チラシの裏

当ブログでは、主観を重視した文章がエターナル。 裏と表が合わさり最強に見える。

ゴシック 第8話

2011年02月28日 23時10分01秒 | アニメ全般
う~む、すごい好きな作品なんだが、ミステリーとしては微妙だな・・・。

原作は知らないが、ラノベというのはこの程度なんだな、という印象。

ただ、誤解してほしくないのは、ラノベというジャンルだからこういう作品なだけであって、

この桜庭一樹という作家はライトでない作品も書けるんだぞ、と。


あともう一つ誤解してほしくないのは

俺はこのアニメが嫌いになってしまったわけではないということ。

ミステリーに期待しなければ傑作。

キャラクターの個性やセリフ回しが秀逸だ。

EDのテーマが名曲なことも付け加えたい。

今見ているアニメの中では一番好きだな。


関係ないが、綾辻行人の「Another」がアニメ化するかもしれないので、ミステリー的なものを求めるなら要チェックだ。

フラクタル 再放送

2011年02月27日 22時36分16秒 | アニメ全般
せっかく切り捨てたアニメなのに、オススメされてしまったから再放送を見ることにした。

今期からはなるべく見るアニメを少なくしたかったんだが・・・。


再放送なので、感想はもう出尽くされている作品だと思うが、

出会った作品について、良いことや悪いことを書いていくのがこのブログの趣旨だからな。


やはり初見の印象は「昔懐かしいアニメ」だな。

宮崎アニメと言われても仕方ない感じ。

ボーイミーツガールで始まる冒険ものに新しさを感じないのは当然か。

個人的にはこういう雰囲気は好きだがな。

それに、現代ものではない舞台に「電子的に管理された世界」という設定を付け加えたのは、ギャップがいい具合に機能していると思う。

こういう手法は、舞台設定そのものが謎や伏線になってくれるので興味を引き易い。

冒険ものということなので、ワクワク感を演出することが出来れば自然とファンを獲得出来るだろう。

俺も続きを見ようという気になったしw


OPの映像はまさに「フラクタル」。

綺麗だがそれだけ。

EDの映像は、最後のカットに登場した女の子が後ろ向きで座ってるだけ。

最後に引っ繰り返るがw

次回予告は・・・ない!

屍鬼みたいにED映像に組み込まれているとかWEB公開しているとか、そういうのも、ない!

微妙なところだけ王道を守っていない作品だ。

となると、劇中でもどんでん返しでポカーンな結末を予想してしまうなw

とある魔術の禁書目録Ⅱ 第19話

2011年02月19日 02時58分38秒 | アニメ:とある魔術の禁書目録:超電磁砲
木ィィ原クゥゥゥン!!!

というわけで、やっと始まりましたな。

1~17話とはなんだったのか。


一方通行さん好きとしては、やられ役じゃなくて活躍もしてほしいと願うところだが

禁書というアニメは上条さんの説教で締めてくれないと駄目なんだ。

フルボッコにされる一方通行さんもお約束みたいなものだが。


厨二が大好きな少年漫画っぽいところがこのアニメの魅力だと思っていたのに

第2期が始まって魅力が不十分だった。

キャラ萌えだけで視聴出来る猛者どもは問題ないかもしれんが、俺には微妙に感じた。

このまま禁書も終わってしまうのかと危惧していたものだが

第19話で始まった。


結果的には前回予想した通りの盛り上がり展開だったので、ここからラストまでも予想通りと見ていいだろう。

安定、安心、王道の、そげぶ&説教展開になると予想。

こんなの予想でもなんでもなく、禁書っていうのはそういうアニメだったんだけどな。

楽しみだ。

うみねこを見捨てない

2011年02月16日 23時14分24秒 | ゲーム:アニメ:07th Expansion関連
そろそろ落ち着いて来た頃なので書かせてもらおうか。


まず始めに。

俺はうみねこ信者である。

アニメ版BDを全巻持っているほどだ。

そんな俺でも、原作EP8には不満を感じた。

いや、そんな俺だからこそか?

