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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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意地を張るのはやめた、つもり。
中国観察
/
2005-11-11 15:12:17
今回はちょっと前に書いた
「中国の意地っ張りもそろそろ限界?」(2005/11/08)
の続編のようなものです。要するに中共政権の対日姿勢が軟化しつつある気配をいよいよ感じる、ということです。
気配といっても私に消息筋がある訳ではありませんから全て報道に拠ります。上記
「そろそろ限界?」
で私は、
●中国国内メディアに毛色の変わった記事が出てきた。
●どうも中共政権は「反日」に傾き過ぎている報道姿勢を修正させ、少しバランスを取ろうとしている様子。
●中国は意地を張り通せない模様。ひょっとするとAPECでの日中外相会談があるかも。
……と指摘しまして、「毛色の変わった記事」の例として以下の3本を挙げました。
――――
(1)中国の経済学者「日貨排斥は愚かなやり方」(新華網 2005/11/06/15:56)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/06/content_3739606.htm
(2)APECでの関係改善に日本が意欲――NHK報じる(新華網 2005/11/07/10:16)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/07/content_3743751.htm
(3)「憤青」の現実世界――罵倒から理性への変化、徐々に(新華網 2005/11/07/14:55)
http://news.xinhuanet.com/politics/2005-11/07/content_3744923.htm
それぞれの内容と効能は
「そろそろ限界?」
を御参照下さい。……で、中国国内メディアの動きでいえば、どうもこの11月6日あたりが「潮目」だったように私は思います。
――――
正確にいえば、中国国内メディアの「潮目」が11月6日ごろですから、党上層部が「対日姿勢軟化」で基本的に固まったのはその数日前でしょう。
「経済面などへの影響もある。日本に対して意地を張り続けるのもそろそろ限界ではないか」
とか何とかあれこれ考えて、一枚岩ではないでしょうが、基本的にそういう方針で固まったのではないかと思うのです。自らが議長国を務めている六カ国協議、それにブッシュ米大統領の訪中やAPECといった外交イベントにも配慮したことでしょう。あるいは韓国外相が、
「小泉首相が靖国神社を参拝したから来日キャンセルだ」
と高らかに宣言しておきながら、すぐに前言を翻してしまった影響もあるかも知れません。また「そろそろ限界?」のコメント欄で「YY」さんが指摘なさったように、「小泉・安倍・麻生」という超攻撃型3トップ内閣が成立してしまった以上、それを踏まえた新しい付き合い方をしなければなりません。
さらに李登輝氏が来春訪日する可能性も高いとあれば、党上層部の対外強硬派や軍部が騒ぐのは必至。基盤が磐石とは言い難い胡錦涛政権にとって、意地を張り通して日中間のハイレベル同士を結ぶ伝声管(古すぎ?)を寸断したままでいるのは得策とはいえない、という判断かと思います。……などとあれこれ考えた訳です。
ともあれ、基本方針が固まったことでメディアに対する「修正命令」が出て、それが記事になって出てきたのが6日あたりから、ということになります。「修正」といってもいきなり親日に転じる訳ではありませんし、反日的な記事が消える訳でもありません。相変わらず主流は反日だけど、その中に毛色の変わった記事を少し混ぜてやる。その一方で「反日的な記事」も以前より当たり障りのないもの、あるいは他愛のないものにしていく、という微調整です。
――――
党上層部の「潮目」に関する傍証を日本側の報道から拾い上げてみますと、
●麻生、安倍氏とも「友好的対話」=靖国問題は譲れぬ-中国党幹部(時事通信 2005/11/04/01:00)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051104-00000001-jij-int
【北京3日時事】中国共産党対外連絡部の劉洪才副部長は3日、参院議員経験者でつくる訪中団と会談し、「靖国神社参拝問題は譲れない」と述べた上で、参拝論者といわれる麻生太郎外相や安倍晋三官房長官の名前を挙げて「友好的な対話を進めていきたい」と語った。
戸塚進也(静岡県)掛川市長が「麻生外相は言われるほどタカ派ではない。招待したらどうか」と促したのに対して答えた。
――
●日中外相が電話協議、関係改善で一致(NIKKEI NET 2005/11/04/22:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20051104AT1E0400P04112005.html
麻生太郎外相は4日、中国の李肇星外相と約15分間電話で協議した。麻生外相からかけたもので「様々な問題があるが、協力関係を築き日中関係発展に共に尽力したい」と述べ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝でこじれる日中関係の改善に意欲を表明した。李外相は「歴史をかがみとし未来に向かう精神で麻生外相と共に誠心誠意努力したい」と語った。
――
さすがは外交上手の中国、靖国参拝の報復措置として打ち出した日中外相会談に関する扱いを「取り消し」ではなく「延期」にしたことが早くも奏功した形です(笑)。喧嘩して予定していたデートは流れてしまいましたが、キャンセルではなく、あくまでも延期。だってお互い別れるつもりはないしー。……その証拠にもう携帯でメールのやり取りをしています(笑)。
――――
中国外交部の定例会見における「潮目」は11月8日でした。劉建超・副報道局長は電話協議については
「聞いていない」
と肯定も否定もせず、
「じゃあAPECでの日中外相会談は?」
という記者の質問に対しては、
