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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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そろそろ一段落かなと。
中国観察
/
2005-11-25 10:19:18
昨年の秋ごろでしたか、重慶市の都市暴動や四川省の漢源農民暴動、それに河南省での回族漢族流血の衝突事件や退職労働者のデモなどがあり、当ブログが期せずして暴動・デモ専門ブログのようになっていた時期がありました(笑)。何だか最近は「反日報道」日記と化している観があります。そろそろ区切りをつけたいところです。
印象でいえば、今回の「反日報道」の洪水は焦点が不鮮明なまま成り行きで大きな流れとなったところ、最近になって自民党による新憲法草案が発表され、これが燃料になって「自衛軍創設/軍国主義再び!」のようなお祭にまとまったようにみえます。
ただあくまでも自民党の試案にすぎませんし、続報が出る性質のものでもありませんから、このネタで騒ぐのにも限りがあります。実際、きのう(11月24日)の中国メディアによる「反日報道」は前日より随分減った観があり、対象は相変わらず「自衛軍創設」ネタなのですが、特集やニュースではなく署名論評やコラムといった形の記事ばかりでした。
その一方で麻生外相の遊就館に関する発言がありましたね。外交部報道官が「衝撃を受けた」と語るほど極上の燃料なのにも関わらず、中国メディアはお好みではない様子。スルー同然の扱いをされました。
まあ騒ぎ始めてからもう1週間を超えていますから、そろそろ踊り疲れるころなのかも知れません。ネタ切れでもあります。前回ふれたように、戦略的あるいは計画的に仕掛けられた形跡が見当たらない、というのが今回の「反日報道」の特徴です。
――――
そんなところに飛び込んできたのが、
「中国漁船が日本の排他的経済水域(EEZ)内での違法操業で海上保安庁に拿捕された」
というニュース。
●明報即時新聞(2005/11/24/13:10)
http://hk.news.yahoo.com/051124/12/1iyzr.html
EEZ。中国漁船。日本が拿捕。……おおお。これで新ネタ登場か、と思ったのですが、
「日中双方が漁業協定の関連規定と慣例に基づいて事件を処理し、漁船も船員も釈放された」
とのプレスリリースが中国外交部から出され、これでおしまい。
●新華網(2005/11/24/19:58)
http://news.xinhuanet.com/politics/2005-11/24/content_3830566.htm
外交部といえば、報道官記者会見で「自衛軍創設」など改憲ネタにどう食い付いてくるのか、という楽しみがありました。……が、
――――
質問「自民党が憲法改正の草案を発表したが、中国側はこれについてどうみているか?」
回答
「歴史的な原因により、アジアの国々は日本の改憲に関する動向に一貫して注目してきた。日本が平和的発展の方針を堅持することが、日本自身の根本的利益になり、この地域の平和と安定、発展につながると我々は考えている」
●新華網(2005/11/24/18:00)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/24/content_3830221.htm
――――
と、これだけです。「反対する」とか「軍国主義復活を懸念する」といった言葉のカケラすら出てきません。軍機関紙である『解放軍報』も目下のところ動きはなし。「反日報道がシューソク」は、「集束」から「終息」へと変わりつつある印象です。……ああそういえば関連ニュースとして王毅・駐日大使の外国人記者クラブにおける記者会見がありました。
「日本の指導者の靖国参拝は受け入れられない。私人としての参拝でも受け入れられない」
といった内容で、靖国参拝をしないなら首脳会談の可能性があると示唆したようですが、まだそんなことを言っているとは(笑)。相変わらず空気が読めていませんね。
●新華網(2005/11/24/20:34)
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/24/content_3830729.htm
さらに王毅は大ボケ発言をかましています。面目躍如ですが減俸1カ月ですね。