うみねこへの期待度がそのまま不満へと変換されたような感じだろうか。


まぁ、しかし。

世の中には頭の良い人間が大勢いるわけで、数々の有能な考察が発表されている。

それらは非常に説得力のあるものであり、

俺もうみねこはこれが真相でいいんじゃね?と勝手に納得してしまうほど素晴らしい。

物語完結後も、こうした考察が続けられていくことを狙ってのEP8だったとしたら・・・

そう考えると、竜騎士の狙い通りだったのかもしれない。

狙いにハマってしまったのは少々くやしいが、もっとくやしいことに俺はうみねこが好きなのである。

愛がなければ視えないとは上手いことを言ったなと思う。

うみねこが好きである限り、楽しみ方はいくらでも見付けられるということだ。


というわけで。

PS3版うみねこ「魔女と推理の輪舞曲」開幕。


原作のテキスト

SE

BGM

コンシューマ用の新規グラフィック

アニメ版の声優


・・・これは豪華なうみねこだ。

竜騎士の絵も好きなんだが、俺は絵に拘らないのでこれはこれで良し。

原作の再現度が非常に高く、コンシューマで表現出来ないテキスト以外は完全移植。

おかげでボリュームがパネェ。

オートプレイで10時間経っても、アニメの第2話か第3話程度までしか進んでいないぞw

当然セリフがフルボイスなものだから、声優たちも張り切りまくりで熱演。

とんでもないテキスト量なのに本当にすごい。

原作BGMを背景にうみねこキャラが喋っている。

これだけでもコンシューマ版の価値があった。

買って良かった。


EP1~4(出題編)までしか収録されていないが、うみねこのなく頃に散(EP5~8)も移植するらしいので

新規でうみねこに入る人は、まず出題編をコンシューマ版で片付けておくことを奨める。

コンシューマ版クリア後、続編発売まで我慢出来ない良く訓練された人は原作に手を出すも良し。

俺といっしょに、ヱリカやドラちゃんの声優が誰になるかワクテカして待つも良し。

うみねこはまだまだ終わらないぜ。

第2次スパロボZのために

2011年02月16日 01時07分33秒 | ゲーム:アニメ:スパロボ関連
積みゲーだったスパロボZを2年ぶりに起動!

第2次スパロボZ発売までにクリアしたいと思いますw


第55話、グラヴィオンのラスボスとの決戦シナリオで放置していたようだ。

さすがにブランクがありすぎてよく覚えていないw


SRポイント取得を目指す。

ミスったらリセット。

敵のHPをギリギリまで削る。

ALL攻撃やトライアタックで幸運・祝福を使って撃破。


こんなプレイスタイルだったと思うが、時間がかかりすぎるので適当プレイに変更。

とにかく速いクリアを目指すことに。


しかし、なぜ第55話でやめたのか。

スパロボZは俺好みの参戦作品が集結していて俺得スパロボなのに、2年間も積んでいたのはなぜか。

理由を思い出した・・・。

ゴーマのMAP兵器で壊滅wwwww

やられて思い出したわwww

まじやる気なくなるぞこれw

直前でセーブしてなくて良かった^^;

脱力連打でMAP兵器を封じてからフルボッコで撃破。

もちろんSRポイントもゲット。

聞くところによると全60話くらいで終わるらしいが、4月までにクリア出来るといいねw



それにしても、スパロボZの参戦作品は俺得すぎるな。

ビッグオー

グラヴィオン

キングゲイナー

ターンエーガンダム

エウレカセブン

原作ファンなので、これらの主役機はフル改造w

主役機以外にも、グラントルーパーなんかを改造したり小隊長にしたりと他人には理解出来ない優遇っぷりwww

ユニバァァァァァァス!!!!

いいスパロボだわ~。


そして!

次回作には!

コードギアス

グレンラガン

真(チェンジ!!)ゲッターロボ

真マジンガー

という更なる俺得作品が参戦!

確実にフル改造してしまうなw

好きな作品が多すぎて改造資金足りないんじゃねーの?っていうレベル。


上記以外にも、アクエリオンとマクロスFも原作が好きだ。

原作を見ていない作品の中では、ザブングルやガンダムXもなかなか。

スパロボで好きになって原作に手を出すってのも悪くないし、機会があれば見てみたいね。


夢が広がりんぐで胸熱な第2次スパロボZが待ち遠しいわ。

とある魔術の禁書目録Ⅱ 第18話

2011年02月12日 02時04分12秒 | アニメ:とある魔術の禁書目録:超電磁砲
やはり一方通行さん登場回は面白いなあ。


しかし、第1期を超える回が今のところないのが残念。

作画も微妙になって来たし・・・。


原作も微妙な感じなのか、アニメが改悪なのか。

原作未読な俺には分からないが、第1期が神アニメすぎて2期のハードルが高かったことだけは分かる。

せめて内容をカバーできるくらいの作画で勝負してほしい。


次回予告を見ると、期待出来そうな感じだが果たして。

劇場版 空の境界 BD-BOX その3

2011年02月05日 03時19分28秒 | ゲーム:アニメ:TYPE-MOON関連
調子に乗ると文章がまとまらなくて長文になるクセがあるようで^^;


