チラシの裏

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Another 最終話「Stand by oneself -死者-」

2012年03月29日 17時58分11秒 | アニメ全般
ネタバレあり。


>色とキャストがwww

>これは卑怯すぎるwww

>それともまさか、変えて来るのか・・・?



これが第1話のときの俺の感想。

結果としては、変えて来なかったわけだが。

原作と異なる描写が多かったが、死者に関しては原作通りだったということだ。


しかし、キャストもトリックに利用していたってのは驚きだ。


>怜子役の声優・榊原奈緒子が所属するプロダクション・エースの協力を得て、架空の声優「宮牧美沙代」(実質、榊原の本作のみの別名義、11話まで使用)を用意し、

>あたかも2人の声優が「三神」(宮牧)と「怜子」(榊原)を演じているように見せる事で、アニメ版においてこの演出を成立させたと考えられる。


Wikiより。

手の込んだトリックだなw



アニメの総評。


最も良かった点は、作画と音響。

ホラーの雰囲気に重点を置いた作画と音響効果が、良い演出をしていた。

原作は「ホラー」よりも「ミステリー」色のほうが強いので、この雰囲気はアニメ版でしか味わえない。


次に良かった点は、キャラクターの掘り下げ。

主要人物以外にも設定が細かく描写されていて、物語性に厚みが増していた。

1クールという短い期間ではあったが、mobキャラ同然のクラスメートたちもキャラが立っていた。

合宿所の管理人は、原作では何故気が狂ったか分からず終いだったが

アニメ版では孫である高林の死が原因で精神が不安定だったと説明されている。

赤沢さんに至っては、原作では何のエピソードも無いただの脇役なのにな。(ちなみにコミック版では生存ENDという優遇っぷりw)


悪かった点は、設定の変更。

恒一が死者である怜子を死に還すというクライマックスのシーン。

本当に怜子さんが死者なのか?

鳴を信じていいのか?

怜子さんを殺してしまっていいのか?


ここで鳴は、一年半前に怜子が通り魔に殺されるのを目撃していることを思い出し(原作では怜子は事故死と推定されている。)

恒一が決心に至るのだが、この設定変更の所為で恒一の葛藤が薄っぺらくなってしまっている。

鳴を信じるという一点に置いては、いいと思う。

愛は何物にも勝るという解釈は全然OKだ。

しかし、怜子に母親である理津子の面影を見出し、心のどこかで依存していたという設定の恒一が、

その母親似の怜子に手を下さなければならないという葛藤が、視聴者に理解出来ただろうか。

しかも通り魔の容姿が恒一に似ているというあえて誤解を生ませるような演出に意味はあったのだろうか。

恒一が一年半前に夜見山に訪れたのが怜子の葬式のため(断言しているのはコミック版のみだが)というセリフをカットしたのも

誤解を助長する計らいだと勘繰ってしまう。


「さようなら、おかあさん」のセリフをカットしなかったのは良かったが、エピローグも大幅カットだし、

原作やコミック版で感動した切なさがほとんど残っていないという。

その分、ホラーや残酷描写が充実しているのがアニメ版だ。

先に述べた通り、ホラーや残酷描写などの演出に関しては「上手い」の一言で、アニメとしての完成度はトップクラスだと言える。

しかし、恒一の葛藤を改変しないで原作通りにやっていれば感動も違ったものになっただろうにと思うと残念だ。

勿体無いアニメ化だった。