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ROBOTICS;NOTES DaSH ロボティクス・ノーツ ダッシュ

2019年02月22日 18時09分08秒 | ゲーム:アニメ:科学ADVシリーズ



クリアした。

プレイ時間は29時間48分。

基本はオートプレイ。

2周目以降は攻略情報解禁。


まだ新作なので、ネタバレ無しで書きます。


購入前の注意事項

本作は、前作「ロボティクスノーツ」の続編であるため、前作をクリア済みであることが望ましい。

一応本編中では、前作で起こった事件について簡単な説明が入ったりするが、

前作を知らないまま進めても分からないネタが多すぎて、ちっとも面白くないだろう。

更に、「シュタインズゲート」の主要キャラクターであるダルが、本作の主人公の1人として登場する。

このダル視点のエピソードが半分以上を占め、彼の心情を深く理解しようと思った場合「シュタインズゲート」の知識も必要となる。

更に更に、ネタバレになるから詳細は書けないが、「カオスヘッド」と「カオスチャイルド」も知っておくべき。


とは言え、「シュタインズゲート」「カオスヘッド」「カオスチャイルド」に関しては熟知している必要はなく、

例えば、アニメ版を視聴した程度のにわか知識で十分である。

しかし、「ロボティクスノーツ」は特別で、若干難しい事情が発生する。


そのことを説明する前に、前作「ロボティクスノーツ」について、改めて書かねばならない。

本編のネタバレは無しなので安心して読んでほしい。



前作について

前作「ロボティクスノーツ」は、大ヒットした「シュタインズゲート」に続く科学ADVシリーズとして発売されたため、

非常に期待度が高く、結果10万本も売れた。

しかし、期待度が高かった反動か、評価はイマイチだった。

多くのユーザーは、「シュタインズゲート」のような神作品を期待していたので、仕方ないことと言えるだろう。


そして、科学ADVシリーズは「カオスチャイルド」「オカルティックナイン」と続き、

いずれもホラー・サスペンス・ミステリー色の強い作品だった。

青春・熱血・王道の「ロボティクスノーツ」は、異色の作品という位置付けとなっている。



断じて言えることだが、「ロボティクスノーツ」が神作品に値しないわけではない。

ユーザーの求めている作風が違っただけだ。


「シュタインズゲート」の魅力は、プレイヤーが主人公の岡部倫太郎に感情移入できるところにある。

岡部倫太郎の苦悩をともに体感し、岡部倫太郎にとっての正解、つまりプレイヤーにとってのハッピーエンドにリンクするという

カタルシスを得られる構成が上手く作り込まれており、作品の完成度とユーザーの満足度が高く評価されている。


対して「ロボティクスノーツ」は、少年少女たちの青春を描いた群像劇といった作風である。

ロボット要素がメインではあるが、シリーズお馴染みの空想科学ネタもただの味付けに過ぎない。

いわゆるちょっとイイハナシや、熱血王道展開が好きな人にはしっかり好評を得ている。



前作の好評な点

キャラクターがかわいい

リーディングシュタイナーと並ぶ、主人公特有の超能力

みんなのトラウマタグが付いたことで有名なあのシーン

個別ルートでの感動シーン

個別ルートでのサスペンス展開


他にも、大人になった綯様が主要キャラで登場したり、過去シリーズキャラのツイぽが見られたり、

科学ADVファンならニヤリとする要素が多い。

トラウマ級の衝撃的なシーンやサスペンス展開が好評なところを見ると、

やはり多くのプレイヤーが期待したのは「カオスヘッド」や「シュタイズンゲート」のような作風だったということが分かる。



前作の不評な点

よくある評価のひとつとして、主人公である八汐海翔がウザい、感情移入できない、といったものがある。

八汐海翔というキャラクターは、対戦格闘ゲーム「キルバラ」以外には無関心という格ゲーオタクである。

無関心ということは、感情が見え難い。

見え難いということは、感情移入できない。

意図してこういうキャラクターなのだから、不評なのも仕方ないと思ってしまう・・・が、しかし、

実は違うということが、ストーリーを進めていくと読み取れるようになっている。


正しく評価されていない要因は、プレイヤーの読解力が足りていない点がまず挙げられるが

それよりも、やはり「シュタインズゲート」と同じものだと誤解してしまっている点が大きいと言えるだろう。

「シュタインズゲート」とは違って群像劇なのだから、複数の視点から得られる情報を、

プレイヤーは等しく読み取った上で差別なく理解しなければならない。

つまり、八汐海翔の視点のみで全てを理解できるはずがないのだ。


例えば、ヒロインという位置付けの瀬乃宮あき穂だが、八汐海翔にとってはヒロインかもしれないが

物語的にはもう1人の主人公と呼べるキャラクターであり、瀬乃宮あき穂のほうにこそ感情移入すべきだと言いたい。

瀬乃宮あき穂の視点から八汐海翔を見た場合、どういうキャラクターに映るのか。

それが答えである。


おそらくプレイヤーの多くは男性であろうことから、

ヒロインに感情移入して主人公の男を正しく評価するなどということができる猛者は少ないはず。

八汐海翔の不人気も納得だね。

逆に言えば、女性プレイヤーには好評だったりするのだろうか。

八汐先輩の鎖骨ぺろぺろー!!!


