●内閣支持率35%に下落 暫定税率反対57%(共同通信 2008/02/10/17:25)

 共同通信社が9、10両日に実施した全国電話世論調査で、福田内閣の支持率は35.6%と1月の前回調査に比べ5.8ポイント落ち込んだ。政権発足以来、昨年12月の調査(35.3%)に次ぐ低支持率。「不支持」は44.5%で1.7ポイント上昇した。

 不支持の理由では「首相に指導力がない」が前回より6.5ポイント増え、26.1%でトップ。「経済政策に期待が持てない」の22.8%が続いた。




 とはいえ、ちょっと気になる記事も。

 ●生協連、中国側に毒ギョーザのサンプル提供 証拠隠滅の恐れも(MSN産経ニュース 2008/02/10/01:04)

「生協は日本の警察を信用していないらしい」
「もうこの行為はお人好し云々を通り越して中国の御用聞き」

 という「きんぎんすなご」さんのコメントに激しく同意であります。

 ついでに追加情報。

 ●喜多方のギョーザからベンゼンなども検出(YOMIURI ONLINE 2008/02/09/02:10)
 ●徳島で新たに4袋の冷凍ギョーザ外側からジクロルボス(YOMIURI ONLINE 2008/02/10/19:21)

 ――――

 取り急ぎ邪推含みの速報まで。




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 前回書いたように、トウ小平が突如として経済特区・深セン市に出現し、改革開放政策の再加速の大号令ともいえる談話を発表した。……という報道に接したことで、私は中国の政局が一大転換する、全てがガラリとひっくり返る、歴史的事態が進行しつつある、という衝撃にとらわれました。

 その一方で私を大興奮させたのは、これまた前回の「観察日記」で言及している「趙紫陽免責」報道です。

 トウ小平は1989年の天安門事件以降、軟禁状態におかれていた趙紫陽・元総書記に対し、

「罪を認めるなら復帰を許す」

 という密書を3回送ったといわれています。硬骨・節義の人である趙紫陽は
「私は信念に基づいて行動した」として3回ともそれを拒否したとされていますが、そのうち少なくとも1回はこの時期ではなかったかと思われます。

 密書やそれに関連する水面下の動きが消息筋情報として外部に漏れて、それが「趙紫陽免責」という形で報道されたのではないかと思うのです。

 タイトルにあるように中国当局は即座にこれを否定しました。実際、趙紫陽が失脚して江沢民が総書記に就いてからこの時点ですでに2年半を経ており、仮に復帰したとしてもどれほどの働き場所があったのかは大いに疑問です。

 とはいえこの話、最終的には流れてしまったものながら、この時点においては「趙紫陽復帰」という段取りがかなり進められていたのではないか。……と、いま現在の私は当時の消息筋情報を総合した上で考えています。



●趙紫陽氏の無罪報道、中国当局は否定(1992年1月24日)


 ロイター通信社は23日、消息筋の話として、1989年の天安門事件で失脚した趙紫陽・前総書記に中国当局が行っていた取り調べがこのほど終了し、趙紫陽が同事件で問われた罪状は全て不問に伏されることになったと明らかにした。また、趙紫陽の元秘書・鮑トウが軍当局に逮捕されたと伝えている。

 中国政府新聞処はこれについて同日、

「そんな事実はない。海外の報道は全くのウソだ」

 と正面から否定。外交部スポークスマンは、

「聞いたことがない」

 とコメントを避けた。

 趙紫陽の罪状は、1989年当時に

 ●動乱を支持した。
 ●党中央を分裂させた。

 ……の2点。天安門事件後、当局は趙紫陽の全職務を解任し、専門委員会を設けて「同事件中に趙紫陽が犯した誤り」を審査。この間、趙紫陽は一貫して罪状を否認し続け、処分の行方は重要会議が開かれるたびに焦点となりながら、改革・保守の両派間で合意が得られないために棚上げにされてきていた。

 鮑トウは改革派の有力なブレーンで、89年の第13回党大会の総書記報告「社会主義の初級段階論」の起草者として有名。天安門事件の数日前に逮捕されて投獄、釈放後は自宅軟禁状態に置かれていた。

 一方、中国地方筋は23日、趙紫陽に関する報道を事実とし、審査終了を伝える内部資料が現在、省長クラスで回覧されていると答えた。また政府筋も「決定は先月に行われた」としている。

 香港の観測筋は、中国政府が否定したことを「まだ発表段階でないため」とみて、事実確認にはなおしばらく時間がかかるとしている。この情報で趙紫陽の復活が急浮上した観もあるが、

 ●趙紫陽の主導した性急な改革政策が88年にインフレなど経済的混乱を招いた。
 ●江沢民・李鵬体制のなか、すでに以前の改革路線がとられている。
 ●すでに70歳を超える高齢。

 ……といったことから実質的ポストに就くことはないとみられる。ただ内外の問題に動揺する民心を安定させるため、名誉職に就任する可能性は否定できない。




 実は今回の「観察日記」の中で、「観察」の範疇から飛び出してしまっている部分があります。

 ●中国地方筋は23日、趙紫陽に関する報道を事実とし、審査終了を伝える内部資料が現在、省長クラスで回覧されていると答えた。

 というのが、それ。正に「いまだから話せること」かも知れませんが、これは私が向こう見ずにも深セン市当局と地元紙『深セン特区報』に「電話取材」を敢行して教えてもらった情報なのです。