アニメの感想・原作含めての解説をネタバレありで。

申し訳ないけど3分割、完結編。




終章「空の境界」


まさかのアニメ化。

幹也と両儀式が会話するだけの内容。

アニメでは、美しい背景作画とBGMでその様を彩っている。

キャラクター作画が武内崇の絵そのまんまなので驚くかもしれない。

これを劇場でも公開していたというのだから更にびっくり。

BD-BOXではスペシャルディスクに収録されている。


両儀式は、式でも識でもない人格だと言う。

第三の人格と言うよりは、肉体に元々在った人格と言っているので

作中で何度か説明されて来た、起源や根源に近いものなのだろう。

起源は虚無。

根源はあらゆる事象の始まりと終わり。

なんでも出来る神のような存在だが、何もする気はなくて、式という人格に肉体を任せていると言う。

第五章「矛盾螺旋」では、起源は無価値なもの。大切なのは人格の形成。というテーマが濃く描かれていたが

それを言葉で説明しているのが、終章「空の境界」ということなのだろう。

一見、非常に退屈そうな内容だが、本作を原作、アニメと七部作ずつ全てを乗り越えて来た我々ならこの章の大切さを理解出来るはず。


第五章「矛盾螺旋」の解説で、臙条巴が螺旋を抜け出したのは奇跡だと書いたが

両儀式の言葉をしっかり理解すれば、それは奇跡ではなく当たり前に出来ることだと分かる。

起源や根源は無価値。

起源や根源は『 』なのだから。

『 』はカラと読む。

空(カラ)は未来を夢見ることが出来る肯定的な意味で使うが

『 』(カラ)は未来を形成する上では無意味なものという否定的な意味で使う。

人格は肉体がなければ宿らないものだが、肉体の起源とは無関係に未来を形成することが出来る。


黒桐幹也という人間。

両儀式が根源に近い存在だとすると、幹也は魔術師でもないのに根源に近付いたことになる。

荒耶宗蓮でもそこまでは至れなかった。

しかも幹也が最初に出会っているのは4年前。

第二章「殺人考察(前)」の冒頭に登場する少女だ。

高校の入学式で幹也が式に声をかけたとき、式は幹也と面識がない素振りだったが、覚えていないのではなく本当に知らなかったのだ。

式ではない両儀式という少女との再会。

幹也は特別なものは望まない。

幹也は、空(カラ)を十分に満たした人間なのだと言える。

幹也が両儀式に惹かれたのは、両儀式の『 』(カラ)を満たしてあげたいと思ったからだろう。

しかし、両儀式の『 』(カラ)は起源そのものなので満たすことが出来ない。

両儀式に宿った式という人格には空(カラ)があったので、満たしてあげることが出来た。

そんなあやふやな境界線を「空の境界」と呼ぶのではないか。




各シナリオを俺の解釈によって解説したものは以上だ。

最後に、アニメとしての総評を。


・画質

モニターがフルHDではないので、ちゃんとした評価が出来ないが、普通に綺麗だという印象。

DVDが手元にないので比較は出来ない。


・音質

オーディオマニアではないのに音声のクオリティの高さが理解出来るレベル。

本ソフトの設定でステレオと5.1chを切り替え出来るのだが、デフォルトがステレオになっているので注意すべし。

俺は5.1chになっていない状態でずっと視聴していたというかわいそうな人。


・シナリオ

第六章以外は原作のテーマを丁寧に描いている。

アニメ作品である以上、尺の都合でカットされる部分は仕方ない。

それでも一つの物語として完成度が高いと思えるのは、制作スタッフも原作が好きだからなのだろう。


・作画、音楽

何度でも言うが、作画が本当に素晴らしい。

動きを見せる部分と、静けさを見せる部分の緩急の付け方が上手すぎる。

それに梶浦由記の音楽がBGMとして加わると、言葉では表現出来ないくらいの感動を得られる。

エンディングの主題歌も、各章限定のテーマが歌詞に込められているし、言うまでもなく音楽としても素晴らしい曲だ。

第五章「矛盾螺旋」の「sprinter」が一番好き。

「sprinter」は巴のことなんだよな・・・。

歌だけでも泣けるというのに、「Remix -Gate of seventh heaven-」では「sprinter」をBGMに本編の映像が流れるので、涙を堪えるのに必死になる。

