弁証法的行動療法の 「認証」 と並ぶ もうひとつの戦略は、
「問題解決戦略」 です。
しかし、 そもそも 「問題」 とは何かが 問題なのです。
例えば、 自傷の原因は、 友だちの冷たい態度だと 本人は感じていますが、
それは 「きっかけ」 であって、 「本当の問題」 ではありません。
「問題」 には 二種類あります。
ひとつは、 目の前に生じた トラブルで、
これは 生きている限り 避けられないものです。
もうひとつは、 こうした問題に対して、
不適切な解決の仕方を してしまいやすいという問題です。
境界性パーソナリティ障害の人は、
「きっかけ」 のほうを 問題だと思ってしまい、
「本当の問題」 には なかなか目が向きません。
トラブルを過度に 悲観的に受け止め、
自分が 生きる価値のない人間だと 思ってしまう、
自己否定的な認知が 共通して見られます。
本人の苦しみを 受け止めるだけでなく、 それが一面的な見方であり、
それに囚われないことを 教えるのが、 次のステップとして 必要なのです。
(次の記事に続く)
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