 当時の深セン市は経済特区ながら、保守派主導による引き締め政策によって逼塞しており、経済特区という制度すら廃止されるのではないかという一種の脅えの中で息をひそめている観がありました。

 そこへ最高実力者・トウ小平が突如やってきて改革開放再加速の大号令を発したのですから、市当局も地元紙もすっかり舞い上がってしまい、士気も一挙にレッドゾーンにまで高まって興奮のるつぼ。そういう状態でしたから、得体の知れない日本人からの問い合わせにも、つい話し過ぎてしまったのだと思います。

 後で書くことになると思いますが、旧正月休みを利用して深セン市に入った私はこれまた無鉄砲にアポもなく『深セン特区報』を訪れました。門前払いを喰うかと覚悟していたのですが、意外にも副編集長が出てきて応接室に私を引き入れ、私の質問に答えてくれたり向こうから深センの政治状況を語ってくれたりと、熱気にあふれた一時間を過ごさせてもらったものです。

 ●香港の観測筋は、中国政府が否定したことを「まだ発表段階でないため」とみて、事実確認にはなおしばらく時間がかかるとしている。

 というのも、香港の某政論月刊誌の編集長が直々に教えてくれたものでした。ちなみに上記「省長クラスで回覧されている」という点についても、私が「電話取材」したことを話したら、この某誌編集長も
「その噂は私も耳にしているが、本当だったのか」と言っていたので、確度は低くなかったのではないかと思います。

 ――――

 以前、当ブログで書いたことがあるかと思いますが、当時私のチナヲチ(素人の中国観察)には恰好の相方がいました。1989年の民主化運動で某省省都の学生リーダーとして活躍し、6月4日の天安門事件後は民主化団体のルートで香港に脱出してきたL君です。

 L君とはふとしたことで知り合い、同世代であること、また「同好の士」かつ「民主化運動の戦友」としてすぐに仲良くなりました。

 何より有り難かったのは、そのL君は中国本土から脱出して日も浅かったためまだ住む場所がなかったので、某政論月刊誌の編集部に身を寄せ、編集部の片隅で寝起きしていたことです。寄宿しているだけでなく編集作業の手伝いもしていました。

 当時私のネットワークはすでに他の政論誌にも及んでいたのですが、L君がいるおかげでその編集部や編集長には非常に楽に「取材」することができ、実に重宝したものです。

 L君とは電話したり一緒に飲茶をしたりと常々情報交換を怠らなかったのですが、トウ小平出現の数日後、残業を終えて0時近くに帰宅したとき、

「趙紫陽が復活するという噂も出ている」

 と電話で急報してくれたのも、このL君でした。慌ててテレビをつけてみるとちょうど夜のニュースが終わるところで、復活説によって香港の株価は軒並み上昇し、ハンセン指数がはね上がった……という意味らしいことを伝えていました(香港に来て間もなかったので広東語の聴き取りは不得手だったのです)。

「御家人、会って話そう。いま出られるか?」

「もちろん出られる。近くに24時間営業のレストランがあるからそこで会おう。お前んとこからも歩いて15分で来られるだろう?」

「わかった。すぐ出る」

 というやり取りのあと、コーヒーお代わり自由のファミレスめいた湾仔(ワンチャイ)のレストランでL君と合流し、ポテトフライを何度か頼みつつ、コーヒーを飲みながらスタンドに新聞が並ぶ朝まで二人して夢中で色々と話したのを昨日のことのように覚えています。

 翌日は徹夜明けの出社となりましたが、もう内心は「流れが変わる。政変だこれは政変だ」と事態に興奮してしまっていて、仕事もロクに手がつきませんでした(笑)。


【昔の観察日記09】へ)



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 昨日2月7日は大変でした。何せ中国人にとってのお正月である「春節」(旧正月)の元旦。香港や台湾も同様です。……という訳で、まずは恩師に「拜年」(御年始の挨拶)を済ませてから、そのあとは中港台の3地区に住む友人・知人・仕事仲間(全てローカル)との海を越えた「越洋拜年」のやりとりで忙殺されました。

 親より年上の風水師・Y老師や兄貴分であるカリスマ教授、それに留学時代に世話になった先生や仲の良かった中国人学生などにはこちらから電話。仕事仲間や台湾の友人や旧部下はいずれも私より軽輩にあたるので向こうから電話してきます。メールで「拜年」をしてくる物臭な奴にはこちらからもメール。電話からskypeに切り替えて長話になったりもしました。

 ……現地を流転したり仕事の関係で、私の周囲はむしろ日本人が少ないことに気付きました。高校とか大学時代の友人は転居を繰り返す間にアドレス帳がどこかへ行ってしまったので若干名を除き音信不通状態。恩師と仕事関係を別とすれば、日本で付き合いのある連中も中国人や台湾人ばかり。ちょっとさびしいです。