音楽を聴くためだけにBD-BOXを買ってもいい、というレベルの作品なので、音響設備を整えてから視聴することを強く奨める。


原作を超えるアニメというのは本当に貴重。

ただし、誤解しないで欲しいのはアニメが原作に勝るとか原作がアニメに劣るとか、そういうことではない点。

アニメとしての魅力を映像と音声で伝えるのは、当たり前なこと。

それが出来ない作品はそもそもアニメである必要がない。

その最低条件を満たしつつ、原作の良さをアニメを通して視聴者に伝えられたならば、それでいいと思う。

俺は3年前に原作を読んだときは大した評価もせず、今となっては記憶が曖昧な始末。

その状態でアニメを見て、ほぼ絶賛の評価をしているのだから、原作を超えるアニメという表現は妥当だろう。


今回の記事はアニメを見終わっての感想・解説だったので、第六章「忘却録音」についてはあまり触れていないが

原作では、本作を理解しようとする上では無視出来ないほどの深いテーマが描かれている。

非常に難解な書き方をしているので、映像化が難しくてアニメでは全カットだったのだと勝手に推測しているが

「忘却の録音」というテーマは、式の起源と人格を理解するために必要なパーツだと思うのだがどうだろう。

劇場版 空の境界 BD-BOX その2

2011年02月04日 01時14分17秒 | ゲーム:アニメ:TYPE-MOON関連
前回の記事が長かったので分割投稿。


アニメの感想と原作含めての解説をネタバレありで。

俺の記憶もけっこうアテにならないので、間違いがあったらご容赦をw



第五章「矛盾螺旋」


荒耶宗蓮が目指す根源とは何か。

アニメでは説明くさい部分が大分端折られているので、

荒耶宗蓮のことを良く分からない宗教臭い悪役のおっさんとしか認識出来ないかもしれない。

事実その通りなのだろうけどw

根源というのは、我々が知覚できる世界とは別の場所に存在し、あらゆる事象の発端とされるものと説明されている。

人間の起源もそこにあると思われる。

荒耶宗蓮は、根源に到達することで人間の本質を理解し、納得しようとしていた。

荒耶宗蓮は人間の醜い部分に絶望したと言っていたが、それで終わりにせず、根源を目指していたのだから

本当は心のどこかで絶望していなかったのではないだろうか。

今回の、繰り返される死の一日もそうだ。

何回も繰り返せば違う死に方をする者が現れるかもしれないという実験。

死の一日を繰り返すという方向性=起源

与えられた人形の身体=肉体

と解釈すれば、螺旋から抜け出した臙条巴は、起源の無価値さと、肉体があれば人格が形成出来ることを証明したことになる。

形成されていく人格は、定められた方向性に従うとは限らない。

そんな奇跡が起こる余地を残したまま行われたこの実験に意味があるとしたら、荒耶宗蓮の無意識の希望だったと考えるしかない。



第六章「忘却録音」


アニメはどうしてこうなった状態w

原作と設定も構成も違う。

原作は、物事の観測、記憶による価値の変化を詩的に描いたシナリオだったが

アニメではシンプルなバトルものになっていた。

玄霧先生や黄路先輩の掘り下げも一切なく、かなり薄っぺらい仕上がりだ。

しかし、良く言えば思い切りがいい。

中途半端に原作を再現しているのではなく、全くの別作品として認識出来る。

見せ場は鮮花の戦闘シーンで、炎の魔術を駆使した格闘戦が見られる。

作画はかなりいい感じだと思う。

シナリオだけ他に見劣りするのが残念。

やはり原作が偉大ということか。

「Remix -Gate of seventh heaven-」では玄霧先生の語り(原作のセリフ)が追加されているが

原作既読者へのファンサービス程度にしかなっていない。



空の境界「Remix -Gate of seventh heaven-」


アニメの総集編。

第六章「忘却録音」の後に劇場公開された。

BD-BOXの映像特典として、スペシャルディスクに収録されている。

上記の玄霧先生のセリフの他に、

第三章「痛覚残留」で幹也が教授から超能力を電波のチャンネルに例えて説明されているシーンが追加されている。

主題歌と映像の素晴らしさを堪能出来るMAD動画みたいな作品。



第七章「殺人考察(後)」


時間軸は第二章「殺人考察(前)」の後ではなく、順番通り第六章「忘却録音」の後になる。

式の葛藤が決着するという意味では完結編。

しかし、里緒先輩の変態っぷりが強烈すぎて式の葛藤や幹也の説教が霞んでしまう恐れがあるw

式の葛藤について解説するのは無粋な気がするが、これを書かないと、第七章は里緒先輩が変態だった。で終わってしまう。


第二章「殺人考察(前)」で発端が描かれているが、両儀式には殺人衝動が在る。

これが最初の葛藤。

「肯定」を司る式は、人間嫌いで他者との拒絶を望んでいる。

「否定」を司る人格の識は、人間的な感情を露にしている。

その対極の図式が本作の見所であり、非常に面白いのだが、実はもう一捻り裏がある。

殺人衝動がどちらの人格に在ったのか、最終的に殺人衝動を肯定するのか否定するのか、それらがポイントとなる。