「中国の立場は一貫している。1985年にA級戦犯が靖国神社に祭られていることが公にされて以降、我々はずっと日本の指導者による参拝に反対し続けている」
ダウト。公にされたのは1979年4月19日です(新聞報道)。それ以降も大平首相や鈴木首相が参拝しているのに、中国は何ひとつ文句をつけませんでした。それが1985年の中曽根参拝になって騒いだ。はてさて何が一貫しているのやら(笑)。部下や新華社もそっと修正してやればいいのに、そんなに王毅が嫌いですか、そうですか。
――――
本題に戻ります。「終息」とはいえ、です。アジア太平洋経済協力会議(APEC)前には対日報道に対する制約が垣間見られましたが、今回の騒動でそれがとっ払われました。それが今後も継続されるなら、中国メディア、あるいはメディアを使って政争を仕掛けんとする政治勢力にとっては得るものがあったお祭、ということになるでしょう。それにしても、もう少し盛り上がるかと期待していたのですが。「火消し役不在」でも勝手に息切れして座り込んでしまうとは思いませんでした。
ひとつ目立っていたのは、「麻生発言」がスルー同然だった一方で、歴史ネタ、例えば「抗戦期間における日本軍の残虐行為」とか今年上半期に流行(笑)した「侵略の新証拠発見」など……もまるで出なかったことです。私のみた範囲では1本だけでした(毒ガス実験)。戦略的・計画的な色彩は帯びていないようにみえる今回の「反日報道」の洪水においても一応は制約があったのか、それとも「自衛軍」だけに目を奪われてしまったのかはわかりません。
……ともあれ「終息」の気配です。実のところ、「終息」は踊り疲れたこともあるでしょうが、むしろ日本とは無関係ながら、食欲をそそられるまたとない大ネタが登場したからでしょう。
●ハルピン:4日間断水、吉林爆発事故で汚染の恐れ(サーチナ・中国情報局 2005/11/22/22:34)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051122-00000016-scn-int
吉林省の化学工場で先日発生した爆発事故で汚染物質約100トンが松花江に流れ込んだというものです。そのドロドロした感じで灰色の帯状になった汚染物質が、松花江を下ってきていよいよハルピンに接近しつつある。……ということで中国メディアはカウントダウン状態(笑)。いまもこれで騒ぎっぱなしです。
で、中国メディアは「反日ネタ」から離れ、それを眺めていた私もそろそろ食傷気味……というところで、前回のコメント欄にて質問を頂きました。私にとっても関心のある問題なので、取り組んでみることにします。
――――
●ご教授ください (G10改) 2005-11-24 21:55:21
はじめまして、勝手にブックマークさせていただいております、コンペジターG10改と申します。
ずうずうしいとは思いますが。
【自衛隊と自衛軍、一字の違いはなにか】
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/23/content_3825105.htm
こちらの中にあります。「日本上上下下能gou不忘侵略戦争」(gouは句に多)これはどう解釈すべきでしょう?上上下下が日本にかかるのか、不忘にかかるのかですが。
もし日本にかかるならかなり頭に血が上ったかなと思えたので。
――――
「G10改」さん、はじめまして。ブックマーク恐縮です。23日は本当に「自衛軍創設」関連ばかりで、しかも「わずか一字の差ながら云々」というタイトルを掲げた記事が多くて辟易しました。同じ記事を使い回しているかといえばそうでもない様子なので、似たものばかりとはいえ全部拾い上げなければなりませんからね。
御指摘の部分は段落の先頭から読むべきかと思います。端折って訳しますと、
「現行憲法の理念を堅持して平和発展の道を歩むのか、それとも憲法第9条を改正して軍事力を増強し、政治大国の道を歩むのか、これが日本の護憲勢力と改憲勢力による闘争での一貫した焦点であった」
そのあとに、国際社会特にアジアの国々は
「かつての侵略戦争が当事国たる日本の人々やアジアの他の国々の人民に深刻な災難をもたらしたことを、日本国民みんなが忘れずにいられることを切に願う」
と続きます。つまりこれは「日本上上下下」への要望であり、日本の現状については「護憲vs改憲」で闘争中、という認識です。
前々回
にふれましたが、
「悪いのは一部の右翼勢力」
