アメリカ放浪、カーター・ファミリーの故郷へ(2007.7.7)

2007-07-07 18:30:41 | Weblog

*真正面がカーター・ファミリー(ブリストルのミュージアムの展示)

この間の旅に、人にはわかってもらえない明確な目的がいくつかありました。
カーター・ファミリーの故郷を訪ねるというのもそのひとつです。そこは、カントリーソングの故郷でもあるのです。

米国東部を南北に貫く、アパラチア山脈の南端の山麓に、イギリスから移民定着した開拓者が、故郷の民謡を歌い継いだのが、カントリーソングの起源です。山の中の話です。
日本でいえば、ひえつき節のルーツを宮崎県の山奥に訪ねるということでしょうか。

テネシー州とバージニア州の州境の町、ブリストル(Bristol)から、クリンチ・マウンテンの山麓のプア・バレーという谷、といった情報しかないのです。
ガイドブック“地球の歩き方”にも載っていません。インターネットのかすかな情報を頼りにでかけたのです。

カントリーソングの街ナッシュビルを深夜0時45分にグレイハウンドバスに乗って発ち、明けて朝9時45分に、ブリストルで降りました。さて、・・・・街中にホテルはありません。街はずれのモーテルを教えてもらい、40分歩いてひとまず落ち着きます。モーテルで、レンタカーを配車してもらうつもりだったのですが、この町にレンタカー屋がない。思案の上、結局、タクシーをチャーターすることにしました。

カーター・ファミリーは、私ら世代、アメリカのフォークソングに染まった世代には、記憶のある人もいるでしょう。
AP・カーター、サラ・カーターの夫婦に、サラの従妹のメイビルを加えたコーラス・グループです。1930~40年(戦前ですね)に大人気だったグループです。メイビルのギター奏法が、後のフォークグループに大きな影響を与えたのです。むろん、皆さん故人です。

このカーター・ファミリーの出身地を訪ねようとしているのです。
そこには、カーター・ファミリー記念館(Carter Family Fold)があり、毎週土曜の夜には、コンサートがあるというのです。現地に宿泊施設はないというので、土曜の昼過ぎから出かけ、その地の山野・風土を実感し、レンタカーで夜明かしするつもりだったのです。

ブリストルからタクシーで山中を40分走って着きました。(このタクシー、夫婦で乗っていて、奥さん運転、ダンナが電話で配車注文をとっていた) 自分でレンタカーを借りてもたどりつけたかどうか疑わしいほどの、山中でした。連なる山と山の狭い谷間にありました。途中からカーター・ハイウエイとの標識はでてくるのですが、かろうじて2車線の道です。

カーター・ファミリー記念館は、AP カーターがやっていた雑貨屋の建物です。まるで納屋です。納屋を開放しているという感じなのです。古い写真、色あせた新聞記事と思い出の品々が並べられていました。壁には、カーター・ファミリーのレコード。私には、宝箱をひっくり返したような感じでした。

隣の、素朴な木造ホールでのコンサートは、7時30分からです。300人収容でしょうか。いっぱいのお客さんです。クリンチ・マウンテン・コンサートがはじまります。お客の多くはすぐに、ステージ前で踊りだします。スクエア・ダンスの、あのステップです。一気に山のお百姓さんのダンスの集まり気分になりました。知ってる人はいないし、私も踊ってみました。

*どこへ行っても空いてれば、ミキサーの隣に席をとります。

*ほんとは、こんな風なマウンテン・ミュージックが一番好きなのです。

 いったい何時まで続くのかわかりません。迎えのタクシーの約束時間があって、9時過ぎ帰途につきました。街灯(道路灯)の全くない夜道がしばらく続きます。夜をあかし、翌朝のゴスペル・コンサートも聞いていく計画はつぶれましたが、レンタカーで来れたかなあと、思いながら真っ暗の山を見ていました。
ともかく30年の思いが実現したんだ、という感動のようなものも沸いていました。


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3 コメント

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こんにちは! (red_kangaroo)
2010-03-08 11:46:47
はじめまして。カーターファミリーのことを調べていて、ここにたどり着きました。
僕は39歳でカントリーソングとは縁があまりなかったのですが、よく聞いているインターネットラジオの番組で、最近カントリーソング特集をやっていまして、ドンギブソンやジョニーキャッシュなんかいいな、と思って聞いていました。キャッシュのgreen green grass of homeがいい曲だな、と思ってたのですが日本訳にしたら北国の春みたいなんだろうな~と思っていたら、調べてみるとシュールな内容にびっくり。それからカントリーの世界にどんどん嵌っている次第です。キャッシュのCDを買って聞いたり調べていくうちに奥さんと大恋愛の末に結婚したということを知ってジューンカーターのことを知りました。youtubeでこの2人映像を見ていると昔のTVショーが多く投稿されていて、そこで一緒に出演している老婦のギター演奏が変わった演奏方法だな、と思って調べていくと画期的な奏法であったことを知りました。女性がギターをかき鳴らすこと自体が新鮮で、しかも家族で戦前から活動していたことを知って、のどかでいいものだな、と思った次第です。
長々と書いてしまいましたが、お許しください。僕も近いうちにふじいさんが行ったここへ行ってみたいです。また、カーターファミリーの情報、あったらおねがいします。
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カーターファミリー (f(red_kangarooさんへ))
2010-03-09 08:43:58
こんなコメントを書いてくれる人がいるんだと嬉しいですね。
ジョニー・キャッシュとジューン・カーターの隣で
ギターを弾いている老婦人は、メイビル・カーター。ジューンのお母さんです。
その奏法をカーター・ピッキングといいます。
ブリストルは、地球の歩き方には載っていませんが、今の時代、ネットで調べると何とか、たどりつけます。年に1度、大きなフェスティバルがあるようです。そこらに行くと、いいですね。
ただ、自由に休みがとれませんね。

green green grass of homeは、森山良子さんが日本語で歌って、ヒットしました。
気をよくして、カントリー・ソングのことを書きましょう、のぞいて見て下さい。
(f)

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返答、ありがとうございます! (red_kangaroo)
2010-03-10 04:21:11
”ブリストル”で調べると、イギリスのそれしかでてこないんですよね。フィスティバルはいつごろ開かれるんですか?
キャッシュはカーターファミリーのことをあんなにリスペクトしていたのに、いまのアメリカ国民の間ではそんなにメジャーではないんですね。それもいいかも。静かに誰かの心に残っているのがいいのかもしれませんね。それにしてもマザーメイベルは綺麗ですね。いっぺんに好きになってしまいました(*^_^*)
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