両儀式の起源が虚無であると、終章「空の境界」で語られている。

識は、式の破壊衝動みたいなものだと言う。

そのままの意味で解釈すると、殺人衝動は識のほうに在ると思ってしまう。

識は起源に忠実、起源を肯定している人格ということになる。

それだと矛盾する。

実際は逆で、式のほうに殺人衝動が在り、識はそれを「否定」する人格だとすると辻褄が合う。

起源を「肯定」する人格である式は、生まれながらに殺人衝動を持っていた。

殺人が良くないことだというのは理解しているので、殺人衝動を隠したい。否定したい。

識は、式の表には出したくない感情を受け持っている。

式の殺人衝動を「否定」し、殺人衝動が識に在るのだと、式を肩代わりする形になっている。

式が、負の感情を識に押し付けているとも考えられる。

そんなバランスを保っていた二重人格だが、幹也と出会ったことによって壊れていく。

式が幹也に心を惹かれてしまったからだ。

識は、幹也と話したいという優先順位が、式よりも識のほうが高いから代わりに出て来たのだと言っているが

これも実際は逆で、式が幹也と話したがっているのにその欲求を否定したから、

幹也のことが好きという感情を識が受け持った、と。

その感情が強くなると、識という人格が強く出て来てしまう。

つまり、式の表には出したくない負の感情も同時に強くなってしまうのだ。

式の殺人の定義は、識を殺すこと。

識を外に出そうとするものを殺すということ。

今までもずっと識を殺し続けてきたと言っているが、それは辛いことだったのだろう。

式は起源を「肯定」する人格なのだから。

殺害現場を見て微笑っていたのは識ではなく式のほうだと思われる。

式と識のバランスが壊れ、式の殺人衝動が表に出て来てしまっているのだろう。

殺人衝動が表に出てしまう原因=識を外に出そうとするもの=黒桐幹也。

幹也を殺せば式の心は守られる。

しかし、式の結論は幹也を殺すことをやめての自殺。

やはり式は幹也のことが好きだったのだ。

幹也を殺すことが出来ない式。

識を殺すことが出来ない式。

式は、式を殺すことを選んだ。

今までと同じように、自分を殺すことしか知らないからだ。

しかし、式の本心は生きることを夢見ていた。

それは、無や死である起源の「肯定」を否定したことになる。

識は、その否定を肯定し、今までと同じように肩代わりして、死んだ。

結果的には式が識を殺した形になる。


第四章「伽藍の洞」では、識を殺したことを肯定し、その罪を受け入れることで強くなる様が描かれている。

識の死という起源の一部に触れたことによって、直死の魔眼を覚醒させる。

それは、常に死を視認し続けてしまうことに等しく、式の第二の葛藤となる。

識と同じ口調になっているのは、失われた識という人格を忘れたくないから。

橙子に人を殺せる仕事を求めたのは、識に押し付けていた殺人衝動を式のものと認めているから。

しかし実際は、本当に人を殺したいわけではなく、殺人と殺戮の違いを理解している。

それがはっきりしたものだと認識出来たのは、第三章「痛覚残留」で藤乃を殺さずに済んだとき。

「おまえよりの殺人衝動」と式は言っていたが、人助けやお人好しで直死の魔眼を使うことを

「幹也寄りの殺人衝動」と冗談ぽく言っているのだろうか。


第七章「殺人考察(後)」では、最後の葛藤が描かれる。

白純里緒は、幹也に危害を加える敵である。

巫条霧絵の霊体と違って、生身の人間である。

200年生きている荒耶宗蓮のような化物と違って、人間である。

とは言っても、起源覚醒者となった里緒先輩は、無意味な殺戮を繰り返す救いようのない殺人鬼。

そんな存在を許せない式は、里緒先輩を殺そうと捜しに出るが。

お人好しの幹也は、里緒先輩を説得したいので式に殺すなと命じる。

里緒先輩は異常になってしまった自分を正当化したいので、仲間を増やそうとしている。

式に異常なまでの執着を持ち、式を自分に近い存在と言い張り、式が殺人をしない原因が幹也にあると考え、幹也を殺そうとする。

そんな里緒先輩を、幹也は殺すなと言う。

人間は生涯に一度しか人を殺せないとは式の祖父の言葉。

式は識を殺しているので、里緒先輩を殺したら二度目の殺人になってしまう。

そうなってしまったら幹也と過ごす日常には戻れないかもしれない。

これが第三の葛藤。

結局、幹也を殺されたと思った式は、怒りの感情を優先させて里緒先輩を殺し、自暴自棄気味に倒れ込んでしまうが

奇跡的に生存した幹也が、第三章「痛覚残留」で約束した通り、式の罪を背負ってくれると言う。

一度は空っぽになった式の心も、幹也によって満たされていたことを認めてハッピーエンド。


確かにアニメでは戦闘の作画なんかが凝っていて、見ていて爽快だったが、

第七章「殺人考察(後)」は式の心理描写が特に丁寧で、式の葛藤を完結させるのに相応しい出来だった。

里緒先輩はもう少し自重気味でも良かったと思うがw

幹也が里緒先輩に説教するシーンも息を呑んで見入ってしまった。

第六章「忘却録音」がアレだったこともあり、完成度の高さが際立つ。



また長くなってしまったので、終章「空の境界」は次回へ!