という国交正常化以来の中国側の基本姿勢から外れていません。この現状認識が「解放網」(『解放日報』系列紙の電子版)では、
「日本政界の右傾化が加速する状況にあって……」
と、あくまでも政界の右傾化とされており、「上上下下」と同様、「一億総右傾化」のような論調にはなっていません。これも基本姿勢のままです。
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/23/content_3822020.htm
――――
それがちょっと際どくなっているのは『南方日報』(広東省党委員会機関紙)の署名論評です。最後の小見出しが、
「総体的な右傾化で迷走状態」
と、「右傾化」を政治家に限定していません。本文から一部を訳出しますと、
「近年における日本の政治路線は常に広く注目を集めてきた。一体『右へ向かう』のか『左へ向かう』のか。観じるに、小泉政権を代表とする日本社会の右傾化思潮はどうやら追い風に乗ったようだ」
「日本政界」ではなく「日本社会」だそうです。中共政権の基本姿勢からすれば逸脱気味です。まあ問題はこの部分だけで、最後の段落は、
「小泉は言った。日本の腰はもう据わった。今後20~30年以内に、日本と中国・韓国との関係が良くなることはない。政治家というのは、本来なら理性的に思考して国民を導いていくべき筈だ。それなのに政治家が普通の国民よりも盲目的な頭脳になっているようでは、その国が過ちに過ちを重ね、自らの方向性を見失うといった状況を避けられる訳がない」
という形で政治家の問題に帰していますから、たぶん逸脱解消ということになるのでしょう。この文章は全体的にほとばしる感情を抑えかねているような筆致で、「糞青」(自称愛国者の反日教徒)傾向が高いように思います。ああ記者ですから「珍獣」(プロ化した糞青)ですね。ペンネームなのか実名なのか、とにかく署名が「中国人」と同じ発音である「鐘国仁」なのも「らしい」ところです(笑)。
http://news.xinhuanet.com/world/2005-11/23/content_3821937.htm
――――
それから中国側の基本姿勢に徹する態度については、前回のコメント欄で「p」さんから鋭い御指摘を頂きました。
「昨日と本日のエントリを読んでふと思ったのですが、この中国のマスコミの人達は日本の「議会制民主主義」を全く理解していないのでは、と思いました。」
そうなのです。「右翼小泉」が選挙で圧勝なら票を投じた有権者の多数派も右翼じゃないか、という話になるべきところが、中国ではそうなりません。中共政権としては敢えて避けているのでしょうが、私たちが「一党独裁制で普通選挙なし、法制あれど法治なし、全ては党の思うがまま」という社会環境を実感としては捉えにくいように、中国でも似たようなことになっているのだと思います。
記者であれば大学時代に「西側の民主主義制度」を一応知識として吸収しているとは思うのですが、愛国主義教育でイカレてしまっていますから、否定的な捉え方をしている可能性があります。教える方も「いい制度ではない」「中国の国情には適さない」といった姿勢でしょうし。これが庶民レベルだと中国の常識、つまり一党独裁制に当てはめて考えますから、「悪いのは一部の右翼勢力」という論法にあまり疑問を感じない可能性があります。まあ庶民にとってはどうでもいいことでしょうけど。
でも、ひと昔前はこうではなかったのです。私が留学していてた時期(1989-1990年)は「党の言うことはまず疑ってかかれ」という認識が庶民レベルであり、大学生は「西側の民主主義制度」をありのままに理解していました。問題意識のある真面目な学生になると西側の制度に憧れ、またそうした制度を導入して民主化を図らないと中国は世界の潮流から取り残される、という強い危機感を持っていました。それが1989年の民主化運動の一因となっていく訳です。ひと昔でなくふた昔前の話ですね(笑)。
――――
当時を体験しているせいか、物質面では比較にならないほど豊かになったとはいえ、いまの中国人は以前より民度が退行しているように思えてなりません。「小日本」という意識は20年前にもあったでしょうが、反日風味満点の虚偽に満ちた愛国主義教育などというカルト宗教じみたものに毒されていない分、昔の中国人はまだ健全で、等身大の自分をみることができていたように思います。……何だか余談に流れてしまい申し訳ありません。
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