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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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中国観察
/
2005-11-26 21:25:54
週末は雑談に逃げます(笑)。
さしもの「反日報道」の洪水もようやく一段落した模様です。量・質ともに低下傾向が否めません。『環球時報』のような反日基地外紙が主役を張るようになっているので、なお「反日」の気配が続くとしても、メディアレベルではすでに峠を越えている観があります。
とはいえ、計画的・戦略的なニオイがせず、釈然としない部分も少なくなかった今回の「反日報道」の奔流については、一応気に留めておく必要があると思います。
現時点で振り返ってみると、アジア太平洋経済協力会議(APEC)からブッシュ訪中あたりまでは「靖国参拝」を絡めた「小泉叩き」や日本の外交路線批判(アジア軽視だそうで)が主流でしたが、その後は「改憲=自衛軍創設」で足並みが揃い、このネタを柱にした扇情的な報道が続きました。
この間、印象的だったのは従来とは違って「火消し役」的なメディアが存在しなかったこと、政府(外交部)とメディアの間で対日姿勢に関し相当な温度差やズレがあったことなどです。私は現地にいないのでつかみにくいところですが、恐らく庶民の感覚とも温度差やズレがあったのではないでしょうか。
――――
で、終わってみれば(と言ってしまいますが)「日本が改憲へ/自衛軍創設!/軍国主義復活!」といった印象だけが残った観があります。
「自衛軍創設>>麻生発言」
とは
以前指摘した
ところですが、麻生外相による遊就館に関する発言こそ中共史観に関わる重大事件だった筈です。
中共政権にとって麻生発言は少なくとも未だ国会にも持ち込まれていない「新憲法草案」などよりは叩くべき話題の筈なのに、実際には
「自衛軍創設>>麻生発言」
だった。最も釈然としない部分ですが、一見すると計画的・戦略的ではないようでも、これを何かの伏線とすべく狙ったものと理解すれば、わからなくもありません。「自衛軍創設」を煽りに煽ることで、誰が得をするかという話です。
……ただ目下のところそれを裏付ける動きがないために、「伏線だったのかも知れない」といった程度で忘れないでおこうと考えているところです。
――――
それから、この1~2週間ばかりの間に、
「靖国参拝をやめれば関係改善」
という中国側の主張が、一気に説得力を失っていったのも印象的でした。
仮に小泉首相が靖国参拝をやめたとして、では
外交部報道官が「靖国史観の核心」と決めつけた「遊就館」を肯定する麻生外相発言
を許容したままで首脳会談ができるのか。
「憲法改正・自衛隊から自衛軍へ」
という動きに構うことなく、首脳会談なり関係改善なりが可能なのか。
尖閣諸島や東シナ海ガス田紛争もありますし、とにかく中国側にとって「関係改善の前提」とすべきものがまとめて出てきてしまい(というより中国側が勝手に騒いだ)、ハードルが高くなったという観が否めません。お蔭様で「靖国問題が解決されれば全てがうまくいく」と未だに言っている王毅・駐日大使の発言を虚しいものと感じ、一笑に付す日本人が増えたのではないかと思います。
――――
当ブログでは「糞青」と呼んでいる自称愛国者の反日教徒どもも、馬鹿かも知れませんが溢れんばかりのパワーは持っています(ネット上限定かも知れませんけどw)。そのベクトルの鉾先が「反日」から別の面に向かえば、それなりに面白いことになります。
実例があるのです。昨年9月の胡錦涛政権の実質的な発足後しばらく、メディアやネット上での反日言論に統制が加えられた時期がありました。その間の反日サイトの動きが面白く、「反日」を呼号できなくなったために、行き場を失ったパワーが中国国内に対する問題意識へと転化されました。
いまでも印象的なのは、
「内憂外患という言葉があるが、いまの中国にとって優先すべきは内憂か外患か」
というスレが立って、それにレスをつけた者のほぼ全てが
「内憂」
と応じたことです。何が「内憂」なのかについての議論もありました。
また、とある「なんちゃって香港人」(笑)が
「日本人が上海で集団買春したぞ」
というニュースを流して煽ったのに対し、
「幹部とか警察もやってるじゃないか。珍しくもない」
と冷めた反応が返ってきました。別のサイトで同じことをやってみたら、よりラディカルな政権批判というべきものまで続々と飛び出してきて、こちらが慌てたこともあります。
ちょうど中国とロシアが国境確定作業を終えたころで、ところがその詳細がなかなか明らかにされないため、
「政府の連中は石油欲しさに祖国の領土を売ったんだ」
という論調も出ました。
――――
そういった動きが昂じて、
「党上層部や長老、それに物故した元老の子弟、現職一覧」
という趣旨の一覧表を掲載したスレが立ち(「なんちゃって香港人」が立てたものではありません。念のためw)、高級幹部の世襲や特権階級化に対する怒りの声が上がったこともありました。さすがにこのスレは半日か1日程度で削除されましたけど(笑)。……僅々1年前のことですが、現在のネット規制強化を考えれば一時的ながらも楽しめた、牧歌的な期間でした。
1989年の民主化運動を中共政権が軍隊を投入して武力弾圧(天安門事件)したことで、それまでにも問題視されていた中国共産党に対する衆望がいよいよ地に堕ちました。ときあたかもベルリンの壁崩壊、東欧の共産主義政権消滅、そしてソ連解体と中共には衝撃的な事件が群がり起こった時期です。