劇場版 空の境界 BD-BOX

2011年02月03日 01時52分48秒 | ゲーム:アニメ:TYPE-MOON関連
俺にしては珍しく原作既読。

俺が見るアニメ作品は原作を知らないやつばかりなんだけどな。

そして劇場版も、「矛盾螺旋」まではDVDで視聴済みだ。


今更だが、このブログでは本作にはあまり触れていないようだな。

原作を読んだのもDVD版を見たのも、大分昔のことだったんで、記憶が曖昧だった。

記事にした記憶がないな、と思っていた。

過去記事を探してみたが、DVD7巻が発売する告知だけ見付かった。

俺はなぜこれだけ記事にしたのだろうw

謎すぎる・・・。



アニメ版としての感想、原作含めての解説。

もう周知の作品だからネタバレありでいいよな。



第一章「俯瞰風景」


本作は時系列が章の順番と一致しない。

この章は、第三章「痛覚残留」の後に位置する。

「俯瞰風景」を第一章に配置するのは、全体から見てどうだったのだろうか。

式が直死の魔眼に目覚める第四章「伽藍の洞」が、始まりを感じさせるという意味では第一章に置いても良かったかもしれない。

しかし、「俯瞰風景」が最も各要素が充実した章だと言えるので、やはり全体の導入としては妥当か。

・怪事件・幽霊

・直死の魔眼・義手

・魂を捕らえられた幹也を救出したいのが本心なツンデレ式さん

・スタッフロール後に鮮花も出ていて主要人物総出演

そしてなにより、戦闘シーンの疾走感。

映像と音楽が相まって、素晴らしいの一言。

これはアニメ化して良かったと思わざるを得ない。

「俯瞰風景」というタイトルに相応しい背景ビジュアルも見事だった。

空の境界という作品を知ってもらう上では、「俯瞰風景」が一番分かり易い章だという結論。



第二章「殺人考察(前)」


時系列的には最古の章。

本作のメインテーマ、式の人格についてを語る上ではこれが始まりとなる。

式と幹也の出会いが全ての始まり。

ただし、この章は前編となっており、謎と伏線を残したまま終わる。

ミステリーっぽい雰囲気だが、真犯人を推理するお話ではない。

真犯人の里緒先輩はしっかり登場しているが。

学校で式に一言喋るシーンと、駅の改札前で幹也と会ってファミレスかなにかで会話(音声なし)するシーン。

式に一言喋るシーンをなくして、式に告白してフられるシーンを入れて、

第四章と第六章のスタッフロール後に荒耶宗蓮と会話するシーン(原作では「境界式」という章)で顔を伏せておけばミステリーっぽくなったのになw

第七章で、犯人はコイツだったのかー!みたいなw

まぁ、上記の通り真犯人を推理する話ではなく、式が殺人をしていないことを信じ続けられるか?というテーマなので

犯行の手がかりや伏線にはそれ以上の意味を持たない。

一つ、アニメでの見所に声優の演技を挙げよう。

式と識の演じ分けに注目すると本作の深さがより一層理解出来る。



第三章「痛覚残留」


時系列は、第四章「伽藍の洞」の後かつ第一章「俯瞰風景」の前。