「(関係悪化の)責任は中国側にはない。日本側は実際の行動で歴史問題に正しく向き合うという約束を示さなければならない。これ以上中国やその他被害国人民の感情を傷つけてはならない。これが中日関係改善と発展における必要かつ重要な条件だ」
と答えています。相変わらずのようですが、それ以前の定例記者会見と比べてみると、実は
「靖国」
という固有名詞が消えています。ここが重要なのです。暗示してはいるものの、
「靖国参拝を続けるなら関係改善は無理」
とはっきり言わなくなった。ここが「潮目」なのです。劉建超はさらに続けて、
「両国の外相がAPECで会談を行うかどうか、それに関する情報は目下のところ私の手元にはない」
と、曖昧な言い回しを使っています。この日の会見では、
「六カ国協議で日中間の個別協議をやった筈だが、そこで日中外相会談の手筈を整えることも話し合われたか?」
という質問まで出たものの、
「私は個別協議に参加していないし、ここ(定例記者会見の会場)に来るときはまだ話し合いが行われていた。だから具体的に何が討論されたのか、現時点では私にもわかりようがない」
と、劉建超は受け流しているのです。
http://www.gov.cn/xwfb/2005-11/08/content_93802_3.htm
この姿勢は11月10日の定例記者会見でも同様で、記者が「靖国」という言葉で質問してきても、劉建超自身はその固有名詞を使わず、8日と同じような回答を繰り返しています。
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/10/content_3763079_2.htm
――――
関連報道も味気ないものになってきています。「中国新聞網」(華僑向け通信社の電子版)は11月8日、
●安倍官房長官、今後も靖国参拝を続けると強く表明(中国新聞網 2005/11/08/08:33)
http://world.people.com.cn/GB/1029/42354/3836776.html
という記事を配信していますが、その意思表示に対する論評はなく、「右翼」とか「鷹派」といった言葉も登場せず、事実関係のみの簡潔な報道になっています。「中国新聞網」は翌9日にも安倍官房長官に関するニュースを配信しており、それを「新華網」(国営通信社の電子版)が掲載しています。
●「小泉首相は来年退陣」が53%、後継候補は半数が安倍氏支持(新華網 2005/11/09/10:23)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/09/content_3753538.htm
フジ産経系列による世論調査のようですが、ここでも小泉首相や安倍官房長官に対し「右翼」「鷹派」「軍国主義」のような味付けはなされず、事実だけで構成された淡々としたニュースになっています。
この11月9日には小泉首相が官邸で記者に対し
「中韓両国との友好関係を重視している」
と語り、安倍官房長官は定例会見で
「日中関係、日韓関係は日本にとって最も重要な二国間関係のひとつ」
と表明して足並みを揃えています。
●小泉首相、中韓両国との関係改善に努力すると表明(新華網 2005/11/09/14:56)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/09/content_3754673.htm
さあこれで上記
(2)のNHK報道
に続いて、改めて中国の面子が立てられました。胡錦涛政権も国民や対抗勢力に対し、「日本が頭を下げてきている」との構図を整えることができた格好です。実はもうひとつ、
●日韓首脳会談、APEC期間中の実現決まる(新華網 2005/11/09/18:14)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/09/content_3755960.htm
このニュースも「対日姿勢軟化」への後押しになったのではないでしょうか。
――――
……と、ここまでの流れをみると日中両国は互いに歩み寄りつつあり、APECで日中外相会談が実現しても不思議でない空気になってきました。これで外交部報道官が
「責任は中国側にはない」
という台詞を
「両国が共に努力して云々」
に言い換えてくるようなら外相会談には太鼓判。小泉・胡錦涛会談の可能性も、ということになるのですけど。
ただ政権基盤が弱いためにまだグラつきもみられるのです。最近存在感が復活しつつある胡錦涛の御用新聞・『中国青年報』(2005/11/10)は上で紹介した「小泉首相、中韓両国との関係改善に努力すると表明」という新華社電を掲載しているのですが、同日の紙面で上記
(1)「日貨排斥は愚かなやり方」
を批判する署名論評を掲載し、それがすぐ「人民網」(『人民日報』の電子版)に転載されています。
http://zqb.cyol.com/gb/zqb/2005-11/10/content_89322.htm(中国青年報)
http://opinion.people.com.cn/GB/51863/3845957.html(人民網)
このあたり、圧倒的勝利によって改めて国民に信任された小泉首相、そして内閣改造によって誕生した「超攻撃型3トップ」を受け入れざるを得ない胡錦涛政権の苦味(青汁一気飲み×3くらい)、あるいは「小日本」に押されている悔しさが出ているようにも思えます(経済的にも必要不可欠な存在ですし)。
こういう政権基盤の弱さに由来する現状に対する苦味や悔しさ、これもまた注目しておくべき部分です。今年は中国空軍機に対する航空自衛隊戦闘機のスクランブルが急増しているということですが、例えば東シナ海ガス田紛争の方で苦味や悔しさからくる鬱憤を晴らそう、というような動きが出てきても不思議ではないと思います。
要するに政情不安なのです。集団指導体制の悪い面が出てしまっている、といったところでしょう。相手が磐石の態勢というのも困りますけど、これはこれで危うく脆いだけに唐突に基地外が飛び出して来ないとも限らない。注意が必要なのです。
――――
【参考記事】
日中首脳会談――章啓月女史の奮闘(2004/11/20)
外交部報道官といえば私にはあのオバサンのあの時期の頑張りが思い出されます。確か現職はベルギー大使。
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