 ――――

 さて、皆さん御存知でしょうが中国毒餃子問題、そろそろ先が見えてきたようですね。

 ●中国公安当局、製造日に出勤した従業員を捜査(YOMIURI ONLINE 2008/02/07/12:17)
 ●新たにギョーザ2袋からメタミドホス、1つは密閉状態(YOMIURI ONLINE 2008/02/07/22:09)
 ●中国製ギョーザ:袋内から殺虫剤検出 中国での混入確実に(毎日jp 2008/02/07/22:41)
 ●密封のギョーザ袋、内側から薬物 中国での混入確実(asahi.com 2008/02/08/00:08)
 ●密封袋、内側からも殺虫剤=製造工程で混入可能性強まる-中国ギョーザ・兵庫県警(時事ドットコム 2008/02/08/01:05)
 ●中国製ギョーザ:千葉の袋内側からも殺虫剤検出(毎日jp 2008/02/07/23:18)
 ●中毒出た千葉の製品、袋内側から検出 メタミドホス(asahi.com 2008/02/08/06:33)
 ●箱詰め後はノーチェック=「天洋」作業工程に死角判明-ギョーザ事件(時事ドットコム 2008/02/07/22:31)
 ●「天洋」作業工程に死角=ギョーザ事件(時事ドットコム 2008/02/08/09:44)
 ●中国製ギョーザ:「製造時混入」強まり、JTが写真公開(毎日jp 2008/02/07/22:37)
 ●殺虫剤から不純物、中国で混入裏付けか・ギョーザ中毒事件(NIKKEI NET 2008/02/08/16:27)

 日本たばこ産業(JT)による暴露写真までとうとう飛び出しました。日本の調査団が帰国して、いまごろ出してどうするボケ(怒)。

 ともあれ大詰めの段階に近づいている模様です。ただし、日本の報道は「中国側がやった」に傾きつつありますが、全てが中国側の「犯行」なのかどうかについては最後まできっちり捜査してほしいところです。

 この期に及んでまたか、と言われそうですが、私はこの期に及んでも、日本政府は少なくとも天洋食品製品に対する輸出停止措置に踏み切るべきだと考えています。「手落ち」ならもちろんのこと、「事故」や「事件」でも危機管理のマズさが問われる訳ですから、当然です。

 まず日本国民の怒りに対して真摯な姿勢を示すため、そして今後の中国食品の安全を期すということで中国側にプレッシャーをかける意味でも、また国際社会へのアピールという点においても(中国へのより大きな外圧となります)、いまからでも遅くはありませんから、ちゃんとオトシマエをつけるべきだと思います。

 何度国民にお詫びしたって頭下げたって靴舐めたって意味がないことを知れ!>>フフン♪。

 しかし、フフン♪はじめ日本政府は一党独裁政権である中国の靴を舐めることにより大きな快感を覚えているようです。



 ●毒ギョーザ事件の原因解明「核心に迫っている」と福田首相(MSN産経ニュース 2008/02/08/11:20)
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080208/crm0802081120010-n1.htm

 福田康夫首相は8日午前の衆院予算委員会で、中国製ギョーザ中毒事件について「だんだん核心に迫っている。本当のことが分かるまで事実関係を明らかにできないこともあるが、もうしばらく待ってほしい」と述べ、解決が近いことを示唆した。ただ、根拠は明らかにしなかった。

 一方、町村信孝官房長官は同日午前の記者会見で、密封された冷凍ギョーザの袋の中から殺虫剤が検出されたことについて「現地の工場で(混入された)ということになると考えるのが普通だ」との認識を示した。


 ――――

 ●「常識的には中国で混入」 町村氏、袋内側から殺虫剤(共同通信 2008/02/08/13:14)
 http://www.47news.jp/CN/200802/CN2008020801000381.html

 町村信孝官房長官は8日午前の記者会見で、中国製ギョーザ中毒事件で、密封されていた袋の内側から殺虫剤を検出したことに関し「常識的には商品の密封前に混入されたということであれば、現地の工場で(混入した)と、普通考える」と述べ、中国側で混入したと考えるのが自然との認識を示した。

 福田康夫首相も同日午前の衆院予算委員会で、中毒事件の原因究明について「だんだんと核心に迫ってきている。本当のことが分かるまで事実関係は明らかにできないが、究明に努力し国民が安心できる態勢にしたい」と述べた。

 ただ町村氏は「捜査当局ではいろいろな可能性を考える。まだ慎重に捜査している。現状で断定する状況には至っていない」とも述べた。

 岸田文雄国民生活担当相も同日、袋の内側からの殺虫剤検出に関し、記者団に「今までになかったケースで、大変注目している」と強調。混入原因は「引き続きあらゆる可能性を視野に入れて中国ともしっかり連携して調査を進めていく段階だ」と指摘した。




 こうした発言から、今回の事件について中国側との手打ちが行われた気配が濃厚に感じられます。落としどころについて日中両国が同意したということです。私たちの頭越しに、もちろん中国側のゲームプラン通りに。



 もし残留農薬ではなく故意の毒物混入という食品テロで犯人は中国人だった、となったら中国当局は即逮捕即裁判即死刑判決即執行でサクサクと処理して「例外的な事件だった」と内外に向けて大声でわめき散らすと思います。