タイトル通り非常に痛々しい章であり、浅上藤乃というキャラクターの心理描写に焦点が置かれている。

式が生身の人間と敵対して戦うシーンはこの章が初。

やはりアニメでは戦闘シーンが素晴らしい。

ブロードブリッジが崩れる描写は迫力満点。

しかし、藤乃の描写があっさり気味だった感もあり、不満もある。

個人的に藤乃のファンだからどうこうとか、そういうつもりは全くないので誤解しないようにw

鮮花が藤乃に人捜しの手伝いで幹也を紹介しようとしていたシーンで、藤乃の捜している人が幹也その人だったりとか、

藤乃は幹也にちゃんと痛みを訴えていたが、幹也が真相に至れなかったことを悔やんだりとか、

すれ違いが悲しく切ないストーリーなのに、原作未読な視聴者に全てが伝わっているか不安が残る。

やり場のない悲しい気持ちでいっぱいになりそうな展開ばかりだが、式が気を利かせたおかげで藤乃は生存。

もしも死亡していたらトラウマ級の鬱作品認定になるところだった。

エンターテインメントを分かっている作品で良かった。

冷酷そうに見えた式が本当は優しいことが分かり、悲しさを温かさで塗り潰してくれる。



第四章「伽藍の洞」


第二章「殺人考察(前)」の後で、第三章「痛覚残留」の前。

式が病院に重傷で搬送されるシーンから始まるが、第二章「殺人考察(前)」の後に何が起きたかは

第七章「殺人考察(後)」で明かされる。

識がいなくなったことと、直死の魔眼に困惑する式がそれを受け入れて強くなるお話。

式と橙子の出会いや、橙子の魔術描写も忘れてはならない。

アニメでルーンの魔術を見ると、TYPE-MOON作品だということを思い出させてくれるw

がらんどうというのは何でも詰め込めるということ。

橙子のセリフが全てを語っている。



第五章「矛盾螺旋」


第一章「俯瞰風景」の後で、この章以降は時系列も順番通りとなる。

俺が一番好きな章がこの「矛盾螺旋」だ。

原作も鳥肌ものだったし、アニメは泣いた。

螺旋、ループ、矛盾といったキーワードを上手く映像化していると思う。

時系列がバラバラでアニメ化が難解な本作の中で、この章だけ更に難解にグレードアップしてある。

この章で起こる出来事まで時系列を前後して描写しているものだから、原作既読じゃないと本当に難しいかもしれない。

逆に、原作既読でも新鮮に楽しめるこの構成に敬意を表したい。

結局のところ、臙条巴の家族愛が荒耶宗蓮の壮大な計画を狂わせたというシンプルなストーリーなので、

原作未読でも十分楽しめるはずだがな。

人格は肉体に宿るもの、という本作のテーマは、この章にも関連している。

臙条巴の身体は作り物の人形(偽者)だったわけだが、家族や式を愛したというその心は確かなものだった。

臙条巴も両儀式も、空っぽの中に確かな人格を形成しているわけだ。

終章「空の境界」では両儀式という肉体に宿る人格について語られるので、詳細はそちらの項で書くことにする。



長くなりすぎてしまったので次回へ続くw