チラシの裏

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劇場版 空の境界 BD-BOX

2011年02月03日 01時52分48秒 | ゲーム:アニメ:TYPE-MOON関連
俺にしては珍しく原作既読。

俺が見るアニメ作品は原作を知らないやつばかりなんだけどな。

そして劇場版も、「矛盾螺旋」まではDVDで視聴済みだ。


今更だが、このブログでは本作にはあまり触れていないようだな。

原作を読んだのもDVD版を見たのも、大分昔のことだったんで、記憶が曖昧だった。

記事にした記憶がないな、と思っていた。

過去記事を探してみたが、DVD7巻が発売する告知だけ見付かった。

俺はなぜこれだけ記事にしたのだろうw

謎すぎる・・・。



アニメ版としての感想、原作含めての解説。

もう周知の作品だからネタバレありでいいよな。



第一章「俯瞰風景」


本作は時系列が章の順番と一致しない。

この章は、第三章「痛覚残留」の後に位置する。

「俯瞰風景」を第一章に配置するのは、全体から見てどうだったのだろうか。

式が直死の魔眼に目覚める第四章「伽藍の洞」が、始まりを感じさせるという意味では第一章に置いても良かったかもしれない。

しかし、「俯瞰風景」が最も各要素が充実した章だと言えるので、やはり全体の導入としては妥当か。

・怪事件・幽霊

・直死の魔眼・義手

・魂を捕らえられた幹也を救出したいのが本心なツンデレ式さん

・スタッフロール後に鮮花も出ていて主要人物総出演

そしてなにより、戦闘シーンの疾走感。

映像と音楽が相まって、素晴らしいの一言。

これはアニメ化して良かったと思わざるを得ない。

「俯瞰風景」というタイトルに相応しい背景ビジュアルも見事だった。

空の境界という作品を知ってもらう上では、「俯瞰風景」が一番分かり易い章だという結論。



第二章「殺人考察(前)」


時系列的には最古の章。

本作のメインテーマ、式の人格についてを語る上ではこれが始まりとなる。

式と幹也の出会いが全ての始まり。

ただし、この章は前編となっており、謎と伏線を残したまま終わる。

ミステリーっぽい雰囲気だが、真犯人を推理するお話ではない。

真犯人の里緒先輩はしっかり登場しているが。

学校で式に一言喋るシーンと、駅の改札前で幹也と会ってファミレスかなにかで会話(音声なし)するシーン。

式に一言喋るシーンをなくして、式に告白してフられるシーンを入れて、

第四章と第六章のスタッフロール後に荒耶宗蓮と会話するシーン(原作では「境界式」という章)で顔を伏せておけばミステリーっぽくなったのになw

第七章で、犯人はコイツだったのかー!みたいなw

まぁ、上記の通り真犯人を推理する話ではなく、式が殺人をしていないことを信じ続けられるか?というテーマなので

犯行の手がかりや伏線にはそれ以上の意味を持たない。

一つ、アニメでの見所に声優の演技を挙げよう。

式と識の演じ分けに注目すると本作の深さがより一層理解出来る。



第三章「痛覚残留」


時系列は、第四章「伽藍の洞」の後かつ第一章「俯瞰風景」の前。

タイトル通り非常に痛々しい章であり、浅上藤乃というキャラクターの心理描写に焦点が置かれている。

式が生身の人間と敵対して戦うシーンはこの章が初。

やはりアニメでは戦闘シーンが素晴らしい。

ブロードブリッジが崩れる描写は迫力満点。

しかし、藤乃の描写があっさり気味だった感もあり、不満もある。

個人的に藤乃のファンだからどうこうとか、そういうつもりは全くないので誤解しないようにw

鮮花が藤乃に人捜しの手伝いで幹也を紹介しようとしていたシーンで、藤乃の捜している人が幹也その人だったりとか、

藤乃は幹也にちゃんと痛みを訴えていたが、幹也が真相に至れなかったことを悔やんだりとか、

すれ違いが悲しく切ないストーリーなのに、原作未読な視聴者に全てが伝わっているか不安が残る。

やり場のない悲しい気持ちでいっぱいになりそうな展開ばかりだが、式が気を利かせたおかげで藤乃は生存。

もしも死亡していたらトラウマ級の鬱作品認定になるところだった。

エンターテインメントを分かっている作品で良かった。

冷酷そうに見えた式が本当は優しいことが分かり、悲しさを温かさで塗り潰してくれる。



第四章「伽藍の洞」


第二章「殺人考察(前)」の後で、第三章「痛覚残留」の前。

式が病院に重傷で搬送されるシーンから始まるが、第二章「殺人考察(前)」の後に何が起きたかは

第七章「殺人考察(後)」で明かされる。

識がいなくなったことと、直死の魔眼に困惑する式がそれを受け入れて強くなるお話。

式と橙子の出会いや、橙子の魔術描写も忘れてはならない。

アニメでルーンの魔術を見ると、TYPE-MOON作品だということを思い出させてくれるw

がらんどうというのは何でも詰め込めるということ。

橙子のセリフが全てを語っている。



第五章「矛盾螺旋」


第一章「俯瞰風景」の後で、この章以降は時系列も順番通りとなる。

俺が一番好きな章がこの「矛盾螺旋」だ。

原作も鳥肌ものだったし、アニメは泣いた。

螺旋、ループ、矛盾といったキーワードを上手く映像化していると思う。

時系列がバラバラでアニメ化が難解な本作の中で、この章だけ更に難解にグレードアップしてある。

この章で起こる出来事まで時系列を前後して描写しているものだから、原作既読じゃないと本当に難しいかもしれない。

逆に、原作既読でも新鮮に楽しめるこの構成に敬意を表したい。

結局のところ、臙条巴の家族愛が荒耶宗蓮の壮大な計画を狂わせたというシンプルなストーリーなので、

原作未読でも十分楽しめるはずだがな。

人格は肉体に宿るもの、という本作のテーマは、この章にも関連している。

臙条巴の身体は作り物の人形(偽者)だったわけだが、家族や式を愛したというその心は確かなものだった。

臙条巴も両儀式も、空っぽの中に確かな人格を形成しているわけだ。

終章「空の境界」では両儀式という肉体に宿る人格について語られるので、詳細はそちらの項で書くことにする。



長くなりすぎてしまったので次回へ続くw