 ●【中国食品】まずは輸入停止。話はそれからだ。(2008/02/04)



 ……と、以前書いたようにこの線で妥結でしょう。処罰がどうなるかはともかく、中国側は「安全管理がザルだった」というような構造的な問題ではなく、「事故」「事件」として処理するという点だけは絶対に譲らないでしょうから。実際、「例外的事件だ」などともう言い始めていますからね。

 だからこそ輸入禁止措置が必要なのですが、首相や官房長官の口ぶりからすると、日本政府が毅然とした姿勢を示す可能性は極めて低そうですね。ざっくりと言ってしまえば「うやむや」のまま終了、ということになるでしょう。あーあ。

 ――――

 ……以上は本題ではありません。タイトルの通りです。旧正月祝いということで、
「知る権利」が不当に制限されている愛すべき中国人民に、真心のこもったお年玉をプレゼントしようかなと思いまして。

 最新のネタを揃えてみました。




 これらの記事は簡体字に変換したものをこちらに置いておきます。あとは適当な場所にコピペするだけです。……例えば、

 ●日本水餃中毒事件調査組:生產廠家管理規範(網易 2008/02/08/10:47)
 http://news.163.com/08/0208/10/4463DP040001124J.html

 この記事のタイトルのすぐ下の右端に「点击查看」(点撃査看)とあるので、クリックすると付属掲示板に入れます。

 http://comment.news.163.com/news_guonei6_bbs/4463DP040001124J.html

 ここの最下部の空欄にコピペして
「提交」をクリックすればOKです。

 他にもより適当な場所が色々あるかと思いますが、最近疎遠になっていたのでよくわかりません。

 
御存知の方、情報提供を是非お願いします。m(__)m

 ちなみに縁起物ですから、

「給各位拜年了!祝大家身体健康!」

 と最後につけると喜んでくれると思います(笑)。こちらもコピペばかりでなく中国語の練習の場とすれば一石二鳥。さらに日中友好にもつながるという、まことに得難いチャンスなのです。


 ――――


【※追記】いまはここで御祝儀配っています。(2008/02/08/22:46)

 http://comment.news.163.com/news_guonei6_bbs/446T9KII0001124J.html





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 どうにも情けなくて、やるせなくて。じれったくて。……中国毒餃子事件のことですけどね。これについては、

 ●毒餃子問題:中国側が早くも捏造開始。(2008/02/01)
 ●【中国食品】まずは輸入停止。話はそれからだ。(2008/02/04)

 ……と、エントリー2本で言いたいことは言わせてもらいました。2本目は多少無茶の感もありますが私自身は真剣に書いていますし、皆さんからたくさんコメントを頂きましたし、

「全くその通りです。御家人君、いいことを書きましたね」

 と恩師からもお褒めの言葉を頂いたので、ああ良かったと自分では思っています。

 「まずは輸入停止」というのは国民の安全を優先するためだけでなく、安直に流れて利便性や低コスト追求に傾斜し過ぎた挙げ句、何事かを忘れてしまった関連業界や私たち消費者自身への「天罰」でもあります。

 さらに、「食の安全」という意味で中国の脅威にさらされているのは日本だけではないのですから、この事件は日中の二国間に限定すべきではなく、日本政府は国際問題でもあること意識しつつ取り扱うべきだ、だからこそ輸入停止が必要、ということも改めて強調しておきたいと思います。

 ともあれあとは事態の推移を見守る。……というつもりでいるのですが、見守っていると冒頭に書いたように、

「情けない」
「やるせない」
「じれったい」

 という思いがこみ上げてきて、止むに止まれぬ気持ちになります。中国なんざ中共一党独裁政権ですから、対応は常にあんなものです。しかし日本政府の対応が余りにお粗末ではないかと思えてなりません。中国側のゲームプランにそのまま乗っかってしまっていますから。

 ――――

 中国食品の期間限定全面輸入停止にすぐ踏み切るのは困難としても、事件が発覚した時点で、天洋食品限定での輸入禁止措置をなぜ執らなかったのか。調査団を派遣する前に、せめてそのくらいはしてほしかったです。

 それによって、

「日本政府は国民の安全を最優先する」

 という姿勢を内外に示すことにもなりますし、

「日本は本気で怒っている」

 というメッセージを中国に伝えることにもなります。また輸入禁止措置となれば「話題」ではなく「ニュース」として全世界に報じられますから、中国側のゲームプランにある程度打撃を与えると同時に、海外へのアピールともなり、国際社会においても関心を呼ぶことができたと思います。

 ところが、業者側が販売を中止しているし商品を回収しているし……などといった理由で日本政府は輸入禁止に踏み込むことをしませんでした。でも販売中止とか商品回収というのは業者側が業者側の事情で勝手にやっていること。

 日本政府は政府で自らの意思表示をすべきだったのではないでしょうか。それが、とりあえずは天洋食品製品に対する輸入禁止措置です。

 それすらすることなく調査団を中国に送り込んだというのでは、
「日本政府は国民の安全を最優先する」という最低限の保証すら国民に示さなかったことになります。「棄民」といえば大袈裟ですが、要するに「自分のことは自分で守れ。国は面倒をみない」というに等しい態度といえるかと思います。