話は戻るが、キャラクターの魅力も含め、シナリオの熱さをプレイヤーに伝えるための演出が弱いという欠点がある。

この長いシナリオを2周も3周もするような猛者なら問題ないかもしれないが、普通は浅く感じる。

その辺りを改善したのがアニメ版である。

原作ゲームとアニメ版どちらがオススメかと問われたら、「ロボティクスノーツ」はアニメ版の出来がいいからオススメ。

と答えるのが一般的だ。

しかし、「DaSH」という続編が登場したことによって事情が変わってしまった。



前作のアニメ版

八汐海翔の心理描写が増えて、視聴者にも分かり易くなっている。

演出の弱さが改善されて、映像的にも分かり易くなっている。

深く掘り下げされていない設定やエピソードはカットされている。


アニメ版は、不評だった点が軒並み改善されているのだ。

当然そっちのほうがオススメし易いよね。

しかし、カットしたところがマズかった。

続編の「DaSH」では描写が薄かった設定やエピソードを重点的に補完するシナリオが多いからだ。

アニメ版だけの知識では「DaSH」の全てを理解することができない作りとなっている。

オススメはアニメ版なのに、原作ゲームをクリアしていないと「DaSH」を100%理解することができない。

難しい事情というのは、そういうことだ。


まぁ、実際はアニメ版だけでも90%近く理解できるから問題ないし、

俺はプレイしていないが、「ELITE(エリート)」という改変版が発売されているから、それでもいいかもしれないが。



「DaSH」の感想。本編のネタバレは無し

率直に言うと、前作の作中でまとめてほしかったね。

良く言えば、続編レベルにとどまらない素晴らしいシナリオ。 一つの作品として見ても完成度が高い。

悪く言えば、なんでこのエピソードを前作に入れなかった! 分割商法おつ!

と言いたいくらい良く出来たシナリオだった。

もちろん前提として科学ADVシリーズの知識ありきであったり、キャラクターのファンであったり、になるが。


「シュタインズゲート」や「カオスシリーズ」にはファンディスクが存在するが、「ロボティクスノーツ」には無い。

本作もファンディスク的な位置付けに収まるのかと思いきや、予想以上にちゃんと「ロボティクスノーツ」していた。

ファンじゃないと楽しめないという意味ではファンディスクだが、ファンなら楽しめる、ではなく

「ロボティクスノーツ」ファンなら本作までプレイしないと勿体無い、だ。


しかし、相変わらずゲームとしては微妙。

シリーズお馴染みのストーリーとリンクしていない意味不明な分岐には興醒めするしかない。

一度エンディングを見たら即攻略サイトを開いてしまうレベル。


あと、驚くべきは男キャラの個別ルートがあること。

この手のギャルゲー的なシナリオ分岐で、男キャラの個別ルートに入れるゲームってなかなか無いよね?

俺は科学ADVシリーズと「Ever17」くらいしか知らないけど、男キャラルートは前代未聞だ。

八汐先輩とメガネのあんなシーンやこんなシーンが見られるんですねわかります。



総評としては、「DaSH」も前作と同じで青春・熱血に全振りの群像劇という印象で、

個別ルートひとつひとつのエピソードがとても感動的で良く出来ている。

前作の補完やキャラクターの掘り下げがメインではあるが、登場キャラクター全員が主人公と言わんばかりの濃さ

「ロボティクスノーツ」は元々二部作だったと言っていいレベルだ。

それに加えて、シリーズ集大成的なネタも盛り込まれており、ファンサービスにニヤニヤしてしまう。

(残念ながら、過去作のキャラクターにボイスは無いが。)


ファンなら絶対買うべき。

買って良かったと断言できるゲームだった。




ROBOTICS;NOTES DaSH



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1 コメント

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神はサイコロ遊びをする物理学 (ああいえばこういう熱力学)
2024-03-23 01:20:03
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。どこか多様性を秘めた多神教的でなつかしい日本的ななにかによって。
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