そこで民衆の不満の鉾先をそらすため、当時総書記だった江沢民が始めたのが反日風味満点の虚偽に満ちた「愛国主義教育」であり、それを全身に浴びて育った世代が「糞青」や多くの「珍獣」(プロ化した糞青)なのです。……が、「反日」の皮を剥いでやると、上述したような意外な意見が頭をもたげてくるという訳です。もともと不満をかわすために始めた「反日」ですから、それを規制してしまうと、純粋培養された糞青たちでも自分たちの属する社会に目を向けることになるのでしょう。
――――
吉林の化学工場爆発事故に端を発した河川汚染問題、80kmとも100km以上ともいわれる汚染帯が松花江を下っていく事件でいま中国は大騒ぎです。これも「愛国主義教育」と経済成長(歪んだ発展モデルですが)である程度回復した中共の威信を再び低下させる要素となるでしょう。
松花江を給水源とするハルピン市の断水問題が注目されていますが、上流の吉林省・松原市ではそれ以前から断水措置がとられ、それが1週間に及んでいたことは、ずっと隠蔽されてきました。そもそも化学工場の爆発が11月13日、それによる松花江の汚染が明らかにされたのは10日後の23日のことです。
松花江はロシアとの国境線である黒龍江(アムール川)に合流しますからもはや国際問題。ロシア側からは中国に賠償を求めるべきだとの声も出ているようですが、それ以前にいま中国のネットユーザーの間で、こうした隠蔽体質に抗議するネット署名をやろうという動きが一部に出ています。
隠蔽は今回だけでなく、2003年の中国肺炎(SARS)やブタ連鎖球菌によるとされる奇病、そして鳥インフルエンザ問題でも行われてきたものです。炭鉱事故なども同様でしょう。それだけ痛い目に遭ってもまだやるのか、という怒りがあるのだと思います。今回も「通報の遅れ」(中央政府の言い分。隠蔽ではないそうで)に対し、「決して遅すぎたものだとは思わない」と中央政府における担当責任者が記者会見し、庶民の怒りの火に油を注いでいるようです。
――――
そもそも……とまた言わせて頂きますが、今回の騒ぎの原因となった化学工場(吉林石花公司)にしても、爆発事故(爆破事件かも知れませんが)が起きる前から、それも前世紀の1980年代に、工業廃水が付近の河川を汚染し、下流の黒龍江省の漁民の多くが水銀中毒を患った、これは日本の水俣病のようなものだった、というニュースを黒龍江省の地元紙『生活報』が報じたようです。この問題に対しては黒龍江省当局がとりあげて調査し、原因が件の化学工場によるものと断定されたそうです。
どうもこの話題はもう少し寝かせておいた方が暴露ネタや責任問題、それにロシア側の反応も加わって香ばしさを増してくるようです。ただ一言でいってしまうなら、珍しくもない。……という事件でしょう。今回はたまたま騒ぎが大きくなり隣国にも絡む問題となっただけで、似たようなことはこの二十年来、中国各地で開発の名のもとに行われてきたものです。
粗放きわまりない経済成長、歪んだ発展モデル、と当ブログでは表現していますが、農村を潰して開発区を設立し、そこに外資を導入して搾取OKの無尽蔵な廉価労働力(農民)を投入することで中国は現在の「発展」を実現させました。その代価として農村や農民に犠牲を強いている訳ですが、そればかりか環境自体にも問題が及んで奇病百態、いずれも当ブログにて既報していますが、今年はとうとう工場からの排水・排煙による河川や大気汚染を原因とした健康被害に忍耐も沸点に達し、浙江省などで農民暴動が発生しています。
もちろんそうしたケースの多くは中国国内では報じられません。地元当局は重要な税収源である工場側の肩を持ち、武力に訴えてでも農民の抗議を封殺してしまうからです。むろん税収だけではなく、個別の党幹部の懐が潤っているからでもあるでしょう。
――――
河川が汚れれば当然ながら付近の土壌も汚染され、農作物にも影響が及ぶことは、これまでも
「重金属野菜」(2005/03/25)
を何度も例にひいていますから説明不要でしょう。吉林省や黒龍江省でも今後似たような事態が発生することになると思います。古いエントリーを御覧になっていない方には、これまた一種の公害として、
貴州省の総人口の半分がフッ素中毒
を患っているという現在進行形のケース(
◆
◆
)にも目を留めて頂ければと思います。
中国における鳥インフルエンザの被害隠蔽疑惑についても様々な怪情報が飛び交っています。世界保健機関(WHO)の腰がまだ定まっていないので確報はありませんが、
「地元は平穏」「住民はパニック状態にならず」
といった報道が中国国内からわざわざ流されるので隠蔽疑惑がいよいよ強まっている格好です(笑)。
いかに「愛国主義教育」に毒されているとはいえ、死者3名という中国当局による発表を素直に信じている者がいれば、それは珍重するに足るキャラといえるでしょう。政治ならともかく、生活レベルの問題となればいかに愚民教育を施されているとはいえ疑い深くなるものです。
これは根拠のない邪推にすぎませんが、最近遼寧省で鳥インフルエンザ問題への対応が消極的だったとして地方幹部が7名ほどクビを飛ばされました。これを炭鉱事故の場合と並べてみたらどうでしょう。10名、30名、50名、100名……と事故死者数が増えるほど馘首される地元幹部の位が高まり、また人数が増えていきます。クビになった遼寧省の地方幹部7名がどの程度のポストに就いていたのか、それで何事かが測れるかも知れません。邪推ですけど(笑)。
――――
中国がどう荒れて中国人が何人死のうと所詮は対岸の火事ですが、今回のように隣国にも直接被害を及ぼす事件が出てくると、だんだん他人事と笑っていられなくなくなってきます。
仮にロシアが賠償を求めれば中国は応じるかも知れませんが、相手が日本だったらどうでしょう。公用車や大使館が中国人によって故意に損壊されても謝罪ひとつしない国です。こと自然環境の問題となれば、謝罪はおろか原状回復もままなりません。そして賠償請求にはやはり歴史問題で対応してくるのでしょうか。
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