「国民の安全を守る努力を放棄した。百歩譲っても一種のサボタージュであること、まぎれもない」

 ということで、日本国民が政府を相手取って裁判を起こしてもいいかも知れません。

 実際、こと天洋食品のギョーザに限っても新たな問題が見つかるなどして事態は拡大しています。一時重体になった被害者までいます。千葉県警と兵庫県警は「事件」として捜査本部を設置しています。

 ●中国製ギョーザ:1袋から別の有機リン系殺虫剤を検出(毎日jp 2008/02/06/00:06)
 ●毒ギョーザの袋から検出の「ベンゼン」、国内農薬には使用せず(MSN産経ニュース 2008/02/06/19:35)

 厳しくいわせてもらいますが、ただただ国だけが無為無策です。その一方で、

 ●「中国抜き」では成り立たず=冷凍食品の2割以上依存-ギョーザ問題(時事ドットコム 2008/02/03/14:27)

 こういうことを平気で言える日本のメーカーやそれを無批判で伝えるマスコミは勝手に潰れるか中国資本に吸収されること。だから天罰なんですってば。どうもそのあたりがわかっていないようですね。

 ――――

 さて、中国側に何歩も遅れて調査団を組織し訪中させたものの、その調査団も何やらお粗末なことをやっているようです。

 ●「天洋」工場調査団の取材、日本政府の不手際で一部だけに(YOMIURI ONLINE 2008/02/06/19:34)

「お前らの渡航・滞在を含めた関連費用の一切はどこから出ているんだ?もちろん自腹だよな?」

 と言いたくもなります。

 ついでに、同行取材中のマスコミの報道にもバラつきがあることを指摘しておきますか。故意に削り落としたいわゆる「偏向報道」なのか単に取材の詰めの甘さが原因なのかは知りませんけど。



 ●ギョーザ薬物、人為的な毒物混入示唆 中国検疫幹部(asahi.com 2008/02/06/20:25)
 http://www.asahi.com/national/update/0206/TKY200802060392.html

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件について、中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は6日、「中国での製造過程で人為的に毒物が混入された可能性はきわめて低い」とし、「中日関係の発展を望まない極端な分子によって引き起こされた可能性がある」と述べた。

 魏氏は、訪中している日本政府調査団と北京市内で会談した際に発言。「食品安全の問題ではなく、人為的に行われた事件だ」と、故意の犯行との見方を中国当局者として初めて示した。製造元の天洋食品に問題はなかったとの考えを示し、「日本の調査団も異状はなかったと言っている」と、中国側の安全性の高さを強調した。

 
日本側調査団長の原嶋耐治・内閣府消費者企画課長は「原因究明はできていない。再び調査団を派遣することもありうる」と述べた。日本側では、中国での製造過程で毒物が混入したとの見方が強まっており、日中間で見方の対立が表面化した形だ。

 ただ、同総局の王大寧輸出入食品安全局長は会談後、「魏副総局長が話したのは一つの可能性。極端分子は日本側かもしれないし中国側かもしれない」と釈明した。


 また王氏は、新たに混入が発覚した農薬成分ジクロルボスについても天洋食品の工場で07年6月3日製造のサンプルを調査し、検出されなかったことを明らかにした。




 これが模範例の「優」。ちなみに前にも書きましたが私はマスコミ報道については是々非々です。特定の何社(笑)かを念頭に「いかにも」「やっぱり」「反発は必至だ」などと揶揄ることはありますが、食わず嫌いはしていません。……それはともかく今回のこのニュースでは、

 (1)「魏副総局長が話したのは一つの可能性。極端分子は日本側かもしれないし中国側かもしれない」と釈明した。

 という最も肝心な一節が補足されているかどうかが最大のチェックポイント。さらに、

 (2)「原因究明はできていない。再び調査団を派遣することもありうる」と日本側が表明。
 (3)「日中間で見方の対立」と指摘したこと。

 の2点まで加えられている周到さがあるかどうか。出揃った報道を並べてみました。電子版限定です。



 ◆(1)(3)はある。あと一歩、惜しい。「良」。
 ●中国製ギョーザ:不満分子の可能性も…中国が「故意」示唆(毎日jp 2008/02/06/21:54)

 ◆(1)のみ。周到さに欠けるも、一応及第点。「可」。
 ●「過激派」関与の可能性も=日中関係破壊が狙いか-中国高官(時事ドットコム 2008/02/06/21:10)

 ◆(2)のみ。努力は認めるが(1)がないので「不合格」。追試へ。
 ●故意犯の可能性に初めて言及 ギョーザ中毒事件で中国幹部(共同通信 2008/02/06/21:26)

 ◆(1)(2)(3)いずれもなく論外。「留年決定」。
 ●過激分子の犯行の可能性示唆 中国検疫当局(MSN産経ニュース 2008/02/06/19:47)
 ●中国政府、故意の毒物混入に言及・ギョーザ事件(NIKKEI NET 2008/02/06/23:08)




 やれやれひどいものですね。……あ、ただ中国取材班は「留年決定」(早ければお粗末でもいいのか?フォローのため続報は打たないのか?)の「MSN産経ニュース」ですが、国内ではいい仕事をしています。これは必読。

 ●ギョーザ事件の捜査に「中国の壁」 毒物特定も協力次第(MSN産経ニュース 2008/02/06/21:47)

 あと今回の「課題」とは関係ありませんが、呆れて物もいえないのはこれ。

 ●中国製ギョーザ:テレビ朝日の報道で中国語「誤訳」論争(毎日jp 2008/02/06/22:51)

 オマケとして台湾にて転載・配信されたロイター通信の記事を。タイトルは台湾・中央通信がつけたのか暴走気味(笑)ですけど、「日中友好を望まない者=反日分子」というのはある意味本質をついているかも知れません。座布団一枚。

 ●水餃下毒事件 中國官員認係反日�子所為(中央通信 2008/02/06/21:32)

 ――――

 ちなみに、今回のタイトルにある「ヤパヲチ」の「ヤパ」はエスペラント語の「日本」(ヤパニーオ=Japanio)からとっています。「チナヲチ」の「チナ」(チニーオ=Chinio)と同じです。

「本当は支×ヲチにしたかったけど自粛。」

 とブログ名の下にあることを云々する人もいますけど、あれはあくまでも遊びです。最初に内緒でこっそりスタートした際に、

「くれぐれもアテにしたりしないように。」

 との二者択一で、当時の気分で面白い方を選んだだけのこと。まさかこんなにたくさんの方々が駄文にお付き合い下さるようになるとは、3年半前には全く予想していなかったので。

 それはともかく。「チナヲチ」を主旨とするブログが日中関係色の希薄な「ヤパヲチ」に傾くようでは、世も末というほかありません。orz




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 中国、香港,台湾は正月を旧暦で祝います。いわゆる「春節」(旧正月)。その元日にあたる「大年初一」(旧暦の元日)を2日後に控えた昨日2月5日、党中央および国務院(中央政府)が各界関係者4000名を集めた毎年恒例の「春節団拜会」を北京で開催しました。実質的な最高意思決定機関である党中央政治局常務委員のメンバー全員が顔を揃える格式の高いイベントです。

 これまた「春節団拜会」と同じ時期に開かれる年中行事「老同志への御機嫌伺い」も同日、行われました。第一線から退いていた元国家指導者や党長老などに現国家指導部が挨拶して敬意を表するものです。挨拶される「老同志」には江沢民を筆頭に李鵬、万里、喬石、朱鎔基、李瑞環、宗平など錚々たる顔ぶれが名を列ねています。昨年は江沢民が初めて「老同志」扱いとなったことで、

「完全引退が確認された」

 と香港メディアが少しだけ騒ぎました。今年はそういうトピックはありません。ただ先日、

 ●一発芸だった?胡錦涛の「核心」扱いに指導部がソッポ。(2008/01/30)

というエントリーで紹介した通り、

「胡錦涛同志を核心とする党中央」(以胡錦濤同志為核心的黨中央)

 として胡錦涛を「党中央の核心」扱いする画期的な動きがあったものの、直後からそれを抹殺するかのように、

「胡錦涛同志を総書記とする党中央」(以胡錦濤同志為總書記的黨中央)

 という従来の表現が国家指導部クラスの口から続々と出たことで「党上層部内の勢力図に胡錦涛にとって望ましくない何らかの変化が起きているのではないか」と邪推した当ブログとしては、恒例行事とはいえ……いや恒例行事であるからこそ定点観測を行う意義があるかと思いますので、昨年との比較に取り組んでみました。

 ――――

 まずは「春節団拜会」。2004年9月に現在の胡錦涛政権、いわゆる「胡温体制」が成立して以来、このイベントは国家書記である胡錦涛が仕切り、首相である温家宝が短い演説を行うのが恒例となっています。

 この「春節団拜会」の開催を伝える記事と温家宝演説を昨年(2007/02/16)と比べてみると、昨年10月の「十七大」(第17回党大会)カラーが良くも悪くも今年の温家宝演説には反映されている、といった印象です。

 まずはその「十七大」を節目に世代交代が行われたので、党中央政治局常務委員のメンバーが多少入れ替わっていることはいうまでもありません。

 個人的に気になる胡錦涛の扱いですが、最近までの流れの通り、

「胡錦涛同志を総書記とする党中央」(以胡錦濤同志為總書記的黨中央)

 と表現されていて胡錦涛は今年も「党中央の核心」に昇格させてもらえませんでした。胡錦涛路線を「十七大」で打ち出すことができたものの、完全な胡錦涛ペースで事が運んでいる訳ではない、といったところでしょうか。

 新しい一年への抱負として語られた部分にも「十七大」色。並べてみましょう。


 ●昨年:トウ小平理論と「三つの代表」重要思想という偉大なる旗を高く掲げ、科学的発展観を全面的に実施に移し、社会主義和諧社会の構築を加速させ、国民経済の実効がありスピードもある発展の実現に努め、「十七大」開催に向けて良好な環境と条件をつくり出す。

 ●今年:中国の特色ある社会主義という偉大なる旗を高く掲げ、トウ小平理論と「三つの代表」重要思想を指針に、科学的発展観の実施貫徹を深化させ、小康社会の全面的建設を勝ち取るという新たな勝利に向け努力奮闘する。




 開催に向けて、と据えられていた「十七大」の後を受けた今年の温家宝演説は、

「中国の特色ある社会主義という偉大なる旗を高く掲げ」

 と、のっけから高く掲げるものが変化しています。じゃあトウ小平理論と「三つの代表」重要思想は?というと、この2つを
「指針に」する、と依然として大事にされてはいるものの、位でいえば横綱から大関へとワンランクダウンした感が否めません(今年の横綱は「中国の特色ある社会主義)。

 このあたりは「十七大」における胡錦涛の「総書記報告」のトーンそのままといったところです。

 ●胡錦涛報告は「控えめな宣戦布告」@十七大02(2007/10/15)

 その胡錦涛のオリジナルである科学的発展観は「十七大」で党規約に織り込まれたことで格上げされた印象。
「全面的に実施」するのは大前提ということとなり、代わって今年は「深化・貫徹」に重点が置かれているようにみえます。

 ――――

 ところがその一方で、これまた「胡温体制」オリジナルだった
「和諧社会」(調和のとれた社会)が今年は姿を消していることは注目に値するかも知れません。科学的発展観に徹することで実現するとされていたこの「和諧社会」は、「十七大」の総書記報告においてもそれまでの「和諧社会の構築」一本槍から、

「和諧社会の構築」
「社会の和諧を促進」

 へと2つの表現が登場する形となり、影がやや薄くなった気配がありました。これは「和諧社会」が実現してしまっては旨味がなくなるので現状の「超格差社会」を維持するのだという勢力、要するに既得権益層が抵抗したからではないかと思います。

 それが今年の温家宝演説では上記2種類の表現を並記しなかったばかりか「社会の和諧を促進」という消極的な表現も登場せず、「和諧」自体が消えてしまったのです。温家宝演説、今年は昨年とほぼ同じ分量ながら雪害に言及している分だけ所信表明に費やす言葉数が減っているのですが、そうであればなおさらポイントのみが厳選される筈。

 「和諧」の消滅は逆風の強さを示しているものでしょうか。もちろん「胡温体制」が「和諧社会構築」を放棄した訳ではないでしょうが、ポイントだけを並べる簡潔な演説にも登場しないということで、実質的に優先順位が下がっているのは確かだと思います。

 ちなみに
「実効がありスピードもある発展」(又好又快発展)という表現は雪害を語った直後に「今年も引き続き」という文言に続いて登場しています。これは「和諧社会」とは裏腹に「十七大」の総書記報告で強調されたキーワードですから外せないものでしょう。

 あえて踏み込んだ邪推をするなら、これも「又好又快」ではなく「又快又好」を続けろ、という効率二の次なGDP成長率至上主義(江沢民路線)を奉じる既得権益層の抵抗によって「所信表明」から外され、雪害の後ろに辛うじてくっつけられたと深読みをしてもいいのですが、それはさすがに……といったところです。

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 続いて「老同志への御機嫌伺い」です。江沢民の扱いに変化はありません。政治面でも健康面でも「心電図ピー状態」で昨年のイベントを欠席し憶測を呼んだ黄菊は本当に「ピー」となり、電源を抜かれて物故者リストに入ってしまったので今年も欠席。

 まあ余太は措くとして、「春節団拜会」にもこの「御機嫌伺い」にも曽慶紅の名前が登場していないのがちょっとだけ気になります。一応まだ国家副主席なんですけどね。

 たぶん「十七大」を節目に党中央政治局常務委員から退き、さらに「春節団拜会」ではその他大勢で記事文末に並ぶ党中央政治局委員のポストも放下したものの、任期満了となる来月の全人代(全国人民代表大会=なんちゃって国会)までは国家副主席、という変則的な立場ゆえのことだと思います。

 曽慶紅と一緒に党中央政治局から引退した呉官正と羅幹は「老同志」の中に名前がありますから、来年は曽慶紅もその仲間入りをすることになるのでしょう。

 で、この「御機嫌伺い」でのポイントは、胡錦涛ら現国家指導部の挨拶に感謝してその前途を祝しつつ、
「~するよう望む」(希望全党全国各族人民~)と意思表示がみられる部分です。……が、この部分は前掲の温家宝演説における所信表明部分をそのまま引き写したものとなっています。

「胡錦涛同志を総書記とする党中央」(以胡錦濤同志為總書記的黨中央)

 とやはり胡錦涛が「核心」扱いされておらず、「高く掲げる偉大な旗」が「中国の特色ある社会主義」に変わって……「和諧」が全く出て来ないところまでそのまんま。所信表明部分のコピー&ペーストなので「実効がありスピードもある発展」も出てきません。

 総じていえば、「核心」扱いが一発芸で終わってしまったように、胡錦涛の党上層部における掌握度と、地方政府や特定業界といった「諸侯」への統制力が未だ十分でない現状を反映したもの、ということになるでしょう。

 「十七大」で胡錦涛路線を明確に打ち出し、人事でも党中央委員~党中央政治局委員レベルと地方政府(省・直轄市・自治区レベル)に自らの腹心である「団派」(胡錦涛直系の共青団人脈)の若手を多数送り込むことに成功したものの、あちこちから引っ張られて胡錦涛が思うように自分の敷いたレールを歩かせてもらっていないとの印象です。

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 ●「新華網」(新華網 2007/02/16/16:41)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2007-02/16/content_5748131.htm

 ●「新華網」(新華網 2008/02/05/21:30)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/05/content_7575015.htm

 ●「新華網」(新華網 2007/02/15/17:22)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2007-02/15/content_5744217.htm

 ●「新華網」(新華網 2008/02/05/21:39)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2008-02/05/content_7575030.htm

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 ……おおそういえば。「人事」「団派」で思い出したのですが、香港紙『明報』が先日消息筋情報を流しました。1989年に死去し、その死が天安門事件で終息する大学生・知識人による民主化運動の引き金となった胡燿邦・元総書記の女婿である
劉暁江・海軍副政治委員(中将)が近く海軍政治委員に翔�……じゃなかった昇格するそうです(現任者である胡彦林が65歳で定年となるため)。

 どういうことかといえば、胡燿邦は共青団出身でいわば「団派」の祖。胡錦涛にとっては憧れの先輩だったでしょうし、実際に見込まれて可愛がられたかも知れません。その胡燿邦の女婿が海軍の党務部門のトップになるということは、胡錦涛派の浸透といえるでしょう。

 さらにいうと、「十七大」で第17期中央委員に選出された制服組41名のうち38名までが大軍区のトップ。それより一段格下ながら中央委員入りした「異例の3名」の中のひとりにこの劉暁江中将が入っています。

 他にも胡燿邦の息子である胡徳平・全国工商聯副主席が来月開催される全国政協(全国政治協商会議=形骸化した党外オブザーバー機関)の第11期副主席に内定しているとのこと。

 以上はあくまでも消息筋情報ですが、シンガポールの親中系華字紙『聯合早報』電子版がすぐ転載したことから、確度は高いとみていいかも知れません。

 ●『明報』(2008/02/03)
 http://hk.news.yahoo.com/080202/12/2obxu.html

 ●「聯合早報網」(2008/02/03/10:45)
 http://realtime.zaobao.com/2008/02/080203_09.shtml




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 昨日の夜というか本日(2月5日)未明というか、春節(旧正月)前の「第二次年末進行」がやっと終わりました。そのあと香港に帰省する配偶者を朝一番に成田空港へ行くバスに乗っけてやって送り出して、いまさすがにちょっと虚脱しております。

 香港サイドは明日午前くらいまで働いて正月休暇となります。私の方は日本の暦通りに通常勤務でなければならないのですが、私に仕事を依頼したり催促してくる連中が休みに入るので、こちらも一週間ほど勝手に休む予定です。

 やることを仕上げて相方を送り出したのに、帰宅してひと息ついたら何やらこちらが逆に取り残されたようでさびしいです。

 そんな訳で久しぶりに活動をしてきました。コソーリのつかない活動です(笑)。

 いや、昨日と今日でちょうどいいネタが上がって来たのです。中国毒餃子問題の件で台湾・中央通信が昨日午後、

「どうも中国で毒入れたっぽい」

 という日本の警察当局の見方を軸にした記事を配信しました。東京特派員電です。すると香港紙『明報』の電子版「明報即時新聞」がそれをベースにしたとおぼしき記事をすぐ後に出して、今朝は今朝とて香港の最大手紙『蘋果日報』と台湾紙『中国時報』が同じような内容なものを出しました。

 『蘋果日報』は中央通信とAP電の詰め合わせです。『中国時報』の記事は「犯人は中国側だなこりゃ」色がいちばん濃厚(笑)。

 それじゃー久しぶりにやってみますか、ということで簡体字に変換してひと暴れ。……ではなくて、「知る権利」が非常に制約を受けている中国本土の連中のためにあちこちにペタペタと貼り紙をしてきました。


 ●毒ギョーザ問題 中国で人為的混入強まる(MSN産経ニュース 2008/02/04/00:07)
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080204/crm0802040007000-n1.htm
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080204/crm0802040007000-n2.htm




 たぶんこのような内容の記事が香港・台湾メディアのベースになっているのだと思います。中国は相変わらず国内に報道統制を敷いているようです。

 とはいえ私の書き込みは余り削除されなかったので「あれ?」という感じでした。初動のピークが一段落したせいなのか、どの板でも強烈な反日電波を感じませんでしたし。

「日本人の小細工だ」

 とかカキコしている奴らは私たちより苛烈な食環境にあるので、たぶん表立って認めたくはないけど内心ではわかっているのだと思います(笑)。

「どうせ工場(天洋食品)への怨恨筋だろ」

 なんていうレスもありました。

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 ともあれ、勝手ながら今日は虚脱したままのんびりさせて頂きます。ゆっくり目を通したい記事などもありますので。m(__)m

 ……あ、でも最後に楊枝削り、ではないのですが「いきものがかり」のニューシングルを改めて。この間は初音ミクに喰われてしまいましたので(笑)。これ、詞も曲もとてもいい感じなのです。

花は桜 君は美し
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 それからもうすぐニューアルバムが。これも楽しみにしています。

ライフ アルバム
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 せっかくですから、オマケに「プヨプヨ」も。








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